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唯「グリプス戦役!」#第十四話 羽化! 【ガンダム】


ニュー速VIP避難所(クリエイター) より

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1284974948/l50


唯「グリプス戦役!」#index




283 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:02:02.38 ID:KpYFPDso


第十四話 羽化!

紬は、帰ってくるなり唯と梓を自室に呼んでいた。

紬「二人共、お疲れ様。」

テーブルには、チューブに入ったお茶と、入れ物に入ったクッキーが貼りつけてある。
唯と梓は、どうしていいかわからないといったふうに、それを眺めている。

紬「さ、頂きましょ。美味しいわよ。」

紬がお茶の入ったチューブを口にすると、唯と梓もそれに倣う。
二人の顔が、少しだけほころんだ。
紬はそれを見て、うれしくなって、聞いた。

紬「唯ちゃん、梓ちゃん、美味しい?私が一生懸命心を込めていれたのよ!」

唯が、頷いた。





284 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:02:41.75 ID:KpYFPDso

梓は、頭を抱えている。

過去の記憶を消され、それを利用して強化された梓は、
過去のことを思い出そうとすると頭痛による拒否反応が起こるようになっている。
紬はあわてて、梓に言った。

紬「梓ちゃん、昔のことは思い出さなくていいのよ。これからのことを、考えましょう。」

梓「これからの…事ですか?」

紬「そうよ、これから、思い出を作るの。このティータイムが、梓ちゃんの思い出になるのよ。」

紬「これから、毎日お茶を飲んで、おいしいお菓子を食べて、お喋りするの。楽しいわよ。」

梓「…」

紬「それで、戦争がおわったら、みんなでもっと楽しいことをするのよ。」

梓「もっと、楽しいこと…?」

唯「もっと…楽しいこと?何?」

紬「海に行って泳いだり、山に行ったり…
  それで、また、みんなで音楽をやりましょう…また…みんなで…」



285 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:03:14.87 ID:KpYFPDso

梓「ムギ先輩…泣いてる…」

唯「ムギちゃん…どうしたの?」

そう言われたとき、紬は初めて自分が涙を流していることに気がついた。

紬「違うのよ…これは違うの…ちょっと熱いから、汗をかいてるのよ…」

梓「エゥーゴが悪いんですね!!奴らが空を落とすから、ムギ先輩が泣くんだ!!」

唯「嘘つき和ちゃんがムギちゃんを泣かせた!!許さない!!」

紬「違うの…違うのよ…二人共、落ち着いて。」

その時、紬の父が部屋に入って来た。



286 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:03:48.29 ID:KpYFPDso

紬「あ…お父様…」

紬父「お前、一体何をやっているんだ?」

紬「あの…みんなの労をねぎらって…お茶を…」

紬父「強化人間にそんな事は必要ない。」

紬「でも…」

紬父は、もう紬のことなど相手にしていない。

紬父「おい、強化人間ども、それぞれの部屋に帰れ。」

唯梓「了解。」

二人が操られているように部屋を出て行く。

紬「あ…二人共…待って…」

紬父「お前、変な感情に惑わされているらしいな。この前も再強化の邪魔をしたとか…。」

紬「そ…そんな事は…」

紬父「作戦以外で強化人間に近付くことを禁ずる!」

それだけ言って、紬父は出て行った。
紬の視界に映る冷めたお茶と食べかけのお菓子が、涙でぼやけた。



287 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:04:22.23 ID:KpYFPDso

状況は、めまぐるしく動いている。
毎日ブリーフィングルームに呼び出され、
そのたびに違うことを言われ、純は飽和気味だった。

艦長「ジャミトフが暗殺された。ハマーンがやったらしい。
   新しくティターンズの実権を握ったのは木星帰りのパプテマス・シロッコだ。
   奴がアクシズへの報復を叫んでティターンズとアクシズが潰し合いをやってくれた。」

純「この間、エゥーゴのメラニーさんがアクシズと接触したんですよね。その関係ですか?」

艦長「分からんな。そのゴタゴタで、グリプス2をアクシズが完全に掌握しちまった。
   それをこっちが奪おうって作戦がある。」

和「威力は超大ですが、防衛に戦力を大量に割かれる、諸刃の剣のような兵器ですね。
  奪えたとしても、その後が心配です。」

艦長「しかしこいつを使えれば、戦いに決着がつく。後の事は、上が考えることだ。」

和「分かりました、従います。」



288 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:05:03.68 ID:KpYFPDso

姫子「どんな作戦になるんですか?」

艦長「グリプス2を我が艦隊で渦のように取り囲み、傷をつけんように奪取する。
   名づけてメールシュトローム作戦だ!!」

純「名前だけはカッコいいですね。」

艦長「とにかく準備をしておけ、今度の敵はアクシズだ。
   敵の主力MSであるガザ・タイプのデータもあるから、シミュレーターで癖を掴んでおくように。」

和純姫子「了解!」



289 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:05:41.79 ID:KpYFPDso

シミュレーターをやりに、MSデッキへ向かう。
純は、まだ頭の整理がついていなかった。

純「なんか三つ巴の戦いって分かり辛いです。」

姫子「それでブリーフィング中に難しい顔してたんだ。」

純「よく分からないのって、振り回されているみたいで嫌ですね。」

姫子「あたしの考えでは、真の敵はアクシズだと思うよ。前の戦争で撃ち漏らした敵なんだし。」

純「そうですね…」

姫子「でも連邦軍内部で内輪揉めをしている隙を狙って
   アクシズが出てきちゃったってことじゃないかしら。
   だから取りあえずティターンズという目の上のこぶを取り除いてから
   アクシズを叩きたいってのが連邦軍の考えだと思うな。」

純「先輩、頭いいですね。」

姫子「まあ、あたし個人の考えだけどね。でもあたしはあなたの方がすごいと思うけど。」



290 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:06:12.20 ID:KpYFPDso

純「私ですか?」

姫子「この前の戦闘、あなたが速すぎて掩護しきれなかったし。ホント成長したわよね。」

純「そう言われると嬉しいです。」

姫子「まあ、あなたはそうやって自分の出来ることをしっかりやってればいいと思うよ。
   難しいことはあたしと真鍋さんで考えてあげるわ。」

純「ありがとうございます。おかげですっきりしました。」

姫子「まあ、たまには先輩らしいこともしないとね。」

言い終わると、二人はほぼ同時にゼータプラスのコックピットに滑り込んだ。
シミュレーターを起動する純の目に、もう逡巡はなかった。



291 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:06:45.80 ID:KpYFPDso

紬は湧き上がる怒りを抑えこみ、父の前に立っていた。

紬父「ジャミトフがやられて、バスクが死に、
   新たにティターンズの実権を得たのはパプテマス・シロッコとか言う若造だった。」

紬「はい…」

紬にとって、そんな事はどうでも良かった。
取りあえず返事をしているだけだ。
そんな事はお構いなしに父が続ける。

紬父「エゥーゴがアクシズからグリプス2を奪う作戦を実行している。
   取りあえず我が方はこれを静観しようと思う。
   シロッコが何を考えているのかも分析したいしな。」

紬「分かりました。」

紬は、父の部屋を出ると話の内容をすぐに忘れた。
自室に入ると、すぐにベッドにうずくまった。

お茶会を父に発見されて以来、唯や梓と会うことが出来なくなっていた。



292 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:07:39.32 ID:KpYFPDso

それでも一度だけ、会いに行ったことがある。
二人に会わせて欲しい、と涙ながらに訴えたが、頑として受け入れられなかった。

無理矢理部屋に入ろうとした時、スタンガンが体に押し付けられ、自室に連れ戻されたのだ。
体を走り抜ける電流に体の自由が奪われたとき、
紬はこの道具で二人を制御していた自分を心底嫌悪したものだった。



293 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:08:12.16 ID:KpYFPDso

取り留めの無い思考がだらだらと続く。
心の一部が、崩れていく。
二人に会えないことで、紬の心は急速に壊れていった。

崩れたからと言って、心がなくなるわけではない。
崩れた薄皮のその下に、黒々とした新しい心が現れるのだ。
羽化のようなものだ、と紬は思った。
羽化が終われば、新しい自分が生まれるのだろう。

もう、何もする気が起きない。
シャワーを浴びることでさえ、億劫なのだ。
羽化が始まっているとは言え、
自分はまだ蛹の姿をしているのだから、動きたくないのは当たり前だ、と思った。

自分の心がまた、音を立てて崩れたような気がした。
そのたびに、口元が緩んでフフッと笑みが漏れる。

紬「今、この瞬間にも死んでいる人がいるのよね…」

そう言うと、突然可笑しくなってきて、声を上げて笑ってしまう。

紬「私は、みんながいてくれるから、大丈夫…」

何の脈絡もない独り言をつぶやき、また笑った。
自分でもおかしいと思うが、そんなおかしな自分が、紬にとって心地良かった。

もっと、おかしくなろうと思った。

この日、紬のベッドから笑い声が止むことはなかった。



294 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:08:44.33 ID:KpYFPDso

ガザの練度は、低かった。
和たちの敵ではない。

和「徐々に包囲が狭まっていくわ。戦線を維持!!」

グリプス2の宙域にあるアクシズ艦艇は少ない。
ゼダンの門にアクシズが衝突したさい、
艦艇が急いでバラバラにアクシズから脱出したため、まだ集結しきれていないのだ。

艦長「メガ粒子砲、左舷のムサイに火線を集中しろ!!」

砲撃を受けた敵艦が沈む。
別の部隊がマイクロウェーブの受信パネルを破壊し、
電気系統を沈黙させた、という情報が入ってきた。

和たちの仕事には直接関係はないが、作戦が予定通り進行している、という目安になる。



295 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:09:12.31 ID:KpYFPDso

艦長「しかしこんな簡単にグリプス2を放棄するのか?アクシズは。」

艦長は、敵の抵抗が弱すぎることを訝しがった。

艦長「ジオンってのはこんなに練度が低いはずではないんだがな…。」

和達が敵艦に纏わり付いている。
敵艦からは火線がハリネズミのように出ているが、
それがゼータプラスをかすめることは永久に無いような気がする。
どう見てもうろたえ弾だ。素人の戦いである。

その時宙域のどこかでは、敵の旗艦から発艦した白いMSが味方のゼータガンダムと絡み合っていた。
和達はそちらの方向にざわざわとしたものを感じた。



296 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:09:57.34 ID:KpYFPDso

和は、唯の声が聞こえた気がした。

和「何?…唯なの?」

純は、光を感じた。

純「あっちに…何が…?」

姫子は、得も言われぬ不安を感じた。

姫子「なんだろう…これ…?」

艦長には、故郷の両親がそろそろ嫁でも貰ってくれ、と懇願している声が聞こえた。

艦長「何だ…?幻聴か…?…って余計なお世話だ!!」

我に帰ったとき、敵艦隊は撤退を始めていた。

艦長「終わったか…しかし、今のは一体なんだったんだ…?」

確かに、おかしな感覚が宙域を包んで、皆が一瞬止まった。
アーガマにはニュータイプがいるというが、それが何かをしたのだろうか。
カキフ・ライ隊のメンバーに分かることでは無かった。

目の前には、味方の手中に収められたグリプス2が、宇宙空間に静かに浮かんでいる。
艦長はそれを、信じられないような気持ちで眺めていた。



297 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:10:33.18 ID:KpYFPDso

ガチャリ、とドアを開けると、二人の少女が何かを待っている様子だった。
そのうちの一人が紬に縋りつく。
どうやら自分を待っていたらしい。

「けいおん部に入りませんか?」

このこは、りっちゃん

律「今部員が少なくて、お願いします。後悔はさせまs」

律は襟首を掴まれ、後ろに引っ張られる

「そんな強引な勧誘したら迷惑だろ!」

このこは、みおちゃん

それから、ゆいちゃんがきて、あずさちゃんがきて…

人生で一番たのしかった時間。

紬は、嬉しくなった。しかし、目頭が熱くなってくる。
涙!?うれしいはずなのに…何故!?

楽しかった…? 過去…?



298 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:11:13.47 ID:KpYFPDso

目を開ける。薄暗い部屋だ。
現実が、徐々にその輪郭をはっきりとさせる。
それに伴い、絶望が紬の心の中で実体化していく。

紬「また…同じ夢…?」

上半身を起こし、深い溜息を付いた。
そして、夢にまで苦しめられる自分を呪い、馬鹿にしたように笑った。

最近は、いつもこうだ。
食事すら取ることは稀である。
そして、取りとめのない思考の海に沈んでいくのだ。



299 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:11:48.01 ID:KpYFPDso

目を閉じる。

私には、友達がいなかった。

でも、高校に入ったら、すぐに友達ができた。

友達と、しあわせなひとときを過ごした。

でも、今は一人ぼっち。

それは、昔に戻っただけのこと。

だけど、みんなとの記憶がある限り、昔に戻るのは悲しいはず。

でも、悲しくはない。

二人のお人形さんがいるから。

唯ちゃんと、梓ちゃん。

私の、大切な、宝物。かわいい、お人形さん。

紬が目を開けると同時に、斉藤が部屋の扉をノックし、言った。

斉藤「お嬢様、出撃にございます。」

紬の口元が、歪んだ。
そこにいるのは人の形をした、すでに人ではない何かだった。

心の羽化は、すっかり終わっていたのだから。



300 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:12:50.81 ID:KpYFPDso

第十四話 羽化! おしまい

今日はここまでだな。

明日でこの過疎スレも終わりか…




301 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:26:05.02 ID:yCZbnEAO


今回は飛ばすなあ。ありがたいけど



302 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/26(日) 21:29:28.63 ID:YWeeEjUo


とうとうクライマックスか・・・





303 名前::2010/09/27(月) 19:40:07.79 ID:COaJwCIo

和「唯、どうしたのよ?」

唯「和ちゃん、苺が食べられたんだよ…和ちゃんが盗ったんだよ!!」

和「だから私のクリをあげるっていったじゃない。」

唯「ケーキのハートなんだよ!頂上だよ!!」

和「唯の中だけでしょ。」

唯「苺は力なんだよ!このショートケーキを支えている物なんだよ!
  それを…それを…!こうも簡単に食べられることは、それは…それは酷い事なんだよ!!」

和「…それは、悪いことをしたわ。」

唯「何が楽しくて苺を取るんだよ…和ちゃんのような奴は変だよ!生きていちゃいけない人間なんだよ!!」

和「そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね。」


唯「…ヤザンの真似をして欲しかったのに、和ちゃんノリ悪いなあ…最終回投下しよ…。」



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唯「グリプス戦役!」#第十四話 羽化!

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