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梓「Have A Good Die」#第5話 【シリアス】


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梓「Have A Good Die」#第1話
梓「Have A Good Die」#第2話
梓「Have A Good Die」#第3話
梓「Have A Good Die」#第4話




164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:10:12.98 ID:QNBPIm/xo

 第5話

純「ほら梓、早く早くー」

梓「ちょっ純!そんなに手引っ張らないでよ!痛いって!なんなのよもう」

純「へっへー、到着ー」

梓「到着って……ここ平沢家じゃん」

純「まあどうぞどうぞ、遠慮なくあがってくださいな」

梓「別にあんたの家じゃないでしょ」

純「まあそうなんだけどね」

がちゃっ

梓「お邪魔します……っと。静かだなぁ、誰もいないの?」

純「さ、どうぞどうぞこの中へ」

梓「何なのよもう」

 純のよそよそしい態度を疑いながら居間のドアを開けると……

クラッカー「ぱぁ~~~ん!!!」

唯澪律紬純憂「お誕生日、おめでとうーーー!!」

梓「うわあぁっ!」びくっ

梓「びっくりしたー。心臓に悪いですよこれ」

澪「悪いな梓、唯と律の提案で梓を驚かせようとサプライズ仕込んだんだ」

唯「あずにゃん、今日は何日か知ってる?」

梓「今日はえっと……11月11日…そうか、私の誕生日だったんだ」

律「なんだよ自分の誕生日くらい覚えとけよー」

梓「まさか自分の誕生日を祝ってくれるなんて
  思ってもいませんでしたから考えてもいなかったです、予想外ですよ」

唯「私達今迄1度もあずにゃんのお誕生日会やってなかったからね。
  今年こそやってあげようって」

紬「私1度でいいからお友達の誕生会で
  三角帽子被ってクラッカー鳴らすのが夢だったの~」

梓「ありがとうございます。本当に何て言ったらいいか」

純「おめでとう梓、これで今日から18歳だね」

梓「そっか……私18歳になったんだ……なれたんだ」

律「そうだぞー梓、今日から18歳だ。パチンコ行ける年齢だぞ」

澪「パチンコなんでどうでもいいだろっ!」がつん

律「いでぇー」

梓「18歳……なれたんだ……」

憂「梓ちゃんの為に今日はいっぱいお料理作ったからね。どんどん食べてね」

唯「ほらあずにゃん早くこっちおいでよ」

 前に誕生日を祝ってもらったのはいつだろう、
 確か小学生の頃に家族に1回やってもらったっきりだったな。
 まさかこんな大勢の人に盛大に祝ってもらえるなんて夢みたい。
 
 そして18歳、歳をとるなんて何とも思ってなかったけど今はとても感慨深い。
 次は365日後の19歳か……また祝ってもらえたらいいな。
 何時の間にか私は贅沢な考えをしていた。

純「ほら早くしないと梓の分も食べちゃうぞー」

梓「ああっ!もう、待ってよ純!」

 私は十分すぎる程満喫しています。今の充実しすぎた日々を。





165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:12:28.32 ID:QNBPIm/xo

 それからの日々は大学の受験勉強の日々だった。
 かつて先輩達がそうしたように
 私達も音楽室で後輩達の演奏をBGMにして勉強に励んでいる。
 
 第一志望は当然N大、そして憂も純も同じN大を志望していた。
 勉強の甲斐あって受験は3人揃って合格、
 ようやく肩の荷が降りた気がする……あとは卒業式を迎えるだけだね



166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:16:26.86 ID:QNBPIm/xo

―― 2012年3月・水族館
 
 今日はデートの日、私の希望で行き先は水族館。

唯「ちょっとあずにゃーん、くっつきすぎだよぉ。もう、他の人達が見てるじゃん//」

梓「離れませんよ、いつぞやの仕返しです」

唯「えー。じゃあ私もっ」ぎゅっ

梓「ふにゃあ//」 
 
唯「そういや今日のデートはあずにゃんにとっては高校生での最後のデートだね」

梓「そうですね。唯先輩としても独身最後のデートでしょう」

唯「だねー」

老人「あのー、ちょっといいですかな?」

唯「ほえ?」

梓「私達ですか?」

老婆「ええ、お嬢ちゃん達にちょっと頼みがあってねぇ」

梓「どうしました?」

老人「このカメラでわし等の写真を撮って欲しくてねぇ」

梓「はい、そういう事なら喜んで」

 私はデジカメを受け取って2人の前に立ってシャッターとフラッシュの位置を探る。
 ふと片割れの御婆さんが話しかけてくる。

老婆「出来れば日付を入れたいんだけどねぇ…
   私達機械あんま得意じゃないからどう操作すればいいのか分からなくて」

梓「日付ですか?分かりました。何とかやってみます」

老人「ほら、いいから日付なんて。時間取らせてその子達に迷惑かかるじゃろう」

老婆「何言ってるの!記念の大切な日なんだから日付がなくてどうするの!」

唯「今日は何かあったんですか?」

老婆「ええそうよ。今日は私達夫婦の50年目の結婚記念日なのよ」

梓「わぁー!結婚してから50年目なんですか!
  すごいじゃないですか!おめでとうございます」

老人「ありがとう。ところで君達はお姉さんと妹さん?
   すごく仲良さそうに見えたからねぇ」

唯「ちがいますよー」

老婆「じゃあ恋人同士かねぇ」

梓「なっ//」

老婆「図星のようねぇ。
   いいわねぇ初々しくて。私達にもこんな頃があったのよねぇ」

唯「私達、今月から一緒に暮らすんですよ」

老婆「あら、いいじゃない。おめでとう」

唯梓「ありがとうございます」

梓「あ、何とかなりましたよ日付、撮りますね」

老婆「ありがとうねぇお嬢ちゃん」

梓「いえ、こんな大事な日の写真に
  日付入れないなんて勿体無いですから。それでは行きますよ」

――

老人「すみませんねぇお嬢ちゃん達、わざわざ時間とらせてしまって」

唯「私達なら気にしなくていいですよ」



167 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:17:30.35 ID:QNBPIm/xo

老婆「それじゃあ私達は失礼するわね。
   あなた達も先は長いけど私達みたいに50年目指しなさいね」

唯「……」

梓「……」

 私達2人は返事に詰まった。
 だって50年先の将来を考えるカップルではなく
 死に向けて考える普通とは違うカップルなのだから……
 
 しばらく間があり私は横を見てみる。
 そこには同じく私を見つめる唯先輩の姿が。
 
 言葉を交わさなくても何が言いたいのかは
 お互い表情だけで理解できている、小さく頷いた後私達は正面を見据える。
 
唯梓「はいっ!」 

――

梓「ねぇ唯先輩」

唯「何?あずにゃん」

梓「唯先輩と約束したい事があります」

唯「約束?」



168 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:18:20.89 ID:QNBPIm/xo

 そう、私達は約束した。
 私達は愛し合うことを約束した。
 私達は50年分愛し合うことを約束した。



169 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:20:09.89 ID:QNBPIm/xo

―― 同年3月8日・病院

 この日の定期健診はいつもと違った。
 隣には唯先輩が付き添ってくれている。

梓「先生の予想外れましたね。
  先生に持って1年と言われたのに1年以上たちました」

金田「そうだね、痛みはある?」

梓「いえ、薬が効いてるみたいです」

金田「物は食べられる?」

梓「問題ないです。まだ入院しなくても大丈夫ですよね?」

金田「一応病人なんだし僕としては入院を勧めたいんだけどね」

梓「先生、やっぱり私は入院しないで
  このまま普通の生活を続けて行きたいんです」

金田「平沢さんも、同じ考えかな?」

唯「はい」

金田「それはそうと、いよいよ明日卒業式だね」

梓「はい、まさかこうして卒業式に出られるなんて夢にも思いませんでした」

金田「卒業おめでとう」

唯「おめでとう、あずにゃん。約束守ってくれたんだね」

梓「ありがとうございます。先生も、唯先輩も」

金田「ところで約束って何?」

梓「べ、別に何でもないです!唯先輩、先生の前で変な事言わないでください」

唯「えー、別にいいじゃーん」

金田「ははは、本当に君達楽しそうだよね。これじゃまるで新婚さんだよ」

梓「また!茶化さないでくださいよ先生!」

 余命1年を宣告されてから既に1年以上過ぎている。
 私達は何も変わりなく過ごしている。
 さあ、明日は卒業式だ!



170 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:22:10.68 ID:QNBPIm/xo

―― 桜高

 今日は私達の卒業式、色々あったけど無事にこの日を迎える事ができた。
 
梓「――そして、後輩の皆様方のご活躍と、
  桜ヶ丘高校の一層の発展を願い、ここに答辞とさせて頂きます」

梓「平成24年3月9日、卒業生代表・中野梓」

――

梓「ふぅー、緊張したー」

憂「答辞お疲れ様梓ちゃん」

梓「てか何で私にこんな役廻ってくるのよ。普通生徒会長の役目でしょこれ」

純「まあまあ、でも終わっちゃったよね卒業式」

憂「そうだね」

梓「これで高校生活ともお別れ、か」

憂「大学行ってもみんな同じ大学だからあんまり実感ないよね」

梓「おまけに先輩達も同じ大学だし、結局今までと変わらないしね」

純「それで梓はいつ引越しするの?」

梓「もう荷物まとめてあるし、すぐにでも行くつもりだよ」

純「ったく……ラブラブすぎるわあんた達」

さ「ちょっとあなた達いつまでそこにいるの?そろそろ最後のHR始めるわよ」

梓憂純「はーい」

梓「ほらいくよ2人共」

憂「うん!」

純「ちょっ、待ってよあずさー」



171 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:23:55.02 ID:QNBPIm/xo

 コンコン

唯「はーい」

 がちゃっ

唯「いらっしゃーいあずにゃーん」ぎゅっ

梓「にゃあっ!えへへ…来ちゃいました」

唯「待ってたよー、さ、どうぞどうぞ」

梓「お邪魔します」

唯「お邪魔しますだなんて変だよ。
  今日からここがあずにゃんの家なんだからただいまだよー」

梓「そうでしたね……ふふっ」

梓「……ただいまです、先輩」

唯「おかえり、あずにゃん」

梓「前来た時と同じであんま散らかってませんね」

唯「そうだよー、しっかり整理しておいたからね」

梓「とりあえず荷物置かせてください」

唯「はいよー」



172 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:26:20.11 ID:QNBPIm/xo

 その夜、私達はテーブルを囲んで夕食をとっていた。
 2人分の食器がギリギリ乗る程度の小さなテーブル、
 だけどその分お互いの距離も近い。
 
 こじんまりとしたささやかなディナーだけど、
 今の私にとってはどんな高級料理や一流レストランも敵わない素晴らしいものだった。

唯「味はどうかな?」

梓「美味しいです……本当に美味しいですよ唯先輩」

唯「よかったー、マズいとか言われちゃったら
  どうしようかと思ってヒヤヒヤしてたんだよ」

梓「本当に美味しいですから。
  私がお世辞言う人間じゃない位先輩なら分かりますよね」

唯「うんっ」

 どうやら唯先輩は私からプロポーズを受けたその日から
 憂に頼みこんで家事全般を教わっていたらしい。
 
 病気持ちでこれから先体調もままならなくなり
 満足に体も動かせられなくなるかもしれない私を
 支えていける様にしたいからって教えてくれた。
 
 やっぱりこの人はその気になれば何でも出来る人なんだな……
 ギターだけじゃなくて勉強も、家事も。



173 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:31:43.85 ID:QNBPIm/xo

唯「ねえねえあずにゃーん」

梓「どうしました?」

唯「あずにゃんってさ、小学生の頃からギターやってたんだよね?」

梓「ええ、そうですけど」

唯「本格的に始めるようになったきっかけの出来事とかあったの?」

梓「両親がジャズバンドやってたって話は前にも聞きましたよね」

唯「うん」

梓「確かにそれもあるんですけど本当のきっかけは別にあるんです」

梓「その頃の私は小学校のクラスでもあんまり友達とかいなかったんですよ」

唯「えー、意外だなー」

梓「私って元々人付き合いが得意じゃなかったんです。
  家族は仕事で家にいない日の方が多いし
  学校でも家でも1人でいるのが殆どだったんです」

唯「ふむふむ」

梓「そんな時期に家にたまたま置いてあったギターを見つけて
  見よう見まねで始めたんです。
  
  最初は暇つぶしと寂しさを紛らわす手段のつもりでやってただけでしたけど
  何時の間にか日課になってしまって」

梓「音楽がきっかけで友達も少しですけど出来ましたね。
  先の話になりますけど中学でも音楽系のクラブに入れたし」

梓「その後両親が私がギター始めたって話を知ってそれからですね。
  両親の演奏会や色んな場所でやっているライブを見に付いていって
  段々と夢を見るようになっていったんです」

唯「夢?」

梓「プロになりたかったんです私。
  生きるのなら好きだった音楽でやっていきたかったんですよ。
  大勢のお客さんの前でスポットライト浴びて演奏してみたかったんです。
  両親と同じように」

梓「尤もすぐに諦めちゃったんですけどね……」



174 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:32:38.25 ID:QNBPIm/xo

唯「えーっ!勿体無いじゃん。
  あずにゃん演奏上手なのに諦めちゃうなんてさー」

梓「実際プロになると事務所や周りの声とかのしがらみやら何やらで大変なんですよ、
  好きでやっていた筈なのに何時の間にかその好きな音楽が
  好きでも何でもない物になっていくんです。両親がそうでしたから」

梓「すいません、
  なんか頭では分かってても口に出してみると具体的に説明はしにくいんです」

唯「ううん、何となく分かるよあずにゃんの言いたい事は」

梓「実際年に多くの人がデビューしてるんですけど
  その殆どは数年の内に姿を消すんですよ。
  流行るのは早いけど飽きられるのも早いんです。
  そうなったら後には何も残りませんよ」

梓「だから私はあくまで音楽は趣味に留めて無難に過ごすようにしたんです。
  余命宣告されてそれも否定されたんですけどね」

唯「でもさ、やってみなけりゃ分からないよ?
  もしプロになってみて実際そうなったとしても
  やらないで後悔するよりよっぽどいいと思うな」

梓「そういえば先輩方が軽音部立ち上げた時の目標は武道館デビューでしたね」

唯「今でもそうだよー。
  私達大学でも軽音やってるし武道館が目標なのは変わってないよ」

唯「そうだ!あずにゃんの次にやるべき事思いついちゃった」

梓「どんなのです?」

唯「バンドのコンクールに出てみようよ!私達5人でさ」

梓「コンクールですか……」

唯「そうだよ!あずにゃんの夢だったんだよね?
  大勢の人の前で演奏するのって」

梓「そうですけど……上手くいくんですかね。
  私達のバンドが学校の外で演奏したのって
  3年前の大晦日のライブの時だけだったし」

唯「やってみなきゃ分からないよ。
  バットを振らなきゃヒットも出ないし点も入らないよ!」

梓「押し出しやスクイズがありますけど」

唯「ぶーっ!意地悪いわないでよー」

梓「すいませんすいません……ふふっ」

唯「もー」

梓「でもそうですよね。夢を目指せる最後のチャンスですもんね。
  それに先輩達となら何があってもやっていけそうな気がします」

唯「そうだよー。じゃあさ、明日早速りっちゃん達に相談してみようか」

梓「はいっ」



175 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:37:15.07 ID:QNBPIm/xo

 翌日、私達軽音部5人はいつも集合場所に使っているマックに集まった。
 勿論昨日唯先輩と話し合ったコンクールの話をする為に。

律「コンクールかー。何か面白そうだよな」

紬「そうねぇ、何だか楽しそうね学校の外でみんなと演奏だなんて」

梓「何か目標があった方が練習にも身が入りやすいと思うんですよ」

澪「それってやっぱ学園祭や新歓の時よりも人がいっぱい来るんだよな?」gkbr

律「そりゃあそうだろ。
  何たって優勝すればメジャーデビューの可能性だってあるんだし
  関係者もいっぱい来るんじゃないの?」

澪「うぅっ……無理だろ学園祭よりも大勢の前で演奏だなんて……」gkbr

梓(相変わらずだなぁ澪先輩)

紬「今回の提案考えたのってやっぱり梓ちゃんなの?」

梓「いえ、唯先輩です」

律「へぇー、唯がなぁ……コンクールに出ようなんて言い出すなんてなぁ」

唯「私ね、みんなと一緒に武道館のステージに立ってみたいんだよ。
  だってそれを目標に高校1年生の時からやってきたんだよね」

唯「それにね……私の夢だけじゃなくて
  あずにゃんが一度諦めかけた夢でもあるから……」

唯「みんなちょっと聞いてくれるかな?
  ……あずにゃん、昨日話してくれた事言ってもいい?」

梓「はい」



176 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:38:13.03 ID:QNBPIm/xo

 唯先輩は昨夜話した一部始終を話し始めた。
 私が話したギターを始めたきっかけ、
 夢を持ったけど諦めた話、ありのままの話を。
 そして私にとっては最初で最後のチャンスだという事も。

律「そっか……なるほどなぁ……」

紬「私は賛成よ。折角唯ちゃんと梓ちゃんが
  こんないい話持って来てくれたんだもの。やらない手はないじゃない」

律「私も賛成だぜ。
  だって人に聞いてもらいたいから音楽やってるんだもんな。
  メジャーデビューとかそういうの関係なしに
  私等の演奏がどこまで通じるか確かめてみたいし」

律「……で、澪はどうなんだ?」

澪「……恥ずかしいけどやるよ。
  だって何時までこのメンバーで音楽やっていけるのか分からないだろ。
  だから私もやるよ。梓が諦めかけた夢、私達でやってみたいじゃないか」

唯「ほいじゃー決まりだね!」

梓「そうですね。律先輩、大学で練習する場所確保してあるんですか?」

律「もちろん!去年私が軽音部立ち上げたからな。
  練習場所もお茶やれる場所もバッチリ確保済みだ!」

澪「お茶はどうでもいいだろ」

梓「大学行っても相変わらずいつも通りの軽音部なんですねみなさん」

唯「それがあってこその私達軽音部だからねー」

梓「そうですよね」

律「よし!そうと決まれば明日からやるぞー!」

全員「おー!」

 という訳で私達放課後ティータイムは1年ぶりに再始動した。
 目指すは秋に行われるバンドコンクール。
 これが私の人生の集大成になるかもね……
 だけど大好きな先輩達と少しでも長く音楽をやりたいから……



177 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:39:58.03 ID:QNBPIm/xo

―― 4月・病院

金田「うぅむ……」

梓「どうしたんですか先生。まさか体の状態がそんな悪いんですか?」

金田「いやね……」

金田「その逆!すごくいいよ!
   いやぁーびっくりだよ。体の状態すごくいいよ」

梓「もう……脅かさないでくださいよ」

金田「いやーごめんごめん。つい、ね」

梓「悪ふざけにも程がありますよ」

金田「それでどう?大学生になってうまくやれてる?」

梓「それはもう!病気なんて忘れる位楽しくやれてますよ」

金田「そっか、それはよかったよ」

梓「先生、私達秋に行われるバンドコンクールに出る事になったんですよ」

金田「ほほぅ……それはそこにいる平沢さんも一緒に?」

唯「はい、勿論」

梓「先生、私絶対コンクールに出場します。
  今はそれが私の生きる第一の目標になったんですから」

金田「いいと思うよ。
   目標があれば生きる糧にもなるし、今の君にとってはすごく大切な物だよ」

梓「先生にもそう言ってもらえて安心しました」

金田「平沢さんも中野さんをしっかりと支えてあげてね。
   今の君なら要らぬ心配だと思うけど一応ね」

唯「勿論です。2人で決めた目標なんだから最後まで2人でやり遂げます」



178 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:41:42.01 ID:QNBPIm/xo

 それからは練習に明け暮れる毎日。
 勿論大学の勉強も両立させてるけどね。
 
 講義が終わった後は部室で毎日練習、
 ただ私がギター触っていられる時間が病院の方で制限されてるので
 練習時間は3~40分程度でその分中身は濃くやっている……
 つもりだけどどうなのかな。
 
 残った時間は高校時代と何ら変わらないティータイム、
 何だかんだでコレがないと私達じゃないし……
 私も完全に毒されちゃってるな。



179 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:45:23.47 ID:QNBPIm/xo

―― 5月末・唯と梓のアパート

 この日は軽音部の先輩方と
 純、憂を家に呼んでお食事会を開いた。
 
 元々あんまり広くない部屋に7人も入ったから
 かなりぎゅうぎゅう詰めな部屋の中、
 でも案外何とかなったりもする。
 
 テーブルは同じアパートに住んでる憂が
 自分の部屋から持ってきてくれたのも使って何とか広さを確保できた。

唯「今日はみんなどんどん食べてね!」

律「言われなくても食べてるぜ!」

澪「お前は食べ過ぎだっ!」

紬「いいわぁこのお部屋。
  なんか家庭的でいい匂いがして
  2人がいつもどんな生活してるのか分かる気がするわぁ~」ほわほわ

梓「どんな想像してるんですか……」

純「でもいいの?
  今日は軽音部の集まりなんでしょ?私達部外者なんじゃ」

梓「気にしないでよ。
  純と憂には普段からお世話になりっぱなしだったからさ。
  それに2人共軽音部じゃん」

憂「言われてみればそうだったね」

純「最後の1年だけだったけどね」

澪「それにしても本当に料理上手だよな。
  これって梓と憂ちゃんが作ったんだろ?」

憂「違いますよ。この味は多分、お姉ちゃんが作ったんじゃないかな」

律「味で分かるのかよ……てか唯が作った!?マジで?」

唯「大マジだよー。ちょっとあずにゃんにも手伝ってもらったけどね」

律「という事はあれか、クリスマス会の時みたく
  イチゴのせるだけの簡単なお仕事だったりとか」

唯「りっちゃんシドい!」

梓「殆ど唯先輩ですよ。私は本当に補助的な部分しかやってません……
  というか入る余地が殆どなかったんです」

憂「1人暮らし始める前からお姉ちゃん特訓してたからね。
  今はもうそれ以上の事まで出来てるし
  やっぱりお姉ちゃんはやれば出来る子なんだよ」

純「さすが平沢姉妹……」

律「でもこの寿司の舎利、ちょっと柔らかすぎないか?」

唯「えーっ!?そっかなぁ……丁度いいと思ったんだけどなぁ」

梓「いいんですよ、私はこれでいいと思います。美味しいですよ先輩」

唯「あずにゃんにそう言って貰えるなんて最高の褒め言葉だよー」

憂(確かにこの舎利少し柔らかすぎる。
  でもこれは失敗したんじゃない、ワザとだよ……
  病気で食べ物が喉を通りにくい人でも食べやすいように
  あえて柔らかくしたんだ……お姉ちゃんそこまで……)

唯「そういえばりっちゃんと澪ちゃんも一緒に住んでたんだよね」

澪「ああ、でも料理は専ら律が担当してるけどな」

律「澪といるお陰で翌日の話のネタには困らないぞ。
  昨日も部屋に出たゴキブリを新聞紙で叩いて潰したら
  澪の奴布団被って隠れちゃってさー」

澪「一々お前は余計な事言うなっ!」がつん

律「たわばっ」

唯「あっ!そろそろピザ焼きあがるから持って来るねー」

梓「私も手伝いますよ」

唯「じゃあお願いねあずにゃん」

梓「はいです!」

憂「……お姉ちゃん…梓ちゃん……」



180 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:46:57.21 ID:QNBPIm/xo

 みんなが帰った後片付けを済ませた私は今一息ついている処。
 病気の症状かどうなのかは分からないけど
 ちょっと胃がもたれてるようだ。

梓「すいません、ちょっと背中さすってもらえませんか?」

唯「お腹痛いの……?」

梓「いえ、そこまで悪いわけではないんですが」

唯「じゃあやるねー」

梓「はい、シャツめくりますね」

唯(!?あずにゃんの体、
  すごく痩せちゃってあばらが見えそう……やっぱり病気進んでるんだ……)

梓「どうしました?」

唯「あ!ううん、何でもないよ」
 
唯「えっと、この辺でいい?」

梓「もうちょっと下、胃の後ろあたりお願いします」

唯「こうかな?」

梓「はい、そこです」

唯「やっぱりあんまし調子よくないの?」

梓「ただの食べ過ぎだと思いますよ。
  ほら、あの人達といるとついつい自分も釣られちゃって
  余計に食べてしまいますから」

唯「そうだよねー。私もちょっと食べ過ぎちゃってお腹パンパンだもん」

梓「やっぱり楽しいですよねこういうのって」

唯「そだねー」

梓「いつまでもこんな毎日が続けばいいですよね」

唯「続くよ、私とあずにゃんがそれを願えばいつまでも楽しくいられるよ」

梓「はい」



181 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:48:01.75 ID:QNBPIm/xo

―― 翌日・病院

金田「あなたは……平沢唯さんの妹さんでしたよね」

憂「はい、いつも姉がお世話になってます」

金田「それで、今回はどのようなご用件で?」

憂「姉と梓ちゃんの事なんですけれど……」

金田「中野さんとお姉さんがどうかなさいましたか?」

憂「姉も梓ちゃんもとても楽しそうで、
  このままずっと生きていてくれるんじゃないかって思うほどです。
  でも2人の愛情が深まれば深まるほど心配になるんです」

金田「どんな心配を?」

憂「その……別れが来た時、
  姉はどうなってしまうんだろうって。そんな事を考えてしまうんです」

金田「平沢さん、僕の知っている限りでは愛情が深まるほど、
   そして楽しい時間を過ごした人ほど残された後楽しい人生を送っていますよ。
   お姉さんを信じてあげて大丈夫なんじゃないですか」



182 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:52:25.61 ID:QNBPIm/xo

―― 夜

 私と唯先輩は床についていた。
 部屋の中に1つしかないセミダブルサイズのベッドの上で
 2人くっついて寝るのが毎夜の日課。
 
 最初は唯先輩が勧めてきたんだけど
 私は正直恥ずかしいから断った……はずだった。
 
 やっぱり内心は先輩と一緒に寝たかったんだよね。
 結局部屋が狭くてもう1人分布団敷けないからって理由でOKした。
 表向きはね……我ながら本当素直じゃないなぁ。

 夜も更けようとしているのに私達は暗闇の中まだ起きていた。
 2人で背中をくっつけ合わせた状態でお互いの顔は見えない、
 というより暗いから元々見えないかも。

唯「ねぇあずにゃん」

 不意に唯先輩が話しかけてきた。
 私は背中合わせの体勢を崩さずに返事をする。

梓「まだ起きてたんですか」

唯「うん」

唯「あずにゃんに聞きたい事があったんだ」

梓「なんですか」

唯「初めて私に会った時の第一印象ってどうだったの?」

梓「そうですね……
  1年で見に行った新歓ライブで初めて唯先輩を見て
  同じギタリストとして私憧れたんですよ。
  
  だってあんなに人を惹きつける演奏するんですもの。
  きっとすごい人なんだろうなーって」

唯「へへー」

梓「もっとも入部してすぐに幻滅させてもらいましたけどね!」

唯「えーっ!しどいよあずにゃーん」

梓「だってお茶ばかり飲んでて練習もまともにしない、
  楽譜は読めない、コードも覚えられない、
  おまけにギターのメンテもまともにしない、
  
  居眠りと遅刻ばっかですぐ人に抱きついてくる、
  挙句の果てには勝手にあずにゃんだなんて変なあだ名をつけるし最悪でしたよ」

唯「がーん!重いよ!今のその言葉重いよあずにゃん!」

梓「だって事実ですから」

唯「そんなぁー」

梓「でも」

唯「でも?」

梓「ずっと先輩達といる内に分かったんです。
  唯先輩がただ傍にいるだけで安心するし、
  その笑顔を見て元気付けられて今まで何度も助けられたりもしました。
  今なら憂が何で先輩をあんなに慕っていたか分かる気がします」

唯「うん」

梓「やっぱり唯先輩は……
  初めて新歓ライブで受けた印象通りの私が憧れてた最高の先輩でした」

唯「あずにゃん……」

梓「私の中ではもう唯先輩無しの人生なんて考えられません。
  私という人間を構成する上での1番欠けてはいけない重要な要素なんです。
  だからこれからも私の傍を離れないでいてください」

唯「絶対離れたりなんかしないよ、
  絶対にあずにゃんを1人ぼっちになんかさせないから。
  もうあずにゃんは1人じゃないよ」

 唯先輩はそう言った後、
 私の両脇に両手を回りこませて優しく抱きしめてくれた。
 
 突然の行動に思わずドキッとして声を上げそうになるが踏みとどまった。
 そしてお返しとばかりに私は唯先輩の方に向き直り同じように抱きしめた。
 
 暗闇で顔は分からないけど吐息が顔にかかり息づかいが聞こえる。
 そう、当たりそうになる程近い距離で私達は顔を近づけ合わせていた。

梓「はい……これからもよろしくお願いしますね」

唯「こちらこそよろしくね。愛してるよあずにゃん」

梓「私もです。愛してます唯先輩」

 私達は唇を合わせた。
 限られた時間の中で私達はお互いの愛情を確かめ合った。



183 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:54:43.07 ID:QNBPIm/xo

―― 6月

律「佐々木さん、ちょっと話があるんだけどさ」

純「鈴木です」

律「ああ、そうだった。永田さん」

純「……もういいです」

律「まあどっちでもいいや。
  今日呼んだのはさ、私達とバンドやらないかって聞く為に呼んだんだ」

純「え?私をHTTの新メンバーに?」

唯「そだよー。みんなで相談して決めたんだ。ね?」

紬「ええ」

梓「純も3年の時に軽音部入ってくれたからさ。
  だからまたやろうよ私達と今度は6人で」

純「ちょっと待って、6人って憂には声かけたの?」

梓「憂には断られちゃった。私達のサポートに回りたいんだって」

律「梓の友達なら私達の友達でもあるからな、どう?」

純「そうなるとベース2人になっちゃいますよね」

澪「私は構わないぞ。ツインベースのバンドなんて他にもいるし」

純(そうだ!憧れの澪先輩と2人で組んでベースが出来る!なんて夢のような)

純「やります!やらせてください!」

律「よし、決まりだな!それじゃこれからよろしくな」

純「はい!」

梓「また同じバンドだね。よろしく純!」

純「よろしく梓」

梓「それはそうと」

純「なに?」

梓「純、あんたひょっとして
  『憧れの澪先輩と2人で組んでベースができる』て考えて決めたでしょ」

純「ギクッ!い、いいじゃん別に!」

梓「ぷぷっ、顔真っ赤」

純「梓のくせに生意気だーッ!」

 こうして今月から私達放課後ティータイムは6人編成になりました。
 やかましいのが入ってきたから余計に騒がしくなりそうだけど。
 ……楽しみだな♪



184 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:57:19.87 ID:QNBPIm/xo

 私達はその後、毎日を充実させて過ごしている。

―― 6月中ごろ
 
梓「せんぱーい、具が出来ましたよ」

唯「よっし!それじゃそこの餃子の皮で包んでくれないかな?」

梓「了解です」

梓「……難しいですね。歪な形になっちゃいましたよ」

唯「いいじゃんいいじゃん!
  なんか手作りって感じするもん。この調子で夕方までに仕上げちゃおー」

梓「はいです!」

―― 6月末

梓「先輩!レポート出来たんですか?もうすぐ提出期限ですよ!」
 
唯「まだ手付かずですすいません……」

梓「もう!そんなんじゃ単位落としますよ!
  ほら、手伝いますから早く終わらせますよ」

唯「おおっ!さっすがあずにゃーん」ぎゅー

梓「はーなーれーてーくーだーさーい」



185 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:58:07.67 ID:QNBPIm/xo

―― 7月

梓「先輩、この洗濯物ちゃんと畳めてませんよ」

唯「えー、出来てると思ったんだけどなぁー」

梓「出来てません。ここの袖の端、折れちゃってるじゃないですか」

唯「これぐらいいいじゃーん」

梓「ダメです。やり直し」

唯「ちぇーー!あずにゃんのいけずー!」



186 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 00:59:39.82 ID:QNBPIm/xo

―― 7月7日

唯「ただいまー」

梓「おかえりなさい先輩。あれ?その竹どうしたんですか?」

唯「ムギちゃんに分けてもらったんだよ。今日七夕だもんね」

唯「だからさ、飾り付けしようよ!ね?」

――

唯「どう?出来たかな?」

梓「こっちは終わりましたよ」

唯「短冊いっぱい付けたねぇ」

梓「そうですね」

唯「それじゃあさ、一番大きいこの短冊、2人分の願い事書こうよ」

梓「はいっ!何にしましょうか……そうだ!」

 カキカキ

梓「よし、出来ました!」

唯「じゃあこれは一番目立つ場所に……っと。完成だね!」

梓「綺麗ですね」

唯「うん」

梓「あの短冊の願い事、叶えばいいですね」

 【少しでも長く一緒にいれますように ゆい&あずさ】



187 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:00:54.90 ID:QNBPIm/xo

―― そして夏

唯「あずにゃーん、憂からスイカ貰ってきたよー」

梓「丸々1個ですか。太っ腹ですね憂も」

唯「早速食べようよー」

――

梓「唯先輩、何で真ん中だけ食べてるんですか?」

唯「私ね、スイカの真ん中の種の無い場所だけ
  くり貫いて食べるのが夢だったんだよぉ」

梓「お行儀悪いですよ……」

唯「あずにゃんもやろうよー」

梓「やりません!」

―― 8月初頭・部室

梓「律先輩に唯先輩、それに純も!
  もうすぐ予選なんですよ!お茶ばかり飲んでないでいい加減練習しましょうよ」

純「今は暑いからもう少しして涼しくなってからね。
  梓もカッカしてると余計暑苦しくなるよ」

梓「カッカさせてるのはどこの誰よ」

律「そうそう、分かってるじゃん純も。
  こんな暑い中やっても身が入らないってもんだ。おー冷茶うめー」

澪「ったくこいつらは……結局唯もいつもの唯だし……
  お前等もっと真面目に出来ないのか」

唯「ほぇー?なにーみおちゃーん」

紬「今日のおやつは信玄餅よー」

唯「わーい、ムギちゃん大好きー♪」

澪梓「頭痛い……」



188 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:04:22.94 ID:QNBPIm/xo

 月日が流れるのは早いもんでお盆がやってきました。
 コンクールの予選は来月、いよいよ練習も大詰め。
 というわけで毎年恒例の夏合宿にやってまいりました。

律「さあ、泳ぐぞー!」

唯「泳ぐぞー!」

澪「だーっ!お前等練習しに来たんじゃなかったのか!」

 この光景も毎年恒例のお約束、今年で見納めになるかもしれないけどね……

純「ねえ梓」

梓「何?純」

純「軽音部って今までずっとこんな合宿やってたの?」

梓「そうだけど?」

純「くっそーっ!羨ましーーっ!」

梓「練習なんてほったらかしで海水浴して、バーベキューして、
  花火とか肝試しして、結局練習に割く時間なんてほんのちょっと。
  
  いい加減でだらけてると思ってたけど
  今じゃいい思い出だし大切な時間なんだよね」

梓「だからさ、純も遊ぼ!いっぱいいっぱい思い出作ろうよ!」

純「もっちろん!そうと決まれば行くぞーあずさー!」

梓「ちょっ、待ってよ純」

唯「おーい、あずにゃんに純ちゃーん、こっちこっちー」



189 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:08:03.04 ID:QNBPIm/xo

 あっという間に日は暮れて海水浴の後は
 バルコニーでバーベキュー、次に海岸で花火大会。
 
 練習する為にスタジオに入ったのは
 結局夜の10時を廻ろうとしている頃、1回通しただけで終わっちゃったけど
 この人達元々本番に強いし私自身も楽しかったから別にこれでよかったよね。

 夜も更けて今私は1人で露天風呂に浸かっている。
 ぼーっとただ空を見上げてのんびりとゆったりした時間を過ごしていた。

 ふと後ろで物音が聞こえた。
 誰か来たのかな?
 
唯「おおっ!あずにゃんもお風呂ですか、奇遇だね」

梓「唯先輩でしたか。先輩も1人でお風呂に?」

唯「そだよー」

――

唯「卒業旅行行けなかったし合宿も海外じゃなくなってごめんね」

梓「気にしてませんからいいですよ」

唯「卒業旅行行こうって話した時にさ、
  私達の分だけじゃなくてあずにゃんが卒業する時にも
  行こうって約束してたのに結局行けなかったから。
  なんか悪い事しちゃったみたいでね」

梓「いいんですよ。
  この体で海外なんて飛行機の中で何かあったら大変ですし、
  先輩方や純がいてくれれば国内でも十分なんです」

唯「そっか……」

梓「……星が綺麗ですね」

唯「……そうだね」

梓「こんな綺麗な夜空が見れるなんて
  やっぱりここに来て良かったです。最高の気分です」

唯「ねぇあずにゃん」

梓「どうしました?」

唯「ちゅーしよっか?」

梓「いきなり何なんですか……
  でも、やってみましょうか、誰も見てないし……」

唯「ほいじゃあいくね」

 私達は湯煙の中顔を近づけていく。
 もうすぐ唇が当たりそうになった時だった、
 何故か思わず吹き出してしまった。
 
唯「どしたの?いきなり笑っちゃったりしてさ」

梓「いえ、なんか急におかしくなっちゃって……ぷふっ」

唯「変なあずにゃーん」

 3度目のキスシーンは
 こうして立上り消えていく湯気の如く幻となったのでした。



190 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:09:41.63 ID:QNBPIm/xo

 この日は疲れも溜まっていたせいもあって
 布団に入ったらすぐに寝てしまった。
 
 だけどこの日は珍しく夜中に起きてしまった、
 いつもなら一度寝たら朝までグッスリなのに。
 
 ふと隣の布団に目をやると、
 そこで寝ている筈のあずにゃんの姿がない。
 
 眠い目をこすって辺りを見回してみる。
 月の光が差し込んできていて、かすかに明るい室内を見渡すと
 窓のカーテンが風でなびいているのが目に入る。
 
 どうやらわずかに開いていてそこから隙間風が入ってきているぽい。
 確かこの窓の向こうはバルコニーだったかな……ちょっと見に行ってみよっと。



191 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:10:42.00 ID:QNBPIm/xo

 外は夏なのに涼しい風が吹いていて少し肌寒い。
 そんな空の下、バルコニーに置いてある木製のリラックスチェアから
 見慣れた人の後頭部が見えた。
 
 何をしてるんだろう……眠れなくて外の空気でも吸ってるのかな。
 でも薄着でこんな場所にいたら風邪ひくよ。
 私はそんな心配をしつつも後ろから近寄って声をかけようとしていた。



192 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:14:14.98 ID:QNBPIm/xo

唯「あーっず……」

 言いかけた私の口が止まる、なにか変だ。
 よく見るとあずにゃんの肩が震えている、どうしたんだろ。

梓「――たくない…」

唯「あずにゃん、どうしたの?」

 恐る恐る声を掛けて顔を見ると、
 充血した目に大量の涙を浮かべて
 今にも零れ落ちそうになっているあずにゃんの姿があった。

梓「死にたくないよ……まだ死にたくないよぉ……」

唯「あずにゃん……」

梓「うっううぅ……唯先輩……唯せんぱあぁぁい!……ぁああぁぁあぁぁ!」
 
 あずにゃんは泣きながら私の胸に飛び込んできた。
 胸に顔をうずめて私を強く抱きながらひたすら泣きじゃくっている。
 私は何も言わず、ただ笑顔であずにゃんをそっと抱きしめてあげた。

 うん、分かってるよあずにゃん……私は全部分かってるから……
 みんなとお別れするのが辛いんだよね?
 
 今の私に出来る事はこうやって抱きしめてあげる位しかないけど、
 それでよければ好きなだけこの胸を貸してあげるよ。
 
 いつの間にか私の目も涙で潤んでいた。
 嗚咽し続けるあずにゃんをより強く抱きしめる



193 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:14:58.28 ID:QNBPIm/xo

 私は怖かった、寂しかった。
 死ぬことが痛いからとか苦しいからとかじゃない。
 ちょっと前までは1人で死ぬのに何も抵抗は無かったのに
 今じゃとても怖い、また1人に戻ってしまうのが怖い。
 大好きな人達ともう2度と会えなくなってしまうのが何よりも辛い。

 だから私は生きたい。
 もっともっと、生きたい。
 私は今、世界で一番幸せなんだから 
 
 第5話 終



194 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 01:22:54.20 ID:QNBPIm/xo

今日はここまでにして寝ます。
途中あずにゃんの後輩キャラをあえて作らず
無理矢理地の文で誤魔化そうとしたけど
かなり無理があったかもしれません。

次何か書く時用に地の文書く練習しないと…
ちなみに次回は最終回です。




195 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/13(水) 07:15:53.46 ID:DYk/+q0DO


悲しいけど読んでるよ



196 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/04/13(水) 11:03:49.96 ID:ijO9fr2V0

このSSなんで評価されてないん 真面目すぎるからか…?
こういうの大好きだ >>1頑張れ





197 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県):2011/04/13(水) 22:50:58.29 ID:+mvlBbuio

それでは投下いきます。
今日中に終わるかな?

>>195
書いてる本人まで切なくなってくる困ったSSです
>>196
一応書き溜め分はほぼ終わってるのであとは落とすだけの簡単な作業です



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梓「Have A Good Die」#第5話
[ 2011/04/21 20:21 ] シリアス | | CM(0)

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