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澪「どりーむ!」 【ミステリィ】



1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:16:04.23 ID:DyshpUBJ0

代行




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[感謝]:2011/01/05(水) 01:17:23.37 ID:PY5IcWviP

秋山澪は 今年で高校三年生になる

桜ケ丘高校に入学して二年間 色々な事を経験した

幼馴染に誘われ軽音部に入り

親しい友人が増え

演奏したり 喋ったり

泣いたり 笑ったり 怒ったり

充実した学園生活だったが それも今年で最後だ

あと一年もある といえば勿論その通りだし

このまま卒業しても きっと悔いを残さず 良い思い出として未来への糧にできるだろう

だがしかし

諦め半分 夢見ていることがある

親友 田井中律

澪は律とは正反対 引っ込み思案な性格なので

行動力とリーダーシップ溢れる彼女のように 秋山澪はなりたかった





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:20:50.40 ID:PY5IcWviP

進学後 今まで通り会えるかわからない

ひょっとしたら 彼女と会えるのは今年が最後になるかもしれない

だから今のうちに 田井中律の生き様を

この眼に

いや

この身体に

いや

この心に 刻み込んで


田井中律のように なりたい


いやいや  それだけじゃあない

一度 彼女そのものとして生きてみたい



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:22:06.77 ID:PY5IcWviP

そんなの無茶だ

だから澪は あくまで夢とした

空を飛べたらいいなぁ 程度の夢だ



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:24:00.52 ID:PY5IcWviP

春の夕暮れ

部活帰りにそんなことで頭をいっぱいにしていると

ドン と

誰かにぶつかってしまった

申し訳ない 謝らなければ 怖い人だったらどうしよう   

おそるおそる顔を除くと

それは 奇妙な雰囲気を持つ老紳士だった

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!考え事してて・・・」

「いえいえ、お気になさらず」

温厚な人間なようだ

対人恐怖症な澪でも 不思議と向き合えた

が どうも怪しい



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:27:08.30 ID:PY5IcWviP


そう思ったところに 老紳士は続けた

「夢に想いを馳せるのは素晴らしいことです」

「え?」

「それが叶えば もっと素晴らしい・・」

一瞬訳がわからなかった

でも 間違い無い  

この眼は

心を見透かしている

「わ、私の考えてる事が・・夢がわかるんですか!?」

「はい。憧れの親友のように もとい 親友になってみたい  と」

本物だ

超能力者か霊能者か

何にしても スゴい人だ



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:29:30.08 ID:PY5IcWviP

「どんな夢でも実現させる為にあります。私がお手伝いして差し上げましょう」

「ど・・どうやって・・・」

「至極簡単です この枕で寝るだけですから」

何処からともなく取り出された綺麗な枕

一見何の変哲も無い

「この枕で眠れば好きな夢が見れます。それは 好きな体験が出来るということです」

「好きな夢が・・・」

微妙に夢の意味が違う気もするが 確かに何でも叶いそうだ


「やりたいことを念じて眠る それだけでいいのです」

「スゴイ・・まさに夢みたいな道具ですね・・・!」

「お好きなようにお使いくださいませ」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:32:13.71 ID:PY5IcWviP

「あ でも私 今お小遣いが・・・」

それを聞くと

老紳士はにっこりとほほ笑んで

「お金は要りません。何でもいいので 対価としたいモノをください」

よくわからないことを言った

申し訳ないので

とりあえずお菓子からピックまで あげられるものは全部渡す

「夢は あなたが夢を叶え終えたり 満足したらすぐに覚めます」

「人間 どんな夢を見ても 起きてみたら数十分と経っていなかったりするものです」

「夢はどんな長さでも あなたの起きる時間は変わりませんのでご安心を」

説明を終えると 老紳士は大満足で帰って行った



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:35:56.96 ID:PY5IcWviP

―――――――――――

その日の夜

澪は夢枕の置かれたベッドで 静かに眼を閉じた


「もしも 律になれたら・・・」

脳内をその願いで埋め尽くし 

睡魔に身を任せる

願いだらけの意識も 段々と遠のいていく

段々と

段々と


・・・・

・・・

・・



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:36:47.74 ID:PY5IcWviP




「他人になる」という夢は 叶えた時点で 他人の物になる 




昼休み

自分で作った弁当に下鼓を打ち 親友に向かって自慢する

「見ろよ澪!今日は結構自信作なんですわよ!」

「はいはい・・」

そっけない親友の返事も慣れたものだ

澪はなんだかんだで話を聞き逃さないし 良く思ってくれている

スゴイ 良い奴だ

「その座り方 いい加減直した方がいいぞ」

が 少し口うるさいのが珠に傷

いや

勿論悪意は無いんだろうけど



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:37:43.21 ID:PY5IcWviP

因みに座り方は何度注意されたところで直すつもりは無い

ドラマーの姿勢が一番落ち着くし

きちん とした澪のような座り方してるとまったく集中できなくなる

人生は型に嵌めてるだけじゃダメだ

ルールを作った人間と 守る人間は違う

どう頑張っても噛み合わない時だってあるんだ

無理するくらいなら 自由に生きよう

それが田井中律の精神である



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:40:02.36 ID:PY5IcWviP

彼女はそうして生きてきた

彼女はそう考えて生きてきた

でも 足りない物もある 欲しい物もある

琴吹紬

彼女のような 野に咲く花のような優雅さが

田井中律は羨ましかった


琴吹紬になってみたい


そんなの無茶だ

だから律は あくまで夢とした

空を飛べたらいいなぁ 程度の夢だ



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:41:23.74 ID:PY5IcWviP

夏の夕暮れ

部活帰りにそんなことで頭をいっぱいにしていると

ドン と

誰かにぶつかってしまった

顔を除くと

それは 奇妙な老紳士だった


律が夢を語ると 枕をくれた

好きな体験ができる枕らしい



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:44:23.24 ID:PY5IcWviP

―――――――――――

その日の夜


「もしもムギになれたら・・・」

その言葉を何度も頭に浮かべながら

睡魔に身を任せる

願いだらけの意識も 段々と遠のいていく

段々と

段々と


・・・・

・・・

・・



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:45:41.82 ID:PY5IcWviP




「他人になる」という夢は 叶えた時点で 他人の物になる 




朝の通学路

「おっす ムギー!」

「おはようりっちゃん」

部員であり友人の 秋山澪と田井中律に出会う

二人はいつも仲が良い

性格はまるで正反対だが 上手い事 歯車のように噛み合っているのだろう

謙虚と活発

どちらも良いことだし 周りにもいい影響を与えている

これからもこの関係でやっていけるだろう 素敵なことだ



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:47:38.37 ID:PY5IcWviP

でも 一つ言えることはある

人生で大切なのは きっと余裕と安心だ

危険な生物も柵の中なら怖くない

動物園を見て回るように 人生も 適切な距離で対処していけばいいのだ

平坦な道こそ 人は余裕を持って歩ける

澪のように離れ過ぎても 律のように近付き過ぎても

余裕や安心は失せてしまう

仲が良いのは結構なことだが

余裕を持つことを意識してもいいんじゃないか

家の資産がどうとかは関係無い

距離を保ち 自分が余裕を持てるかだ


それが琴吹紬の精神である



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:48:53.58 ID:PY5IcWviP

彼女はそうして生きてきた

彼女はそう考えて生きてきた

でも 足りない物もある 欲しい物もある

中野梓

彼女のような 思い切って甘えることができる 幼さ

琴吹紬は羨ましかった


中野梓になってみたい


そんなの無茶だ

だから紬は あくまで夢とした

空を飛べたらいいなぁ 程度の夢だ



秋の夕暮れ


部活帰りに遭遇した老紳士に枕を貰い

意気揚々と帰宅していった



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:50:49.49 ID:PY5IcWviP

―――――――――――

その日の夜


「もしも梓ちゃんになれたら・・・」

願いながら 睡魔に身を任せる

意識は段々と遠のいていく

段々と

段々と


・・・・

・・・

・・



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:52:25.84 ID:PY5IcWviP



「他人になる」という夢は 叶えた時点で 他人の物になる 



教室 休み時間

平沢憂と鈴木純は 何時の間にやら親友だ

クラスが同じなだけで部活はバラバラだけれど 同級生の中では最も気が合う

「どう、最近の部活は?」

「変わらない 全然練習しないよ」

憂が尋ねたいつも通りの質問に いつも通りの返答

もはや お互い解っている

軽音部は文化系特権の緩い空気を堪能し 長い練習とは無縁なのだ

そういう部活は少なくない

「でも梓 なんだかんだで馴染んでるよね」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:58:43.94 ID:PY5IcWviP

「ど、どこが・・」

「練習してー って叫ぶ割には いつも唯先輩達にべったりじゃん」

純は冗談交じりに言うが 中々的を射ている

中野梓は 甘えん坊

彼女は幼く 未熟で矮小だ

勿論面と向かって言われるのはあまり気分の良いものではないし

小学生 などと言われるのは恥ずかしい

でも 誰かに包まれているのは気持ちいいし 幸せだ

特に先輩の平沢唯は そんな気持ちを刺激する

人間 赤ん坊のように 甘える時間が幸福だ

恥や強がりも程々に

所詮 人は1人では生きていけない

それが中野梓の精神である



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 01:59:58.55 ID:PY5IcWviP

彼女はそうして生きてきた

彼女はそう考えて生きてきた

でも 足りない物もある 欲しい物もある

平沢唯

彼女のような 優しさ純粋さ

中野梓は羨ましかった


平沢唯になってみたい


そんなの無茶だ

だから梓は あくまで夢とした

空を飛べたらいいなぁ 程度の夢だ



冬の夕暮れ


部活帰りに遭遇した老紳士に枕を貰った



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:00:50.71 ID:PY5IcWviP

―――――――――――

その日の夜


「もしも唯先輩になれたら・・・」

願いながら 睡魔に身を任せる

意識は段々と遠のいていく

段々と

段々と


・・・・

・・・

・・



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:02:21.96 ID:PY5IcWviP




「他人になる」という夢は 叶えた時点で 他人の物になる 



放課後

テーブルを囲む軽音部員は 「なりたい人」について語っていた

「律のように活発に・・・」 「ムギみたく優雅に・・」

唯は不思議でたまらない

そんな必要が何処にある  夢を見る必要が 何処にある

澪は謙虚だから良い

律は元気だから良い

紬は御淑やかだから良い

梓は幼いから良い

そんな夢 見るな



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:03:25.35 ID:PY5IcWviP

「だから 今のままが一番良いんだよ!」

屈託の無い笑顔で 大声で叫んだ

実に気分が良い 

満足だ












夢が覚めた



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:04:38.25 ID:PY5IcWviP

中野梓はベッドで眼を覚ます


嗚呼 そうか


こんな夢 全く持って必要無い

唯に憧れていてもしょうがない

自分は自分で良いんだ

実に気分が良い

満足だ






夢が覚めた



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:06:02.52 ID:PY5IcWviP

琴吹紬はベッドで眼を覚ます



嗚呼 そうか


こんな夢 全くもって必要無い

自分は自分で良いんだ

実に気分が良い

満足だ






夢が覚めた



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:07:48.08 ID:PY5IcWviP

田井中律はベッドで眼を覚ます



嗚呼 そうか


こんな夢 全くもって必要無い

実に気分が良い

満足だ






夢が覚めた



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:09:24.69 ID:PY5IcWviP

秋山澪はベッドで眼を覚ました

しばらくぼぉっとして

重なった紙コップのような 奇妙な夢を思い返す


嗚呼 そうか


どうやら 

この夢のようなアイテムは些か性能が良過ぎるようだ

自分が「律」になったら 「澪」という自我が消える

文字通りのことを実行してくれたが これでは「澪」の好きな時に起きれない

虫にでもなったら最悪だ

この短所の存在を 老紳士はわかっていたのかいないのか


それでもしかし 得るものはあった

皆の心が感じ取れた



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:10:22.95 ID:PY5IcWviP

律は律  自分は自分だ

秋山澪だ

秋山澪と一生付き合っていけばいい

こんなに清々しい気分は初めてかもしれない

明日 唯にお礼の一言でも言っておくか 

おやすみなさい


















夢が覚めた



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:13:37.13 ID:PY5IcWviP

男は眼を覚ます

最初に見えたのは くたびれたコンクリート

寒い

身を裂くような寒さだ

背中が痛い

砂利だ

外か



橋だ 



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:15:13.62 ID:PY5IcWviP

橋の下で寝ているんだ

身体が硬い 鈍い 痛い

ボロ布をどけて腕を見ると しわくちゃの枯れ木のようだった


嗚呼 そうか


薄汚い乞食の老人は 悟った
















夢は覚めない

終わり




38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:29:11.87 ID:c41uzqUqP

なんだ夢見てたのは将来の俺らか





39 名前: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:40:23.55 ID:aLZhkQkcP

乞食の老人はおれらか



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/05(水) 02:47:27.19 ID:WO9l9kwb0

乙、短いながら引き込まれた

後、興味があったら、ここを覗いていただきたい
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294152230/





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澪「どりーむ!」
[ 2011/01/05 13:06 ] ミステリィ | | CM(0)

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