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唯「さわちゃん!」爽子「………はい」#3 【日常系】


ニュー速VIP避難所(クリエイター)より


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唯「さわちゃん!」爽子「………はい」#1
唯「さわちゃん!」爽子「………はい」#2




142 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:22:54.03 ID:SPfM/7I0

~翌日、放課後・軽音楽部、部室~

澪「結局、爽子には何をしてもらうんだ?」

部室に到着して、椅子に座ってすぐに、澪が律に問うた。

律「う~ん・・・。まぁ、いろいろ手伝いとか?」

澪「・・・何も考えてないんだな?」

律「・・・ってへ!」ペロ

澪「ってへ!・・・じゃない!」ゴチン

律「っいたー!そ、そういう澪は何か考えてきたのかよー!」サスサス





143 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:31:09.44 ID:SPfM/7I0

殴られた頭をさすりながら律が文句を言うと同時に、紬がお茶を運んできた。

紬「今日は、緑茶にしてみたの!」

律「ありがとう!・・・緑茶?」ゴク

澪「なんか、珍しいな。」ゴク

二人は出されたお茶を同時に口にした。

律・澪「うまい!!」

律「どう、うまいかは言えないけど・・・!」

澪「なんかうまいと言っておかなければいけない気がする・・・!」

紬「よかったわ~。」ニコニコ



144 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:36:59.93 ID:SPfM/7I0

律「で?澪は考えたのか~?」

澪「やっぱり、私的には、音楽をやってほしいんだ。」

紬「でも、爽子ちゃんは、音楽は無理って・・・。」

澪「でも、唯も初心者だろ?やってみなきゃわからないんじゃないか?」

律「う~ん・・・でも、演奏聴いて逃げ出したんだぜ?」

澪「そ、それは、私たちの雰囲気にのまれてだろ?」

爽子が逃げ出してしまった理由は、のちのお茶会で聞かされていた。
皆の音楽に対する思い。そして、音楽を楽しんでいる空気。
それに共感できない自分が嫌で、逃げ出してしまった。そういう理由だった。

律「現実的なこと考えたら、音楽ができないときの仕事を考えてあげた方が良いだろ?」



145 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:41:38.97 ID:SPfM/7I0

紬「はい!」ッサ

紬が、突然元気よく手を挙げた。

律「はい!琴吹紬さん!」ビシッ

授業中の先生のように、手を挙げた紬を律は指差した。

紬「爽子ちゃんには、私がお茶を運んだりすることを手伝ってほしいわ。」

律「お茶運びか・・・。」

澪「雑用をやってもらうってことか?」

紬「何かをしてもらうってことより、一緒にいることが良いんじゃないかしら?」



146 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:47:33.97 ID:SPfM/7I0

爽子が逃げ出してしまった後。律・澪・紬の三人は唯から爽子の事情を聴いた。
クラスで孤立してしまったこと。でも、悪い子じゃない。
爽子の友達になってほしい。一緒に部活をしたい。

律「そうだな・・・。無理に何かさせるより、一緒にいて、話したりの方が良いのかな。」

澪「うん。私も無理に音楽に関わらせようとしないよ。」

紬「爽子ちゃんにとっても、それが一番だと思うの!」

紬がそう言うと、全員顔を見合わせてうなずいた。
すると、部室のドアが開き、唯と爽子の二人が入ってきた。
噂をすれば、なんとやらだ。

唯「遅くなってごっめ~ん!」

爽子「ご、ごめんなさい・・・!」



147 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 21:58:52.48 ID:SPfM/7I0

律「何してたんだ?掃除当番か?」

唯「ぶっぶ~!違います!」エッヘン

なぜか唯が威張って言う。

澪「なんで威張ってるんだよ、唯」

唯「花壇の手入れです!」フンス

唯は鞄をベンチに置くと、それに爽子も倣った。

律「花壇の手入れ~?!」

紬「花壇なんてあったのね~。」



148 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:04:39.76 ID:SPfM/7I0

唯「うん!さわちゃんが使われてない花壇を見つけててさ~。」

唯と、爽子が着席すると、紬が席を立った。お茶の準備をしに行くためだ。

澪「何か育ててるのか?爽子。」

爽子は、突然話しかけられ、びくっと反応すると、うつむきがちに話しだした。

爽子「や、薬草を・・・。」

澪「へ、へぇぇぇぇ・・・。」

その雰囲気が、魔女のそれをだぶって、澪は少しおびえたように言う。



149 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:09:12.58 ID:SPfM/7I0

律「薬草って・・・。何か薬でも作る気かよ!魔女みたいだな!」

律が澪の思ったことを感じ取ったかのように、代弁する。

澪「こら!人が言いづらかったことを!」

爽子「ハーブも育ててるから、お茶もできるし・・・皆のお茶会に役立つかなって・・・。」

唯「りっちゃん!澪ちゃん!魔女はひどいよ!」プンプン

律・澪「ご、ごめんなさい・・・。」



150 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:13:41.91 ID:SPfM/7I0

二人が謝ったのと同時に、紬がお茶と茶菓子を運んできた。
唯の目が輝いている。

紬「今日は緑茶だから、おはぎで~す。」

唯「おはぎ!おはぎ!」

唯のテンションは上がりきっている。ほかの三人の目も輝いている。
紬を除く全員が、目の前のおはぎをほおばると、より一層目の輝きを増した。

律・澪「うまい!」

唯「おいしい!」

紬「よかったわ~。・・・爽子ちゃんはどお?」ニコニコ



151 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:21:22.38 ID:SPfM/7I0

爽子は、また突然自分に振られたので、何か良いことを言おうと、唸っている。

紬「おいしい?」

紬に促されて、すごい勢いでうなずく。
慌てて話しだそうとしたので、おはぎをのどに詰まらせたらしい。
焦ってお茶で飲み下すと、爽子は堰を切って、話出した。

爽子「ひ、非常に上品なお味でなんというか、気品にあふれているというか・・・。」

紬「おいしいってこと?」

爽子「とってもおいしいです・・・!」

紬「よかった~。」ニコニコ

爽子は、笑顔を見て、心が救われるような気がした。
なんて素敵な笑顔を見せるんだろう・・・。

爽子(私もこんな笑顔をしてみたいな・・・。)



152 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:27:09.62 ID:SPfM/7I0

爽子はいつの間にか、紬に見とれていたらしい。
それに気付いた紬が、少し顔を赤らめて言う。

紬「やだ!何か顔についてる?」

爽子は、はっと我に返って、顔を横にブンブンと振った。

紬「どうしたの?爽子ちゃん?」

爽子「なんでもないの・・・!」

二人の会話が途絶えたと同時に、他の三人がおはぎを食べ終えた。

律「爽子には、何かしらしてほしいことをしてもらうことにした!」

澪「漠然としててごめんな?でも、音楽に関することを無理やりやってもらうことはしないよ。」

唯「皆とお茶飲んで、おしゃべりするだけでも、楽しいもんね!」



153 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:36:20.12 ID:SPfM/7I0

澪「唯・・・私たちは軽音楽部だぞ?」

唯の天然のボケに澪からするどい突っ込みが飛ぶ。

唯「あ・・・あははは・・・。」

律「唯は、ギターを準備しないと、どうしようもないな~。」

紬「もってないのよね?ギター。」

唯は申し訳なさそうに頭をかいて言う。

唯「うん・・・。だから、今日はお茶を飲むだけで―。」



154 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:42:51.52 ID:SPfM/7I0

唯が言い終わるや否や、澪が突然立ち上がり、唯を指差して言った。

澪「ギターを見に行こう!」ビシッ

唯「えぇ~?!」

律「また突然だな~。」

澪「これじゃあ、練習もできないしな。値段とかも唯には見てほしいし・・・。」

唯「ま、また今度にしない?休みの日でも・・・。」

爽子は和から言われたことを思い出していた。
唯が席を外したお昼休みの時のことである。



155 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:47:18.59 ID:SPfM/7I0

和『唯を甘やかしちゃだめよ?』

爽子『・・・え?』

唯がいなくなると、和が突然眉をひそめて話しだしたので、爽子は驚いた。

和『甘やかすと、だらしないのよ、唯は。だから、一番近くにいる爽子が叱ってあげて?』

爽子『し、しかるの?』

和『そう。親心よ。』

爽子『お、親心・・・。』

和『唯って、どこか抜けてるし、にくめないけど・・・。』

和の言葉に、爽子は深くうなずく。

和『たまにはびしっと言ってあげないと。けいおん部の皆には迷惑かけると思うわ。』



156 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:51:15.79 ID:SPfM/7I0

和は爽子に向き直り、目を見つめて言った。

和『唯をお願いね?』

爽子は唯に対する心のこもった思いを受け取って、しっかりとうなずいた。

唯『あ~!何の話~?』

唯が戻ってきた。二人は同時に唯の方へ向いて言った。

爽子『なんでもないの!』和『なんでもないわ。』

唯『おおぅ・・・二人ともいつの間にかすごく仲好くなったね・・・。』



157 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:56:10.32 ID:SPfM/7I0

場面は戻って、放課後の軽音楽部、部室。
唯が、澪のギターを見に行こうという提案を受け流したところだ。

唯「さ、さわちゃんもお茶もっと飲みたいよねぇ?」

唯は、援軍を呼ぶべく爽子へ声をかけた。しかし、爽子は援軍にはならなかった。

爽子(いまこそ、和ちゃんとの約束を果たすべき時・・・!)

爽子は、大きくうなずくと、唯へ向きなおり、言った。

唯「ほら!さわちゃんも、お茶を飲みt―。」

唯が勘違いで言うのをさえぎって、爽子が言う。



158 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 22:59:10.80 ID:SPfM/7I0

爽子「唯ちゃん!ギターを見に行こう!」

思わぬ提案に、シーンとなるほか四人。

爽子(・・・え?)

予想だにしない他四人の反応に、戸惑ってしまった爽子は、さっと青ざめた。

爽子(い、今のは、唯ちゃんに乗るのが正解だったの・・・?!)

爽子が、謝ろうと、席を立ち、頭を下げようとしたその時、澪が言った。

澪「ほら!爽子の方がわかってくれてるみたいだぞ?」



159 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 23:02:56.25 ID:SPfM/7I0

律「お!爽子は行く気満々みたいだな!」

爽子が急に立ち上がったのを、ギターを見に行くことへのやる気の表れだと勘違いした律は、それを見て立ち上がった。

紬「善は急げね!」

そう言って、紬も立ち上がる。

唯「さわちゃんまで、そういうなら・・・。」

と、唯も渋々立ち上がった。



160 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 23:11:02.67 ID:SPfM/7I0

律「よーし!じゃあ、楽器店まで皆で行くぞ!おー!」

律が拳を上げて掛け声を出すと、全員がそれに倣って、おー!と言った。
爽子も遅れて小さく手を挙げ、小さくおーと言った。

律「爽子!声が小さい!」

律に指摘され、びくっとすると、爽子が大きく、おー!と、言いなおした。

爽子(これは・・・友達とショッピングをするのと同じ・・・!)

爽子は思わぬ夢の実現に、内心飛び上るほど喜んでいたのである。
しかし、楽器店に着いた唯と紬と爽子の三人は、ギターの思った以上の高額に、驚くのであった。



161 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 23:13:19.78 ID:SPfM/7I0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回はここまでで。
読んでくださっている方、ありがとうございます。

次回は、君に届けの設定にはない設定を、爽パパに足してしまいます。
話をスムーズに進めたいので、ご了承を。

では、おやすみなさい。
失礼します。



166 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/15(水) 23:47:25.89 ID:A/Xohfs0

おまたせしてすいませんでした・・・

用事が立て込んで、書き込む時間がありませんでした・・・

ほんとに、申し訳ないです・・・




167 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/15(水) 23:52:10.05 ID:J/O3GbYo

ゆっくり待ってるから平気よ!
このSSのほのぼの平和空間が大好きだし





168 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/15(水) 23:59:43.98 ID:A/Xohfs0

~夜、爽子家~

爽子「はぁ~・・・・・・・・。」

爽子は、食卓について、少し食を進めた後、大きなため息をついた。
今まで以上に大きなため息に、爽子の両親は顔を見合わせた。

爽子父「ど、どうした?爽子。」

心配して父が声をかける。
その声にハッとした爽子は、顔をあげて平静を装う。

爽子「なんでもないの・・・!」

爽子父「家族に隠し事をしちゃだめだ!言いなさい。」

爽子は、うつむいて、言うか言うまいか考えているようだ。



169 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:10:35.61 ID:Saj.QZg0

爽子母「お父さん!無理に言わせることはないわよ。」

爽子父「しかし・・・家族で解決できるなら、それに越したことはないだろう?」

爽子母「そうだけど・・・。」

二人の会話が途切れたところを見計らってか、爽子が顔を上げた。
どうやら、言うことを決意したらしい。

爽子「実は・・・。」

爽子は、友達がギターを欲しがっていること。
しかし、そのギターが高く、手が出ない価格であること。

爽子母「ギターってそんな値段するのね!」

爽子「うん・・・。」

爽子母「アルバイトしたらどうかしら?」



170 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:16:11.85 ID:Saj.QZg0

爽子「そうなんだけど・・・。」

律が「バイトをして、稼ごう!」と、提案したのだが、唯はその提案を断った。
そして、「おこずかいを前借して、こっちの安い方を買うよ~。」と、唯は言った。

爽子母「安いのもあるのね。その子はかわいそうだけど、その値段は学生には手が出ないわ~。」

爽子「うん・・・。」

爽子(唯ちゃんは最後の最後まで、高い方のギターを気に入ってた・・・。)

爽子父は、いつの間にか、食事を終えて、箸をテーブルへ置いていた。
爽子をじっと見つめて言った。

爽子父「そのギター、どんなギターだった?」



171 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:30:52.22 ID:Saj.QZg0

爽子「えっと・・・赤い色が基調だったような・・・。」

それを聞いた父は、席を外して、リビングを出て行った。

爽子と、爽子母は突然の行動に、顔を見合わせてしまう。

爽子母「どうしたのかしら・・・突然・・・。」

爽子母がそうつぶやくと、父が部屋へ戻ってきた。
黒い革製のギターケースを手に抱えていた。

爽子母「あら?それって・・・。」

父は、そのギターケースからギターを取り出しながら言った。

爽子父「実は僕も昔、バンドをやろうとしててね。このギターを知り合いからゆずってもらっていたんだ。」

爽子母「・・・・・・。」ニコニコ

母は、微笑んだまま父を見ている。
父はギターを持ち上げて、爽子に見えるようにすると、言った。

爽子父「こんなギターじゃなかったかい?」

爽子は、そのギターを見た瞬間、目を輝かせて、立ち上がったのだった。



172 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:36:14.91 ID:Saj.QZg0

~翌日、朝・通学路~

唯「ほ、本当にもらって良いの?!」

唯は眼を輝かせて、爽子の両手をぶんぶんと上下させながら言った。

爽子「うん・・・。お父さんも使わないからって。」

そう。爽子の父が持っていたのは、唯が最初にほしいと言ったギターだった。
唯は、受け取ったケースを大事そうに抱え、満面の笑みを見せている。

唯「早く触ってあげたいよ~」

爽子「良かった・・・。喜んでもらえたみたいで・・・。」

唯「すっごく嬉しいよ!ありがとうね、さわちゃん!」ニコ

唯の思った以上の喜んだ顔に、爽子の顔が自然に和らいだ。



173 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:39:55.15 ID:Saj.QZg0

和「唯・・・その大きなケースは何?」

和が唯の自宅前にやってきて、唯の持っている黒いケースに興味を示した。

唯「ふっふっふ・・・。」ニヤ

唯はほほを釣り上げるような笑みを見せて言う。

唯「ひ・み・つ」ウフッ

唯がウィンクしながら言うと、和はため息をつくと、首を振って言う。

和「別に、教えてくれないならいいわ。爽子、いきましょう。」スタスタ

和は唯のボケにも動じず、先に歩きだしてしまう。



174 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:43:57.60 ID:Saj.QZg0

唯「の、和ちゃんひどい!」グスッ

唯は涙目になりながら、和の後を追った。
爽子は、ノリが分からず、おろおろしていまう。

和「ほら。唯が余計なことするから、爽子が困ってるわ。」

唯「え、えぇ~?!わたしのせい?!」

爽子は、猛スピードで首を左右に振る。

爽子「ち、ちがうの!」

唯「そうだよ~!悪いのは和ちゃんだよ~」ブーブー

唯が爽子の解釈を都合よくとって、和へ反論する。



175 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:48:04.43 ID:Saj.QZg0

爽子「え?!いや、あの・・・。」

爽子はさらにおろおろする。

和「こーら!唯、悪乗りしすぎよ。」

唯「えへへ。ごめんごめん。」

爽子は結局、ノリをとらえきれぬまま、二人の調子はいつもどおりに戻った。

和「今のは唯にボケを『無視する』っていうことでね・・・。」

和がまじめに解説をし始めようとすると、唯が戒めた。

唯「それは解説することじゃないよ~。」

しかし、爽子は真剣そのもので、まじめにこう切り返した。

爽子「つ、続きをお願いします!」



176 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:52:50.91 ID:Saj.QZg0

~放課後、軽音楽部・部室~

律「唯~、よかったなぁ!」

ギターを大事そうに抱えている唯に向かって、律が言った。
放課後。例のごとく集まった五人は、お茶会を始めようとしていた。

唯は皆が集まると同時に、早速ギターを取り出して、ギターを愛でていた。

唯「うん!ギ―太ぁ」ナデナデ

澪「ギターに名前を付けたのか・・・?」

唯「そうだよぉ。」エヘヘ

律「澪はベースにつけてないのか?」

澪「つ、つける必要ないだろ!」



177 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 00:57:39.67 ID:Saj.QZg0

その頃。爽子と紬はお茶を淹れる準備を二人でしていた。

紬「こうやって少し蒸らすことが重要なの!」

爽子「なるほど・・・。」

紬は爽子に紅茶の淹れ方をレクチャーしている。
紬が優雅にカップへお茶を注ぐ。
爽子は、その姿に見とれていると、紬がそれに気付いて言う。

紬「そんな見つめられたら、はずかしいわ。」カァァ

爽子「ご、ごめんなさい!」ハッ

爽子は慌てて顔をそむけて言う。

爽子「あまりにも、様になってたから、つい・・・。」

紬「本当?うれしいわ~。」



178 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:01:03.90 ID:Saj.QZg0

律「はぁ~・・・。やっぱり、ムギが入れるお茶はうまいなぁ・・・。」

律は紅茶をいっぱい口入れ、飲み下してからつぶやいた。

紬「ありがとう、りっちゃん。」

唯「そういえば、今日お菓子は・・・。」

唯が、現金なことを言ったと同時に、紬が頭を下げた。

紬「ごめんね!今日はおいしそうなものが手に入らなかったの!」

唯「あ!き、気にしなくて良いよ!」アセアセ

澪「唯~。ここはお菓子を食べるところじゃないんだからな~。」

唯「えへへ・・・。つい・・・。」



179 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:08:11.26 ID:Saj.QZg0

爽子(お菓子か・・・クッキーとかなら、前日に作っておけるかも・・・。)

唯「は~・・・。やっぱり、お茶ができるって良いねぇ・・・。」

律「このために学校来てる感じだよな・・・。」

律と唯の二人が、シンクロしてため息をついて、テーブルへ突っ伏した。

澪「さ!お茶の時間も終わったし、練習だな!」

唯・律「えぇ~!?」

二人は声も体を起こす動作もシンクロさせていた。

爽子(すごい・・・この二人・・・。)

澪「とくに唯!ギターの練習は積み重ねが大事なんだぞ!」

唯「は~い・・・。」

澪「さ!練習しよう!」

唯「澪ちゃんって結構熱い人だったんだね・・・。」



180 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:13:02.18 ID:Saj.QZg0

唯たちがそれぞれの練習をしている間、爽子はクッキーを作る計画を立てたり、授業の予習を片づけていた。
唯は、指がつるっと悲鳴を上げたり、指が痛いと言ったり、騒がしく時間が過ぎて行った。
爽子は、その姿を遠目に見守りながら、微笑んでいた。

日が暮れ、すっかり夕焼けに包まれた頃、下校時間のチャイムが鳴る。

律「おっと・・・。今日はここまでだな!」

唯「ううう・・・。もうめちゃくちゃ指を動かしたよ・・・。」

澪「ちゃんと、家で復讐して、覚えてくれないとな。」

唯「がんばります!」フンス

紬「唯ちゃん!頑張って!」



181 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:22:45.66 ID:Saj.QZg0

唯「さわちゃん、おまたせ~!」

律「ごめんな~。毎回こんな感じになっちゃうけど・・・。」

爽子「ううん。大丈夫。私、皆の練習を見てるだけでも楽しいから・・・!」

律「そっか。なら良いんだどな~。退屈してたら、どうしようかと思ってさ。」

それぞれが鞄を持つと、全員は校門へと向かった。

唯「ぎ、ギ―太重い・・・。」

澪「そのケースだと、持ちづらいだろ?」

唯「う、うん・・・。」

律「じゃあ、澪と同じようなケースがあるか、今日は見に行ってみるか!」

紬「行こう行こう!」

この後、一行は楽器屋に向った。
しかし、目当てのケースは見つけたのだが、唯の所持金では足りず、結局唯は皆から借りて、ケースを手に入れたのだった。



182 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:31:40.66 ID:Saj.QZg0

―番外編・guitar with Yui―

唯「ギー太ぁ・・・♪」

憂「よかったね、お姉ちゃん。」

自宅に帰った唯は、憂に早速爽子からもらったギターを披露していた。

憂「そういえば、ちゃんとお礼を言ったの?」

唯「あ・・・。そういえば・・・。」

憂「その・・・さわちゃんって人は、音楽をしないんだよね?」

唯「そうそう!・・・誰のギターなんだろう・・・そういえば。」

憂「今度、ちゃんとギターの持ち主の人にお礼を言わなきゃね!」



183 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:36:07.49 ID:Saj.QZg0

唯「さわちゃんに連r―あー!」

唯は、携帯を取り出して、こう言って、突然顔を上げた。

憂「どうしたの、お姉ちゃん?」

台所に居た憂は、唯が突然声を出したので、慌てて唯のもとへ戻ってきた。

唯「メアドとか聞いてなかった・・・。」

憂「えぇ~?!」

唯「明日、ちゃんと聞かなきゃ!よし、練習練習!」ジャカジャカ

憂「も~・・・。」(ギターを弾くお姉ちゃんもかわいい!)



184 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:41:25.79 ID:Saj.QZg0

~夜、爽子宅~

夕食を終えると、爽子父はギターのことを爽子へ聞いた。

父「友達は喜んでたかい?」

爽子「うん・・・!すっごく喜んでた!」

爽子の顔にぱっと明るさが宿る。
その顔を見るだけで、父は嬉しくなったようで、上機嫌で言う。

父「そうかそうか!」

しかし、爽子はここで爽子の父からのプレゼントであることを言っていないことを思い出した。

爽子(忘れてた・・・。)

父「はっはっはっは!」

父の満足げな笑い声が、黒沼家に響いていた。

―番外編・guitar with Yui― 完



185 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:46:04.78 ID:Saj.QZg0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本当に、長らくお待たせしてすいませんでした。

忙しくて、パソコンに触れる時間が全くなかったので、書けませんでした。

読んでくださっている皆さんには、ご迷惑おかけしました。

こんどは今週の金曜から~土曜の夜に必ず続きを書いて、一気に加速して、終幕にさせていただきたいと思います。

>>167
ありがとうございます。雰囲気壊さないように頑張ります。

では、しつれいします。
おやすみなさい。




186 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 01:58:17.79 ID:BsfKCRgo

おつおつ
さわこパパの使い方そう来たかって感じだwwww
次回も楽しみにしてる!



187 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/16(木) 11:59:03.94 ID:UfXh5eUo

おつ!
爽子のけいおん世界への溶け込み具合は異常





188 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 22:55:15.67 ID:tR2QesE0

~朝、爽子家~

爽子は、目覚ましの音とともに、目を覚ました。
時間はいつもより1時間くらい早い。
彼女は昨日計画したクッキー作りをしようというのである。
二人を起こさないように、階下へ向かう。
どんなクッキーにするかは、昨日寝る前に決めた。
学校で爽子が栽培しているハーブを使ったクッキーだ。

爽子(・・・よし!)

爽子は、両手でガッツポーズをしながら、自分に気合を入れた。

昨日の夜、用意しておいたクッキーの種を爽子らしく、丁寧に鉄板へ均等に並べていく。
爽子はお菓子作りには少し自信があった。

爽子(皆が気に入ってくれるとよいな・・・。)

爽子はそんなことを考えながら、作業を進めた。



189 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:01:19.86 ID:tR2QesE0

~朝、通学路~

今日も唯、和、爽子の三人は一緒に登校している。

唯「やっぱり、ギー太は重い・・・。」

和「そんなに重いの?」

唯「和ちゃんも持ってみる?」

唯は、担いでいたギターをおろして、和に渡そうとする。

和「いいわよ!私に持たせようとしないでよ!」

唯「え~、持ってみようよぉ~。」

和はそっぽを向いて、持とうとしない。
唯のわがままの矛先は、爽子に向いた。



190 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:09:20.65 ID:tR2QesE0

唯「さ・わ・ちゃん!持ってみませんか?今ならタダですぜ・・・。」

爽子(私も持ってるとき重かったし、少しだけなら、持ってあげよう・・・。)

爽子はそう思いながら、唯のギターを受け取ろうとした時、和の言葉が脳裏に浮かんだ。

和『今のは唯のボケを「無視する」ことでね―』

爽子(無言の突っ込みという笑いを生む・・・!)

爽子は、受け取ろうとした手をさっと後ろに隠すと、唯を無視して先に歩いて行ってしまう。



191 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:12:40.85 ID:tR2QesE0

唯「さ、さわちゃん?!」

和「爽子・・・っぷ」

和は何かを思い出したらしく、最初は驚いた顔をしていたが、噴き出した。

唯「和ちゃん・・・?」

和「爽子も成長したわね・・・。」ニコニコ

唯は、和の意図が分からず、首をかしげた。

和「唯、早くしないと遅れるわよ!」

唯「あ、ま、待って~!」アセアセ

二人は、ずいぶん遠くへ行っていた爽子に追い付くべく、爽子の下へ急いだ。



192 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:19:23.18 ID:tR2QesE0

~放課後、軽音楽部部室~

紬「今日は、紅茶で~す。」

紬が、爽子とともにお茶を運びながら言った。
運ぶ爽子の目は真剣そのものだった。

爽子(お、落としたら大変なことになる・・・。)

爽子は、お茶を運ぶ数分前、紬の手伝いをしているときに、カップの綺麗さに思わずつぶやいた。

爽子「このカップ、すごいきれい・・・。」

紬「そうかしら?昔から家にあって、一番安いから持ってきたの」

爽子「そうなんだ・・・。お、おいくらなの?」



193 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:24:03.53 ID:tR2QesE0

爽子(い、意識すればするほど・・・。)

爽子は、値段を聞いたことを後悔しながらも、なんとか皆の待つテーブルへ到着した。

紬「爽子ちゃんが、手伝ってくれて、助かるわ~。」

爽子はそう言われて、顔を赤らめて照れている。

唯「照れてるさわちゃん、かわいい~。」

唯が、その姿を茶化すと、さらに顔を真っ赤にして、手を突き出して否定した。

爽子「そ、それはありえないよ・・・!!」

澪「唯!あんまり、爽子を困らせるなよ。」

唯「えへへ。かわいくて、つい。」



194 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:32:54.47 ID:tR2QesE0

律「でも、爽子って良く見たら、かわいいよなぁ。」

澪「良く見たら、は余計だろ!」ゴン

律「あいた!」

紬「でも、爽子ちゃんが、幽霊だなんて―」

紬の失言をごまかそうと、律が必死に口を塞いだが、間に合わなかった。
幽霊―その部分はしっかりと、聞こえてしまった。

唯「幽霊・・・?」

爽子「・・・・・・・・。」

気まずい雰囲気が、けいおん部内に流れる。



195 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:39:46.55 ID:tR2QesE0

紬「ご、ごめんなさい・・・!言っちゃいけなかったよね・・・。」

紬が、先陣を切って謝る。

律「わ、私が悪いんだ!紬に前、そういう風に言われてるって言ったんだ!」アセアセ

澪「り、律!」

唯と爽子を除く三人は慌てて、失言を取り消そうとしている。

唯「みんな・・・。」

唯は、ショックを受けたように呆然とする。
しかし、爽子は違った。



196 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:52:29.29 ID:tR2QesE0

爽子「大丈夫だよ、唯ちゃん・・・!」

爽子は、笑顔を見せて言う。

爽子「幽霊と言われてたのは・・・私のせいでもあるの・・・。」

爽子「でも、そんなことも関係なく、皆は私と・・・友達になってくれた。」

全員が、爽子に注目する。
爽子は、また自然な笑顔を皆に見せた。

爽子「だから・・・。そんなに、謝らなくて良いの。」

唯「うん・・・。そうだよね。皆は友達だもん!」

律「そう・・・。そうだよな。笑い話にしたっていいよな。」

澪「そうやって、開き直るなよ!」ゴン

律「あいた!また殴った!」



197 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/18(土) 23:57:42.00 ID:tR2QesE0

紬「でも、軽率に口にして、本当にごめんなさい・・・。」

爽子「気にしてないから・・・!」

紬は、自分の鞄へ向かうと、何かを取り出して、皆のいるテーブルへ戻ってきた。

紬「場を悪くしてしまった。お詫びです!」

紬の手に握られていたのは、高級そうな包みに入れられたクッキーであった。
爽子は、そのクッキーを見て、驚愕の顔を見せると、皆に見られぬように、顔を背ける。

爽子(かぶった・・・!)

唯「わーい!おいしそうなクッキーだね!」

唯が、テーブルの中心におかれたクッキーの袋に、いち早く手をつけた。

律「相変わらず、手が早いな!」

と、言いながら、律も手を伸ばす。

澪「いつも、ありがとうな、ムギ。」

そう言って、澪も手を伸ばした。



198 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:02:29.41 ID:hZ63cio0

爽子は、ショックを受けたまま、立ち尽くしていた。

唯「さわちゃん?どうしたの?」

唯が、不審に思って、爽子に問いかける。
爽子は、唯に声を掛けられて、我に返って、取り繕う。

爽子「な、なんでもないの・・・!」

爽子は素早く着席すると、クッキーを口にする。

爽子(お、おいしい・・・!)

自分と比べ物にならないくらいのおいしさに、びっくりすると同時に、自分のクッキーを出さずによかったと、爽子は安堵したのだった。



199 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:17:31.38 ID:hZ63cio0

爽子にとって、友達と登下校し、一緒に遊ぶことが、何よりも幸せだった。
いつの間にか、彼女は、自然な笑顔を皆にふつうに見せることができるようになっていた。
楽しいときは、どんどん過ぎて行った。
夏、合宿。友達との初めての泊りがけの旅行に、爽子は集合の前日に寝ることができずに、初めて『遅刻』した。

そして、秋。
けいおん部にとっても、初めての経験がライブが幕を開けようとしていた。



200 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:26:04.14 ID:hZ63cio0

―最終章―


時は少しさかのぼって、夏休みの終わり。

爽子は、夜、寝苦しさから目を覚まし、下で何か飲もうと部屋を出た。
階段の中盤に差し掛かり、リビングから光が漏れていることに気付いた。

爽子(まだ、お父さんとお母さん、起きてたんだ・・・。)

二人は室内で何か話し合っているらしい。話の断片が聞こえてくる。

爽父「―ってくれるみたいなんだ。」

爽母「そうなの?良かったじゃない!」

爽父「うん・・・。せっかく友達ができた、爽子には悪いが・・・。」



201 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:29:39.53 ID:hZ63cio0

爽子(私に悪い・・・?)

爽子は、嫌な予感がして、眠気が覚めてしまった。
リビングに入ろうかためらっていると、話の続きが聞こえてくる。

爽父「一人暮らしをさせるわけにはいかないなからね。」

爽母「そうね・・・心配だものね・・・。」

爽父「わかってくれるかな、爽子は・・・。」

爽母「大丈夫。わかってくれるわ。」

すると、突然廊下へと続く、ドアが開いた。もちろんそこには、爽子がいた。



202 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:36:46.16 ID:hZ63cio0

爽父「爽子!」

爽子「私に悪いって、どういうこと?お父さん。」

爽父は顔をそむけてしまう。爽母は、その姿にため息をついて言った。

爽母「爽子には、本当に悪いけど、また引っ越すわ。」

爽子「・・・え?」

爽父「今度は、同じ一軒家でも違うぞ!庭が付いているから、ガーデニングもできるんだ!」

爽母「悪いことじゃないの。お父さん、出世したのよ。」

次々と爽子に、言葉が浴びせられる。
しかし、爽子の頭には入ってこなかった。
彼女を支配していたのは、また引っ越すという事実。



203 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:44:43.22 ID:hZ63cio0

爽子「が、学校は・・・?」

爽父「転校・・・になる・・・。」

爽父は苦しげに言う。爽子のつらさが分かるからこそだ。

爽母「突然決まったんだけど、今回住む家も知り合いの方がゆずってくれるって・・・。」

爽母は、うつむいている爽子の目線に合わせるように、屈んで言う。

爽母「こんな良いことないの。本当に。」

爽子は、爽母に目を合わせると、我に返り、爽母の声が頭に入る。
呆然とした顔のまま、爽子は何とか声を発する。

爽子「うん・・・。」

爽父「突然で、本当にすまない・・・。」

爽子「ううん・・・。」

爽子は、力なく首を振る。

爽子「引っ越しはいつなの?できれば、文化祭まで待ってほしい・・・。」

その言葉に爽父は、微笑むと、大きくうなずいた。



204 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 00:57:13.65 ID:hZ63cio0

~文化祭一か月前、軽音楽部部室~

唯「引っ越す・・・?」

爽子の口から語られたことに、唯は驚きながら言った。

律「そ、そんな・・・。」

澪「いつ引っ越すんだ?」

爽子「文化祭が終わったら引っ越すの・・・。」

紬「もう一ヶ月しかないわ!」

唯「突然過ぎるよぉ!」

唯が、涙目で、爽子を見る。
爽子はその顔を見て、笑顔を見せる。どこかぎこちない笑顔だ。

爽子「お父さんが、出世して・・・都心の方へ行かなきゃいけないの・・・。」

澪「そっか・・・良いことなんだな・・・。」



205 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:10:21.96 ID:hZ63cio0

律「よし!爽子のためにも、文化祭は最高のものにしないとな!」ガタッ

律は席から立ち上がりながら言う。

律「練習だ!練習!」

律はそう言うと、先陣を切って、ドラムセットへと向かう。
涙目の唯と紬も、目元をぬぐって、律へと続く。澪もその姿を見て、後に倣った。

爽子は、その姿に安堵した。私が原因で、皆の気分が落ち込んでしまったら・・・。

爽子(私のために、皆明るく、前向きに・・・そして私のために、行動してくれてる。)

爽子は、気付かれないように小さくガッツポーズをした。

爽子(私も頑張らなきゃ・・・!)

そう思いながら、爽子は、けいおん部の紹介をする練習を黙々と始めた。



206 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:17:48.19 ID:hZ63cio0

~下校時、澪と律~

二人は、爽子の突然の告白のショックからか、皆と別れた後、何も言わずに並んで歩いていた。
二人の家へのわかれ道へ近づいたとき、澪が口を開いた。

澪「爽子のために、曲をかけないかな?」

律「え?」

澪「まだ一カ月あるし、なんとかならないかな?」

律「まぁ、演奏する曲は形にはなってるけど・・・。」

澪「一曲削って、爽子のために曲を入れたいな・・・。」



207 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:24:21.12 ID:hZ63cio0

律「私は賛成だけど、他の二人にも聞いてみよう!」

澪「律・・・!ありがとう!」

律「へへっ。じゃあ、私の家に集まれるかメールしてみるか!」

律は携帯を取り出すと、皆へのメールを打つ。

律「そういえば・・・爽子のアドレスって、聞いてないな・・・。」

澪「唯なら知ってるんじゃないか?」

律「あ~。確かになぁ。」

その場でそんな話をしていると、二人から返信があったようで、携帯が震える。

律「お、二人ともこれるらしいぞ。」

澪「良かった!」

律「澪は先に私のうちにいてくれよ。私は二人を迎えに行ってくる。」

律はそう言うと、澪に鞄を預けて、メールを打ちながら、歩き始めた。



208 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:40:33.26 ID:hZ63cio0

~文化祭一週間前、軽音楽部部室~

律「うん・・・良いんじゃないか?」

澪「なんとか間に合ったな!」

唯「さわちゃん、喜んでくれるかなぁ?」

紬「喜んでくれるはずよ!」

爽子を除く四人は爽子には、今日は練習は休みだと嘘をつき、爽子のための曲をみっちり練習していたのである。

律「いやーなんとかなるもんだなー!」

澪「まぁ、ほとんどもともとあった曲に少し手を加えただけどな。」

唯「でも新しくしてたら、間に合わなかったよねぇ。」

紬「りっちゃん、名案だったわ~。」

律「なんの、なんの!」



209 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:46:55.34 ID:hZ63cio0

澪「よし!じゃあ、この調子でほかの曲も練s―」

練習しようと、澪が言いかけると、唯と律がこぞって反対する。

唯「え~!休憩しようよぉ~!」ブーブー

律「そうだ、そうだー!お茶しようぜぇ!」ブーブー

澪「お、お前らなぁ!」

と、澪が二人を説き伏せようとした時、紬が手を挙げて言う。

紬「私もお茶が飲みたいで~す。」

紬の賛成に、澪は何も言うことができない。

澪「まったく・・・休憩したら、また練習するからな!」

ほか三人は元気よく「はーい!」と、返事をすると、唯と律はテーブルへ、紬はお茶の準備へと向かったのだった。



210 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 01:57:16.68 ID:hZ63cio0

~文化祭前日、夜、爽子宅~

爽子の部屋はすでに、ダンボールで埋め尽くされていた。
何もない部屋に、机と椅子、テーブルにベッドだけが、味気なく残っている。

爽子は、今まで澪が撮ってくれた写真を見返していた。
思い出が、爽子の心を包み込んでいる。
温かい気持ちが爽子の胸を支配すればするほど、彼女たちとの別れがつらくなる。

爽子(泣いちゃダメ・・・笑って・・・笑って、皆とお別れするの・・・。)

爽子は、溢れそうになる涙をぐっとこらえて、写真をそばにあったダンボールへしまう。

爽子(そうだ、明日は皆に、今度こそ手作りを食べてもらおう。)

爽子は結局、紬のクッキーとかぶってしまって以来、手作りを皆に振る舞うことを委縮してしまったのである。

爽子「・・・よし!」

爽子は声に出して、気合を入れると、部屋を後にして、クッキー作りに取り掛かったのだった。



211 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:07:18.83 ID:hZ63cio0

~文化祭当日、軽音楽部ライブ1時間前~

爽子は文化祭で大活躍していた。
普段の料理好きが功を奏し、彼女の作る焼きそばは好評を得ていた。
爽子と唯と協力して、一生懸命に作っていると、澪が教室にやってきた。

唯「あ、澪ちゃん!」

唯が気づいて、声を上げる。
爽子は焼きそばに一所懸命で気付かないようだ。

爽子「い、いらっしゃいませ~!」

爽子は、初対面の人にはいつも通り(?)ぎこちない笑顔で応対する。
その笑顔は、どうも人を凍りつかせてしまう。
澪は、久しぶりの爽子の本領発揮(?)に思わず飛び退く。

澪「っひ!」

唯「澪ちゃ~ん!」プンプン

澪「ご、ごめん・・・どうもなれなくて・・・。」

爽子「あ・・・!澪ちゃん。」

知り合いだと気付いた爽子は、いつもの表情に戻って、言った。



212 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:12:58.06 ID:hZ63cio0

澪「なぁ、軽くでいいから、合わせないか?」

澪は自分のクラスに無理を言って、抜け出してきたのである。

唯「でも、私たちもこの持ち場がまだ少しあるから・・・。」

と、唯が言うと、それを聞いていた唯のクラスメイトが「代わってあげるから、行ってきなよ。」と、言ってくれた。

唯「本当に?!ありがとう!」

爽子「あ、ありがとう・・・!」

「ライブ、見に行くから、頑張ってね!」

クラスメイトはそう言うと、彼女たちに代わってくれた。
唯はギターを担いで、爽子と澪と共に教室を後にした。



213 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:18:07.46 ID:hZ63cio0

唯「りっちゃんとムギちゃんは?」

部室へ向かう途中、澪と一緒にいないことを疑問に思い、唯が聞いた。

澪「ふ、二人はお、お化け屋敷にいて・・・。」

どうやら、お化け屋敷で怖い思いをしたらしい。

爽子「私が、見てこようか・・・?」

澪「た、頼む!」

爽子は二人と別れて、律と紬のいるクラスへと向かった。

爽子「りっちゃん!」

律「おー爽子!」

律は受付と書かれた型紙が付けられた机の椅子に座っていた。



214 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:23:30.70 ID:hZ63cio0

爽子「澪ちゃんが―」

律「あー、知ってる。澪が練習したいいって言うんだろ?」

爽子は、こくんとうなずいた。

律「でも、私は受け付けの時間がまだあるんだ。でも、後少しだからさ。」

爽子「そうなんだ・・・。」

律「あ、ついでに入ってけば?」

爽子「良いの?」

律「お客さん、入らなくてさー。暇してるから、入ってくれよ!」

爽子はそう言われて、むげにできず、中に入って行った。



215 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:30:48.39 ID:hZ63cio0

中に入ると、おどろおどろしい、お化け屋敷らしいBGMが流れている。
高校生の文化祭にしては、緻密に作られていて、雰囲気が出ている。

爽子(お化け屋敷なんて、小学生の時、お父さんと入って以来だな・・・。)

そんなことを考えながら、道を進む。
道にある小物のレベルも、怖さを盛り上げるくらいに精巧に作られている。
道中の最後、ミイラが棺桶に収まっている。
それに注目していた爽子は、横からの気配に気づかない。
横から突然現れたもう一体のミイラに、爽子はびくっと体を震わせてゆっくりと、振り向いた。
その顔は、リングの貞子を彷彿とさせる。

ミイラ「ぎゃー!!!!!!!!」

ミイラの方が、大声をあげて逃げてしまった。
爽子は、呆然としていたが、自分の姿を見て逃げ出したことに気付いて、ショックを受けながら、お化け屋敷を出たのだった。



216 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:36:35.67 ID:hZ63cio0

~ライブ数十分前、軽音楽部部室~

律「よし・・・!準備は良いな!」

律がそう言うと、全員が大きくうなずいた。
しかし、澪と爽子は顔面蒼白である。

唯「二人とも大丈夫・・・?」

唯がそう尋ねると、二人とも同時に唯の方を向いて、うなずいた。
力ないうなずきに、紬も心配する。

紬「大丈夫よ、澪ちゃん、爽子ちゃん!ちゃんと、練習してきたじゃない!」

唯「そうだよぉ。大丈夫、大丈夫!」

律「初めてのライブなんだし、失敗したってしょうがないだろ?元気出せって!」

澪と爽子は、目を合わせると、少し顔色を戻して、皆に顔を向けてうなずいた。

律「じゃあ、いくぞ!」オー

唯・紬・澪・爽子「おー!」



217 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:43:11.38 ID:hZ63cio0

~舞台袖~

爽子の心臓は今にも飛び出そうなほど、高鳴っていた。
体が小刻みに震えている。
しかし、爽子の役目は最初に前に出て唯たちの紹介をするだけ。
ほんの数分なのだが、人前に出ることのなかった爽子にとっては、その数分が大役のように感じられる。

律「さーわこ!大丈夫だよ。」

律が震えている爽子に優しく声をかける。
爽子はうなずくが、震えは止まらない。

唯「さわちゃん、頑張って!」

紬「爽子ちゃんも、練習通りやれば大丈夫!」

澪「わ、私も頑張るからな!」ガタガタ



218 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:47:39.94 ID:hZ63cio0

皆に声を掛けられ、いくらか楽になったのか、爽子は笑みを見せた。

和「では、次は軽音楽部の皆さんです。」

和のアナウンスが流れる。

律「さぁ、スタンバイだ!」

律の掛け声とともに、全員が配置につく。
爽子は最初、マイクを持って、緞帳が上がる前のステージに立つ。

和「頑張って。爽子なら、できるわ。」

反対側の舞台袖にいた和が声をかける。
その応援に、なんとかうなずきで爽子は返した。



219 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 02:52:54.87 ID:hZ63cio0

緞帳が上がりきると、暗いステージの上の爽子だけにスポットライトが当たる。

「え・・・?あれって・・・。」
「貞子だ・・・。」
「軽音楽部のライブじゃないの・・・?」
「のっとられたじゃない?霊能力で!」

ざわめきが広がっていく、爽子はなかなか話しだせない。

律「爽子!」

唯「さわちゃん!」

紬「爽子ちゃん!」

澪「爽子・・・。」

爽子(皆の声が聞こえる・・・。うん、私には皆がいる・・・。)

一人じゃない、そう思いながら、爽子はけいおん部の紹介を始める。



220 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:02:17.07 ID:hZ63cio0

爽子「み、みなさん初めまして!軽音楽部のマネージャー兼マスコットの黒沼爽子です!」

静まり返る場内。
「マスコット・・・・?」
「え・・・?」

誰かのつぶやきが場内に漏れる。
くすくすと笑い声も響いている。

爽子「私は最初、なかなかクラスに溶け込めなくて、何とか溶け込もうと、努力していました。」

空回りしてしまう過去の自分が爽子には思い出されていた。

爽子「でも、うまく溶け込めなくて・・・でも、そんなときに声をかけてくれたのが、このけいおん部にいる、平沢唯さんです!」

爽子の紹介とともに、唯にスポットライトが当てられる。唯は頭をかいて照れている。

爽子「彼女は、唯ちゃんは初心者でありながら、ギターとボーカルを猛練習して、今じゃ、ものすごくうまくなりました!」

唯はその紹介にさらに照れている。

爽子「そして、こんな不器用な私を、部活に入れようと決意してくれたのが、部長の田井中律さんです!」

律にもスポットライトが当たる。律は爽子を優しく微笑みながら見ている。

爽子「りっちゃんは、類稀なるドラムセンスと、リーダーシップで、皆を引っ張ってくれます。」

律は少し誇張された紹介に、恥ずかしかったのか、うつむいてしまう。



221 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:14:11.79 ID:hZ63cio0

爽子「こんな私にも音楽をしようと進めてくれたのが、秋山澪さんです。」

澪は緊張を忘れたらしく、爽子を見て微笑んでいる。

爽子「澪ちゃんは、ベーシストらしく皆を支えてくれて、誰よりも音楽に対して熱心でした。」

澪はうんうんと、うなずいている。

爽子「最後に、こんな私に優しく接して、お茶の淹れ方を教えてくれたのが、琴吹紬さんです。」

紬は紹介に手を振って答えた。

爽子「普段はおっとりしてますが、キーボードを弾く姿は機敏で優雅で、美しささえ感じます。」

紬は満面の笑顔を見せている。

爽子「もう一人、けいおん部じゃないのですが、紹介したい人がいます。」

爽子は舞台袖にいる和を見つめる。
和は「え?私?」と、驚いた様子で、自分を指差す。



222 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:26:02.28 ID:hZ63cio0

爽子「それは、真鍋和さんです。」

舞台袖の緞帳にスポットライトが当たる。

爽子「唯ちゃんと一緒に私を救ってくれた・・・何も言わない私の代わりに、言ってくれて本当にありがとう。」

爽子「皆、私の友達です。本当に、この学校に来て、良かったです。みなさんも、こんな素晴らしい友達、仲間を作ってください!」

爽子はいつの間にか、笑顔を見せていた。
その笑顔は、唯と初めて会った時見せた、自然な笑顔。
始めてみる爽子の綺麗な笑顔に、講堂に集まった生徒は心が温かくなるのを感じた。
貞子と呼ばれた噂の女子学生は、そんな噂を感じさせない綺麗な笑顔を持っていた。

爽子「では、皆さん、けいおん部の演奏を聞いてください!」

爽子が、そう言うと同時にけいおん部の皆に当っていたスポットライトの電気が消える。
律のカウントを取るドラムスティックが鳴り響き、けいおん部のライブがスタートした。



223 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:34:59.14 ID:hZ63cio0

ライブは何の滞りもなく進んだ。

爽子(目立つようなミスもなさそうだし・・・皆すごいな。)

爽子はそう思うと同時に、寂しさが込み上げてきた。

爽子(次の曲で最後だ・・・。)

ちょうど、最後の一曲の前の演奏が終わる。

唯「次が最後の曲になります!」

客席からは「えー!?」という声が返ってくる。
彼女たちはたった一度のライブで、ファンをつけてしまったようだ。

唯「次の曲は、我がマスコット、さわちゃん、あ、黒沼爽子ちゃんのために作りました。」

爽子は突然の発表に驚きを隠せない。
爽子が呆然としたまま、唯のMCは続いた。

唯「爽子ちゃんは、最初、学校の道に迷った私にあの笑顔で正しい道を教えてくれました。」

唯「でも、学校ではなかなか皆に溶け込めずにいるシャイな女の子でした。」

唯「話しかけたくても、休み時間には姿が居なくなっててぇ~仲良くなるのが、大変でした!」

笑いが会場内に広がる。
その笑い声で、爽子は我に返った。

唯「やっと、仲良くなれて、一緒にこれからいろいろ思い出を作れると思ったのに、彼女は遠くへ引っ越しをしてしまいます。」

会場内が静寂に包まれる。

唯「そんなさわちゃんを、送り出そうと思って、書いた曲です。聞いてください!」



224 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:45:36.31 ID:hZ63cio0

唯は、澪を、紬を、そして、律を見る。全員が、唯にうなずき返した。

唯「君に届け!」

律のドラムスティックのカウントとともに、演奏が始まった―。

演奏が、音楽が、唯の歌声が、爽子を包んでいく。

爽子(唯ちゃんたちはこういう風に音楽を感じていたんだ。)

爽子の目からは、自然と涙が流れていく。

爽子(私のための歌・・・。私を励ましてくれる歌・・・。)

爽子はあふれ出る涙をぬぐう。演奏が終わるまでに涙を止めなきゃ。

爽子(ありがとう・・・。)

爽子は、音楽を感じながら目を閉じて、そう思ったのだった。



225 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:50:29.25 ID:hZ63cio0

~引っ越し当日、爽子宅前~

爽子の家の前にはけいおん部が勢ぞろいしていた。
しかし、涙を流す者はいない。皆笑顔だ。

爽子「皆、ありがとうね。」

唯「うん。向こうでも頑張ってね、さわちゃん!」

律「病気するなよ!それと、無理するなよ!えっと、あと~」

澪「向こうに行っても、友達、作れるように頑張ってな。」

紬「その笑顔があれば、友達100人できるわ!」

紬の天然ボケに、皆が笑う。



226 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 03:55:21.92 ID:hZ63cio0

爽子「私、あの私のために作ってくれた歌のように、皆と笑顔で別れることができて良かった。」

唯「あっと!わすれるところだったよ~!」

唯は、鞄の中からテープと一枚の便箋を取り出した。

唯「ほんとは色紙の方が良かったんだけど・・・練習に忙しくて、忘れてて・・・。」エヘヘ

律「寄せ書きと、皆のアドレス!爽子が携帯持ったら、すぐ連絡取れるように!」

澪「テープには、爽子のために歌った曲が入ってる。」

紬「元気出したいときとか、それを聞いてね!」

爽子は思わぬプレゼントに、涙があふれる。



227 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 04:00:23.88 ID:hZ63cio0

唯「さわちゃん・・・。」

泣きそうな爽子を、唯が抱き締めると、皆も爽子を抱きしめる。

唯「また会おうね!歌詞にも書いたけど、約束だよ!」

唯は抱きしめた爽子を優しく引き離し、顔を見て言った。
唯もこらえきれず、涙を流している。
皆が泣きじゃくる中、爽父が「そろそろ行くよ。」と、声をかける。

爽子「じゃあ・・・、またね!」

爽子があの笑顔を見せて言う。

唯「うん!またね!」

唯も、律も、澪も、紬も、その笑顔に答えるような笑みで、言葉を返す。
車に乗り込んだ爽子が、見えなくなるまで、四人は爽子へ手を振っていたのだった・・・。

~Fin~



228 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 04:12:09.81 ID:hZ63cio0

―番外編・after story―

桜が舞う。
季節は入学式の季節。

爽子は、舞い散る桜を見て、唯と出会った時のことを思い出していた。

爽子(早く会いに行きたいな・・・。)

桜を見ながらゆっくり歩いていると、黒髪の男子生徒が、辺りをきょろきょろしながら佇んでいた。

爽子(そういえば、唯ちゃんもきょろきょろしていたな・・・。)

爽子が引っ越して通うことになったのは、男女共学の高校だった。
高校のパンフレットに、女子生徒の制服と共に男子生徒の制服も載っていたので、目の前の制服に見覚えがある。

爽子(きっと、新入生で道に迷ったのかな?)

そう思った爽子は、間違った道に進もうとした彼を呼びとめた。

爽子「あの~・・・北幌高校だとしたら、こっちですけど・・・。」

―番外編・after story― 完



229 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 04:19:54.40 ID:hZ63cio0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ほんとに、だらだら長い間書いてしまいました。
遅筆で本当に読んでくださった方にはご迷惑おかけしました。

最後、駆け足になりましたが、実際こんな長く書くのは初めてでした。
誤字脱字、さらに矛盾まで出てきちゃって、申し訳ございません。

とくに、最後の方はお父さんからのギターだって言ってるのに、番外編で言ってないことになってたり・・・。

くるみちゃんとか龍とかを出したかったんですが、どうだそうか悩んだ挙句、思い浮かばなかったので、出しませんでした。出すとか言って、すいません。

最後の番外編は、ちょっと年齢がおかしくなってしまいましたが、あのシーンです。伝説のww

「君に届け」ですが、フランプールの曲をイメージしてません。
彼女たちが書いた全くのオリジナルということにしてください。
詩を書こうと思ったけど、センスないので、やめましたww

最後まで見てくださかった方、途中感想を書いてくださった方、本当にありがとうございます。
誤字脱字、矛盾ありますが、楽しんでいただけたら、幸いです。

では、また何か書けたら書きたいと思います。
失礼します。




230 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 12:48:29.83 ID:lg0BRSwo

乙乙!
こっそり仕事場で読んでたらさわちゃんのメンバー紹介の所でうるうる来た
転校しても一生離れない、大切な友達になれたんだろうな
本当にいい話でした
みんなみんな幸せになれ!





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唯「さわちゃん!」爽子「………はい」#3
[ 2011/01/23 21:40 ] 日常系 | 君に届け | CM(2)

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タイトル:
NO:616 [ 2011/01/24 13:34 ] [ 編集 ]

あずにゃんとの絡みも見たかったな

タイトル:
NO:661 [ 2011/01/26 21:52 ] [ 編集 ]

唯爽ならどんなに良かったかっ!

下のはない

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