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澪「First Love」#後編 【シリアス】


http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297689830/l50


澪「First Love」#前編




84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:41:06.14 ID:doqWfiuU0

まだ一緒に暮らしている。

嫌でも顔を見なければならない。

同じ部屋で生活しているのに、わたしたちは独りだった。

共有しているのは、この部屋だけ。


テーブルに置かれた風邪薬。

袋には律の名前があった。

それを気付きながら、気遣う声の1つも掛けられなかった。





85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:41:49.46 ID:doqWfiuU0

そんな時、携帯が鳴った。

唯からの着信だった。


澪「もしもし」

唯「澪ちゃん、元気~?」

澪「まあね」

唯「よかった~」

澪「どうかしたか?」

唯「そうそう、りっちゃんのことなんだけどね」



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:42:46.24 ID:doqWfiuU0

唯「電話しても出なくて、メールも返ってこないんだ~」

澪「…そうなのか」

唯「マンガ返す約束だったんだけどね、りっちゃんいる?」

澪「今いないよ」

唯「そっか~、どうしよう」

澪「わたしが預かろうか?」

唯「うーん、そうだね。お願いしていいかな?」

澪「うん、いいぞ」

唯「どうしよう、今から行ってもいい?」

澪「待ってるよ」



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:44:31.75 ID:doqWfiuU0

しばらくして、インターホンが鳴った。


唯「お待たせ~」

澪「いやいや、わざわざ悪いな」

唯「ううん、お願いね」

澪「どうする?上がる?」

唯「澪ちゃん、今日のご予定は?」

澪「特にないもないよ」

唯「わたしも~、だからケーキ買っちゃった!」

澪「はは、唯らしい」

唯「一緒に食べよう?」

澪「頂くよ、上がって」

唯「おじゃましま~す」



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:45:18.81 ID:doqWfiuU0

買い置きの紅茶を淹れる。

とは言えティーパックだから、ムギのお茶には敵わないけど。


澪「はい、お茶淹れたぞ」

唯「ありがと、いただきます」

澪「わたしもケーキ、いただきます」

唯「それにしてもわたし、悪いことしたかな~…」

澪「何が?」

唯「りっちゃん、わたしのこと無視だもん。何かしちゃったかなって」

澪「…違うと思う」

唯「そうかな?」

澪「いや、わかんないけど…最近話してないからさ」

唯「ケンカしたの?」

澪「…別れたんだ、わたしたち」



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:51:00.69 ID:doqWfiuU0

唯「…え?」

澪「別れようって言われちゃったよ」

唯「何で…?」

澪「うん、えっとな…」


あの日、唯達が帰った後のことを話した。

唯は紅茶から湯気が消えても、ケーキが倒れても。

そちらには目を向けず、わたしの話を静かに聞いた。


別れようと告げられたこと。

律が一生会わなくなることを選んだこと。

その日から、一言も話してないこと。



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:52:31.14 ID:doqWfiuU0

唯「…変だよ、おかしいよ」

澪「…唯」

唯「そんなの…間違ってるよ!」

澪「唯、いいんだ」

唯「よくないよ、澪ちゃんは好きなんでしょ?りっちゃんのこと」

澪「うん、大好きだよ」

唯「りっちゃんだってそうなのに…」

澪「…どうかな、もう言ってくれないよ」

唯「ううん、わたしでも言い切れる」

澪「そうだといいなって、思うけどな」

唯「なのに、何で…」



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:53:18.21 ID:doqWfiuU0

澪「いいんだ、もう受け入れたから」

唯「…このままでいいの?」

澪「仕方ないよ、わたしフラれたし」

唯「…わたしが今日、りっちゃんに話すよ」

澪「…唯」

唯「帰ってはくるんだよね?それまで待つから」

澪「唯!」

唯「だって…だって…」



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:54:25.85 ID:doqWfiuU0

澪「律はさ、幸せって何か考えたんだと思う」

唯「一緒に居ることじゃないの?」

澪「わたしはそう思う、そう思ってたよ」

唯「…じゃあ」

澪「でもさ、わたしも考えたんだ。それだと限りがあって」

唯「限り?」

澪「うん、世間一般に言われる幸せは手に出来ないだろ?わたしたちじゃ」

唯「自分なりの幸せじゃ、ダメなの?」

澪「自分、ならいいんだけど、相手が居るから」

唯「よく、わかんないよ…」

澪「わたしもわかんなかったよ、でもさ」



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 00:56:48.11 ID:doqWfiuU0

「仕事も始めて、離れて暮らして、寂しくなっても隣に居ない」

「忙しい毎日の中で、会えない相手を思うだけなんて辛すぎるだろ?」

「…結婚出来るわけじゃないし」

「全員が祝福してくれる関係だとは、とても言えない」

「会っても、また帰る頃には、悲しくて仕方なくなる」

「それならさ、いっそお互いのしがらみなんて、なくした方がいいんだよ」

「そうして、たまに思い出してさ」

「元気かな、幸せになっててほしいな、って」

「律のこと、そう思ってる方が、ずっと…」


唯は声を殺して泣いてた。

わたしも気付けば涙を流していた。

もらい泣きなのか、自分が悲しくて泣いてるのか、わからなかった。


「…ずっと幸せなんだと、思えるよ」



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:01:23.33 ID:doqWfiuU0

唯に言ったことは、ほとんどが嘘だ。

まだ一緒に居たい。

律のこと手放したくない、そう思ってた。

でも律が選んだことだから、仕方ないんだ。

だから目の前で泣く唯に言って、自分に言い聞かせる。


唯「…言い切れるの?」

澪「今はまだ、無理だけどな」

唯「なら…」

澪「わたしさ…律と付き合い始めた頃、自分でも間違ってるんじゃないかって思ったんだ」

唯「そんなことないよ!」

澪「でもさ、今はこうやって、別れることが間違ってるって言ってくれる唯が居る。
  
  自分のことのように泣いてくれる、唯が居る…それで少し、救われるよ」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:03:08.39 ID:doqWfiuU0

唯「だって…わたしも悲しいよ、2人が別れちゃうの」

澪「ありがとう」

唯「…もう、いいんだよね」

澪「ああ」

唯「本当に?」

澪「本当」

唯「そっか…わかった」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:04:03.68 ID:doqWfiuU0

唯は赤い目のまま、黙って残りのケーキを口に運んだ。

冷えた紅茶で流し込んだ後、にっこりと笑った。

紙袋に入った数冊のマンガを残して、帰っていった。


再び、独りになった。

おもむろに立ち上がって、冷蔵庫を開けた。

律がいつ戻るか、今日戻るかはわからないけど。

律と夕食がしたい。

律と、話がしたい。

そう思って、夕飯の支度をした。


…気持ちは変わらないよ。

時間が足りないせいとは思えない。

でも、もうふたりは戻れないから。



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:06:24.63 ID:doqWfiuU0

澪「おかえり」

律「…ただいま」

澪「よかった、帰ってきて。ごはんは?」

律「…まだだよ」

澪「出来てる、一緒に食べよう」

律「…澪」

澪「もうすがり付こうなんて、思ってないから安心して」



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:10:00.51 ID:doqWfiuU0


律「…そうか」

澪「唯が来たよ、律のこと心配してた」

律「ああ…電話とか、出なかったからかな」

澪「マンガ預かってる、テーブルにあるから」


久しぶりに話した。

何日ぶりだろう、わからないや。

意外にもわたしは、きちんと目を見て話せた。

律は何だかぎこちなくて、言葉に元気がないように見えた。

その分、わたしはたくさん話した。



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:13:57.61 ID:doqWfiuU0

澪「明日、向こうの家探しに行くよ」

律「…そうか、気をつけてな」

澪「うん、やっぱ向こうは高いんだろうな」

律「そうだろうな、ちゃんと払えよ?」

澪「当たり前だろ、律こそ1人で払えるか?」

律「何とかなるよ、きっと」

澪「しなきゃいけないんだよな、1人暮らしだもん」

律「…そっか、寂しくなるな」

澪「…はは、律が言い出したくせに」

律「…ごめん」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:18:27.12 ID:doqWfiuU0

澪「謝るなよ、また辛くなる」

律「…うん」

澪「…好きだよ」

律「言うなって…」

澪「言わせてよ」

律「だって…」

澪「大丈夫、諦めてるから」

律「そっか…」

澪「ありがとうな、今まで」



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:21:30.88 ID:doqWfiuU0

律「…こちらこそ」

澪「今日からまた、一緒に寝ようよ」

律「…それは出来ない」

澪「何にもしないよ、ただ律風邪ひいてるだろ?」

律「大丈夫だから、これくらい」

澪「ダメだ、じゃあわたしがソファーで寝る」

律「させられないよ」

澪「じゃあ一緒に寝よう、本当に何もしないから」

律「…わかった」


その日から、また同じベッドで寝た。

寝息を立てる律を横に感じながら、壁に顔を向けた。

手を伸ばせば触れられる距離。

そこに愛しい人が居ても、わたしは触れてはいけない。

もう、そう決めたから。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:24:00.02 ID:doqWfiuU0

次の日、電車に乗り込む。

座ると途端に目を閉じた。

律からのメールは来るはずなくて、携帯はカバンにしまったままだ。

いつもより、この時間が長い気がした。

こんなに遠かったんだな。

気付かなかった。

本当に離れ離れになっちゃうんだ。

実感したよ。



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:27:58.38 ID:doqWfiuU0

向こうに着いて、最初に入った不動産屋で部屋を決めた。

ワンルームの、とても狭い部屋だった。

1人だから、このくらいで大丈夫。

独りだから、このくらいがちょうどいい。


思った以上に早く決まって、その日のうちに帰れる時間だった。

だけど、敢えて向こうのホテルで1泊した。

入居は卒業すぐ、という話をつけてきた。



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:57:25.05 ID:6apNun2lO

それからも心配してくれていた唯にメールを打った。

引越し先が決まった、と。

すぐ返事が返ってきて、お別れ会をしようと提案してくれた。

卒業式の1週間前。

場所は、唯の家。

メンバーはわたしと唯、ムギ、梓。

律の名前はそこになかった。

当日になって唯の家へ向かうと、もう他の3人は揃っていた。

たくさんの料理は、憂ちゃんが手伝ってくれたものらしい。

ムギも梓も話は聞いたようで、律の話題は一切出なかった。



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 01:59:10.96 ID:6apNun2lO

紬「寂しくなっちゃうね~」

澪「そんなに遠くないし、遊びに来てよ」

唯「絶対に行くね!」

澪「うん、みんなならいつでも大歓迎だ」

梓「わたしも行きます!」

紬「わたしも~!」

澪「3人は実家に戻るんだろ?」

唯「うん、まあほとんど憂と2人暮らしだけどね~」

梓「憂、すっごく喜んでました」

紬「相変わらず仲良しね~」

澪「…じゃあ、こっちに残るのは律だけだな」


わたしの言葉に、3人が黙った。

唯に関しては、また泣きそうな顔をしている。



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:00:13.13 ID:6apNun2lO

澪「ムギも梓も、話は聞いてるんだろ?」

紬「…そうね」

梓「はい…聞きました」

澪「あいつのこと、悪く思わないでやってほしい」

唯「澪ちゃん…」

澪「困ってるようなら、助けてやってほしい」

紬「…うん、わかった」

梓「澪先輩は…本当にそれでいいんですか?」

澪「…ああ」


そう言って、缶ビールを口にした。

少し、苦かった。

一気に飲み込んで、のどの奥に消し去った。



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:00:48.29 ID:doqWfiuU0

唯「澪ちゃんも泊まっていきなよ~」

紬「澪ちゃんも一緒のほうが楽しいよね~」

梓「そうですよ、お願いします」

澪「ううん、今日は帰るよ」

梓「そうですか…」

澪「ありがとう梓、でも気を遣わなくていいから」

梓「そ、そんなんじゃ…」

澪「今はもうちゃんと話せるし、平気だよ」



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:01:40.48 ID:doqWfiuU0

紬「…だって、梓ちゃん」

唯「残念だね~あずにゃん」

梓「…そうですね」

澪「じゃあ帰るよ、おやすみ」

唯「おやすみなさ~い」

紬「おやすみ~」

梓「…おやすみなさい」



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:02:59.15 ID:doqWfiuU0

3人の優しさに、少し泣きかけた。

でも泣かないよ、そう決めたから。

火照る頬に冷たい夜風が当たる。

冬の夜空は澄んでいて、とても綺麗だった。


向こうは星も見えないんだろうな。

そんなことを思いながら、家に帰った。


寝室には、もう律がいた。

律を起こさないよう、静かにベッドへ入った。


「…おかえり」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:04:15.58 ID:doqWfiuU0

澪「ああごめん、起こしたか?」

律「ううん、今ベッド入ったとこ」

澪「そうか、よかった」

律「…唯のとこ、行ってたんだろ?」

澪「…知ってたなら、来ればいいのに」

律「唯とムギはともかく、梓あたりにビンタされちゃうよ」

澪「何で?」

律「…澪を、泣かせたから?」

澪「もういいんだ、忘れろ」



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:05:43.01 ID:doqWfiuU0

律「…引越し、いつ?」

澪「卒業式の次の日だよ」

律「…そっか」

澪「家具とかはあっちで揃えるから、心配するな」

律「…見送り、行ってもいい?」

澪「もう、心配するなって」

律「わたしが行きたいんだ」

澪「そっか…」

律「ごめん、わがままで」

澪「ううんありがとう、来てよ」


それから、向こうとこっちを行ったりきたり。

必要なものを揃え、生活できるよう配置した。

やっぱりどこか、律との家に似ていた。



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:08:23.89 ID:doqWfiuU0

卒業式は淡々と行われた。

はかま姿のわたしたち。

梓や憂ちゃんも来てくれて、みんなで写真を撮った。

同じ家に居るのに、律とは別々に家を出た。

遠くで、ゼミの子たちと写真を撮る姿が見える。

わたしの写真には、一枚も写っていない。

卒業式の写真で、律と一緒の写真がないのは初めてだった。


そのまま4人でご飯を食べに行った。

最後の夜も、律は顔を出さなかった。


明日にはこの家とも…律ともお別れ。

人生の半分以上を過ごした律と、4年間暮らしたこの家に別れを告げる。

ふいに目が熱くなってくる。

でも泣かない。

固く目を閉じて、1人で眠りについた。



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:09:20.36 ID:doqWfiuU0

律「おはよ」

澪「早いな、昨日遅かったんじゃないのか?」

律「うん、でも何か寝れなくてさ」

澪「わたしもなんだ」

律「そっか」

澪「お茶淹れるよ」

律「あ、わたしがやるよ」

澪「そうか、ありがとう」


そこから、何も話さなかった。

話したいことがたくさんありすぎて、何を話せばいいのかわからなかった。

沈黙が続く。

時間はどんどん迫る。

残酷だな、もう2度と会わないのに。



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:10:18.31 ID:doqWfiuU0

澪「…そろそろ行かなきゃ」

律「そうか、じゃあ出よう」


2人で駅まで歩いた。

思えば何度も往復した道。

並んで歩くのは久しぶりだった。

なのにまだ、何も話せない。


とうとう駅に着いてしまう。

わたしが切符を買って、その横で律は入場券を買っているようだった。

改札を通っても、律は付いてこない。

駅前のコンビニの前で、タバコに火をつけていた。

その姿を遠目に眺めていた。

やっぱり様になってる。

きっとこの光景を、わたしは忘れないよ。



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:12:28.30 ID:doqWfiuU0

短くなったタバコを灰皿に消し入れて、律はこっちに向かってくる。

逃げるように、ホームの中ほどのベンチへ向かった。

誰も居ないこの駅。

腰掛けると、それを追うように律が隣に座った。


律「あのさ」

澪「ん?」

律「元気でな」

澪「…そっちこそ」

律「ああ」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:13:13.01 ID:doqWfiuU0

澪「今まで、本当にありがと」

律「何だよ、辛気臭い」

澪「だってもう、会えないから」

律「…そう決めたのは、わたしなんだよな」

澪「そうだぞ、忘れたとは言わせないから」

律「忘れない、澪のことも」

澪「…もう、そんな風に言うなよ」

律「本当だよ、忘れない」

澪「…やめて、泣いちゃうよ」

律「…ごめん」




134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:15:20.20 ID:P5HyrCMWO

うわああああああ



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:16:39.88 ID:nrOZl4mdO

なんで深夜に泣かねばならんのか



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:17:20.51 ID:wOuRIQOu0

やめて、泣いちゃうよ

マジで





137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:19:50.37 ID:6apNun2lO

澪「ねえ、これ返す」

律「…まだしてたんだな、指輪」

澪「うん、何かもう体の一部みたいになって」

律「澪が捨ててよ」

澪「ダメだ、わたし捨てられないから」

律「…わかった、もらうな」

澪「はは、傷だらけになってる」

律「4年もつけてりゃそうなるよ」

澪「大切にするって言ったのにな」

律「わたしも澪のこと、そう言ったのに」

澪「…お互い、出来なかったのかな?」

律「…どうだろ」

澪「…わかんないな」



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:21:13.62 ID:6apNun2lO

ホームにアナウンスが鳴り響く。

電車がこちらに向かってくる音が聞こえる。

もう、本当に最後なんだ。


澪「…電車、来ちゃう」

律「…澪、好きだよ」

澪「…言わないって、言ったじゃん」

律「…ごめん、本当にごめん」

澪「…やめてって」



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:22:23.36 ID:6apNun2lO

そう言って俯いた。

涙があふれ出そうだった。

「澪」

呼びかける声に、顔を上げる。

不意にニガくて、せつない香りがした。


わたしの唇に、律の唇が押し当てられた。



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:26:27.49 ID:6apNun2lO

「…バイバイ」


最後に聞いた言葉は、涙声で震えていた。

律の頬に涙が伝った。

その粒が落ちて、固いコンクリートにシミを作る。


それを目で追っていると、律が背中を向け歩き始めた。

段々、視界がぼやけていく。

ぼやけた律が、小さくなっていく。



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:29:34.38 ID:6apNun2lO

電車が止まって、ドアが開く。

乗らなきゃ。

流れ出そうな涙を袖に含ませて、立ち上がった。


電車は動き出す。

初恋が今、幕を閉じた。

大切な時間の中に、立ち止まっていられない。


イヤホンをはめて、流れ出る音楽に耳を澄ます。


「いつか誰かとまた恋に落ちても」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:31:04.40 ID:doqWfiuU0

――あなたが教えてくれた愛を、忘れない

忘れてやらないよ。どんなに胸が苦しくても、忘れない。


――あなたはいつまでも、わたしの運命の人

親友だったり、恋人だったり。大切な役目は全て、律だったから。


――あなたはいつまでも、わたしの心の中にいる

心の中に、いつも律だけの場所を作っておくよ。


――わたしもあなたの心にいれればいいのに

わたしのこと、忘れないでね。バイバイって、思い出してね。


――今も、これからもずっと、あなたはわたしの運命の人。

もう会えないけど…大好きだよ、律。今も、きっとこれからも。


今はまだ悲しい love song

新しい歌 歌えるまで



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:31:59.58 ID:doqWfiuU0

奥から奥から、涙が溢れてくる。

泣かないって、決めたのにな。

外では手も繋げなかったのに。


最後の最後で、やっと人目を気にせず恋人らしいこと出来たな。


きっと、あんなことされなきゃ、わたし泣かなかったよ。

なのに、何で。

わたしたち、もう終わったんだぞ。


知らない景色に目を向けて、さっきの感覚を思い出していた。


さようなら、わたしの幼なじみ。

さようなら、わたしの初恋の人。

さようなら、わたしの運命の人。



―――最後のキスはタバコのflavorがした。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:32:41.50 ID:doqWfiuU0

終わる。



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:34:47.25 ID:doqWfiuU0

すごいグダって申し訳ない。

言葉は間違えるしさるは2回食らうし携帯から書いたら充電きれるしあわわ
支援と、最後まで読んでくれたことに感謝してます。

お察しの通りに宇多田さんです。

ではでは




156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:37:43.44 ID:wOuRIQOu0



楽しかった



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:40:11.62 ID:UvKrMr2rO



切なくて苦しくなったけど、良かったよ



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 02:41:14.39 ID:wmVNW6u4O

律澪はせつないのが似合うなせつねえ
いちおつ



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 03:02:59.98 ID:bReM38C80

おつおつ
ここからが2人のラブストーリーだろ?運命は途切れないよね?
ハッピーエンドは脳内補完



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 03:06:36.59 ID:SwjUMv9oO

これハッピーエンドに補完するつもりないのかね割とガチで



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 03:19:41.65 ID:68t5/Z2W0

すごい
忠実に脳内再生されたよ

設定もいやに真実味があってなんか怖い



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 04:54:32.74 ID:eDZngzrCO

やっぱり無理だ!って言って律が澪の家行っちゃうんだろ?なあそうだろ?それ書いてくれよ!頼む頼むよおおおおおおおおおぉぉぉ



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 05:03:04.03 ID:3UR1+PQWO

素晴らしい乙



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 06:33:57.93 ID:4eQr66/QO

明日の今頃には俺どこで何してるんだろう





166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:16:55.95 ID:doqWfiuU0

なんちゃってエピローグ。律視点。



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:18:21.82 ID:doqWfiuU0

500円玉を入れ、ボタンを押す。

顔写真付きのカードをかざして、商品とおつりが落ちてくる。

手を伸ばして、両方を取った。

英字の書かれた箱と、10円玉と50円玉が1枚ずつ。


わたしが買い始める前は、もっと安かったんだよな。

もっとも、子どもの頃なんて300円でおつりが返ってきた。

よく父さんのおつかいで買いに出た。

おつりはやる、って言われるから、適当に駄菓子を買ったのを覚えてる。



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:19:57.87 ID:doqWfiuU0

タバコは身体によくないらしい。

でもさ、遅かれ早かれみんな死ぬんだ。

なら少しでも好きなものを選んで、自分で死因作って命を全うする。

その方が、幸せじゃないか?

だからわたしは、肺がんで死ねたら本望だよ。


限りが何となくわかる毎日の中で、時々あいつのことを思う。

そうして死ねたら、幸せだよな。



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:21:13.40 ID:doqWfiuU0

そうそう、このカード。

みなさんご存知、タスポだ。

この顔写真って、どんな写真でもいいらしいぞ。

友達は大好きなアイドルの写真で作ったくらいだ。

性別、明らかに違うのにな。

アニメキャラとかでも出来るのかな?

誰か試してみろよ。


わたしのこの写真だって、未成年の時のだ。

黄色いカチューシャがトレードマークだった、高校生時代。

未成年にタバコを買わせないためのものなのに、変だろ?

この頃、好きな奴いてさ。

…まあ、この頃よりずっと前から好きだったんだけど。

運命の相手、なんて言っちゃいたいくらいだよ。



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:23:03.04 ID:doqWfiuU0

泣き虫で、怖がりで、なのに強がりで。

その辺の男がすれ違うたび、そいつが振り向くような綺麗な子。

そう、女の子だったんだ。

わたしと同じ、女。


少なからず悩んだよ。

自分のこの気持ちはなんだろ、ってな。

でもとまらなくて、それまでの全部失ってもいいって思うようになって、告白した。

すると「笑いたいのに、変なの」って、泣きながら笑ったんだよ、あいつ。



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:24:26.95 ID:doqWfiuU0

それから4年間、一緒に暮らして。

誰よりも幸せだったよ。

人前では、恋人らしいことなんて1つも出来なかったけど。

その分同じベッドで喘いで果てて、そんな毎日だった。


でも、わたしから別れたんだ。

離れるのが怖くなったんだ。

離れること自体が、じゃなくて。

離れた場所でさえ、あいつを縛り付けることが、かな。



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:26:08.91 ID:doqWfiuU0

あいつにはきっと、わたしは荷物になる。

あいつ自身がそう認めなくても、周りにはそうなるよな。

何で結婚しないんだ、なんて親に言われてみろよ。

「わたしには律が居るから」なんて、言わせるのか?

一人娘、愛情いっぱい育てられたんだ。

孫の顔も見せてやれないで、女と人生を共にする。


きっと、生きた証も残せず何してんだって思われるよ。

わたしはいいよ、弟居るし。

不孝な姉を持った弟には悪いが、その分孝行してやってくれって任せられるし。


でもさ、あいつは、澪は違うだろ?



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:26:56.99 ID:doqWfiuU0

まあさ、何て言うか。

結局はわたしのわがままだよ。

あいつには幸せになってほしい、なんてカッコつけただけ。

本当は、それらすべてを受け入れる自信がなかったんだ。

祝福される恋愛して、結婚して子ども産んで。

手に出来るかもしれない幸せの代わりになんて、なれなかった。

あいつの人生ごと背負うなんて、わたしの背中じゃ足りないものだった。

ただ、それだけ。


まだわたしは、あいつと暮らした部屋で生活してる。

あいつの思い出と、タバコの煙に満ちたあの部屋で。

独りじゃ広すぎる、あの部屋で。

消えていく煙をぼーっと見ては、

明日の今頃はどこに居るんだろう、なんて、思いながらね。



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:27:39.26 ID:doqWfiuU0

本当に終わる。




175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:30:59.91 ID:nrOZl4mdO

おつでした
今度は頼むから甘い律澪書いてくれ
腫れた目で仕事行くはめになった



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:32:01.07 ID:/QfUZAyU0





177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:39:41.72 ID:3UR1+PQWO

鬱になった



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 08:44:23.07 ID:Wp/QiwjR0

乙だけどハッピーエンドにしないと俺が死ぬ



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 09:49:16.94 ID:BBVzS3MaO

宇多田だとわかってたのにタバコ吸ってた意味に気づかなかった
本当に面白かった
ありがとう
次は是非ハッピーエンドで!



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 10:36:14.80 ID:PiWzDDX9O

うむ、乙だ



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 11:17:35.54 ID:eILHmoNdO

誰かハッピーエンドで終わる律澪くれ
切なくて死にそうだ



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 11:19:10.66 ID:qQ2oMQGA0


すごい読みやすかった



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 11:30:25.92 ID:zGwsr5II0


切ない…



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 11:31:36.14 ID:OCBBRcTN0

おつです
とっても良かった



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 11:51:15.14 ID:q+Z9GhqGO


律の気持ちもわかる



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 12:28:08.88 ID:bReM38C80

おつおつ



189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 12:30:13.77 ID:wOuRIQOu0

なんちゃってハッピーエンド書いてくれ
眼が痛い



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/15(火) 14:23:58.70 ID:BiKZ6CE00

この手のSSは滅多に読まねえんだけどすごく良かったよ
板の上の方にあったのなんとなく開いてみて大正解だった





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澪「First Love」#後編
[ 2011/02/15 20:05 ] シリアス | 律澪 | CM(4)

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タイトル:
NO:987 [ 2011/02/16 00:42 ] [ 編集 ]

これは切ない


タイトル:
NO:988 [ 2011/02/16 01:40 ] [ 編集 ]

自分の状況とまさにかぶって感情移入してしまった。乙

タイトル:
NO:2843 [ 2011/06/26 11:55 ] [ 編集 ]

やべえまじ泣きしてしまったんだが・・・。

てかこれみてると現実って辛いな、そう簡単にうまくいかないんだなって改めて思い知らされる・・・。

タイトル:
NO:3268 [ 2011/07/05 18:02 ] [ 編集 ]

くそせつねぇわ・・

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