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律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」#3 【クロス】


ニュー速VIP避難所(クリエイター) より

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276934441/

律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」#index




256 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:32:20.23 ID:cyOtWsAO

抱き締めた。
抱き締められた。
ギター越しだがそんなの無視して無理矢理抱きしめる。

りっちゃん「唯……」

唯「りっちゃん……」

唯も憑き物が落ちた様に穏やかになっていた。

りっちゃん「ギー太は……もう、いないんだな」

唯「なんで……?」

そう言うと律は少し離れ、唯の持っているギターの白い部分からペリッと何かを剥ぎ取った。

りっちゃん「へへっ。また剥ぎ取ってやった」

唯「……そっか。いないんだ……ギー太」

そう、このギブソンレスポールはあの時持っていたギー太ではない。
何故なら、もしあの時のギー太ならついているわけがないのだ。
このシールフィルターが。

私が、はずしたのだから。





257 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:41:59.42 ID:cyOtWsAO

針が刺さり込みシールフィルターにシワが出来てそれが貼られたままなのがわかったのだ。

りっちゃん「唯。一緒に……他の道を探そう?」

唯「……っうん」

泣きながら、必死に頷く唯。

律はまた優しく唯を抱き締めた。
唯もそれを受け止め、律の肩に涙の跡を残し続ける。

唯「ごめんねぇ……ごめ゛ん゛ねぇ……」

自分が律に刻み込んだ傷を見て更に罪悪感にうちひしがれ、泣いた。

それを頭を撫でることで宥める律。

過ぎた時間の中で、
別々の刻を過ごして来た二人がようやく重なった。
あの頃の様に



258 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:53:07.25 ID:cyOtWsAO

──────

りっちゃん「へぇ、上手いもんだな」

唯「私だってこれぐらい出来るもんっ! まあ憂に教えてもらったんだけどね…」

律に包帯を巻きながら唯は悲しげに瞳を伏せる。

唯「りっちゃん……痛くない?」

りっちゃん「物凄く痛いッ!」

唯「はわわっ」

りっちゃん「でもそんなことより唯とわかり合えたことが嬉しい」ニコ

唯「りっちゃん……」

りっちゃん「憂ちゃんも心配してたぞ? あんないい妹に心配かけるなよ」

唯「うん…。」

りっちゃん「唯、お前は自分の意思で澪について行ったんじゃないのか?」



259 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:00:00.60 ID:cyOtWsAO

唯「ううん。勿論自分の意思だよ。だけど詳しいこと聞いたら怖くなって……
  やっぱりやめようって何回も澪ちゃんに言ったけど……」

りっちゃん「澪……」

唯「私達だけじゃ世界を相手にするなんて出来ないから……そんな時ある人達に出会ったの。
  それから澪ちゃんはもっと変わっちゃってって…私も変わらなきゃ、変わらなきゃって思ってたけど…」

りっちゃん「唯……」

唯「そんな私にあのがこのギターをくれたの。もう一度弾いてくださいって……」

りっちゃん「そいつが……」ギリッ



260 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:09:06.46 ID:cyOtWsAO

唯「それから何だか自分がわからなくなって……」

りっちゃん「(シャドー・モセスの資料で似たような症状が載ってたな……まさかこの一連の騒動には……)」

りっちゃん「唯、その男の名前わかるか?」

唯「ええと、確か……」

──────────

「サイコマンティス……純はやられたか。所詮奴もこの縮図の為の一つに過ぎん」

「もう少し……もう少しだ」

リキッド・オセロット「もう少しで世界の音楽を取り戻すことが出来る」

─────────



261 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:18:25.91 ID:cyOtWsAO

りっちゃん「リキッド・オセロット……」

りっちゃん「(リキッドと言うのはあのシャドー・モセス事件の首謀者……
       オセロットと言うのも幹部な筈。どう言うことだ……)」

唯「りっちゃん……澪ちゃんと止められるのはりっちゃんしかいないよ! 私じゃ無理だったから……」

りっちゃん「ああ、任せとけ! 唯は外でライオンと寝てる梓と一緒に隠れててくれ。
      メタルギアを破壊してむぎと澪を説得したらそっちに行くから」

唯「わかった! あ、後これ」

唯がカードの様なものを律に渡す。



262 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:24:44.24 ID:cyOtWsAO

唯「これでこの先のLvの高い扉も開くよ!」

りっちゃん「ありがと。じゃあな、唯」

唯「またね、りっちゃん」

トテトテと歩いて行く唯の後ろ姿を見ながらホッと息を吐き出す律。

りっちゃん「~ッ」

その場に倒れ込むと呻きながら左腕を抑える。

りっちゃん「いったぁッ……」

治療したとはいえ焼ける様に痛む。唯の前では悲しんで欲しくないと平気な振りをしていたのだろう。

りっちゃん「行かないと……まだバカが残ってるからな」

ゆっくり、ゆっくり歩いて行く。

きっとこの先、むぎや澪が待ち構えているだろう。


りっちゃん「澪……」



263 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:37:20.25 ID:cyOtWsAO

───無人島 研究所 地下格納庫 制御室───

澪「これで本当に音楽が戻って来るんですね?」

リキッド・オセロット「勿論ですよ。奴らとて核をチラつかせばやらざるを得ないでしょう」

澪「武力介入でしか取り返せないなんて……」

リキッド・オセロット「そういう時代なのです。私らも心を痛めるばかりで」

リキッド・オセロット「出来れば使いたくありませんでしたがね……」

メタルギアを眺めるリキッド。

リキッド・オセロット「しかしその前に排除しなければならない」

澪「わかってる。それはこっちのことだから。
  あなたはメタルギアの完成を急がせてほしい。一刻も早く音楽を取り戻す為に」

リキッド・オセロット「ええ勿論」

それを聞くと澪は踵を返す。全身に纏った黒いコートが靡く(なび)。
前に何個もの留め具で止めてあり、襟は口元まで迫っている。
長い澪の黒髪と相まって神秘的な雰囲気さえ醸し出している。

リキッド・オセロット「ふふ、他のものとは再現のレベルが違うな。
           あの姿、ソリダスさながらじゃないか。ククク……」

そう静かに呟いた。



272 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:35:57.93 ID:wmEuskAO

───無人島 地下格納庫───

オレンジ色の光がだだっ広い空間に降り注いでいた。
天井は果てしなく続くかと思う程高く、恐らく地上と繋がっているんだろうと推測出来た。

りっちゃん「これがメタルギア……」

律から数十m離れた先にその巨大な金属の塊は鎮座していた。
二足歩行型、突き出た頭部に鳥類を思わせる鉄の羽根の様なものがついている。
背中にはスピーカーの様なアンテナの様なものが二つ生えておりかなり違和感を覚える。
資料で見たREXやRAYとも違う。
REXが陸上型、RAYが海上型だとするとこれは飛行型なのだろうか。



273 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:37:29.86 ID:wmEuskAO

ピリリッピリリッ

見上げたまま呆けていた律にけたたましいCALL音が響いた。
恐らく地上へと出る通路が伸びている為電気信号が届いたのだろう。

りっちゃん『さ~わちゃん久しぶりっ』

さわ子『ようやく繋がった! りっちゃん、今すぐその無人島から離脱しなさい! 』

りっちゃん『…どうしたの?』

さわ子『政府がそこを爆撃することに決めたのよ!
    核を撃たれる前に無人島ごと地図から消し去るつもりなの!!!』

りっちゃん『……まあそう来るよな』

さわ子『……随分冷静ね。驚かないの?』



274 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:38:15.22 ID:wmEuskAO

りっちゃん『どうなったってやることは変わらないからね~…。 で、爆撃の予定時刻は?』

さわ子『アメリカのB-2が今スタンバイ中らしいわ』

りっちゃん『また旧型のステルス機を…。まだちょっと時間はあるか』

さわ子『後FOXDIED解体通告が来たわ。通信が傍受されてたみたいね。ナノマシン通信だからって油断してたわ』

りっちゃん『さわちゃん……迷惑かけてごめん』

さわ子『いいのよ。元々上から色々いちゃもんあった組織だしね。
    やっぱり民間人ばっかりじゃFOXHOUNDの後釜にはなれない……か』

りっちゃん『……』



275 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:40:23.77 ID:wmEuskAO

さわ子『私達が選出されたのはテロリスト、つまり澪ちゃん達の近くの人間だからよ。
    責任と言う代償を払わされる形でね……でもねりっちゃん、あなたはそうじゃない』

りっちゃん『えっ…』

さわ子『私は前に代わりはいくらでもいるって言ったけどね、
    その代わりの中でもあなたの能力はトップだったのよ』

りっちゃん『そうなの…?』

さわ子『ええ。だから能力的にも問題なく送り出されたの。私達とは違う、本当の意味で選ばれたのよ』

りっちゃん『……』

さわ子『だからねりっちゃん。好きにやってきなさい! もうあなたを縛るものは何もないから!!』



276 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:42:16.97 ID:wmEuskAO

りっちゃん『さわちゃん……』

さわ子『行ってらっしゃい、田井中さん』

りっちゃん『うん、行ってくる! あ、憂ちゃんいる?』

さわ子『えっ……あら? あの子どこに行ったのかしら。
    ちょっと見当たらないわ。また見かけたら連絡するわね』

りっちゃん『わかった!』

さわ子『ナノマシン通信はまだしばらく生きてる筈だから何かあったらまた連絡頂戴ね』

りっちゃん『わかった! ありがとうさわちゃん!』

さわ子『Good Luck RITU』パチッ

ピピュン

りっちゃん「去り際にウインクなんて余裕だな~さわちゃん」

これで世界がどうとか関係なくなった。
私一人の意思で、そうするんだ。
FOXDIEDのみんな、迷惑かけてごめん。
そしてありがとう……



277 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:43:11.79 ID:wmEuskAO

───FOXDIED 作戦本部室───

さわ子「さてと……、そろそろ来るわよ。注意して。
    入り口を固めて時間を稼いで! 非戦闘員から非常口から脱出、殿、お願いね」

FOXDIED作業員「はっ! 局長は?」

さわ子「私はみんなが逃げたのを確認してからここを爆破するわ」

FOXDIED作業員「局長ッ!? やめてください! いくら反逆者の組織の局長だからって殺されたりは……!」

さわ子「甘いわ。用済みになった組織の局長を生かす程愛国者達は甘くない……」

FOXDIED作業員「愛国者……?」

さわ子「らりるれろ、よ」



278 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:48:32.27 ID:wmEuskAO

さわ子「それよりも憂ちゃんは?」

FOXDIED作業員「い、いえ、見てませんが」

さわ子「早く探して。私の教え子達は誰一人殺させないわ」

FOXDIED作業員B「あれ? さわ子局長、一緒じゃなかったんですか?」

さわ子「どういうこと?」

FOXDIED作業員B「いや~さっき憂ちゃんが局長と一緒に現地に行くってんでヘリを一機貸したんだけれども」

さわ子「まさかあの子……ッ!」

ババババババ!!!!

FOXDIED作業員「来ました!!!」

さわ子「もうッ! 次から次へと!!!」

手がかかる生徒を持つと大変ね……。
けどりっちゃん、あなたなら大丈夫。
時代、世界、歴史……そんなものあなたには関係ない。
ただ仲間を大切に想う力がきっと新しい世界を切り開く……私はそう信じてるわ。

だから生きて、みんな。
生きて、こんな世界を……



279 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:58:54.09 ID:wmEuskAO

───無人島 地下格納庫───

りっちゃん「メタルギアを爆破……しようにもC4がないよぉっ!」

メタルギアの前でじたんだを踏みながら叫ぶ律。

「それは私達の要なんだ、爆破などされては困るよ」

りっちゃん「あんたは……ッ!」

リキッド・オセロット「FOXDIEDのネズミがこんなとこまでよく辿り着いたものだ。
           自分が行けば核は撃たれないだろう? 人間には核は撃てない、だから先に爆撃?
           フフフ……だから人間はここまで腐ったのだ!」

りっちゃん「何を……!」

リキッド・オセロット「平和を謳いぬるま湯な世界で腐っていく。
           今や文化まで捨て平和などと云う不確かなものを追い続けている。実にくだらない」

りっちゃん「あんたがリキッド・オセロットか!」



280 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:11:17.43 ID:wmEuskAO

リキッド・オセロット「お前のことはお前の仲間から聞いている。リッチャンとか言う名前だったか? いいセンスだ」

初老の男は日本指を拳銃に見立てて指してくる。

りっちゃん「名前じゃないやいッ! そんなことよりムギは!? 澪は!?」

メタルギアの整備される為の脚橋を見上げ強気に言い放つ律。
それを見下ろす様に答えるリキッド・オセロット。

リキッド・オセロット「琴吹嬢には少し眠ってもらった。なぁに手荒な真似はしない、
           このメタルギアが完成したのは彼女の父親のおかげなのだから」

りっちゃん「あんたが……元凶かッ!!!」

リキッド・オセロット「私はただ彼女達に共感し、音楽を取り戻す手伝いをしたに過ぎん」



281 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:24:00.34 ID:wmEuskAO

りっちゃん「屁理屈を……ッ! 梓と唯を操ったのはお前だろ!! そして澪とムギのことも……」

リキッド・オセロット「ククク……何を言い出すかと思えば。確かに中野梓、平沢唯は
           覚悟が足りなかったから少し細工をしたが……残りの二人は違う。自らの意思でここにいる」

りっちゃん「……例えそうだとしても核を使ってまで…
      関係ない人達まで巻き込んで、脅かして! そんなやり方を澪達が許す筈がッ!」

リキッド・オセロット「だそうですよ……澪さん」

りっちゃん「……!?」

「えやあああああああ!」

いきなり中空に現れた黒ずくめの影、一振りの日本刀の様なものを振りかざしながら降下してくる。

りっちゃん「くッ…!」

それを真横に前転し、かわす。
鉄が震え上がる音が響き、律が振り返った先には
同じ様に律を見据える澪の黒灰の瞳があった。



282 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:34:04.95 ID:wmEuskAO

りっちゃん「澪……っ!」

それ以上の言葉が出なかった。さっきの一撃が余りにも律を殺さんとする殺気を秘めていたからだ。

澪「……」

澪は何も答えず日本刀をぶらんと手に携えたまま律を見ている。

りっちゃん「何でこんなことしてんだよッ! お前は…そんな奴じゃなかったろ!!?」

澪は答えない。

りっちゃん「何とか言えよッ!澪ッ!」

澪「……何で逃げなかった」

りっちゃん「えっ…」

黒いコートの襟に隠れ口元はわからないが確かにそう聞こえた。

澪「ここは私が。あなたはミサイルの処理を」

リキッド・オセロット「わかりました、ボス」

手をひらひら振りながらどこかへ行くリキッド・オセロット。

りっちゃん「逃がすかッ!」

素早くMkを抜き放とうとするが、

澪「お前の相手は私だ、律!」

構えを取り、撃てばその瞬間殺すと言わんばかりに律の前に立ち塞がる澪。



283 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:46:07.39 ID:wmEuskAO

りっちゃん「澪……なんでッ!」

澪「なんで? それはこっちの台詞だよ!」

りっちゃん「私はお前を…」

澪「今更ノコノコ現れて説教か?」

りっちゃん「違うッ! こんなやり方で本当に取り戻せると思ってるのかよッ!?」

澪「あの時私の誘いを蹴った律に何がわかる!!!」

りっちゃん「わからないから……ッ! だからこうして止めに来てるんだろ!!!」

澪「……」
りっちゃん「……」

澪「後もう少しなんだ、邪魔はさせない。例えそれが律でも……ッ!」

りっちゃん「本気なのか……?」

澪「……」カチャン

日本刀を握り反す澪。眉を下げ、律を睨み付ける。

澪「律、覚悟」ジリッ

りっちゃん「わからず屋め……」ジリッ



284 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:04:14.99 ID:wmEuskAO

ジリッ、ジリッっと距離を測りながら機会を伺う二人。

澪「はあッ!」

まず澪が動いた。
息を一気に吐き出す様に叫び、下手に日本刀を構えながら駆ける。

りっちゃん「わからず屋はお寝んねしてなッ!」

素早く麻酔弾を二発撃ち込む。

りっちゃん「(あれぐらいのコートなら余裕で貫通する筈)」

澪はそれを避けようともせずそのまま突っ込んでくる。
弾が当たり律が心の中で「やった!」と思う前にそれは起こっていた。

カンッカンッ!

りっちゃん「弾いたッ!?」

澪の黒いコートに触れるや否や麻酔弾は弾け飛び四散した。

澪「やああああっ!」

弾など気にも止めず突っ込んで来た澪は上段から日本刀を素早く振り下ろす。

りっちゃん「なんのっ」

それをギリギリスウェーで避け、後ろに倒れながら更に二発撃ち込む。

カンッカンッ

それも虚しく弾かれ、訝しげに澪のコートを見据える律。



285 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:15:24.38 ID:wmEuskAO

りっちゃん「(象の足の裏だって刺さり込むのに……よっぽど堅い素材なのか)」

倒れる勢いを利用して片手でバク転して距離を取る律。

澪「ちょこまかと…ッ!」

りっちゃん「それもムギのか?」

澪「……それが?」

りっちゃん「音楽を取り戻そうとして…結局その手で武器を握るんだな」

澪「そうしないと取り戻せない…、律だってわかってるだろッ!」

りっちゃん「本当にそうなのか…?」

澪「……」

りっちゃん「本当に、こうしなきゃ取り戻せないのかな。音楽」

澪「……世界にはSONGBOMBが溢れてる……そのせいで音楽は……」

りっちゃん「なんで……こっちを選んだんだよ?」

澪「何が…」

りっちゃん「惚けるなよ。お前達には…SONGBOMBを何とかするって道もあっただろ!?」

澪「……」



286 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:22:16.11 ID:wmEuskAO

少し俯いて、その長い黒髪で目を塞いだ後

澪「…やっぱり律はわかってないよ」

寂しそうにそう告げた。

りっちゃん「わかってなくないっ! こんな辛い道を選ぶ覚悟があるなら……もっと地道で時間をかけて」

澪「それに…意味はあるの?」

りっちゃん「えっ……」

澪「世界中にあるSONGBOMBの数なんて把握しきれないほどだって言われてる。
  それを私達だけで探して冷却処理、もしくは解体処理して……
  そんな長い長い時間をかけて……そんなことしてたら音楽を取り戻す前に私達が死んじゃうだろ?
  なんでわからないんだよ……律」

りっちゃん「だ、だけどっ! こんなことしてまで得た音楽で」

澪「私達はいい、それでも。知らない誰かを犠牲にした上に成り立った音楽でも!
  唯、ムギ、梓、私、そして……律、お前達がいたら私はどんな音楽だって幸せだよッ!」

りっちゃん「澪……」

でも、違うだろ。そんな音楽……あの頃の私達は望んでなかった。



287 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:36:42.84 ID:wmEuskAO

りっちゃん「……やっぱり違うよ、澪。澪が言ってるのはただのわがままだよ…」

私だって音楽がしたい。けど、だからって周りを巻き込んで、悲しませて、
そんな上に成り立った音楽なんて奏でたところで気持ちよくもない。
澪だってわかっている筈なのに…。

澪「わがままだっていい……私は、私は……あの頃の軽音部を取り戻す。
  律、お前がどうしても邪魔するなら……」

再び構え直す澪。

りっちゃん「澪…今の私は自分の意思でここに立ってる。
      FOXDIEDも世界も関係ない、田井中律の意思でお前の前に立ち塞がってるんだ!」

澪「ッ!」

りっちゃん「迷うなよ、澪」

後輩に言われた言葉を投げ掛ける。

澪「……私はっ!」

───バンッ!

澪「!?」



288 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:52:32.27 ID:wmEuskAO

りっちゃん「!?」

急な銃声に音の元へ振り向く律、しかしそこには何もない。

バンッ!
バンッ!

澪「くっ」

弾幕に圧され少しづつ交代する澪。

撃っているのは律ではない、元々殺傷力がある武器はPSG-1しかない律ではあり得ない銃声だった。

銃声は軽い、そう、SOCOMの様な。

「下がってろ!!!」

何もない虚空から声が響いた───

りっちゃん「なっ」

次の瞬間───

みるみると人型がその場に現れ、姿を象(かたど)る。

その人型は灰色のバンダナを頭に巻き───

全身をスニーキングスーツで覆っており───

SOCOM、Mk23を手に携え現れた───

りっちゃん「ソリッド……スネーク」

伝説の傭兵がそこに在った。



318 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:36:58.16 ID:7lFkVQAO

資料で特徴しか見たことなかった伝説の傭兵。
初陣のアウターヘブンではビッグボスの予想を裏切り奮闘、それを崩壊に追いやり。

ザンジバーランド騒乱では単独潜行で乗り込み陥落させ、

シャドーモセス事件でも単身でこれを解決した。

灰色のバンダナにスニーキングスーツ。
このソリッド・スネークが参考にされている
VR訓練の難易度は激高でクリア者はほぼいないと言われている。

そんな絵空事でしかない英雄が今、律の目の前にいた。



319 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:37:50.73 ID:7lFkVQAO

スネーク「…生きてたか」

銃を構えながら律に目を遣るスネーク。

りっちゃん「えっ……あっ、はい!」

スネーク「あいつがテロリストのボス、秋山澪か」

りっちゃん「……一応そうなるの…かな。でも何で伝説の傭兵がこんなところに」

スネーク「そんな大層なもんじゃない。フィランソロピー、今はメタルギア根絶の為に戦ってる」

りっちゃん「それで…」

澪「頼もしい助っ人だな。良かったじゃないか、律! お前には世界中に味方がいて!」

りっちゃん「なっ、何いってんだよっ! 今のはそんな話じゃ……」



320 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:41:29.59 ID:7lFkVQAO

スネーク「お前達がどういった関係かは知らん、だがどんな関係だろうがテロリストはテロリストだ」

スネークは全てを見透かした様に澪にSOCOMを向ける。
テロリストに情など向けるなと、同じ兵士である律への当て付けの様に。

りっちゃん「……」

律もそれがわかったのか渋々Mkを澪に向ける。

澪「伝説の傭兵が相手じゃ分が悪いな…。」サッ

後ろに大きくバックジャンプし、逃亡を図る澪。

スネーク「逃がすかッ!」

バンッバンッ!!

カンッ!チュインッ!

澪「そんなものじゃなっ! 腕は一流でも銃の方はポンコツかな!?」

スネークの銃弾を強化外装のコートが軽く弾き、澪はいつの間にか視界から消え去った。



321 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:42:40.73 ID:7lFkVQAO

スネーク「ぐっ、逃がしたか。…何故撃たなかった?」

りっちゃん「えっ…」

スネーク「ここは戦場だ。女子校じゃあない。死にたくないならさっさと帰ることだ」

SOCOMをしまうと指を鼓膜に宛て何やらしている。恐らくナノマシン通信だろう。

りっちゃん「何だよ…人の気も知らないで…」

水を差された律は不機嫌そうにスネークの通信が終わるのを待っていた。

スネーク「厄介なことになってるな。名前は?」

りっちゃん「……りっちゃん」

スネーク「りっちゃん? コードネームか。まあいい。今からこいつを破壊する、手伝ってくれ」



322 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:46:12.19 ID:7lFkVQAO

伝説の傭兵の第一印象は
偉そうに……そんな印象だった。

りっちゃん「りょ~かい……」

でもそれは自分が子供だから、
世界の規模を、世界の重さをわかってないからだろうって、そう思った。
だから…そんな自分に余計苛立った。

それでも…

りっちゃん「(澪……お前はもう戻って来ないのか……?)」

─────────


澪「コートがなかったら蜂の巣だな……」

もう私一人しかいない。ムギは最後の最後に反抗したから眠らされた。
作戦実行まで起こされることはないだろう。

澪「私…なにやってんだろ…ぉ……助けてよ……りつぅ……」ガタガタ

バカだ、自分が選んだ道に律がいないことなんてわかってたのに。
それでもまだ私は律に頼ってる。
いつまでも変わってない。
あの頃のまま……

澪「それじゃ……いけないんだ…!」

私はもっと、もっと、もっと……強くならないと。

あの日を取り戻す為にも



323 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:48:50.54 ID:7lFkVQAO

──────

梓「あれ…ここは、部室?」

紬「おはよう梓ちゃん。良く寝てたからみんなで起こさない様にしてたの」

唯「全くあずにゃんは~」

律「さっきまで寝てた唯が言うなよっ!」

唯「えへへぅ~」

澪「今日も練習出来なかった……」

紬「また明日すればいいじゃない、ね?」

澪「…そうだな」

律「明日明日~」

唯「ずっと一緒だもんね♪ 私達!」

ああ、これは夢なんだろうな

だから、言った


梓「明日なんて……もう来ませんよ……」

周りの風景が一気に砕け、散る。



324 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:51:12.50 ID:7lFkVQAO

───無人島 研究所付近───

ポツ───

梓「ん……」

何かが顔に当たり目覚めた。

梓「私……」

ポツポツ……

梓「雨……そっか」

律先輩にやられて……。

梓「…生きてる」

体の感覚を確かめながら起き上がる。
背中がやけに暖かかったのが不思議で振り向くと
ライオンのむすたんぐが座り込んで眠っていた。
梓は少しはにかむとよしよしとむすたんぐを撫でた。

「起きたか」

梓「っ! 誰?!」

声の方に振り向くとそこには白い外装に包まれた男が木に凭(もた)れながら立っていた。



325 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:52:51.18 ID:7lFkVQAO

雷電「俺は雷電……元FOXHOUNDだ。
   この島にはメタルギアの破壊とテロリストの駆除の為に来た。あんたの所属を教えてくれ」

梓「……(駆除……か)」

この人にとっては私達は世界を危険に曝した虫か何かとしか思ってないんだよね……。

梓「私は……」

「あずにゃ~ん!!!!!」

梓「ッ!?」

雷電「なんだ?」

唯「あずにゃんみっけ」ダキッ

梓「ゆ、唯先輩っ!? なんでこんなところに……というか何か元に戻ったと言うか……」

唯「ふぅ?」

間違いない、あの時の唯先輩だ。
戻ってきたんだ……!



326 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:53:57.02 ID:7lFkVQAO

梓「先輩っ!」ダキッ

唯「ようやくあずにゃんに私の愛が通じたんだねっ!」ダキッ

雷電「お、おい」

唯「あずにゃ~ん」

梓「唯先輩っ」

雷電「おいっ!」

唯「ん?」

ようやく雷電の存在に気付いた唯が雷電を見て一言。

唯「変な人がいるっ!」

雷電「……」

───────

雷電「所属は?」

梓「えっと……」

ここでテロリストなんてばか正直に言ったら殺されちゃう……
私はともかく唯先輩はダメっ! 絶対守らないとっ!

梓「私達テロリストに捕まってて(ry」

唯「テロリストでしたごめんなさい!」

梓「唯先輩っ!?」



327 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:55:04.74 ID:7lFkVQAO

梓「なんで言っちゃうんですかっ!」

唯「だってぇ~……嘘は良くないしぃ…?」

梓「唯先輩は素直過ぎますっ! こういう時は嘘をつく必要もあるんですっ!」

唯「えぇ~……嘘は駄目だよ~?」

梓「もうっ」

雷電「……(本当にこんな子達がテロリストなのか?)」

だが敵ならやむを得ない……か。

雷電「すまないな……」

静かに刀を抜く雷電。

雷電「(ローズ……俺は……正しいことをしてるのだろうか)」

言い合ってる二人に刃を向け、

雷電「(二人一緒に逝かせるのがせめてもの……)」

横一閃、



329 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:02:22.26 ID:7lFkVQAO

ガキィッ

刃と刄がぶつかり合う音が木霊した後、次第にそれはギシギシと刃が擦り合う音に変わって行く

雷電「なに…っ」

唯達の間に割り込み雷電の刀を止めたのは、全身を忍者のような強化スーツで覆った人物だった。

ニンジャ「させない……」

唯「わっ、わっ、何っ?」

ニンジャ「あなた達は下がっていて」

雷電とニンジャのつばぜり合いを見て、梓も動く。

梓「加勢します…。」

ニンジャ「邪魔になるだけよ、下がってて」

それを聞いて少し眉を細める梓だが、直ぐ様

梓「それは聞き捨てなりません」

と反論する。次に梓が取った行動は
自分の持っているナイフの刃を自らの手に押しつけると云う異形だった。
血が梓の小さな手のひらの上に溜まり出るのを見て唯が思わず叫んだ。

唯「あずにゃん!?」

梓「大丈夫です…、見てください」



330 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:03:24.72 ID:7lFkVQAO

唯「傷が……」

ニンジャ「……」

雷電「吸血鬼……ヴァンプと同じ、デッドセルの生き残りか」

梓「私は自らこの力を求めました…。
  小さくて弱くて…いつも誰かに守ってもらってばかりの自分が嫌で…っ!」

唯「あずにゃん……」

梓「雷電さん……確かに私達はテロリストです。世界を脅かし…眠れない夜を過ごさせました……」

雷電「それがわかっていて尚、生き続けるのか?」

梓「償いはして行くつもりです…。
  一人じゃ怖くて行けなくても…唯先輩、澪先輩…紬先輩に……律先輩。みんなと一緒ならきっと…」



331 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:08:15.36 ID:7lFkVQAO

唯「あずにゃん……」

唯は梓の手を取り、

唯「ずっと一緒だよ。これから…何があっても」

そう呟いた。

梓「はい…」

ニンジャ「……」

雷電「今から反省するから許してくれ…か。ムシがいいな」

梓「わかってます…だから……あなたと戦うことになったとしてもっ……!
  私達はここで死ぬわけにはいかないんです!」

ニンジャ「」ガキィッ

雷電「くっ」

刃を弾き返し雷電を後退させる。
ニンジャも唯達の意見に同意したかのように改めて雷電に向かって構え直した。

唯「私も戦うよ……! そしてまたみんなとやり直すんだ…!」

雷電「だがこちらもそれで引き下がるわけにはいかない。
   相応の報いは受けてもらう……それが世界のルールだ。
   楽にいかせてやりたかったが……」

雷電も名もない日本刀を構える。

梓「私達は自分達の世界の為に戦いますっ!何と言われても!」



332 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:11:19.60 ID:7lFkVQAO

雷電が動く、一番厄介だと思われるニンジャに斬りかかる。

ニンジャ「ッ!」

それをマチェットで受けてから返しに一閃
それを軽く飛び避け、クルっと空中で一回転しながら刀を降り下ろす雷電。

ニンジャ「くっ…」

今の行動で一対一の実力なら雷電が上回っているのがわかる。
刃物の使い方、間合いの取り方など格段に雷電の方が巧い。
避け、弾き、その隙間に斬り込んで来るため隙がないのも特徴だ。

梓「てやっ!」

そこで分の悪そうなニンジャを投げナイフで援護する梓。
雷電はそれを見て後退しつつ弾く。

唯「ギー太スタン弾モード!」クルクルッ

ギターを雄々しく二回回すとガチャリ、と何が切り替わる音がする。



333 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:22:32.88 ID:7lFkVQAO

唯「レボリューションだよっ!」

更に唯のスタン弾、特殊加工のゴム弾が雷電を襲う。
実弾を使わないのは唯の弱さ故か、優しさ故にか。

雷電「(あれだけ言っても殺す気では来ないか。それで自分達の世界を守る……か)」

梓「はあっ!」

左からはナイフを持った梓が接近する。

ニンジャ「っはぁ!」

右からはマチェットを持ったニンジャが。

雷電「(世界の答えはそんな甘くはない)」

ガシッ

キィンッ

梓「えっ」

ニンジャ「ッ!」

左のナイフをそのまま掴み、右のマチェットを日本刀で防ぐ。

雷電「甘えるな…!」

その声と同時にナイフを離し、梓の鳩尾に雷電の左拳が狙い済ましたかのようにスルリと入り込む。

梓「かはっ…」

雷電「ふんっ!」

右の日本刀でマチェットを払い上げ、ニンジャの体勢が整わない内に袈裟斬り。

ニンジャ「くっ」

強化スーツの上からでも切り裂き、ニンジャの左腕から血が吹き出す。

雷電「何を言おうがお前達はテロリストだ。その事実は何があろうと変わらない。
   さっきから自分達主観の綺麗事ばかりを言っているが
   それはお前達が都合のいいよう解釈しているだけに過ぎない。お前達は…悪だ」



340 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:34:19.79 ID:espBEQAO

梓「っ……確かに私達は悪いかもしれません…でもだからってここで諦めたくないんです!」

苦しいながらも息を振り絞って告げる。
精一杯の気持ち。そうだ、ここで終わってしまってはあの人に申し訳が立たないじゃないか。
どんなに変わっても、部長として私達を叱りに来てくれたあの人に。

雷電「……」

雷電は黙って俯いたままそれを否定することもなく聞き入れる。
ただ、雷電の根元にある闇は深い。

梓「私達に償うチャンスをください……!」

雷電「償う……か」

思えば俺は、生きていなかった。



341 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:35:04.05 ID:espBEQAO

自分の意思でやっていたと思ったことは、奴らに利用されていただけだった。

記憶をすげ変えられ、偽りの自分を演じられ続けていた。

最愛の者を想う気持ちでさえ本当なのかもわからず……
ただ俺はこうしてまた誰かに利用されながら生きている。

だが、今この子達を許してやれる立場にいるのは間違い。
俺が許すことで彼女達はこの場だけでは救われるだろう。
それは他でもない俺自身の決断によるものだ。
誰にも左右されず、利用されていることもない純粋な俺の答えを出せる。

だが、それでも



342 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:35:53.23 ID:espBEQAO

雷電「……その償う気持ちが本当かどうか、俺が確かめてやろう」

梓「やっぱり…」

雷電「ああ、このままただ黙って見過ごすわけにはいかない。それにさっきチャンスと言ったな?
   チャンスと云うものは待っていれば来るものじゃない。掴みとるものだろう」

梓「……」

雷電「俺を倒して掴みとってみろ。この先一生を賭けて償う覚悟を見せてみろ」

雷電「来い」

もう語ることはない、かかって来いと言わんばかりに
首をくいっと動かし、顎を突き出した後、刃に手を添え構える雷電。



343 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:43:14.52 ID:espBEQAO

唯「あずにゃ~ん大丈夫~?」

だいぶ距離が離れてしまっていた唯が二人を心配して近寄って来た。

梓「大丈夫です。ただ私達はどうしてもあの人を倒さなくちゃいけないみたいです。」

唯「…どうしても?」

梓「はい。ここで何もしないまま殺されたら律先輩に申し訳が立ちませんから」

苦笑いでそう告げる。

唯「りっちゃん……。うん、そうだね」

うんと頷き更に続ける

唯「これからりっちゃんやあずにゃんやムギちゃん……澪ちゃんも。みんなでまたやり直すんだもんね!」

梓「はいっ!」

唯「じゃああの変態さんを早く倒しちゃおっか! ニンジャさんもいい?」

ニンジャ「」コクリ



344 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:49:29.83 ID:espBEQAO

唯「あっ! 怪我してる……ちょっと待っててね。こうやってこうやって……せいっ」

もっていたハンカチで簡単に治療すると「これでよしっ」とニコニコしながらニンジャに微笑む唯。

ニンジャ「……変わらないのね、唯」

唯「??」

雷電「来ないのならこっちから行くぞ」

痺れを切らした雷電が前進してくる。

梓「来ますっ! 唯先輩は援護を! ニンジャさんは私と一緒に!」

ニンジャ「……」

唯「了解だよあずにゃん!」

唯は地面を蹴りふわっと後ろに飛ぶ、と、それを追い抜くように二人が駆け抜けて行く。

梓「はっ!」

手投げナイフを二丁素早く投げ飛ばす。それを雷電はこともなげに刀で弾く。

梓「……フフ」ニヤリ



345 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 00:14:26.42 ID:wbZsssAO

雷電「……」

不適に笑う梓に疑問を抱きながらも
タイミングよく斬りかかって来たニンジャのマチェットを受け止める。

ギィッン

ニンジャ「っ…」

雷電「遅い」

それを弾き返すと同時に蹴りを入れる、
ニンジャはそれをかろうじて防御するも鑪(たたら)を踏みながら後退を強いられた。

雷電「傷ついた手を庇うような戦い方ではな」

ニンジャ「……庇っているのは傷なんかじゃない」

瞳が見えないフェイスマスク越しからでも雷電を睨んでいるとわかる。
ニンジャは左手に巻かれたハンカチを大事そうに胸にやる。

ふぅ……すぅっ

梓「今ですっ」

シュイッ
シュイッ

梓からまた放たれた二本のナイフ。

雷電「(さっきの速度から見ても今から防御を取って十分間に合う…)」

グサッ…

雷電「ぐぅ…なに?」

雷電が防御体勢に入る前に肩に刺さり込むナイフ



346 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 00:27:39.25 ID:wbZsssAO

梓「油断しましたね…。降参してください。次は急所を狙います」

冷ややかにそう告げると両手に三本づつナイフを持ちいつでも投げられる体勢を見せる。

雷電「……なるほど、呼吸法か」

呼吸法、一般的にはマラソンで肺活量を高める為に息の吸い方、吐き方などを調節する、
出産の際のラマーズ法など様々なところで使われている。
人間は息を吸うときより吐く時の方が動きが機敏になる。
肺に空気が入り膨らむことにより血管が圧迫され血液の巡りが吐いてる時よりもほんの少しだけ悪くなるからだ。
これを訓練し、利用することで『一つの物事を行う時に一番最適な呼吸法』を見つけ出し、
その物事を行う速度は常人よりも優れる……と言ったことも可能ではあるのだ。
梓の場合それが『ナイフを投げる』時なのだろう。



351 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 21:35:05.11 ID:wbZsssAO

雷電「さっきのはわざと見せておいて
   呼吸法で速度を早めたナイフを投げた時に対応を遅れさせる為か」

梓「ご名答です。ちなみに速度はさっきのよりもっともっとあがります。
  あの人曰く私はあなたの言うデッドセルと同じぐらいの身体能力らしいですからね。
  貴方のような一般兵が敵うわけないです」

フフンッと得意気に鼻を鳴らす梓。
梓も唯も今はもう昔の二人ではない。
歌を取り戻す為に半ば操られた形となっていたが強くなったのだ。
そしてそれはもう力と言う概念だけの強さではない。
前を見据える、自分から行動出来る強さに変わっていた。

彼女のおかげでそれを見つけられたのだ



352 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 21:45:20.00 ID:wbZsssAO

雷電「策は悪くない…。ただ一度見せてしまったのが悪かったな」

酷く残念そうに言う雷電。

雷電「それに一撃で急所に投げれば終わっていた」

梓「私達は殺す為に強くなったわけじゃないです!
  音楽を取り戻す為に…またあの頃に戻りたいからっ! 強くなったんです!」

雷電「目的を達成する為には人を殺さなければならない時もある。
   戦場で他人を生かすと言うことは自分が殺される可能性が上がると云うことだ。」

梓「それでもです。音楽は人を傷つけたりしません! 私達もそうでありたいから!」

雷電「だからわざわざ外装の強化シェルのついたところを狙ったわけか」



353 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:01:22.59 ID:wbZsssAO

雷電「音楽は人を傷つけたりしないか…矛盾しているな。…お前達と今の音楽は同じだ。
   悪いことなどしていない、だが今はそれが世界にとっては悪となっている」

梓「SONGBOMBのことですか…!」

雷電「…歌や音楽は人を癒す。だがそれをSONGBOMBが爆弾に変える。
   世界はその爆弾を排除することを諦め、本当は素晴らしいものである歌や音楽を捨てた。
   だがそれを取り戻そうとするお前達。音楽を捨てた世界を傷つけても……どうだ? 矛盾していないか?」

梓「……それは」

ニンジャ「惑わされないで。本当の根源はSONGBOMBなんて馬鹿げたものを作り出した奴よ。
     あなた達はただ戻ろうとしているだけ、世界の流れに囚われてはいけない」



355 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:17:30.98 ID:wbZsssAO

梓「世界の流れ…?」

雷電「……」


ニンジャ「そうよ。世界の答えが全ての答えではないわ。
     だからあなた達と同じように音楽を取り戻す為に活動している人達は何千万といる。
     あなた達のやり方は少し違っていたけれど、気持ちは同じな筈よ」

梓「気持ちは同じ…。そうですよね…!」

ニンジャ「雷電、あなたもそんな世界の答えに操られているんじゃないのかしら?」

雷電「っ!?」

ニンジャ「自分の答えを決めるのは世界ではない。自分の答えを世界に委ねて従うか、抗うか……
     それはどちらが正しいかは誰にもわからない、決めれはしないっ!」

ニンジャが腰の横にマチェットを構えながら雷電に突進する。

雷電「……っ」

この手の突進は弾くにしても両手が添えられている為余程強く弾かない限りコースは変わらない。
しかし防御が疎かと云う面もあるのでニンジャは正に雷電と刺し違える気で来ているのだ。



357 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:31:13.25 ID:wbZsssAO

それでも雷電は落ち着いていた。
歴戦を潜り抜けて来た彼にはその対処の仕方が何パターンも用意されているだろう。

雷電「……」

マチェットの柄を握る手を一瞥。

雷電「はあっ!」

右下段から思い切り刀で斬り上げる。

ガッと鈍い音がした後、マチェットが宙に舞った。

ニンジャ「なっ…」

雷電「左手を前にしたのが悪かったな」

雷電は握力の弱った左手を前にしてるのを見て右下段からの斬り上げを選択。
強い衝撃を与えることによって左手の指の部分からマチェットが抜ける、
その勢いは後ろに添えられてる右手だけでは受け止められずマチェットは結果宙に舞ったのだ。

雷電「俺は躊躇わない」

お前が言う自分の答えに俺も従おう。
俺はただ俺達を脅かすものを斬る…!



358 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:44:23.69 ID:wbZsssAO

梓「ニンジャさんっ!」

シュン! シュン!

キンッ! ガキィッ

梓「なんで…」

梓が投げたナイフを簡単に弾く雷電。速度は先ほどの倍はあっただろう。

雷電「どんだけ早かろうと関係ない。肩から肘の動き、手の位置でどこに投げるかぐらい予測出来る」

雷電「さっきデッドセルと言ったな? 俺はそのデッドセルのメンバー達を殺して今にいる」

梓「そんな…そんなの勝てるわけ…」

呆ける梓を無視し雷電は丸腰のニンジャに刃を向ける

ニンジャ「くっ…」

マチェットを拾う暇さえ与えてくれずひたすら回避行動に専念していたニンジャだが、
パターンや反応が遅いところを狙われ徐々に刃が体を蝕む。
そして、それは訪れる。

ガッ

ニンジャ「しまっ…」

木の根に足を取られたニンジャ

雷電「終わりだ」

迷いなく袈裟斬り───

「させないよっ」



359 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:56:02.69 ID:wbZsssAO

ガキッ、ギィンッ

雷電「!!」

雷電の降り下ろしていた刀が外へ弾かれる。
まるで速球を打った金属バットのような鈍い痺れが手に広がる。

「更にギー太! サブウェポンモード!」クルクルッ

「あずにゃん目ぇつぶっててね!」

梓「?」

シュン……パンッ!!!!

雷電「くっ」

雷電の近くで弾けた弾は炸裂し、光を撒き散らした。

雷電「閃光弾か」

咄嗟に腕で目を覆った雷電だが僅かに遅く光が目に入った。

雷電「(一番脅威にならないと思ってたが……まさか刀を弾くとはな)」

そう。唯は銃弾で雷電の刀を狙い撃ち、弾いたのだ。

雷電「(先にやるならあいつからか……)」

雷電が急に走り出した。目は見えていない、ただ気配に任せて唯の元に向かう。

梓「っ!? まさか唯先輩を!!!! させませんっ! むったん!」



360 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:07:24.03 ID:wbZsssAO

むすたんぐ「ガアッ!」

どこからか現れたライオンのむすたんぐが雷電に飛びかかる。

雷電「邪魔だ」

ガスゥゥゥッ

むすたんぐ「ガウゥ……ゥ」

見えていないはずのむすたんぐを雷電は蹴り飛ばす。

梓「むったん!! このっ」

梓も追いながらナイフで追撃。
しかし雷電は上手く木を縫いながら唯のところへ行く為ナイフは木に刺さったりなどで当たらない。

唯「わわっ。こ、こないで!」

バンッバンッ!

スタン弾の弾幕で遠ざけようとするがそれも当たらず、
とうとう両者の距離は縮まり、雷電は唯に刀を降り下ろす。

梓「唯先輩危ないっ」

唯「あずにゃん!?」

ザクッ……

梓「あっ……」

雷電「……」

唯を抱くように庇い、代わりに雷電の降り下ろした刃を背中に受ける梓。
背中からおびただしい程の血が吹き出し…唯の顔にも数滴かかる。

唯「あ…あっ……あずにゃん。あずさあああああああああああっ」



361 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:15:42.61 ID:wbZsssAO

雷電「すまないな」

刃を返して縦に握る、切っ先は梓と唯に。
二人を同時に貫くつもりだろう。

雷電「恨むならこんな世界に生まれてきたことを恨むんだな…」

グサッ……

雷電「ぐふっ……」

ニンジャ「これがあなたの求めた答えなの?」

雷電の脇腹から突き出るマチェット。雷電から流れる血は赤ではなく、真っ白だった

雷電「……何がだ?」

ニンジャ「あれを見て……あなたの心は何も思わないの?」

雷電「……」

そう言われ雷電はゆっくりと首を動かし彼女らを見た。



362 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:32:35.59 ID:wbZsssAO

唯「あず……にゃ……」

梓「泣かな…いでく…ださい…ゴホッ…唯先輩。…ちょっと時間はかかりますケド……治りますから……」

唯「でもぉおおおお!」

梓「唯先輩が泣いてると……私も悲しいです。だから…ね?」

唯「う゛ん゛……ズピッ」ニコッ

梓「これであの人を殺したい……なんて思わないでください。私達の敵はそんなものじゃないんですから……」

唯「あずにゃん……」


雷電「……」

ニンジャ「あの子達は世界を見ても尚自分達を変えない。
     ただ自分達が幸せだったあの頃に戻りたいから戦っている。あなたはどうなの?」

雷電「俺は……。(ローズ、俺はどうすればいい)」

グォォォォォン

唯「な、なに?」

梓「研究所から…?」

ニンジャ「……! 地下格納庫の昇降口が…!」



364 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:42:47.74 ID:wbZsssAO

ニンジャ「まさかメタルギアが…!」

ズヌゥッ

雷電「うっ…ぐは…ま、待て!」

マチェットを体から引き抜き、雷電の静止も無視して研究所の方へ向う。

ニンジャ「唯、梓のことちゃんと見ててあげるのよ。軽音部の先輩なんだから」

唯「えっ? なんで知って……もしかして…!」

それを言い切る前にニンジャは行ってしまう。

梓「ひぐっ……んっ」

唯「あずにゃん!? 大丈夫…?」

梓「はあ…はあ…」

痛みに耐え、悶える梓を撫でる唯。

唯「もしかして…あのニンジャさんは……和ちゃんなの?」

確証のない疑問をただ浮かべるしかなかった。

雷電「……本当にそれでいいのか…か」




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律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」#3
[ 2010/10/07 00:23 ] クロス | メタルギアソリッド | CM(0)

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