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和「ロバの馬車」 【日常系】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298163755/




1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:02:35.70 ID:6WyUR0M10

よろしくお願いします。

SS初めてなんで色々ヘマするかもしれませんがよろしくお願いします。

http://www.youtube.com/watch?v=5ABh16-YUTo



http://www.nicovideo.jp/watch/sm3724993



それではどうぞ。



2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:03:27.46 ID:6WyUR0M10

君のこと以外は何も見えないなんて嘘だけど離れたくないよ
モーターボートなんて僕は要らない牧を割って船作ればいいし
オールは全部りんごの木だし
何処へ行くのニコニコして君のとなりに座っていい
馬車は走るとても遅くだってロバが引いてるんだもの
馬車は走る星の下を二人毛布被りながら
荒れくれた狼現れたなら僕は頭使って君を守るだろう
未来のことなら君に任せて決して寂しい思いさせたりしない
毎週部屋を模様替えするし
何もないがニコニコして君のとなりにいれればいい
馬車は走るとても遅く 二人毛布被りながら
夜は冷える 肩組もうぜ 街の灯りが遠くに見え
僕にとってこの寒さは神聖さを増してくれるんだ

ところでマジに話をするけど
僕ってただのお調子者に見えるかい
十中八九そういう風に見えてるんだろうけど
やってみなくちゃ分からないだろ
自分でもさっぱり分かってないんだ

何処へ行くのニコニコして君の隣に座っていい
馬車は走るとても遅く だってロバが引いてるんだもの
何もないがニコニコして君の笑顔が見れればいい
馬車は走るとても遅く だってロバが引いてるんだもの
夜は冷える肩組もうぜ 街の光が遠くに見え
僕にとってこの寒さは神聖さを増してくれるんだ





3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:04:43.72 ID:6WyUR0M10

眞鍋和は悩んでいた。

そりゃ私は勉強だって出来るし眼鏡にだって一応こだわってキャラ立てしてるし、

委員長キャラに則って生徒会長だって務めあげてその上冗談だって言える。

チェケラッチョイなんてセリフもお手のものだし、

唯のショートケーキの苺を取っちゃうなんて人道にもとるボケだってナチュラルに遂行してみせた。

あんなボケが許されるのは私の真面目なキャラとのギャップに勝手に萌えてくれる萌え豚共のお陰だ。

そんな今の自分の立場に満足していない訳ではない。

それなりに充実しているし、何の不自由もない幸せな毎日だ。

だけど―――



4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:05:30.86 ID:6WyUR0M10

和「何でK大に進学なんかすることになったんだろ・・・」

自分の学力なら名門のK大は十分狙えたし、現実に受かって今は入学を待つ気楽な日々だ。

K大に進めば将来路頭に迷うこともないし、

そこで得られる体験もかけがえのないものになるに違いないし、

マイナスになる要素はないはずだ。


そう言い聞かせてみても、ここしばらくずっと胸のもやもやが消えてくれない。

今だって本当は大学の工学部での勉強に向けて、

工学の入門書なんかを予習しておくつもりでいたのだ。

おととい買った分厚い本はビニール袋に入ったまま部屋に放置されている。



5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:06:58.00 ID:6WyUR0M10

卒業式が済んでからだろうか、今までに味わったことのない無気力が和を包み込んでいた。

昔から得意だった勉強に、自分には向いてないと思ったものの挑戦してみた生徒会長、

気が乗らない時は手を抜いたりもしたけど、

それら全てに真剣に向き合って来たし、やりがいも感じてきた。

自分の為にやってきたし、確かに有意義な体験になったはずなのだ。

だが今はそれら全てがただ無駄なことに時間を費やしてきただけのような気がして―――


そのことを考える度に、

今までの人生に何も意味がなかったかのような、

不安と焦燥に押し潰されるような気持ち悪さに襲われる。

一年生の時に唯に言った言葉がはねかえってくる―――

「こうやってニートが出来上がっていくのね・・・。」



6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:07:52.95 ID:6WyUR0M10

あの時は、だらだらしたまま無為に高校生活を送ってしまいそうな

唯の将来を心配して言ったけれど、

今の自分の方が心配した将来の姿そのものになってしまってるんじゃないか。

このまま無気力に過ごしていけば、将来に希望を見出せないまさにニートになってしまう。


急に強烈に虚しくなって、思わずベッドの上で眉をしかめながら目を閉じる。

瞼の裏に浮かぶのはやはり―――


和「唯―――」


幼馴染の親友、唯の眩しい笑顔。

あの子はニートだろうと、

桜高を沸かせる軽音部のスターだろうと、変わらない笑顔を浮かべる。

その笑顔は私にはない光のようなものを宿してる。

いつでも自分の今いる場所が自分にとって最高の場所。

唯の笑顔はそう語りかけくる。そう、きっと誰もに。

和「唯、私はどうすればいいの?」



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:08:57.02 ID:6WyUR0M10

ここ最近の自分が失ったこと、それは唯が近くにいないことだと気付く。

唯に構うのは昔から和にとって当たり前のことで、

唯は色々と抜けているから、私や憂がついていてやらないとダメだと思っていたけれど、


本当は私が唯に頼っていたのかもしれない。


日々気力を保って生きていく為に私は、

唯の笑顔を信じて、唯に依存して、なんとかやってきたのかもしれない―――


思えば、勉強や生徒会や色んなことをやってきたけれど、

いつの頃からか、私が本当に楽しいと思えるのは唯といる時間だけだったように気がする。

そしてその時間を原動力にして、色々とやらなければならないことをこなしてきた。


そういえば二年生の時に澪と同じクラスになって、

毎日色んな話をしたし、それはそれで楽しかったけれど、

クラスで孤立しないように澪とは仲良くやっていかなければならない、と

どこかで自分を外から見ている冷静な自分がいた。


唯といる時は違う。

本当に心から楽しんで、何も考えずにただ一緒にいることが出来る。

でもこれから送るK大での生活に唯はいない―――


そう考えるとやはり自分が大切な物を失って何一つ手にしなかったように思えて、

K大への進学が一層憂鬱に思えるのだった。



8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:09:40.29 ID:6WyUR0M10

唯がいないと、

和「ヒマでヒマで仕方ないわ・・・」

退屈に堪え兼ねて、和は部屋にある母親に買ってもらったPCの電源を付けた。

何もない時間が苦痛に思えて、何の目的もなくても何かをしていなければやってられない。

特に音楽に興味なんてないけれど、取り敢えず動画サイトで音楽を検索する。

クリック。眠気に流されながら、動画を見終わる。

おすすめの動画です。クリック。動画が終わる。おすすめの動画です。クリック・・・

何の為でもない、意味のない時間が、ネットワークに回収されて無為に消えていく。

和「ふぁ・・・」

欠伸をしながら聴いていた知らない曲の、ある一節で、

和「ん・・・」

和は思わず身を乗り出す。


“何もないが ニコニコして 君の笑顔が見れればいい”



9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:10:34.74 ID:6WyUR0M10

和の頭の中でその言葉が、狭い箱に投げ入れたテニスボールのようにガンガン反響した。

和は食い入るように画面を見つめながら、

頭の中ではその一言だけが風船みたいに膨張して、

音楽の他の部分が入って来なくなってしまう。

何もない、何もない―――唯のいない毎日には何もない。

今の自分がこの一言の中に生きていた。

いや、何もできず無為に過ごしている自分は死んでいるようなものか。

そして、唯の笑顔が見れればいい、唯の笑顔を見るだけでそんな憂鬱さから抜け出せる、

ああ、この一言は私そのものだ。

和は、自分の生を曲の中に求めるように、

狂った腕時計みたいに同じ曲を何度も再生し、同じ部分を何度も聴き入った。

その一節が耳に届く度に、和は何とも言えない迫ってくるような切なさに襲われ、

その歌詞を頭の中で繰り返しながら、自分の虚しさや唯と会えなくなることを思い、

ぐるぐると重くなるわだかまりに飲み込まれていった。



10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:12:38.86 ID:6WyUR0M10

一方唯はギターを弾いていた。

唯「ほぁぁーーーっ!」

律「うるせーぞ唯!」

卒業してから、唯の家は放課後ティータイムの溜まり場になっていた。

入学まですることがない唯達は、

毎日昼過ぎに唯の部屋に集まって夕方までわちゃわちゃしている。

6時を過ぎると各々夕飯を食べに自分の家に帰るが、

たまに憂の料理を食べていくこともある。

始めは散発的に集まっていたのだが、

何しろ毎日部活で会っていた仲なので、

毎日でも集まりたいのは当然のことだ。

憂に遠慮して控えていたものの段々その遠慮もなし崩しになって今に至る。



11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:13:16.94 ID:6WyUR0M10

梓「正直唯先輩が高校卒業してからもお家でギー太引いてるとは予想してませんでした」

澪「そうだな。唯のことだから春休み中はずっとゴロゴロしてるだろうと思ってたよ」

唯「んなっ!あずにゃんに澪ちゃんってば失礼だよ!私とギー太の絆は固いのです!」フンス

律「ギターはいいよなー、いつでも手元にあって演奏できるもん。私も家にドラム欲しいって!」

梓「律先輩のドラムが鳴ってたらご近所さんが迷惑でたまったもんじゃありませんよ」

律「中野ぉー!」

律が梓を羽交い締めにして脇をくすぐる。

梓「ちょwwwりつせんぱいやめwwwwひゃっwww」

澪「ムギは家でキーボード弾いたりするのか?」

紬「うん、やっぱり演奏してると楽しいもんね」

唯「だよねー!」

紬「うふふ」



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:13:53.37 ID:6WyUR0M10

梓「ハァハァ・・・じゃあ今度スタジオに行って久しぶりに合わせてみませんか?」

唯「おお!それグッドアイディアだよ!さすがあずにゃん!」

梓「痛った!唯先輩ギター下げたまま抱きつかないで下さい!ペグ刺さってますから!」

律「えー、でもスタジオって予約とかめんどくさいしお金かかるしさー」

澪「ドラム叩きたいんじゃなかったのかよ・・・」

律「部室だとタダでいくらでも叩けたからなー。めんどくちゃい!澪が予約してよー」

澪「な、なんで私が!スタジオに電話かけるなんて恥ずかしいじゃないか///」

唯「はい!私予約します!」

律「お、唯ナイス!」

紬「唯ちゃん張り切ってるわね~」



13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:14:33.94 ID:6WyUR0M10

唯「ムギちゃん、私が張り切ってる理由聞きたい?聞きたいよね!?」

梓「皆さん、そろそろ帰りましょうか」

律「そうだなー」

唯「あずにゃんりっちゃん酷いよ!
  そんなこと言ったら私が作った曲も聞かせてあげないんだから!」

律「えっ」
梓「えっ」
澪「えっ」
紬「まあ!唯ちゃん作曲したの?」

唯「そうだよ~。私とギー太の愛の結晶だよー!」

梓(愛の結晶って、それはつまり唯先輩が
  ギー太との毎夜のアッハーンの末に種をつけられちゃったっていう・・・)
梓「やらしい・・・(ボソ)」

律「ブッ!!何がやらしいんだよwwww」

紬「梓ちゃん最悪www」

唯「やだー♪ 私の初めてはあずにゃんに捧げるって決めてるんだよー?」

梓「それはキモイです、いいからとにかく弾いて下さい」



14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:15:35.16 ID:6WyUR0M10

唯「むー!あずにゃん酷い!もう弾けばいいんでしょ!」

そう言うと唯は勢い良くリフを奏で始め、

次いで小気味よくコードを鳴らし、

歌詞のないメロディを歌った。

律「結構本格的www」
梓「唯先輩がちゃんとギター弾いてるの久々に見たわwww」

最初はそんな風に軽口を叩きながら聴いていた一同だが、

徐々に唯の作った曲に引き込まれ、

指や足でリズムを取りながら聞き入っていく。

ギターソロに入ると歓声があがった。

一曲終わる頃には皆すっかり唯の音楽に魅了されていた。

ジャン!ジャン!ジャン!ジャジャーン!

一同から自然と拍手が起こる。

紬「唯ちゃんすごいわー!すっごく楽しかった!」

そういって唯に向けた紬の瞳は興奮と称賛でキラキラしていた。

唯「そ、そう? いやぁ、なんか照れますなぁ///
  私のギー太の子供を可愛がって貰えてギー太も喜んでるよ~」

梓「ブッwww」
律「ブッwww梓今何想像したwww」



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:17:13.85 ID:6WyUR0M10

私の→私と


澪「な、なぁ、私それ、バンドで合わせてみたい!ベースラインが浮かびそう!」

唯「でしょ? 私もそう思ってたんだよー! 皆でこの曲合わせようよ!」

唯の部屋はひとしきり唯の作った曲の話で盛り上がった。
その輪の中で、紬はこっそり安堵を覚えていた。

正直、部活が終わってから皆で音楽をやる目標がなくなって、

このままでは自分たちの間から音楽がなくなってしまうのではないかと、

少し不安になっていたのだ。

無論、たとえ音楽をしなくなっても自分達は仲良しで、

会わなくなることはないと思っていたが、

それでも自分達を繋ぐ絆の一つだった音楽がなくなってしまったら・・・、

音楽だけじゃなくて、何かもっと大きな、

戻れない高校生活の輝きのようなものを失うことになるだろう。



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:18:22.94 ID:6WyUR0M10

けれど、こうして唯がギターに夢中になってくれるおかげで、

高校生活のような輝きをそのままに来るべき日々を進んでいくことができる。

それだけじゃなくて、その日々は部活の時とはまた違う、

新たな輝きに満ちたものになる予感がする。

唯が自分達の光になって、私達を導いてくれる―――そう考えるだけで、

紬は初めて海でのクルーズに連れて行ってもらった時より

ずっと大きなワクワクが止まらなくなった。


紬「唯ちゃん、私キーボード頑張るね!」

唯「うん!ムギちゃんありがとう~」

唯はとびきりの笑顔を紬に向けた。

その笑顔を見るだけで世界がどこまでも広がっていくような気がした。


律「よーし、私達の手で唯の子供をおっきくしてやるぜ!」
梓「ちょwww律先輩それどういうwwww」
律「お前の思ってるような意味じゃねーよwww」
紬「つまり手コk澪「やめてくれ、ムギ!」
唯「ムギちゃんサイテーwww」
紬「サイテーなのは梓ちゃんでしょ?wwww」
梓「違います律先輩です」



17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:19:23.38 ID:6WyUR0M10

梓の下卑た冗談を境に、盛り上がっていた場は一旦落ち着いて、

唯「私達で作った曲、和ちゃんにも聞かしてあげたいなぁ・・・」

力が抜けてふと唯が呟きを漏らした。


皆が帰って、憂と夕飯を食べた後、唯は自分の部屋に篭もった。

憂とくだらないお喋りをしながらごろごろするのもいいけれど、

今日はなんとなく一人で物思いをしたい気分だ。


一杯になったお腹を下にして、ベッドにごろんと横になる。

頭に浮かぶのは、今日は昼間騒いだ仲間のことじゃなくて、和のこと。


和ちゃんどうしてるかなぁ。

今までそんな風に考えたことなかった。



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:20:49.13 ID:6WyUR0M10

三年の時は学校で毎日会っていたし、

クラスが違った二年の時や、夏休みなんかは、

なんとなく和が恋しくなったらいつだろうと

携帯電話で連絡を取ったしいきなり会いにいったりもした。


小さい時からずっと一緒にいた唯と和の間に遠慮なんて無縁だし、

和のことを考えることと和にメールすることの間に隙間なんてないはずなのに、


今は何故か携帯のボタンが重い。


別に今メールしても和ちゃんは怒らないし、気が進まないとかそんなんじゃないけど・・・。

そもそも和ちゃんへのメールの文面を考えようとする何かもやもやするのは何でだろう?

和ちゃんと久し振りに会う為にメールしようとしてるだけなのに・・・。

何故か、甘えちゃいけないみたいな気分になる。

唯「むー・・・?」


頭の中が混線して、ぐるぐるしてきた。

なんとなく、唯はCDラックに手を伸ばす。



19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:21:56.75 ID:6WyUR0M10

唯「んー・・・」

何が聞きたいわけでもないが、頭のもやもやが勝手に動く。

音楽を聞いてどうにかなると思ったわけではないが、なんとなく音楽が欲しいような気分だ。


ほどなくしてなんとなく聞きたい曲が浮かんだ。

アニメのEDで、かっこいいギターの曲だな、って思って気になったミュージシャン。

そのミュージシャンの名前をネットで検索して適当にアルバムを買った。

二回くらいは聴いたかもしれないけど、あんまり覚えてない。


おぼろげな記憶を辿りながら、曲目リストを見て、聞きたい曲を見つける。

唯(そうそうこれこれ。この曲の歌詞がなんとなく耳に残ったんだよね~)

CDをセットして、数曲すっ飛ばして目的の曲をかける。

♪ところでマジに話をするけど 僕ってただのお調子者に見えるかい?
十中八九そういう風に見えてるだろうけど やってみなくちゃ分からないだろ?

唯(十中八九ってwww変な歌詞www)

唯(和ちゃんから見たら私ってただのお調子者に見えてるんだろうな~、

って思ってなんかこの曲だけ覚えてたんだよね~)



21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:23:55.13 ID:6WyUR0M10

一曲聞き終わると、

唯(なんか普通に和ちゃんが恋しくなったよ)

和に対する恋しさが増して、訳の分からないもやもやは感じなくなっていたから、

唯は携帯を手に取ってメールを打ち始めた。


唯「和ちゃん~(はぁと) なんか和ちゃんにメールするの久し振りだね!(花)

和ちゃんに会いたいよ~(びっくりまーく) 、っと」


唯「あ、返信来た」

和『高校卒業してからあんまり会ってないもの、

久しぶりに感じるのも無理はないわ。

丁度私も唯のこと考えてたのよ。

明日どこかでランチでもしない?』


唯「和ちゃんのメールは相変わらず絵文字ないなーwww」

唯『だよね!(ぴか) うん、そうしよー!(目はーと) 

明日のお昼に学校の前に集合ね!(きらきら)』


唯(明日和ちゃんとランチかぁ・・・ふふっ。

そうだ、りっちゃん達に明日は集まれないよ、ってメールしとこ)


明日の予定を思い浮かべている内に、

唯はさっきまでもやもやしてたことなどすっかり忘れて、

安心感に包まれて、その日は眠った。



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:25:28.41 ID:6WyUR0M10

和はPCの画面を見つめすぎて目が疲れてきたので、

さっきの曲をiPodにダウンロードして聴きながらベッドに横になっていて、

そんな時唯からのメールを受け取った。


和(『了解』、っと)

和(唯がメールくれてなんだか安心したわ)

和(思えば、私も唯が恋しくなったらメールでも電話でもすればよかったのに)

和(なんとなく考えにかすりもしなかったのよね・・・)

和(私、悩みすぎかしら)

和(明日唯に会えるとなったら全部どうでもよくなってきたわ・・・寝よ)



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:26:30.67 ID:6WyUR0M10

次の日、唯は早めに桜高の校門に着いた。

唯(和ちゃんまだかな~。)

携帯を見ると、まだ11時50分。少し早く来すぎた気がする。

唯(そうか、早く来すぎたのか・・・!)

ここまで走って来たというのに。

唯(暇だから和ちゃんにメールしよ)

唯『和ちゃんまだ~[?] 遅刻だよ~(怒り)』

唯(くぷぷ。私が早く来て和ちゃんが遅刻なんて珍しいねwww)


その時和はまだ眠い目をこすりながら寝巻から普段着に着替えていた。

昨日はなんだかんだ中々寝付けず、

iPodに落としたあの曲を何度も聞きながらベッドでごろごろしていた。


和母「全く和ちゃんったらだらしないよ~? 

こんな時間まで寝巻だなんて、和ちゃんらしくないよ!」


和「うっさいわねー、寝付けなかったんだから仕方ないじゃない」

和母「そうなの!? 寝付けないなんてさては和ちゃん思春期ですな!」

和(本当にこの母は唯そっくりだな・・・)

和「はいはい、そうかもね。」

和(まあある意味思春期と言えなくもないか・・・)



24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:27:22.59 ID:6WyUR0M10

和「あ、唯からメールだわ。なになに、和ちゃん遅刻だよ、ですって?

11時はまだ朝じゃない・・・。」

和『ごめんなさい、さっき起きたところなの。もう少ししたら向かうわね。』

和(やれやれ、唯ったら何考えてるのよ・・・)

和は特に急ぐこともなく諸々の用意を整える。

結局和が桜高に着いたのは12時半だった。

和「さすがに待たせ過ぎちゃったかしらね・・・。

さて、唯は、と・・・。あ、あそこで猫と遊んでるわ」


和(そーっと・・・)



25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:28:29.34 ID:6WyUR0M10

和「わっ!」

唯「ひゃああ!?」

梓三号「にゃああ!?」ガササッ

和「唯、久しぶりね」

唯「和ちゃん~!もう酷いよ!四十分も遅れた上に驚かすなんて!

あずにゃん三号が逃げちゃったじゃない!」

和「ごめんごめん。ていうかあんたあの猫に名前付けてたの?」

唯「そうだよ!うう、これからあずにゃん三号も一緒にランチしようと思ってたのに・・・」

昨日寝付けなかったことを話す余地などないくらいに、

二人はいつも通りの楽しい二人だった。

何の意味もなさない会話を交わしながら、歩きだす。

店に着き、唯はキャラメルマキアートとオムライス、

和はトマトジュースとカルボナーラを頼んだ。

唯「トマトジュースって、中々マニアックな注文するね~。さすが和ちゃんwww」

和「あんたこそ、お昼ごはん食べるのにキャラメルマキアートって。おやつじゃないんだから」



26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:29:20.16 ID:6WyUR0M10

唯「えへへ~、だってキャラメルって文字をみたらつい飲みたくなったんだもん」

和「唯ったら本当に変わってないわね・・・」

唯「だって前に会ってからほんの二週間しか経ってないんだよ~? 

そんなちょっとで人は変わらないんだよ、和ちゃん」

和「ふふっ、それもそうね」

唯「和ちゃんも変わってないね~。マイペースなとこ!」

和「さっき自分で当たり前って言ったじゃない」

唯「えーだって~、和ちゃんしばらく私がいなくて大丈夫だったかなー、

って心配してたんだもん!」フンス

ドキッっとする。



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:30:24.87 ID:6WyUR0M10

ドキッっとする。

唯といる時間の楽しさは何も変わってないけれど、前言撤回、唯は何かが変わった。

以前よりも軸ができたというか、少し滑舌もはっきりしたような気がする。

どこがどうとは言えないけれど、雰囲気の輪郭や色が。

和(でもそれは言わないでおこう)

それでも唯の笑顔は何一つ変わらない。

変わらず私を楽しませてくれる唯の笑顔。

きっとそれはいつまでも変わらない。

唯と離れ、会えなくなっても、遠い未来になっても、その笑顔はきっと輝いている。

だから、私はまだ、唯の変化に気付かなくていい。唯もだ。

それでも・・・

和「前に進んでるのね・・・」

唯「え? 和ちゃん、なんて?」

和「あ、何でもないの。それよりそのキャラメルマキアート、美味しそうね」

唯「っていうか和ちゃん、眼鏡は?」

和「やだ、あんまり急いでたから忘れてたわ。さっきから前が見えにくいとは思ってたのよね。」

唯「ぷーっwww 眼鏡忘れるって有り得ないよwwww」


今はまだ。



28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:31:07.33 ID:6WyUR0M10

二人は、店員の冷たい視線を浴びるまで何でもないことばかり話した。

店を出る頃にはもう夕陽が地平線の彼方に浮かんでいた。

真っ赤な夕焼けが全てを染める中を、

唯「いやー、久々に和ちゃん分を補充しましたなぁー」

和「何よそれ」

二人は、殆ど進んでいないくらいゆっくり帰り道を行く。

唯「どっかにあずにゃん三号いないかなぁー」

和「あずにゃん四号を見つければいいんじゃない?」

唯「あ、和ちゃん今あずにゃんって言ったね!

和ちゃんもこれからあずにゃんのことあずにゃんって呼んでね!」

和「ふふっ、それもいいかもね。今度呼んでみるわ。」

唯「本当だよ!忘れちゃだめだよ約束だよ!」

二人の歩みは遅く、夕暮れの帰り道はどこまでも続いていくような気がした。



29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:32:29.05 ID:6WyUR0M10

その夜、和は部屋でiPodを耳に当てた。

和(そういえば、折角会ったのに唯と将来のことについて何も話さなかったわね)

iPodをカチカチやりながら、楽しかったランチを思い出す。

あれだけ悩んだのに、会ってみればなんということもなく、

ただいつも通りの会話を交わしただけだ。

その時間もあっという間に過ぎていった。

だが、今日という日は、いつまでも覚えていて、

いつでも鮮やかに思い出せるような日になるような気がした。

和(まあ、また今度聞けばいいし、別に聞かなくてもいいか)

和はふと気になって、一旦iPodを置き、床に投げ出した工学のテキストを袋から出した。

気分の赴くままにテキストの一ページ目を開き、前書きに目を通し、ノートに問題を解き始める。

和は真剣な瞳でテキストを読んでいく。

問題を解く和のシャーペンはすらすらと進む。


いくらかテキストを進めた後、ふっと息をついて、

白い天井を見上げる。

なんだ、私ちゃんとK大に進めるじゃない。

そしてiPodを手に取り、何度目になるか分からない程聞き込んだあの曲を再生する。



30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:33:22.14 ID:6WyUR0M10

唯もまた部屋で、ランチを思い出していた。

唯(全く、眼鏡を忘れるなんて眼鏡っ子として有り得ないよね~www和ちゃん面白すぎ)

唯(楽しかったから明日もランチしたいな)

唯(ああでも、今日は皆が来るの断っちゃったからな。明日はまた軽音部の皆で集まろうかな)

唯(こんなに楽しい友達に囲まれて、私幸せだなー)

唯は気分が高翌揚して、ギー太を手に取ってあの曲を奏でる。

唯(この曲が完成したら、絶対和ちゃんに聴いてもらおう。

歌詞も和ちゃんに向けてつくっちゃおうかな、あずにゃんにしたみたいに)

唯(次のランチはいつにしようかなー)

唯(次のランチ、次のランチ・・・)

唯(次のランチ)

唯(ランチランチランチ・・・あはは)

唯は涙していた。水滴がギー太のボディに落ちて、弦を弾いていた指も止まっていた。

やがて水滴はギー太のボディだけじゃなく、弦にも、カーペットにも、

もうどこに落ちたか分からないほどにいくつもいくつも落ちていって、

視界が霞んで水滴の跡も見えなくなった。



31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:34:32.59 ID:6WyUR0M10

唯(えへへ、和ちゃん)

唯(私、和ちゃんがいてくれてよかったよ)

唯(和ちゃんがいてくれるのが嬉しくて、こんなに泣いてるんだよ)

唯(和ちゃんが面白すぎて、笑いすぎて泣いてるんだよ)

唯(ありがとうね、和ちゃん、こんな私に・・・)

その後、唯はギー太を抱えたまま枕に突っ伏して声をあげずに泣いた。

憂にも気づかれないくらい密かに唯は泣いた。

本当はわかっていた。

和とはもう長く一緒にいれないことを。

和とランチするのも、何の意味もない会話を交わすことも、

なくなっていくのだと分かっていた。

それでも唯は嬉しくて泣いた。

和の存在の全てに感謝しながら、和と過ごした日々を思い浮かべながら、

その笑顔の一つ一つを思い返して、それでも何故か胸は引き裂かれて、

涙は止め処無く流れた。


分かっているけど、今はまだ。


どれくらい経ったか分からくなった頃、押し殺した涙も止まった。

ぼやーっとする視界を腕でこすり、

霞みがかった頭の中に浮かぶメロディを求めて、

唯は昨日のCDをラックから引き出した。



32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:35:18.41 ID:6WyUR0M10

♪ 君のこと以外は何も見えない なんて嘘だけど 

和(昨日はやたら唯のことばかり考えてたけど、
  やっぱり勉強も嫌いじゃないのよね。考えるの好きだし)
唯(昨日はなんか和ちゃんのことでもやもやしたりしたけど、やっぱ音楽って楽しいよね~)

♪ 離れたくないよ

和(離れるわけないじゃない)
唯(離れないよ)

♪どこに行くのニコニコして

和(唯が軽音部にはまり始めた時もちょっと寂しかったな・・・)
唯(和ちゃんって結構天然入ってるから
  ちょっと目を離すとニコニコしながらどっかいっちゃいそう)

♪ 君の隣に座っていい

和(高校に入ってから唯の隣に座ることは少なくなったけど・・・)
唯(和ちゃんが車の免許とったら隣に座って色んなとこに連れてってもらおう)

♪何もないがニコニコして 君の笑顔が見れればいい

和(唯が笑ってると私も幸せになる)
唯(和ちゃんを笑わせられたら最高の気分になるよ)



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:37:09.12 ID:6WyUR0M10

♪ところでマジに話をするけど 僕ってただのお調子者にみえるかい

和(唯がいきなりこんな話してきたら驚くわね)
唯(私がいきなりこんな話したら驚くだろうな)

♪自分でもさっぱり分かってないんだ

和(唯が自分のことなんか分かるわけないわよね・・・クスッ)
唯(いやそこはわかっとこうよ!やっぱ変な歌詞www)

♪馬車はとても遅く だってロバが引いてるんだもの

和(私達の今日の帰り道みたいね)
唯(和ちゃんって帰り道歩くのすごく遅いんだよね)

♪何もないが ニコニコして 君の笑顔が見れればいい
 馬車は走る 星の下を 二人毛布 被りながら 
 夜は冷える 肩組もうぜ 町の明かりが遠くに見え
 僕にとってこの寒さは 神聖さをましてくれるんだ

和(唯・・・)
唯(和ちゃん・・・)

和&唯(私は大丈夫だよ)




34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 10:38:10.32 ID:6WyUR0M10

以上です。
感想・批判・ダメ出し・こき下ろし・罵倒お待ちしてます。
ではノシ




35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 11:09:41.32 ID:8v7QCgr1o

wwと下ネタが果てしなく浮いてる
こういう雰囲気の話ではむしろ邪魔なだけ
それ以外はいい話



36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/20(日) 11:45:18.41 ID:jiJOic9J0

確かに、下ネタはいらなかったかも

ところで原作新シリーズではわちゃんの出番はあるのか?



37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/21(月) 15:51:00.66 ID:E8GqhsbIO

ユダが凄いミスマッチ





38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 13:09:22.68 ID:3cWKv4Ig0

読んでくださってありがとうございます
見てるか分からないけど、一応レスを

>>35
なるほど。ためになるアドバイスありがとうございます!
いい話でしたか!それはよかったです。ありがとうございます!

>>36
つい気分に任せて入れちゃったんですが、余分でしたね・・・。
和ちゃんの出番のことを考えると夜も眠れぬ日々です。

>>37
ユダはけいおんより前に好きだったんですが、曲を聞いてて
唯と和の関係の象徴に使えるかなー、と思って使ってみました。



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和「ロバの馬車」
[ 2011/05/19 20:58 ] 日常系 | | CM(1)

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NO:2080 [ 2011/05/19 21:13 ] [ 編集 ]

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