SS保存場所(けいおん!) TOP  >  クロス >  唯「糸が視える」#3

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






唯「糸が視える」#3 【クロス】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=news4ssnip&key=1299848022&ls=50


唯「糸が視える」#1
唯「糸が視える」#2




75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:25:00.34 ID:xil6j9fPo

♯6
それから全く敵の動きがない。
澪は逃げたんじゃないかと言うが、その可能性はないとはいいきれない。

この一週間は私は普通に学校に行けたり、
澪は買ってあげたベースを弾いてたり平穏だった。

澪ちゃんの事も考えるとあまり時間がない。
蟲遣いは切り上げて本家に帰った方が良いのか?
澪は全く忘れたように何も言わない。

唯「ねえ澪ちゃん。統堂の家は…」

澪「唯の好きなように。それに私は従うよ」

チャイムが鳴り澪はベースを一旦立てかけて玄関に向かう。
黒のゴスロリ服のまま出るので
澪が家に来てからずっと白い目で見られている。

憂「お姉ちゃん久しぶり」

唯「ういー」





76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:25:30.78 ID:xil6j9fPo


憂「お姉ちゃん流石だよ!事件解決してくれたんでしょ?」

そう言って唯に抱きつく憂。憂は喜んでいたが唯は違った。

唯「えっ?」

憂「とぼけなくて良いよ。
  異能者始末してくれたんでしょ。それでお母さんは?」

唯は首を横に振る。それで憂は理解した。

憂「う~ん。どこ行っちゃったんだろね?
  まあ、それはともかく依頼は完了だから、
  また何かあったらお願いね。お姉ちゃん」

唯「ふふふ。お姉ちゃんに任せなさい!」

憂は機嫌良く帰って行った。



77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:25:59.04 ID:xil6j9fPo


澪「今のが依頼者?」

唯「そうだよ。憂って言うんだ。
  でも憂は終わりって言ってたけどまだ違うよね」

澪「別に終わりでも良いんじゃないか?」

と、澪は唯の顔を覗き込む。

澪「まあ気が済んだら帰ろうな。
  唯はまだ気が済んでないみたいだし」

唯「そだね」

澪「まぁたまには骨休めでもしないか?」

にこりと笑う澪の本音が見える。



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:26:29.40 ID:xil6j9fPo


唯「…………パフェ食べたいの?」

澪「ついでにちょっと付き合ってよ」

開き直って澪は答えた。


律「誘っといて遅刻とは酷いな~」

唯「澪ちゃんが思ったより楽しんでてさぁ~」

澪「すごいなスタジオってところは!!」

律「……まあともかく唯は聡を倒すんだろ」

律の言うとおりである。
澪の事と唯の母の事と借りは二つある。

何故母なのかと言うと、
澪が田井中聡の情報をパソコンで見せてくれた時に彼の日記があった。

そこには闇宮、あの女と書かれてあった。
闇宮はおそらく澪だが、あの女は唯の母の事だろう。
そう唯は思っているからである。



79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:26:57.56 ID:xil6j9fPo


澪「とりあえず、今はこの話しはやめないか?
  ただでさえ目の前の奴でパフェの美味さ半減してるんだから」

唯「澪ちゃん喧嘩するなら外で待ってて貰うよ」

澪「むぅ」

律は多少苦笑する。
それに澪は文句を言いたいのを必死に堪えている。顔が真っ赤だ。

澪「律!貴様とはいつか決着をつけないといけないようだな」

律「ふうん。来いよ」

唯「喧嘩はだめだよぉ」

律「ほら、主人が困ってるぞ」



80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:28:09.41 ID:xil6j9fPo


澪「お前がいるからだろ!」

唯「りっちゃんってさ、この後どうするの?」

律「とりあえず、神の手が近くにいる気配を感じるし、
  しばらくここにいるよ。唯は?」

唯「聡を倒すんだ」

律「でも情報がからだろ」

唯「おそらく前回倒した蟲遣いは聡と接点がないんだ」

律「はぁ?」

律が難しい顔をする。唯は予想を説明する。

元々桜ヶ丘には2人の蟲使いがいて実験をしていた。
それは聡には迷惑であった。
通り魔事件のせいで仕事がやりにくいから。

互いの接点は存在しないのに聡は取引データを持っていた。
つまり、聡自身で邪魔な蟲遣いを葬るつもりだった。

しかし、誤算は澪が脱走した事。
ただ、取引データも持って行ったのは嬉しい誤算。
そのため聡はホームページをあんな風につくり、
唯達が倒すように仕立てたのである。



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:28:37.61 ID:xil6j9fPo


律「なるほど。唯のくせに」

澪「ちょっと表出るか?」

唯「すみませーん。これとこれさげてください」

律澪「ごめんなさい」

澪「ところで唯、聡のホームページ見てたら……こんなのが…」

唯「ん?」

澪がパソコンを唯に見せる。
最近気づいたが、澪のゴスロリ服の内側にはたくさんの収納袋が付いているのだ。

『このホームページを見ている蟲遣いへ。俺の蟲がついに完成したから見に来い!』

下に場所が載っていた。

唯「聡って子供?」

律「多分な」



82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:29:11.89 ID:xil6j9fPo


唯「とりあえず行こう!」

唯は立ち上がるが律はともかく何故か澪まで座っている。

唯「あれ?どうしたの?」

と、そこにパフェとステーキを持ってきた店員がやって来て

「チョコレートパフェのお客様」

澪「はい」

「ステーキセットのお客様」

律「はい」

更に何故か…

「グラタンのお客様」

澪「あっ唯です」

「ごゆっくり召し上がってください」

唯「……………」

澪「ゆっくり行こう。ファミレスっていいな」

律「そうそう」

さっきまで犬猿の仲だったのにこういう時だけ
暗黙の了解みたいに気があっている2人。

みんな嫌いだ。



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:29:41.41 ID:xil6j9fPo

♯7
澪「闇宮流葬技――雅一閃!」

スパッと目の前の木の枝が切られて落ちる。

律「わざわざ必殺技まで使わないと道をつくれないとは……」

澪「うるさいな。もう良いや。よいしょ」

唯「うわっ」

澪「さて行くか」

さて、現在の状態は律を先頭にして
その後ろでお姫様抱っこされる唯。
抱っこする澪。

最初は先頭は澪と律が歩いて、
唯が後ろを糸を視ながら歩いたのだが、

夜で暗いので、木の根に躓いたり、
木の枝にぶつかったりとRPGでいう毒状態みたいに
1人ぼろぼろになっていった。

そこで澪がナイフでスパスパ枝を切っていくが律がそれを挑発。
そしてこうなった。

唯はこの年でお姫様抱っこをされてなのか、顔が赤い。

ただ、周りが見えないおかげで二人に見られることはない。
そこはほっとしたようだ。

指定の場所はぱっかり森が開かれていて広い場所だった。



84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:30:07.96 ID:xil6j9fPo

律「にしても招待状なんてふざけてるな」

澪「しかも私達に勝つ気らしいな」

唯「何か秘策があるんでしょ」

じゃなきゃこんな所には呼び出さない。
森の奥からソイツは姿を現した。

聡「来たな」

澪「聡……」

そう呟いたのは澪だった。
あれが蟲を作ったの!?って思った。
だって小さいから……。

目は私達を睨んでいるらしいのだが、全然怖さを感じない。
寧ろ澪の方が遥かに怖い。

唯「君が聡君?」

聡「君付けるな!まあ俺が蟲使いだ。
  まあもうすぐお前達は俺の作った『ゲルミル』の胃袋に収まるがな」



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:30:35.86 ID:xil6j9fPo


律「んなもん切り捨ててやるさ」

聡「お前も俺の研究を邪魔してたな。
  まあ良いさ。ゲルミルの性能テストには
  良い格好の相手だったからな」

要するに生かしてやったと言っているのだろ。

律「テストの相手だと!?なめやがって!
  新種の蟲なんかで私達を……」

聡「コイツでもか?」

ドン……地中から太鼓を叩くような音が響く。
音の感覚は短くなり大地が震えだす。

聡「出て来い!ゲルミル!!」



86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:31:03.70 ID:xil6j9fPo


ソイツは姿を現した。

クワガタとカブト配合した異様な角に巨大で強靭な顎、
体長は軽く十メートル以上あり、
背中は分厚い甲羅で覆われている。
体躯はまだ柔らかい肌色の外殻で覆われていた。

聡「でかくなったなお前」

聡はゲルミルの甲羅に乗り睨みつける。

律「そんな蟲じゃ竜宮城は行けないな。でかいだけの蟲に臆するなよ唯!」

聡「俺はお前達を過大評価してるわけない!秘策もあるんだ!」

聡が高らかに笑う。

律「とりあえず殻が柔らかい内に……「それはさせない」

律の顔面に黒い拳が飛んだ。



87 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:31:39.39 ID:xil6j9fPo


澪「私がそれを止めるからな」

律は吹っ飛び木にぶつかる。
メシメシと嫌な音を立てて木が倒れ、律はその木の下敷きになる。

唯「りっちゃん!」

律を吹っ飛ばした後の光景をつまらなそうに眺めてから
澪は私を冷たい目で睨みつけた。

唯「澪ちゃん……何で…」

澪は何も答えない。代わりに答えたのは聡だった。

聡「澪姉は一度捕まってるんだぞ!
  操るはお前だけじゃない!薬漬けにすればどうってことない!!」

唯「あっやっぱり子供だ」

なんて暢気な事を考えていてはいけない。聡の秘策。それが薬漬け。



88 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:32:08.44 ID:xil6j9fPo


聡「お前はこの蟲が相手だ!澪姉はこっち来て」

澪「はい、聡様」

初めて会ったときの様な敬語を使い、音もなく聡の下へ飛び、ひざまづく。

聡「澪姉可愛いよ。ぺろぺろしたいお」

澪「聡様。後で差し上げますので……///」

唯「澪ちゃん……」

聡「そうだったな。
  まあ、この糸遣いは気づかないほどアホだったんだな。
  おかしいと思うだろ不通、簡単に澪姉なんか脱走させて」

唯「……まさか!?………じゃあホームページも!?」

聡「澪姉はちゃんと俺の元で動いててくれたんだよ!池沼がぁ!!」



89 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:32:41.65 ID:xil6j9fPo


唯「嘘…嘘でしょ澪ちゃん……」

澪が唯に見下す。その笑みは歪んでいた。
さっきまでの過保護な澪の笑みではなく醜い笑みだった。

唯「嘘だあぁぁ!!!」

聡「形成逆転だ。
  3対1じゃ勝ち目はないが
  闇宮を味方にして刀姫を殺しちまえばこっちのもんよ!!」

「勝手に殺すな!」

身体中から刀を出した律は聡の背後を取り突き刺そうとする。
が、澪が聡を守る。

聡「まだ生きてたか!」

律「自動防御反応を舐めてもらっては困るな」



90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:33:09.81 ID:xil6j9fPo


殴られた部分は刃の面であり、律は刀をそういう使い方も出来るらしい。

律「堕ちたもんだな闇宮」

澪は何事にも動じずただ律の刀をじりじり押し返す。

聡「澪姉頼む!」

澪「はい、聡様」

澪は刀の一本を握り投げる。

律「なっ!」

宙に浮かぶ律。
それを追撃するかのように追う澪。

律は背中から刀を出して地面への衝撃を和らげ、
澪は軽やかに着地する。



91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:33:37.70 ID:xil6j9fPo


澪「今度は本気で殺すぞ律」

黒い手袋を嵌め直し、オーラを放つ。

律「お前もな」

唯「りっちゃん…澪ちゃんは……」

唯は悲痛な声で、懇願するかのように律に問うが、彼女は――

律「ダメだ唯。澪はもう手遅れだ。
  最初の一撃はマジだった。
  
  しかも薬漬けだから、
  仮に聡を倒しても禁断症状で死ぬ。諦めろ」

聡「うひひひ。俺を倒すってのか?ゲルミルがいる限り負けねーよ」

唯「うるさい!」

聡「来いよ。糸遣い。ゲルミルでも操ってみやがれ。
  後澪姉、その化け物早く殺してくれ。いい加減うざイから」



92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:34:08.34 ID:xil6j9fPo


澪「はい、聡様」

澪が加速し律に迫る。

澪「“化け物”風情が…さっさとくたばれ!死ね!!」

律「薬中の癖にドーピングで強くなっただけじゃないのか?百花繚乱!」

律の両手から刀の花が咲き澪の連打する拳を弾く。
澪の手袋はワイヤーか何かが仕込まれているのか、
拳と刀がぶつかる度に火花が闇夜に光る。

聡「じゃあやろうか。池沼糸遣い」

巨大な蟲は完全な黒金色の殻で覆われていた。まさに戦闘準備万端。

唯「でも糸さえ視れば」

糸を視るが唯はショックを植えつけられた。
糸が余りに多すぎる。



93 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:34:38.13 ID:xil6j9fPo


聡「舐めるなよ。じゃあやろうか。こいつは色々凄いんだぜ」

蟲が片脚を振り上げる。その脚からさらに無数の脚が出る。
迂闊に近づいたら死ぬ。無数の脚が迫る。
その先端は尖っており刺されば穴が出来る。

唯「糸が多いよ!多いならこれで」

唯は蟲の脚を掻い潜って一本の糸を掴む。

唯「えっと…操糸術!」

捻じ曲げて小さい脚をねじ切る。が、すぐに脚は再生された。

聡「ゲルミルは高い栄養素のある人間を食って育ったんだ。
  一本二本程度なんてすぐに再生するぜ!!」

それから防戦一方だった。
攻めようにも攻めれないし、攻撃をかわすだけで精一杯だった。
おまけに唯のスタミナは底を尽き始めていた。

勝つためには…操る!



94 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:35:11.03 ID:xil6j9fPo


聡「そうだ。冥土の土産に一つ教えてやるよ。
  ミサオだっけな。糸遣いいるだろ。
  あれはゲルミルの栄養になった」

お母さんが……殺された!?

唯「嘘だよ。お母さんがやられるわけないよ」

聡「流石池沼!やっぱりマザコンかよ。
  きっも……ここらかな…ほらよ」

ゲルミルが地面を掘る。そこから数人のミイラが出てきた。
さらにゲルミルは掘る。どんどんミイラは出てくる。
しばらくして掘るのをやめた。最後に掘り出したミイラが足元に転がる。

唯「嘘だよぉ…お母さん……」

聡「終わりだな」

脚が上がり振り下ろされる。私は――



95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:35:39.61 ID:xil6j9fPo



「唯は糸をどこまで視れる?」

一年前お母さんに問われた。

唯「動きを司る糸」

「それは大糸っていうんだ。四肢に大まかな部位の糸だ。
 さらに細かいところまでは極糸っていうんだ。臓器とかな」

唯「あっそれなら視えるよ。触った事ないけど……」

「じゃあもう一段階上がる」

唯「まだあるの?」



96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:36:08.45 ID:xil6j9fPo


「心糸っていう。心を司る糸さ。
 どんな生物でも一本心の糸がある。
 この糸を視て操れたら究極だな」

唯「……視えるかな」

「唯なら視えるさ。
 ただ、力に飲み込まれず正面から向き合うんだ。
 克服するんだ。制御するんだ。
 唯ならできるさ。自分に自身を持つんだ。
 唯は唯のままでいるんだ」

ふと、そんなお母さんとの約束事が浮かんだ。



97 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:36:39.80 ID:xil6j9fPo



蟲の攻撃をかわし糸を視る。
大糸、極糸とどんどん目を凝らす。そして視えた。

一本だけ太く輝かしい糸が……巨大な蟲の心を操る心糸が視えた。
その糸を何とか掴む。

蟲はピタリと止まった。

聡「おい。どした?動けよゲルミル!」

唯「無駄だよ」

聡「は?」

唯「操ってるから」

聡「あんな数を操ってるのか!?」

唯「糸なんか心糸だけで十分だよ」

聡「ひいっ!」



98 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:37:09.63 ID:xil6j9fPo


蟲の上に乗った私は聡に詰め寄った。

聡「とっ取引だ!薬やる!一年分!澪姉は大丈夫だぞ!」

唯「いいよ。使えない人形はいらない」

聡「ひぃ…うわっ!」

後ずさり過ぎて聡は蟲から落ちた。

唯「ゲルミル」

蟲の名前を呼ぶ。応えるように体を傾がせた。
聡の姿が蟲に隠れてからぐしゃっと音がした。

それでもまだ聡は生きておりよろよろ立ち上がり澪の名前を呼ぶ。
が、澪はまだ律と交戦中で抜け出せない。



99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:37:39.36 ID:xil6j9fPo


唯「ばいばい」

ゲルミルはすばやく首を伸ばして聡の背中に突き立てた。
そして聡の体は食いちぎられ血飛沫を飛ばしながら地面に落ちた。

急に私の視界が真っ暗になった。
心糸を視るのを止めたからであろう。
そして体が軽くなった。が……

「唯!」

声が聞こえて抱きしめられた。目を開けると律に助けられていた。

唯「りっちゃん…」

律の背中から刀が複数の集まり翼を作ってゆっくり降下していた。


      バサラ
律「剣翼『羽鎖羅』のおけげだ。化け物に常識は通じねえ!!」

澪「ずるいぞー!」



100 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:38:16.58 ID:xil6j9fPo


ゆっくり着地してから律は再び澪と対峙する。
そこに聡の声がする。

聡「み澪姉…はやく……あのいけぬまを…」

澪「は?」

聡「はじゃなくて……」

澪「お前が唯を殺せるわけねーだろ!
  こんなアホな芝居付き合わされた身にもなってみろ!死ね!!」

聡「じゃあ、まさ…か」

澪「お前も人形だったわけ」



101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:38:48.36 ID:xil6j9fPo


澪は聡の体全体を蹴り付ける。
やがて聡は動かなくなった。

背後でゲルミルが消え崩れた。
唯はゆっくり立ち上がり澪を見る。澪は笑って

澪「お疲れ様です」

普段の顔だが何かがある。そういう違和感があった。

律「どういうことだ?」

澪「全部お芝居です。唯様に最初にお会いした時に言ったでしょう」

澪の目が濁る。

「私は妹様の命でここに来たと……」



102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:39:23.77 ID:xil6j9fPo


つまり、澪は唯の命令なんか聞いていなかった。
澪の言う妹様に唯の命令は聞くようにと命令されていたからだった。

唯「じゃあ澪ちゃんは最初から……」

澪「ええ。そうです。だから私も聡も人形だったんです」

唯「なんでそんな事を」

「そこから私が話すよ」

唯「憂…え?じゃあ澪ちゃんの言う妹様って」

憂「私だよ。それにしてもお姉ちゃん流石だよ!
  もう心糸視れるなんて…
  やっぱり一つの事にのめり込むとお姉ちゃんは凄いね」

最初から私は憂に踊らされていた。



103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:40:02.18 ID:xil6j9fPo


唯「何が目的なの?」

憂「私が当主になるんだ」

唯「じゃあなれば良いじゃん」

憂「それじゃあだめなの。例外を使わなきゃダメだったんだよ」

また例外という言葉を聞く。
しかし、例外の意味が分からない。どういうことなのか?

憂「異能は基本遺伝なんだけど、
  私は妹だからお姉ちゃんより優れてないんだよ」

憂「でもお姉ちゃんみたいに当主を放棄する人だっている。
  だからね、ごめんねお姉ちゃん。お姉ちゃんを種馬にするよ」

唯「種馬?」



104 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:40:34.70 ID:xil6j9fPo


憂「大丈夫。
  ちゃんと世話するし、種付けた男はすぐ始末するからね。
  お姉ちゃんの世話もちゃんとやるよ」

早い話、子作りしろと。

唯「遠慮するよ」

憂「だよね。じゃあ決闘で決着着けよう。
  ごめんねお姉ちゃん。それが決まりなんだよ」

唯「憂は何でこんな事を……」

憂「私が当主になりたかったんだけど、
  当主はお姉ちゃんが第一子だからおねえちゃんがなるんだよ。
  
  それにお姉ちゃんの方が糸遣いとして優れてる。
  だから当主になるには私はお姉ちゃんと戦わなくちゃならない。
  
  でも、お姉ちゃんはぽわぽわしてて、
  戦闘経験も皆無だし今のままじゃ私に勝てないから
  強くなってもらったの。
  
  その方が印象も良いと思うしね。
  ごめんね。辛かったでしょ?」

唯「………」



105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:40:59.67 ID:xil6j9fPo


憂「それじゃあねお姉ちゃん。
  日時はまた追って連絡するからゆっくり休んでね。
  行きましょう澪さん」

澪「はい、妹様」

憂「憂で良いよ」

澪「……憂様」

唯は澪の名を囁くと一度止まって人形のような微笑みかけた。

律「ちょっと待った!」

律は憂を止める。
姉と闇宮以外とは話したくないのか
一度ため息をこぼしてから律に返答する。

憂「何ですか?」



106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:41:28.78 ID:xil6j9fPo


律「聡と神の手の繋がりを教えてもらおうか」

憂「知らないです。私はお姉ちゃんと違って忙しいんです。
  まあお姉ちゃんも学校という大事な日課があるけど、
  それと同じくらい忙しいんです。ではこれで」

憂はシスコンなのか。やたらお姉ちゃんを連呼する。

律「シスコンが!刀姫から逃げれると思ってるのか?」

憂「逃げませんけど、えっと…そうでした。
  律さんとは戦うつもりはありません。
  
  これは私とお姉ちゃんの問題ですから、
  律さんは身を引いてくれませんか?」

律「ふざける…」

律は体を屈める。

律「なっ!!!」



107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:42:06.11 ID:xil6j9fPo


大地を蹴って憂に飛び掛る。
澪は何もしない。
憂を守ろうとせず、ただ立って唯に微笑を掛けている。

憂「…………」

律の手足から刀が生えて、
なお空中で身をひねりながら突進する。

弾丸のような勢いで律は憂に襲い掛かる。

憂「……和ちゃん」

憂の影から黒いスーツの女性が出てきた。
髪は短く眼鏡を掛け黒い手袋を嵌めている。

律はそのまま和に突っ込むが、
和は無表情で律の回転する刀を握る。律の顔が歪む。

そのまま和は律を真上に投げる。
宙に浮いてる律は背中から刀を出し、翼を出し着地して和を睨みつける。

憂「私の闇宮の和ちゃん。
  本当は私も同年代の子のはずなんだけど、
  わがまま言って和ちゃんにしてもらったの。律さんまだやる?」



108 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:42:33.84 ID:xil6j9fPo


律「今更退くわけ…「ダメだよりっちゃん!!」

律を制して唯は憂と和を対峙する。

唯「決闘だっけ?良いよ。やろ。
  憂が勝ったらどんな状態でも連れて帰っていいよ。
  ただ、私が勝ったら澪ちゃんを返してもらうよ」

憂「うん良いよ。澪さん、そうゆう事でお姉ちゃんの物になってね」

澪「はい、憂様」

唯「澪ちゃんを物扱いしないで!!」

憂は困った顔で唯を見る。
その顔は旅行に来た外国人に道案内を尋ねられたように困った顔である。

憂「お姉ちゃんおかしいよ。さっきので分かったでしょ。
  和ちゃんも澪さんも闇宮だから人形なんだよ。
  私やお姉ちゃんの命令を聞くためにだけに存在するんだよ?」



109 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:43:06.48 ID:xil6j9fPo

唯「澪ちゃんは人形じゃないよ!!」

憂「う~ん。……じゃあ和ちゃんと澪さんの心糸を視てくれるかな?」

視ようと思ったが、先ほどの戦闘での肉体、精神の疲労で視れなかった。
憂に視れないと言うと「残念」と落胆した。

憂「じゃあ2人の瞳を見ててね。和ちゃんに澪さん。心を殺してください」

憂がそう言うと2人の瞳から光が消えた。

憂「闇宮の人は自分のあらゆる糸を切ることが出来るんだ。
  生物なのに心を殺せるんだよ!これを人形と呼ばないでなんて呼ぶの!?」

パチンと憂が指を鳴らすと2人の瞳に光が戻る。

憂「……怒っちゃってごめんねお姉ちゃん。
  それじゃあね。気をつけて帰ってね。行きましょう。澪さん、和ちゃん」



110 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 23:43:39.70 ID:xil6j9fPo


「はい、憂様」と2人の闇宮と憂は森の中へ消えて行った。
唯はただ振り返る事のない澪の背中をただ見つめるばかりだった。

律「唯…」

律は声を掛けるが何を言えば良いのかわからず、そのまま黙ったままだった。
私はどうしたらいい?そう問おうとしたか呟こうとしたか。
力をなくした私は律を支える。その感触を最後に私の意識は途絶えた。



関連記事

ランダム記事(試用版)




唯「糸が視える」#3

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6