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紬「ゴーストの囁き」#後編 【クロス】


http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297398854/l50


紬「ゴーストの囁き」#前編




140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 21:56:44.00 ID:7a85sOFd0


 ○   ○   ○

―――時は一息に飛び、秋が終わり肌寒さを感じる季節

放課後ティータイムの学園祭ライブは大成功のまま幕を下ろした。

梓は学園祭が終わった後、達成感と充実感で放心状態の日が続いた。

それほどまでに素晴らしいライブだった。


軽音部の3年生は引退し、本格的に受験勉強に取り組んでいる。

しかし引退したとはいっても、ほぼ毎日部室で変わらず紬の淹れるお茶を飲み、

お菓子をほおばりながら勉強している。


梓はせめて勉強の邪魔にならないようにと気を使っていたが、

3年生たちは勉強の合間に楽器に触れては軽く演奏するので

次第に梓も遠慮がなくなり、結局いつもの部活のように過ごしてしまうことが多かった。


梓は寂しいとは思わなかった。

ただし、先輩が卒業した後のことを考えると、不安でたまらなくなるのだった。





144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:07:23.54 ID:7a85sOFd0

律「なあムギ、この問題なんだけどさ…」

紬「どれ?ああ、これは確か…」

澪「律、あんまり人に頼ってばかりじゃ実力つかないぞ」

律「分かんないことは人に聞けってな。ばあちゃんがそう言ってたぜ」

澪「それとこれとは話が違うだろ」

紬「…ごめんなさいりっちゃん。この問題、私も分からないわ…」

律「なに、そうか…」

澪「自力で解いた方が身につくぞ」

律「う~む、こうなったら最後の手段!答えを見る…」

澪「余計に駄目だ!」

唯「あははは、りっちゃんズルはよくないよ~」


澪が律の頭を叩く。

見慣れた光景だが、梓はいつもと違う姿があることに気付いた。

梓(ムギ先輩、最近なんだか元気がないな…どうしたんだろう?)



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:12:00.02 ID:7a85sOFd0

梓は、学園祭が終わってから紬の様子がおかしいことに気付いていた。

唯たちが3年生になってからの紬は、時々さびしい表情を見せることはあっても
基本的には明るく優しい、そして軽音部を心から楽しんでいる人だった。

しかし学園祭後の紬は明らかに気分が落ち込んでいるように見えた。

引退したとはいえ実際はいつもどおりの軽音部。
紬以外の3年生は以前と変わらずに過ごしているのに比べ、
紬一人だけ寂しげで、悲しみの表情を隠せないでいた。



あの遊園地での出来事から梓は常に紬のことを気にしていた。

この軽音部の中で、紬の真実を知っているのは梓だけだ。

梓はあの日の紬との会話を思い出す。



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:16:01.35 ID:7a85sOFd0

梓(ムギ先輩はあの日、自分の体が全身義体であることを私に話してくれた。
  なんで先輩はあの時、泣いたんだろう…?嬉しかったのかな…それとも悲しかったのかな…)

梓にはあの涙の意味が分からなかった。

紬の体について知ることは出来ても、紬という人間のことはまるで分からないままだった。


梓(それに…先輩は私にキスをしてくれた。
  なのに先輩はその後、何もなかったように私に接している。
  私はムギ先輩を見ていたのに、先輩は私を見てくれていなかったの?)


梓は、軽音部で独り寂しさにとらわれている紬に気付いても、何も出来なかった。

自分から声をかけることも、紬の気持ちを理解することも…。



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:19:24.22 ID:7a85sOFd0

時は容赦なく過ぎていく。


梓の心にわだかまりを抱えたまま冬休みが過ぎ、
唯たちは本格的に受験に専念するため、部室へ訪れる頻度もめっきり減った。

日が経つにつれて梓は実感する。


――ああ、私、独りになっちゃうんだな。


5人でいる時は、そんなことは思わなかった。

しかし、いざ3年生が自分の近くに居ないと、どうしようもなく寂しくなる。


梓(…でも寂しいのは私だけじゃないんだ。先輩方だって分かってるはず…)

梓は3年生の前で悲しむ素振りはしないと決めた。

最後は笑って見送ろうと。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:21:45.54 ID:7a85sOFd0


―――凍りつくような冬の寒さを感じる時期

唯たち3年生は全員、第一志望の大学に合格した。

梓もわが身のことのように喜び、はしゃいだ。


残すところは卒業式だけ。

受験のしがらみから解放された唯たちは、悔いのないように精一杯
最後の学校生活を楽しんでいた。




そんなある日、梓が放課後に部室へ行くために階段を上っていると、

どこからか音が聞こえてきた。



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:24:50.34 ID:7a85sOFd0

梓(…?ピアノの音…)

梓が部室の前で立ち止まる。

聞こえてくるのは、隣の音楽室からだ。

念のため梓は部室を覗くが誰もいない。

梓(誰だろう…放課後は音楽室は使われていないはず)

梓は無意識に音楽室の扉を開けた。



梓「…ムギ先輩?」



そこには、誰もいない音楽室で一心不乱にピアノを弾き続ける紬の姿があった。

汗をかき、息を荒くして目の前の鍵盤に夢中になっている。

扉を開けた梓の存在に全く気付いていないようだった。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:29:48.06 ID:7a85sOFd0

梓「………」

梓は紬の姿に見とれていた。

まるで狂ったように鍵盤を叩いている。

その目は見開き、全身に熱がこもっている。

普段の紬を知っている者なら、下手をすれば見苦しいとも取れるその姿に梓は心を奪われていた。


時に激しく、時になめらかに奏でられるピアノの旋律は美しく、

透き通った音が心地よく梓の脳を刺激する。


梓はこれが何の曲かは分からなかった。

初めて聞く曲。

それなのに、なぜか前から知っているような気がした。



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:33:55.54 ID:7a85sOFd0

紬はひと時も休むことなくピアノを弾いていた。

豊かに変化していく曲調、見事にコントロールされたリズムとテンポ。

聞いている人の感情に直接訴えかけるような旋律に、

まるでストーリーを紡ぐかのような曲構成。


紬は笑っていた。

そして梓も、紬の喜びを全身に感じていた。


梓の目から自然と涙があふれる。

悲しくもないのに、なぜか涙が止まらなかった。



梓は気付き、理解した。

この曲が、紬という存在の全てを表現しているということを。



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:36:13.54 ID:7a85sOFd0


紬「…表現の自由が、私を私という存在の限界に制約し続ける…」


演奏が止まった。

もしかしたら、この名もなき曲が終わりを迎えたのかもしれない。


紬が微動だにしないまま言葉を投げかける。

紬「梓ちゃんは、自分という存在を証明できる?」

梓「………」

梓は紬の問いの意味を上手く把握できなかった。

紬「私が私であるための証明…ゴーストを定義するための要素…」

紬「記憶とゴースト。人間が人間でいるために必要な二つの虚無、もしくは真実…」

梓「………」
  
紬「…私が卒業する前に、梓ちゃんに話しておきたいことがあるの」



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 22:37:58.07 ID:7a85sOFd0

紬は口だけを動かしてしゃべり続けた。

紬「人は他人を介して始めて自己という概念を形成し、自己は記憶とゴーストによってその境界を作る」

紬「…いわゆる自己同一性とゴースト…梓ちゃんも知っているでしょう?」


梓は頷いた。




義体化と電脳化が進んだ現代において新たに考えられた「ゴースト」という概念。

一般的に人間は、自分が他の誰でもない自分であるという事実を確認するために様々な方法をとる。

最も分かりやすい方法は自分の姿形を確認することだが、
完全に義体化した人間にとってそれらは単なる工業製品にすぎない。

したがって、彼らは肉体的に自分が自分である確証を得る根拠が限りなく薄くなってしまう。




167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:41:07.21 ID:i6TI8ISR0

このSS見て攻殻の世界の日常モノって面白そうだなと思った
犬の話とか好きだし



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:42:39.50 ID:tDkIXfhi0

>>167
本家のテレビ放映話はそんなのもあった気が



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:45:24.18 ID:M/qydlnlO

タチコマが女の子と遊ぶのには和んだな



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:51:56.48 ID:jXJB5Egf0

>>167
2ndGIGのヘリコプターのパイロットをやってる男の妄想話は
すっごく身につまされる思いで見てたよ
これも一応日常だよな





168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:42:37.83 ID:7a85sOFd0

完全義体化した人間は、自分が自分であるという事実を、肉体ではなく自身の精神に
その在り方を求めることになる。

しかし電脳化した人間はどうだろうか。

電脳化した人間は記憶や思考方法を外部にコピーすることができる。
また自身の記憶と思っていても、それが電脳ハックによって書き換えられた情報でないという確証はない。


自分が自分自身であるために最低限必要な物、またはその境界が

電脳化によって曖昧になってしまうという問題が浮き彫りになった現代において、

人間が本来的に持つ自我や意識、それらの複合系の現象である「自己同一性(アイデンティティ)」や

生命体の根源的な「魂」を表す言葉…。

それが「ゴースト」である


梓「…知っています。授業で習いました」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:51:28.89 ID:7a85sOFd0

紬は淡々と話を続けた。

紬「…自分が自分であるためには、驚くほど多くのものが必要になる」

紬「他人との関わり、それを隔てるための顔や体、意識しない声、幼かったころの記憶……それだけじゃない。
  無限ともとれる膨大な要素の集合体の先に、私たちは存在する」

紬「梓ちゃんの存在を証明するための根拠を、梓ちゃんは知ってるかしら?」

紬はようやく梓の方を向いた。

梓「わたし…ムギ先輩が何を言っているのか、分かりません…」

梓は正直に答えた。


紬「わたしはね、梓ちゃん。過去の記憶がほとんどないの。
  これがどういう意味か、分かる?」

紬が問いかけた。



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:53:51.58 ID:7a85sOFd0

梓「過去の記憶が…ない…?」

梓はショックを受けた。

紬の体が全身義体だと知らされた時のように、信じられないという思考だけが
梓の脳を支配していた。

紬「正確には高校入学以前の記憶がないの。
  前に梓ちゃんに話した新女子学院中学校のこととか、4歳からピアノを弾き始めたとか…
  記憶ではなく、記録として私の過去に残っている…」

紬「だから私の過去をどんなに探っても、断片的な点の情報しか記録されていない。
  それらの前後にあるはずの記憶…想い出と呼べるものが、私にはないの」

紬「だけど、私が桜ケ丘高校に入学してからははっきりと覚えている。
  そのなかでも軽音部での想い出は他の何物にも代えられない、大事な想い出…」

紬「そして、私にとって私が私たるべき存在の根拠はそこにあるの」


紬が立ち上がり、梓の目をまっすぐに見つめた。

梓はその感覚に覚えがあった。

遊園地での事件の後、紬が梓に義体であることを明かした、あの時と同じ感覚だ。

梓は吸い込まれるように紬の瞳を見つめ返す。



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/11(金) 23:59:49.13 ID:7a85sOFd0

紬「それは、この軽音部での音楽活動であったり、皆とのティータイムであったり…
  そして梓ちゃんに対する特別な感情でもある」

紬は梓の方へ歩み寄って行った。


紬「梓ちゃんを想う時、私の心が、他の誰に対しても起き得ない特別な感情に支配される。
  自身と他人を隔てる境界を自ら破壊したくなる」

紬「梓ちゃんの奏でる音楽、梓ちゃんのさりげない動作のひとつひとつ、梓ちゃんの小柄な体…
  私と同じように義体化していながらも、その義体すら私の心を掴んで離さない」

紬は梓の目の前に立ち、言った


紬「私は、それが"好き"という思いなのだと気付いてしまったの」


梓は紬の瞳に映る自分を見ながら固まっていた。

心臓が激しく鼓動し、紬以外の景色が視界から消えさる。



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:04:48.41 ID:tFQDbMz+0

二人はしばらく見つめあった。

梓は何か言わなければいけないと思いながらも、何を言えばいいのか分からない。

シンプルなはずの気持ちは、言葉によって伝えようもないほど梓の心で複雑に絡み合っている。

紬「…私は怖いの」

紬が静寂を破った。

紬「軽音部の想い出、梓ちゃんと過ごした2年間の想い出…
  私にとって、決して失いたくない、かけがえのない記憶」

紬「けれど、もしこのかけがえのない記憶が幻だとしたら?」


紬は表情を変えずに言った。


紬「…私は、怖いの…」



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:09:34.36 ID:tFQDbMz+0

すいません、明日早いので今日は寝ます
時間があるようだったら明日の昼にでも携帯から続きを少しずつ書きますが、
本格的に投下できるのは夕方過ぎになりそうです…申し訳ありません。

それから前半で澪、唯好きの方々に不快な思いをさせてしまってごめんなさい。




180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:11:39.96 ID:Rx3jDIPZO


続きが気になって眠れない



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:12:22.35 ID:WoIWXXxm0

とりあえずおつおつ
最後までよろしくお願いします
期待して待ってるよ



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:14:24.27 ID:2qwsFSTLO

おつ

攻殻の世界が一番似合うのはわちゃん



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:16:38.03 ID:AJqpoOui0

続きが気になる。期待して待ってるよ

しかし攻殻クロスで日常系がこんなに面白いとは



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:17:04.60 ID:E5WEBD1/0

和ちゃんは確かに電脳戦に長けてそうだ



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 00:20:54.84 ID:u9ci3+5OO

ムギと梓には何とか幸せになってほしいものだな



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 01:51:03.19 ID:txJWppZ+P

攻殻見返したくなったじゃないか

期待して待ってまする





229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:21:12.17 ID:qyaDOLM80

紬「もしかしたら私は誰かによってプログラムされた、ゴーストのないただの人形かもしれない…」

紬「様々な機械によって塗り固められた体と、誰かによって組み立てられた電脳…
  本当は私という存在は、誰かによって定められた目的のために作りだされた、
  言わば偽物の生命体なのかもしれない…」

紬「それでなくても、偽りの記憶が自分自身を定義し得ないなら、私が私である根拠は
  ひどく弱々しいゴーストに委ねられてしまう」


紬「だから私は信じたいの」


紬が力強く言った。


紬「自分が自分であるための確たる証拠が、過去の記憶にはないということを」

紬「私が私であるために必要なことは、今現在の私の『意志』にあるということを」

紬「そしてその『意志』とは願いや希望、つまり自分自身の未来にあるということを…」



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:27:50.62 ID:qyaDOLM80

紬「私は、梓ちゃんのことが『好き』」

紬は静かに言った。

紬「この特別な感情は決して失いたくない、私が私であるために大切なもの…」

紬「私の『意志』は、梓ちゃんとずっと一緒に居たいと願っている」

紬「そしてこの願いこそが、私が私であることの証明であり、
  結局自分と他者を分け隔てている事の根拠に他ならない…」

紬「…私の願いは他にもたくさんある。
  もっと軽音部にいたかった。
  もっとみんなとバンドをしていたかった。
  でも、そのどれも卒業してしまえば続かない…」

紬「私は、私の願いを叶えて初めて、信じることができる。
  自分が他の誰でもないオリジナルの自分であるということを…」


紬は梓をそっと抱いた。


紬「だから、梓ちゃんに私の願いを託すわ…」

紬「私が私であることを証明するために…」

紬「わたしと融合してほしいの」



234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:33:57.52 ID:qyaDOLM80

紬は梓を抱きしめたまま言った。

梓「……融合…?」

梓はやっとのことで口を開いた。

紬「そう。私の願い、つまり梓ちゃんとずっと一緒にいるという願いが叶った時、
  私は他の誰でもない自分に近づくことができる」

紬「…私の記憶とゴーストを、梓ちゃんに預けるわ」

梓「…それが、融合…」


梓は、紬の言う融合が具体的に何をもたらすのか
想像もつかなかった。


梓「融合したら、私たちはどうなるんですか?」

紬「それは私にも分からない。だけど安心して。
  私の電脳からゴーストと記憶を取り出して梓ちゃんの無意識階層に置いておくだけ。
  基本的に梓ちゃんがベースになるようにするから」


梓は抱きついたままの紬の顔を見れず、紬がどんな気持ちで
話しているのか分からなかった。



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:39:28.91 ID:qyaDOLM80

梓「…待って下さい。それじゃあムギ先輩の体は、残った義体はどうするんですか?
  ムギ先輩は消えてしまうんですか?」

紬「私は消えないわ。残った体には、私の模擬人格のAIを格納しておくから
  私を構成していた義体と電脳は今まで通り私として振舞う」

紬「既に私の行動記録の全てをプログラムした電脳システムを作ってある。
  私の記憶とゴーストが外部に移動したときに起動するようにも設定してある」

紬「あとは梓ちゃんと融合するだけ…。
  今の私には梓ちゃんしか見えない。梓ちゃんでなければ駄目なの」


抱いていた腕を解き、紬が梓の目を見ながら言った。


紬「お願い梓ちゃん。これは私のわがままだけど、
  私のために……………お願い」

梓「………」


全てを知った梓は、紬の悩み、苦悩、葛藤する気持ちが、なんとなく理解できた。

全てを話してくれた紬が、梓だけを望んでいる紬が、自分と一緒になりたいと言っている。

そして何よりも梓は、自分が紬に求められていることが嬉しかった。




237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:40:20.13 ID:g5mY/GR+P

あいつは行っちまったのさ。
均一なるマトリクスの裂け目の向こう
広大なネットのどこか
その全ての領域に融合して・・・。
自分が生きた証を求めたいんなら
その道はゴーストの数だけあんのさ。



238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:41:59.25 ID:hmeej7RB0

唯達は偽者と接することになるのか…
悲しすぎる



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:47:32.09 ID:zr0UnxSjO

漫画読んだ時は面白い設定だと思ったけど
実際にはゴーストとか存在しないんだろうなと思う

人間や人格が特別な存在であって欲しい願望が
ゴーストっていう設定を作ったんだろうな

遠い将来だとは思うけど記録媒体が何百倍になって
量子コンピューターとかが実用化された位には

人間エミュレータとか作れると思う



240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:49:31.86 ID:U12bmIGq0

実質は紬の消失に近いだろ





241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 17:50:43.59 ID:qyaDOLM80

融合した先がどうなるのか梓にも紬にも分からない。

だが、自分が紬の願いを聞き入れることで紬を救うことができるなら…

それに紬が卒業したら今までのように毎日会うことは出来なくなる。

独りで取り残されるくらいなら、紬と一緒になったほうが幸せだと梓は考えた。



梓「………分かりました。ムギ先輩の願いは、私の願いでもあります。
  それで先輩が答えを見つけてくれるのなら…」

紬「…ありがとう。梓ちゃん」


真剣な表情は崩れ、紬は幸せそうに微笑んだ。

紬「…最後は軽音部の部室でやりましょう。
  私のこの体ともお別れしなくちゃいけないから…」

梓は紬に連れられ、音楽準備室へと入っていった。



いつもと変わらない部室――

梓と紬は長椅子に隣同士で座り、お互いの外部端子にコードを刺した。



244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:16:07.18 ID:qyaDOLM80

二人とも正面を向き、電脳の接続へと集中した。

紬《梓ちゃんと話すのも、もしかしたらこれが最後になるのかもしれない》

梓《…!でも、ムギ先輩は私の中でずっと一緒にいてくれるんですよね?》

紬《そうね…。私は梓ちゃんの中で生き続けることになる。
  梓ちゃんは私を感じ、私は梓ちゃんを感じながら、ずっと一緒にいられるの》

梓《………》

梓は、自分の中に自分ではない誰かが存在するという感覚が想像もつかなかった。

しかし既に、梓は潜在的に紬を求めることを肯定していた。

自分が独りになってしまう不安が打ち消されることを望み、

より紬を理解できるという可能性に賭けて…

紬《…まずは私の記憶とともにゴーストをそっちへダイブさせるわ》

すると梓の電脳のゴースト障壁のすぐそばへ紬の意識が介入してきたことが感じられた。

このゴースト障壁を突破してしまえば、梓のゴーストに紬のゴーストも混ざることになる。

紬《…軽音部のみんなと放課後におしゃべりすることも、お菓子やお茶を楽しむことも、
  もうこれで出来なくなってしまうのね。
  私たち3年生が卒業してしまえば、この3年間は美しい想い出としてみんなの記憶に留まるだけになる…》



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:19:53.32 ID:qyaDOLM80

紬《だけど私はちっとも後悔してないわ。私は十分、幸せだったもの…》

梓《ムギ先輩……》

紬《そしてこれからも…。梓ちゃん、今までありがとう》
  
梓《終わりじゃないんですよね?いつでも会えるんですよね?》

紬《うん。だからこれからもわたしのこと…宜しくね?》

紬のゴーストが梓のゴースト障壁に溶け込もうとしていた。

梓「……きっと、ムギ先輩は自分を見つけられると思います。私が保証します」

紬の意識が少しずつ電脳のネットワーク上から消えていく。

梓は震える声で隣に座る紬の義体に話しかけていた。

梓「先輩の優しさ、暖かさ、柔らかさ…私は知っています」

梓「他の誰よりもムギ先輩は私たち軽音部を愛してくれたことを知っています」

梓「先輩が毎日淹れてくれるお茶やお菓子、私たちのために作ってくれた曲の数々…」

梓「笑う顔、喜ぶ顔、私たちを想ってくれる気持ち、先輩の奏でる音楽…」

梓「その全てが私たちにとって大切なムギ先輩そのものでした。そしてこれからも…」



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:25:35.88 ID:qyaDOLM80

紬の意識はもはや梓のゴーストとほぼ同化しつつあった。

梓「ムギ先輩!」

梓は叫んだ。

梓の中にいる紬の声が徐々に弱くなっていく。


紬《……ありがとう…………》

今にも消え入りそうな紬の意識が囁いた。




紬《…わたし…梓ちゃんを好きで……本当に良かった………》




梓「ムギ先輩!待って下さい!まだ私の気持ちを伝えていません!」

梓「私も、私だって……」


―――ムギ先輩のことが、大好きです――



247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:28:17.57 ID:qyaDOLM80

 ○   ○   ○

……さちゃん……ずさちゃん……!

―――誰かが呼んでいる

…あずさちゃん!起きて、梓ちゃん!

―――誰…?


紬「梓ちゃん!」


梓「………!」

梓は目を覚ました。
虚ろに瞳を泳がせ、ゆっくりと辺りを見回す。

紬「良かった!目を覚ましたのね!」

目の前には紬の姿があった。
梓は少しずつ意識を取り戻し、自分が眠っていたことに気がついた。

紬「私もさっき目を覚ました所なの。すぐ横で梓ちゃんも寝てたからびっくりしちゃった」



249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:34:56.83 ID:qyaDOLM80

梓「…ムギ先輩?」

梓はろれつの回らない口で声を出した。

紬「今日はもう誰も来ないわ。早く帰りましょう」

目の前の紬はそう言うと、鞄を持って部屋から出て行ってしまった。
梓は体を起こし、時計を見た。

梓(…私は確か、ムギ先輩と融合して…それから…)

上手く働かない頭で記憶を辿っていく。

梓(気付いたら眠っていた…。そしてムギ先輩に起こされた)

時間はそんなに経っていない。

―――あれは夢だったの?



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:43:08.31 ID:qyaDOLM80

梓「…ムギ先輩?」

梓は自分に問いかけるように呟いた。

梓「そこにいるんですか?」

誰もいない部室に梓の声だけが響く。

梓(…融合は成功したの?)

梓はもう一度、自分の意識に耳を傾けた。

そして自分の中をどんなに探しても、紬の意識は見当たらなかった。



しかし梓は心で理解していたのだ。

今、自分の中に確実に紬がいるということを。

梓(私の中にムギ先輩を感じる…!どこにいるんですか?先輩…)



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:50:39.69 ID:qyaDOLM80

梓がどれだけ意識を沈めても、居るはずの紬は何も答えなかった。

梓(先輩…私の声が聞こえますか?)

梓は紬の存在を確かに感じながらも近づくことさえできない。




それもそのはずだった。

紬のゴーストは、梓の意識の及ばない無意識階層の遥か下に存在していたのだ。

もはや紬のゴーストは誰にも認識されることはない。

宿主である梓でさえも、その存在だけをほのかに感じることしかできなかった。



融合が終わったいま、紬が紬であることは紬以外の誰にも証明して見せることが出来なくなってしまった。



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 18:58:35.82 ID:qyaDOLM80

梓(そんな…!先輩は言ってたじゃないですか!私は消えないって…)

梓はなんとかして紬のゴーストを確かめようとした。

紬との会話を思い出す。

梓(…先輩は自分を証明するために私と融合したんだ。
  先輩が先輩であるために必要なこと…それを確認できれば!)


はっ、と梓は閃いた。


あの曲。

あの曲を弾くんだ。

そうすればムギ先輩は戻ってくる。


梓は急いで音楽室へ行った。



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:03:58.19 ID:qyaDOLM80

梓はゆっくりとピアノの前に座った。


梓(聞こえていますか?ムギ先輩)

梓(あの曲を…先輩が弾いていたあの曲を今、私の体を使って弾いてください!)

梓は震える手で鍵盤に指を置いた。

体はその場でぴくりとも動かないのに、梓の額には汗がにじんでいた。


それでも紬は何も反応を示さない…

梓(先輩……)

梓が望みを捨てかけたその時だった。




ポロン…



257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:08:58.86 ID:qyaDOLM80

梓の指が、自然と白鍵に沈んだ。

梓「!」

梓は驚いた。
今のは自分の意志なのか、紬の意志なのか…
それ以上は続かず、また指は小刻みに震えたまま鍵盤を被っていた。

梓「………」

少し指に力を入れてみる。


ポロロン…


今度は並ぶように音が繋がった。

梓「…!」

次に梓は自分の思うように指を動かしてみた。

すると、今までピアノなんて弾いたこともなかったはずなのに
梓の指が自然な和音を作りだし、美しい旋律を奏で始めた。



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:11:21.72 ID:qyaDOLM80

梓「……これは…」

梓は次にどの音を出せばいいか分かっていた。

鍵盤を押す力加減や抑揚、腕の動きの全てが今の梓には分かっていた。

自分の内側から音が溢れ出て来るように指先へ伝わる。

誰もいない音楽室で、梓は一人ピアノを鳴らし続けた。


梓「そこにいるのは……ムギ先輩なの?」

梓は呟いた。

梓「それとも、私……?」


梓は自らの体で奏でる曲が、紬がかつて演奏していた曲ではないことに気付いていた。

梓(これは…ムギ先輩の曲じゃない…)

しかし、梓はもう一つ気付いていた。
ひとりでに紡がれる自分の演奏が、紬のゴーストによるものだと。

梓(ムギ先輩は確かに私の中にいる…じゃあこの曲は誰の曲なの?)



259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:13:43.92 ID:qyaDOLM80

美しくも哀しい旋律は、梓を不安にさせた。

梓「これは、私の曲……?」

次第に曲は不協和音を織り交ぜ、不気味に膨らんでいく。

梓(違う…私の曲でもない…!?じゃあ……)

名もなき音楽を遮るように、梓ははっきりと口を開いた。



梓「そこにいるのは、誰?」



演奏が止まった。

梓の腕が、手が、指が、次に鳴らすべき音を見失ったのだ。



梓「……わたしは……誰?」



260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 19:15:56.27 ID:qyaDOLM80

ひとつ、梓は理解した。

紬がいなくなってしまったことを。


自分の中でしか感じることのできない紬の存在は、もはや
外の世界において消滅したと同義だった。

ゴーストの、実質的な消失――


梓「そんな……嘘……」




梓は理解した。

私は殺してしまったのだ。

琴吹紬という、一人の少女を…




梓「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」



267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:18:19.44 ID:qyaDOLM80


 ○   ○   ○

――月日は経ち、唯たちは卒業し梓は3年生になった。

放課後、帰り道。

梓「唯先輩たち、上手く大学でやってるかな?」

憂「一人暮らししてもう1カ月も経つんだし、もう特に心配する必要もなさそうだよ」

純「…先輩の心配よりも梓。あんたはどうなのさ」

梓「え?なにが?」

純「いや、ここんとこずっと落ち込んでたみたいだし…」

憂「…ごめんね、梓ちゃん。新入部員のこと…」

梓「ううん。憂たちが気にすることないよ」

純「でも…」

梓「いいんだ。私はもう十分楽しんだから」

憂「……梓ちゃん、変わったね」

梓「…そうかな」



268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:20:38.21 ID:qyaDOLM80

純「私もそう思う。なんか優しくなったというか…」

梓「もとは優しくなかったってわけ?」

純「ち、違う違う!なんていうか、雰囲気が柔らかいというか…」

梓「………」

唯たちが卒業した後、軽音部には憂と純が加わり
軽音部は存続したかに思えた。

しかし、梓たちが3年生になっても新入部員は一人も訪れず
梓たちの必死の勧誘も虚しく、軽音部は廃部となってしまった。

純「それに、なんだか色々と吹っ切れてるようにも見えるよ」

梓「まあね。悩んでてもしょうがないから」

憂「…寂しくないの?」

梓「……寂しくないよ。会おうと思えばいつだって先輩たちには会えるんだし。
  それに私、気付いたんだ」

梓「先輩たちと一緒じゃないと、駄目なんだって。
  意味がないんだって。だから今年の軽音部はもう、いいんだ」

純「…そっか」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:22:09.12 ID:qyaDOLM80

憂「梓ちゃん、私たちもいるからね?」

梓「ありがとう、憂。心配しなくても私はもう大丈夫だよ」

梓は笑顔で言った。

純「…やっぱり変わったよ」

梓「え?」

純「いや、なんでもない!
  私んちこっちだから、二人ともまたね!」

純は道を曲がり、行ってしまった。

梓「…純ったら、変なの」

憂と梓の二人は特に会話することもなく、
ただ並んで歩いた。

憂「…じゃあ梓ちゃん、私こっちだから…」

憂が梓に別れを告げる。

梓「うん…バイバイ」



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:37:14.70 ID:qyaDOLM80

梓(…寂しくない…私は寂しくなんか、ない)

梓は心の中でつぶやいた。



―――嘘。



梓はどうしようもなく孤独だった。

態度や口でごまかしていても、唯たちが卒業してから
梓の心にはぽっかりと穴が空いてしまっていたのだ。

そして何よりも梓は、紬を失ってしまったあの日から
毎日のように罪悪感に苛まれていた。

自分の中に居る、かつて好きだった人はもう私に微笑みかけてくれることはない…

優しい笑顔を向けてくれることもない…。

梓の好きだった紬は消えてしまったのだ。



272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:40:18.25 ID:qyaDOLM80

梓(…ムギ先輩のいない軽音部なんて、私には必要ない)

梓(ムギ先輩のいない毎日なんて、意味がない)


梓は失って初めて、自分がどれだけ紬を求めていたのかを思い知った。

紬が梓を求めていたように。

梓もまた、紬を求めていた。


紬があの時話してくれた事が、今の梓には良く分かる。

梓(先輩は私と一緒になることを望んだ。
  そしてそれが、自分が自分であることの証明だと言った…)

梓(ムギ先輩…私はもう一度、先輩の笑顔が見たい)

梓(もっとたくさんおしゃべりしたかった。もっと先輩の事を知りたかった)

梓(その願いが、私が私であるために必要なことなのに…)



―――私は誰?



274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:45:01.79 ID:qyaDOLM80



―――暗い闇


刺すような冷たさが足元の皮膚を伝わり、次第に体を蝕み始める









―――恐れ、不安、孤独…


そして、希望





275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:50:00.41 ID:qyaDOLM80



孤立した自己は自分と他者の境界を曖昧にする。



夜の海に静かに溶け込んでいく、体。



朽ちてゆく肉体はやがて、そこに宿るゴーストを解き放つ。



…先輩は、自分を見つけることが出来ましたか?



…私の声が、聞こえますか?




死が、梓を孤独から救う



―――幸せな死を

                              おわり。



276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:50:40.78 ID:qyaDOLM80

EDはこの曲でどうぞ

http://www.youtube.com/watch?v=wNtX8HhsJ0E&feature=related




279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:53:16.48 ID:QdhnhqiR0


悲しすぎる



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:55:56.77 ID:4BLYT8rd0

終わり方は残念だったけど面白かった
設定が上手く生きてたな



282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 20:59:47.42 ID:VsUgkj6j0

ムギちゃん・・・
あずにゃん・・・



283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:00:52.09 ID:EvTz/MJH0

お疲れ様、面白かった
映画もあるしまた攻殻見直すかな





284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:03:17.39 ID:qyaDOLM80

梓とムギの物語はこれで終わりです。
支援していただいた方々、保守していただいた方々、ありがとうございました。
色々と不快な思いをさせてしまった方々、申し訳ありませんでした。

今回はけいおん!というアニメ、または原作における琴吹紬というキャラクターについて
自分なりに深く掘り下げてみようと試みた結果、たどりついた設定です。

ムギは一見、他のキャラよりも強固なアイデンティティを持っているようですが
(お金持ち、才色兼備、百合属性、世間知らずのお嬢様、作曲担当、お菓子やお茶の提供、眉毛etc…)
それらの要素の一つ一つは実は誰にでも取って変わることのできる、言わばストーリーを組み立てる記号にすぎません。
(もしくは萌えキャラとしての記号ともいえます)

要するに他の主要キャラに比べて、内面を彩る要素が薄いのが琴吹紬というキャラなのです。
過去の描写や心境の変化の描写が極端に少ないのもこのためで、下手をすればそれこそムギ自身には何の魅力もないとも考えられます。
(断じてそんなことはあり得ませんが。実際アニメをしっかり見てみると、ムギの内面の成長や心境の推移は長期的に描写されています)

軽音部におけるムギの立ち位置と視聴者から見るムギ像の両方から考察し、
それらに共通する琴吹紬のアイデンティティという観点から、攻殻機動隊の世界観を拝借するに至った次第です。

最も自分は、押井守の映画版とアニメSAC1期くらいしか知らないにわかなので、色々と間違っている所があるかもしれないです。




285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:09:14.44 ID:sBWOim5L0

いまいち分からないけど乙
キャラの薄さをゴーストで表現したってことかな?



288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:14:10.09 ID:LIb4mTDN0

キャラがしっかりと書けてただけにこの終わり方は辛い・・・



289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:14:18.56 ID:36weiPA0O

乙乙!

面白かったけど悲しすぐる・・・
ハッピーエンドverもみたいお





291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:18:05.04 ID:qyaDOLM80

それからこのストーリーはムギの自己同一性だけにスポットを当てているわけではなく、
軽音部という舞台を通して、人間が人間たるべき根拠をどうやって証明するのか、という問いを
個人的な価値観のもとに示しているつもりです。
これはGhost in the shellのテーマをそのまま流用しました。

紬は自己の証明が記憶ではなく「意志」によって定義されると考えます。
ちなみのこの「意志」がそもそも誰かによってプログラムされたAIなんじゃないか、という疑問もありますが
ここで言う「意志」とはより高度で多様な表現のことを指しています。

しかしGhost in the shellで人形使いが「たとえ記憶が幻の同義語であったとしても、人は記憶によって生きるものだ」
と言っているように、必ずしもムギの考えが一般に共通するとは言えません。
そこは人によって様々な解釈が可能であり、当然答えのようなものも存在しないと考えます。
(なんだかんだ言ってムギも、軽音部の楽しかった記憶にすがるように最後を迎えたわけですし)


ムギが梓と融合した後、ムギが自分が自分である根拠を見つけることができたのか、それは誰にも分かりません。
ただ個人的な解釈としては、ムギは梓とゴーストの境界をあいまいにしたことによって、逆説的に自分が自分である証拠を
見つけることができたのかもしれないと思っています。

またムギと融合した梓を見ても、それが中野梓なのか、琴吹紬なのか、またはそのどちらでもない新しいゴーストなのか
解釈はいろいろあると思います。



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:23:07.08 ID:qyaDOLM80

EDテーマ的に選んだ曲ですが、分かる人は分かる通り、この物語にはエヴァの「他者と自分を隔てるもの」という
テーマも少し意識しています。
ゴーストの融合と人類補完計画って結構似ているような気がしたので…。
(攻殻の原作を読んだことがないので分かりませんが、自分はゴーストの融合が境界線を無くすことだと解釈してましたので)

ムギにも梓にも共通する点として、他者との関わりが自分にとって重要であるということが挙げられます。
ムギは梓や他の軽音部のメンバーとの関わりを何よりも大事にしているし、梓は求める他者(ムギ)を失うことにより
破滅への道を選んでしまう。

エヴァではリビドーとデストルドーがそれぞれ目に見えない心の壁や肉体的な境界を作りだしたり破壊したりしますが、
この場合はそれぞれがアイデンティティの創造と崩壊を指してるということです。



295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:31:35.60 ID:qyaDOLM80

それから少し解説ですが、遊園地で義体輸出の停止と電脳開発規制提案の凍結を要求したテロは
実は裏で琴吹商社の思惑が絡んでいたりします。
オーバーテクノロジーを搭載したムギのボディと電脳システムを何かしらに利用する目的で画策していたのかもしれません。
もちろん表向きは違う意味を持たせたテロ行為だったとは思いますが、
その辺は例の公安9課が真相を暴いてくれるでしょう。

ムギがテロと琴吹商社の関係を知っていたかどうかは定かではありませんが、
自分が少なからず利用されていたことは気付いていたと思います。

それも含めてムギが自分の存在に疑問を抱いていく過程の上に、軽音部という居場所が
重要な意味を持つというのがこのSSの一つの流れです。




294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:30:32.41 ID:WoIWXXxm0

おつでした
攻殻知らないけど楽しんで読めた
紬は自己の存在を確かめる為に梓と融合したってこと?なぜ融合せずに梓と一緒に生きていくという選択がなかったんだろうか
それを受け入れた梓もなぜ?と疑問に思う
でもとにかくおもしろかったよ





297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:41:19.28 ID:qyaDOLM80

>>294
ムギは自分がいずれ誰かに利用される未来が見えていたから…と勝手に自分は思ってます
まあ、ムギの梓に対する究極の愛の証とも言えなくも…ない?
そして梓もそんなムギの想いを理解して、そのうえで自分のためにも融合を受け入れたわけです。

どちらにせよ、ムギも梓も割と身勝手な理由だったりするわけでして…
つじつま合わせというか後付けっぽいですが、その身勝手も自分の「意志」を表現したいがため、と考えてもいいのかもしれません




301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:52:37.88 ID:WoIWXXxm0

>>297
なるほど
納得したよありがとう
また何か書いてね






299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:47:46.66 ID:+xjUI+OyP

お疲れ様でした。面白かったです
攻殻の世界観が上手くテーマに絡んでいてよかった
しっかり考察もしてあって、凄いなとしか言えない

二人がもっと幸せになる結末もあったのかもしれないけど
これも一つの結果だと思って受け止めておきます





300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 21:51:38.73 ID:qyaDOLM80

それから気付いた人がいるかは分かりませんが、このSSはとあるけいおんSSを非常に参考にさせていただいて書きました。
勝手にぱくっただけなんですけどねw

遊園地のくだり、キスのくだり、梓の告白のくだり等、唯「バタフライ・エフェクト」を読んだことがある人なら分かるかもしれません。


それから言い忘れましたが、冒頭でふわふわ時間を合わせたHTTについて、
このあたりの描写もいくつかの解釈が出来ると思います。

根幹にあるのは、このシーンが音楽を通して他者と自分の境界の消失を象徴しているということですが、
この時たまたまそうなったのか、はたまたムギが電脳ネットを介して意図的に作ったのか…
大体この二つだと思うんですが、まあどっちでもいいですね。



長々と講釈を垂れてしまってすいませんでした。
上で偉そうなこと言ってますが、実のところそれっぽく書いてたら上手く物語に整合性が出てきただけのSSです
それもこれもムギちゃんのおかげです。


ムギちゃんまじ天使




302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:14:03.86 ID:w4ZKbtOOQ

もしかして唯「ムギちゃんマジ天使!」の作者だったりする?





303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:25:38.92 ID:qyaDOLM80

>>302
いえ、違います。




304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:32:21.97 ID:SUVfu0agO


紬梓の融合あたりからグッドエンドやって欲しいところだが、このままの方が攻殻らしいな



305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:39:34.28 ID:+NC18yeh0


雰囲気あったよ
幸せな結末を見たい気はするけど



306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:40:20.49 ID:E5WEBD1/0

自分で考えろっていう突き放しっぷりも攻殻っぽくってよかったよww
考察の余地があったり、それぞれの解釈をもてるってのはいいよね

でも
紬「サイトぉぉぉぉぉぉ!! そいつをよこせぇぇぇぇ!!」
的な展開も期待してたんだ

何はともあれお疲れさん







221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/12(土) 15:16:56.03 ID:q+e9Sue3P
表向きは軽音部だがその実態は生徒会直属の公正治安組織で、主に職員や生徒会では処理しきれない事件の解決を任される。
電脳戦に特化したメンバーで構成されているが、直接戦闘が出来ないわけではない。
しかし大抵の場合、武力制圧は義体化集団のバレー部によって行使されるため
軽音部の実態を知る者は少ない。

ある日、桜高3年の期末試験が全員赤点になるという前代未聞の事件が起こる。
試験担当の職員は「百合使いが来る」とだけ言い残し、失踪。
後日、再試験によりこの事件は解決したかに思えたが
これは超特A級ハッカー「百合使い」による一連の事件の幕開けに過ぎなかった…

職員の不正や汚職、生徒会の分裂などが徐々に明るみになる中、さわ子の暗躍、ジャズ研からの刺客、バレー部との全面抗戦…そして軽音部に迫る絶体絶命の危機。

幾多の思惑が交錯する桜高で、果たして軽音部は正義を貫くことが出来るのだろうか…?

全米が泣いた、超ほのぼのSF大作
満を持して登場!

けいおん!! THE LAST MISSION


ここまで考えた



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/11(金) 14:53:44.02 ID:I2MrDEsj0
純「疑似体験って…、どういうことなの!?」

梓「だから、『ジャズ研』の先輩も後輩も全部偽者の記憶で、夢のようなものなのよ。
 純は何者かに利用されてけいおん部の先輩にゴーストハックを仕掛けてたの」

純「そんな…、まさか!?」

梓「『ジャズ研』の部室に行ってきたよ。去年廃部になってから誰もいない機材置き場だった」

純「だ、だからあの部室は増える新入部員のために借りた一時的なもので、」

梓「純はあの部室で1年以上も一人で過ごしてたんだよ。
 かっこいい先輩もかわいい後輩もいないんだよ!
 …見てみてよ。純が私に見せようとした写真だよ。…誰が写ってるの?」

純「…。確かに写ってたんだから。ジャズ研のみんなが…。みんな楽しそうに笑って」

梓「そこに写ってるのは、誰と誰なの?」

純「…。その嘘の夢、どうやったら消せるの?」




307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 22:52:13.79 ID:qyaDOLM80

実は分岐エンドも考えていましたが、SSのテーマ的にこの結末しかありませんでした。
考えていたのは、紬と梓が融合したことによって新たに生まれた全く別のゴーストが独立し、梓もムギもいなくなるというものでした。
これは原作に近いのかな?
しかしグッドエンドではないですねw
というか融合した二人が同じ体を持ちながら共存していくという場面が想像できなくて…それならグッドエンドっぽいんですけどね


攻殻の戦闘とかアツい展開なら>>221の感じでいいんじゃwww
>>34も面白そうだし、しゃべる楽器達をタチコマっぽくして…夢が広がりますな
ただ自分は政治的な設定とか知識が必要な場面はてんで駄目なので…誰か書いてください。




309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 23:14:30.28 ID:e6ClngEf0

うつくしいエンドだ

ムギの相手があずにゃんなのはやっぱあずにゃんは基本的にレズっぽいしそれにムギと同じように他者との明確な関係、例えば唯と憂、律と澪みたいなのがかかれてなくてくっつけやすいし動かしやすいから?





310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 23:26:59.16 ID:qyaDOLM80

>>309
梓をムギの求める相手として選んだ理由は

・来年もこの高校に残る後輩であること(融合することによって、ムギももう一年高校生活を送れると考えた)
・3年生を相手にした場合、卒業後の話がしずらいということ
・自分が単純に紬梓が好きであること

3番目の理由が主ですね。




311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 23:36:23.70 ID:tZeIS72G0

乙!
面白かったぜ
次書くときはハッピーエンドでよろ



312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/12(土) 23:58:04.40 ID:PW2Meyau0

力作乙
楽しませてもらった
また紬梓を書いてくれると嬉しい



313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 00:25:48.25 ID:sYiJzm17O

乙!
すごい面白かった!!



319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 04:30:29.79 ID:Cmkd+7HcO

泣かすなよ……
乙!






315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 01:05:32.85 ID:r4BgIvb/O

まぁ、攻殻みたいに電脳に記憶と意志とゴーストを書き込んだとしても、それはそのまえの生身の自分のゴーストとは違うものだと思うけどね
自分のクローンに記憶とゴーストを書き込んだ後に、それを確認して自分自身が死ぬのと同義だろう
灼眼のシャナのトーチのまったく同じ代わりのモノを関係性を保つために置くっていう考えは攻殻に似てるんじゃないかな?



316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 01:23:02.90 ID:yfwIxptCO

この場合、梓のゴーストと融合した時点で紬自身はやっぱり死んだことになるんじゃない?
そもそも「死」=ゴーストの消滅だとして、紬が意志によってゴーストを定義し境界を作るとするなら梓がピアノを弾くときに
紬の曲を演奏する=紬の意志=紬は生きてる
誰かの曲を演奏する=紬の意志は表現できない=紬はもう死んだ
って考えられる






314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 01:02:48.63 ID:e0TnJDBW0

乙!いい話やー
設定だけでもう何本かSSかけるんでね?



320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 07:10:12.07 ID:AR5/2JSi0

SACと同じようにもし紬が梓と融合しなかったらというパラレルな話もおもしろいかもしれないなw





321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/13(日) 09:33:17.99 ID:bsFK5X4p0

お、まだ残ってる

>>314
>>320
今回のSSは自分も楽しみながら書いていたので、いつかまた攻殻クロスをやりたいとも思うんですが
正直これ以上のものを書ける自信がないです。
それにこの設定に合わせて俺が続き書いたりしたら、なんというか蛇足感がすごそうなので…



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