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けいおん!の和ちゃんは生徒会室行くからカワイイ#2 【日常系】


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けいおん!の真鍋和ちゃんは過去スレ可愛い




381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/10(木) 00:23:24.03 ID:dC8srW940

「今度ライブするの。ライブハウスでね。
 最近は結構お客さんも来てくれるようになったから」

私の幼馴染が、紅茶の湯気の向こうから私を見て言いました。
数カ月前まではまだ幼さを残していた顔には、代わりに別のものが浮かんでいます。
私は何も入れないストレートの紅茶を口に流しこんで、彼女に返事をしました。

「そっか」

それ以外に返事は必要ないのです。
そっか、だけで良いんです。

彼女が私のいないところで、私の目の届かないところで、
何かをなそうとしているところに、
それ以外のどんな言葉を私はかけられるでしょう?
それ以外にありはしないのです。

「えーそんだけえ?」

彼女はちょっと頬を膨らませました。
大人びた顔には不釣合な仕草に見えます。
私はずず、と紅茶をすすりました。
大人になりたい私に、その紅茶はちょっと苦すぎました。

「それだけ。他に言えること無いもの」

私がそう言うと、彼女は考えこむように宙を見て、それからえへへと笑います。

「そりゃそうだね」

彼女の顔の中にはまだ、私と過ごした十数年が色濃く残っていて、
けれどそれはだんだんと薄れていく兆候を見せています。

忘却の靄を透かして思い返せば、この十数年間、
私たちの世界の主役は、私と彼女だけでした。
でも、これからは違うのです。




383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/10(木) 00:30:28.89 ID:dC8srW940

私と彼女が出会って数年間、私たちは私たちので完結していました。
二人で遊んだら、楽しかった。
二人で喋ったら、楽しかった。
二人で、二人で……時には憂も入れて、三人で。

二人で見る町は二人の視界の中にだけあって、
それが私たちの全てだったのです。
私たちは互いに互いの全てを知っていました。

それから共有し続けた月日は流れ、私たちは高校生になりました。

自我と価値観が確立されかけていくこの時期に、
彼女は自分の意志で、自分の望む方向へ一歩を踏み出しました。

私は後押しくらいはしましたけれど、でもやはり、
彼女が自分の意志で、自分の力で歩んだ一歩でした。

彼女はギターに夢中になりました。
部活動に夢中になりました。

私は生徒会に入りました。
雑務に忙殺されました。

今にして思えば、当時の私は今まで経験したことのないこと、ものを経験していたのです。
唯のような殆ど全ての時間を共有したわけでもない誰かと
意見を交わして、共感して、笑って……
たまには、聡明な先輩に憧れて。

反対に、唯と共有する時間は減っていって、
見る世界は変わっていって、聴く音もずれていきました。

私の目にうつるのはプリントの細かい字ばかりで、
彼女が聴くのは攻撃的なギターサウンドだったのですから、それも詮無いことです。



385 名前:>>383私たちの→私たちの中:2011/03/10(木) 00:37:56.40 ID:dC8srW940

それでも一緒に過ごしてきた時間は
私たちの間のパイプになって、二人の世界を混ぜ続けました。

だから私は軽音楽部の人とも簡単に仲良くなれた。
多分、彼女にもなにか新しく拓けた世界はあったでしょう……これはうぬぼれでしょうか?

ただ、誤算だったのは。
唯一誤算だったのは私たちが何時までも
一緒にいられるわけではないということで、

関係を断ち切られた二つの世界が
いつまでも溶け合い混ざっているわけにはいかないということです。

ほら、案の定、私の知らないところで彼女はなにか楽しそうなことを。

ちょっと恨みがましいような、淋しいような気持ちで、
私は喫茶店の安い紅茶を飲んでいる彼女に言いました。

「私は行けるのかしら」

彼女は目をぱちくりさせます。

「うん。ライブチケットがあれば誰だって入れるよ」

ほら、ほらほら。
解ってくれていない。
そうじゃなくて、そうじゃなくて……

「……そう。どこで買えるの?」

そうじゃなくて、彼女の手でチケットを渡して欲しいのです。
そうしたら、私はまだ彼女とつながっていられる、そう思います。

「ライブハウスで買えるよー。えっとね、住所は」

彼女はピコピコと携帯を弄り始めました。



387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/10(木) 00:47:30.53 ID:dC8srW940

ふう、とため息が漏れます。
空気の流れに、
紅茶から立ち上る湯気はふっと霧散して、透明な空気の中に混ざりました。

二人でいるというのは。
それは自然、二人以外の人とはいないということです。
もう、潮時なのかも知れません。

「ねえ、唯」
「んー?」

二人。二人ぽっちで、六十億超の人ごみの中にいたのです、今までは。
それって、今にして思うとすごく無謀で、でも素敵なことでした。

「バンドは、楽しい? 大学生活は楽しい?」

彼女はうん、と大きく頷いて、一瞬私のよく知るあどけなさを顔に浮かべました。

「すごくね。私頑張るよ!和ちゃんも応援してね」
「ええ」

微笑がこぼれました。
応援しましょう。
私は彼女の人生において、もう主人公ではいられないみたいです。

でも、応援しましょう。
ずっとずっと応援して、
いつか彼女が疲れて舞台を降りたときに、そっと頭を撫でてあげたい。

しばらく雑談をして店を出ると、
私はこんなに悲しくて切なくて淋しい思いをしているのに、空は晴れていました。

情景描写なんてものは現実には存在していなくて、
やはり私は物語の主人公ではないのです。

それでも、それでも私は前を向いて、
私のことなんて見向きもせずに
晴れ渡る空に中指を突き立てて歩きます。一人ぼっちで歩きます。

疲れたらきっと唯が肩を貸してくれるだろうと信じて、一生懸命に歩き続けるのです。

私は人ごみの中へ紛れていきました。
最後に振り返ると、唯が大きく手を振っているのが見えました。



388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/10(木) 00:48:39.60 ID:dC8srW940

和ちゃんは一人でも大丈夫だよ、という話なんだけど
書いている俺があまり大丈夫じゃなくなってきた死にたいもう寝るわばーかばーか
カキフライカレーセンセーのばーかばーか




389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/03/10(木) 00:52:00.15 ID:4uYXHfXW0

>>388
おつおつ
なんか切なくなったよ





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けいおん!の和ちゃんは生徒会室行くからカワイイ#2
[ 2011/03/14 11:13 ] 日常系 | 唯和 | CM(1)

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タイトル:
NO:2029 [ 2011/05/17 17:03 ] [ 編集 ]

唯が和に渡さないわけ無いと思うんだけどなぁ…
やはり唯にほんの少しだけの悪意を感じる

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