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唯「ポケモンマスターになるよ!」#23 【ポケモン】


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唯「ポケモンマスターになるよ!」#index




957 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:40:41.36 ID:NzpMTO1Mo


――41番水道

律「お、見えた。あれがタンバシティか」

オーダイルにサーフィンのようにのりながら、海を渡っていた律が前方を見た

律「意外に時間はかからなかったなぁ」

律がアサギシティを出発してから、それほどの時間は経過していなかった
律の感覚としては2時間程度。
その感覚が正しいか確かめようとポケギアを見れば

律「よっし、大体思ったとおり」

時刻は昼下がり
太陽が真上から下がろうとする時間帯だった
しかし、振り返り空を見れば雲がある
暗雲だ。
丁度ここへ来る途中見た、いくつかの島のあたりを暗雲が層を作っていた





958 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:41:39.57 ID:NzpMTO1Mo


律「もうちょっと遅かったら……」

雨の中あそこを通らないといけなかったんだろうなぁ、と言葉を作らずにに思う
そしてぶんぶんと首を振り

律「さぁ、ラストスパート頼むぞ、オーダイル」

言うと、オーダイルが速度を上げる形でその指示に答えた

律「はやくしないとな……」



959 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:42:32.57 ID:NzpMTO1Mo


――タンバシティ(タンバ薬屋)


律「え?夕方までかかるの……?」

タンバシティのフレンドリィショップ代わりともなっている薬屋で律が落胆の声をあげた。
律の前には年輩の老女が一人

薬師「うむ……症状は毒じゃったな? おそらく話しを聞くかぎりその毒は猛毒じゃろう……
    とするとその毒に効くクスリとなると強いクスリが必要なんじゃが、
    今そのクスリは作れないんじゃ……
    だから複数のクスリで補うしかないんじゃが、
    数をつくるとなると時間がかかってそれくらいになってしまうのぅ」

律「そんなぁ……」

薬師「急ぎのようかい?」

問いに律がコクリと頷いた

薬師「そうかい、それは困ったねぇ……
   少し前であれば大抵の毒に効く万能薬ともいえるクスリがつくれたんじゃがなぁ」



960 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:43:35.47 ID:NzpMTO1Mo


律「そうだ、さっき強いクスリは作れないって……! なんでなんだ?」

薬師「そのクスリを作るのにあるポケモンのトゲが必要なんじゃが、
    最近そのポケモンはうずまき島~アサギのほうに住処を移したらしくてのう……
    そのポケモンがタンバの付近であまりみられなくなってしまったんよ」

律「……しかたないか……はぁ……」

薬師「すまんのう……また夕方きてくれるかえ?」

律「はい、それじゃ……あ、ちなみにさっき言ってたポケモンって?」

律がショップを出ようとしたとき、顔だけ背中へと振り返り言った

薬師「あぁ、シードラと言って、こんな青い……」

律「!!」



961 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:44:15.68 ID:NzpMTO1Mo


薬師「なんじゃ?」

律「そのポケモン……持ってる。」

薬師「……本当か?」

律「あぁ、ほら」

律がモンスターボールを一つ取り出し老女の前へと差し出した
すると老女がボールを受け取り、その中を目を凝らし覗き込む

薬師「おお、このヒレのトゲの部分じゃ。これがあれば」

律「おっけー、なら。でてこいシードラ」

律がボールを真上に投げ、空中でシードラが放たれ下へと落下するが
そのまま腕を構えキャッチした

律「っと、水はないけど少し我慢してくれよ……」

シードラ「――」

薬師「ほう……少しそのままもっておれよ」

律「すまん、シードラ。少しトゲの部分もらうぞ」

言えば、シードラが律の手の中でコクリと頷き
それを見た老女がピンセットでシードラのヒレへと手を伸ばした



962 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:44:45.43 ID:NzpMTO1Mo


――タンバシティ


律「っと、シードラのトゲがあっても一時間はかかるのかよ……」

ポケモンセンターで回復を済ませた律はさきほどのことを思い出し呟いた。

律「さてと、この時間どうするかなぁ……」

何もすることがなく、ただ散策していた律は気付けば浜辺にまで出てしまっていた

律「うーん……ジムに挑戦したら時間が足りないよなぁ……」

呟いたそのとき、

――ポツリ

水の音が地面を叩いた。
雨だ。
空を見ればさきほどうずまき島の上空に見えた雲が真上にまで広がっている。
風も強く、雨はすぐに横雨となる。



963 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:49:19.56 ID:NzpMTO1Mo


律「ったく、最近濡れてばっかだなぁ」

そして律が浜辺から急ぎ足でポケモンセンターまで戻ろうかと思った時、
二つの異様な光景を見た

一つは波だ。
さきほどまでそれほど荒れていなかった波が、
今では砂浜の漂流物を一切さらおうとするまでの高波となっていた

もう一つは……

律「なんだあれ……」

浜辺、下半身だけ胴着のようなものをきた上半身裸の中年の男がいた
だんだんと強くなる雨に呼応するように波も高くなる。
その波際だ。その男が仁王立ちでなにかを待つような姿勢だ

そして律があぶないなぁと、そう注意の声を出そうとしたときだとした時だった
突如、海の方角、さきほどまでの波とは比べ物にならない高波が来た
その高さは目測で、およそ2mほど
浜とそこに立つ人を飲み込むには充分な波だ

律「……おいおい、なんで動かないんだ!! 危ない!」



964 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:50:32.02 ID:NzpMTO1Mo


だんだんと浜へと近づいてくる波にも動きをみせない仁王立ちの男へと叫んだ
だが、やはり男は動じずなんのアクションも起こさない

だから律は

律「間に合え、ストライク!!」

ボールから飛び出たストライクは早かった
瞬く間に距離をつめ、その男を目指し走っていく
だがそれでも、波に間に合うかギリギリというタイミングだ

そしていよいよ波があと数瞬で男もろとも助けにむかったストライクを飲み込もうとした時だった
さきほどまでまったく動じていなかった男が、手を動かしなにかを取り出したのを律は見た

律「あの丸いのは……」

律の見たもの、それは自分もよく見慣れていたもの。
赤く、丸い、モンスターボールだった



965 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:51:28.95 ID:NzpMTO1Mo




飛び出したストライクが男にたどり着く直前で足をとめていた
それを見ていた律が思わず息を呑んだ
そして男は

???「出ろ、ニョロボン!! 気合パンチじゃ!!」

呼応するように、男の手に持ったモンスターボールからポケモンが飛び出した
そしてすかさず波に向かって拳を構えると、
ただ一突き――その拳を振るっただけで……

律「……ありえねぇ……」

波が割れた。

男を中心に二つに別たれた波は、ただ回りの漂流物や岩石もぎ取りながらその威力を見せる。
が、男とその男の出したポケモン、そしてその男まであと少しといった距離にいたストライクは、
飲まれることなくその場に立っていた。

気付けば雨はやんでいた
まるでその男が波とともに悪天候すらも吹き飛ばしたかのように

そして男がこちらへと振り向き叫んだ

???「いやー、すまんかったのう!! これはいつものワシの修行じゃ。心配せんでもいいぞ」

そう言ってガハハと豪気に笑った男が、律を手招きよせた



966 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:52:15.78 ID:NzpMTO1Mo




シジマ「ガハハ、いやぁすまんすまん。
     ……にしてもよく鍛えられたストライクだな。
     あそこからここまであのスピードで来るとはの」

シジマと名乗った男が、律の横に立ったストライクを一瞥してから言った
少し話してみるとどうやらシジマという男は、
荒れた天気の時には今みたいな修行をしているとのことだった

律「……ったく……修行かよ」

と、ぼやいた律の言葉はシジマの耳にははいらなかった
なぜならシジマはアゴに手をあて、ストライクを眺めながらなにか考え事をしていたからだ

シジマ「……うむ、少女よ。一つ提案がある」

なにかを考えていたシジマが律へとそう言いながら、指を立てた

律「?」



967 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:53:10.19 ID:NzpMTO1Mo


シジマ「ここで一戦ワシと戦ってみんか?」

律「ポケモンバトルかっ!!……って駄目だ」

一瞬テンションの上がった律だが、すぐに肩を落とした
その様子を見たシジマがなぜと問いかけると

律「私はあと一時間くらいでこの島をさらなきゃならない。急ぎの用があるんだ」

シジマ「ふむ、一時間か……ならどうじゃ、1対1の勝負で。
     交代はなし。時間が来たときに決着がついていなければ引き分けということで」

律「……うん、それならなんとか」

シジマ「よし、決まりじゃな!! ガハハ、まぁ心配はいらん。30分で終わらせてやるからのう」

律「……言ったな」

シジマ「ワシはこのニョロボンで行くとしよう」

律「……!! なら私はこのストライクで行く」

律が咄嗟に言葉を返す
舐められたというほどではないが、やはり対等でやりたかったからだ



968 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:53:46.49 ID:NzpMTO1Mo

シジマ「ガハハハ、その負けん気いいなぁ。しかし、こちらも勝負は負けん。
    そうだな、修行に付き合ってもらう礼としては、ワシに勝てればジムバッチをやろう」

律「……ジムリーダー!!」

驚きの反応を見せた律にシジマが言う

シジマ「なんじゃ知らんかったのか」

律「……あ、あぁ」

シジマ「萎縮したか?」

すると律が首を横に振った
そして不敵に笑い

律「いいや、俄然やる気がでてきた」



969 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 00:59:39.40 ID:NzpMTO1Mo




闘いの始まりは律からだった。

律「ストライク、高速移動」

今まで敵のニョロボンを見据えていたストライクが消える。
そして現れる場所は、ニョロボンの真後ろ。
ニョロボンの反応はない。
だから

律「もらった、れんぞくぎり」

ストライク「――!!」

背中を目掛けた一振りが走った。
完全な不意。ニョロボンの意識の外の攻撃だ。
だが

シジマ「みきれよ、ニョロボン」

背中側から振り下ろされる一撃。
それに対してニョロボンが取った行動は簡単なものだった。
自分の体へ届く前の刃。その側面へ手のひらをかざし、体の外側へと押し出す。
ただそれだけの行為。
だが、それを背中側をも見ずに腕と手の動きだけで行った。

ストライク「!?」

ストライクの鎌が受け流されるまま地面へと刺さった。



970 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:00:54.03 ID:NzpMTO1Mo


律「――!! なんだ!?来る攻撃が分かっていたのか」

その質問への答えはない。
その代わりに

シジマ「ニョロボン、気合をためろ」

律「!!」ゾクッ

ニョロボンが拳を構えた直後、律の背中に寒気のようなものが走った。

律「かげぶんしん!!」

シジマ「……ほぅ……察したか」

とっさにストライクが、地に刺さった鎌を抜きステップを踏んだ。
ニョロボンを囲むように、走り出したストライクが影をそこへと置いていく。
1つ……2つ……3つ……ニョロボンの周りに三体のストライクが現れる。
だが、さらにその3体はスピードを上げ、
その倍――6体のストライクをニョロボンの目に映し出した。

律「(よっし……これでピンポイントにうつ打撃などは当たらない……)」



971 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:01:43.31 ID:NzpMTO1Mo


シジマ「今、安堵の顔を作ったな?」

シジマが口端を吊るすように上げ

シジマ「それが隙に……っと」

と言いかけたところでシジマがさらに声を張り上げた。

シジマ「じごくぐるま!!」

律「(なんだ……あのニョロボン今一瞬目を閉じた?)」

見間違いか、と律が思った、直後。
ニョロボンが浜の砂を蹴り、走った。
そのさきには一体のストライクがいる。

律「まずい!!」

と思った時にはすでに遅かった。
ニョロボンはストライクの本体を地面へと引き倒し、車輪のように転がり投げた。

シジマ「フハハ、本物だったようじゃな!!」

律「……っく、ストライク、体制を立て直せ」

投げられたストライクは地面を滑りながらも、立ち上がる。



972 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:04:15.22 ID:NzpMTO1Mo


シジマ「ふぅ……なかなかやりおるが、甘いな」

律「……さっきのはこころの目か」

シジマ「ほう、分かったか。ならばたった今の言葉を撤回しよう」

律「っく……」

その言葉にすらも悔しさを感じる。
相手は今、自分の上にいるつもりでいる。
たしかに今までの攻防では相手のほうが一枚上だった。
だが、まだ終わっちゃいない。

だから――

律「ストライク!!」

ストライクが今度はニョロボンへと真正面から切りかかりにいった。
速さだけに任せた押しだ。



973 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:06:20.61 ID:NzpMTO1Mo


シジマ「みきり!!」

だが、その一言だけでニョロボンは幾応にも重なる太刀を最小限のうごきだけで避けていく。

律「くそ、ストライク!!」

その呼びかけでストライクが律の目の前へと戻った。
ニョロボンの追撃はない。
そして律が一息、大きく息を吐いた。

シジマ「退くべきところはわかっているのか、申し分……」

シジマの感心した声を遮るように律が言葉を紡いだ。

律「攻撃を見切られる理由がようやくわかったよ……さっきので」

シジマ「……」

シジマの答えはない。
だが、それはまるでその先を促しているようで。



974 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:08:47.03 ID:NzpMTO1Mo


だから律は

律「さっき私が嫌な予感を感じて、
  ストライクにかげぶんしんを命じた。あれと一緒だったんだな」

 「ようはあんたとあんたのニョロボンは私のストライクの攻撃の一々に
  嫌な予感みたいなものを感じ取ってるんだな?」

 「アンタの場合、経験でそれを捉える範囲がハンパないんだ」

律が言い切ったときシジマが咆えるように笑った。

シジマ「大したもんだな!! そう攻撃とはつねに気配を持ちながら行われるもの。
     よほどの訓練をつまなければ気配を消した攻撃などできん!
     ゆえにワシらはそれを感じ取り応じる。
     それが武の力。ゆえにワシのタイプは格闘! 格闘のエキスパートじゃ!」

律「へぇ、そこまでいっていいのかよ」

シジマ「かまわん! だが、どうする少女よ。攻撃を当てなければ勝てはせんぞ」

律「分かってるさ。ようは分かってても避けられない攻撃をすればいい。そしてそれは速さだ」

シジマ「ほぅ……ならばワシは力を持ってそれを制そうか」



975 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:13:11.69 ID:NzpMTO1Mo


言ったシジマがこちらへと手の平を向け

シジマ「見ていろ、これがワシの力じゃ。ニョロボン、気合をためろ!!」

そして律は見た。
ニョロボンの構え。それはさきほどいやな予感がしたあの構え。
ニョロボンが拳を高く振り上げ

シジマ「――気合パンチ!!」

真下へと振り抜いた。
地面を穿った拳が浜辺の湿りを帯びた砂を巻き上げる。
そして穿たれた地面。そこに大きな穴があった。

律「!!」

それは幅としては大きいものではない。
驚くべきは深さにあった。
だいたい大人が二人ははいれてしまいそうなほどの穴だ。
そしてそれはニョロボンの攻撃の威力を表していた。



976 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:13:45.98 ID:NzpMTO1Mo


律「これが波を割った力……」

シジマ「うむ。 そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」

律「律」

シジマ「そうか、律よ。この力を前にしてもさきほどの言葉をいえるか?」

律「……あぁ……だからと言って私がやることは変わらない。その力を制してやるよ」

シジマ「ガハハハ! 面白い!」

律「ところでいいのかよ?」

律がニヤリと笑った

シジマ「なにがだ?」

律「もう30分は過ぎようとしてるぞ」

シジマ「……言いよるわ!!」

シジマもニヤリと笑みを浮かべ返した。


――そして再び場が動き出した



977 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:14:25.49 ID:NzpMTO1Mo




浜を駆ける音が聞こえる。
走り、跳び、踏み込み、そして攻撃する音だ。
そしてその音に交じり合うように声も聞こえる。

律「ストライク、スピードをあげろ!!」

2つの人影と2つのポケモンの影。
その人影の一つから声が上がった。
応じるのはその人影の前にいたポケモンの影。

――

ストライクとニョロボン。
2匹のポケモンがこの砂浜で攻防を繰り広げる。
片方が拳を穿てば、片方はその後ろへと回り込もうと宙へ跳び。
片方がその刃できりつけようと刃を立てれば、片方は体をそらすことでいなし

律「つるぎのまい!!」

シジマ「ほう……速さといいながら、力も上げるか。貪欲な」

だが

シジマ「悪くない」



978 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:15:03.86 ID:NzpMTO1Mo


ストライク「――!!」

シジマはストライクが応え、咆えるのを聞いた。
次の瞬間、ストライクが宙へと飛び上がった。
そして空でその羽で羽音を響かせ、地へと降り、また舞う。
剣の舞――それはまさしく闘いの舞い。己を鼓舞するための舞いだった。

シジマ「ニョロボン、バブルこうせんだ」

距離を取りつつも舞うストライクに対しての攻撃は泡による攻撃だった。
いくつもの泡がストライクへ向かい弾けていく。
大したダメージにはならない。
しかし、その泡の攻撃は舞の最中のストライクの気を散らしていく。

シジマ「ニョロボン、こちらもビルドアップだ!!」

ニョロボン「ニョロ!!」

律「こうそく移動!!」

ストライク「――!!」



979 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:15:46.27 ID:NzpMTO1Mo


ニョロボンの筋肉が膨れ上がり、ストライクが地を駆けスピードを上げていく。
そしてストライクが不意にニョロボンの後ろに現れた。
最初の攻防の時と同じだ。

律「れんぞくぎり!!」

シジマ「みきれ」

やはりその攻撃は最初と同じ結果だった。
ニョロボンが手のひらで刃を受け流す。

シジマ「かわらわり」

すかさずシジマがニョロボンに指示をだす。
ニョロボンが今度は手刀を作ると、刃を地面に振り下ろしたストライクへと向けた。

律「かげぶんしん!!」

シジマ「むだじゃ、こころのめ!!そして穿てばくれつバンチ」

ストライクが先ほどの6体の分身よりもさらに多い分身を作る。
数にして12.先ほどの倍に当たる数だ。
だが、ニョロボンはやはり一直線に本体を見抜き、そこへ向けてこぶしを放った。



980 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:16:35.22 ID:NzpMTO1Mo


律「っく!!」

ストライク「――!!」

その拳の突きに対してストライクが後ろへと退いた。
ニョロボンの手の届かぬ位置。
そこへとバックステップした。

シジマ「む、なかなか速いな。まだ上がるか?」

その質問に律は答えない。
だが、ストライクの行動がそれを示していた。
もう一度、浜を走る。
さきほどよりも速く、そしてするどさを増して――



981 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:21:57.44 ID:NzpMTO1Mo




最高速はまだ遠い
そうストライクは思う

まだ上がる。まだ出せる。主人は自分の速さを誇った。
ならばそれに応えなければいけない

だから


――行った



982 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:22:28.10 ID:NzpMTO1Mo




再び、ストライクの姿がニョロボンの後ろに現れた。

律「れんぞくぎり」

シジマ「なんどやればわかる!!!」

やはりその攻撃もあっさりと受け流される。
そしてさきほどの繰り返しだ。

相手のニョロボンの動きは速いわけではない。
だが、こちらの攻撃が通じない。
何故か? そう律は考える。
そしてそれは
……相手の予想内だからだ。

ストライクの速さはすでに充分速い。だが、足りない。

……もっと

律「ストライク!!」

浜を駆けたストライクが今度は一直線にニョロボンへと向かった。
真正面――そこから刃で斬りかかっていく。
近接戦闘。



983 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:23:10.80 ID:NzpMTO1Mo


ストライクのリーチとニョロボンの近接でのリーチは似たものだ。
わずかにストライクのほうが長いが、それでも状況はかわらない。

刃は拳で受け止められる。
拳は刃で受け止められる。
互いが互いに決定打のないままに近接での攻防をしていた。

……もっと

だが、わずかな間の0距離の戦闘。
はじめに間を取ったのはストライクだった。
攻撃した刃、そのかえす刃とともにストライクがバックステップで距離をとった。
つまりそれは――危機感を感じたのはストライクのほうということだった。

……もっと

距離をとった直後ストライクがニョロボンの周りを再び走り出す。
すでに視界には捉えられないレベルだ。

律「……そうだ、もっと速度を上げろ、ストライク!!」

ストライク「――!!」



984 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:23:41.55 ID:NzpMTO1Mo


音にならない鳴き声が上がる。
ただひたすらに速度を上げ、走り、相手を捉え、回り込み

そして

律「れんぞくぎり!!」

シジマ「すでに見切られるだけではすまんぞ!!」

さきほどの再生にはならなかった。
ストライクが回り込んだ段階で、ニョロボンがストライクの腕をとった。
そしてそのまま地面へとたたきつけてから、
自分の体を車輪のように回しストライクを巻き込みながら。

シジマ「じごくぐるま!!」

律の前へと投げた。

律「ストライク!!」

シジマ「ふむ……これでおわりか」

律「いや……まださ」

シジマ「!?」

そう言ったシジマが見たのは再び立ち上がるストライクだった。



985 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:24:57.39 ID:NzpMTO1Mo


シジマ「ガハハハ、いいぞ! まだやれるのか!! いけ、ニョロボン」

今度は距離をつめたのはニョロボンだった。
地面を蹴り、立ち上がったばかりのストライクへと接近する。

シジマ「穿てよ――気合パンチ!!」

ニョロボンがストライクへと近づきながら、こぶしを構えた。

律「なっ、まずい。よけろストライク!!」

ストライク「――!!」

その声にストライクがいち早く反応し、ニョロボンの真上、上空へと跳び上がった。

律「(よしっ……逃れた)」

シジマ「さっきも言ったな。それが隙だと」

その言葉に律がシジマとニョロボンを見た。
シジマがニョロボンと呼応するように拳を作る。

律「(拳!? そんなまだ撃つきか!?)」

その数瞬の攻防、ニョロボンは真上へと跳んだストライクを見ていなかった。
見ていたのは――

律「(――地面!!)」

「まずい!!」



986 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:25:45.97 ID:NzpMTO1Mo


ニョロボンが地面を穿った。
そしてその結果巻き上げられるのが砂だ。
砂は真上へと礫のように舞い上がり、ストライクを射ち落とす

そして

シジマ「これでしまいじゃぁ!!」

ニョロボン「ニョロ!!」

なんとか着地したストライクの真後ろ、そこにすでに拳を作ったニョロボンがいた。

シジマ「気合パンチ!!」

律「あぶない、ストライク!!」



987 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:28:50.14 ID:NzpMTO1Mo




叩き落された。

主人の声が聞こえる。
それは危ないと告げる言葉だ。

後ろにいるのは、ニョロボンだろう。
嫌な予感は背中からする。

速度――結局速さは足りなかった。
最高速だったのだろうか?
どうだろうか?

疑問は自身へと還った。

そして思うのは、まだ最高速ではないということだ。
なぜならまだ足は動く。ならばまだ戦える。

だからこそ反応しろ。
背中だ。背中から嫌な予感がするのならば前へと進め。

一歩、その最速で

――行った。



988 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:29:52.20 ID:NzpMTO1Mo




次にシジマが見たのはニョロボンの拳が空を撃った姿だった。
さきほどまでそこにいたストライクはいない。
なら、どこに? と思いさらに前を見るとそこに

ストライクがいた。

シジマ「移動したのか、あの場所からそこまで!?」



989 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:30:35.67 ID:NzpMTO1Mo




その姿を律だけは見ていた。
ニョロボンの拳から逃れる、その瞬間を
そして今までとの違いを


律「高速移動だ!!」

ストライクがニョロボンの周りを同じように駆け抜ける。
残像を数えてみれば、2桁の数だ。

シジマ「さきほどよりも速いな!!これは……背中の羽せいか!!」

ストライクの背中、さきほどと違う動きがある。
今までストライクの移動は足だけで行われていた。
だが、今は

律「いけ、ストライク!!」

羽ばたきがストライクの一瞬のスピードを爆発的に上げていた。
ストライクのスピードがさらにます。

すでに目視できないレベルだ。



990 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:31:24.48 ID:NzpMTO1Mo


そして

律「――ストライク!!」

シジマ「来るぞ、ニョロボン!!」

律の声に応じるようにストライクが行った。
それも今度は後ろにまわるのではなく――真正面からだ。

ニョロ「――!?」

律「れんぞくぎり!!」

れんぞくぎりの5刀目。それは最速の一撃だ。
その最速の一撃が、不意に目の前に現れ焦るニョロボンを襲う。

一閃。

ニョロボンのうずまき状の模様の見える体へとぶち込んだ。
そして次の瞬間、ニョロボンが後ろへと倒れこんだ。

シジマ「……ガハハハ、ワシの負けか!!」



991 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:31:50.99 ID:NzpMTO1Mo




シジマ「ほれ、これがショックバッチじゃ」

律「ありが……」

シジマ「あぁ、いい。そういう挨拶はいい。
    それよりもうすぐあれから50分じゃぞ。急がなくていいのか」

律「え? あぁー!!」

シジマ「ほれ急げ急げ」

そういってシジマが慌てながら走っていく律を見送った

シジマ「さてと、ニョロボン。また修行の日々だぞ」

ニョロ「ニョロ!!」

シジマ「ガハハ、それでこそワシのポケモンじゃ」



992 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:32:37.33 ID:NzpMTO1Mo




なりゆきでジム戦を終えた律は、クスリを受け取りまた浜まで出ていた。

律「帰りもやっぱり波乗りだよなぁ……」

そうぼやいた時、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。

???「律さーん!!」

聞きなれた声に振り向くとそこには

律「ゴールド!?」




「VS ニョロボン 〆」




993 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/30(月) 01:33:46.17 ID:W3WNOZDIO

乙!
ストライクかっけぇwww



994 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東):2011/05/30(月) 02:21:49.65 ID:EUodHFRAO





995 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/05/30(月) 03:10:09.96 ID:7rc2ZtxQ0





996 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/05/30(月) 09:00:33.08 ID:eFmzHtNAO

更新ありがとうございます!



997 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/05/30(月) 11:33:45.13 ID:ay7wN4O8o

乙です





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タイトル:
NO:6098 [ 2012/03/28 19:54 ] [ 編集 ]

乙です。最近読み始めました。次の話はいつごろUpするんですか?

タイトル:
NO:6099 [ 2012/03/28 20:20 ] [ 編集 ]

> 乙です。最近読み始めました。次の話はいつごろUpするんですか?

以後はスレが立ってないので未完結ということになりそうです。
未完結と明記しておくべきでした。すみません。

タイトル:
NO:6109 [ 2012/03/29 02:47 ] [ 編集 ]

>6099
そうですか、残念です・・・

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