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憂「お姉ちゃん!会いに来たよ!」唯「二度と来ないで」#後編 【シリアス】


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憂「お姉ちゃん!会いに来たよ!」唯「二度と来ないで」#前編




186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 22:52:35.91 ID:/zRyAdkJ0


……

紬「ちょっとは落ち着いたかしら?」

梓「はい。……ごめんなさい。お見苦しいところを見せちゃって」

紬「良いのよ。私だって、たくさん泣いちゃったもの」

梓「……唯先輩も、憂も早く良くなるといいですね」

紬「良くなるわよ。二人とも」

紬「二人を信じてあげましょう。それしか、できないけれど……それでも……」

梓「……。……はい」





188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 22:56:43.93 ID:/zRyAdkJ0

『       』

憂「ぁ……」

『       』

憂「ぅ、ぁ……ぁ……」

『       』

憂「あぁあぁぁぁああぁあぁぁっ!」

『       』

唯「ひゃっ!?」

『       』

憂「う……うぅぅ……うぅ……やめて、うるさいっ、やだ……っ」

唯「う、憂!? 憂っ! どーしたの!?」

憂「おねぇ、ちゃん……たすけて……」

唯「うい! しっかりしてよぉ……っ!」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:07:47.12 ID:/zRyAdkJ0


 がちゃっ

澪「梓、憂の様子は?」

梓「お医者さんは目を覚ますまでまだまだかかるって……あれ?」

純「……あはは。私も憂が心配で来ちゃったよ」

梓「純、今日は来れないって言ってたのに……」

純「気にしない気にしない。憂のためならどんな用事でもすっぽかせるよ」

澪「さっき唯の病室からこっち来る時に会ったんだよ。
  廊下でうろうろしてたから、どうせ憂のお見舞いに来たのなら一緒に行こうって」

梓「もぅ。病院に来たんならすぐにここまで来れば良いのに」

澪「迷ってたんだって。……なぁ、鈴木さん?」

純「純、で良いですよ。澪先輩」



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:20:10.89 ID:/zRyAdkJ0

梓「迷うって……純だって、もう何度もここに来てるじゃん」

純「うーん。でも、この病院むだに広いからさ」

純「澪先輩が通りかかってくれなかったら、一生ここにたどり着けなかったよ。
  ありがとうございます、澪先輩っ」

澪「あ……いや、良いよ。どうせ私もここに来るつもりだったし」

澪(鈴木さんが病室のすぐ傍で泣きじゃくってた事は、梓に教えないでおこう)

梓(純。……目元が赤くなってるや)

純「ま、そんなことどうでもいいじゃん。憂、来てやったよー」

憂「……」




195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:21:02.25 ID:It0XnT76O

今更だが、唯と憂って入院してる病院違うのか?



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:26:25.27 ID:FJQQ7d6aO

>>195
病室が離れてるだけじゃね?



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:27:25.32 ID:It0XnT76O

>>196
なるほどサンクス



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:27:37.38 ID:4co8oMrC0

>>195
たぶん、病院は同じで病室が別になってるんだと思う
二人とも集中治療室だから別々の部屋とか





199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:31:06.49 ID:/zRyAdkJ0



唯「うい! ういっ!?」

憂「声が、声が増えてく……うぅ……っ」

唯「憂、しっかりしてよ!?」

憂(遠くの声が、耳の奥から響いてくる……きもちわるい……変な浮遊感までしてきた……)

唯「ういっ」

憂「おねぇちゃん……」

唯「私、どうすればいいの? ねぇ、憂っ」

憂(お姉ちゃんの声を聴かせて。もっと、もっと、聴かせて)

憂(お姉ちゃんの声で、響いてくるおかしな声から私をたすけて……)

憂「おねぇ……ちゃん……声を……」



203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:44:00.34 ID:/zRyAdkJ0


『       』

唯「……っ」…キーン

唯(ひどい耳鳴り……うぅ……)

憂「おね、ちゃ……声を……せて……」

唯「な、なに? 聞こえないよっ!」

『       』

憂「声を……せて……」

『       』

唯「憂! 憂ぃ!」

『       』

憂「……ね………ぁ……」



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:47:52.03 ID:/zRyAdkJ0


『    』

『    』

『    』

唯「……うるさい」

『    』

唯「うるさいよっ! お願いだから黙ってっ!!」

『    』

唯「あなたは誰なの!? ねぇ、憂と私をどこに連れて行こうとしてるの!?」

『    』

唯「憂を苦しめる人なんて、誰もいらないっ」

『    』

唯「だから……だから、あっちいっちゃえっ!!」



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:56:14.80 ID:/zRyAdkJ0

―びょうしつ!―

唯「ぅぅ…………」

律「ゆ、唯!?」

唯「ぅ、ぁ……」ゼーゼー…

律「おい、どうしたんだよ! 唯、唯!?」

唯「ぅ、ぃ……」ヒュー…ヒュー…

律「くそ……っ!」

律(ナースコールは……あった!!)バッ

律「大変なんですっ! 唯が、唯が……っ!」



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/21(月) 23:58:58.58 ID:/zRyAdkJ0



唯(うぅ……『誰か』が叫んでる……)

唯(なんでだろう。頭が、くらくらするや)…フラッ

唯「お願い……私たちのことなんて、放っておいてよ……」

『           』

唯「……っ」

『      !』

唯「あなたが誰か思い出せないけど……お願い、もう、やめてよ……」

『    !      !』

唯「もう、私たちの世界に二度と来ないでっ!!」



209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:03:49.33 ID:2psNYH9x0

『』

唯「はぁ……はぁ……」

唯(どうして? 憂がすぐ傍にいてくれるのに、どうして……こんなに苦しいんだろう……?)

憂「おねぇちゃん……だいじょうぶ……?」

唯「う……うん。憂は?」

憂「さっきよりは……へーきだよ……」

憂「だってね、おねえちゃんが、近くにいてくれるんだもん」

憂「おねえちゃんと一緒に居る為なら、どんなに苦しくても我慢できるから……」

唯「憂。わたしもね……」

『        』ポロポロ

唯「…………あれ?」



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:07:51.45 ID:2psNYH9x0

SSを中断してでも言いたい。



憂ちゃん!お誕生日おめでとう!!
SSでは殺し掛けちゃってごめんねっ!!




212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:19:39.56 ID:1byzAV1S0

憂ちゃん誕生日おめでとう!!



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:20:59.20 ID:q3bMH1Uk0

憂ちゃん誕生日おめでと保守!!



214 名前: 冒険の書【Lv=1,xxxP】 :2011/02/22(火) 00:21:45.15 ID:lw97XenP0

憂ちゃぁぁぁあああん♪
お誕生日おめでとーー♪
アップルパイ買ってきたから一緒に食べようね♪



216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:24:03.90 ID:p4/jSX3MO

ういちゃんかわうい



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:28:25.94 ID:izeNVP97O

憂ちゃんかわうい



220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:47:46.65 ID:8xjQ/UNFO

憂ちゃん誕生日おめでとう!





219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:38:29.05 ID:2psNYH9x0

唯「泣いてるの……?」

『         』ポロポロ

唯「どうして、泣いてるの?」

『         』グス…グス…

唯「私がひどいこと言っちゃったから? ねぇ、どうしてなの?」

『         』

唯「ねぇ、答えて。答えてよ」

憂「お、お姉ちゃん? 誰と話してるの?」

唯「わかんない。わかんない、けど……」

『唯! お願いだっ!』

『戻ってきてくれよ……唯……っ』

唯「え……」



唯「りっちゃ……ん?」




218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:28:56.22 ID:WgvuxnR/O

これ、海だー!!の人?





221 名前:>>218 ちがうよー:2011/02/22(火) 00:47:51.35 ID:2psNYH9x0

―或る病室―

 ばたんっ!!


律「はぁ……はぁ……!」

澪「ど、どうしたんだよ律」

律「大変なんだよっ! 唯が、唯が……っ!」

紬「まさか……」

梓「ゆ、唯先輩になにかあったんですか……?」

憂「う……ぁ……」ハァ…ハァ…

純「!」

純「梓っ! 憂が……憂がすっごく苦しそうにしてる……!」

梓「う……憂っ!」



223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 00:56:45.75 ID:2psNYH9x0


『  』タタ…ッ

唯「あぁ! 待って、待ってよりっちゃん!!」

憂「りっちゃん? ……お姉ちゃん、それ、誰のこと?」

唯「友達だよっ。大事な大事な、けいおん部の……っ」

憂「けーおんぶ?」キョトン…

唯「うい……?」

憂「お姉ちゃん……さっきから何を言ってるの……?」

唯「……え?」

憂「お姉ちゃんも、変な声のせいでおかしくなっちゃったんだね」

憂「つらかったよね。こわかったよね」

憂「私も、こわいよ……お姉ちゃん」

唯「……っ」



224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:05:19.31 ID:2psNYH9x0

唯「憂は覚えてないの!? 忘れちゃったの!?」

憂「な、なに? なんのこと?」

唯「私もね、さっきまで忘れちゃってた」

唯「だけど、憂にだって思い出さなきゃいけない大切なことがあるでしょ?」

憂「わ……わかんないよ……」

唯「憂……っ!」

憂「どうして? どうして、そんな変なことを言い出すの?」

唯「変じゃないよ。今の憂の方が、絶対変だよっ!!」

憂「!」



226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:09:18.06 ID:2psNYH9x0

憂「どうして……? どうして、そんなこと言うの……?」

唯「憂。私、思い出せた。みんなが呼んでくれたから」

憂「みんな? ねぇ、みんなって誰?」

唯「憂にだっていたでしょ? 憂を呼んでくれる、大切な人が。人達が」

憂「……それって」ポツリ

唯「……! 憂、思い出せたの!?」パアァ…!





憂「それって、あのうるさい耳鳴りのこと?」



228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:17:25.88 ID:2psNYH9x0

唯「おねがいっ。思い出さなきゃダメだよっ!」

憂「どうして?」

唯「ちゃんと思い出して、一緒に行こう? ねっ?」

憂「どこに?」

唯「……うい」

憂「わかんないや」

唯「分かんなくても良いっ! 行こう、みんなのところへ!」グイッ

憂「い、痛いよお姉ちゃん! やめてっ!」



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:23:52.25 ID:2psNYH9x0

憂「みんなのところってどこ?」

憂「みんなって、だれ?」

憂「あったかくて、気持ち良いここよりも良い場所なの?」

憂「私より大切なひとなの?」

憂「お姉ちゃん。答えて。ねぇ」

唯「……」

憂「こたえて」



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:27:18.60 ID:2psNYH9x0

唯「向こうはね、ちょっと大変なこともあるけど」

唯「それでもとっても楽しい場所だったよ」

唯「みんな優しくて、一緒にいると楽しくてね……」

憂「……だけど」

憂「それって、これからもそうなのかな?」

唯「へ……?」

憂「これからも、絶対に変わらないのかな」



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:31:12.92 ID:2psNYH9x0

憂「ここに居れば、なんにも変らない」

憂(実はね、お姉ちゃんが腕を引いてくれた時)

憂「ずっとこのままでいられるよ。私も、お姉ちゃんも」

憂(少し……ほんの少しだけ、思い出せたんだよ。向こうの事)

憂「ここには大変なことなんて一つもないよ」

憂(記憶の奥底で黒いツインテールの女の子がないてた)

憂「お姉ちゃんは優しいし、一緒にいると私は楽しくて仕方ないんだ」

憂(その女の子が泣いていた理由も……思い出した)

憂(そう……思い出しちゃったよ)



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:38:00.86 ID:2psNYH9x0

唯「憂っ」

憂(目の前にいるのは、本当のお姉ちゃんじゃない)

憂「ねぇ、お姉ちゃん。私の話を聞いて」

憂(本当のお姉ちゃんは、白くて殺風景なシーツに埋もれてぐったりしているんだ)

憂「どんなに平和な世界でも、どんなに楽しい日常でも」

憂(だけど……向こうにはギー太を抱えてはしゃぐお姉ちゃんはもう、いない)

憂「あっさり崩れちゃうんだよ?」

憂(お医者さんは、最善を尽くすと言ってくれた)

憂「簡単に、あっけないくらいに。……それは、とても残酷な事。
  だけどね……あってはならない事は、毎日毎日地球のどこかで必ず起こってるんだよ」

憂(それでもお姉ちゃんは帰ってこようとしなかった)

憂「どんなに大切なものがあってもね、あっさり壊されちゃうの」

憂(何カ月も、ずっとずっと待ってたのに)

憂「お姉ちゃん。……向こうは、そういう世界なんだよ?」

憂(だから――私は会いに来たんだよ。お姉ちゃん)



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:45:43.77 ID:2psNYH9x0

唯「ういー……言ってることが難しすぎてちんぷんかんぷんだよ……」

憂「難しくないよ。
  私もお姉ちゃんも、それを体感したでしょ? すごく痛くて苦しくて、かなしいことを」

唯「……うい」

憂「ねぇ、向こうに帰ってどうするの?」

憂「帰って、みんなに会って……それからは?」

憂「また酷い目に遭うかも知れない。
 今度はお姉ちゃんの言ってた『大切な人』がそうなるかも知れない。
 その時、お姉ちゃんは堪えられる……?」

唯「……」

憂「私は堪えられないよ。そんなの、絶対に」

憂(……たえられなかったよ、おねえちゃん)



241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:50:31.12 ID:2psNYH9x0

憂「それにね」

憂「向こうでは『時間』ってのがあるんだよ? 分かる?」

唯「うん……それも、思い出したよ……」

憂「そっか。なら、話は早いや」

憂「時間は少しも留まってくれないよ。
 楽しいことも、嬉しいことも、すぐに過ぎてく」

憂「今は一緒にいてくれる人が居たとしても、それは永遠じゃないんだよ。

 いつ、何が起こって離れ離れになるか分かんない。

 もしかしたら大好きな人達を嫌いになっちゃうような事だって起こるかも知れない。

 全部、全部、色あせちゃうの。それはかなしいことだけど、仕方のないことだから」

唯「……」



242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 01:58:25.27 ID:2psNYH9x0

憂「それは、世界で一番こわいこと」

憂(なかなか目を覚ましてくれないお姉ちゃん)

憂「ここに居れば何も色あせない。何も、進まない」

憂(どうして目を開けてくれないの。どうしてまた私を抱きしめてくれないの)

憂「全てが新しいまま」

憂(どうして)

憂(どうしてどうしてどうしてどうして)

憂(きらいになっちゃうよ)

憂(あんなに好きだったお姉ちゃんのこと、きらいになっちゃうよ……)

憂(そんなの、やだよ……お姉ちゃん……こわいよ……)

憂「向こうに戻れたとしても、全てが元通りになる保証はないんだよ?」

憂(戻ったとしてもお姉ちゃんがまた目を覚ましてくれる保証は、ない)

憂「だから。だからね……」

憂(ずっと目を閉ざしたまま生き続けるかも知れないのに)

憂「……だから」…フラッ



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:04:58.64 ID:2psNYH9x0

憂(あれ……?)パタリ…

唯「……っ!」

唯「憂っ! 憂っ!?」

憂「えへ……へ……おねーちゃん」

唯「どうしたの? 具合わるいの?」

憂「やだなぁ、お姉ちゃん……逆だよー……」

唯「逆?」

憂「うん。あのね、なんだかとっても気持ちが良いの……心がぽかぽかしてるや……」ボンヤリ…

唯「しっかりしてよ、憂っ!」ギュウッ!

憂「なんでだろう……? おねーちゃんが抱きしめてくれてるから、かなぁ……」



248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:14:42.68 ID:2psNYH9x0

―或る病室―

純「憂っ! 憂っ!」

紬「今、お医者さんを呼んだわっ。すぐ来てくれるって!」

律「ちくしょうっ。唯も憂ちゃんもどーしちゃったんだよぉ……」

梓「……憂」

梓「憂っ!」ギュー…ッ!

澪「あ、梓……っ!」

梓「やだやだっ! 純と私と、一緒に演奏するって言ってたじゃん!
  ずっと一緒だって約束したよね!? 忘れちゃったの、ねえ!!」ギュウー!

梓「忘れたんなら、もっかい言うよ! 何度でも言ってあげる!
 一緒だよ。何があったって、私達は一緒だよっ! だから、だから……っ!」

紬「梓ちゃん! 落ち着いてっ!」

梓「ううう……憂、憂、憂……っ。戻ってきてよぉ……」ボロボロ…



250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:23:25.53 ID:2psNYH9x0




憂「――――っ」…ドクン

唯「ういー……?」ウル…ッ

憂(ちがう)

憂(これはお姉ちゃんの温度じゃない)

憂(私は、お姉ちゃんに抱きしめられてるのに……これは、だれ……?)

憂(だけど……妙に懐かしい感触が、する)

憂(この温度はもこもこ頭の子なのかな? それとも、あのツインテールの女の子かな?)

憂「えへへ……やっぱり、わかんないや……」ヘラ…



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:34:02.26 ID:2psNYH9x0

憂(わかんないけど……だけど、ほんわかした気分……)

憂(きっと、私にとって『大切な子』の温度)

憂(お姉ちゃんとおんなじくらい、大切なおともだち……だったのかなぁ?)

『        !』

憂(また、声がする)

『            』ボロボロ…

憂(だれかが、ないてる)

憂(私とは無縁になった世界で、大声を上げて泣いてる)



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:41:26.60 ID:2psNYH9x0

憂(あはは……まるで、少し前の私みたいだよ)

憂(眠るお姉ちゃんの隣で、声が枯れても泣き続けた私)

憂(そこには……あぁ、軽音部の皆がいたっけ)

唯「……――ぃ―――ぅぃ――」

憂(お姉ちゃんにしがみついて、

 自分でもびっくりするくらいの大声を上げて、

 お姉ちゃんをこんな風にした神様を恨んで、憎んで)

憂(皆を悲しませてるのに、私を苦しめてるのに

 静かに眠ったままのお姉ちゃんに腹を立てて……訳も分からないことをわめいて……――)



憂(あぁ、その時から私は忘れ始めてたんだ)

憂(あれが、涙と一緒に大切なものがこぼれてしまった瞬間だったんだ)



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 02:52:17.95 ID:2psNYH9x0

唯「――ういっ!」

憂「……おねーちゃん?」

唯「憂、本当にどうしちゃったの……?」

憂「うん……私、どうしちゃったんだろう……」

憂(あぁ……ぬくもりが消えていく……)

憂(どうして? どうして、私を離したの……?)

憂(お願い。もっと、もっと……)

唯「憂……どうして、ないてるの?」

憂「…………え?」…ポロッ



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 03:04:32.60 ID:2psNYH9x0

憂「私、泣いてる……」ポロポロ

唯「うん。泣いてるよ」ポロポロ

憂「あはは……どうして、お姉ちゃんまで泣いちゃうの……?」グスグス

唯「わかんない。だけど、とまんないや」ポロポロ ポロポロ

憂「……ふふっ。へんなの」…ポロッ

唯「変、かなぁ?」

唯「なんだかね、とっても暖かくって……。

 ………うん。やっぱり私、帰りたいや。憂と一緒に、帰りたい」



256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 03:21:46.68 ID:2psNYH9x0

唯「聞いて、憂」

唯「さっき憂は言ってたよね。向こう側にはつらいのも悲しいのもいっぱいあるって」

唯「しかも、それがいつ起こるかも分からない。
 永遠の幸せなんて向こう側にはないんだって」

憂「……うん」

唯「そうだと思うよ。むずかしくって、ちょっぴりしか分かんないけど……なんとなくなら、分かる」

憂「……」

唯「だけどね、憂。……ここには、永遠しかないんだよ?」

唯「ここに来て、ここでしばらく過ごして……ようやく気づけたの」

唯「なんにも色あせないけど、ただそれだけだったんだ」

唯「それに気づいちゃったからかな。それとも、もともと私はこんなにワガママな子だったのかな、」

唯「どうせ過ぎ去るとしても。それが、あっさり消えるかも知れないとしても」



唯「私は、憂とあの世界で生きていたいんだ」



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 03:36:36.68 ID:2psNYH9x0

憂「おねえちゃ……」

唯「だからね……帰ろっ」…グイッ!

憂「わわっ!?」

唯「何言ってもだめだよ。憂がどんなに怒ったって離さないもんっ」フンスッ!

憂「だ、だけどお姉ちゃん……どうやったら帰れるのか分かるの?」

唯「あ……」

唯「……わ、わかんない。どーしよー、ういぃー!」メソメソ

憂「お姉ちゃんったら……」…クスッ



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 03:45:11.18 ID:2psNYH9x0


……
………

唯「うぅ~ん……とりあえず、歩いてればどうにかなると思ったけど……」

憂(ものの見事に迷っちゃった……)

唯「うぅー……なんだか修学旅行の時に迷ったのを思い出すや……」

唯(あの時は、みんながいたから何とかなったけど……)

唯「……」…チラッ

憂「お姉ちゃん……?」

唯(よし……っ。憂の為にも、私が頑張らなくっちゃっ!)フンスフンス!

憂「お、お姉ちゃん、あんまり引っ張らないでよー……」



263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 03:58:34.65 ID:2psNYH9x0


憂(さっきまで、あったかくて優しい場所に居たのに)

憂(進めば進むほど世界が暗がりになっていく)

憂(冷たくて、粘っこい風)

憂(本当に帰れるの? ……私は、本当に帰りたいの?)

憂(ここを闇雲に進んで、その先には何が待ってるの……?)

唯「……憂」

憂「へ? なに、お姉ちゃん」

唯「憂、また悲しそうな顔してたよ? 大丈夫?」

憂(……。……自分の気持ちもまだ分からないけれど)

憂(お姉ちゃんが帰りたいなら、私もそうしよう)

憂(だって私は……お姉ちゃんに会いに来たんだもんっ)


憂「うんっ。大丈夫だよ。……だから、行こ?」



264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:13:08.41 ID:2psNYH9x0


 黒い地面はやわらかくって、マシュマロでも踏んでるみたいに不安定だった。

 道の端でぐちゅぐちゅと何かが蠢く。
 きっと、この人達も消え損ねてしまったんだろう。

 ――私もお姉ちゃんも、おんなじ。
 そう思った時にようやく恐怖心がわきはじめた。

 つないだ手を強く握ると、お姉ちゃんは苦笑いしながら一旦立ち止まってくれた。

唯「……私、憂が来てくれるまで自分はもう死んじゃったと思ってたんだ」

憂「眠ってるよ。お姉ちゃんは、ただ、眠ってるだけ」

憂(そう、ただ眠るだけの存在になってしまったの)

唯「私ね、人は死んだらお星さまになると思ってた」

唯「だけどなかなか星になれなかったし、変だなぁって思ってた」

唯「そう思ってたのに、私はあそこから動けなかったの」

唯「――憂が来なかったら、こうして帰ろうとも思わなかったのかなぁ?
 うーん……わかんない。わかんないや。わかんないけど、進もう……ねっ」

憂「………うん」



266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:22:34.23 ID:2psNYH9x0


 私達は、進む。
 この道が本当に向こう側に続くかも分からないままに。
 向こう側に行くのすら躊躇していたはずなのに。

 確信もないのに、ぐんぐん進むお姉ちゃんにひかれるまま。

憂「……ねぇ、お姉ちゃん」

唯「なぁに?」

憂「本当に死んじゃったら、どうなるんだろうね」

憂(もしここで、お姉ちゃんが『戻ろう』と言ったら私たちは死ぬ)

憂(それは……ちょっぴり嫌、かなぁ)

憂(おかしいなぁ……私は、お姉ちゃんの為に死ぬ筈だったのに)

 難しい顔で「むむー」と唸った後、お姉ちゃんは言った。

唯「…………憂が、死んじゃわなくって良かった」

 ……全く答えにはなってないけど、なんだか嬉しかった。



267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:30:17.44 ID:2psNYH9x0

唯「あ……っ」

 あーあ、よそ見して歩くからだよ。

 躓いたお姉ちゃんにつられ、私も転げる。転げ落ちる。

唯「わっ、わぁ!? うい、ういー!」

 深い闇をひゅるひゅると落ち、ざぶざぶと冷たい水に浸されていく。
 体の中を水のあぶくが通ってはじける。ぱちぱちと、暴力的に。

 苦しいのは一瞬だけ。
 その後は水の流れに押し込められて……――何だか、前にもこんなことがあったような気がする。



 あぁ、これは思い出せたよ。
 これは、たくさんのお薬を飲んだあの時に感じた感覚。


 ねぇ、お姉ちゃん。
 今の私たちはどうなってるんだろう。

 お姉ちゃんとともに沈みながら――急に、とても帰りたくて仕方くなくなってきたの。



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:38:23.92 ID:2psNYH9x0


「ふしぎだね。こうしてると、そらをとんでるみたいだよ」

「ちがうよ、とべてないよ。おねえちゃん」

「あれ? ほんとーだ。わたしたち、しずんでる?」

「うん」

「どうしよう、うい」

「どうしようね」

「みなもが、あんなにとおくなっちゃったよ」

「そうだね」

「どんどん、くらくなってく。くろくなってく」

「さみしいね、おねえちゃん」

「へんなの。ういがいるのに、さみしいや」

「もどろうよ、おねえちゃん」

「……うん。はやくしないと、ておくれになっちゃうからね」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:48:20.73 ID:2psNYH9x0


 水の抵抗が酷い。
 上へ進んでいるはずなのに更に沈み込んでいるような気すらする。

 それでもお姉ちゃんに触れれば、冷たい水の中でも身体の芯まで温まるような心地がした。

「うい。うい、いってたよね」

「むこうには、えいえんなんてないって」

 そうだよ、お姉ちゃん。
 向こうでは信じられないくらい残酷なことが起こるんだよ。
 昨日まで元気だったお姉ちゃんが、突然動かなくなるくらい残酷なことが。

「だけどね、」
「えいえんはなくっても、たいせつなものならたくさんあるんだよ」

 大切なものって、あの時お姉ちゃんを呼んでた人たち?

「うん」

「ほかにもいろいろあるよっ。
 ほんもののあいすたべたり、ごろごろしたり、ぎーたとうたったり、」

「ういと、いっしょに、わらったり」

「えへへ。こうしておもいかえすとさ、わたし、たくさんの『たいせつ』があったんだなぁって、あらためておもうよ」



273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 04:55:00.55 ID:2psNYH9x0

―手術室の目の前―

梓「唯先輩……うい」

純「どうしよう、どうしよう……憂、憂……」

紬「唯ちゃん……憂ちゃん……お願い、無事に戻ってきて……っ」

澪「うぅ、どうして……どうしてこんな……」…グス

律「泣くなよ、澪。きっと唯も憂ちゃんもだいじょーぶだって」

澪「律……お前、どうしてそう平和でいられるんだよ……!」

澪「唯が、唯が……死にそうなんだぞ……っ!?」

律「澪っ」

澪「ぁ…………ごめん」

律「私だって……平気じゃ、ないっての」…グスッ



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:06:32.22 ID:2psNYH9x0


 あれから、どれだけ水面を目指したんだろう。
 数分? 数時間? 数日? 数か月? 分からない。
 水の冷たさにしびれて、それすら分からなくなっていく。

 どれだけ水を掻いても、ほとんど進めなかった。
 全身がひどく疲れる。身体のすべてが軋みをあげる。

 ――このまま水に任せて沈みこんでしまえれば、どんなに楽なんだろう。

 そう思ったのに、私がそうしなかったのは水の中にいるのにお姉ちゃんが手を離さないでいてくれたから。



276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:09:24.29 ID:2psNYH9x0


「うい」

「ういは『むこうにかえってどうするの?』って、いってたね」

「わたし、きめてるんだ。むこうにかえったらしたいこと」

 なぁに、お姉ちゃん。

「あのね、かえったらみんなにあやまりたいなぁ。
 しんぱいかけてごめんねって。みんなには、ほんとうにわるいことしちゃったね」

「そしてね、

 ギー太を弾くよ。

 みんなと一緒に歌い続けるよ。

 なにがあっても、絶対に。

 そして。そしてね――今度は、本物の憂とぎゅーってするんだ」



 透明な水面が、優しく揺れた。



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:26:25.71 ID:2psNYH9x0


梓「唯先輩。憂、憂……っ」

純「梓っ。大丈夫だから。きっと、二人とも大丈夫だからっ」

梓「……純」

純「信じよう。また、憂と会えるって」

 水の抵抗が身を切るように痛んできた。

梓「……」

 それでも、諦めたくなかった。

梓「……うん」

 なんでかな?
 私は自分からこれを望んでいたはずなのに。

梓「憂……待ってるから……」

 なのに、帰りたい。
 お姉ちゃんと一緒に、帰りたい。

梓「……戻って来なかったら、ゆるさないから」…ポロッ



282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:30:55.70 ID:2psNYH9x0



 神様。
 もしもいるのなら、ごめんなさい。
 ワガママな子でごめんなさい。何度だって謝るから。

 だから……――

梓「ゆるさ、なぃ……からぁ……ぅぐ、ぐすっ……うぁぁん……!」ポロポロ

「……あずさ、ちゃん」

 無意識につぶやいた名前。
 その瞬間、今まで頭の中から抜け出していたモノがざわりざわりと集まり始めた。

 水の中は相変わらず暗かったけれど、心の中で何かが色づいた気がした。

 私はお姉ちゃんの手をもう一度握り直し、暗い水の中で笑った。
 お姉ちゃんも、それに応えて力強く笑ってくれた。


 水面から顔を出した私とお姉ちゃんは、そのまま意識を失った。
 遠くなっていく意識の中見えたのは――疲れた顔ではにかむお姉ちゃんの姿。



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:43:43.24 ID:2psNYH9x0


 あのまま沈んでいたら何処に行きつけたんだろう。

 大好きなお姉ちゃんと一緒に星になれたかも知れない。

 大好きなお姉ちゃんと一緒に涼やかに通る風になれたのかも知れない。

 大好きなお姉ちゃんと……ただ、溶け消えるだけだったかも知れないし、

 水の底の世界の方が、安らかで幸せな世界だったのかも知れない。



憂(それでも、私は戻ってきた。お姉ちゃんと一緒に戻ってきた)

憂(……戻ってきて、しまったの)



285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:51:57.71 ID:2psNYH9x0

―或る病室―

憂「……」

 …がちゃり

憂「……あずさちゃん?」

梓「憂。体調はどう?」

憂「えへへ。体は、だいじょうぶだよ」

梓「……」

梓「……そっか」



287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 05:57:26.61 ID:2psNYH9x0

憂「お姉ちゃんはまだ起きないの?」

梓「……うん」

憂「そっか……」

梓「だ、だけど、きっといつか目を覚ますよ!
 お医者さんだってそう言ってたじゃん!」

憂「『いつか』って、いつ?」

梓「……」

憂「前もお医者さんは言ってたよね。あとは目が覚めるのを待つだけって」

梓「……」



289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:00:08.63 ID:2psNYH9x0


 あの時、私はお姉ちゃんの手を握りしめたままだった。

 これで向こうでもお姉ちゃんと一緒でいられる。

 そう思って、意識を手放したのに。


 ねぇ、お姉ちゃん。
 どうして? どうしてなの?

 言ってたでしょ。
 帰ってきたらギー太を弾くって。
 みんなと一緒に歌い続けるって。
 本物の私と、抱きしめあってくれるって。

 絶対に、そうするって言ってたのに……。



291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:05:08.71 ID:2psNYH9x0

憂「……」…ウルッ

梓「……憂」

憂「梓ちゃん、今日も学校でしょ?
  学校に行った方が良いよ。……私は、平気だから」

梓「憂」

憂「……お願い。行って。ひとりにして」

梓「……」

梓「……憂っ!」…ギュッ!

 あの時、感じた温度が伝わる。
 私にとって『大切な子』の温度が。

憂「……どうしたの、梓ちゃん」


梓「……憂。唯先輩に会いに行こう?」



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:10:04.47 ID:2psNYH9x0

 ほんの少し、どきりとした。

憂「会いにって、どういう意味?」

梓「え? 唯先輩の病室にだよ。今から」

 ……えへへ。そうだよね。
 なんだか、変な想像しちゃったよ。

憂「だけど、私まだ安静にしてなきゃって……お医者さんが……」

梓「会いたいんでしょ? 唯先輩に」

憂「……。……会いたい、よ」

梓「それなら行こうよ。少し歩けば、会えるから」



293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:14:09.81 ID:2psNYH9x0


 廊下を歩いて、右に曲がって左に曲がって……本当に少し先の距離にお姉ちゃんはいた。
 その短い距離すら、目覚めたばかりの私にとってはつらい道のりだったけれど。

 それでもたどり着けたのは、梓ちゃんが隣で支えてくれたから。

 清潔感を通り越し、無機質にさえ見えるドアを梓ちゃんが開けてくれた。
 そこには、すやすやと眠り続けるお姉ちゃんが居た。

憂「……お姉ちゃん」

憂「お姉ちゃん……っ!!」タタタッ

梓「う、憂! 走ったらダメだよ! 本当は歩くのもダメなのにっ」

憂「お姉ちゃん、お姉ちゃん! 私だよ、憂だよ!?」

唯「……」

憂「お姉ちゃん……私、帰ってきたんだよ……?」

 それなのに、どうしてお姉ちゃんは帰って来てくれないの?

憂「お姉ちゃんのうそつき……っ」

憂「今度の今度は、本当に嫌いになっちゃうんだからぁ……!」

唯「……」…ピクリッ



294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:19:45.96 ID:2psNYH9x0

憂「お姉ちゃんのばかっ」

憂「目を覚ましてっ! ギー太も待ってるよ!? みんな待ってるんだよ!?」

憂「……私も、待ってるのに。ずーっとずーっと、待ってるのに……」

梓「憂、落ち着いてっ」

 私は、梓ちゃんの言葉も無視してお姉ちゃんの身体にすがりつく。

憂「帰って来なかったら、もうお姉ちゃんの為にご飯作ってあげないもんっ」

憂「ゴロゴロするのも禁止にするもんっ」

憂「アイスだって、一生抜きにしちゃうからね!」

憂「お姉ちゃんはそれで良いの!? ねぇ、このままで良いの!?」

 良いはずないでしょ。
 ねぇ、お姉ちゃん……お姉ちゃん……!

唯「……ん、ぅ」



295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:24:12.35 ID:2psNYH9x0

憂「……!」

梓「ゆ、唯先輩……!?」

唯「うい、あいす、たべたいよ……」…パチリ

憂「お……」

憂「……お姉ちゃんっ!」ガバッ!!

唯「ふぇ? あ、あれ? ……ここ、どこ?」

憂「うあああああんっ。おねえちゃん、おねえちゃん、おねえちゃんっ!!」

唯「うい? あぁ、あずにゃんもいるや……」キョトン

梓「あ……あはは……アイスの為に起きるなんて、唯先輩はやっぱり変な人ですね……」グスグス…

唯「あれれ……私、なにしてたんだろ……あれ……?」



296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:30:42.57 ID:2psNYH9x0

唯「うい、あずにゃん……どうして泣いてるの?」

梓「ど、どうしてって……どれだけ皆が心配したと思ってんですかっ!」

唯「へ……?」…キョト

憂「えぐっ、ぇう……ふぇぇぇぇん……!」ボロボロ

唯「憂? ねぇ、泣き止んでよ」

唯「何があったの? 憂は……どうして、こんなところにいるの?」





憂「お姉ちゃんに、会いに来たんだよ!!」ニコッ

【おしまい!】




297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:34:14.68 ID:WMHhezFYO


面白かった!
欲を言えば後日談的な物が欲しかった



299 名前: 冒険の書【Lv=1,xxxP】 :2011/02/22(火) 06:37:00.15 ID:f7z5P/Ce0

面白かったよ
お疲れ様でした



301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:40:23.79 ID:92nwimcfO

和ちゃんが出てこない納得のいく理由が聞きたいんだが



302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:41:02.38 ID:/UzqLH/cO

面白かった、乙



303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:41:18.08 ID:OzZ/3YvS0






305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:48:12.36 ID:2psNYH9x0

あとがき的な蛇足でも書きます。

途中で和ちゃん出すのすっぽり忘れてたことを思い出しました……うわああっああっああああっ!
最近酷い切れ痔になったり、その他諸々あってナーバスになっていたせいか、
妄想の全てがバッドエンドになり始めてきたのでそれを払拭するためにハッピーエンドにしました。
こんな駄文に付き合ってくれてありがとねっ///

次は何書くかなぁ。またハッピーエンドか、ギャグものでも書きたい気分。
ムギがティータイムのたびに自分の体の一部を切り分ける話とか、りっちゃんのカチューシャを澪ちゃんが飛び膝蹴りでぶっ壊す話とか。
まぁ、いいや。気づいたら外が明るいことに絶望してます。  それじゃおやすみ。




306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 06:53:10.42 ID:SfpWhe8k0

とりあえずあずにゃんが平沢姉妹のパンツを爽やかな笑みで盗む話にしてください。



307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:07:16.11 ID:u8phIHtc0

とてもいい話だったよ

おつ!!



308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:09:34.67 ID:MUzvADyqO





309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:20:04.78 ID:XZEYUdZdO

>>301
和ちゃんはすでに暗い底に落ちていってしまっていた…



310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:29:24.00 ID:YU4PY5ihO

乙、がんばってね



311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:46:59.00 ID:lv+qvoZG0

残ってて読めた!乙です



312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 07:47:57.90 ID:2RPtJT+8O

バッドエンド期待してたが、楽しかった乙!



313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 08:22:18.44 ID:II7hZpVUO

>>1乙
久々に良いもの読ませてもらった



314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 08:53:46.19 ID:M2bpLbsO0

帰ったら読む乙



318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 09:37:01.03 ID:fFstC2jsO

乙!!
水面の回想シーンがとてもよかった



319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 10:11:38.54 ID:UnHPcJzUO






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タイトル:
NO:1064 [ 2011/02/22 14:06 ] [ 編集 ]

よかったけど
和が出てこないのが不自然でたまらなくこう

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