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唯「じょうもんせいかつ!」#後編 【非日常系】


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唯「じょうもんせいかつ!」#前編
唯「じょうもんせいかつ!」#後編




241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 02:56:46.02 ID:Di0Bqfhw0

-竪穴住居-

律「ただいまー!」

澪「重かった…百キロ近くあるぞコイツ…」

唯「さわちゃん!見てーーーー!!」

さわ子「あー?何よ昼間ッから…ヒック」

梓「またお酒飲んでる…」



242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:03:51.84 ID:Di0Bqfhw0

唯「イノシシつかえまえたよー!」

さわ子「へーやったわね!どらどら…」

さわ子「…」

さわ子(ふむ、コイツは…やっぱりね。)

さわ子「まずまずの大きさね!お昼ごはん食べたら解体しましょうか!」

梓「か、かいたい!?」

さわ子「肉片にしないと食べられないでしょうが…」

梓「う…」



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:10:39.86 ID:Di0Bqfhw0

-そして解体準備開始-

さわ子「穴を掘って、それに木組みを立てて、
    イノシシを吊るす土台を作りましょう。」

唯「はーい!」

さわ子「コイツの重みに耐えれるのを作らないといけないから
    太くて頑丈なやつを持ってくるのよ。」

-土台作成中-



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:16:41.26 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「よし、吊るし上げまで完了!」

さわ子「えっとりっちゃんは確か、イノシシの解体を見たことあるって言ってたわね?」

律「うん、田舎のじいちゃんちに行った時に何回かね。」

さわ子「解体プロセスもわかってる?」

律「もち!」

さわ子「じゃ、りっちゃんは補助お願いね。
    あんたらの腕じゃ無理だろうから私がメインでやります。」



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:25:42.78 ID:Di0Bqfhw0

※澪は解体が怖いので竪穴住居に退散しました。
 イノシシ狩りに参加しといてなんですが。

律(ずっと気になってたんだけど、
  なんで先生はこの手のことに詳しいんだ?)

紬(サバイバル好きの彼氏でも居たのかしら?)

さわ子「んっ!?なんか言った!!??」

律「な、なーにもー…」

紬「言ってないです…」アセアセ



247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:34:34.36 ID:Di0Bqfhw0

梓「…」ガクガク

さわ子「あずさちゃん、怖いなら、
    澪ちゃんみたいに竪穴住居に帰ってて良いのよ?」

梓「だ、大丈夫です…」

さわ子「じゃ、はじめますか。
    まず、イノシシのお尻の穴に布を入れておきます。」

唯「なんでー?」

律「ウンコで肉が汚れることがあるからなんだってさ。」

唯「ほー。」



248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:40:07.29 ID:Di0Bqfhw0

律「あ、その前に。」

イノシシに向って手を合わせる律。

さわ子「ずいぶんと信心なことじゃない。」

律「じいちゃんに、こうしろって言われてるんだ。」

そして、さわ子と律は石包丁でイノシシの皮を剥いでいく。



249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 03:46:33.00 ID:Di0Bqfhw0

梓「ぅ…」ガクガク

唯「…」

紬「…」

さわ子(この子たちよく頑張ってるわね…)

さわ子(さて…)

-皮剥ぎ完了-



250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:01:28.69 ID:Di0Bqfhw0

梓「ヒ…ヒ…」ガクガクガク

唯「…」ガクガク

唯と梓は身を寄せ合って震えている。

紬「あんまり脂肪がついてないですね?」

紬はもう慣れたようだ。

さわ子「まあ、そりゃそうよ。夏場だもの。
    冬篭り前が一番おいしいんでしょうけど。」



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:05:47.60 ID:Di0Bqfhw0

律「でもその割には、コイツお腹がでっぷりしてない?」

さわ子(フフ…)

さわ子「じゃ、りっちゃん、はじめの一刀はまかせるわ。
    下半身のこの辺、一番膨らんでるとこに
    切れ込みを入れてちょうだい。」

律「あれ?先に頭は落とさないの??」

梓「ア、アタマ、オト…」ガクガクガクガク

さわ子「今日は特別工程よ。」

律は言われるまま、皮膚に切り込みを入れていく。



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:12:29.88 ID:Di0Bqfhw0

律「あー!石器じゃ難しいな…」

さわ子「そう?この黒曜石の切れ味も中々のものよ。」

律は10cm程度の切れ込みを入れる。
イノシシの内臓が傍目にもよくわかる。

梓「…」ガクガクガクガクカ

唯「…」ガクガクガク



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:15:13.47 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「さて、あななたち、もっと近寄ってきなさい。」

そう言うとさわ子は、内臓のうちの、ひときわ大きな袋のようなものに
切れ込みを入れ始める。

律「!?」

さわ子(りっちゃんは気付いたかしら?)

紬「それ、胃ですか?」



256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:18:28.43 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「こんなとこに胃なんてあるわけ無いでしょう。」

律「さ、さわちゃん、そ、れ…」

さわ子が入れた切れ込みから赤紫色のような物体が見える。

律「あ…」

さわ子「これ、何だと思う?」



259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:25:26.41 ID:Di0Bqfhw0

梓「…」ガクガクガクガク

唯「え?え…?」

さわ子「これはね、イノシシの子宮、このなかに入っている赤紫の物体は…」

さわ子「イノシシの胎児よ。」

梓「え…」

梓はまじまじと赤紫の物体を凝視する。

そして、意識を手放した。



Google検索:猪 解体

猪の解体を画像つきで解説しているHPが多くあります。
リンク先は肉、内臓などの写真がモザイク無しで掲載されているので
苦手な方は気をつけてください。




261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:28:54.88 ID:Di0Bqfhw0

梓「…」

梓「ん…」

「!」

梓「んん…」

「あずにゃん!」

梓「ゆ、い、せんぱい?」

唯「よかった!あずにゃん!!やっと目をさましたよー!」ギュ

梓「あ…」



262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:37:07.35 ID:Di0Bqfhw0

梓「わたし、気を失って…」

唯「うん、もう夜だよ。」

梓「他のみなさんは?」

唯「外で火をおこしてご飯食べてる。」

梓「ご、はん…」

フラッシュバックするように、梓はイノシシの解体の場面を思い出す。

梓「あ、あ、」

唯「あ、あずにゃ…」



266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:41:52.31 ID:Di0Bqfhw0

梓「あああーーーーーーーー!!!」

澪「どうしたんだっ!!」

澪たちが飛び込んでくる。

梓「うあああああーーーーーーーー!!!」

律「あ、ずさ…」

さわ子「やっぱりね…」



267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:46:25.41 ID:Di0Bqfhw0

梓「ひどいっっ!!ひどすぎるよ!!!残酷だよ!!!!!」

梓「せんせい!!!せんぱい!!!」

梓「最低です!!!!!!!」

梓「あの子、もう少ししたら生まれてこれたかもしれなかった…
  なのに…なのに!!!」

澪「先生!!いくらなんでもやりすぎですよ!!
  梓にも…生き物の解体なんて耐えられるはず無かったんだ!」

何を見て梓が気を失ったかについては、澪には伏せられている。



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 04:52:38.42 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「たしかに、そうかもね。やりすぎだわ。」

律「肉食べてるのに、解体工程に文句言うやつはどうのこうのって、
  よく言うけど…」

律「さわちゃんはやり過ぎた。それに、事前に私に断っとくべきだった。」

さわ子「そうしたら、りっちゃんは私を止めた?」

律「ああ。」

さわ子「はぁ…」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:02:12.11 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「私もC・W・ニコルの真似したり、
    偽善者/偽悪者ぶるつもりはないんだけどね…」

澪「結果も、多分、動機も…両方最悪ですよ!とくに結果!!梓には、やっぱり…!」

梓「…」プル…プル…

唯「あず、にゃん??」

梓「もう…」

梓「もういやああああああーーーー!!!!!」

梓は竪穴住居を飛び出す。

澪「あずさっ!!」

唯「大丈夫!!私にまかせて!!」



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:09:08.57 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「梓ちゃんは唯ちゃんに任せて、わたしは食事に戻るわ。」

澪「先生!!どれだけ無神経なんですか!?」

さわ子「じゃあ、あのイノシシの骨の前で、泣きながらひたすら
    許しを乞えっていいたいの?」

澪「な…!?」

さわ子「今日調理したものは内臓。土の中に埋めた部位と違って、
    早く食べないと傷んでしまうわ。」※

澪「話にならない…!」

※土中に埋めて熟成を促す過程



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:18:38.96 ID:Di0Bqfhw0

澪「だいたい、律もムギも、解体工程見ておいて、
  よくも肉を口に出来たなっ!」

紬「…」

律「なっ!?お前だって食べてたじゃないか!!」

澪「わ、わたしは…!」

さわ子「先に戻ってるわよ。」

そういうとさわ子は、火のほうへと戻っていく。

紬「…」

紬も無言でさわ子に続く。

澪「ムギ…!?」



279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:23:28.30 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「…」モグモグ

紬「…」ヨリヨリ

さわ子「…」ゴクゴクゴク

さわ子は猪の内臓の煮物をビールで流し込むように食べている。
紬は時々、煮物を口にしながら、植物の繊維のようなもの―
イラクサを縒(よ)る作業を行っている。



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:28:43.99 ID:Di0Bqfhw0

紬「先生、ビールを飲むペースが早くなってますよ。」ヨリヨリ

さわ子「余計なお世話。」モグモグ

さわ子「ムギちゃんもなに作ってんのよ?」

紬「これですか?ジ○ンちゃんの本に書いてあったんです。
  この縄文生活でも、楽器を作って演奏ができないかなって思って。」



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:35:00.72 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「弦…ね。」

紬「ええ。それに、あの子の毛皮も骨も牙も腱も楽器の材料にできますし。」

さわ子「そう…」

紬(楽器を作って、演奏ができるようになれば、みんなも…)

澪「…」

律「ふぅ…」

律と澪が戻ってくる。
律は無言で自分の土器茶碗を手に取ると、煮物を口にし始める。
澪は、煮炊き用の大型土器―臓物の煮物が入っている―を少見つめた後、
黙って土器茶碗を手に取り、律にならう。



282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:44:14.30 ID:Di0Bqfhw0

―とある湧水の側―

チョロチョロチョロチョロ…

湧水の流れる音。

ジー…ジー…ジー…

ホー…ホー…

生き物の鳴き声。

梓「ぅ…ぅ゛ぅ…」

そして少女の、啜り泣く声。



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:49:37.42 ID:Di0Bqfhw0

梓は湧水のほとりで泣いていた。

梓「…」ヒック

周りは暗く、誰もいない。
けれど。

「あずにゃん。」

梓「!」



285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 05:55:43.49 ID:Di0Bqfhw0

梓「ゆい、せんぱい?」ヒック

唯「隣り、座っていい?」

梓「…」

梓「はい…」

唯は梓の隣に座る。



286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:00:02.62 ID:Di0Bqfhw0

唯は、梓の背に右手を伸ばし、梓の頭を自分の頬によせる。
唯は何も口にしなかった。
梓も同じく。

ただ、時間と人間以外の出す音のみが、ゆっくりと背後を流れてゆき。

どのくらいたっただろうか?
ふと、唯の目にほんのりとした灯りが目に入る。
黄金のような淡い翠のような、うっすらとした輝き。

唯「あれ?」

梓「せんぱい?」



287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:03:49.77 ID:Di0Bqfhw0

梓「どうしたん…です、か?」

唯「あれ見て。」

唯は輝きのほうを指差す。

梓「なん、だろう…?」

湧水からは小さな小川が流れ出しており、
唯の見つけた輝きはその小川の流れの先にある。

唯「…」

唯「あずにゃん、いってみよう?」

梓「え?」



288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:08:07.18 ID:Di0Bqfhw0

唯たちは小川を下る。
下るにつれ、灯りが散在するように輝いているのがわかる。
そして、それは小さな光が群れ集まって、舞うように、輝いているのがわかる。

梓「あ…」

そして唯と梓は、光の大群のすぐ目の前まで近づく。

唯「ホタル、だね。」

梓「はい。」



289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:14:13.05 ID:Di0Bqfhw0

無数のホタルが淡く輝くながら飛び交っている。

梓「キレイ…」

唯「うん。」

唯「…」

梓「…」

梓「せんぱい?」

唯「うん?」



291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:17:03.19 ID:Di0Bqfhw0

梓「ホタルは輝き始めたら、すぐに、死んでしまうんですよね?」

唯「そうなんだ?」

梓「はい。」

それから二人は言葉を交わさずに、ホタルの群れの中、
その輝きをぼんやりと、見つめていた。



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:27:46.24 ID:Di0Bqfhw0

―竪穴住居前―

梓「ただいま…です…」

澪「おかえり。」

梓「はい…」

紬「梓ちゃんお腹すいたでしょう?果物を絞ったジュースとクッキーがあるから。」

梓「あ、あの、せんせい、せんぱい、いきなり飛び出してすいませんでした…」



294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:29:54.37 ID:Di0Bqfhw0

律「いいんだよ…、いいんだ。」

さわ子「ええ…」

さわ子(私も謝…)

さわ子(いえ、まだね。)


さわ子(最後の…)



296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:33:49.06 ID:Di0Bqfhw0

それからまた、日が過ぎていく。
軽音部の面々も、表面上はしこりを残すことなく、和気藹々とやっているように見えた。
そして、縄文生活開始から、ちょうど三週間後。

紬「できた!できたわ!!」

律「へー上手いもんだな…」

さわ子「ウクレレみたいな形してるわね。」

紬は、木片や猪の骨、イラクサを組み合わせて、
ウクレレに似た楽器を二つ作り上げていた。



297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:38:03.84 ID:Di0Bqfhw0

紬「本当はもう一個つくりたかったんだけど、時間がね…」

唯「いいよいいよ!澪ちゃんとあずにゃんが使ってちょうだい。」

梓「いいんですか??」

唯「うん!私はボーカルだけでいくから。」

澪「なんかそれも悪いな…」

紬「あ…」

律「ムギ、どうした?」



298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:42:27.51 ID:Di0Bqfhw0

紬「完成はしたんだけど、イラクサを全部つかっちゃったの。
  イラクサで作るとすぐ弦が切れちゃうから、もう少し予備の弦が欲しいなって。」

唯「じゃあ、私がとってくるよ!」

紬「いいの?」

唯「うん。水場の近くに生えてたよね?
  今日は私がお水汲む係だし、そのついでに。」

紬「ありがとう、お願いするわ♪」



299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 06:44:05.88 ID:Di0Bqfhw0

―湧水のほとり―

唯「よいしょっと。」

唯「お水も汲んだし。イラクサもたくさんとったし!」

唯「…」

唯「あ、採りすぎちゃった…」



300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:03:38.00 ID:Di0Bqfhw0

唯「持てるかな…」

?「持ちますよ?」

唯「え、ありがとう!」

声のした方へ振り向く唯。

唯「!!」

唯「な、なんで…」

唯「なんで君がここにいる…の!?」



303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:12:25.29 ID:Di0Bqfhw0

その日、日没間近になっても唯は帰ってこなかった。

―竪穴住居―

律「おい!どうだ??見つかったか!?」

梓「どこにもいません…」

紬「唯ちゃん…」

澪「立ち寄りそうなところはあらかた探したんだが…」



306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:19:33.53 ID:Di0Bqfhw0

律「キレイな蝶を見つけて、で、追いかけて、
  そのまま迷子になったとか…?」

梓「ありそうだから怖いです…」

さわ子「まだ見つからないの?」

律「ああ…って、さわちゃんも探すの手伝えよ!
  緊急事態なんだぞ!?」

さわ子「ええ…」

さわ子(そろそろ来るかしらね。)



307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:25:53.68 ID:Di0Bqfhw0

そのときである。

紬「あ、あれ!!なに!?」

律「どうしたムギ!?」

紬「あっち!変な灯りが近づいてくるわ!!」

澪「炎…??」

澪「たいまつか!!」

さわ子(やっと来たようね。)

たいまつを持った何者かが、竪穴住居に近づいてくる。



308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:33:26.09 ID:Di0Bqfhw0

澪「近づいてくる!?」

律「斉藤さんか?」

紬「たいまつを使うわけがないし、そんな悪ふざけだって…」

紬「あ!」

紬「先生!何か知ってますね!?」

さわ子「ぜーんぜん。」

梓(知ってる目です…)



309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:40:20.06 ID:Di0Bqfhw0

そして、その人物は律たちから5mほど離れて歩みを止める。
律たちと非常に親しい人物であった。

律「あっ!!」

澪「えっ!?」

紬「なんでここにいるの…」

梓「それに…その格好…」

「「「「憂(ちゃん)!!!」」」」



310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:51:52.31 ID:Di0Bqfhw0

律たちの目前に現れたのは憂であった。
しかし奇妙なのはその格好である。

長袖の、白いローブのような服を着込み、その上から黒色の、
美しい光沢を放つ鎧を着込んでいる。おそらくは木製で漆を塗ったもの。
剣道の胴を厚手かつ縦に引き伸ばしたような形をしている
いわゆるブレストアーマーの一種か。
よく見れば表面に、凹凸上の幾何学文様が彫りこまれている。

腰にはいびつな形の、銅色にかがやく剣を二本、両腰に佩き、
背中には鎧と同じ色、光沢の縦長の盾を背負っている。
そして首からは、緑色のガラス管を糸にとおした首飾り。



312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 07:59:56.06 ID:Di0Bqfhw0

憂「みなさんをお迎えに上がりました。」

律「!!」ゾクッ

憂「唯のいるところまで…」

憂の声は底知れず冷たく、
その目からは何の感情も読み取れない。

梓「うい…」

梓の問いかけに対し、憂は何も答えない。



314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:11:03.03 ID:Di0Bqfhw0

憂「さあ、こちらへ。」

憂は、なおも促す。

律(なんかすげーやばい雰囲気だぞ…)

梓(でもついていかないことには…)

澪「憂ちゃん、唯はいったいどこにいるんだ?」

憂「…」

一瞬、間が空き、憂は答える。

憂「"わがきみ"の御許(おもと)にいます。」

澪「わが…きみ?」



317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:19:43.82 ID:Di0Bqfhw0

憂に先導される形で律たちは先に進む。

律「憂ちゃん、そこまでどんぐらいかかるんだ?」

憂は答えない。

律(すっごくやりづらい…)

澪「先生もついてくるんですね?」

さわ子「ま、私のことは気にしないように。」



318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:25:38.83 ID:Di0Bqfhw0

かなり歩いただろうか?一時間以上。
律たちは少し開けた、小高い丘のような場所に出た。

紬「あれ!あそこ!」

そこには何棟かの木製の住居らしきものがあった。
粗末な社(やしろ)とでもいったような形をしている。

梓「どっかで見たことがありますね…」

澪「高床式の建物だな。」

紬「弥生時代に現れたっていう?」

澪「ああ。」



320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:35:17.88 ID:Di0Bqfhw0

そして一行は高床式の住居群でも、一際大きいものの前に到着する。
中はかがり火でかなり明るく、何人かの人間がいるようだ。

憂「この中です。」

律「わかった…」

律「入るぞ。」

梓「ゴクリ」

澪(あ、鼠返し。)



321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:47:31.04 ID:Di0Bqfhw0

一同は階段をのぼり、中へと入っていく。

「久しぶりね、みんな。」

そこには、軽音部の面々となじみのある人間が、
"あぐら"をかいて座っていた。

紬「あっ!!」

律「聡!」

梓「純ちゃん!」

澪「そして…和、か。」

和「そういうこと。まあ気楽にして。」



322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 08:52:54.31 ID:Di0Bqfhw0

和が一番奥に座り、和の両側から二列、入り口に伸びるような形で
他の三人が座っている。
皆、憂と似たような白い服を着ているが武装はしていない。

和だけは、さらにもう一枚、ノースリーブの紫色の服を着込んでいる。
装飾も和のみ、憂たちと同じ首飾りに加え、ヒスイの勾玉の首飾りをかけ、
頭には、金色の、金銅製とおもわれる冠をかぶっている。

憂はそのまま和の斜め前あたりに着座する。
いつのまにか、表情はいつものニコニコ顔だ。



323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:02:55.47 ID:Di0Bqfhw0

律「で、唯、お前も…」

和の隣りには唯が正座で座っており、
木製の茶碗片手にご飯をかきこんでいる。おかずは焼き魚のみ。

唯「はぐはぐはぐはぐはぐ…」

梓(ゆいせんぱい…お米たべてる…)ゴクリ

唯「あっいらっしゃーい♪」

律「いらっしゃーい♪じゃないだろ!!」



325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:10:19.17 ID:Di0Bqfhw0

唯「イラクサが持てなくて困ってたらね、聡君が運ぶの手伝ってくれたんだ。」

聡「いやぁ…そんな!!手伝いのうちにも入りませんて…あはは////」

律「この愚弟が…」

聡「ねーちゃん、その格好すっごく似合ってるよ。
  ねーちゃんの野性味が出てるってゆーか…」

律「な・ん・だ・とぉーー!!?」



326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:16:44.17 ID:Di0Bqfhw0

和「まあまあ、二人とも。姉弟喧嘩は家に帰ってからにして。」

律「くっ…」

澪「それにしてもさっきの憂ちゃん、すごく怖かったぞ。」

憂「え、そ、そんなにですか?」アセアセ

和「少し脅しをかけとけっていったのよ、憂には。」

澪「脅し?」

澪「そうだ!なんで、和たちがここにいるんだ?」



328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:28:05.29 ID:Di0Bqfhw0

和「そうね。澪、私たちの格好と、この住処、
  今の憂の武装を見てどう思う?」

澪「すごく…弥生人の格好だよな?」

和「まあそうね、一部古墳時代のものも混ざっているけれど。」

和「あんたたちの縄文生活。」

和「その"ラスト"は、始まる前から決定済みなの。」

律「そうなのか、さわちゃん!?」

さわ子「イエス!」



329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:36:48.00 ID:Di0Bqfhw0

和「で、私たちは、条件付きで『弥生人』になることを承諾したの。」

澪「条件?」

和「うすうす感づいてる人もいるでしょうけど…」

和「簡単に言えば、『縄文人vs弥生人』よ。」

紬「縄文人と弥生人が戦うってこと?」

和「そういうこと。」



331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:45:30.78 ID:Di0Bqfhw0

和「今から三日後、太陽が南中した瞬間に、」

和「私たちはあんたらに襲い掛かるわ。」

律「は??」

和「さわ子先生、弥生時代の戦争で捕虜になった人間は
  どういう末路をたどったんでしょうか?」

さわ子「捕虜として返還されなきゃ、まあ、かなり酷い末路をたどった可能性が高いわね。
    魏志倭人伝だと中国皇帝に、生口と呼ばれる人間が献上されたそうだから…」

さわ子「生口=奴隷かどうかはわからないけれど、まあ、他の国に献上されるのと
    同レベルの扱いは受けたでしょうね。」



333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:51:38.92 ID:Di0Bqfhw0

和「そして、勝ったほうには勝者の権利が与えられる。」

その瞬間、律は聡が澪と唯に視線を送ったことに気付いた。
梓は、憂がとろん、とした目で唯を見ていることに気付いた。

和(唯たちが勝つほうが望ましいけれど、こちらが勝ったとしたら
  この子達の暴走は私が食い止めないと。)

和にはわざと敗れるという考えはない。
それは生徒会役員としてのプライドが許さないのだ。

また、そんなルールを設けないという考えも、さわ子の頭の中にはない。



334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 09:57:17.06 ID:Di0Bqfhw0

澪「ちょっと待て!お前ら金属製の武器持ってるだろ!?」

憂「銃刀法に引っかかるんで、刃はついてません。
  安心してください。」

澪「いやいやいや…」

さわ子「みんな!」



337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:02:05.71 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「私たちの先祖もまた、太古の昔から延々と続いてきた
    生活圏を求めての民族間闘争を生き抜いてきたのよ。」

さわ子「弥生人と縄文人を民族的人種的に区別することは
    あまり意味が無いと思うけど…」

さわ子「かつて…『土ぐも』や『まつろわぬひとびと』とされた集団が
    いたことも確か。」

さわ子「彼らの思いを身をもって知りなさい!」

律「いや意味わからんから!!」

和「ということで、三日後にまた会いましょう。」







純「私、一言もしゃべってない…」



338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:18:44.13 ID:Di0Bqfhw0

律「たく!」

梓「すっごく不安です…」

さわ子「あ、みんな。」

さわ子「一応安全を考えてね、矢や投槍みたいな飛び道具は全部
    これから用意するものと交換してもらうわ。」

律「はぁ…?」

さわ子「さきっぽが、朱肉と同じ塗料をしみこませた布を
    何十にも巻いたものになってて…」

さわ子「その塗料が付いた部分が負傷したとみなされるわ。
    死亡判断は、審判側がするけど。」

さわ子「斉藤さんたちの協力のもとね。」

紬「斉藤…」



341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:27:32.34 ID:Di0Bqfhw0

さわ子「白兵戦の勝ち負け判定も、審判に委ねられてるわ。」

さわ子「そして一度負ければ、復活はなし。」

唯「むずかしそう…」

唯「それにさ、憂が使ってたような武器や鎧を、
  あっちは持ってるんでしょ?」

唯「勝ち目無いじゃん。」

澪「まあ、そうだよなぁ…」



343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:32:10.01 ID:Di0Bqfhw0

梓「あの、例えばなんですけど…」

梓「今から何千年も前に縄文生活を送っていた人たちは
  鎧とか金属の武器もった人たちに、どうやって抵抗したんですかね?」

澪「抵抗したっていっても、すげなく殺されたか捕らえられるたかだろうな。」

律「いや。」

律「縄文生活をしていた人たちの中には、
  上手に抵抗した人たちもいたかもよ?」

紬「アテがあるの?」

律「○モン大先生は、文明の利器をもたずに大自然のなかで敵戦力と
  渡りあう方法についても書いておられるんだ。」



345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:40:34.20 ID:Di0Bqfhw0

唯「ほんとう!?」

澪「それはあの人だからこそできるんだろ…私たちじゃ…」

さわ子「あ、ブービートラップとかはだめよ?
    縄文時代の人が考え付くはずないでしょ?」

律「わかってるって!」

律「私たちは、今日まで、短い時間だけど、培った縄文生活の智恵が…」

律「たぶん…ある!」



346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:50:17.73 ID:Di0Bqfhw0

澪「多分じゃ意味ないだろ…」

律「とにかくだ!やってやれないことはない!
  今日明日で出来る限りの準備をするぞ!」

こうして残りの二日間は、万全を期するための準備に費やされたのだった。





三日後、縄文生活24日目

憂「太陽が南中しました。」

和「了解。」



349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 10:58:36.46 ID:Di0Bqfhw0

聡「和さん!はやくいきましょう!」

憂「聡君、和さん、じゃなくて『わがきみ』だよ!
 (聡君の下心は重々承知なんだから!)」

和「呼称なんてどうでもいいけれど…」

和「これより、"土ぐも"たちを討ちに行きます。
  各自装備の最終確認。」



350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:05:01.56 ID:Di0Bqfhw0

憂(お姉ちゃん…まっててね!)
  右手→青銅製七支刀
  左手→青銅製七支刀
  頭→なし
  胴体→木の鎧/弥生人の服
  足→わらじ 
  その他→唯の写真
      管玉の首飾り
      木製の大盾



351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:06:49.16 ID:Di0Bqfhw0

純(あの人を必ず倒す…)
  右手→なし
  左手→弥生人の弓
  頭→なし
  胴体→木の鎧/弥生人の服
  足→わらじ 
  その他→矢×10
      管玉の首飾り
      木製の大盾 
      青銅の小剣



352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:08:16.92 ID:Di0Bqfhw0

聡(勝者の権利!勝者の権利!勝者の権利!)
  右手→青銅の鉾
  左手→木製の大盾
  頭→なし
  胴体→木の鎧/弥生人の服
  足→わらじ 
  その他→管玉の首飾り



354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:10:59.23 ID:Di0Bqfhw0

和(この子たち…すさまじい欲望のオーラね…)
  右手→鉄剣
  左手→赤漆の大盾
  頭→金銅のかんむり
  胴体→赤漆の鎧/弥生人の服/紫衣
  足→わらじ 
  その他→管玉の首飾り
      ヒスイの勾玉
      眼鏡



356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:21:29.22 ID:Di0Bqfhw0

―竪穴住居―

和「当然ながら、いないわね。」

憂「竪穴式住居の中は空っぽです。土器も道具もありません。」

和「さて、これから探すのは骨が折れるわね。」

聡「遠くに逃げて、時間切れ狙ってるんじゃないすか?」

和「いえ、それはないわね。あの律が許すはず無いもの。」

和「無謀だけれど、勝ちをねらってくるわ。」



357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:26:57.26 ID:Di0Bqfhw0

和「二人ずつに分かれて、移動しましょう。
  この辺の半径5km内には、2箇所、飲用可能な水場があるらしいから
  それぞれのチームが、その水場の周辺を押さえる。」

和「あと、各チームごと、水筒と、食料を入れる携帯容器を忘れ…」

ヒュン!ヒュン!ヒュン!

突然和たちに矢が降り注ぐ。

聡「うおっ!?」



358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:34:23.79 ID:Di0Bqfhw0

憂「奇襲ですっ!和さん!」

和「落ち着いて!各自盾を構え十字に密集!」

和たち四人は、"+"の形をとるように互いの背をあわせると
大盾を構え矢に備える。

ヒュン!ヒュン!

和(矢は竪穴住居の背面からのみ向ってくる…)



359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 11:41:26.66 ID:Di0Bqfhw0

和(木陰に隠れているのは、律、澪、紬の三人だけ…
  唯と梓がいない…なんか企んでるわね)

和「全員盾構え!聡君と憂、竪穴住居の方向!背中合わせ!私と鈴木さんは逆方向!
  住居から遠ざかるわよ!」

二人ずつ背中合わせになる形で矢の攻撃から離れていく。

和「もう10m後退!木陰に退避!」

一方の縄文側

律「あいつら離れてくな…」

澪「木陰に逃げる気か…」

律「とにかくだ、あいつらをバラバラにして集団戦法を
  とらせないようにしないと…」



383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 18:51:44.56 ID:Di0Bqfhw0

和たちは、目指す木々の背後へ退避する。

和(さて、今度はまったく別の方向から矢が飛んでくるわよ。)

憂(さっきいたのは律さんたちだから…お姉ちゃんと梓ちゃんが?)

和(ええ。見え見えの陽動作戦だけれど…
  こちらも乗ってあげようじゃない。)

憂(大丈夫ですか?)

和(二人が決して離れず、突飛な行動を取らなければね。)



386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:00:10.92 ID:Di0Bqfhw0

和(それにこっちの弱点…)

和(人数が一人少ない、飛び道具を鈴木さんしか持って居ない。
  地の利に全く弱い。装備がやや重い。)

和(これを忘れない事。)

和(対して、あっちはゲリラ戦法をとってくるでしょう。)

和(あんたたち、絶対に惑わされちゃ駄目よ。)

憂純聡(はい!)



387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:05:35.96 ID:Di0Bqfhw0

聡(!)

聡(見っけ!)

聡(和さん、あっちに唯さんと梓さんが!)

和(了解。じゃあ打ち合わせ通り、二人組みに分かれるわ。)

和(私と鈴木さん、憂と聡君。)



388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:10:04.76 ID:Di0Bqfhw0

和(私たちは唯と梓を追いかけるから、憂たちは律たちのほうを。
  陽動に乗ったふりをしながら慎重にね。)

憂純聡(はい!)

和(それと、聡君、憂の言うことに従うこと、勝手な行動をとらないこと。
  いいわね?)

聡(任してください!!)

憂(大丈夫かな?すごく心配…)



390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:17:28.12 ID:Di0Bqfhw0

律「お、和たちが二手に分かれたな。」

紬「こっちには憂ちゃんと聡君がくるみたい。」

澪「よし!律、口笛信号頼む!」

律「おうよ!」

ピュイーピュイッピュピュ…



391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:21:51.60 ID:Di0Bqfhw0

和「ん?」

純「真鍋先輩?」

和「口笛?なんかの暗号ね…」

純「何のです?」

和「さあ…推測するだけ時間の無駄。唯と梓に向うわよ。」



393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:29:53.17 ID:Di0Bqfhw0

唯「あっ!これは…」

梓「『深き森の乙女たち』作戦始動の合図です!」

唯「そだね!じゃあ、私はムギちゃんと交換で、
  りっちゃんたちのほうに行くから…」

唯「あずにゃん、がんばろうね♪」ギュ

梓「はっ、はいっ…////」



394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:39:38.53 ID:Di0Bqfhw0

澪「ムギ、唯とチェンジだ!あっちに気取られないようにな。」

紬「わかったわ♪」

紬は律と澪から離れていく。

律「唯と合流したら例の地点まで誘い込んで…」

澪「ほ、ほんとうにやるのか?////」

律「ああ。お前と唯の演技力にかかってるぞ!」

澪「がんばってみる…////」



396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:45:34.01 ID:Di0Bqfhw0

梓聡組

ヒュンヒュン!

聡「うわっ!?」

憂「危ないよっ!上半身は前も後も鎧で守られてるけど下半身は…」

聡「大丈夫ッす。でも、憂さんも
  澪姉の弓裁きには気をつけたほうがいいっす。」

憂「弓道経験者なんだよね?」



397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:50:47.67 ID:Di0Bqfhw0

聡「そうーっす。高校入ってからはやってないみたいですけど…」

聡「中学の頃の澪姉の弓道着姿…すっごく凛々しかったっす/////」ニタア

憂「…」イラッ

憂「聡君、最近気になってたんだけどね?」

聡「はい?」

憂「なんで律さんたちと一緒にウチに遊びに来るの?」



398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 19:55:22.33 ID:Di0Bqfhw0

聡「え、いや、唯さんがいつでも来なよーっていってくれたから…////」

憂(お姉ちゃん、弟ほしがってたから…)

憂「チッ…」

聡「え?今舌打ちしませんでした??」

憂「気のせいだよ。それより、気をぬかないで!」



399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:05:01.95 ID:Di0Bqfhw0

和純組

純「真鍋先輩。」

和「何かしら?」

純「なんで、憂と聡君、先輩と私なんですか?」

和「ああ。それはね…」

和「…」

和「一番最適な選択だからよ。」

純「?」



401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:12:57.25 ID:Di0Bqfhw0

和(憂と聡君のペアも心配…
  けれど一番の不確定要素は鈴木さんなのよね。)

和「ん?」

純「どうしました?」

和「…紬?」

和「紬が加わってるわ…」

和「これは…」



403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:21:16.30 ID:Di0Bqfhw0

さらに紬と梓を追う和達

和「紬が加わっても、矢の攻撃の数は変わってない。」

和「唯の姿が見えなくなった…」

純「もしかしてハメられてますか?」

和「そうかもね。けれど、私達の作戦は単純明快。
  慎重に時間をかけて、ゆっくりと追い込むだけだから。」

和「猟犬のようにね。」



408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:28:54.61 ID:Di0Bqfhw0

唯律澪組

律「よし、このへんで私が足止めするから、
  お前らは所定の位置にいけ!」

澪「わ、わかった…////」

唯「おー♪」



憂聡組

ヒュン!

聡「ねーちゃんwww下手くそ!!!」プゲラ



409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:38:01.05 ID:Di0Bqfhw0

ヒュン!

憂「確かに。律さんには悪いけど。」

ヒュン!

憂(おねいちゃんと澪さんの姿が消えた…)

憂(…)



410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:45:27.93 ID:Di0Bqfhw0

聡「あっ!ねーちゃんが逃げますよ!」

憂(100パーセント、罠だね。どうしようか…)

聡「憂さん!ねーちゃんが!!」

憂「わかってる!今考え事してるの!!」

憂(行ってみるかな。もしもの時は…)

憂(聡君に囮になってもらえばいいよね?)

憂「聡君?この先は絶対何かの罠だから、警戒を怠らないようにね!」

聡「だーいじょうぶですって!!」



413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 20:52:52.91 ID:Di0Bqfhw0

憂い聡は歩みを進め、そして木漏れ日の差す、ほんの少し開けた場所に出る。
そこは、天然の花畑であった。
白、ピンク、赤、明るく色鮮やかな花たちが咲き乱れている。

そして、その一角には、かなりの大きさのある巨岩がそびえ―
唯と澪は、その巨岩の前に佇んでいた。

聡「!!!!」

憂「あ、あ、ああ…」



415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:03:17.15 ID:Di0Bqfhw0

唯はシロツメクサで作られた首飾りを二重にかけ、頭には、
桃色のキク科の花―コスモスに似ている―で編まれた花冠をつけ、
巨岩の前の花畑の中、仰向けで目を閉じている。両手は組んで、胸の上。

澪はアカツメクサ―桃色をしたシロツメクサの仲間―の首飾りをかけ、
唯の花冠とは色違い、白色の花冠をかぶり、巨岩にもたれかかっている。
手には、小さな弦楽器を持っている。紬が梓と澪に作ったものだ。

唯と澪へ向って、やさしく、そしてやわらかく、木漏れ日が差し込む。
聡と憂には、まるで、彼女達二人が、ニュンフかミューズかのように映る。

聡「澪ねえ…唯さん…/////」

憂「おねいちゃん…おねい…ちゃん…
  綺麗だよぉ…かわいいよぉ…////」



416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:13:55.31 ID:Di0Bqfhw0

憂も聡も、腑抜けた、何かに酔っているかのような表情。
フラフラと、唯達のほうへ近づいていく。

そのとき。

澪「♪~♪~」

澪は弦楽器を奏でながら歌い始める。
聞いた者にはわかるだろうけれど、"エンヤ(Enya)"の、
ゆったりとしたバラード。



417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:22:27.95 ID:Di0Bqfhw0

聡「き…れい…だ…////」

憂「あ、あうぅぅ…/////」

二人は唯たちから5mほどの距離をとって、唯達に魅入られたまま、
一歩も動けない。


律(案の定だ、やつら骨抜きになってる…www)

律(当分は釘付けにできるな。そのまま『森の乙女』を観察してろw)

律(さて、いざ…)

律(ムギたちのところへっ!!)



418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:27:03.81 ID:Di0Bqfhw0

和純組

和「あっちに竪穴住居が見えてきたわね…」

和「円周状に引き付けられて、戻ってきたってこと…」

純「これはいよいよ怪しいですね?」

和「ええ。」

ヒュン!

突然、和たちに向って、へっぴりな放射線を描いて、
矢が射掛けられる。



420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:37:24.61 ID:Di0Bqfhw0

紬(りっちゃんが来てくれたみたい。梓ちゃん、"ときのこえ"あげて…)

紬(一気に襲い掛かるわよ!!)

梓 (はい!!)


「「いやぁぁぁーーーーーー!!」」

和「来たわね…!敵から距離をとって!私を弓矢で援護!」

純「はい!」

紬は黒曜石の長槍を、梓はそれを小型にしたものを持って襲い掛かる。



421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:44:26.06 ID:Di0Bqfhw0

律「わたしもさんじょぉぉぉ!!!」

紬と同じ黒曜石の槍を手に、律も和たちに踊りかかる。

和「!?」

和「接近が早い!?鈴木さん!弓放棄!短剣と盾で迎え撃て!」

純「はい!」



422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 21:54:30.42 ID:Di0Bqfhw0

律「和はほっとけ!鈴木さんをまず狙え!」

紬梓「はい!」

純「ぐッ…」

純に対して律たち三人が殺到する。

和「今助けるわっ!」



423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 22:01:45.10 ID:Di0Bqfhw0

純「まけ…」

梓「!?」

純「負けてたまるかァァぁーーー!!!」

梓「きゃあーーっ!!」

純は盾を突き出して梓に体当たりする。
梓はバランスを崩し、地面に倒れてしまう。



424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 22:14:21.57 ID:Di0Bqfhw0

純「今こそ…活躍のときっ!!!」

律「なにぃっ!?」

純「そう…」

純「私は、けいおん!レギュラーメンバーとなり…」

純「秋山先輩や梓の人気を抜いてみせるっ!!」クワッ!!



425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 22:22:06.23 ID:Di0Bqfhw0

紬「ものすごいプレッシャーよ…!」

梓「いたた…それが…純が参加した理由!?」

梓はまだ起き上がれない。

純「そうだよ!全ては私の人気のためっ!!
  さあ、かかってきてっ!!」

純の小柄な体をうまく大盾が隠している。
そして、30cmほどの青銅製小剣を振るう。
一方、純に集中する攻撃を和が緩和する。



426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/11(木) 22:33:19.85 ID:Di0Bqfhw0

梓「純…結構強いです!!」

律「盾がやっかいだ!」

紬「囲い込んで盾が使えないようにしましょう!」

純「みんなの中で私だけがっ!戦う理由があるっ!!」

律「ちっちぇーくせに手ごわいなっ!」

和(ものすごい鈴木さんの猛攻だけれど…冷静さをもう失ってる)

和(逃走を考えておいたほうが無難ね…)



437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:11:42.95 ID:A0/gd2Y+0

梓(あれ?)

梓は気付く。
時々盾から純の足がはみ出ることがあるのだ。

梓「…」

梓は槍を下段にかまえ、純に足払いをかける。

梓「えい。」

純「あっ…」

トテ。
足を払われて、しりもちをつく純。



439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:16:19.90 ID:A0/gd2Y+0

和(ここまでね…この場を逃げ切ることを最優先にする!)

和は目前にいる紬に盾ごと突撃する。

和「はっ!」

紬「んっ!」

そして、唐突に盾を手放す。

紬「きゃっ…」

当然紬は、前方に倒れ落ちる。



440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:29:50.64 ID:A0/gd2Y+0

和「鈴木さんごめんねっ!!」ダッ

律「あっ和の奴逃げやがった!!」

和は盾を拾おうともせず、
すみやかにその場から離脱していく。

純「ころしてっ!!さあころして!!」

純は剣と盾を手放し、大の字に寝転がる。



442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:34:50.72 ID:A0/gd2Y+0

さわ子「あー戦意喪失かしら?」

律「さわちゃんいたのかよ!?」

純「でも…けいおん!レギュラーメンバーになる意欲は喪失してませんから!」

さわ子「はいはい。鈴木純、捕虜になったため失格、と。」

梓「純…」

純「梓、私を笑いに来た?」



443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:41:46.45 ID:A0/gd2Y+0

梓「ううん、違う。」

梓は純の片手を取る。

純「あずさ?」

純「純があきらめない限り絶対…」

梓「頑張れば…テーマソングもキャラグッズも出せるよ!」

梓「ねっ!」ニコッ

純「あずさ…」ウルッ

紬「ちょっと感動しちゃった…」ウルウル

律「そ、そうか…」



446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:50:34.89 ID:A0/gd2Y+0

そして律たちはさわ子に純を引き渡した。

梓「せんぱい!あそこに和さんが被ってた冠が落ちてます!」

律「お、ほんとだ!」

律は冠を拾い上げる。

律「すげー!ホンモノの金かよ!」

紬「金銅製よたぶん。五円玉と同じ材料ね。」

律「…」ポイッ



447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 00:56:15.63 ID:A0/gd2Y+0

梓「あっ、あっちには勾玉の首飾りです!」

律「どうゆーこった??」

紬「あそこにも!」

紬が指を指す。
その先には和の着けていた赤漆の鎧まで放置されている。

律「??この先には布の服まで落ちてるってことか?」



449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:03:28.23 ID:A0/gd2Y+0

和の身に着けていたものが一直線を描く形で、
数十m間隔に放棄されていたことになる。

紬「この鎧だけでも結構重いしかさばるから、身のこなしを優先して
  どこかに逃げたとか…」

律「まあ、その可能性が高いかもな。」

紬「盾と鎧は回収されないように、このまま持っていきましょう。」




律「よし、和のことは一先ず置いといて、トラップに引っかかってる
  聡と憂ちゃんに奇襲をかけるぞ!」

梓「はい!」

紬「うん!」

和(…)



451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:11:47.16 ID:A0/gd2Y+0

和は鎧の落ちていたすぐそば、腰ほどの高さの
草が生い茂る場所に身を潜めていた。

和(私には感づいていないみたいね。)

和(…)

和(律たちをこっそり追っていけば…)



452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:15:28.97 ID:A0/gd2Y+0

一方。

澪「♪~」ゴホッ

唯「♪~♪~」

澪に加えて、唯も弦楽器を手に取り、ともにうたっている。
憂と聡は、唯達のすぐ目の前、体育座りをしながら二人の演奏に聞き入っている、
というかすっかり骨抜きにされてしまっている。

聡「/////」ポー

憂「オネイ…チャン…////」



453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:21:16.03 ID:A0/gd2Y+0

澪(ちょっと喉が辛くなってきたな…)

唯「♪~♪~」

唯「!」

唯が何かに気付く。

唯「みおちゃん!りっちゃんたちがきたよぉー!」

澪「本当か!?」

憂「あっ!?」

澪「唯っ迂闊だぞ!憂ちゃんが正気に戻ったみたいだ!」



455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:26:12.98 ID:A0/gd2Y+0

唯「えっ?えっ??」

憂「こんなお馬鹿な手に引っかかるなんて…デモオネイチャンカワイイ////」

憂「ハッ…いけないいけないっ!!」

聡「/////」ポー

憂「聡君正気に戻ってっ!」

バシイッ!バシッバシッ!
憂は聡の頬を数回強くひっぱたく。



456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:30:55.80 ID:A0/gd2Y+0

聡「い、いたひ…」

憂「武器をもって立ち上がって!
  すぐに退却するよ!」

聡「!!?」

澪「唯、"ヤス"を取れ!」

唯「らじゃーっ!」

澪が巨岩の隙間から何かを取り出し唯に投げ渡す。
唯愛用のヤスだ。続いて澪も黒曜石製の長槍を取り上げる。



457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:35:57.46 ID:A0/gd2Y+0

聡「おわっ!?」

次の瞬間には、澪と唯の武器は聡の首筋を捕らえていた。

聡「あっ…」

さわ子「はーい。実戦だったら頚動脈切断されてるわ。
    聡君、戦死。」

唯「さわちゃん!?」

さわ子「私のことは気にしないでねー」



459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:42:18.94 ID:A0/gd2Y+0

憂「クッ…役立たず!!」

聡「えっオレっすか!?オレのことっすか!!
  憂さんだってさっきまで…」

憂「うるさいよっ///」

憂「先生!?死者の武器をとっても大丈夫ですか!?」

さわ子「ええ、いいわよぉ。」

憂は聡の右手から銅鉾を奪い取る。

聡「あっ…」



460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:51:42.94 ID:A0/gd2Y+0

右手に銅鉾、左手に七支刀をもって唯たちから距離をとる。
更に背中にはあの大盾を背負っている。

律「みおー!ゆいーー!!」

梓「到着です!」

紬(唯ちゃんと澪ちゃん妖精さんみたい////)ハァハァ

憂「ふふ…ウフフ、律さんたちまできたってことは
  和さんもやられたようですね?」



461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 01:58:04.78 ID:A0/gd2Y+0

律「ああ!和は私らが倒した!」

梓「えっなムググ」

紬は梓の口を片手で封じる。

憂「?」

憂「まあいいです。」

憂「そうだよね、白兵戦では長い武器のほうが有利だし。
  律さんたちは長槍、おねいちゃんが銛(もり)か…」

律「よし、澪と梓は弓をとれっ!!」

憂「そうはいきません。」



462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:01:43.14 ID:A0/gd2Y+0

憂はとっさに駆け出し…

梓との間合いを詰める。

梓「えっ…」

ほんの一瞬の後には
梓の両首筋には左右から銅鉾と七支刀が突きつけられていた。

さわ子「はい、あずさちゃん死亡。」



464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:06:52.38 ID:A0/gd2Y+0

梓「そんな、あっさり…」

憂「梓ちゃんたちも迂闊に近づきすぎだったよ?」クスッ

憂「さて、次いきます。」

律「かっ囲め!!」

澪以外の三人が憂に襲い掛かる。



465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:11:05.54 ID:A0/gd2Y+0

憂は銅鉾を薙いで律と唯を後方に退散させ、
七支刀の枝の一つで紬の槍を受け止める。

律「あっぶねえええ!」

唯「憂本気だ…」

紬「憂ちゃん!?」

憂「七支刀は単なる祭具ってわけでもないみたいですよ。防御に向いた、
  たくさん枝のある十手(じって)みたいな。」



466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:16:45.27 ID:A0/gd2Y+0

憂はそのまま、黒曜石と木棒を連結している部分で力を込める。

パキッ!

黒曜石の部分は根元から折れる。

紬「あっ…」

憂「それでもう、ただの棒です。」



467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:18:56.61 ID:A0/gd2Y+0

律「みお、何してるんだ!?早く射掛けろ!」

澪「あ、ああ!!」

憂は七支刀を腰帯に差し込むと、すばやく背中から大盾を抜き取り、
左手に構える。

ヒュン!

澪の矢は正確に憂を捕らえてたが、大盾に弾かれ落ちる。



469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:24:53.30 ID:A0/gd2Y+0

澪「失敗かっ!?」

律「澪っ!お前がもっと早く…!!」


和「みお、ごめん。」

澪「え?」

後方から和の声が聞こえ、澪は背中に硬い物が物体の感触を覚える。
和の鉄剣が澪の背中に押し当てられていた。



471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:29:33.00 ID:A0/gd2Y+0

さわ子「はい澪ちゃん、背面から切りつけられ脊椎損傷。
    戦闘不能、よって失格。」

澪「ひ、ひきょうな…」

和「お互い様よ。」

憂「和さん!?失格になったんじゃ!?」

和「それはあんたが欺かれてたの…」

憂「////」カァッ



472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:34:18.36 ID:A0/gd2Y+0

澪「まさか、和が…私までだまされたぞ!!」

律「ahahaha!!」

澪「ごまかすなっ!」

和「さてと。」

和は唯の前に出る。

和「律たちの話に聞き耳立ててたけど、
  さしずめ森のセイレーンってとこね。やるじゃないの唯。」

唯「和ちゃんも近所のオバちゃんワンピース着てるみたいだよ!」



473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:41:40.61 ID:A0/gd2Y+0

和「はぁー…あんたの感覚にはいつも脱帽させられるわ。」

和「いくわよ。」

唯「うん!」



律「いいのか憂ちゃん、和といっしょに唯を叩かなくて?」

憂「私がおねいちゃんに二対一で向っていくような、
  そんな真似ができると思いますか?」



474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 02:44:54.48 ID:A0/gd2Y+0

憂「律さんと紬さんはどうぞご自由に♪」ニコッ

律「さーすが憂ちゃん、うちの愚弟にも爪の垢せんじて
  飲ましてやりたいよ。」

律「じゃ、遠慮なくっ!!」

紬「いくわっ!!」



476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:05:47.72 ID:A0/gd2Y+0

聡「いやー皆さんよくやるよなー。」

澪「おい聡、お前の、さっきのアレはいったいなんなんだ?」

聡「え、いや、あは、あははっは!!/////」

梓「決着はどうなるんでしょうか?」

さわ子「勝負はいつもほんの一瞬よ。どんなに強い人間であっても、
    必ず常勝とは限らないわ。まして凡人なら、ね。」

純「憂は間違いなく魔人ですね…」



477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:07:44.01 ID:A0/gd2Y+0

そう、勝負は一瞬。

和「くっ…」

唯「ぬぅ…」

さわ子「きわどいけれど、唯ちゃんの勝ちね。」

唯「やったーーー!!」

和「ふふ、負けたわ。」ニコ



478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:10:32.44 ID:A0/gd2Y+0

律「憂ちゃんどうする?和が負けたぞ?」

紬「さぁ…」

憂「私一人でも、勝てる自身はありますけど…」

憂「"わがきみ"が敗れたので降伏します。」

紬「えっ、いいの?」



481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:15:15.57 ID:A0/gd2Y+0

憂「いいんです♪王手をかけられれば、
  竜王が残っていても意味ないでしょう?」ニコッ

唯「じゃあ私達の勝ちだね!」

和「そういうことよ。」

律「よしっ!」

紬「もうちょっと活躍したかったな♪」



482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:17:46.85 ID:A0/gd2Y+0

―そして、勝者の権利が執行される―

和「さ、あんたたちは、わたしたちに何を望むの?」

紬「せいどれムグッ」

律「ムギのことは気にしなくていいから。
  唯、お前に任せる。」

紬「ムグムグ…」

澪「私も唯に任せる。こっちは途中退場だしな。」

梓「わ、わたしも…」



485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:26:16.45 ID:A0/gd2Y+0

唯「じゃあ、和ちゃんたち…」

和「…」

唯「残った一週間を私達と一緒に…」

唯「『じょうもんせいかつ』楽しもう♪」

和「ふ、あははは!唯らしいわね。ええ、従います。」

唯「よーしきまりっ!」



486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:29:27.96 ID:A0/gd2Y+0

さわ子「決まったところで、今日は熟成させといた
    イノシシを食べましょうか。」

和「それは、楽しみですね♪」

梓「わ、わたしは遠慮します…」

唯「そうだ♪ムギちゃんが楽器作ってくれたんだよ!」

憂「さっき弾いてた奴だよね?」

唯「うん!」



489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:38:18.01 ID:A0/gd2Y+0

紬「太鼓や木琴みたいなのも作ってあるから、
  今日は私達の演奏を聴いてね。」

憂「楽しみです!ね、純ちゃん!」

純「うん!(こ、これは、わたしもレギュラーメンバー入りってこと!?)」








聡「…」ソローリ

律「おい、聡。」

律「どこ行く気だ?」

聡「ちょ、ちょっとトイレ…」



490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:40:28.65 ID:A0/gd2Y+0

律「言っておくが、お前への勝者の権利は
  姉であるこの私が譲ってもらった。」

澪「聡可哀想に…」

聡「い、いったい、なにがはじまるんでしょうか???」アセッ

律「…」ニタア

聡「澪姉ぇっ!!た、たすけ…」

澪「お前の死に水はとってやるからな…」


いやぁぁっぁぁぁっぁぁ-----------!!!!!



491 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:42:29.25 ID:A0/gd2Y+0

そして数ヵ月後、軽音部部室

唯「みんな、来たよー!」

律「ちーっす!」

紬「いま、紅茶入れるわね?」

澪「…」

梓「…」ドヨーン

唯「澪ちゃん、あずにゃん、どうしたの?」

澪「この雑誌、見てくれ…」

律「何々…」



492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:56:39.01 ID:A0/gd2Y+0

『戦国時代に自衛隊がタイムスリップするなら…
 女子高生が縄文時代に居たっていいじゃない!
 熱血美人教師監修による実録ドキュメント―』

『じょうもんせいかつ!』

『Now On Sale!!』

唯「えっ、えっ!?」

律「ちょっくら職員室まで行ってくるか、なあ?」

澪「…」

梓「…」

黙って立ち上がる澪と梓。

紬「熱血美人教師ってだれかしら?」

おしまい!!



493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:58:25.53 ID:A0/gd2Y+0

後半ぐだぐだですいませんでした。
保守支援ありがとうございました。
では、おやすみなさい




494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 03:59:11.93 ID:EF/Rq4pzO

乙!!
楽しませてもらいました



495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:04:18.01 ID:PKXP1Fwy0

乙! 面白かったよ



496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:04:56.64 ID:NXFK1YaTO

乙!



497 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:06:57.40 ID:V/IJVpNjO

乙!



498 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:09:47.49 ID:YOdVoMYoO

超乙!!



499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:10:38.65 ID:x0ufgn4qO

おつ



500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 04:41:25.11 ID:XnzeAExoO


二期は純ちゃんの出番にも期待してる。




505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 09:51:13.42 ID:N9C9tTjvO

乙!
面白かった



506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 10:22:03.49 ID:Ue1q3KHEO


目の前で解体するのはどうかとw





510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:13:54.49 ID:A0/gd2Y+0

追加 >>489の同日

グツグツグツ…

和「そう、そんなことがあったの…」

律「私がもっと早く気付いてればよかったんだけど…」

和「無神経、という評価しかできませんね、先生。」

さわ子「ごめんなさい…」

梓「せんせい、もういいですから…」



511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:23:09.87 ID:A0/gd2Y+0

さわ子「あずさちゃんごめんねっ!!」ギュギュ

梓「…」

梓「離してください。」

さわ子「ごめん。」

律「あずさ抱きしめは唯の特権だしな。」

人間イス(律がすわっている)「ゴクリ…」

律「椅子がつばを飲み込むな。」

人間イス(ねーちゃん後で覚えてろ…)



512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:28:11.54 ID:A0/gd2Y+0

さわ子「りっちゃんたちが持ってきたときには、わかってたんだけど、」

さわ子「ショック的教育効果に期待しようと…」

和「安易過ぎですね。」

澪「浅はかです。梓の傷は計り知れないんですから!」

さわ子「ごめんなさい…」

梓「…」



513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:36:49.94 ID:A0/gd2Y+0

和「もう少し言わせてもらえば、最近よく耳にする…」

和「エコテロリストに非常に似た思考だと思いますよ。」

唯「エコエコアザラク??」

和「エコテロリスト。捕鯨反対、動物虐待反対ということを掲げて、」

和「この理想を実現するために
  テロリストまがいの手を使う人たちのことよ。」



514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:40:19.87 ID:A0/gd2Y+0

律「その人たちは動物を大切にして、命奪わないようにってんだろ?
  さわちゃんとぜんぜんちがうじゃん。」

和「そうね…強いてまとめれば、二点。」

和「一つは結果を重んじるあまり、手段に無関心なとこ。
  エコテロリストなんかは裁判官の判決の執行と同じように
  自分たちの使う手段を考えているような気さえするわ。」

さわ子「…」



516 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:46:12.20 ID:A0/gd2Y+0

和「もう一つは、精神的基盤や行動方針といったものを作り出していく方法、
  つまり考えを進めていく方法。」

和「"生命を大切に"という信念は大切なことだけど、」

和「この信念から、さらに様々な基盤や方針を作り出していく途中で
  歪みや不自然さが作り出されていくと思うの。」

和「幅広い考えや知恵を考えてもみないで、自分の考えだけを磨きあげる。
  ようするに、理論や信条にとらわれ過ぎて…」

和「常識、コモンセンスを軽視してるのよ。」



518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:53:36.07 ID:A0/gd2Y+0

唯「???????」???????

憂「おねいちゃん、あとで解説してあげるね♪」

唯「うん、お願い!」

さわ子「教師として失格の炊印を押されたようなもんね…」シュン

和「あずさの何分の一かぐらいのトラウマにしかなりませんよ。」

和「あとは、先生と梓のことなので、これくらいにしておきます。」

さわ子「ほんとうに、ごめんね、あずさちゃん…」

梓「本当にもう大丈夫ですから…」

和(あとは時間と本人達の係わり合い方次第かしら。)



519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:55:31.22 ID:A0/gd2Y+0

軽音部のみなさん、SSよんでくれた人、すみませんでした…
今度こそ、失礼します。




520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 12:57:58.54 ID:HJ+s36En0





522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/12(金) 14:20:16.55 ID:2nMk1yfDO

乙!
面白かった!






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唯「じょうもんせいかつ!」#後編
[ 2011/09/09 21:35 ] 非日常系 | | CM(1)

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タイトル:
NO:4167 [ 2011/10/23 19:26 ] [ 編集 ]

さわちゃんはなんも間違ってないよ
梓や澪は一切殺生をしないで生きてるの?
動物や植物の命をもらって生きてんだろ
「いただきます」はそういうこと
それに、見たくないなら見なくていいとまで言われてる
「ころす」という大半の人が嫌がる行為を代わりにやってくれてるうえに、見なくてもいいと逃げることまで許してくれてる
正直、自分だけはなにも知らない綺麗な状態でいたいと思ってるようにしか感じない
目を逸らすという最低な行為をしているようにしか思えない

マジになっちゃってごめん
でも、小さい時からいろんな場面で命について考えさせられてきたから、自分は殺生に無関係みたいな思考は許せないんだ
人間誰でも命をいただいて生きてるんだから、りっちゃんみたいに感謝の気持ちを忘れないことが大切だと思うんだ

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