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純「超能力に目覚めちゃった」#後編 【SF】


http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285382133/

純「超能力に目覚めちゃった」#前編
純「超能力に目覚めちゃった」#後編




管理人:エロ少しあります。閲覧にはご注意下さい。




66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:22:04.08 ID:g73tFaXFO


 お姉ちゃんの高校には購買部があるらしいけど、
 
 中学校にはもちろんそんなものはない。

 それゆえ、お弁当を忘れればお昼ごはんは抜きだ。

「純ちゃん……助けて下さい」

「どうしよっかな?」

「純さん」

「懐かしい韓国ドラマみたいな呼び方はやめようよ」

「純ちゃん」

「いいよ。私のパン分けてあげる」

 にこっと純ちゃんが笑う。

 私の親友は時として、女神のような慈悲を見せる。

「ほんとにありがとう、純ちゃん」

「気にしないでって」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:26:44.86 ID:g73tFaXFO


――――

 想定外のミスを乗り越え、私はあんパンをかじっていた。

「ほえにひてもは」

 お弁当のご飯を口に押し込みながら、純ちゃんはもごもごと声を発する。

「え?」

「んっ……それにしてもさ。憂ってほんと優しいよね」

 私が訊き返すと、咀嚼して飲み込んでから純ちゃんは言った。

 なんだかちょっと流れの汲めない言葉だ。

「純ちゃんのほうが優しいよ?」

 私はあんパンを持ち上げて微笑んだ。

「そうじゃなくってさぁ……」

 純ちゃんは声を落として、私に接近した。

「なんで私を殺せないの?」



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:30:31.62 ID:g73tFaXFO


 胸の深奥に、得体の知れないものがじわりと湧いた。

「……やめてよ」

「私を殺さないと、お姉さんを殺されちゃうよ?」

「お姉さんのこと好きじゃないの?」

 純ちゃんを睨みつける。

 私の顔が見えていないんじゃないかと思う程、
 
 余裕たっぷりの表情。

「やめてって言ってるの」

 体の中を渦巻くこれは、殺意だろうか。

 それとも私の知らない何かだろうか。

「私はけっこう真剣にやってるんだけどな。
 憂も真面目にやってくれないと困るよ」

「困るって、憂自身が困るって事だよ?
 死ぬのは憂のお姉さんなんだから」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:34:05.13 ID:g73tFaXFO


「……なんでこんなことするの?」

「だから、憂を手に入れたいんだよ。
 というより、ひとり占めしたいって感じ?」

 純ちゃんの言葉の意味がわからない。

 私の心がいっそう激しく暴れ出す。

 なにか恐ろしい。自分で自分を抑えられる気がしない。

「あれ……憂、まさか?」

 強い脈動を感じる。新しい生命体の誕生を想起させる感覚だ。

 純ちゃんが私の目を見ている。
 
 ブラウンの瞳に、私の顔が映っている。

 私の瞳が、きらりと光った気がした。

「……」

「く、ぷくくっ」

 次第に心が静まっていく。

 純ちゃんが笑っているのがわかった。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:37:13.03 ID:g73tFaXFO


「純ちゃん、いま、なんか……」

「ふふ、ほんと憂って……あははっ」

 純ちゃんの笑いは、いつもと違っていた。

 楽しんでる笑いじゃない。
 
 なにかを心から追い出すような、やけくその笑い。

「うんうん、なるほどね。こりゃ本当に私も頑張らないと」

「ねぇ……」

 純ちゃんが何を思っているのか分からない。

 それに、さっきのは一体何だったんだろう。

 不思議なほど心が落ち着いているのも不気味だ。

「……バカにしてごめん。憂にも私は殺せるよ」

「……」

 私は純ちゃんを攻撃したんだろうか。

 純ちゃんの持っているような不思議な力を使って。



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:40:45.90 ID:g73tFaXFO


 きっと、そうだった。

「無理……無理だよ」

 私には純ちゃんを殺せない。

 殺したくない。

「もうやめてよ……無理なの」

 私はあんパンを掴んで、教室を飛び出した。

 純ちゃんが後を追ってくる気配はなかった。

 階段を駆けあがって、人のいない4階までやってくる。

「はぁ、はぁ……」

 廊下の隅で膝を抱えた。

 息が上がっている。走ったせいだけではない。

「私、純ちゃんを殺そうとした……」

 足元から震えが這いあがってくる。



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:45:11.24 ID:g73tFaXFO


「下手したら、ほんとに殺してた……」

 今朝包丁を持って行った時は、
 
 どこかで純ちゃんが改心してくれると信じていた。

 殺そうなんて考えていただけで、
 
 実際に殺せるわけがなかった。刺せるはずがなかった。

 純ちゃんだって私の大事な親友なんだ。

 でも、さっきの私は違った。

 訳も分からないままに、純ちゃんを超能力で攻撃していた。

 感情の高ぶりで殺そうとしてしまった。

 私の超能力が、もっと直接的に危害を加えるものなら、
 
 純ちゃんは死んでいた。

 包丁を持っていたなら殺していた。

「……」

 潰れたあんパンをかじる。

 つぶあんの甘味が口に広がる。

 純ちゃんに恵んでもらったあんパン。

 純ちゃんに助けられた記憶。



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)15:46:59.22 ID:g73tFaXFO


「……」

 体が震える。

 私はさっきの行動を忘れようと、必死に頭を叩く。

 それでも頭が揺れるだけで、
 
 忌まわしい記憶はべったり張り付いて剥がれない。

――――

 学校は早退してしまった。

 風呂桶に水を張り、水面をぼんやりと眺めていた。

 時間の経つのが遅い。

 先に晩ご飯を作っておこうと思う。

 食材を切って、鰹ダシの中に放り込む。

 安定したコンロの火を見つめていると、奇妙な感覚が湧きあがってきた。

「……ふっ」

 青い炎が大きくなる。



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:00:03.28 ID:g73tFaXFO


「……」

 右の掌に炎を引き寄せる。

 炎はゆらめきながら、手の中で球体に整っていく。

「……なるほどね」

 少し前の映画で見た記憶がある。

 種火さえあれば、好きなように炎を操れる能力を持った男の人。

 多分、だいたいそれと似たようなものだ。

 私はコンロの火を消して、鍋の周りに火を置いた。

「うん、お得だね」

 自分をたしなめるように頷く。

 そんな小さなことのための力じゃないことぐらい分かっている。

 これは、人を殺すための力だ。



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:04:56.31 ID:g73tFaXFO


 ポケットに入れていた携帯が震えた。メールが来たときの振動だと分かる。

 暖まった手で携帯を開く。送り主は純ちゃんだった。

 文面は、短く二行。

『結局殺しに来なかったね』

『それじゃあ、本気出すから』

 背筋に寒気が走る。

「ただいまー!」

 同時、お姉ちゃんが玄関の扉を開けた。

 私は玄関へ走って、靴を脱ぎかけたお姉ちゃんの手を掴む。

「お姉ちゃん、急いで! あれがすぐ来る!」

「えっ、えっ?」

 お姉ちゃんを片足でぴょんぴょん跳ばせながら、お風呂場へと連れていく。

 ためらいもなく制服を剥き、浴場に押し込む。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:07:12.97 ID:g73tFaXFO


 キッチンへ行くと冷蔵庫から氷を全て取り出し、
 
 タライに乗せて持ち上げる。

「う、あああああっ!!」

 お風呂場からお姉ちゃんの絶叫が響く。

 足に力を込めて、お姉ちゃんのもとへと急ぐ。

「うい、熱い、熱いよぉっ!!」

 お風呂場に入ると、タイルの上でお姉ちゃんがぐったりしていた。

 真っ赤な肌は、火傷しそうなほどに熱くなっていた。

「お姉ちゃん、しっかりして!」

 私はミトンが欲しいのを我慢して、お姉ちゃんを抱き上げて浴槽に座らせる。

 タライの氷を流し込み、首や脇の下にすりつけてあげる。

「はぁ、はぁっ……!」

 お姉ちゃんの息はまだ上がったままだ。

 体温を測るまでもない。お姉ちゃんは命の危機に瀕している。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:11:30.03 ID:g73tFaXFO


 私はキッチンから食塩を袋で持ってきて、水に振り落とす。

 微々たるものではあるが、これでも吸熱効果がある。
 
 使わないよりはマシだった。

「う、うい……」

 息も絶え絶えに、お姉ちゃんが私の名前を呼ぶ。

「大丈夫、お姉ちゃんは私が守るから」

「うい、大好きだよ……」

 お姉ちゃんにはもう、私の言葉は聞こえていないのかもしれなかった。

 虚ろな瞳に私は映っていない。

「お姉ちゃん、いまアイス持ってくるから!」

「えへへ……」

 昨日の分のアイスは残っている。
 
 使えるものは全て使わないと、お姉ちゃんを助けられない。



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:15:32.58 ID:g73tFaXFO


 アイスはまだ20本ある。

 私は袋を破って、お姉ちゃんの口にアイスを近づける。

 お姉ちゃんの吐く息が手にかかる。
 
 肌を灼くような熱さでアイスが溶けていく。

「ほらお姉ちゃん、アイスだよ」

「ん……」

 アイスを唇に触れさせると、お姉ちゃんは反応をみせた。

 大きく開けた口にアイスを入れてあげる。
 
 頬の内側に触れさすと、お姉ちゃんが口を閉じる。

「ん、ふ」

 次のアイスの袋を破っておく。

 お姉ちゃんの首筋に触れてみるけれど、体温が下がった感じはしない。

「……っ」

 私はお姉ちゃんの体を見つめた。

 まだ、出来る対処はある。



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:20:12.35 ID:g73tFaXFO


 私はアイスの表面に付いた霜を手で取り、ねっとりと唾で濡らした。

「う、い……?」

「お姉ちゃん、ごめん……」

 冷水に手を突っ込み、お姉ちゃんのお尻を持ち上げる。

 アイスの先端を、お姉ちゃんの入り口にそっと当てがった。

「あ、うい……やだ、うそだよぅ」

「……ごめん。どうしてもお姉ちゃんを助けたいの」

「うい……」

 お姉ちゃんはごくりと唾を飲んだ。

 口に入れていたアイスはもう溶けてしまっているらしい。

「わかった、いいよ……私のことは気にしないで」

 覚悟を決める。

 私はせめてゆっくりと、お姉ちゃんの中へとアイスを沈みこませていく。



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:25:17.23 ID:g73tFaXFO


「う、ン……」

 お姉ちゃんは歯を食いしばって、必死に痛みをこらえていた。

 破瓜だけじゃない。塩水がしみて、耐えがたい痛みになっているはずだ。

「く、あ……!!」

「お姉ちゃん、大丈夫!?」

「うん、く……平気。冷たいよ」

 どうやらお姉ちゃんの処女膜はあまり傷つけずに済んだらしく、

 水の中にはほんの少しばかりの血が漂っているだけだ。

「お姉ちゃん……」

「うい、もっとお願い……」

「……分かった。お姉ちゃん、次のアイスくわえてて」

 私は次々とアイスの袋を破り、棒を捨て、
 
 お姉ちゃんに上から下から前から後から食べさせる。



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:29:26.38 ID:g73tFaXFO


 お姉ちゃんの体にこもった熱が、少しずつ抜けていくのが分かる。

「……どんな感じ? お姉ちゃん」

「すごい……楽になってきた」

 肌は赤いし、息も荒いけれど、最初に比べればかなり落ち着いている。

「……あれ? うい、携帯鳴ってない?」

 お姉ちゃんが私のエプロンを見つめて言う。

 目をやると、ポケットに入った携帯が振動していることに気付いた。

「メールだ……」

 濡れた手で携帯を開く。

 もとより携帯の入っていたエプロンもびしょぬれなので、
 
 さしたる問題ではない。

 メールの送り主は、やはりというべきか純ちゃんだった。

『つかれた』

 ……こっちのセリフだ。



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:33:25.02 ID:g73tFaXFO


「どうしたの?」

「なんでもないよ。純ちゃんからだった」

 お姉ちゃんにもメールを見せる。

「あはは、ほんとに何でもないね」

 無邪気に笑うお姉ちゃん。疑った様子は見られない。

 私は立ちあがると、お風呂場を出てタオルで携帯についた水を拭きとる。

 防水機能つきの携帯に買い替えなければ、とは思わなかった。

「お姉ちゃん、そろそろ大丈夫じゃない?」

「あ、そうだね! いつの間にか冷えてきてるよ!」

 お姉ちゃんは氷のすっかり無くなった水風呂から立ちあがろうとする。

 けれど、腰が抜けているのかよろけてしまって、
 
 浴槽のへりにしがみついた。

「……うい、最近私たちなんだか凄いことしてるね」

 私は無言でお姉ちゃんの体を浴槽からすくいあげた。



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:37:22.92 ID:g73tFaXFO


「お姉ちゃん、まずは体を拭かないと……」

「うん、風邪ひいちゃうもんね……」

 どうしてだか、お姉ちゃんとの会話が続かない。

 しっかり背中も拭いてね、
 
 とかそういえばヘアピンついたままだね、とか、

 言葉はいろいろ浮かぶのに口から出てこない。

「うい……」

 お姉ちゃんが私の名前を呼んだ。

「……私のこと、好き?」

 大判のバスタオルが、
 
 擦れあってぶつかり合ってバサバサ言っている。

 私は息を吸った。

「好きだよ。大好き」

 お姉ちゃんはより大きく息を吸った。

「……それは、どういう意味で?」



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:51:00.44 ID:g73tFaXFO


 タオルの擦れる音は聞こえなくなっていた。

 耳がきーんとして、お姉ちゃんの息遣いしか聞こえない。

 この耳はいま、お姉ちゃんのためだけにあるらしい。

「……なんて言ったらいいのかな」

「いいよ、憂の言葉で言ってみて」

 お姉ちゃんの手が私の頭に乗っけられた。

「……私は、お姉ちゃんに恋してる」

「そう……なんだ」

 お姉ちゃんは私の耳、頬、首筋と撫でていって、
 
 最終的に肩に手を置いた。

「ねぇ、憂……姉に恋するって、どんな感覚?」

「……分かんない。
 私はお姉ちゃん以外に恋したことがないから、これが恋なんだって思ってる」

「ふうん……」

 お姉ちゃんの手が、私の首筋から頬へと戻ってくる。



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)16:55:39.52 ID:g73tFaXFO


「憂はずっと私のことが好きだったんだ」

「うん」

 幼稚園のころから、おぼつかない恋心を育ててきた。

 いつも一緒にいるから、
 
 勝手に揺るぎないものになっていただけとも言えるけれど。

「私は……どうなんだろう」

「どう、って」

「けっこう色んな人に恋をしてきたと思う。男の人にも女の人にも」

「それから、妹にも」

 お姉ちゃんは私にゆっくりと近づいて、きつく抱擁した。

「私はいま……憂に恋してたときの気持ちを思い出してるような気がする」

 お姉ちゃんの声が耳元でする。

 今までずっと分からなかった、例のクセの原理が理解できる気がした。

 これ、すごくキスしたくなる。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:00:15.88 ID:g73tFaXFO


「うい、守ってくれてありがとう」

「憂がいなかったら、私は今頃……」

 お姉ちゃんの話は聞いている。

 でも、ちょっとまだるっこしいと思った。

「あ、う、うい……」

 私はお姉ちゃんの頭を抱きしめて、私と向き合わせた。

 目が合ったお姉ちゃんの表情は、
 
 困惑したような、興奮したような、分かりにくい表情。

「ちゅ……」

 やっぱり、お姉ちゃんみたいに上手には出来ない。

「ん、はぁ……」

 唇を離した。すぐに息が苦しくなってしまう。

 いつもどんな風にしてもらっていたっけ。



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:05:18.79 ID:g73tFaXFO


「うい……」

 お姉ちゃんの瞳がとろけている。

「あぁ……うい、好きだよぉ。好きになっちゃったよぉ」

「姉妹なのにな……いけないね、こんなの。んぅっ」

 大人みたいなことを言いながら、お姉ちゃんは私に口づける。

「ん……」

 頭の中で気泡が弾けるかのように、痺れが広がっていく。

 やっていることは変わらない気がしたけれど、
 
 お姉ちゃんにされると頭がおかしくなる。

「はああぁ……ん、うぅ」

「ちゅ、ちゅぅ……んむ」

 要するに私はマゾってことなんだろうか。

 なんか納得いかない。



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:09:57.65 ID:g73tFaXFO


「は、あ……」

 思わず舌が出る。

 お姉ちゃんは少し驚いた顔をしたけれど、
 
 すぐに私の舌を口内に招き入れ、楽しげに舌を絡めだす。

「あ、ふあぁっ!」

 私の舌とぐちゃぐちゃ触れ合うお姉ちゃんの柔らかで温かな舌。

 否応なしに体が反応してしまう。

「ふむ、ふむぐぅっ! ひゃ、おねえひゃっ」

「憂、おいふぃ」

 お姉ちゃんが短く放つ言葉が、脳髄に響く。

 私はお姉ちゃんに舌をむさぼられながら、
 
 ショーツを愛液でぐしょぐしょにしてしまう。

「かわいいよ、うい……」

 優しく髪を撫でられる。

 私は吸われつくした舌でお姉ちゃんの唇をべろべろ舐めながら
 
 、愛の言葉をつぶやき続けた。



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:13:15.33 ID:g73tFaXFO


――――

 深い深い夜。どこかから梟の鳴くような声がする。

 私は100円ライターを忍ばせ、街灯が白く照らす道を歩いていた。

 向かう先は純ちゃんの家。

 私は、殺意という物が本当は静かなのだと感じた。

 夜道に私の足音だけが響く。

 深夜2時は、私の心と同化していた。

「……」

 純ちゃんの家に到着する。

 私が移動していることに超能力で気付いたんだろう、
 
 純ちゃんの部屋は明かりが点いていた。

 門の前で睨みあげていると、玄関の鍵が開けられた。

 私は黙って玄関を開けて押し入る。

 そしてライターの火を灯し、小さく縮めて隠した。



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:17:45.31 ID:g73tFaXFO


 階段を上がって、純ちゃんの部屋の戸を開ける。

「おっす」

 始まったばかりの野球漫画のコミックス1巻を読みながら、
 
 だらけた姿勢で純ちゃんは待っていた。

「こんばんは、純ちゃん」

「まぁ座ったら?」

「いいよ。すぐ帰るし、
 これから私が死なせる人の座椅子を使うなんて嫌だもん」

 私は壁に寄り掛かって腕を組む。

「純ちゃん……お姉ちゃんを苦しめたね」

「苦しめるっていうか……私は殺すつもりだったんだけどね」

 どっちだろうと大した違いはない。

 苦しめようが殺そうが、
 
 お姉ちゃんにそんなことをした人間を私は許さない。

「……最後に、なんでこんな事をしたのか聞かせて欲しいんだけど。
 いいかな。純ちゃん?」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:21:11.55 ID:g73tFaXFO


 純ちゃんはくすりと自嘲気味に笑った。

「そっか、最後か。それなら話してもいいかな」

 ぎしりとベッドを軋ませて立ち上がると、
 
 純ちゃんは私の横に並んで壁に寄り掛かった。

「……憂を試したかった。憂が私とお姉さん、どっちを選ぶのか、ね」

「なにそれ?」

「私、憂に憧れてたんだ。天才の憂に」

 また、天才。

 けれど否定はしない。

 私は超能力に目覚めて、
 
 とうに完璧に扱えるようになっているから。

 純ちゃんが毎日しっかり鍛えていたものを、
 
 あっというまに使いこなしてしまったから。

「それと同時に妬ましかった。
 だから……憂がなんにも出来なくなるように、お姉さんを殺そうと思った」



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:25:19.91 ID:g73tFaXFO


 特別な感慨は湧かなかった。

 かつて、純ちゃんを友達と思っていた記憶はない。

 人を殺すために越えなければいけない関門。
 
 抱かなければならない激情。

 私は、殺意と殺人の境界線を踏み越えている。

「純ちゃんってワガママだね」

「……相手が憂じゃなかったら、こんな風には思わなかったよ」

「憂がどんどん遠くに行っちゃうから。
 このままじゃ憂が私を見てくれなくなる気がしたんだよ」

「バカだね。そんなことしなくても、私は純ちゃんの友達でいたよ」

「へへ……本当にバカだと思う」

「何より、憂にとってお姉さんと私を天秤にかけたときに」

「私の方に傾いてくれるんじゃないかって少しでも期待したあたりがバカだよね」

 純ちゃんがほうっと息を吐く。

「そりゃそうだよね……私とお姉さんだったら、憂は絶対に私を殺すって」

「ほんとにバカだった」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:29:14.38 ID:g73tFaXFO


「……」

 私は純ちゃんの横顔を見た。

「反省、してる?」

 純ちゃんが眉をぴくりと動かした。

「ちゃんと反省して、
 もうお姉ちゃんにあんなことしないなら、私も……」

「……憂。憂がそうやって迷うから、お姉さんは苦しんだんだよ?」

「今日のうちに私を殺さないから、私はどんどん調子に乗った」

 そうかもしれない。

「だけど……」

 私は頭の隅で思う。

 純ちゃんを殺してしまったら、
 
 やっぱり後悔することになるんじゃないか。

 あんパンの味を思い出す。



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:33:13.66 ID:g73tFaXFO


「私は純ちゃんを信じたいよ。人殺しなんてしないって」

「……」

「純ちゃん……もう、やめよう?」

 私は何を言っているんだろう。

 純ちゃんを殺しに来たはずなのに。

 私は意志薄弱すぎる。気持ちがコロコロ変わっているのを自覚する。

 お姉ちゃんがどれだけ苦しめられたか、忘れてしまったのだろうか。

「殺すとか殺されるとか……おかしいよ」

「まぁ少年犯罪とか増えてるって言うし」

「だからって、私たちがそんなことする必要ないよ。友達でしょ?」

「憂……」

 純ちゃんと目が合う。

 瞳がきらりと輝いた気がした。



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)17:37:40.94 ID:g73tFaXFO


 純ちゃんはずるずると座りこむ。

「友達で……いいの?」

「すごく難しいかもしれないけど……私は純ちゃんと友達でいたいよ」

 隠しておいた炎がいつのまにか消えていた。

 純ちゃんの目がきらきら光る。

「うい……」

 私もゆっくりと座りこんだ。

「あんたって、ほんとに……バカだよ」

「純ちゃんに言われたくないなー」

 私はくすくすと笑う。
 
 けれど、純ちゃんは涙を光らせたまま表情を固くしていた。

「……憂っ、急いで」

「え?」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:00:01.98 ID:g73tFaXFO


「お姉さんの温度がおかしいんだ……
 教えないつもりだったけど、やっぱり……!!」

 純ちゃんは涙を散らして、私の体を揺さぶった。

「どういうこと……?」

「分からないよ!
 けど、憂の家で何かが起こってるのは間違いないんだって」

「私の自転車貸すから、すぐ戻って!」

 純ちゃんは迷惑もかえりみずドタドタと机まで走って、
 
 自転車のカギを投げて寄越した。

 取り落としそうになりながらどうにか受け取って、
 
 私は階段を駆け降りる。

 状況は飲みこめていなかった。

 それでも今はとにかく走る時だと、本能が告げてくる。

 外に出て、純ちゃんの自転車に飛び乗った。

 お姉ちゃんに触れられた記憶が、焦りの奥でパチパチいった。



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:05:07.10 ID:g73tFaXFO


 自転車をがしゃがしゃ漕いで、私は息を切らす。

 だんだん、向かいの空が赤くなってきた。

 朝が来る時間じゃない。

 私は不安に暴れる心臓を抑えつつ、自転車を漕ぎ続ける。

「……!!」

 たどり着いた私の目に飛び込んだのは、炎に包まれた我が家だった。

「憂ちゃん、憂ちゃん」

 野次馬の中から、お隣の一文字おばあちゃんがよたよた歩み出てきた。

「外にいたんだね、よかった……」

「お姉ちゃんは……?」

「……分からないよ。でも、もうすぐ消防士さんが来てくれるから」

 つまり、中にいるかもしれないってことだ。

 私はおばあちゃんを押し退けて、玄関へと駆けていく。



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:10:50.59 ID:g73tFaXFO


 私は手を開いて念じる。

 けれど、炎が大きすぎるのか、
 
 私の超能力ではコントロールしきれないらしい。

「憂ちゃん、こっち戻っておいで!」

 それなら仕方ない。

 私は赤熱するドアノブを一瞥すると、息を止めてドアを押し開けた。

「っ……」

 熱風が噴きだしてくる。

 全体をチロチロと赤い炎が食んでいて焦げ臭い。

 息を吸うと喉が焼ける。炎は避けられても熱気は避けられないらしい。

 お姉ちゃんは3階の寝室だろうか。

 階段はところどころ崩れていたけれど、
 
 熱ささえ我慢できれば問題なく上がれた。

 舐めてくる炎を払いながら、
 
 肌がじりじり灼ける感覚に歯を食いしばりながら、
 
 お姉ちゃんの部屋の扉を開ける。

 視界が一瞬、金色に光る。

 お姉ちゃんの部屋にはびこっていた炎が消え去った。



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:15:47.56 ID:g73tFaXFO


 割れた窓から、2月終わりの風が吹き込んでくる。

 私は焼け焦げたカーペットを溶けた靴底で踏みながら、
 
 お姉ちゃんのベッドに近寄った。

 ベッドの上は、まるで別世界のようだった。
 
 焼け痕もなく、お姉ちゃんが苦しげに胸を上下させている。

「お姉ちゃん……」

「……」

 炎がガタガタとドアを叩いてやかましい。

 お姉ちゃんの声が聞こえなかった。

「何? お姉ちゃん」

 ひざまずいて、お姉ちゃんの口元に耳を寄せる。

「うい……来てくれたんだね」

「うん。お姉ちゃん、無事みたいだね」

 キスしたい気持ちはさすがに抑えて、私はお姉ちゃんの髪を撫でる。

「でも、なんで……?」



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:20:18.78 ID:g73tFaXFO


「分かんない……目が覚めたら、もう火の海だったんだけど」

「私のベッドまでは火が上がって来なかったんだよ。どうしてかなぁ」

 どうなっているんだろう。

「不思議だね……でもお姉ちゃんが無事ならいっか」

 私はお姉ちゃんを撫でようとしてやめる。

 今の私はススや火傷だらけで、ひどく汚れているのだ。

「……憂、その手の火傷」

「あ、うん……来る時にちょっと」

 さっと手を後ろに隠す。

 ただでさえ疲れているお姉ちゃんに、余計な心配をかけさせたくなかった。

「でも全然平気だよ?」

「大丈夫なことないよ、あとでお医者さんに診てもらわないと……げほっげほっ」

 お姉ちゃんは表情を厳しくして言うと、突如激しく咳きこみだした。



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:25:08.60 ID:g73tFaXFO


「お姉ちゃん!?」

「ウ゛ン……焼けはしなかったけど、
 部屋の中熱くって。ちょっと、喉が……」

「お姉ちゃん、喋っちゃだめだよ。救助が来るまでじっとしてよう」

 私はお姉ちゃんの背中を撫でて落ち着ける。

 お姉ちゃんはこくこく頷いて、しなだれた。

――――

 あれから数分と経たずサイレンが聞こえ、
 
 私たちは屈強な消防隊員に救助された。

 外傷のみの私に比べ、
 
 喉を火傷してしまったお姉ちゃんはしばらく入院することになった。

「家はほとんど全焼だって」

『それじゃあ憂はどうしてるの?』

「ひとまずお父さんたちが帰るまでは
 一文字おばあちゃんの家にご厄介になってるんだ」

「お姉ちゃんと一緒に入院したかったけど……しょうがないよね」

『てれますなぁ』

 喉を火傷しているお姉ちゃんは
 
 会話を禁止されているので、筆談で私と話している。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:30:31.63 ID:g73tFaXFO


 きゅっ、とマジックペンの筆先がスケッチブックを擦る。

 この音とシンナー臭さをお姉ちゃんは嫌がっていたけれど、
 
 いまではすっかり慣れてしまったようだ。

 たくさんお話ししてるからね。

『うい、だいすき』

「お姉ちゃんてば……」

 私は赤面して俯いた。

 お姉ちゃんと私は、あの日の夜から結ばれている。

 純ちゃんが本気を出したというあの夜だ。

 言うなれば、私たちは純ちゃんのおかげで結ばれたわけだ。

 だって、あんなことが無ければ
 
 お姉ちゃんにのしかかってキスされることも、

 お姉ちゃんの処女をアイスで奪うこともなかっただろうから。

 そしてそれらのことが、
 
 お姉ちゃんに私への恋心を思い出させ、熱くさせていったのだから。

 いや、お姉ちゃんの言い分はそうじゃなくて、
 
 「私が守ってくれたから」なんだけれど。



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:35:12.85 ID:g73tFaXFO


 とにもかくにも、
 
 結果的に私とお姉ちゃんのキューピットとなったのは純ちゃんなのだ。

 冷静に考えれば、
 
 私はそんな大恩人を手にかけようとしていたということになる。

 あそこで考え直せていなかったらと思うと恐ろしい。

「もう……怪我人は寝てなきゃだめだよ!」

「む……」

 お姉ちゃんが寂しげな目をして、ちょいちょいと手招きする。

「なあに……?」

 私は無警戒に、お姉ちゃんの口元に耳を近づける。

 お姉ちゃんが呼吸している。空気の動きが聞こえる。

「うい……愛してる」

 私はきょとんとして、お姉ちゃんの顔を見返した。

 うるうるの瞳。ぷにぷにの頬。つやつやの唇。

 理性が抗う隙もなく、私はお姉ちゃんの唇に吸い付く。



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:40:12.06 ID:g73tFaXFO


「ん、ん……」

 三日ぶりのお姉ちゃんの唇。

 一心不乱にむさぼりつき、舌を差し込む。

「おねえひゃん、ひたふって、ちゅーってひて」

 体面などなかった。

 お姉ちゃんの口の中で舌をびちびちと暴れさせ、
 
 狂ったようにお姉ちゃんの舌を求める。

 びちゃびちゃと唾液が跳ねている。

「ん……」

 お姉ちゃんが私のリボンをするっと解いた。

 本当に病室でするつもりらしい。

 個室とはいえ、いつ誰が来るやら分からないのに。

 私は思考とは真逆に、お姉ちゃんと激しく舌を絡ませた。



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:45:05.46 ID:g73tFaXFO


「んっ、ふ……ずず、ちゅぱ」

 馬乗りになって、存分に舌を吸ってもらう。

 火傷したところが少し痛むけれど、
 
 快感のせいでしびれて分からなくなってしまう。

 血が出てしまわなければいいけど。

「憂さーん?」

 純ちゃんの声がする。

 私はお姉ちゃんの背中に手を入れてぎゅっと抱きしめると、
 
 さらに密着したキスをする。

「……終わったころにまた来ます」

「んっ、うん。そうして……あ」

 返事をして気付く。

 見られた。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:00:03.90 ID:g73tFaXFO


――――

「いやぁ、押しかけちゃってすいません……」

 純ちゃんはケンカを売りたいのか、
 
 頭のポンポンを解いて丸椅子に腰かけた。

 お姉ちゃんはぷるぷる首を横に振る。

『お見舞いに来てくれるのはうれしいよ』

「いえ、もともと火事になったこと自体、
 私のせいみたいなものですから」

「えっ……」

 お姉ちゃんが思わず声を発していた。

 私は少し離れた位置で黙りこくって、動向を見守っていた。

「……唯さんは、超能力って信じますか?」

『あったらいいなとは思うけど、無いんだと思うよ』

「もしあるとしたら、どうします?」

『分かんないなー。あっても多分私には関係ないだろうし』



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:05:03.57 ID:g73tFaXFO


 お姉ちゃんは世間話でもしているような態度だった。

 実際、まだお姉ちゃんにとっては
 
 友達と話すような面白おかしい話と大差ないんだろう。

「それが関係あるんですよ。非常に密接に」

『私に?』

「はい、唯さんにです。聞き苦しい話だと思うんですけど、聞いて欲しいんです」

 お姉ちゃんは顎を指先で揉んで、少し悩んでから頷いた。

『どういう話かわからないけど、聞かせてほしいな』

 純ちゃんは頷いて、たっぷり息をたくわえた。

「発端は、10日前です……」

――――

 純ちゃんは超能力のこと、
 
 私たちにあった騒動をお姉ちゃんに話した。

 お姉ちゃんは声を上げないようしっかり唇をしめて、
 
 一言一句もらさず真剣に聞いていた。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:09:25.98 ID:g73tFaXFO


 私は途中から廊下に出て待っていた。

 私が純ちゃんに抱いた憎しみ。

 それから、純ちゃんが私に抱いた憎しみを聞かされるのは、
 
 思っていた以上にこたえたのだ。

「……」

 夕陽が射す頃になって、純ちゃんがお姉ちゃんの部屋から出てきた。

 私は目をそらそうとしたけれど、
 
 純ちゃんは顔を覗きこんできて、結局しっかり目が合ってしまった。

「憂、やっぱりあんたは天才だよ」

 純ちゃんは私をまっすぐに見つめて言う。

 その瞳は、ずいぶん潤んでいるように見えた。

「……お姉さんと一緒でね。最高の天才」

「ありがとう。憂みたいなのが私の友達で……ほんとに嬉しい」

「……」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:13:01.89 ID:g73tFaXFO


 純ちゃんは床を鳴らし、去っていく。

「……私とお姉ちゃんが、天才?」

 私は目を閉じた。

 そして、細く長く息を吐く。

「よくわかんないよ……」

 私はお姉ちゃんの病室に戻る。

 お姉ちゃんは長い話で疲れてしまったのか、
 
 スケッチブックを抱いてすやすやと眠っていた。

「……」

 私はそっと、お姉ちゃんを起こさないようにスケッチブックを抜き取った。

『たぶんあれは、憂が助けてくれたからなんだ』

『そこにいなくても分かったよ。憂がいるのを感じた』

『これは超能力じゃないと思うけどさ』

 お姉ちゃんの言葉を、一枚ずつめくっていく。



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:16:50.31 ID:g73tFaXFO


『憂はすごくいい子なんだよ』

『天才かぁ。確かに憂に似合うかもしれないね』

『勉強とかお料理とか、その他もろもろでも超能力でもないよ』

『憂は人に優しくする天才なんだと思うな』

 私はお姉ちゃんの寝顔を見る。

 そして純ちゃんの言葉を思い出した。

「……」

 天才扱いも悪くない。

 私に宿った、お姉ちゃんを救える超能力と、人に優しくする才能だったら。

 ぜひ天才でありたいと思う。

 私はベッドに落ちていたリボンを取ると、髪をポニーテールに結びあげた。



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:26:31.09 ID:g73tFaXFO


 私は平沢憂。

 お姉ちゃんのひとりだけの妹で、恋人でもある。

 そして純ちゃんの親友。

 だいたい凡人だけど、人に優しくする天才らしい。


 憂という名前が表す通りに、人に優しくなってしまうらしい。

「お姉ちゃん。……でも、才能ってなにもしなかったら潰えるんだよ」

 私はお姉ちゃんの髪を撫でて、呟いた。

「ありがとう、お姉ちゃん。……純ちゃん」

 おしまい




144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:36:47.18 ID:G1BdRgl30

BADエンドの方が面白そうな展開だったのにな



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)18:46:02.99 ID:tXcZQ4EDO

純ちゃんが自分を犠牲にして…っていうのは
やっぱり「規制とけた」の人?





160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:33:20.07 ID:g73tFaXFO

>>144
そのつもりで書き始めたんだけどね
おれも殺せなかった

>>147
なぜばれたし
ただこの作品の純は自分の目的を本位に動いてます
憂の才能に嫉妬し、憂の心の大部分を占めている唯に嫉妬してる子なんです

さて
これで規制中に書き溜めたものは放出し終わった
次に会うのはだいぶ後になりそうだねえ




164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土)19:45:33.71 ID:tXcZQ4EDO

>>160
クセがあるというか
「規制とけた!」の時の純ちゃんも自分を犠牲にして憂達のために色々やってたからね
貴方からは純ちゃんへの愛を感じる

何はともあれ乙
アンタのSS大好きだバーカ





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純「超能力に目覚めちゃった」#後編
[ 2010/09/25 20:16 ] SF | 唯憂 | CM(3)

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タイトル:
NO:1776 [ 2011/04/30 21:05 ] [ 編集 ]

前編はどこ?

タイトル:
NO:1777 [ 2011/04/30 22:51 ] [ 編集 ]

前編  http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-25.html

タイトル:
NO:1781 [ 2011/05/01 00:35 ] [ 編集 ]

リンク忘れの上、未来から更新してたようです。

リンクの指摘、ありがとうございます。

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