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憂「…ぶっ潰す」#前編 【アクション】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:36:36.19 ID:n1BpjM5L0

むか~し昔ある所に、姫子といちごが住んでおった。
ある日、いちごが山へ芝刈りに。姫子が川へ洗濯に行った時のことじゃった。
 
姫子「ふんふ~ん♪」ゴシゴシ
 
ドンブラコ…ドンブラコ
  
姫子「ん?…なっ…桃!?」ジャバ
 
姫子「でかいな…しかしなぜこんな大きな桃が流れてきたのかしら」
 
姫子「スンスン…甘い…良い匂いだな。よし持って帰ろう」
 




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:38:12.75 ID:n1BpjM5L0

ガチャ
いちご「おかえり」
 
姫子「ただいま。ねぇいちごこれ見てよ」
 
いちご「なにそれ?桃?」
 
姫子「うん。川で洗濯してたら流れてきた」
 
いちご「ふ~ん、スンスン…良い匂いね」
 
姫子「でしょ?早速食べてみようよ」
 
いちご「うん」
 
姫子「いくよ…せいあっ」スパァン
 
いちご「相変わらず見事な手刀ね」
 
姫子「いちごの足刀ほどじゃ……ん!?」
 
赤ん坊「うんたん♪うんたん♪」
 
姫子「赤ちゃん!?」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:41:25.96 ID:n1BpjM5L0

いちご「…桃の中から赤ちゃん…珍しいこともあるものね」
 
赤ん坊「うんたん♪うんたん♪」
 
姫子「くすっ…可愛い。ねぇ私たちで育てようよ。この子」
 
いちご「…別にいいよ」
 
姫子「やった♪じゃあ名前決めなきゃね…桃から生まれたから…」
 
いちご「…」
 
姫子「唯よ!あなたの名前は唯!」
 
いちご「いやなんでよ」
 
唯「うんたん♪うんたん♪」
 
姫子「ふふっ…可愛い。天使みたい」ニコニコ



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:44:05.41 ID:n1BpjM5L0

[1年後]
 
姫子「せあっ」スパァン
 
姫子「チェリア!」スパアン
 
姫子が林の中で竹を手刀で切りまくっていた時じゃった。
 
姫子「ん?…なんだあの竹…でかい!そしてちょっと光ってる…?」
 
姫子「なんだか不思議な竹…まぁいいや切ってみるか」
 
姫子「すぅぅ~…はぁぁ~…チェストォア!!」スパーン!!
 
姫子「!?」
 
赤ん坊「ばぶー」
 
姫子「竹の中に…赤ちゃん!?」
 
唯に妹が出来た瞬間じゃった。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:46:31.50 ID:n1BpjM5L0

[15年後]
 
姫子「あ!ねぇいちご今日の新聞見てよ!」
 
いちご「ん?」
 
姫子「また鬼が出たんだって!」
 
姫子「今度は西の都に鬼出現!
   またもキャベツ、出店のやきそば、左利き用の楽器等奪われる!…だってさ」
 
いちご「毎度微妙な物ばかり奪って行くわね」
 
唯「ねぇねぇ鬼ってなんなの?」
 
姫子「とっても強い生き物よ。人間の天敵よ」
 
唯「へ~!憂より強いの?」
 
姫子「憂より?それはないわね。さすがの鬼も憂には敵わないと思う」
 
いちご「…」
 
ガララ
憂「ただいま戻りました~」
 
唯「あ、おかえり~」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:48:04.88 ID:n1BpjM5L0

姫子「おかえり憂。どうだった?」
 
憂「ふふっ、今夜は熊鍋が出来そうですよ」ニコッ
 
姫子「まぁ、また熊倒してきたの!」
 
いちご「これ隣山の主じゃないの」
 
唯「憂は本当に強いねぇ~」
 
憂「えへへ~」
(お姉ちゃんが喜ぶ顔が見たいんだよ)
 
唯「あ、そうだ!憂!私と一緒に鬼退治に行こうよ!」
 
憂「鬼退治?」
 
姫子「また鬼が出たらしいのよ。ほら、この新聞」
 
憂「まぁ…!」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:49:36.41 ID:n1BpjM5L0

唯「ほら、都の人たちを助けてあげようよ!」
 
憂「でも…」チラッ
 
姫子「ふふっ…良いわ。
   2人とも行ってきなさい。可愛い子には旅をさせろって言うし」
 
唯「わぁ!ありがとう!」
 
姫子「それに憂がいれば大丈夫でしょ」
 
憂「分かりました。行ってきます」
 
いちご「ちょっと待って」
 
憂「?」
 
いちご「憂なら鬼にも勝てるだろうけど…[金獅子のムギ]には気をつけて」
 
憂「金獅子のムギ?」
 
いちご「奴だけは別格だわ。拳王・信代でも勝てなかった最強の鬼よ」
 
憂「…分かりました。心してかかります」
 
唯「ねぇねぇ早く行こうよ~!」
 
憂「あ、じゃあ行ってきます」
 
姫子「頼んだわよ!憂!」ーーーこうして唯と憂の旅が始まった。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:51:07.36 ID:n1BpjM5L0

[森の中]
 
唯と憂が歩いていると、どからともなく音楽が聞こえてきた。
 
チャラら~ら~♪(翼をください)
 
唯「ねぇ憂、聞こえる?」
 
憂「うん、あっちの方だね」
 
唯「行ってみよう!」
 
ーーーーーーーーーーー
 
森の泉の近くで、3人の少女たちが音楽を奏でていた。
いつの間にか唯と憂はその少女たちに魅入り、音楽に聞き入っていた。
 
ちゃらんららん…
 
しばらくして音楽が終わった。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:52:00.86 ID:n1BpjM5L0

唯「わあぁ~」ぱあああ
 
憂「…」
 
律澪紬「ん?」
 
律「ああ、旅の人かな?どうだった?良かったら感想聞かせて貰えないかな」
 
唯「なんていうか…その…言葉にしにくいんですけど…!」
 
律「うん」
 
唯「あんまり上手くないですね!」
 
律「バッサリだー!」
 
唯「でも凄く楽しそうでした!私も仲間に入れて下さい!」
 
憂「ちょっ…お姉ちゃん!?」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:54:14.99 ID:n1BpjM5L0

唯「私、唯っていいます!でこっちが妹の憂!」
 
律(ふふっ…知ってるよ…唯)くすっ
澪(唯…)くすっ
紬(唯ちゃん…)くすっ
 
唯が名乗った瞬間、律、澪、紬は穏やかに微笑んだ。
しかしその微笑みは、どこか切なげで、どこか寂しげでーーーー
まるで遠い過去を懐かしむようなーーー(それも想像を絶する年月を経た過去を)ーーー
楽しかった思い出に浸るようなーーーーそんな優しい微笑みだった。
 
憂「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!!」
 
律「よ~し、唯か!
  ちょうどギターが1人欲しかったんだ!お前は今から私たちの仲間だ!」
 
唯「わぁぁぁ!」
 
憂「待ってお姉ちゃん!!」
 
紬「唯ちゃん、ケーキがあるわよ?」ニコッ
 
唯「わーい!」ダダッ



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:56:12.51 ID:n1BpjM5L0

憂「待って!!!」
 
律「さすがムギ!準備良いなぁ!」
 
憂「お姉ちゃんちょっと待って!!
  私たちの目的忘れたの!?私たちは鬼退治に……ハッ!」
 
律澪紬「!」
 
憂(待って今…!あの人…!ムギって言わなかった…!?)
 
唯「わーい」キャッキャッ
 
澪「ふふ、たくさん食べろよ!唯!」
 
憂(金獅子のムギ…!!)
 
憂「駄目ッ!!お姉ちゃん離れてッ!!その人たちは鬼だよ!!!」
 
紬「…」ゴゴゴゴ



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 20:59:04.17 ID:n1BpjM5L0

唯「え?なに?憂どうしたの?怖い顔して」
 
憂「お姉ちゃん離れて!!」
 
紬「みんな…唯ちゃんを連れて…先に島に帰っててくれるかしら」
 
律「わかった」
 
澪「行こっ!唯!」
 
唯「あれ?憂は?」
 
律「憂ちゃんは後から来るよ」
 
唯「そっか!じゃ、憂!先行ってるねー!」
 
憂「…!」
 (今すぐお姉ちゃんの元に駆け寄りたいけど…こ
  いつから目を離せられない…目を逸らしたらやられる…!)
 
紬「……」ゴゴゴゴゴ



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:01:07.41 ID:n1BpjM5L0

憂「…」ゴゴゴゴ
 
紬「…」ゴゴゴゴ
 
憂「この私からお姉ちゃんを奪おうなんて…
  良い度胸じゃない…金獅子のムギ…!」
 
紬「ごめんなさい…私たちにはどうしても唯ちゃんが必要なの」
 
憂「なぜ…お姉ちゃんをどうする気…!?」
 
紬「あなたには関係ないわ」
 
憂「…絶対にお姉ちゃんは渡さない」
 
紬「…どうしても?」
 
憂「どうしても」
 
紬「…そう」
 
紬「力ずく…って言葉がこの国にはあったと思うけど」
 
憂「…」ぐぐぐ…
 
ふいに、憂の腰がゆっくりと落ちて行く。
臨戦態勢に入ったのだ。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:02:35.97 ID:n1BpjM5L0

憂「…」ゴゴゴゴ
 
紬「…」ゴゴゴゴ 

大気に満ちていた紬の気と、憂の気とが、二人の間の空間で、じわりと重なりあった。
どちらも獣の気、獣気であった。
吠え声もあげずに、二頭の犬が、お互いの牙を噛みあわせたようなものだった。
 
力量は、どちらが上ともまだ分からない。
 
ひゅお~と風が憂と紬の髪をなびかせた直後ーーーー
 
憂の身体が動いた。
真横の木に向かって跳躍し、一瞬で木を登ると風のように枝の上を走り出した。
信じられない速度だった。まるで漫画の忍者のようだった。
細い木の枝の上を走り、跳躍し、また走った。唯が向かった方向に。
 
憂の狙いはーーー
 
溺愛する姉、唯だった。
 
紬「!」
(とりあえず唯ちゃんを…ってわけね。させないわよ)

同じスピードで、紬が、地面の上を走った。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:04:13.85 ID:n1BpjM5L0

憂が次の枝に飛び移ろうとした時、憂に向かって、紬の身体が疾った。
 
憂「!」
 
暴風のように、紬の右脚が地を蹴って跳ね上がる。大気を裂いて、引き締まった脚が唸った。
 
紬の、鬼の全身のパワーを込めた凄まじい跳び回し蹴りだった。
その脚の直撃を常人がまともに受ければ、内臓破裂であっさりあの世へ行ってしまうだろう。
 
身体が宙にある以上、憂には、それはかわしようがなかった。
頭や、手足を狙ってきたものなら、
どうにかかわしようもあろうが、紬は、憂の身体の真ん中を狙ってきたのである。
 
手か腕でその攻撃を受ければ、
受けた腕の方がどうにかなり、なおかつ脚は憂にぶつかってくる。
 
しかし、憂の格闘センスは、尋常ならざるものだった。
 
憂は、膝を抱え込み、宙で身体を丸くした。
自分にぶつかってきた紬の攻撃を、憂は、なんと両足の裏で受けたのだ。
 
紬の攻撃に、憂は逆らわなかった。
攻撃してきた右脚の力を両足裏で吸収し、パワーの方向にそのまま跳ばされた。
まるで紬が巨大なボールを蹴ったかのようなシルエットだった。
そのまま宙で2回転し、憂は、地に降り立った。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:11:53.56 ID:n1BpjM5L0

紬「やるじゃない」  

言いながら紬は烈風のように憂に向かって走り出した。
憂は、紬と同じ速度で後方に走り出した。バック走の形である。
そのまま後ろ向きに樹の幹を駆け上がった。
 
憂が、樹の幹を蹴って、紬の真上の空間に浮き上がった。
 
紬「ふんっ!」
唸りながら、紬が頭上の憂を目掛けて跳躍した。
同時に右足の爪先を思い切り上に跳ね上げる。
紬の右足の爪先は空を裂いた。
空気に焦げ臭い摩擦痕を残すような、強烈な一撃であった。
 
蹴りが、空を切った。
 
紬は右脚で空を切ったまま、後方に一転した。
サッカーで言う、オーバーヘッドキックの形である。
 
一転する瞬間、樹の梢にぶら下がっている憂の顔が見えた。
真上から襲うと見せ、空中で樹の枝に掴まったのだ。紬の裏をかいたのである。
ざっと梢が鳴った。
 



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:15:32.75 ID:n1BpjM5L0

着地寸前の紬めがけ、憂の身体が、頭上から槍となって襲いかかった。
 
紬「!」
紬は、身体の急所だけをかばい、着地と同時に横に転がった。
 
どどどど…!と鈍い音が響いた。
紬は背中にふたつ、急所をかばった両腕にひとつずつ、
合わせて四つの強烈な打撃を受けていた。
憂が空中から仕掛けた足蹴りの打撃であった。
 
紬「ちぃっ」
紬は舌打ちをしながら距離をとった。
憂の攻撃力が予想以上に強かったからだ。
 
だが憂はさらに追い討ちをかけた。
 
憂「オラァッ!」
半歩を詰め、紬の脇腹に向けて、鞭よりもしなやかな蹴りを叩き込んだ。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:18:04.87 ID:n1BpjM5L0

紬「ぐぅっ」
憂の鋭い蹴りが紬の脇腹に突き刺さった。
だが紬はひるまずに、間をおかずに反撃した。
左脚を思い切り跳ね上げた。
憂の下顎を下から打ち抜くつもりだった。
 
憂「!」
 
憂は後ろにのけぞりそのままバック宙をして回避した。
間髪入れずに紬の身体が動いた。
後ろへ飛んでいる憂を追った。
まだ宙にいる憂に向かって、遠慮のない右の蹴りを、下から跳ね上げてきた。
真下から浮き上がってきたその剛脚を、
憂は、先ほどと同じように揃えた両足の底で受けていた。
受けると同時に、思い切り両脚を伸ばしていた。
ぐん、と憂の身体が、高い空中に、斜めに跳ね上がった。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:20:08.47 ID:n1BpjM5L0

高い宙に浮いた憂を、紬が、さらに追った。
両足を蹴って、身体の伸びた憂に向かって、
いったん引いた右足を、紬がもう一度跳ね上げた。
今度は、真下からではなく、真横から、紬の足が、憂のボディを襲う。
絶妙の連続攻撃であった。
 
伸びきった身体を、憂が、宙で膝を抱えて小さく丸めていた。
縮んだ憂の身体の下を、紬の右足が疾り抜けた。
 
憂の番だった。
 
憂「シッ!」 
憂は、縮めた両脚を伸ばし、地に立ちざま、
紬の左腿を、右足で蹴りにいった。強烈なローキックだった。
紬が、左膝を立てて、それを受けた。
ゴッ…という骨と骨がぶつかる音がした。
2人が離れた。 
睨み合った。

睨み合ったのは一瞬、憂が間髪いれずに紬に向かって疾った。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:22:49.67 ID:n1BpjM5L0

憂は一瞬で間合いを詰める。
美しい弧を描いて、憂の右脚の爪先が、紬のこめかみに伸び上がる。
 
憂の右足の甲が、紬の左のこめかみを貫く寸前、
紬は、左肘をあげて、憂の蹴りをかろうじてブロックしていた。
 
ドゴォ…!
そのブロックごと打ち砕く勢いで、
憂の右足が、紬の肘を叩いていた。とてつもない威力だった。
 
紬「くぅ」
 
紬が、横に大きくのけぞっていた。
憂の右足に叩かれた己の肘で、紬は自分の頬を打ったのだ。
 
揺らいだ紬の左脇腹があいた。
そこへ向かって、いったん跳ね戻った憂の右足が、もう一度跳ね上がる。
ストロボの閃光が、一瞬の間に二度閃くのを見るようであった。
異常な瞬発力を有さなければ出来ない強烈な2連蹴りだった。
 
左肘を下げて、紬がそれを防ごうとする。
しかし、そこにわずかの隙間が残っていた。
その隙間へ、見事に憂の右脚が潜り込んでいた。
肉が肉を打つ鋭い音が響いた。
体重を乗せた、強烈な一撃であった。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:25:49.38 ID:n1BpjM5L0

すでにバランスを失っていた紬の身体が、吹っ飛んでいた。
紬の身体が、右肩からどっと土の上に落ちた。
一転して紬が起き上がる。
 
紬「!」
 
憂「」
 
起き上がった時には、眼の前に憂が立っていた。
憂の首がすっと回転して、後頭部が見えた。
 
紬(後ろ蹴り!?)
 
ずどん…!という重い音がした。
憂の右脚の踵が、紬の腹の真ん中にめり込んでいた。
 
紬が、身体を“く”の字に折った。
下がった紬の右頬を、憂の左膝が下から斜め上方に突き上げた。
 
ごしゃっ…!
 
憂は遠慮のない膝蹴りを、紬の顔面に叩き込んだのだ。
 
紬「…!」ふらっ…
 
紬が崩れ落ちた。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:30:57.49 ID:n1BpjM5L0

憂が右足を大きく振り上げた。
倒れた紬に止めの一撃をぶつけるつもりだった。
全体重を乗せた右足の踵を紬の後頭部へーーーー
 
憂「!?」ばっ
 
攻撃を中断して、ふいに、憂は大きく後方に跳んでいた。
反射的に跳んでいたのだ。
倒れた紬の体内に、固形物のような、何か異様な気が生じたのを感じたからだ。
 
紬「…」ゴゴゴゴゴ
 
紬がゆらりと…ゆっくりと立ち上がった。
瞬間、森から鳥や小動物たちが一斉に遠くへ逃げた。
 
憂「…!?」 
 
憂にしてみれば、連撃を叩き込む絶好のチャンスだ。
しかし、憂は、次の攻撃に踏み切れないでいた。
紬の肉体に育ちつつある異様なものの気配を、憂は捉えていたからである。
 
憂「……!!」 
ぞろりと、憂の背のうぶ毛が、今にも立ち上がってきそうであった。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:33:19.62 ID:n1BpjM5L0

紬「…」ゴゴゴゴゴ
強大な圧倒的オーラが、紬の全身からほとばしっていた。

憂「てめぇ…」
 
本来ならば、憂がこんな隙を見逃すはずがなかった。
たて続けに怒涛の攻撃を仕掛けているところであった。
それが出来ないのだ。
 
紬の肉体の中に、かつて、憂が体験したことのない、圧倒的なパワーが生じていた。
 
憂(なるほど…最強の鬼…か…)
 
そして憂は悟った。
先ほどまでの紬は全力ではなかったのだと。
 
紬「何年振りかしら…私が本気を出すのは…」ゴゴゴゴゴ
 
風が吹いてるわけではないのに、紬の髪がゆらゆらと揺れていた。
 
憂「上等…!」
 
憂が紬に向かって疾りーーーそして高く跳躍したーーー



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:36:37.36 ID:n1BpjM5L0

[鬼ヶ島]
 
がちゃ
紬「ただいま」
 
律「おーすムギ、遅かったな」
 
唯「ムギちゃんうぃっす!
  ってムギちゃん!?どうしたの!?顔アザ出来てるよ!?」
 
紬「ああ、来る時に転んじゃったの」ニコッ
 
律澪(…憂ちゃん…只者じゃないな…)
 
唯「大丈夫!?あ、あれ?憂は?」
 
紬「ああ、憂ちゃんは途中でなんか用事思い出したって言って…」
 
唯「あ!鬼退治!」
 
紬「そうそう、鬼退治してから来るって言ってたわ」
 
唯「私も行った方が良いかな~?」
 
律「ま、大丈夫だろ」
 
唯「ん~そだね、憂は凄く強いし、大丈夫か!」
 
紬「ええ!憂ちゃんはと~っても強いから…心配いらないわ」ニコッ



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:38:43.13 ID:n1BpjM5L0

[森の中・夜]
 
倒れた樹の横に、ボロボロになった少女がうつ伏せで倒れていた。
満月の蒼白い光が、少女を優しく包み込んでいた。
 
憂「…」スゥ
 
憂「…ん…」
 
憂「…ここ…は…」
 
憂「ハッ!お姉ちゃ…!!」ガバッ
 
憂「…くぅ…!!!」ズキン
 
憂は戦闘のダメージで立ち上がれなかった。
 
憂「…」ドサッ
 
再びうつ伏せに倒れた。
 
憂(そっか…私…負けたんだ…)



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:43:36.43 ID:n1BpjM5L0

憂「…うっ…うっ…」
 
憂は左頬を地面につけながら泣いた。
 
憂「う…うっ…うぅ…」
(お姉…ちゃん…)
 
憂「うっ…うっ…うっ…」
 
ーーーーーーーーー
『ふふっ…唯ちゃんは私たちのものよ』
ーーーーーーーーー
 
憂「……」
 
ーーーーーーーーー
『唯ちゃんは私たちと一緒にいた方が楽しいの』
ーーーーーーーーー
 
憂「お…姉…ちゃん…」
 
ーーーーーーーーー
『ふふっ…もう一度言うわ…唯ちゃんは私たちのもの』
ーーーーーーーーー
 
憂「お姉ちゃん…」ギリッ



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:49:03.01 ID:n1BpjM5L0

ーーーーーーー
『唯ちゃんは』
ーーーーーーー
 
憂「…」ギリッ
 
ーーーーーー
『唯ちゃんは』
ーーーーーーー
 
憂「…ッ!」ギリッ!
 
ーーーーーー
『私たち』
『私たち』
『私たち』
 
『私たちのもの』
 
ーーーーーーー
憂「…ッ…ッ」ズガァ!
憂はその場で拳を握った。手の平が地面についていた為、地面に指の跡を穿った。
 


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/05(土) 21:51:41.06 ID:n1BpjM5L0

憂「ま…まだ…」ゆらり
 
憂はゆっくりと立ち上がった。
  立ち上がれる体ではなかった。だが精神力のみで体を動かした。
 
憂「まだ…ま…だ…ッ!」よろっ
 
ふらつきながらも、憂は完全に両足で地面に立っていた。そしてーーーーー
 
憂「まだ終わってねぇぞムギィィィィィィィィィィィア!!!!!」
 
それは獣の雄叫びだった。
満月に向かって吠える獣そのものであった。
大気を揺さぶる凄まじい咆哮だった。
 
憂「…ッ…ギリッ」フーッ!フーッ!
 
憂は血の涙を流していた。
しばらく満月を眺めたあと…
 
憂「…」ふらっ…ドサッ
 
憂「…ち…くしょう…」
(必ず…この借りは…)
 
憂は再び気を失った。
 
第一部 完



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憂「…ぶっ潰す」#前編
[ 2011/03/06 10:21 ] アクション | | CM(2)

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タイトル:
NO:1268 [ 2011/03/06 13:23 ] [ 編集 ]

桃太郎を観たことある人は皆思ったことあると思うけど、TVアニメや紙芝居を観ると、このSSみたいに桃が一刀両断されてどうして桃太郎は無事なんだろうね?上手いこと避けたんだろうか?
童話とか昔話ってSSとかよりも突っ込みどころ満載だよね。
例えば・・・

タイトル:
NO:1302 [ 2011/03/09 18:54 ] [ 編集 ]

なにも言えねぇ
ただ、ただ
なにも言えねぇ

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