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憂「あずさちゃん、手術が必要なんだって...」 【非日常系】


ニュー速VIP+より

http://toki.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1299744310/l50




1 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:05:10.89 ID:q02Jn8yF0

初めてのSS投稿なのでよろしくお願いします



2 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:10:39.71 ID:q02Jn8yF0




純「ハァ、ハァ...毎年、秋は、マラソンなんて、誰が、決めたんだろ...うぷ」

憂「ハァッ、ハァッ、純ちゃん大丈夫?」

梓「全く、だらしないなぁ...。純はへばるの早いよ」

純「だって、今年は、ふっ、澪せんぱい、も、ハァ、いないし......ゼハ」

憂「頑張って純ちゃん、お餅が待ってるよー!」

梓「そういえば、去年はこの辺りで唯先輩が行方不明になっちゃったんだっけ」

純「あ、そうそう、ハァッ、みんなで探し回ったんだった」

憂「そうだったねぇ、今年は私たちだけだね、ハァ、ハァ」

純「いいなぁ、大学生は、マラソン、なんて、ハッ、ハッ、ないんだろう、なぁ」

梓「さあさあ、しゃっべってたら余計バテるよ」

憂「そ、そうだね、ハァ、ハァ」

純「おも、ち......」





3 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:11:20.76 ID:q02Jn8yF0

純「...ゼハゼハ」

憂「フゥ、フゥ...」

梓「ハッ、ハッ」


ズキン

梓「...ッ、イタッ...」

憂「あずさちゃん?」

梓「い、痛っ、う...」

純「あずさ、ど、どうしたの? ハッ、フッ...」

梓「む、胸が、なんか、急に...ウッ...」



4 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:11:52.20 ID:q02Jn8yF0



憂「だ、大丈夫?! ちょっと、止まって休もう...」

梓「う、うん...。くぅ、いた、い...」ドクンドクン

純「あずさ、汗すごいよ...先生呼んで来ようか...!?」



梓「い、痛い、あっ、あああぅ...!」バタン

憂「あ、あずさちゃーーーん!!」

純「先生ーー!! 誰か先生呼んで来てーーー!」




5 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:12:32.36 ID:q02Jn8yF0



律「あ~、今日は午後の講義選択してないし、のんびりできるなぁ」

唯「だねだね~」

澪「たくっ、せっかく午後に講義ないんだから、練習するぞ!」

唯「澪ちゃーん、午後丸々休めるんだよ?
  せっかくだからカラ館とか行くのどうかな?」

律「お、久々にカラオケか、いいねぇ」

澪「おい!」

紬「まあまあ、とりあえずお茶淹れるから、飲みながら予定考えましょう」

唯「わーい」



6 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:13:24.13 ID:q02Jn8yF0




♪~~♪~~♪

唯「あっ、憂からメール来た」

澪「たく、せっかく大学生になったのに、
  これじゃあ高校時代とちっとも変わらないじゃないか...」

律「澪ちゅわーん、カラオケで歌うの恥ずかしいのかしらぁ~?」

澪「調子に乗るな」ガン

律「イテッ」



7 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:14:08.80 ID:q02Jn8yF0



唯「イッ!!」ガタッ

紬「唯ちゃん、どうしたの!?」

唯「憂から...。あずにゃんが病院に運ばれたって......」

律「えっ!?」

紬「ほ、ホントなの!?」

澪「あずさが!?」

唯「ど、どうしよ...! マラソン大会中に倒れたんだって......!!!」

律「まっ、まじかよ! あずさが...」

澪「病院ってどこなんだ!?」

唯「明真大学付属病院だって!!
  憂と純ちゃんが一緒に行ってるみたい......!」

律「と、とにかく、私たちも病院に行こう!!」

唯「う、うん!!」



8 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:14:45.44 ID:q02Jn8yF0




憂「あずさちゃーーーん!!」

純「あずさーー!!」


看護師A「付き添いの方はここまででお願いします!」


医師「急患だ! 17歳女性!!」

看護師B「脈拍130微弱、血圧70、呼吸浅く促拍!」

医師「ライン採って、ボスミン急速静注!」 

看護師B「はい!」

医師「処置後、画像まわして!」

看護師A「はい!!」



9 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:25:31.40 ID:q02Jn8yF0




憂「さわ子先生ーー、あずさちゃんがぁ...」ポロポロ

さわ子「ご両親もすぐに駆けつけるっておっしゃってるし、
    あなたたちはもう学校に戻りなさい...」

純「で、でも! あずさが...! あずさ...」ボロボロ

さわ子「大丈夫、私がついてるから...」



10 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:26:40.60 ID:q02Jn8yF0



憂「あ、あずさちゃん、どうしちゃったんだろう...。
  朝まで、ううん、
  ついさっきまではあんなに元気にマラソンしてたのに...」グスッ

純「ホントに信じられない...。
  あんなに痛そうな顔して...。あずさがかわいそう...」ブヒッ


唯「憂ーーーーー!!」ハアハア

憂「あっ、お姉ちゃーーーん!!」

唯「純ちゃんもっ、ゼハゼハッ、あずにゃん、あずにゃんはーー!?」

純「先輩方も...」

律「あずさはどこだ!?」ハアハア

紬「あずさちゃん、急に倒れたって聞いて...」ゼハゼハ

憂「マラソン大会中に急に苦しみだして...。そ、それで...」ポロポロ

澪「それで、あずさは今!?」

純「さっき山中先生の車で運び込んで、
  今、今は処置してる最中です...」ボロボロ

唯「あっ、あずにゃん.........」ウルウル



11 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:27:21.87 ID:q02Jn8yF0




さわ子「あなたたち...」

唯「さわちゃーーーん!!」

律「あずさは!?」

さわ子「今も治療中...」

澪「あずさはどんな具合なんです!?」

さわ子「マラソン中に突然真っ青な顔で倒れてね...。
    幸いに憂ちゃんたちが近くにいたから先生方に連絡して、
    それで私が車でここに連れて来たの...。
    さっきからずっとここで治療中...。慌しくやってるみたいだけど...」

唯「あずにゃんは、あずにゃんは大丈夫だよね!? さわちゃん!!」

紬「唯ちゃん、落ち着いて...。あずさちゃんはきっと大丈夫よ...」

唯「む、ムギちゃーーん!」ダキッ

澪「唯.....」



12 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:28:12.62 ID:q02Jn8yF0



梓父&母「先生!!」

さわ子「あっ、中野さんのご両親!」

梓母「梓はっ!? 梓の容態はどうなんです!?」

梓父「お前、落ち着きなさい、
   先生、梓を運んでいただいてありがとうございます...。
   何分急なことで、気が動転してしまって...」

さわ子「いえ...。中野さんを運び込んでからずっとここで治療中なんです...」

梓母「あずさ...」



13 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:28:50.51 ID:q02Jn8yF0




律「あっ、処置中のランプが消えた...」

バタン、ガラガラ...

唯「あずにゃーーーん!!」

律澪「あずさ!!!」

紬「あずさちゃん!!」

梓父母「梓!!!」

医師「ご両親ですか? 急性循環不全で危ないところでしたが、
   すぐに処置できたので良かったです。何とか落ち着きました」

梓父母「ありがとうございます!!」

医師「中野さんの病状を説明しますので、こちらに来ていただけますか」

梓父母「は、はい...」



14 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 17:29:32.32 ID:q02Jn8yF0





唯「あずにゃん、良かった...」ポロポロ クタッ

澪「唯、大丈夫か...?」

律「あずさ、眠ってたな...」

さわ子「ご両親も来られたし、報告もあるし、一度学校に戻るわね...」

紬「さわ子先生、あずさちゃんをありがとうございました...」

さわ子「ええ、何ともなければいいけど...」

唯「さわちゃーーん! あずにゃん大丈夫だよね!?」ダキッ

さわ子「唯ちゃん...。大丈夫だから。お医者さんもついててくださるし...」



15 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:14:38.28 ID:q02Jn8yF0




医師「申し送れました、循環器内科の藤吉と申します」

梓父「藤吉先生、娘をありがとうございました」

藤吉「運動中に昏倒されたそうで、一時はかなり危険な状態でした。
   今は容態も安定して鎮静剤で眠っています」

梓母「娘はどうしてこんなことに...」

藤吉「そのこと何ですが...。先ほど検査結果を診ました。
   娘さんの心臓に問題があるようです...」

梓父母「し、心臓...!?」

藤吉「これが正常な心臓です」カタッ

藤吉「心臓は全身に血液を送り出す器官なのですが」

藤吉「梓さんの心臓は、この心臓の下の心室と呼ばれる部分、
   ポンプの部分の筋肉が伸びきってしまっているんです」




16 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:15:34.53 ID:q02Jn8yF0


梓父「そ、それじゃあ...」

藤吉「通常の心室はポンプの様に伸縮して、血液を全身に送り出すのですが、
   梓さんの心臓は伸び縮みできなくて、血液を体に循環させられない状態になっています」

梓父「そんな、急にそんな...」


藤吉「ええ、梓さんに今まで胸の痛みや息切れなどの症状は見られなかったそうで...。
   この病気は知らず知らずに症状が進むことが多いので、
   はっきり症状が出るころには相当悪化してしまっている場合があります。
   私の診たケースの中でも相当症状が急激なようです...」

梓母「娘は、娘は助かるんですか!?」

藤吉「娘さんの場合、重症度は最も重いです...。手術が必要です」

梓父「しゅ、手術、ですか...」

藤吉「はい。心臓移植手術か、伸びきったポンプの部分を切り取って
   心機能を回復する手術のどちらかになります...」

梓母「あの子まだ17歳なんです!! 体に傷がつくのは何とか避けられませんか!?」

藤吉「申し上げにくいのですが、
   娘さんの体は早急に手術で治療しなくてはならない状態です...」

梓父「手術しないでいると...」

藤吉「余命一ヶ月、もって三ヶ月と思われます.....」



17 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:16:16.82 ID:q02Jn8yF0






澪「あずさ、この間一緒に練習したときは元気そうだったのにな...」

律「こないだって、つい昨日だぜ...。何で、何で急にそんなに...」

紬「あずさちゃん、全然そんなとこ見せなかったのにね...。
  まさか自分1人で我慢してたんじゃ...」

唯「あずにゃん、あずにゃーーん、えぐっ、うええん...」ポロポログシャグシャ

紬「唯ちゃん、あずさちゃんは大丈夫よ。
  治療がうまくいったんだから...! またお見舞い来ようね...」



18 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:17:03.84 ID:q02Jn8yF0




梓「......」

梓(...ここ、は? わたし......)

梓母「あずさ! お父さん!! あずさが気がついて...」

梓「おかあ、さん...?」

梓父「大丈夫だぞ梓。今は病院にいる」

梓「マラソンしてたんだけど...」

梓母「具合が悪くなって、
   お友達の鈴木さんと平沢さんと山中先生が病院に運んでくれたのよ」

梓「そうだったんだ...。急に苦しくなって...。純と憂とさわ子先生が...」

梓父「大丈夫だから、ゆっくり休みなさい」

梓「う、ん...」



19 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:17:46.57 ID:q02Jn8yF0



梓(どうしちゃったんだろ、私...?)

梓(急に病院なんて...?)

梓(ギター弾きたいなぁ...)



梓「むったん...」


梓母「なに?」

梓「うううん、なんでもない...」

梓母「高校の先輩の人たちもね、
   梓が倒れたって聞いて心配して来てくださったのよ」

梓「え...?」

梓母「軽音部の先輩でしょ? 平沢さん、田井中さん、秋山さん、琴吹さん」

梓「うん...」



梓(先輩たち、来てくれたんだ...)

梓(律先輩...。ムギ先輩...。澪先輩...)


梓(唯先輩.........)



20 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:20:07.49 ID:q02Jn8yF0




憂「あずさちゃーん。来たよ」

純「あずさー」

梓「憂、純、ありがとうー」

憂「昨日は本当にびっくりしたよ~。何だか今日は顔色良さそうだね」

梓「うん、2人には色々迷惑かけてごめんね。
  今日は大丈夫。何だか空気のチューブみたいのを鼻につけられちゃってるけどね」

純「お花持って来たよ」

梓「ありがとう。きれえ...」

憂「クラスの子たちからメッセージ書いてもらったよ。みんなも心配してるから」

梓「色々ありがとう。うれしい...」

純「何弱気になってんの! 元気そうだし、大丈夫なんでしょ?」



21 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:21:02.46 ID:q02Jn8yF0


梓「うーん、わかんない...。
  お母さんたちもお医者さんと詳しい話はまだって言ってたけど、大丈夫だよ。
  全然。受験勉強でちょっと疲れただけだって」

憂「そ、そうだよね。今まで何とも無かったんだし。
  あずさちゃん頑張って勉強して疲れちゃったんだよ」

純「そうそう。あずさ、今年の初めからすごい気合は入れて勉強してたもんね」

梓「うん...。絶対にN女子大受かりたいから」

憂「お姉ちゃんたちとまた一緒の軽音部入るって言ってたもんね」

梓「唯先輩に律先輩は、私がいないと練習とかしなそうだし」

純「あずさがいた時だってそんなに練習してなかったじゃん」

梓「大学では私がもっとちゃんと練習させるもん!」

憂「アハハハ」



22 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:21:44.08 ID:q02Jn8yF0


純「良かったあずさ、それくらい元気があればすぐに良くなるよ」

梓「もう、私は元気だよ! 早く退院して勉強しなきゃ。ギターも触りたいし...」

憂「そっかぁ。病院だしギターは持ち込んじゃダメだもんね」

梓「うん、安静にしてなきゃダメって言われて」

純「むったん、恋しいむったん...」

梓「うるさい」




23 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:22:30.96 ID:q02Jn8yF0


コンコン


澪「こんにちはー」

憂「あっ、お姉ちゃんに皆さん!」

唯「あずにゃん? あずにゃーーん!
  良かったよぉ~~。心配したんだよ~~」ウルウル

律「唯、落ち着けって。病院なんだからさ...」」

梓「唯先輩。鼻水出てますよ...」

紬「あずさちゃん具合はどう?」

梓「はい、もう大丈夫です。ご心配おかけしてすいません」

澪「良かった。あずさ、これ、お見舞いのお花。このお花の隣に生けとくな」

梓「わー、皆さんありがとうございます。お花がいっぱい」



24 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:23:45.62 ID:q02Jn8yF0


唯「あずにゃん、鼻から何か出てるけど...」

梓「何か念のために空気を出すチューブを付けてもらってるみたいですけど」

唯「ね、念のためって、何か問題が!?」ガーン

憂「お姉ちゃん。あずさちゃんは大丈夫だよ。最近疲れてたみたいだからって」

唯「そんなあずにゃん! 何で私たちに相談してくれなかったの」ガーン



26 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:25:43.55 ID:q02Jn8yF0


梓「別に...。ただ根つめて勉強しすぎただけですよ...」モジモジ

純「こないだの模試イマイチだったもんね~」

梓「うるさいな、もぉ~」

唯「そうだったのかいあずにゃん?
  言ってくれれば私が手取り足取り教えてあげたのに!」

梓「唯先輩に教えてもらうの何だか不安だし...」

唯「ひ、ひどいよあずにゃん! 私はこれでもN女子大一発合格なのに」ガーン

律「アハハハ、まあ心配したけど顔色良いし安心したよ」

澪「そうだなぁ。あんまり煮詰まってやりすぎちゃダメだぞ。あずさ」

梓「そ、そうですよね」

紬「あずさちゃんならきっと合格するわよ」

律「そうだぞー。何せ私や唯だって受かってるんだからなー」

梓「何かすごい説得力ありますねソレ」

唯「あずにゃーん、それどういう意味~!?」

憂純「アハハハハハ」

梓「クスクスクス」



27 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:26:41.63 ID:q02Jn8yF0




律「あんま長居するとあずさも休めないし、そろそろ帰るか」

紬「そうね。あずさちゃんもまだ安静が必要なんだし」

澪「そうだな。あっ、唯、あれ忘れるなよ」

唯「あっ、さすが澪ちゃん。危ない危ない」

梓「? 何ですか?」

唯「はいっ、これ寄せ書きだよ。
  私たちと、それにさわちゃん、和ちゃんにも書いてもらった特製だよ!」

梓「わー、ありがとうございます。うれしいです」

澪「今日お見舞い行く前に学校寄ったり、和にも来てもらって書いたんだ」

紬「病室ってちょっと無機質でしょ?
  お花も持ってきたけど、
  メッセージ書いた寄せ書きも華やかでいいねって、みんなで書いたの」

梓「ありがとうございます。キレイだし、すごくうれしいです」

唯「でしょでしょ~~」



28 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:27:35.87 ID:q02Jn8yF0


梓「この真ん中の生き物は何ですか?」

唯「え~~? わかんないの?
  私が書いたトンちゃんだよ!
   トンちゃんも心配してるからトンちゃんの代わりに私が書いたんだよ!」

梓「トンちゃんだったんですか...。あっ、トンちゃんにご飯あげないと」

憂「大丈夫だよ。私と純ちゃんが毎日あげてるから」

梓「あ、そうだったんだ...。ごめんね」

純「いいから! 早く治してあずさがご飯あげて!」

梓「うん、すぐに良くなるから」

澪「じゃあ、あずさ、私たち行くな。またお見舞い来るから」

律「じゃな、あずさ!」

紬「あずさちゃんお大事にね」

梓「はい、先輩たち、どうもありがとうございます」

唯「あずにゃ~~ん。ホントは私、泊り込みで看病してあげたいんだけど」

梓「それはいいですから」



29 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:29:03.06 ID:q02Jn8yF0






梓「あっ、お父さんにお母さん」

梓父「あずさ、具合はどうだ?」

梓「うん、平気」

梓母「まあ、きれいなお花。お見舞いに来てくださった方がいるの?」

梓「うん、学校の友達に先輩たちも」

梓母「そう...。良かったわね」

梓「うん」



30 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:30:00.52 ID:q02Jn8yF0



コンコン



藤吉「よろしいでしょうか?」

梓父「はい...」

藤吉「娘さんに病状の説明と、
   今後の治療方針について話合いに来ましたが...」

梓母「......はい。お願いします...」

梓「...」



31 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:30:41.29 ID:q02Jn8yF0




梓「えっ、しゅじゅ、つ...?」

藤吉「うん、君の心臓はちょっとだけ悪くてね。
   それで、少し大きな手術が必要なんだ...」

梓「...そ、そんな」

藤吉「不安があると思う。
   でもこの病院には助教授の加藤先生と
   心臓外科で有名な朝田先生っていう信頼できるお医者さんがいるから...」

梓「そ、そうなんです、か...」

梓父母「.........」

梓「どうしても手術しないと治りませんか...?」

藤吉「今のままでは根本的な治療は難しいんだ」

梓「......少し、考えさせてもらえませんか...」

藤吉「...うん、いつでもいい。何か聞きたいこととかあったら僕を呼んで」

梓「...はい...」



32 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:31:33.80 ID:q02Jn8yF0




梓(はぁ...。イキナリだもんね。びっくりするよ...。心臓の手術なんて...)


梓(お花キレイだなぁ...。この花びらが全部散ったとき、私の命も...。)

梓(...なんて、ね......)


梓(全然実感わかないなぁ)

梓(一生懸命に勉強して、ギターの練習もして、また5人揃ってライブするって...)

梓(......)


梓(う、ううぅぅ...)グスッ ポロポロ

梓(どうしよう私...。カムバック、私...できるのかな...)グスン

梓(あっ、涙が寄せ書きに垂れちゃった...。せっかく先輩たちがくれたのに...)



33 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:32:16.10 ID:q02Jn8yF0



梓(...)


澪『あずさへ。早く良くなって、またみんなで演奏しような!』

梓(澪先輩...)

律『心配ないぞ~ あずさにはみんながついてるからな!!』

梓(律先輩...)

紬『あずさちゃんへ。みんな待ってるからね。早く元気になりますように』

梓(ムギ先輩...)


唯『あずにゃんへ!! N女子大でも2人でゆいあずだよ!
  ゆいあずだけじゃなくて5人でけいおん部だよ! 早く治しておいで~~~♪♪♪』

梓(唯先輩...。唯先輩...)ポロポロ


梓(...うん...。絶対に治さないと)

ピリリリリ

看護師C「はい、中野さん? ナースステーションです」

梓「藤吉先生に来ていただけますか」



34 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:32:54.70 ID:q02Jn8yF0




藤吉「あずさちゃん、藤吉です」

梓「先生、こんな遅くに来ていただいてすいません...」

藤吉「全然大丈夫だよ。何かあった?」

梓「いえ...」

藤吉「手術のことかな...」

梓「はい...」

藤吉「大丈夫。何でも疑問に思ったことは言って」

梓「あの...。どうしても手術以外では治せないんでしたよね...?」

藤吉「うん...。薬だけじゃ、あずさちゃんの心臓は良くならないと思う...」



35 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:33:44.59 ID:q02Jn8yF0


梓「手術がうまくいって、どれくらいで退院できますか...?」

藤吉「そうだね...。術後の管理、経過観察とリハビリで1ヶ月くらいかな」

梓「そうですか...。じゃあ10月中には退院できるんですね」

藤吉「そうなれるように全力でサポートするよ。なるべく早く退院したいよね」

梓「はい...。どうしても大学受験しなきゃいけませんから...」

藤吉「大学かぁ。あずさちゃん、頑張って受験勉強に励んでいたって、ご両親から伺ってるよ」

梓「はい。大学入って、どうしてもやりたいことがあるんです....。
  だから、どうぞ、よろしくお願いします」

藤吉「分かった。全力を尽くすから...」



36 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:47:53.63 ID:q02Jn8yF0


藤吉「患者は17歳女性、中野梓さん。最重症の拡張型心筋症NYHA分類クラスⅣ。
   マラソン中にショック状態になり当院に搬送。
   重度の心不全状態。移植適応されていてもドナーがいません」

加藤「17歳女性...」

藤吉「このまま対症療法のみでは余命一ヶ月から三ヶ月ほどかと」

加藤「一ヶ月から三ヶ月...!」

藤吉「ドナーがいない状況です。
   差し迫った現状ではバチスタチームに手術を頼むしか...」

朝田「患者の同意は?」

藤吉「本人も望んでいる」

朝田「急なことだったろうにな...」

藤吉「どうしても大学に入ってやりたいことがあるそうだ...」



37 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:48:39.96 ID:q02Jn8yF0


朝田「そうか...」

加藤「..画像とカルテを見ると、.難手術が予想されるわね...」

藤吉「手術を自分の意思で決意した気丈な子だ。本人はきっと乗り越えるはずだ。
   バチスタの症例の中でも難しいと思うが、何とか助けてやってくれ...」

朝田「ああ、必ずな...」

藤吉「頼む...」



38 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:49:31.50 ID:q02Jn8yF0



憂「ただい、ま...」

唯「あっ、憂、お帰り~~!」

憂「あっ、お姉ちゃん、今日も来てたんだ...」

唯「うん、今日もね、あずにゃんのお見舞いに行こうと思ってね、それでね」

憂「う、うう...。お、お姉ちゃーーん!!」ダキッ

唯「わおっ、ど、どうしたんだい、憂~~?」

憂「あずさちゃんが、ね...」



39 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:50:02.47 ID:q02Jn8yF0


唯「あずにゃんがどうかしたの!?」

憂「あずさちゃん、手術が必要なんだって......」ポロポロ

唯「えっ......」

憂「さっき、あずさちゃんの家に学校からのお知らせを届けに行ったらね...。
  あずさちゃんのお母さんが......」

唯「そ、そんな...。あずにゃん昨日はあんなに元気そうだったのに...。
  そんな、そんなぁ...」ガクッ


唯「と、とにかく、みんなに知らせないと......」ウルウル



40 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:51:01.81 ID:q02Jn8yF0



唯「あずにゃん!」

梓「わっ、びっくりした。唯先輩」

律「梓! 聞いたぞ!」

紬「あずさちゃーーん」ポロポロ

澪「梓、さっき唯から連絡もらってな...。その、手術が必要なんだって...?」

梓「あっ、はい、でも皆さん早いですね。お母さんからですか?」

唯「あずにゃん! 何でそんなに落ち着いてられるんだい!?」

梓「大丈夫ですよ! そんな大した手術じゃないって、
  主治医の先生も言ってましたし、ちゃっちゃと終わっちゃうみたいですよ!」

唯「う”っ、ほんどうなのあずにゃーーん!?」ポロポロ

梓「ほらほら、唯先輩、涙拭いてくださいよ。それに鼻水も」クスッ

唯「あっ、あずにゃ~~ん」グスッ



41 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:51:58.02 ID:q02Jn8yF0


律「でも、手術って言ったらメスで切るんだろ...?」

澪「ひっ!」

律「それに血も出るだろうし...」

澪「血、血ぃぃぃ!?」ビクッ

律「いや、手術なんだし、そうだろ...」

澪「あ、あわわわわわわ」ガクガクガク

梓「律先輩、おどかさないでくださいよ!
  お医者さんの話だと、切るって言ってもちょびっとで、
  血もほんのちょっとしか出ないから安心だって聞きましたから!」

紬「そ、そうなの。でも、それくらいなら大丈夫よね...」

梓「はい! 心配しないでください! 私は全然平気です。
  N女子大に入るんですから、いつまでも入院なんてしてられませよ!」

澪「そ、そうなのか、唯が泣きながら電話してくるから焦ったよ。
  受験も間に合いそうなのか?」

梓「もちろんですよ! すぐに退院しますから!」



42 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:52:43.85 ID:q02Jn8yF0


律「そっかぁ、安心したぁ。あずさのリズムギターないと練習はかどんないからなぁ」

梓「私がいてもいなくても練習はしてください!」

唯「あずにゃん、無理してはいけないよ。退院しても勉強はほどほどにね...」

梓「唯先輩と律先輩は留年に気をつけてくださいね! 同じ学年は嫌ですから」

律「中野ぉ!」

唯「今日もヒドいよあずにゃ~~ん!」

紬「ウフフフ」

律唯澪「アハハハハ」


梓「クスクスクス...」



43 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:53:41.56 ID:q02Jn8yF0




藤吉「あずさちゃん、今大丈夫かい?」

梓「はい...。先生」

藤吉「今日の定時処方のための診察に来たよ」

梓「はい、お願いします...」ハアハア

藤吉(かなり苦しいみたいだな...。)

藤吉「あっ、きれいなフルーツだね。今日もお見舞い?」

梓「はい、これは高校の先輩たちから、毎日来てくれるんで...」

藤吉「いい先輩たちだね。あずさちゃんは高3だから、大学生かな?」

梓「はい...。みなさん同じ大学なんです。だから、私も...」

藤吉「そうだったんだね...。大丈夫、
   あずさちゃんはきっと手術もうまく行って、先輩たちと同じ大学へ入れるよ」

梓「そうですね、頑張らないと...」

藤吉「...」



44 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:54:28.12 ID:q02Jn8yF0






唯「憂、あずにゃんね、手術するみたいだけど、
  そんなに大きな手術じゃないみたいだよ!」

憂「そ、そうだったの!?」

唯「うん、さっきあずにゃんに会って聞いてきたよ!
  でも心配だからお百度参りしよ!」

憂「え?」

唯「ほら、そこのお宮でお百度参りだよ!
  去年の受験のときに憂がしてくれた!」

憂「そっか、そうだね!
  あずさちゃんの手術が無事に終わりますように、って」

唯「そうそう! あずにゃんのために!」



45 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:55:01.72 ID:q02Jn8yF0





唯「あずにゃんが元気で退院できますようにできますように...」

憂「あずさちゃんの手術がうまくいきますように...」

唯「憂ぃ、これで何回目だっけ...?」

憂「まだ18回目だよお姉ちゃん」

唯「お百度参るのも結構大変なんだね」

憂「大変なのはまだまだこれからだよお姉ちゃん!」

唯「ありがとうね、憂。
  私たちみんなの受験のときも、寒いのにこうやってお参りしてくれたんだよね...」

憂「うん! だから軽音部の皆さん、合格したでしょ!
  効果あるんだよお姉ちゃん!」

唯「そ、そうだね! 必ずあずにゃんに届くよね!」

憂「うん!」



46 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:55:43.57 ID:q02Jn8yF0





梓(いよいよ明日かぁ...。何だかここまでの展開早いなぁ...)

梓(ふー...)

梓(お父さんとお母さんにも心配かけちゃったし、
  私が何かできるわけじゃないけど、明日は成功して欲しいな...)

梓(唯先輩たちも毎日心配して顔出してくれるし...)

梓(憂や純やクラスのみんなも来てくれてる...)

梓(そうだ、今日は憂からお守りももらったんだった...)ゴソゴソ



47 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:56:38.96 ID:q02Jn8yF0



梓(?)



梓(あれ? このお守り、『交通安全』になってる?)


梓(あっ、そういえば唯先輩が買ってきたって、憂が言ってたっけ...)


梓(唯先輩は大学入っても相変わらずかぁ...)



梓(でも唯先輩らしくて、うれしいな...)ギュッ



48 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:57:30.37 ID:q02Jn8yF0




梓父「じゃあ梓、お父さんとお母さんは待ってるからな」

梓母「何も心配しないでね...」

梓「心配なんかしてないよ。お母さん」

藤吉「麻酔前投薬が効いてるみたいですね。それでは手術室へ行きましょう」

梓「...はい」

梓父「先生方、本日はよろしくお願いします...」

加藤「はいっ、全力を尽くします」

朝田「中野さん、長時間になるかもしれませんが、お任せください」

梓父「何卒お願いします...」

藤吉「行きましょう」



49 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:58:09.55 ID:q02Jn8yF0




澪『唯、私と律とムギは先に病院行ってるから、
  憂ちゃんと一緒に病院で合流しよう』

唯「わかった澪ちゃん! あとでねー!」


憂「お姉ちゃん、あずさちゃんの手術の時間もうすぐだよー!」

唯「うん、大丈夫、すぐ行くから先に行ってて!」

憂「うん!」



50 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 18:58:49.90 ID:q02Jn8yF0





唯「あっ」

唯(手術前の最後のお願いをしておこう!)


唯(あずにゃんの手術が成功しますように成功しますように)パンッパンッ

唯「よし!」

唯「急がなきゃ!」



51 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:00:12.09 ID:q02Jn8yF0



梓「......」

ドクン、ドクン...

朝田「開胸、開胸器、固定して...!」

加藤「はいっ!」

藤吉「何...実際に見てこれほど肥大しているとは...」

朝田「とてもここ最近とは思えないな...」

技師「人工心肺設置OKです!」

朝田「よし、人工心肺流して! 心臓はon beat(動かしたまま)で行く!」

加藤「はい!」

藤吉(動かしたままで手術...。止まってる心臓よりはるかに難しいが、
   患者の予後は良い。何より病変部の特定に有利だ)

朝田「心室の病変部を触診で判定する」


朝田「.........」

加藤「......」



52 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:01:09.48 ID:q02Jn8yF0



唯「ハァ、ハァ、もうちょっと!
  病院見えてきた! 待っててね、あずにゃん!」タッタツタッ

唯「...!?」

唯「おばあちゃんが倒れてる?!」


唯「どうしたのおばあちゃん!?」ヨイショ

老人「イタタ...。あらあら、すいませんね...。
   こんなところで...。ちょっと転んでしまいましてね.」



53 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:02:02.65 ID:q02Jn8yF0



唯「大丈夫? 荷物が散らばっちゃってるね...」

老人「あぁ、私ったら、急いでてね、ちょっとつまづいちゃって...。
   いやだわ、お見舞いのフルーツなのに、バラバラになっちゃって...」

唯「あっ、リンゴが交差点の中まで転がってるよ」

老人「あらまぁ」

唯「ちょっと待ってて、拾ってくるね!」

老人「ご親切にすみませんねぇ...」



唯「あっ、あっちにもリンゴが...」ダッ


老人「あっ、待って...!!」

。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。

。。。。。

。。。





54 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:02:51.59 ID:q02Jn8yF0




朝田「ダメだ...」

加藤「えっ!?」

藤吉「どうした朝田!?」


朝田「心筋症の病変部が心尖部(心臓の下側の先っぽ)に偏っている...」


藤吉「心尖部?」

朝田「ああ...。心尖部は心筋の起点になっていて、
   ここにメスを入れると心筋全体の収縮力が失われてしまう...」

加藤「そんな...。左室は?」

朝田「左室に明らかな病変は少ない...。
   最も顕著な変性部位が心尖から2センチ四方までに集中している...」



55 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:03:33.04 ID:q02Jn8yF0


藤吉「左室の再形成では!?」

朝田「だめだ、重症の部位を残して、
   わざわざ変性の少ない左室にメスを入れても明らかに予後に悪影響だろう...」


藤吉「何とか、何とかならないのか!? 」

朝田「この状態では残念だが、徒にメスを入れるよりも、
   このまま閉じて体力の回復を待ったほうが予後にいいと思う。どうだ加藤?」

加藤「そうね...。バチスタも移植も無理な以上、ここは撤退して対症療法で持たせるしか...」

藤吉「くそっ、開く前に分かっていれば......!!」

朝田「閉胸する......」

藤吉(何とか、何とかこの子を助けてやりたいのに...!!)



56 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:04:44.58 ID:q02Jn8yF0




「。。。。。。。」


「....................ん」


「...ず............ん」


「あず...に.......」


「あずにゃ......」


パチッ


唯「あずにゃーーん!」

梓「ゆ、い、せん、ぱい...?」



57 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:05:27.62 ID:q02Jn8yF0


唯「麻酔醒めたんだね~? 良かった~~」

梓「唯、先輩...。他の人たちは...? お父さんとお母さんは...?」

唯「今はみんな向こうの方にいるみたいだよ~」

梓「そうで、すか...」

唯「手術は成功だよ。
  私がいるから大丈夫だよ、あずにゃん、よしよ~し」ナデナデ

梓「もう、こんなところでまで子供扱いしないでくださいよ...。
  唯先輩はいつからいてくださったんですか...?」

唯「ん~~? ずっとだよー。手術からずっと!」

梓「ほ、ほんとう、ですか...。ありがとうございます...」

唯「気にしないで~。かわいいあずにゃんの為だもん!
  これからはいつだって一緒にいるから! さみしくないよあずにゃん!」



58 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:06:04.63 ID:q02Jn8yF0


梓「何ですかそれ...。大学入ってもベタベタしてたら困りますよぉ...」

唯「えへへ、あずにゃん。
  大学入ったら、りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんが待ってるから、
  みんなでまたけいおんやろうね!!」

梓「も~、大丈夫ですよ...。唯先輩もでしょぉ...。
  またギターいっぱい弾きましょうね...」

唯「もちろんだよ! またみんなで放課後テイータイムだよ!」

梓「はい...。それはもう...」

唯「ねー、あずにゃん」

梓「はい......」




59 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:06:58.54 ID:q02Jn8yF0


唯「あずにゃんは大学に入ってね、それから、
  みんなとまた同じような部活の時間を過ごしてね、
  それでお茶して、おしゃべりして、ギターも弾いて...」

梓「...唯先輩...」

唯「いっぱい良い音を聴かせてね!
  できれば大学の後もずっと、いっぱいいっぱい、
  みんなの音を聴いていたいなぁ...」


梓「唯先輩、何ですかそれ...。
  まるで唯先輩がどっかいっちゃうみたいです...。
  唯先輩も一緒に演奏するんですよ...」

唯「そうだね...。そうだね...。
  いつもあずにゃんの側にいるからね...。私も演奏するからね...」




60 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:07:34.04 ID:q02Jn8yF0


梓「そうですよぉ...。いつでも一緒ですよ。
  私たちは放課後ティータイムですから...」

唯「えへへ、あずにゃん、約束だよ...!
  ずっと、ずぅっと、私たちの音楽を...」

梓「はい、当たり前です...」


唯「そうだね、ありがとう、あずにゃん...。ありがとう...」



。。。。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。。。。

。。。。。。。。。

。。。。。。

。。。






61 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:09:18.97 ID:q02Jn8yF0



藤吉「ご説明します」

梓父母「はい...」

藤吉「あずささんのバチスタ手術は病変部位の状態から難しい状況でした。
   しかし、偶然にもあずささんと同年代の女性のドナーが現れまして、
   あずささんがAB型で、ドナーの方の血液型もO型でしたので、
   移植の適合性もあり、その他の免疫学的な条件もクリアできました。
   よって、そのドナーの方から心臓移植を施しました。経過は良好です...」

梓母「そうですか...。良かった...」

梓父「でも、そのドナーになっていただいた方は...?」

藤吉「規則により、詳細をお知らせすることはできませんが、
   交通事故に遭われたそうです...。当院のすぐ近くで...」

梓父母「そうですか.........」



62 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:10:06.81 ID:q02Jn8yF0



梓「ん......」

澪「気がついたか...? あずさ...」

梓「...ここ、は...?」

澪「病室だよ。あずさは、まる二日眠っていたんだぞ」

梓「お父さんとお母さんは...」

澪「ご両親は病院の人たちと話しがあるみたい。
  その間私があずさに付き添ってるから」

梓「そうでしたか...。澪先輩ありがとうございます...」

澪「もう大丈夫。手術は無事終わったよ...」

梓「唯先輩は...?」



63 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:11:03.75 ID:q02Jn8yF0


澪「えっ.........?」

梓「さっき唯先輩が来てくれたんです...。
  とっても明るく励ましてくれて...」

澪「...あずさ、それは夢だよ...。
  あずさはさっきまでずっと眠ってたんだから...」

梓「でも、唯先輩はずっと付き添っててくれたって...」

澪「そ、それは......。その、唯は今、来れないし......」

梓「えっ、唯先輩どうかしたんですか? 憂は...?」

澪「憂ちゃんは、唯と一緒にいるはずだよ...」グスッ

梓「澪、せん、ぱい...?」


澪「うっ、うわああああああぁぁあぁぁぁん」



.....



65 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:11:54.47 ID:q02Jn8yF0

その時の私は、まだ麻酔が抜けきれていなかったのか、
澪先輩の涙と不自然な言動も、憂の不在も、唯先輩の笑顔も、
どれもが宙に浮いた幻のようにどこか頼りなげな記憶で、
全てが夕べみた夢のように不確かでした。

それから術後の容態も安定し、
先輩方やクラスのみんなもお見舞いに来てくれるようになって、
日に日に胸の苦しさや傷の痛みからも解放され、
一歩ずついつもの日常に帰れる予感がわいてくる毎日でした。

でも、退院するまで唯先輩と憂はとうとう病室へ来てくれませんでした。



66 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:12:37.57 ID:q02Jn8yF0

さびしい気もしましたが、澪先輩たちは毎日のように来てくれるし、
その時はいつも唯先輩や憂が忙しい用事のために
顔を出せないことを繰り返し聞かされていたので、
退院して自由に歩けるようになってから、
改めて倒れてから今までのお礼をしようと思っていました。



67 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:13:10.42 ID:q02Jn8yF0

そう思っていたんですが、退院して、
先輩たちに連れて行かれたお墓の前で、憂と再会し、
唯先輩が私の手術の日に交通事故で亡くなっていたことを知らされました...。




68 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:13:46.09 ID:q02Jn8yF0

みんな泣いていました。
私の手術がせっかく成功したのに、唯先輩が突然いなくなってしまうなんて...。

なぜだか、憂だけは涙も枯れ果てたかのような虚ろな瞳で私を見続けていました。

その瞳で見られると、私だけ何も知らずに健康を取り戻していたことがとても悔やまれ、
恥ずかしい思いでいっぱいになり、涙があふれて止まりませんでした。
手術が終わって回復したばかりの心臓がズキズキと痛んだのが忘れられません。




69 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:14:18.12 ID:q02Jn8yF0


その日から数日後に、
唯先輩の四十九日の法要がしめやかに執り行われました。

唯先輩を除いた放課後ティータイムのメンバーももちろん参加して、
唯先輩に最後のお別れを言いました。

法要の後、形見分けがありました。


憂とはその時、退院後に始めて言葉を交わしました。

憂が、私にぜひに、とくれたもの...。



70 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:14:56.16 ID:q02Jn8yF0


それは唯先輩の愛してやまなかったギー太です。

憂「あずさちゃん、お姉ちゃんがギー太を預けられる人は、
  あずさちゃん以外に考えられないはずだよ。
  これをあずさちゃんにあげるから...」

憂は、私がギー太を受け取ったとき、堰を切ったように泣き始めました。




71 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:15:27.22 ID:q02Jn8yF0



やっと落ち着いた頃、

憂「あずさちゃんに使ってもらえたら、お姉ちゃんもきっと、きっと天国で喜ぶよ...!」

と、泣きながら笑顔で語りかけてくれました。

今でもこれを思い出すたび、
私なんかが唯先輩の大事なギー太を貰い受けて良かったのかと悩みます。




72 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:16:01.60 ID:q02Jn8yF0


でも、指で六弦を触れると、なぜだか胸がきゅんと優しく痛みます。



8ビートでギー太を弾くと、
その胸の痛みが胸の高鳴りに柔らかく溶け込んでいって、涙があふれてきます。

その時に、強く唯先輩のことを意識するんです。




73 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:16:40.16 ID:q02Jn8yF0


唯先輩は確かにあの時、私のそばにいてくれた。
ギー太で8ビートを奏でれば、そのことを不思議な確信をもって信じられるのです。

唯「いっぱい良い音を聴かせてね! これからも放課後ティータイムで!」

あの時唯先輩と交わした約束は幻なんかじゃない、そう信じて、
ギー太とともに、澪先輩、律先輩、ムギ先輩とともに、
これからも放課後ティータイムの音楽を奏で続けます。




fin.




74 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:19:19.64 ID:H9envEku0

乙。良い話だった。





75 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:22:48.08 ID:q02Jn8yF0

結局一気にあげさせていただきました<(_ _)>
オチに関しては10年くらい昔の堂本剛のドラマのパロです。。
初めてなので至らないところもあると思いますがご容赦のほど<(_ _)>




改正臓器移植法が施行されましたが、
移植臓器は臓器移植ネットワークで一元管理され、
適合ドナーの順番待ちに供されるため、
このように都合よくドナーが現れることはないと思われます。



76 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 19:29:39.77 ID:q02Jn8yF0

>>74ありがとう。誰か読んでくれててほっとしたわ




77 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 20:14:57.51 ID:f7XFTWx0i

元ネタ知らなかったから新鮮だった
よかったよ
ちょっと涙腺が崩れそうだったぜ



78 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/10(木) 23:58:47.80 ID:Ca5eyRHS0

遅くなったけど今読み終わった。
俺もちょっと涙腺危なかった。
乙!





79 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/11(金) 02:00:07.09 ID:k7+yBNd30

>>77
ありがとう。励まされるよ

>>78
ありがとう。読んでくれる人たちがいて感謝。




81 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/11(金) 23:36:06.75 ID:EOZ5V4WM0

いいよいいよ。すごく良い話だった。
主さんGJ。



82 名前:名も無き被検体774号+:2011/03/12(土) 00:06:16.30 ID:VXyc4o7t0

SSで初めてうるっときた!
>>1乙!





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憂「あずさちゃん、手術が必要なんだって...」
[ 2011/03/15 09:06 ] 非日常系 | | CM(0)

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