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和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です」#前編 【非日常系】


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和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です」#前編
和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です」#後編
和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~桜高祭 本番まであと三日 編~」#前編
和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~桜高祭 本番まであと三日 編~」#後編
和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~完結編~」#前編
和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です~完結編~」#後編




1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:10:33.57 ID:VqJUrEcl0

唯 「・・・・・・・」ムー

和 「唯、なにを難しい顔をして考え込んでるの?」

唯 「あ、和ちゃん・・・ あの、ね。実は部活動どうしようかと思って・・・」

和 「え、まだ決めてなかったの?学校が始まってもう二週間もたってるよ!」

唯 「でもでも・・・・私、運動音痴だし。文科系のクラブも良く分からないし・・・・それに・・・」

唯 「私なんかが入ったら、きっと迷惑になっちゃうんじゃないかなって・・・それで・・・」

和 「・・・・唯」






3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:12:54.83 ID:VqJUrEcl0

和 「約束したよね。高校に入ったら”変わる”んだって。
   少なくても、その努力はするんだって」

和 「そのきっかけ作りのために、まずは部活動をやってみるって誓ったんだよね?」

唯 「うん・・・・」

和 「じゃ、ほら。よく分からないんだったら、部員募集の掲示板とか、
   あと部活見学とかにも行ってみようよ。私も付き合うし」

唯 「ありがとう、和ちゃん・・・」

和 「唯、このままじゃニート街道まっしぐらだからね。
   唯の保護者を自認する私としては、放っておけないのよ」

和 「なんてね」

唯 「・・・・・・・部活やってないだけで、ニート・・・・」しょぼん・・・

和 「あ、と、とにかく!放課後になったら、いろいろ見に行きましょ?」

唯 「うん」



4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:14:01.14 ID:VqJUrEcl0

昼休み!職員室!!



和 「失礼します。あの、先生」

担任 「おお、真鍋か。どうした?」

和 「あの、部活のことでちょっと相談が・・・」

担任 「ん?真鍋は生徒会に立候補するから、部活動はやらないと言っていなかったか?」

和 「あ、私のことではないんです。じつは友達の平沢唯のことで」

担任 「ああ、いるかいないのか分からない、あの平沢か?」

かっちーん

和 「・・・・そうです。その平沢です。で、ご相談の内容なんですg
担任 「なんだなんだ、真鍋は平沢と親しいのか?」

和 「・・・・はい、幼馴染ですが。それが?」



5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:18:47.93 ID:VqJUrEcl0

担任 「ふむ。君みたいな優秀な生徒が、
    あのような子と親しくするのは、あまり感心せんなぁ」

和 「・・・それは、どういう意味ですか?」

担任 「なんら自己主張ができず存在感はない。
    出席をとっても蚊の鳴くような声でしか返事ができない。成績も中の下」

担任 「君がつき合って、メリットを見出せるような人物でもなかろう。
    友達はもっと選ばなくてはなぁ」

担任 「まぁ良い。で、相談ってのはなんなんだ?」

和 「いえ、もう結構です。失礼します」

たったった ぴしゃん

担任 「・・・・なんだ、あいつは」

さわ子 「・・・・・・」



6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:20:01.49 ID:VqJUrEcl0

和 「なによなによ、あのヒヒオヤジ。
   よくも言うに事欠いて、唯の事をああも悪く言えたものね!」

和 「・・・・本当の唯のことなんか、露ほども知らないくせに。頭にくる」

和 「・・・・・くやしい(ぐす)」

さわ子 「待って、真鍋さん!」

和 「え、あのえっと・・・?」

さわ子 「追いついた・・・ えっと、真鍋さんね。
     私は吹奏楽部の顧問をやっている、山中さわ子です。よろしくね」

和 「山中・・・先生?」

さわ子 「・・・・泣いてたの?」

和 「これは・・・ べ、別に」

さわ子 「泣きたくもなるわよね、友達のことをああも悪く言われたら。
     真鍋さんはよく耐えたわ」

さわ子 「私が言われたんだったら、あのクソジジイ!
     ふん縛ばってフルボッコにした後、下水に塗れた汚い川に放流してやるところ



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:23:44.07 ID:VqJUrEcl0

和 (ぽかーーん)

さわ子 「だいたいあいつぁー・・・ はっ!?」

さわ子 「い・・・今の聞いてた?」

和 「はい・・・」

さわ子 「あ、今の無し!
     私、そこまで言ってない!あの、今のはオフレコでお願い。ね?」

和 「・・・・・ぷっ」

和 「くす。はい、わかりました。それで先生、私に何か?」

さわ子 「あ、そうそう。真鍋さん、
     お友達の部活動のことで先生に相談したいことがあるんでしょう?」

さわ子 「力になれるかどうか分からないけれど、私でよければ相談に乗るわよ?」

和 「え、本当ですか?あ、ありがとうございます!」

さわ子 「いいのよ、ここでは何だから音楽準備室でお話しましょう」

和 「はい!」



8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:24:32.36 ID:VqJUrEcl0

音楽準備室!!


さわ子 「少人数で、アットホームな雰囲気の部?」

和 「はい、そういう部があったら、ぜひ紹介して下さい」

さわ子 「それは・・・うーん、そうねぇ。
     和気藹々としている部はいくつか知っているけど・・・・・」

さわ子 「ね、それは必ず少人数でないといけないものなの?」

和 「はい」

さわ子 「どうして?」

和 「それは・・・ その、言わないといけないでしょうか」

さわ子 「そうね、事情を知っているのと知らないとでは、有
     用な情報を提供する精度に開きが出る、てところかな」

和 「・・・・・・」

さわ子 「当然だけれど、絶対に口外はしません。私を信用して、話してくれないかしら」




9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:25:41.74 ID:VqJUrEcl0

和 (宛にならない担任の代わりに、
   何の関わりもない私の相談に乗ってくれるような人だ・・・)

和 (良い人・・・ この人なら信頼にたるかもしれない)

和 「先生は、平沢唯をご存知ですか?」

さわ子 「ごめんなさい。
     職員室でも聞いていたけど、私はその平沢さんっていう生徒を知らないの」

和 「当然ですよね。なにせ彼女のあだ名は”空気”ですから」

さわ子 「空気・・・?え、それって本当にあだ名なの?」

和 「悪口半分、特徴半分ってところでしょうか。
   いるのかいないのか分からない。いても見えない。存在を感じられない」

和 「で、ついたあだ名が空気・・・・」

さわ子 「それって・・・・」

和 「ひどいでしょう?
   でも、本人が空気に徹しようとしているんだから、どうしようもないんです」

さわ子 「徹するって・・・
     じゃあ、本来の平沢さんはそういう子じゃなかったってことなの?」

和 「はい。以前の唯はとぼけたところもあったけど、
   明るくて、前向きで、元気で・・・いつも笑顔で」

和 「ただ、そこにいるだけで、いつの間にかみんなの輪の中心になっているような。
   みんなもつられて自然と笑顔になってしまうような」

和 「・・・・そんな唯の親友でいられることが、私の何よりの自慢だったんです」

さわ子 「・・・・・・・」

和 「あの子が変わってしまったのは中学2年の頃・・・ 」



10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:28:07.68 ID:VqJUrEcl0

和 「最初は些細なことだったんです。今となっては原因もはっきりとは思い出せない」


あの頃の唯は人よりノンビリというか、マイペースなところがあって。

いわゆる天然っていうものでしょうか。

でも、けっして嫌味なところがあるわけでもなく。

私には唯のそんな天然ぶりが快かったくらいです。

おそらくクラスのみんなの大半もそう思っていたと思います。

でも、そうではない人たちもいた。いわゆるクラスの不良たち。

最初は取るに足らない悪戯から始まりました。

でも、次第にそれがエスカレートし・・・・

唯は唯で、元来のノンビリさであまり深刻にも考えず、いつも通りに日々を送り・・・

それが不良たちの癇に障ったんでしょう。

ついには陰湿ないじめに発展してしまいました。



11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:31:12.16 ID:VqJUrEcl0

相手はたちが悪い不良です。

嫌がらせ程度の時とは違って、本格的に目を付けられてしまった以上、

唯に近づく人は誰もいなくなりました。

みんな、次の標的が自分に移るのを恐れたんです。

唯にとっては、まったく訳が分からなかったでしょう。

ある日を境にクラスの中でただ一人、孤立してしまったんですから。

そして、唯は覚えたんです。

誰も味方がいない。
助けが期待できない。
自分で打開もできない。

ならばどうするか、その方法を。

唯は心を閉ざし、自分の内面に殻をかぶせ、その中に篭ってしまいました。

楽しい事があっても笑わない。辛いことがあっても泣かない。

体はそこにあっても、自分はいないものと。

やがて何をしても反応のない唯から興味をなくしたのか、不良のいじめは頻度を減らし・・・

3年になりクラスが離れたことで、

唯に「空気」というあだ名を最後に残し、いじめは完全に無くなりました。

でも・・・・ 唯は元には戻らなかった。



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:32:41.25 ID:VqJUrEcl0

さわ子 「ハードな話ね・・・」

和 「高校に入る前、唯と話し合ったんです。このままで良いのかって。
   このまま自分の殻に閉じこもって、更に3年間を過ごすのかって」

和 「あの子もそれは嫌だって。また以前のように笑って過ごしたい。
   でも、もう自分ではどうすれば良いか分からないって言うんです」

和 「だから、気のあった仲間たちと、何か夢中になれることに打ち込めたら、
   心を開くきっかけになるんじゃないかって」

さわ子 「そこで、部活なわけね」

和 「はい。でも、いきなり大所帯に放り込んでも、
   今の唯じゃ絶対に萎縮してしまう。それじゃ逆効果です」

さわ子 「だから少人数でアットホームな・・・か。
     うん、心当たりがないでもないけど」

和 「本当ですか!?」

さわ子 「ただね・・・ ちょっと引っかかることがあるのだけど」

和 「え、なんですか?」



13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:35:03.88 ID:VqJUrEcl0

さわ子 「あなたはどうするの?」

和 「私・・・ですか?」

さわ子 「そう、あなた。平沢さんを未知の世界に放り込んで、あなたはどうするの?」

和 「わ、私は・・・」

さわ子 「私ね、さっきの話しを聞いていて釈然としないところがあったんだけど」

和 「・・・・・っ」

さわ子 「まぁ、過去の話だし。私に言われて表情を硬くしたってことは、
     私の言わんとしている事も分かってるようだから・・・」

さわ子 「だからそのことは良いわ。
     ただし、現在進行形のこの件だけは投げっ放しにしちゃダメよ」

和 「・・・・はい、分かっています」

和 「私も唯と同じところに入ります。ですから、その部を紹介して下さい!」

さわ子 (にっこり)「分かったわ。じゃあ話を付けておくわね。
            明日の放課後、平沢さんを連れてここにいらっしゃい」

和 「ここって、音楽室へですか?」

さわ子 「そう、廃部寸前の軽音部へ、ね!」



14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:37:26.11 ID:VqJUrEcl0

翌日!!


唯 「けいおんぶ?」

和 「そう、軽音部。軽音楽部ね。唯、そこ行ってみない?」

唯 「そこ、何をするところなの?」

和 「うーん。軽い音楽って書くんだから、きっと簡単なことしかやらないわよ」

和 「・・・・口笛とか」

唯 「・・・・ほんとに?」

和 「う・・・ と、とにかく見に行ってみない?
   ほら、唯。たしか楽器を演奏するの、好きじゃなかった?」

唯 「え、そうだっけ?そんな事いったかな・・・・」

和 「幼稚園のとき、カスタネットを叩いて先生に褒められたって・・・」

和 「嬉しそうに教えてくれたじゃない」

唯 「・・・・そんな昔のこと」



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:38:55.72 ID:VqJUrEcl0

和 「良いじゃない。褒められて嬉しかったってことは、音楽は嫌いじゃないんでしょ?」

唯 「うん・・・・」

和 「だったら行ってみましょ?それとも他に、気になる部でもあるの?」

唯 「そういうわけじゃないんだけど・・・・でも・・・」

和 「じゃ私につき合ってくれないかな?軽音部ね、私も気になってるの」

唯 「え・・・和ちゃん、部活やるの?生徒会やりたいって言ってたのに・・・・」

和 「う、うん・・・ まぁ」

和 「・・・・・・・来年。生徒会は来年。今年は目いっぱい部活を楽しみたい気分なのよ」

和 「ね、唯。一人じゃ心細いの。一緒に来てくれないかしら」

唯 「そぉ・・・ 和ちゃん、生徒会に入らないんだ・・・」

唯 「・・・・わかった、和ちゃんがそう言うなら」

和 「ありがとう、唯」




15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:38:16.56 ID:43DXNlmio

いいね、いいね
頑張って





17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:41:37.40 ID:VqJUrEcl0

>>15

読んでくれてる人がいると嬉しい。
ありがとね、がんばる。


音楽室前!!


和 (さて、山中先生が話を通してくれてるはずだけど・・・・)

和 (さすがにちょっと緊張するわね)

唯 「・・・・・和ちゃん?」

和 「こほん。ん、んー。そ、それじゃ唯、ノックするわよ」

唯 どきどきどきどき

和 (・・・・返事もできないくらい硬くなっちゃってる。
   唯・・・我ながら強引だったかしら)

和 (でも、一歩を踏み出すのは唯自身も望んだこと。
   大丈夫、唯には私がついている。もう二度と・・・・)

和 (もう二度と過ちは繰り返すものか!)

? 「なにしてるのー?」

唯・和 「わぁっ!?」



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:43:29.35 ID:VqJUrEcl0

? 「部室の前で何してるの?」

和 「び、び、びっくりした・・・・ あ、あの、軽音部の人ですか?私たち・・・・」

? 「あ、もしかして真鍋さんに平沢さん?」

和 「あ、はい」

? 「入部希望の!」

和 「は、はい!」

? 「わはぁー!!いらっしゃい、待ってたよ!ギターがすっごく上手いんだってね!」

唯・和 「・・・・・・え?」

? 「来てくれるのまってたよー!ひゃっほー!!」

和 (ど、どういうこと!?私、楽器ができるなんて一言も・・・・)



19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:45:50.12 ID:VqJUrEcl0

? 「みんなー!入部希望者が来たぞー!!」

がちゃっ!

? 「本当か?! ようこそ軽音部へ!」

? 「まぁ! 歓迎いたしますわ~!」

? 「よぉしムギ!お茶の準備だ!」

? 「はい~♪」

彼女たちが煎れてくれたお茶を頂きながら、私たちは簡単な自己紹介を済ませた。

一つ判明したこと。

それは私たちが楽器を演奏できる。それもかなりのベテラン。

山中先生は私たちを紹介するさい、

そんな根も葉もない設定をおまけに付けて話していたらしいということ。

なんでそんな事いったんですか、山中先生ーーーー!



20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:46:18.34 ID:VqJUrEcl0

律 「実は私たちも今年の新入生なんだけど・・・・」

澪 「先輩たちがみんな卒業しちゃって、部員は私たち三人だけなんだ」

紬 「一週間以内に部員が4人以上にならないと、廃部になるところだったんです」

和 (う・・・重い。なるほど、両者の利害の一致ってわけか。
   ただ紹介してくれたわけではなかったのね・・・・)

唯 「あうう・・・・・」

和 (ああ・・・唯が入部を断れない雰囲気に押し潰されそうになっている。
   どういうこと?っていう目でこっち見てる)

和 (でも、みんな良い人そうだし・・・
   それにこの人数。唯のリハビリにはうってつけだわ)

和 (これは、却って好都合だったかも知れないわね)

律 「それで、ふたりはどんな音楽がやりたいの?」

和 「え・・・?」

律 「どんなバンドが好きかぁー?」

唯 「あ・・・ぅ」

律 「好きなギタリストは?」

和 「えっと・・・(早く言わなきゃ。じつはギターなんて引けないって)」

澪 「ん? じゃ、平沢さんは? どんな音楽が好き?」

唯 「え・・・と・・・・あの・・・・」

澪 「?」

唯 「・・・・・・・・・」

律 「んー??」



21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:48:33.63 ID:VqJUrEcl0

和 「あ、あのっ!な、なんだか手違いがあったようで・・・・
   実は私たち、ギターなんて弾けないんです」

紬 「まぁまぁ、そうだったんですか?
   きのう山中先生がとんでもない逸材をスカウトしてきたって言うから、
   私たちてっきり・・・・」

和 「あはあは(何を言ってるんですかー、せんせい!!)」

紬 「じゃあ、なにならできるの?」

和 「それが、まったくの素人で。
   ここで一から始めてみようかと。ご迷惑でしたか・・・」

澪 「いや、そんなことはないよ。
   弾けなければこれから弾けるようになれば良いだけだし。なぁ、律」

律 「平沢さんもできる楽器ってないの?」

唯 「・・・・・・・・」

和 「あ、この子もしr
律 「平沢さんに聞いてるんだけど」

唯 「・・・・ぅ」



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:51:16.83 ID:VqJUrEcl0

澪 「おい律、どうしたんだ? そんな強引な聞き方するなよ」

律 「平沢さんさー。ここ来てまだ一言も話してないんだけど。
   どうしちゃったのかなーって思って、さ」

紬 「そういえば。大丈夫?具合でも悪いのかしら」

唯 (ふるふる・・・・)

澪 「震えてるぞ。風邪か?」

紬 「大変! たしか風邪薬の持ち合わせがあったはずだわ!
   待ってね、今・・・」

和 「あ、違う! 違うんです。
   この子、緊張しちゃってて。それで少し静かになっているだけなんです」

律 「ふーん・・・ そうなんだ」

律 「まぁいいや。二人とも入部ってことでいいんだよね?
   じゃ、これ。入部届け。書いて明日持ってきてね」

和 「はい。じゃ、今日はこれで。行こう、唯」

唯 (こくっ)

和 「あ、お茶。ご馳走様でした」

ばたん



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:53:56.95 ID:VqJUrEcl0

澪 「・・・・おい律。
   途中からなんか、態度悪かったぞ。良くないぞ、ああいうの」

律 「お前、今の平沢っての見て、何も思わなかったのか?」

澪 「なんのことだよ」

紬 「どうかしたの、りっちゃん」

律 「別に・・・・ たださ。
   ああいうモジモジしたの見てると、無性にイライラするんだよ」

律 「言いたいことがありゃ言えばいいし、
   無けりゃ堂々と座ってりゃ良いんだ。それをオドオドウジウジ・・・」

澪 「やめろよ律。誰しもお前みたいに単純じゃないんだ。
   それにお前に辛く当たられて、二人に入部を取り消されたりしてみろ」

紬 「そうよ。二人のおかげで廃部も免れそうなんだし。ね、ここは我慢して・・・」

律 「あー、もう、はいはい。分かってる。わぁーってるよ」

紬 「ま、まあともかく!
   これで練習開始前に廃部っていう、最悪の事態は避けられそうね」

澪 「そうだな! いよいよ軽音部の本格始動だ。がんばろうな、律! ・・・・律?」

律 「・・・・・・・」



24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 21:56:08.86 ID:VqJUrEcl0

和 「見学のつもりが、入部することになっちゃったわね・・・」

唯 「・・・・・・・」

和 「どう、やっていけそうかしら。 ・・・・唯?」

唯 「・・・・・あのカチューシャの人・・・ 怖い・・・」

和 「あー・・・ ちょっと自己主張が強そうな子だったわね。唯の苦手なタイプか」

和 「でも、そんなに悪い人には見えなかったし、もし何かあっても・・・」

和 「・・・・・今度は私が唯を守るから」

唯 「・・・・のどか・・・ちゃん?」

和 「だから。ね、唯」

唯 「うん・・・ありがとう。私、がんばってみるよ」

和 「一緒にね、がんばろう」

和 「それじゃ、また明日ね」

唯 「・・・うん。また明日」

和 「・・・・・・」

和 「・・・さて、携帯を」(ぴぽぱ)

和 「あ、もしもし。待たせたわね、いま帰るところ。
   ええ、分かったわ。じゃ、駅前の喫茶店でね」(ぴっ)

和 「あの子にも報告、しておかなきゃね」



25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:00:28.83 ID:VqJUrEcl0

喫茶店内!!


和 「えっと、窓際の席・・・ あ、いたいた。お待たせ、だいぶ待った?」

憂 「あ、和ちゃん。ううん、さっきついたところ」

和 「そう、良かったわ。あ、コーヒー下さい」

憂 「和ちゃん。お姉ちゃんの部活の件だけど・・・・」

和 「軽音部に決めてきたわ」

憂 「え、もう決まっちゃったの?」

和 「届けを出して、明日から練習に参加するつもりだけど」

憂 「・・・・・・・」

和 「どうしたの?」



26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:03:06.57 ID:VqJUrEcl0

憂 「私、やっぱりお姉ちゃんが部活をするの、反対です」

和 「その話はこの前もしたでしょう?
   これは前に一歩を踏み出すため、唯自身が望んだことなのよ」

憂 「それでも。
   お姉ちゃんが自分で決めたからって、その答えが正しいとは限らない」

和 「憂・・・」

憂 「怖いの。もしまた酷い事をされたら、
   今度こそお姉ちゃん、立ち直れなくなっちゃう。それがとても怖い」

憂 「今は静かにそっとしておいて欲しい。そうすればいつかはお姉ちゃんも」

和 「そのいつかって、いつ?」

憂 「え・・・」

和 「唯が苛めにあったのがもう二年前。この二年で唯が元に戻ることは無かった」

和 「じゃあ、この先の二年も元に戻る保障なんて無いじゃない。
   二年後って言ったら三年生。進路を決めなきゃならない大事なときに・・・」

和 「その時になって唯が今のままだったら、あの子は本当に終わりよ。
   そうならないために、させないために・・・・」

和 「多少荒療治でも、今からできることをしておかなきゃ」



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:04:40.35 ID:VqJUrEcl0

和 「だいじょうぶよ。何かあっても、私が唯を必ず守るから」

憂 「・・・・・あの時も、和ちゃんがそれだけ親身になってくれてたら、
   お姉ちゃん壊れなかったかもしれないのにね」

和 「憂・・・ そうね。本当にその通りよ。でも、過去にはもう戻れないもの」

和 「だから私は、今できることを全力でやるわ」

憂 「勝手だよ」

和 「そうね、勝手だわ」

憂 「私ね。和ちゃんのこと、まだ許せてないんだ」

和 「・・・・当然よね。
   でも。許さなくて良いから、少しだけ私を信用して? お願い」

憂 「・・・・・うん」

和 「ありがとう」

和 「ところで、憂の夢。そっちのほうはどうなっているのかしら?」

憂 「うん・・・こつこつやってるよ」

和 「機会があったら、私にも見せてね?」

憂 「そのうちに・・・ね」

和 「楽しみだわ」

憂 「・・・・・」

和 「・・・・空が高いわね。明日も晴れるのかしら」

憂 「うん、晴れたら良いよね」



28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:06:04.28 ID:VqJUrEcl0


・・・
・・・・
・・・・・

男子 「やーい、がり勉!
    勉強ばっかしてて、そんなに先生に褒められたいのかよー!」

和 「ちが・・・やめて・・・やめてよ・・・」

男子 「がーりがりべん!がりがりべんべーん!」

男子 「あひゃーひゃっひゃっひゃ!」

和 「う・・・ぐす・・・ ふぇ・・・」

唯 「こらーっ!」

男子 「うわ、平沢だ!」

唯 「和ちゃんをいじめるなー!」

男子 「うっせーな、からかってただけだよ。ちぇ。もう行こうぜ」

唯 「まったくもー! だいじょぶ?和ちゃん」

和 「あ、ありがとう、唯ちゃん・・・・」

唯 「えへへ。和ちゃんは唯が守ってあげるからね!」ぎゅっ

和 「きゃっ、唯ちゃん!?」

唯 「へへ。ぎゅってされると落ち着くでしょ?
   泣き止むまで、ずっとこうしていてあげるね!」

和 「ありがとう・・・///」

・・・・・
・・・・
・・・


和 「・・・・・ん」

和 「朝・・・? 夢か・・・昔の・・・・」

和 「・・・・・・・唯」

和 「・・・今日から部活か。がんばろうね、唯」




30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:09:53.85 ID:v8iHFsMto

俺は憂スキーだけどちょっと気になるな
憂はいじめられてた時なにやってたんだろな
和を責められる程度にはがんばっていたのかね?同じ中学なハズだし





29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:08:02.76 ID:VqJUrEcl0

放課後! 音楽室!!

がちゃっ

和 「こんにちわ」

唯 「・・・・こ、こんにちわ」

律 「おー、来たなー、新入り! 改めて今日からよろしくな!」

和 「こちらこそよろしく、田井中さん」

律 「ちっちっ、今日からは同じ軽音部の仲間なんだしさ、
   堅苦しいのは無しにしようぜ。私のことは律でいいよ」

澪 「私は澪で」

紬 「私はみんなからムギって呼ばれてます。
   お二人にもそのように呼んでもらえたら嬉しいです」

和 「ありがとう。私のことは和って呼んでね」

律 「平沢さんは、どう呼んでもらいたいー?」

唯 「え・・・あの・・・・ うぅ」

律 「・・・・・はぁ」



31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:10:21.91 ID:VqJUrEcl0

澪 「ま、まぁまぁ。
   呼び名なんて馴染んできたら自然に決まるさ。なぁ、ムギ!」

紬 「そうね。その為にもまずは親睦を深めないと。
   というわけで、お茶にしましょう!」

和 「え、あの・・・練習は?」

澪 「練習といっても、まだ平沢さんと和のパート分けが決まっていないだろ?
   どっちにしてもすぐに練習と言う訳にはいかないよ」

和 「そうか・・・ 言われてみれば当然よね」

律 「で、いま我々に不足しているのがギターだ。
   てわけでぇ、二人のどっちかはギターって事でお願いね」

和 「残ったほうは?」

澪 「それなんだけど、ギターが加われば一通りバンドの形は整うんだ。
   もちろんギターが二本になっても、それは構わないんだけど」

紬 「ただ、楽器は二人とも初心者でしょ?
   それだったらギターは一人に集中して練習してもらって、
   もう一人には専属のボーカルを頼もうかと思ってたの」

和 「ぼ、ぼーかる!!?」

唯 「!!!!」



32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:12:26.72 ID:VqJUrEcl0

和 (こ、これは予想外の展開だわ。
   てっきり楽器だけをやればいいものかと思っていたけど・・・・)

和 (でも、そうよね。バンドだもん。歌を唄う人が当然必要になるわよね。
   だけど、人前で歌を唄うなんて、そんな恥ずかしいこと・・・)

唯 がくがくぶるぶる・・・・

和 (唯・・・・ )

律 「平沢さん、やってみない? ボーカル。
   いちばん目立つし、かっこいいぜ!それにきっと気持ちいーよ?」

唯 ぶんぶん!!!

律 「そんな豪快に首ふって、それほど嫌かぁ」

唯 こくこく!!!

律 「嫌なら嫌でいいけどさぁ、意思表示は言葉でしようぜ。口、ついてるんだからさ」

唯 「うう・・・・」

和 「はいっ!!」 しゅたっ!

和 「はいっはいっ!!ボーカル、私がやります!」しゅたっしゅたっ!

唯 「・・・・のどかちゃん」

和 「ボーカル、前からやってみたかったの! ああ、超やりたいなー!!」

律 「超って・・・」

澪 「決まりだな! じゃあ、平沢さんがギターね。それで良い?」

唯 こくり・・・

和 (いくらなんでも今の唯にボーカルはやらせられない!
   くぅ、唯のため。がんばるのよ、私!)


こうして私たちの役割が定まり、
いよいよ軽音部員としての新たな日々の幕が切って落とされたのだった。



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:14:28.41 ID:VqJUrEcl0

澪 「じゃあ、早いうちにギターを買わないとだね」

和 「ギターってどれ位するのかしら。値段・・」

澪 「うーん・・・ 安いのは一万円台からあるけど、
   あんまり安すぎるのもよくないからな。5万円くらいが良いかも」

唯 (五万・・・!私のお小遣い10カ月分・・・・・)

澪 「高いのは10万円以上するのもあるよ」

和 「部費で落ちないのかしら」

律 「落ちません♪」

澪 「とにかく、楽器がないとなにも始まらないからな」

律 「よーし!今度の休みにギター見に行こうぜ!ね、平沢さん」

唯 「う・・・・うん」(お金だいじょぶかなぁ・・・)



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:16:13.27 ID:VqJUrEcl0

その日の夜。平沢家の唯の部屋!!


憂 「お姉ちゃん、ご飯だよ・・・
   あれ、貯金箱なんかひっくり返して何してるの?」

唯 「あ、憂・・・。あの、えっとね」

憂 「なにかお金が必要なの?」

唯 「うん。あのね、私・・・ 軽音部に入ったんだ」

憂 「・・・・そうなんだ」

唯 「うん。でね、ギターをやることになってね。それ、買うお金が必要で・・・・」

憂 「そっか。ねえ、お姉ちゃん」

唯 「なぁに?」

憂 「軽音部の人たちって、どんな人なの?」

唯 「え、どうして・・・?」

憂 「単なる好奇心だよ」

唯 「・・・・みんな良い人だよ。
   一人ちょっと怖い人もいるけど、悪い人じゃないっていうのはわかるから・・・・」

憂 「やっていけそう?」

唯 「がんばってみるよ」

憂 「うん、がんばって。でも、無理もしないで。辛くなったら逃げ出したって良い」

唯 「・・・憂?」

憂 (逃げないで無理して、
   それでよけいお姉ちゃんが壊れてしまったら、元も子もないもの)

憂 (もしそうなったら・・・今度こそ和ちゃん。私はあなたを許さない)



35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:27:58.72 ID:VqJUrEcl0

(回想)

憂 (あなた方ですか?姉を苛めているというのは・・・・)

憂 (え?私?顔見て分からない?あなた方が苛めに苛め抜いた平沢唯の妹ですよ)

憂 (何しに来たって・・・ バカですか?
   これ、私の手にあるもの。見て分かりません?)

憂 (あはは。冗談って・・・ この期におよん・・・でっ!!!!)がごっ!!!

憂 (きゃははは!痛い?ねぇ、痛い??
   痛いよねぇ。痛くしてるんだもん。あなた方と一緒)

憂 (人が嫌がるの、痛がるのを分かっていて、
   私のお姉ちゃんを滅茶苦茶にしてくれたお前らと一緒だぁ!)どごっ!!

憂 (こんな事してただで済むと思ってるかって?
   思ってないよ。だってこれは私への罰でもあるんだも・・・んっ!!!)ごきゃっ!!

憂 (私に心配させないように、
   いつも通りに振舞ってくれてたお姉ちゃん。私・・・気付けなかった)

憂 (お姉ちゃんが壊れちゃうまで気付けなかった!私!私がああああああ!)ばきょむっ!!

憂 (はぁはぁ・・・・ 仕返ししたくなったら、いつでも来てください。でも・・・・)

憂 (私はお姉ちゃんのためなら何でもやれる女だって。
   分かってもらえましたよね?それが分かった上でくるのなら・・・)

憂 (それ相応の覚悟を持ってどうぞ)



37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:31:59.69 ID:VqJUrEcl0

憂 「・・・・・・・・」

憂 (分かってる。本当は私に和ちゃんを責める資格なんてないんだって・・・)

憂 (私も一緒。和ちゃんとおなんなじ、
   お姉ちゃんがこうなる前に何もしてあげられなかった・・・・)

憂 (でも、勝手だけど和ちゃん。
   今回のこと・・・不安だけど、期待しちゃっていいのかな?)


憂 「・・・・お金、お小遣いの前借り、お母さんにお願いしてみたら?」

唯 「え、でも・・・」

憂 「だいじょうぶだよ。私も一緒にお願いしてあげるから」

唯 「うん、ありがとうね。憂・・・・」

唯 「いつも本当にありがとう。ごめんね、迷惑ばっかりかけて・・・・」

憂 「・・・・そんなことないよ。
   なに言ってるの、やだなお姉ちゃん。さ、行こう?」



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:33:57.75 ID:VqJUrEcl0


・・・
・・・・
・・・・・

唯 「和ちゃん。私、少し学校を休もうかなーって思うんだ」

和 「え、どうしたのよ急に」

唯 「あの人たち、私を眼の敵にして、それがここのところ特に酷くてさー」

唯 「いじめ・・・られてるみたいなんだ。・・・へへ」

唯 「少し休んで冷却期間をおいたら、
   あの人たちも飽きて嫌なこともされなくなるんじゃないかなぁって」

和 「・・・唯、だったらなおのこと休んじゃダメよ。
   ああいう卑劣なやつ等に弱みを見せたら、事態は更に悪化しかねないわよ」

唯 「そうなの?でも、正直もう辛いんだよ・・・」

和 「平気よ。なにかあっても私がいるじゃない。
   クラスの他のみんなも。唯は一人じゃないんだから、ね?」

唯 「う・・・うん。和ちゃんがそう言うなら、もうちょっとがんばってみようかな」

和 「偉いわ、唯。その意気よ!」

・・・・・
・・・・
・・・


がばっ

和 「・・・・・・・・」

和 「はぁ、何だってのよ。もう・・・・」

和 「と、もうこんな時間。
   早く支度して出かけないと。今日はギターを見に行くんだから・・・」

和 「・・・・・・・唯」



39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:36:33.55 ID:VqJUrEcl0

楽器店

和 「すごい・・・ギターがこんなにたくさん」

唯 「はぁ~~~~・・・」

律 「平沢さん、どれがいいか決めた?」

唯 「あ、えと・・・ その、選ぶ基準とか・・・どうすればいいのかなって・・・」

澪 「ギターって音色はもちろん、重さやネックの形や太さも色々あるんだ」

唯 「・・・・・・あ」

澪 「だから女の子はネックが細いほうが・・・て、あれ、平沢さん?」

唯 「このギター・・・ 可愛い・・・」

紬 「平沢さん、そのギターが気に入ったの?」

唯 「・・・よく分からない。けど、なんか気になるの」

律 「でも、そのギター25万円もするぞ」



40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:37:05.37 ID:VqJUrEcl0

唯 「本当だ・・・ これはさすがに手が出ないよ・・・」

律 「・・・・・」

唯 がっくり・・・

律 「平沢さんさ。これ、そんなに気に入ったの?」

唯 「え・・・・ でも、高すぎt
律 「はっきり言えって! 欲しいの欲しくないの?」

唯 「え、う・・・ほ、欲しいです・・・!」

律 「よしよし、やっと自分の気持ち、言ってくれたな」

澪 「律?」

律 「言いたいことはさ、考えるより先に口に出しておいたほうが気持ちいいぜ。
   そうすることによって開ける道もある」

唯 「え、どういうこと・・・・?」

律 「私に考えがあるっ!!」



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:38:01.11 ID:VqJUrEcl0

律 「たしか予算で5万円持ってきてるんだったよな?」

唯 「うん、お小遣い前借りして・・・」

律 「だったら不足分はあと20万。うーん、楽勝じゃね?」

紬 「あの、言っている意味がいまいち分からないんですが・・・」

律 「だからさ。5万円手付けで払って分割にしてもらってさ。
   残り20万はみんなでバイトしてチャチャッと稼いじまおうぜ!」

唯 「・・・・え」

律 「ここに5人もいるんだ。一人頭4万円。けっこう現実的な額じゃねーの?」

澪 「なるほどな。
   律、お前にしては良い事を言うじゃないか。良いアイデアだ、見直した!」

律 「だってだって部長だもん♪」

和 「簡単に言うけど、4万といったら大金よ。
   口で言うほど楽には稼げないと思うけど、それでも協力してくれるの?」

律 「協力って・・・ お堅い人ですなぁ和ちゃんは」



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:40:40.68 ID:VqJUrEcl0

律 「私たちはバンドをやるんだぜ。
   だったら、バンドで使うギターをみんなで買ったって、別に不自然じゃないだろ」

和 「律・・・・」

律 「それにさ、私もいま使ってるドラムがどうしても欲しくってさ。
   値切りに値切って、がんばって買ったんだよ」

澪 「あの時は店員さん、泣いてたぞ・・・・」

律 「だから、それくらい欲しかったんだって。
   やっぱりさ、自分が気に入った楽器で演奏したいじゃん。なぁ、唯?」

唯 「・・・・・!」

律 「ん、どしたー?」

唯 「う、ううん。あ、あの・・・・ あ、ありがとう・・・・」

律 「おう♪」

紬 「あの~、りっちゃん。値切るって、なんですか?」

律 「欲しいものを手に入れるために、努力と根性で負けさせることだよ!」

紬 「すごいですね!なんか憧れます!!」

澪 (憧れる要素がどこに!?)



43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:41:55.67 ID:VqJUrEcl0

紬 「よぉし!」

ずんずんずん!

和 「え、ムギ・・・どこに?」

紬 「ちょっと待っていてね(ふんす)!」

和 「ムギ、どうしたのかしら・・・」

律 「さぁ・・・ なんか店員さんと話してるみたいだけど」

澪 「お、なんだ?店員さんが電卓をたたいて・・・ あ、ムギが戻ってきたぞ」

紬 「このギター、5万円で売ってくれるって」

唯 「ひっ!?」

唯 「・・・・ひゅー・・・ひゅー・・・へぐっ」

律 「お・・・おお・・・ 唯が驚きのあまり、呼吸困難を起こしてるぞ・・・」

和 「しっかり、唯! ゆっくり息を吸うのよ!」

唯 「ああ・・んぐぅ・・・ ぜはぜは・・・」

澪 「い、いったいなにをやったんだ!?」

紬 「このお店、実はうちの系列のお店で」

和 「そ、そうなんだ・・・・」

唯 「ぜぇぜぇ・・・ も、もうだいじょぶ・・・」



44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:44:29.61 ID:VqJUrEcl0

律 「驚いたが・・・何はともあれ、良かったな唯!」

唯 「はぁはぁ・・・ う、うん。ありがとう・・・・琴吹さん」

唯 「足りなかった分は、きちんと返すから・・・」

紬 「どういたしましてー。気にしないでね?」

和 「ムギって、実はすごいお嬢様だったのね・・・・」

澪 「のようだな。どうりでどこか、浮世離れしてる雰囲気があるわけだよ・・・」

紬 「しゃらんらしゃらんら♪」

律 「しっかし、これでバイトは必要なくなっちゃったな。
   せっかくの私の大演説、無駄になった今となっちゃ恥ずかしいぜ・・・」

(くいくいっ)

律 「・・・ん、なんだ、唯」

唯 「そ、そんなこと・・・・ないよ。あの・・・ りっ・・・・」

律 「・・・・・・」

唯 「あぐ・・・・」

律 「なんだよ?」

唯 「・・・田井中さん・・・ あ、ありがとう・・・・」

律 「ああ、友達だろ。気にすんな」

唯 「ともだ・・・ち・・・」(かぁーー・・・)

和 「・・・・唯」



45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:45:29.01 ID:VqJUrEcl0

数日後。駅前の喫茶店!!


憂 「お姉ちゃんがね。笑ってたの」

和 「へぇ」

憂 「嬉しそうにギターを抱えて帰ってきて。
   夜にお風呂空いたよって部屋に呼びに行ったら、
   鏡の前でギターを構えてポーズをとってた」

和 「唯らしい。・・・昔の、だけど」

憂 「でね、私が見てるのに気がついたら、
   照れてはにかんで・・・ ミュージシャンっぽい?って」

和 「可愛いわね」

憂 「うん、可愛いひと。お姉ちゃんはもともと、こういう人だったんだなって」

和 「・・・・そうね」

憂 「あれから・・・ ギターを買ったあの日からお姉ちゃん、
   少しずつ笑顔を見せてくれるようになったよ。だからね、和ちゃん」

憂 「今回は、和ちゃんが正しかったのかも知れないね」

和 「憂・・・・」



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:47:03.79 ID:VqJUrEcl0

憂 「軽音部の皆さんの事も少し話してくれたよ。
   学校の出来事を話すなんて、お姉ちゃんが壊れちゃって以来のことだもん」

憂 「嬉しかった・・・・」

和 「みんなのこと、唯はなんて?」

憂 「うん。ベースの秋山澪さんは背が高くて、
   格好良い大人の女性って感じの人。でも少し繊細だって」

和 「ふふ、そうね。サバサバしてるのに、本当は極度の恥ずかしがりやさんなのよね」

憂 「キーボードの琴吹紬さん、通称ムギちゃん。
   おっとりぽわぽわしていて可愛い人。そんで、かなりお嬢様っぽいって」

和 「そうなのよ。どうやらお金持ちの家の子らしいんだけど、
   いろいろ謎も多いのよね・・・ いつかお家にお邪魔してみたいものだわ」

憂 「それとドラムの田井中律さん・・・・」

和 「律のことはなんて?」



47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:47:43.27 ID:VqJUrEcl0

憂 「最初は怖かったって。ううん、今でも少し怖いって言ってた。
   元気いっぱいの姿が、いまの自分には眩しすぎるからって」

和 「そう・・・」

憂 「でも、本当はすごく優しい人だとも言ってたよ。
   人のために一生懸命になれる、とても優しい人・・・・」

和 「・・・・・」

憂 「軽音部が良い人ばかりみたいで良かった。あそこでならお姉ちゃん・・・・」

憂 「自分を取り戻していけるかもね。
   ちょっとずつ・・・・着実に・・・・ね、和ちゃん」

和 「ええ、きっとそうなるわ。だから憂も心配しないで。
   あなたにはあなたの夢もあるんだから。そっちにも専念しないとね?」

憂 「うん。それで今、ちょっと考えてる事があるんだ」

和 「なになに?」

憂 「えへへ、まだ秘密。でも、形になったら和ちゃんには真っ先に見せるからね」

和 「憂・・・ ええ、楽しみにしているわね」



48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/03(木) 22:48:55.44 ID:VqJUrEcl0

憂の言ったとおり、それからの唯は時おり皆の前で笑顔を見せてくれるようになった。

昔の彼女からは程遠い、それはとても控えめな笑顔ではあったけれど。

また、笑顔と同じく控えめな態度と声で、

皆の話の輪にも加われるようになってきていた。

軽音部でのふれあいの中で唯は少しずつ、

亀の歩みのようにノロノロと。でも、着実に。

かつての自分を取り戻していっているようだった。

そして平穏な日々がゆったりと私たちの横をすり抜けて行き、気がつけばもう季節は夏。

私と唯が軽音部の仲間に加わって、はや三ヶ月が経とうとしていた。



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和「桜高軽音部専属ボーカル 真鍋和です」#前編
[ 2011/02/05 23:01 ] 非日常系 | | CM(0)

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