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律「「復讐しよう」と唯は言った」#【第一章】:病院にて 【非日常系】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305339305/


律「「復讐しよう」と唯は言った」#index




11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:24:12.64 ID:tndRPGhQo


【第一章】:病院にて





14 名前:訂正:2011/05/15(日) 01:28:13.20 ID:tndRPGhQo


結局、私達が思っていたほど、唯は優しいやつではなかった。
毎日ニコニコしているわけではない。
こうやって恐ろしい言葉を口にするほど怒る事もある、普通の女の子だ。

律「二年も置き去りにするような奴らのこと、やっぱ許せないか」

唯「そりゃあ、ねぇ。仲間だと思ってたのにさぁ」

律「……私も手伝うよ。けどさ、腐っても仲間だ、あまりひどい事はしないでやってほしい」

唯「……ん~? じゃあ逆に聞くけど、りっちゃんは私の立場ならどうする??」

唯の立場…か。仲間から二年も置き去りにされた立場……

律「……私なら、諦めているかも知れない。
  復讐なんてしないで、唯と二人でどうにか細々とやっていくよ」

唯「そうかなぁ~?? 私なら全力だよ全力!
  どれだけ酷いことをしたか思い知らせてあげないと!」

律「ははっ、怖い怖い」

もちろん全然怖くない。いや、言ってることは充分怖いはずなのだが。
……怖い事を言う、というのがそもそも唯のキャラじゃないからだろう。
とはいえ、唯が本気だというのは充分に伝わる。
もっとも、そんな唯が本気を出したところでどの程度のものなのかもわからないけれど。

唯「でも、まぁそうだねぇ、ちゃんと反省して、
  謝ってくれればそれでいいんだし、そこまで酷いことをする必要はないよね」

律「そうだな。乱暴とかはゴメンだ」

唯「そしていずれは……またみんなでバンドやりたいね」

律「ああ…そうだな」

自然と同意してしまった。皆と距離感を感じていたはずの私が。
やっぱり、私は弱い。楽しかったあの頃を捨てられないでいる。
……でも。唯も同じ心境だったんだし、いいんだよな、弱い私でも。

唯「でもりっちゃん、さっき言ったよね?
  私と二人で細々と夫婦生活でもいいって。プロポーズ?」

律「脳内で綺麗に完結していたのにボケで蒸し返すな」




15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:30:37.37 ID:tndRPGhQo


唯「――そうそう、特に異常も見当たらないし、
  リハビリ済めば退院自体はすぐに出来るらしいよ。
  あとりっちゃん髪伸びた? 憂まだかなー」

点滴などの器具から開放され、
普通にベッドに上半身をもたれさせる唯はいつになくハイテンション。
とはいえリハビリという言葉が示すとおり、普通に動くことはまだ難しい。
さすがに二年近く寝たきりでは仕方ないだろう。

唯「ねーりっちゃん聞いてるー?」

律「…聞いてるから、落ち着いて話せ」

すぐ退院できるというのはいい事だ。
髪伸びてるのはお前の方だ。ちょっとエロいぞ。
憂ちゃんはまだ学校だ、ちゃんと行けって言ったのはお前じゃないか。

唯「そうは言うけどね。澪ちゃんあずにゃんはまだ許せないから、
  りっちゃんくらいしか話し相手いないんだよ。落ち着いてる暇なんてないよ」

律「あるよ。どうせ私は唯と同級生だ、時間はいくらでもある。
  あと今言われたから、ついでに復讐について細かい話もしておこうか」

唯「ん~? どんなこと?」

律「何をするのかとか、誰にするのかとか、
  ずっと二人だけでやるのかとか、終わりはいつかとか…」

唯「いろいろあるねぇ~。頭痛いよぉ」

律「お、おい、大丈夫か唯? 無理して起きてないで――」スッ

唯「やだなぁりっちゃん、モノの例えだって」

律「…………」

唯「りっちゃん?」

確かに、病み上がり相手だからといって過敏になっていたのは私の落ち度だ。
それを抜きにしても、頭痛を訴える唯を、思わず抱き抱えて楽な姿勢でベッドに寝かそうとして。
その身体の軽さにゾッとしてしまったのは、唯に対してかなり失礼だったと思う。



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:31:56.29 ID:tndRPGhQo

唯「うわっ、私すごい痩せてる!?」

律「っておい、今更かよ!」

唯「いやぁ、太る事もない体質ですとつい自分のカラダに無頓着になってしまいまして」

律「……とりあえず復讐とか言う前に、ちゃんと飯食わないとな」

唯「もっちろんだよ。早く憂のご飯が食べたいよ~。
  今ならりっちゃんのご飯でも食べられるよ! りっちゃんでも食べられるよ!」

律「食べられたくないし食わせてやる気も失せる」

やはりこのハイテンションにはついていけないな――とか思ってると、病室の扉が開く音がする。
憂ちゃんが来たのか。もうそんな時間――

紬「唯ちゃん私を食べて!」

憂「お姉ちゃん私を食べて!」

律「……ここが病院でよかったなお前ら」

唯「脳外科はあるのかなぁ?」

律「せっかく私が遠回しに言ったのに…」

っていうか病院では静かにしろ。



17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:42:25.75 ID:tndRPGhQo


唯「――まぁそういうわけで、憂、何か食べ物ちょうだい?」

憂「あ、うん、一応お見舞いの定番、フルーツならあるけど…」

歯切れの悪い憂ちゃん。心配する気持ちはよくわかる。
……昔、私の弟が両親と喧嘩して、一週間くらい水だけで過ごした事がある。
もちろん最後は弟が折れたんだが、弟は久しぶりに食べた食事をその場でリバースした。

まぁ、要は胃が弱りに弱っていたわけだ。ウチのバカ弟と比べるのは唯に失礼だけど、
それでも唯が食事を口にしていない期間は弟とは比べ物にならない。

律「……昨日、目が覚めてから何も食べてないのか?」

唯「りっちゃんに言われるまでおなか空いてるとか考えもしなかったよ。
  良く考えたらペコペコってレベルじゃないはずだよねぇ」

そうだ。そうなのに体が認識していなかったということは、
脳が空腹情報を遮断していたということ。たぶん。
つまり、やっぱり憂ちゃんの危惧するように。

律「それだけ食ってないなら胃が相当弱ってるはずだ。飲み物からにしたほうがよくないか?」

唯「ういだーいんゼリーとかいうギャグ?」

律「二番煎じにもほどがある。っていうかゼリーは分類的には食べ物だろ」

紬「そうなの?」

律「……たぶん」



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:48:57.16 ID:tndRPGhQo

憂「とりあえず…水? お茶? ポカリ?」

唯「病人といえばポカリだよね!」フンス

紬「任せて! 買ってくるわ!」ダッ

……なんでムギは進んでパシられようとしているんだろう。
っていうか病院で走るな。人の事言えないが。
あと余談だが私はアクエリアス派だ。

紬「買ってきたわ!」ビュン

律「瞬足でも履いてんの?」

紬「俊足のムギザウルス!」

律「早く渡すザウルス」

紬「はい唯ちゃん!」

唯「おー、ありがとムギちゃん」スッ

紬「っ…」ギョッ

あー、ムギも唯の腕見たな。骨と皮だけの腕を。
そして唯は唯で腕を伸ばしたまま固まってる…というか腕さえ伸ばしきれてないんだが…まさか?

律「無理するな、唯。ほらムギ、貸して」

紬「あ、うん……」

唯「あはは、ごめんね。なんか持ったら落としそうな気がして」

律「気にするな。憂ちゃん、念の為ゴミ袋か何か準備しといて」

憂「はい、ここに」サッ

律「さすが。じゃあほら唯、口開けて」

唯「んあー……」

………。

……その後、憂ちゃんのゴミ袋が大活躍して、テンパったムギがナースコールして、
勝手に飲み食いさせたということで医者のセンセイに私だけが怒られた。マジ理不尽。



19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 01:53:42.63 ID:tndRPGhQo



――結局、食事もリハビリも病院と唯本人任せにするしか道はなく、
当分は私達、さらに言うなら家族である憂ちゃんでさえも、
してやれることは話し相手になることだけだった。
ただ、唯本人が非常に意欲的に取り組んでいる、とは医者のセンセイからも聞かされている。
いいことだとは思うが、焦っているようにも見えない事も無い。



――ほぼ一日中唯の病室にいる私と、
学校を早めに切り上げてきている様子のムギ、そしてサークル後に毎日寄って帰る澪と梓。

唯が目覚めてから、旧・放課後ティータイムはよく顔を揃わせた。
ただ、『復讐』の話は今のところ二人きりの午前中にしか話題に上らず、故にロクに話も進まず。
更に唯は「実行に移すまでは澪ちゃん達とも仲良く振舞う」と言っていた。

唯の意図はわからないでもないし、そもそも弱い私達だ、そういう時間も楽しかった。
でも、復讐を誓った以上、どこか心の距離があり。

澪達も澪達で、唯の前では『唯のいない空白の二年間』の話題は避けているフシがあり。
『復讐』という暗い炎を宿す私達と、後ろめたい気持ちのある澪達。
そして間に挟まれるムギ。やはりどこかギクシャクしていた。

唯「あずにゃん猫耳つけてー」

梓「なんでですかっ!」

……いや、『達』ではなかった。唯だけはいつも通りハイテンションだった。
復讐を誓い、そのためにリハビリを重ね、ちゃんと食事も摂って身体を戻しながら、
毎日毎日唯は私にも澪達にも変わらぬ笑顔を振舞っていた。


――この時初めて、私は唯を怖いと思った。



20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 02:02:56.71 ID:tndRPGhQo


――そうして時は流れ、新年度が近づく。
大学の状況はというと、私とムギは立派に留年確定。
澪と梓は普通に進級しそう。そして驚いていいのかわからないが、憂ちゃんも留年確定。

これで来年度は私と唯と憂ちゃんが大学一年。ムギと梓が二年。澪が三年となる。
ひとりぼっちの澪が泣けば面白かったのだが、
澪は澪で唯が眠ってから驚くほどの精神的成長を遂げており、泣くことはなかった。

澪は今やバンドサークルの中心人物だ。有名人であり、
プレッシャーも責任も大きい立場なのだが、それを撥ね退けるほどの強さ、逞しさを持っている。

……なぜ、そんなにも成長したのか。
理由など尋ねるまでもないだろう。自分と比べると泣きたくなるけど。

唯「っていうか私、まだ大学に籍あるの?」

律「奇跡的にな。さわちゃんとムギのおかげだな」

唯「……ムギちゃん、そういうのイヤそうなのに」

律「愛されてるな、お前」

唯「そうだね……」

律「…ムギは留年も確定したことだし、復讐の対象からは外そうと思うんだ」

唯「りっちゃんがそう言うなら、私はいいよ」

律「唯だって、そこまで積極的に復讐したいわけじゃないだろ?」

私の意見に流されるとは、そういうことだ。
思ったとおり唯は一つ頷き、しかしそれでも言葉を続ける。

唯「でも、全てを無かったことには絶対にしない。
  澪ちゃんとあずにゃんの選択を、私は許せない。二年の重み、思い知らせてあげないと」

……唯の恨みは私にはよくわかる。
どうも私より唯の方が熱くなっているような気はするが、私も唯も『見捨てられた』立場にあるのだから。

とはいえもちろん、澪達の言い分もわかる。理解はしている。
澪達は澪達なりに、よくある『イイ話』風に、唯の気持ちを考えた。過去には囚われず、先に進もう、と。
……だがそれは、よくある『イイ話』の場合は、
決して唯は目覚めないのだ。あるいは唯が既に死んでいないと成立しない。

要するに、澪達は唯を『二度と目覚めない』と、死んだも同然と見捨てた形になる。
目覚めた今となっては所詮結果論にすぎないのだが。

……すぎないのだが、なまじ『見捨てきれなかった』私がいるせいで、
澪達は唯にとって『自分勝手』と映ってしまうのだろう。唯と私の温度差は恐らくここにある。

もしも私が澪達と共にあり、目覚めた唯が一人、後から追いかけてくるカタチの話なら、
唯は純粋に努力するだろうし、私達は皆で待つし、皆でフォローする。
よくある『イイ話』になっていたはずだ。

私が今のままだとしても、いっそ唯が目覚めなければ、
澪達は『悲しい過去を背負ったバンド』として有名になるし、
私と唯が復讐を誓うこともなかった。なんにせよ『イイ話』だ。

まぁ現実を見ると、私は落ちぶれていて、澪達は充実した毎日を送っている。
結局は『イイ話』の選択のほうが、人は幸せになれるのだろう。

だから、間違っているのは私で、きっと唯も間違ってて。
梓と澪が正しくて。それだけの話。たったそれだけの。
でも、それでも私は、安堵しているんだ。

唯の恨みを買わなかったことに。



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 02:22:23.61 ID:tndRPGhQo

第一章終了、出かけてくるわ
具体的にはローソンいってくるわ

何かの縁だし今日はりっちゃんうちわ狙いで行こう




21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/15(日) 02:10:59.82 ID:oKL4LzXSO

りっちゃん好きの俺にはつらいわー
でも面白いから最後まで読む



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県):2011/05/15(日) 02:12:51.83 ID:AV5oNTaMo

唯より律の方が深く静かに壊れているのではないかと……



24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/15(日) 02:23:13.92 ID:dM8FyBf7o

唯や律がいない間に別の凄腕ドラム入ってるし超有名バンドになっちゃって
唯の希望通りみんなでまたバンドできるのかな





25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/05/15(日) 17:08:57.41 ID:tndRPGhQo

りっちゃんうちわゲットしたけど唯ちゃんうちわ品切れワロタ



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律「「復讐しよう」と唯は言った」#【第一章】:病院にて
[ 2011/06/02 18:01 ] 非日常系 | | CM(0)

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