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けいおん!の真鍋和ちゃんは翼折れても飛ぼうとする可愛い///#3 【日常系】


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けいおん!の真鍋和ちゃんは過去スレ可愛い




802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:24:51.70 ID:EIfFdiZr0

廊下の突き当たりは、そんなに遠いわけでもないのにぼやけて見える。
等間隔で並んだ窓になんだか息苦しい感じを覚える。

廊下を歩いて行くと、脇には"生徒会室"と表札を掲げた部屋が偉そうに佇んでいた。
私はその扉を開ける前に、右手に持っていた、折りたたんだ紙を一度開いて、
書き漏らした項目がないかをざっと確かめる。

そうして、よしと頷いた後で、勢い良く扉を開けた。

生徒会室の中には短髪の女の子、和が眉間に皺を寄せて席についていた。
机に置いた冊子を眺めて、渋そうな顔をしている。

「どーしたん」

「ん、ソフト部とバドミントン部の予算がやけに多いの。計算ミスでもしたのかしらね」

「ありゃ……会計の娘が間違ったのか」

「そうかもね。でも予算審議で突っ込まれるのは私なのよね」

そう言って、あー、と頭を掻く。
いつ切り出したらよいものか分からず、私はなんとなく和の向かい側に座った。
冊子には、大会参加費、という単語の後に、
"4,5人"とも"4・5人"とも取れるような文字が書かれていた。

「四人と半分?」

私が訊くと、和は顔を顰めた。

「このせいで計算がおかしくなったのかしら」




803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:25:39.14 ID:EIfFdiZr0

それからしばらく、和は冊子とにらめっこをしていた。
時々なにかの裏紙に、雑な字で筆算をしたりしては、うー、と唸っていた。

私は退屈しのぎに足をブラブラさせて、
なるべく和の邪魔にならないように努めていたけれど、

いつまでもここにいる意味もないので、とっとと用事を済ませようと思った。
それで、和が冊子のページを捲ったときに、
私は自分が持ってきたプリントを冊子の上に滑らせた。

「なによ」

「講堂の使用許可申請書。早く出しとこうと思って」

あら、と和は目を見開いて、それから小さく笑った。

「珍しい。でも感心よ」

「んじゃ珍しついでにさ、書き漏らしがないか確認してみてよ」

忙しい時に迷惑かとも思ったけれど、
和はにっこり微笑んで、小さく頷いた。

そうして突然、多分同学年の誰よりも大人びた視線の送り方と、
唇の動かし方と、声の出し方で言った。

「前髪」



804 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:26:29.84 ID:EIfFdiZr0

「まえがみ」

和が言った言葉を繰り返して、私は自分の額の辺りを指で触った。
カチューシャで上げている前髪は額には無かった。

和は人差し指と親指で、
眉毛にかかる長さの自分の前髪を摘まんで、ふふ、と笑った。

「律って前髪下ろさないのね」

「むう」

カチューシャを外してみる。
はら、と前髪が下りてきて、ちょっと視界が悪くなった。
どうにも落ち着かない。
ぐしゃぐしゃと頭を掻いて、振った。

「似合わないだろ」

「そうかしら」

「うん。なんか変に大人っぽく見えそうで、落ち着かない」

「そうなんだ」

和は短く答えて、手元の書類に視線を落とした。
珍しく私が期限を守った提出物だ。



805 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:27:32.42 ID:EIfFdiZr0

「本当に珍しい。書き漏らしもなんにもないわ」

「お、本当か」

「本当本当。部名が書かれてないから軽音楽部は講堂使えないけどね」

そう言って笑って、和は紙を机上に滑らせてこっちへよこした。
見てみると、部員名、バンド名や演奏曲が細かく書かれた下に、大きな空白があった。
なんて間抜けなんだろう。

「一度点検しにくるのは感心だけど、
 そんな大きなところ書き漏らすなんて、律もまだまだね」

「イヤミな言い方すんなよな……ほい、これでいいか」

「ん、ちゃんと書いてるわね。これ、もう預かっておこうか」

「ああ、頼むよ」

私は外したカチューシャを指でくるくると回しながら、和が書類を片付けるのを待っていた。
帰っていいと言われていないのに帰るのは、自分で点検を頼みに来ておいて失礼な気がした。
それでぼうっと、くるくる回るカチューシャを眺めていると、突然和が、

「ねえ、どんな風の吹き回しで、急に真面目になったわけ?」

なんて、またちょっと嫌な言い方をしてきた。



806 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:28:28.29 ID:EIfFdiZr0

「なんでって……なんだよー、悪いかよ」

「別にそんなこと言ってないじゃない」

くすくす笑う。このやけに大人びた、同年代とは思えない感じ、ちょっと苦手だ。

「実際、あなたが提出期限を守ること自体珍しいでしょう。
 それが念入りに点検まで頼みに来るだなんて、どうしたのかなって思ったの」

私は和のほうを見ずに、ずっとカチューシャを眺めていた。
和は特に気分を害した様子も無いようで、それがまたちょっと悔しい。

「別に、なんでもないけどさ」

なんでもない。けど。
なんでもなくても、何も起こらなくても、
私は年をとって、いつの間にか三年生になったわけで。

だから、多分そういうことだ。

「私部長じゃん。部長のミスでさ、最後の学園祭が白けちゃったりしたら、駄目だろ」

言っているうちになんだかどっと疲れた気がして、私は机に突っ伏した。
カチューシャは回る速さを減じて、そのまま止まってしまった。
そうして部屋の中に動くものがなくなったあとで、和はまた、ふふ、と笑った。



807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:28:58.83 ID:EIfFdiZr0

「偉いね」

「はあ?」

「そんなにしっかり考えてるなんて思わなかった」

「しっかりなんて、してないさ」

「してるよ」

「してないしてない」

「してるわ」

「どこがあ」

「だって、随分大人びて見える」

そう彼女に言われて、私ははっと顔を上げた。
多分学年で一番大人びている彼女がそう言うのなら、それは事実なんだろう。

そう思うと、和の言葉や態度に感じていた厭味っぽさはすっかり鳴りを潜めてしまった。

「そうか」

「ええ、そうよ」

和の言葉には余裕があった。

あくせくしている、いつも駆け回っている子供には、
ちょっと癪に思われるような余裕があった。
きゃっきゃと騒ぐ子供には、鬱陶しく思えてしまうような静かさがあった。



808 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:29:26.28 ID:EIfFdiZr0

それが急に、私にとって素敵なものになってしまった。

「そっかー」

なんだか可笑しくて、私は天井を見上げた。
思ったより近かった。

私は立ち上がって、生徒会室の扉を開けた。
出るときに振り返って、和に言った。

「今度さ、どこかに行こう、一緒に」

「時間があったらね」

そうしてそれ以上、いつどこでどこへ、
そんなことを細かく決めもせずに、私は扉を閉めた。

廊下はそんなに長くもない。
窓は綺麗に、しっかり等間隔に並んでいる。
来た時と同じ道を、全然違う風に、私は歩いて行った。



809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:30:06.20 ID:EIfFdiZr0

この数分で、ずっと大人になったような気がするけれど、多分そうではない。
私はいつのまにか大人になっていたんだろう。
気づかないうちに、少しずつ、変わっていたんだろう。

別にそれがどうとは言わないけれど、まるで空気みたいに当たり前にあった成長に、
和の言葉で気付かされたのは、ちょっと癪かな。

そう思って、私は笑った。案外子どもっぽいところもまだある。

「あ、カチューシャ置きっぱなしだな」

そう言ってはみるものの、取りに戻ろうとは思わなかった。
目にかかるちょっと鬱陶しい前髪を払って、背筋を伸ばして歩いてみる。

思ったより、似合っているような気がした。



お 和 り つ




810 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:33:16.27 ID:7ncDCuB6O

乙!!
和律はやはり素晴らしい



811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/06(金) 23:36:10.73 ID:Tt2PWc8vO

素晴らしいッ!乙です。






1001 名前:1001[]:Over 1000 Thread




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