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唯「七人の侍!」#前編 【クロス】


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唯「七人の侍!」#前編
唯「七人の侍!」#後編





1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 16:41:15.64 ID:eDovQ6mK0

代理
ID:OB8OCWUXO





5 名前:代理ありがとう!:2011/06/05(日) 16:45:11.00 ID:OB8OCWUXO

時は戦国───

強きが生き、弱きは死ぬ……そんな波乱の時代の中、一つの小さな村があった。

純「もう……終わりだよ……」

頭がもふもふとした農家の娘が項垂れる。

村人「くっ!」

村人「そんなもん持って何しようってんだ!」

村人「これで野武士を突き殺してやるッ!!!
   村こんなめちゃくちゃにしやがってッ!!! 皆殺しにしてやるっ!」

村人「竹槍なんかで敵う相手じゃないだろ!!! 死にに行く気か!」

村人「でも……じゃあどうすりゃ……」

純「侍……」

村人「ん……?」

純「お侍さんを雇いましょう!」

全てはこの一言から始まった……。

    \七人の侍/     デデーン





9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 16:48:33.74 ID:OB8OCWUXO

村長「しかし純、侍を雇うにはたくさん金がいる……この村にそんな金があると思ってるのか」

純「……。 ……!
  お腹が減っているお侍さんにいっぱいご飯を食べさせてあげるんです!
  そしたらやって……くれないかな?」

村人「はんっ! そんな食うにも困った田舎侍が野武士に勝てるか!」

村人「雇うならエリートなやつにしねぇと!」

村長「うむ……しかし金が……」


「お姉ちゃんしっかり!」
「う~い~……ご~は~ん~……」

純「!?」

「もう村だからそこで何か食べさせてもらおっ!」
「ご~は~ん~……」

村長「なんじゃ……あの二人は」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 16:54:37.46 ID:OB8OCWUXO

唯「」ガツガツ
憂「」モグモグ

唯「うまうま」
憂「お姉ちゃんご飯つぶついてるよ」

純「……」
村長「……」

村長「(刀差してるから侍だと思ったが……よく見ればまだ年端も行かぬおなごじゃないか。
  「主が刀持ってます!お侍さんですよ!」とかなんとか言って騒ぐから飯を用意したというに」

純「(ダメ……ですかね?」

村長「(まあよい……。ここで餓死されては目覚めも悪いからのう」

唯「ぷは~美味しかった!」

憂「ごちそうさまでした。すみません、助かりました」

村長「いやいや、大したおもてなしも出来んですまんの」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:01:00.40 ID:OB8OCWUXO

憂「……失礼なこと聞くんですが……この村はいつもこうなんですか?」

純「そんなわけないじゃんっ!」

村長「純!」

純「あっ……ごめんなさい」

憂「ううん。失礼なのはこっちの方だから」

村長「いつもは田んぼも豊かで水車が見売りの綺麗な村なんじゃ……
   しかし野武士がここに目をつけてから収穫時期を狙っては村荒らしに来る……」

憂「野武士……」

純「私達が一生懸命に育てたもの全部持ってくんだ……
  壊して行くんだ……だから……この村はもう」

唯「……」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:07:03.46 ID:OB8OCWUXO

唯「そろそろ行こうか、憂」

憂「……うん」

村長「そうですか……。またいつか通りかかった際には寄ってください」

純「村長っ!!!」

村長「無理を言うな……たかが白飯で受けてくれるわけも
   たった二人で四十をも越える野武士を倒せるわけがなかろう……」

純「でも……じゃあこの村は」

村長「移村じゃ……皆の者にも納得してもらうしかあるまい」

純「産まれ育った場所なのに……離れるなんてやだよ……」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:11:12.00 ID:OB8OCWUXO

唯「……一つ、人に受けた恩義、特にごはんの恩は絶対に忘れるべからず……だよ!」

純「えっ……」

憂「お姉ちゃん!」

唯「ごはんはおかず、野武士退治、私達が引き受けましょう!」

村長「ほ、ほんとうかっ!?」

純「ありがとうございますお侍さんっ!」

唯「その前に……」さわりさわり

純「え、あの……」

唯「思った通り良い毛並みだよ! 憂も触ってみなよ!」

憂「お姉ちゃん……」

純「よ、喜んでもらって何よりです」

村長「ほんと大丈夫かこの侍」

こうして、唯達の野武士退治が始まった!



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:20:43.51 ID:OB8OCWUXO

【一人目 平沢唯】

ごはんをこよなく愛し、また刀を正義の為のみに使う流れ侍。
唯我独尊流初代師範代でもあり(他に使える人が見当たらない)
道場も構えていたがある理由であっさり潰れてしまい食うに困っている。

愛刀 義意太
部類 太刀

【二人目 平沢憂】

唯の妹であるが性格は真逆で几帳面。
姉を残し剣の修行に出るも姉が心配で三日で帰宅したという逸話を持つ。

優しい性格だがごはんと交換で看板を売り渡していた姉に
「めっ!」と怒鳴り付けた恐ろしい一面もある。

愛刀 何でも(今は太刀)
部類 太刀



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:25:42.31 ID:OB8OCWUXO

唯「さて、どうしよう」

憂「何にも考えずに受けちゃったの?」

唯「だってぇ……純ちゃんかわいそうだったから」

憂「はあ……でもお姉ちゃんのそういうところが私は大好きだよ!」

唯「えへへ」

憂「とりあえず仲間を集めないと! 後は村にちょっと工夫をしないとね」

唯「工夫?」

憂「ちょっと考えがあるの。お姉ちゃんは他に戦ってくれる侍を探して」

唯「わかったよ!」噴酢ッ!



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:31:04.76 ID:OB8OCWUXO

唯「とは言ったもののどこを探せば見つかるんだろう……」

唯「う~ん……」

クンクン
唯 ~ぷわ~ん

唯「こっちからごはんの匂いがするよ! とりあえずごはん食べてから考えよ~っと」



唯「何だか刀がいっぱぁ~い。ごめんくださ~い」

・・・・・

唯「ごめんくださ~い」

・・・・・

唯「ごめんください!」

澪「うわっ! な、なに勝手に入って来てるんだよ! 今ごはん中なんだ、話なら後にして……」

唯「……」ゴクリッ

澪「……食べる?」

唯「いただきますっ!」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:36:40.31 ID:OB8OCWUXO

澪「で、何の用?」

唯「一緒に野武士と戦ってください!」

澪「やだよ怖い! 野武士なんて関わらない方がいいぞ! あいつら歯向かう連中には容赦ないからな……。
  こないだも向こうの村が荒らされて……」

唯「その村の人達に雇われたんだ、野武士を倒してくださいって」

澪「刀……お前侍か」

唯「唯、平沢唯だよ」

澪「私は澪、秋山澪だ。見ての通り刀打ちさ」

唯「!! ほんとだ!! 刀がいっぱいあるね~」

澪「今気づいたの!?」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:40:36.16 ID:OB8OCWUXO

澪「……野武士と関わるつもりはないから。帰ってくれないか?」

唯「そんなぁ……そこをなんとか」

澪「やだ」

唯「お願い!」

澪「やだっ」

唯「……脇差しだけじゃ?」

澪「やだ!」

唯「太刀もなきゃ?」

澪「やだ!!」

唯「うふぅふぅ~」

澪「って遊ぶな!」

唯「どうしても駄目?」

澪「……私は生涯不殺を志してるんだ。人の命は尊い、それが野武士であってもだ」

唯「……そか、わかったよ」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:46:36.67 ID:OB8OCWUXO

唯「……そうして生きた悪は何人もの善を殺して行くんだろうね……」

澪「!!」

唯「お邪魔しました」


澪「まっ、……いや……いいんだ。これで……」


澪「私は誰も殺さない。そして守る為だけにこの刀を打つんだ。
  そう決めた……親を殺されたあいつの為にも」

澪「殺したり殺されたり……恨んだり恨まれたり……そんなのはもうやめなきゃいけないんだ」

澪「それにお前達も人を斬る為だけに生まれてきたわけじゃないよな……」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:52:57.15 ID:OB8OCWUXO

唯「う~い~」

憂「あ、お姉ちゃん! どうだった?」

唯「無理でした!」ビシッ!

憂「だめでしょ~? ちゃんと見つけないと。村を守るって村長さん達と約束したんだから。
  約束を違える者に正義あらず、だよ?」

唯「だってぇ……みんな野武士って聞いたとたん「用事が出来た……」とか
  「風が呼んでいる……」とか言ってどっか言っちゃうんだもんっ!」

憂「野武士は怖いからね……当然と言えば当然だよ」

唯「でもね、一人だけちゃんと話聞いてくれたよ!」

憂「ほんとに? なんていう名前の人?」

唯「澪ちゃん!」

憂「聞いたことある! もしかして刀鍛冶の人?」

唯「そうそう!」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 17:59:25.51 ID:OB8OCWUXO

憂「もし協力してくれるなら武器とかも貸してもらえるから心強いんだけど」

唯「……生涯不殺を誓ったって言ってた」

憂「……そっか。じゃあ仕方ないね……」

唯「憂、」

憂「お姉ちゃん、戦わないと守れないものがある、それは確かだよ」

唯「そうだね……わかってる」

憂「村の方はまだまだ時間がかかりそうだから
  お姉ちゃんは引き続き一緒に戦ってくれる侍を探してきてね」

唯「うん! 合点承知だよ!」

唯「(最後にもう一回だけ澪ちゃんのところに行ってみよう……。
  私や憂の刀は確かに血で汚れているけど……でも)」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:05:14.52 ID:OB8OCWUXO

唯「ごめんくださ~い」

澪「はーい、って唯か」

唯「何してるの?」

澪「見てわからないか? 刀を打ってるんだ」

唯「刀ってやっぱり毎日いっぱい注文が来るの?」

澪「ううん。全然。これも趣味みたいなものだから」

唯「ほへぇ? 趣味?」

澪「毎日こうして一本づつ刀を打ってるんだ」

唯「ふーん……そうなんだ」

澪「ッ! ッ! ッ! っと……こんなもんかな。少し休憩しようか。唯もお茶飲む?」

唯「うんっ!」



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:12:40.83 ID:OB8OCWUXO

縁側で二人茶を啜る。

唯「ぷは~……生き返るね~」

澪「大袈裟だな唯は」

澪「……。さっき注文が来るの? って聞いたろ?」

唯「うんうん」

澪「昔はいっぱい来てたんだ。まあパパがやってた時だけど」

唯「パパ?」

澪「南蛮の言葉でお父さんって意味らしいよ。
  南蛮から来るお客さんもいるから……ちょっとでも馴染んどこうかなって」

唯「ほ~ん」

澪「パパは鍛冶屋でさ、私はその後追いなんだ」

澪「でも昔この村にも野武士が来て……私のパパとママ……そして律の両親も」

唯「律?」

澪「何でもない……気にしないで」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:19:10.52 ID:OB8OCWUXO

唯「ぷはぁ~ごちそうさま!」

澪「お粗末様でした」

唯「美味しかったぁ! ありがと澪ちゃん!」ニコニコ

澪「……不思議だな、唯といると何だか落ち着くよ」

唯「?」

澪「初めだってわけのわからない内に一緒にごはん食べちゃったし、
  今日だってほんとは次に来たら追い返してやるっ! って思ってたのに」

唯「んふふ~。入れてくれてありがと」

澪「全く、掴み所がわからないやつだな。ほんとに侍なのか?」

唯「侍だよ……」

澪「ッ!!!!」

唯が義意太の鞘に手を触れただけ、ただそれだけで澪は蛇に睨まれたように固まってしまう。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:26:27.96 ID:OB8OCWUXO

澪「(こんな子が……なんで)」

唯「澪ちゃん。刀ってさ、何のためにあるんだと思う?」

澪「それは……
  (なんで迷うんだよ、ここで。
   私の作る刀は人を守る為だけに使うってハッキリ言ってやればいいんだ! よしっ!)」

澪「わ、わ、たしの作る刀はみんなを守るんだぞっ!」

澪「(間違ったー!!!)」

唯「そうかもしれないね。澪ちゃんは自分の打った刀をちゃんと身分や用途を証して、
  それを澪ちゃんが見て判断してから売ってるんだよね」

澪「なんで知って……」

唯「でもね、その刀だって人は殺すよ。だって刀は人を殺す為のものだから」

澪「っ……」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:36:22.62 ID:OB8OCWUXO

澪「それでも……私は殺さないっ!
  もう嫌だ……あんな思いをするのも、あんな思いをさせるのも、
  あんな思いをしているやつをただ黙って見ていることしか出来ないのも!」

唯「だったら殺さなければいいんだよ」

澪「えっ…」

唯「多分この戦国の世に刀を持って人を殺さず、なんて人はそういない。
  だから澪ちゃんがそれを成し遂げたらいいんだよ」

澪「私が……?」

唯「殺さない刀、私はまだ見たことがないけど……澪ちゃんならきっと成し遂げれるよ!」

澪「殺さない刀……守る為だけの、刀。
  うん! そうだな! その方が刀達も喜ぶよ!」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:47:30.40 ID:OB8OCWUXO

澪「本当はわかってたんだ……。刀がある限り人は死ぬ……持つ者の善悪関係なく」

唯「けどそれで守られる命があるのも確かだよ。私と憂はそうして来たから。
  だから澪ちゃんにもそうしろ、なんてことは言わないよ。
  だけどその道はあまりにも長く険しい。それでも行くんだね?」

澪「ああ。生涯不殺……
  仮にそれで自分が殺されることになっても、後悔だけはしないとここに誓おう」

澪「唯、私を仲間にいれてくれないか?
  野武士を倒す、みんなを守る為にこの刀達を使いたいんだ」

唯「勿論だよ! よろしくね! 澪ちゃん!」

澪「こちらこそよろしく」

澪「(律……いつかお前も気づくよ、自分の生きる意味ってやつに)」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 18:52:49.57 ID:OB8OCWUXO

【三人目 秋山澪】

両親の跡を継いだ二代目の刀鍛冶屋。
幼い頃に村を野武士に襲撃され両親を失う。
それ以来、刀は人を殺すだけのものじゃないという旗を掲げて鍛冶屋を営む。

武器は全般使えるが、血と怖いものが苦手。打った刀には必ず名前をつけるのが特徴。

愛刀 得利座部守(南蛮の言葉で守護せし者という意味)
部類 長太刀



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:02:36.92 ID:OB8OCWUXO

────

澪「野武士相手に村人と侍三人だけじゃ厳しいな……もっと集めないと。他にあてはあるの?」

唯「ないよ!」

澪「ないんだ……。……私に一人あてがあるんだけど」

唯「ほんとに!?」

澪「でも、ちょっと荒れてるって言うか……やさぐれてるっていうか……」

唯「強いの? その人」

澪「ああ。きっとここらじゃ三本の指に入る侍だよ」

唯「!!!」

澪「名は……」

田井中律──


律「っしゅんったらぁっ!」

律「ちぇっ……誰も来やしねぇ」

決闘場!我に勝てば金10両、ただし負ければ身ぐるみ置いて行け!
という木の札の下に髪の毛を坂上げ、脇差しを腰に二本差した女の子が座っている。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:09:46.06 ID:OB8OCWUXO

侍「」コソコソ

律「おいアンタ」

侍「ひっ、な、なにか?」

律「腰に差してる刀は飾り物か?」

侍「無礼な! 私は歴とした武士の家系で……」

律「ならかかって来いよ。女一人倒せないで何が侍だ? ほら、来いよ」

侍「ぐっ……」チャキン

通りすがりの侍「バカやめとけっ! こいつ刀狩りの律だぞ!」

侍「デコ丸出しで二本差し……やはりこいつが噂の」

律「ほらほらどうしたよ? かかってこいって」へらへら

侍「ぬぅうううっ! 拙者をここまでバカにさせたことを後悔させてやる!!!」

通りすがりの侍「全く、田舎侍が。知らないぞ……」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:23:02.22 ID:OB8OCWUXO

侍「ちょええええいっ!」

抜いた刀を高らかに掲げながら律に斬りかかる。

律「チャンバラじゃないんだから……よっ!」

一本だけ抜いた脇差しを思いきり振りきり横から侍の太刀を薙ぎ払う。

侍「なっ……脇差しが太刀より重いだと!?」

律「こいつはそこいらの刀とは違うんでね。まだやるかい?」

そう言った時、既にもう一つの脇差しが侍の顎の下に伸びていたのを見て、
侍は「降参だ」と小さく声を漏らした。



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:27:49.00 ID:OB8OCWUXO

律「いい刀持ってたな、あの坊っちゃん侍。高値で売れそうだ」


澪「そんななまくら家じゃ買い取らないけどな」

律「うおおっと! なんだ澪かよ。驚かすなよ」

唯「私もいるのです」

律「うわっ! 今度はほんとに誰だっ!?」

唯「平沢唯だよ!」

律「平沢……? どっかで聞いたことあるような(にしてもトロそうなやつ)」

澪「話があるんだ、いいか?」

律「ああ聞いてやるとも。ただし、茶屋でな!」

澪「ハイハイ」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:41:39.33 ID:OB8OCWUXO

────

律「野武士を退治するだとー?」ムシャコラ

唯「そうそう! その為に仲間を集めてるんだよ!」ムシャコラ

澪「食べながら話すなよ」

律「腹が減ってはなんとやらだろ!」

唯「そうだよ澪ちゃん! お腹が減ったら戦えないんだよ!」

澪「なんでそんな意気投合してるんだよ……」

唯「で、どうかな?」
律「う~ん……まあやってやらなくもない」

唯「ほんとに!?」
律「ああ。ただし私に勝てたらな」

食い終わった団子の串を唯に飛ばす、
それを唯は顔色一つ変えずに摘まみ取って見せた。

律「へぇ……トロそうなやつって思ってたけど。人は見掛けによらないもんだな」

唯「やめときなよ、りっちゃんじゃ私に勝てないよ」

澪「やっぱりこうなったか……」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 19:55:09.96 ID:OB8OCWUXO

切り開かれた林の中、二人は佇む。

律「参ったって言った方が負けだ、いいな?」

唯「わかったよ!」

澪「危なかったら私が止めるから。いいな?」

律「わかってるって」

脇差しを二本抜くと左右に構える。

唯「二刀流……いや、違う」

律「二天一流……それが私の流派」

律「見せてもらおうか! 唯我独尊流の実力!!!」

それと同時に律が駆ける。

一気に距離を詰め、お互いの刃が届くか、と言ったところでようやく唯は刀を抜いた。

律「おせぇよ!!!」
澪「バッ(律のやつ本気で腕を落としにっ)」

左手の脇差しが唯の腕を捉える寸前、

唯「あ、お金落ちてる!」
律「んなっ!」スカッ



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:03:04.45 ID:OB8OCWUXO

唯「わわっ! 真田の六文銭だよっ!」

律「なんだ……こいつ」

澪「戦ってる様子がない……まるで律がいないかのような立ち振舞い」

律「偶然避けたぐらいで!」

くるりと半回転し、その勢いでもう一度斬りかかる。
今度の狙いは胴体、脇差しとは言え当たれば必死な一撃。

唯「」キンッ

律「ぐっ」

次はそれを鞘から少し太刀を出し、その刀身で受け止める。

律「へへ、ようやくやる気に……」

唯「もっと可愛い鍔ないかなぁ……」

律「この子戦い中に鍔見てるよ!」

澪「これが……唯我独尊流っ……!」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:12:25.71 ID:OB8OCWUXO

唯「唯我独尊流、それ即ち自然体であれ。自分だけを見つめ、自分だけの世界で戦う」

律「なに意味のわかんねぇことをっ!」

右手の間接をしならせながら放った一撃も虚しく空を切る。
まるで中空にただよう綿を切れと言わんばかりの無感触。

律は攻撃を繰り出す回数を重ねる度にそれを実感して行く。

律「(当たらねぇ……! どうなってんだよこれ)」

唯「降参しなよ、りっちゃん」

律「誰がっ!」

蹴り、突き、柄落とし、しゃがみながらの足払い。
どんな攻撃の連携を組んでも唯にはカスりもしない。

唯「なら、仕方ないね」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:23:36.37 ID:OB8OCWUXO

澪「(来た……あの時の殺気だ)」ゾクッ

律「やっとやる気になったか! 避けてるだけじゃ参ったって言わせられないからな!」

律「こっちも取っておきを見せてやるよ!!!」

唯「……!」

突き、と見せかけた切り上げ、唯の顎先を僅かに掠める、
が、唯は南蛮から伝わりしラジオ体操でこれを回避。
左の脇差しから胴体に向かっての斬撃、も南蛮から伝わりし紐を飛び越えて遊ぶ遊びにて回避。

ここで、唯は見た。
律の両手がクロスしていることに、
そして手に持たれている脇差しはいつの間にか内側に刃が向いている。
そしてそれはちょうど唯の首を挟んだ辺りで静止している、

律「妙技、戯露賃──」

澪「律やめろっ!!!!」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:33:49.25 ID:OB8OCWUXO

唯「参りました!」ゴツンッ!

律「がっ……」フラフラ

律「」バタン

澪「えっ……」

唯「あいたた……」

頭を擦りながら痛そうにする唯。
そう、簡単に言えばただ頭突きだ。

高速で謝った際の勢いがそのまま律のおデコにクリティカルを出し、一撃で昏倒にまで追いやった。

澪「……ふっ。参ったって言ったのは唯の方だけど、勝ったのは唯だよな」

律「うーん……」

澪「そうだろ、律」

唯「澪ちゃん血出てない?!」

澪「血っ! ……は出てないみたい。良かった……」

唯「ねえねえ、りっちゃんどうしよう」

澪「うーん、とりあえず村に運ぼうか」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:38:24.93 ID:OB8OCWUXO

ドゴッドゴッドゴッドゴッ──

馬の足音が聞こえてくる……。

奴等だ、奴等がまた来たんだ……!

何もかも奪いに……。

お父さんお母さん聡ばあちゃんじいちゃん……。

これだけ奪ってもまだ足りないってのかよ……!


ドゴッドゴッドゴッドゴッ──

どんどん近づいて……

やめろ……こっちに来るな!

お願いだから……!

もう……何も奪わないでくれ……!!!!

…やめろ……やめろ……やめろ……

律「やめろっ!!!」ガバッ

唯「わわっ! どうしたの!?」



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:43:49.18 ID:OB8OCWUXO

律「なんだ唯かよ」

唯「ずっと看病してたのになんだはないよー!」プンスカッ!

律「誰のせいだよ。で、ここは?」

唯「村だよ。私達が依頼を受けた村」

律「……ちょっと外見回っていいか?」

唯「うん。立てる?」

律「ああ」


────

律「こりゃ酷いな」
唯「そうだね……」

律「……澪からどれぐらい聞いた?」

唯「……両親が野武士に殺されたってとこまでかな」

律「全部じゃねぇか」

唯「なんであんなことしてるのかとか、好きな食べ物とかは聞いてないよ」

律「金稼ぎ、団子」
唯「端的すぎるよぉ~」



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:48:52.96 ID:OB8OCWUXO

律「野武士に村を襲われて家族を失うなんてよくある話だ」

唯「……うん」

律「だから強くなって、いつか復讐してやる、そんなこと思ってた時期もあった」

唯「うん」

律「強くなって、でもそれは生きる為に必要なことじゃないことに気づいたんだ。
  あの時の野武士を殺したってみんなが戻って来るわけじゃない、
  ならこの強さは生きる為に使おうって」

唯「そしたら?」

律「ははっ、目標見失った。なにしたらいいのかわかんなくてただがむしゃらに生きてさ……
  でも唯にやられて気づいたよ。私もまだまだだなって」

唯「上には上がいるのが世の常だよりっちゃん!」イバリフンス!

律「言ってろ」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 20:56:36.85 ID:OB8OCWUXO

律「だからさ、これは復讐とかそんなドロドロしたもんじゃなくて、
  ただ強さを求める為に手を貸すだけだから」

唯「じゃあ!?」

律「ああ、私も仲間に入れてくれ、唯。嫌とは言わせないぜ?」ニヒッ

唯「もちろんっ! よろしくね! りっちゃん!」

律「よろしくな、唯」

目標は、まだない。

でもいつかそれを目指して生きられるような、そんなものを唯は持っている気がする。

だからごめん、お父さん、お母さん、聡、村のみんな。

死ぬまではもうちょっとだけかかりそうだ。
少なくとも、野武士との戦いでだけは死ぬわけにはいかないな!

敵討ちじゃなく、強さを追い求める為に、こんなとこで負けるもんか。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:03:20.71 ID:OB8OCWUXO

【四人目 田井中律】

二天一流の使い手。自由と柔軟な動きで脇差しを操り、
思いもよらない変則的な攻撃を得意とする。
坂上げした髪の毛は前が見えずらくならないようにと施したものである。
元々農民の産まれだが、連続する戦いの中で侍以上の経験を得ており、
その力は今ではこの辺りで三本の指に入る実力である。(澪談)
団子と澪だけが好き。(本人談)

愛刀 左 枝(シ) 右 零
部類 長脇差し



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:08:37.12 ID:OB8OCWUXO

憂「お疲れさまお姉ちゃん!」

澪「この子が憂ちゃんか。ほんとだ、話の通りそっくり…」

憂「姉がお世話になってます」ペコリ

澪「じゃ、なかったね、うん」

唯「澪ちゃん酷ーい」

律「へぇ……村を要塞化してんのか。兵法でも習ってんのか?」

憂「ええ、少しかじったぐらいですけど」

澪「憂ちゃんは凄いなぁ。お姉ちゃんと違って」

律「うんうん」

唯「ああんっもうっみんな酷いっ!」

憂「お姉ちゃんは私なんかよりもっともっと凄いですから!」

唯「憂! こっちにおいで! なでなでしてあげよ!」
憂「わーい♪」

澪律「出来た妹だ……」



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:14:11.76 ID:OB8OCWUXO

唯「さて、憂を入れて四人になったけど……まだ足りない?」

憂「う~ん……こうパワフルさが足りないっていうか」

律「澪は乳だけはパワフルだけどな!」

澪「全部小さいお前が言うな」

律「聞きました奥さん? おっきい乳自慢ですことよ」ボソボソ

唯「私達に対するあてつけかしら」ボソボソ

澪「真面目にしろ!」

憂「パワフルさと言えば一つあてが……」

律「奇遇だな……私もだ」

澪「私もだよ」

唯「へ? 何々?」

澪「唯……知らないのか? この辺りに伝わる夢牛伝説を」




89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:17:19.42 ID:CV8k2nVyO

むぎゅうぅぅぅぅぅぅ



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:17:39.72 ID:5XW2ERASO

むぎゅう伝説wwww





91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:22:07.80 ID:OB8OCWUXO

その者、片手で牛の角を掴んで投げ飛ばす。
白昼夢の如しの剛力の持ち主である。

故に人はこれを──

澪「夢牛(ムギュウ)と呼んだ……って話」

律「まさか実在するなんてな……噂が本当なら一人で野武士壊滅出来そうだな……」

憂「三つ先の山の村にいるそうですよ」

澪「三つ先か……ならだいぶ遠出になるな。その間に野武士が来ないか心配だ」

純「大丈夫です! やつら決まって収穫日にしか来ませんから!」

律「誰?」

憂「この村の子の純ちゃんです」

純「お侍さんがひ~ふ~み~よ~てんぱ~のでいっぱいだ! って誰が天パーよ!」

律「大丈夫かこの子?」

憂「きっと侍がいっぱいいるから感動してるんですよ! 純ちゃんは大の侍好きですから」



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:27:15.81 ID:OB8OCWUXO

──

澪「さて、準備出来たか?」

唯「完了でありますりっちゃん将軍っ!」ビシッ!
律「ようしそれでは幻の生物夢牛求めてゆくぞーっ!」

律唯「おーっ!」

澪「この元気がいつまでもつやら」

憂「私はここを離れられませんから……」

澪「わかってる。唯のことは任せて」

憂「はい!」


唯「それじゃ~いってきま~す」フリフリ

憂「行ってらっしゃ~い」

律「澪、私生きる目標見つけたよ」
澪「ほんとか?!」

律「ああっ! 唯! 憂ちゃんく」
唯「駄目」

律「私は何を目標にして生きて行けば……」
澪「いや、今でも十分楽しそうに見えるよ」



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:37:35.16 ID:OB8OCWUXO

一日目

唯「山をこ~え~海を越え~」ヤンヤヤンヤ
律「旅立つサームライどこへゆくー!」ヤンヤヤンヤ

澪「水はこまめに貯めといた方がいいな」

唯「憂のお弁当うんまぁ」ムシャコラ
律「いい嫁さんになるぞ~あれは!」ムシャコラ

澪「(二人ともそれが三日分ってことわかってるのかな……)」

────

二日目!

律「旅立つサームライ……どこいった?」
唯「さあ……」

澪「森に食べ物がないかもしれないし……明日に残しておいた方がいいな」

────

三日目

唯「侍さんよりごはんどこ……」
律「唯、この葉っぱ結構いけるぞ……」

澪「初日にガツガツ食べるから……ほら、分けてあげるから葉っぱ食べるのやめなさい」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:42:51.65 ID:OB8OCWUXO

そうしてようやく……。

唯「つ~いた~よ~!」

律「村だー!」

澪「じゃあ早速ムギュウについて聞いて回ろ」

唯「」バタン
律「」バタン

澪「!? 二人ともどうした!?」

唯「……お腹いたい」ガクリ
律「葉っぱ、毒、だったかな?」ガクリ

澪「唯いいいいりつううううううううう」

紬「大丈夫ですか!?」

澪「あ! 村の方ですか!? ちょっと運ぶのを手伝ってもらっても……」

ヒョイ ヒョイ
律 紬 唯

澪「(あんな簡単に肩に担いで……)」

紬「急ぎましょう! こっちです!」

澪「う、うん!(まさか、な)」



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:50:42.64 ID:OB8OCWUXO

唯「うい~……イッツァライス~」

澪「夢にまで南蛮訛りなんて、よっぽど気に入ったんだな。私が教えた南蛮の言い方」

律「みお~……団子~……ミタイナムネダナ~」

澪「おい、起きてるだろ」

律「むにゃむにゃ」

澪「狸寝入りとはまさにこのことだな」

紬「お二人の体調はどうですか?」

澪「だいぶ良くなったと思います。特にこっちの黄色っぽいのには」ツンツン

律「ふごぉ」

紬「ふふ、仲がいいのね。羨ましい」

澪「いやぁ……まあ、うん」

紬「そう言えばこんな辺境の地まで何をしに?」

澪「うん、実はムギュウを探しててさ」

紬「!?」



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 21:56:51.20 ID:OB8OCWUXO

紬「そ、そうなの」アセアセ

澪「この村にいるって聞いたんだけど……」

紬「そ、そうかしら?」

澪「それで聞きたいんだけど……
  この村にスッゴい筋肉した明らかに剛力の持ち主!って感じの人いない?」

紬「」ガーン

澪「? どうかした?」

紬「いえ……何でもないわ」

澪「何でも家を吹き飛ばしたり大岩を投げて川を塞き止めたりも出来るって噂だからな。
  さぞ大男なんだろうな~怖いなぁ」

紬「」プルプル

澪「ん?」

紬「むぎゅうえ~んっ!」メソメソ

澪「どうしたんだろ……?」

律「やっちまったな」
唯「ですな」

澪「起きてるなら会話に混ざれよ」



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:02:28.95 ID:OB8OCWUXO

澪「えっ!!!??? あの子が夢牛!!??」

律「ああ」
唯「うん」

澪「ないない。背丈も私と変わらないぐらいの女の子が牛を片手で投げられるわけないだろ?
  きっとこんなんだよ」

__________

ガチムチ「hai!」

_ ________
 V
 澪「怖い怖い怖い怖い」ガクブル

律「おーい、戻ってこーい」


唯「私も最初はあり得ないと思ってたけど……
  持ち上げられた感触があの子が夢牛だってことを証明してたんだ」

律「ああ……あれは凄かった。あれに止めさされたと言っても過言じゃないな」

澪「?」



106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:10:05.92 ID:OB8OCWUXO

紬「よいしょっ」

律「ッ~─────」

紬が律を持ち上げた瞬間重力が逆行し、押し上げられ、
未知の世界へのロードが開かれんばかりの衝撃が律を覆った!

紬「あそ~れ♪」

唯「フンゴォォォォッ─────」

唯が持ち上げられた瞬間、まるで闇空(宇宙)にまで
垂直投げされるのではないかと言うぐらい持ち上げの早さそして空気圧!

律唯「」チーン

_ ___________
 V
唯律「ってことがあって」

澪「絶対夢牛だよそれどうしよう酷いこと言っちゃった!」

律「謝りに行くしかないな」
澪「だよな……」

唯「」ポン
澪「唯……」
唯「投げられないようにね!」
澪「励ましのつもりかっ!」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:18:23.94 ID:OB8OCWUXO

紬「村長……私どうしたら」

村長「おまえさんは優しい子じゃ……話したらき~とわがってくれる」

紬「……こんな私でも……友達に、なってくれるでしょうか?」

村長「んだども」


\すみませーん/

\ごめんくださ~い/
        ガ
       \ス/
\投げられにきまV……すいません/

村長「ほら、迎えにきてくれただえ?」

紬「はいっ!」ムギュンッ

紬「今開けますね~」ドシャバキズスゥォォォ

律Σ扉紬
ゴスン───

ズサアアアアアア
律≡≡≡≡≡

澪「りつうううううううう」
紬「あ」唯「あ」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:24:45.36 ID:OB8OCWUXO

紬「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

律「まさか扉に当たった勢いで10mぐらい吹き飛ばされるとは思わなかったよ……」

唯「りっちゃんそれ笑えないよ!」

紬「……ごめんなさい」

澪「ちゃんと謝ってるんだから許してあげなよ」

律「もう気にしてないよ」

紬「……ほんと?」

律「ほんとほんと」

紬「良かったぁ」ほっこり

律「(唯と言いこの子と言い人は見た目じゃわからんもんだな)」

澪「さっきはごめんね。その……知らなかったんだ。ムギュウが女の子だなんて」

紬「ううん。気にしないで。当然のことだもの」



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:34:34.51 ID:OB8OCWUXO

紬「私は琴吹紬。よろしくね」

唯「平沢唯だよ!」
澪「秋山澪、よろしく」
律「田井中律だ、よろしくな」

紬「唯ちゃんに澪ちゃんにりっちゃんね! 私のことはムギって呼んでね!」

律「ムギュウは駄目なのか?」

紬「……ムギって呼んでほしいの。駄目?」

律「いーや、駄目じゃないよ、ムギ」

紬「ありがとうりっちゃん♪」

唯「(機嫌良さそうだね」
澪「(ああ。この分だと野武士撃退に協力してくれそうだな」

唯「(よし!」

唯「ムギちゃん、その力を是非私達に貸してください!」

紬「?」



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:42:59.47 ID:OB8OCWUXO

────

紬「そう……村が野武士に」

唯「うん。それで今屈強な侍を集めているんだよ!」

澪「ここから山を三つ越えたところなんだけど……」

律「頼む! ムギがいれば百、いや千人力だ!」

紬「……」



紬「ごめんなさい、行けないわ」

唯「……どうしても?」

紬「うん……。ここのみんなを置いていけないもの」

澪「そうだよな……ここだって野武士が来ない保証なんてないし」

唯「うん……しょうがないよね」

律「ああ。他を当たろう」

紬「……(あなた達も結局力だけしか見てくれてなかったのね……。
     本当の友達になれると思ってたのに……)」



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 22:54:01.26 ID:OB8OCWUXO

村の入口

紬「本当にごめんなさい……これ、私が作ったお菓子なの。後、こっちがお弁当」

律「何から何まで悪いな」

澪「世話になったよ」

唯「じゃあね、ムギちゃん!」

紬「うん」

さよなら、私の初めての友達になってくれそうな人達……。

小さく手を振りながら、三人を見送る。

せめて、無事だけでも祈ろうと目を閉じた時だった。

唯「また来るからね~」
澪「ああ! 野武士を倒したら報告しにいくよ!」
律「それまでこの村ちゃんと守るんだぞ~」

紬「えっ……」

涙が、溢れた。
わからないのに、自然と溢れてきた。
違うの、わかってるけどわかってないの。

彼女達は、私の力なんて関係なくまた会いに来てくれると言っているんだ、
それがわかった時、私は声を出して泣き始めた。



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:01:55.50 ID:OB8OCWUXO

紬「ムギュ……クスンムギュ……」

村長「紬、行ってやりなさい」

紬「村長!? でも……」

村の子供「ムギねーちゃんがいなくたってこの村は俺達が守ってやるよ!」

村の子供「だから心配せずに行ってきて!」

村の子供「ムギュパワー見せてやれームギュギュギュギューン」

紬「みんな……」

村長「これを持っていけ」

ドサッ

紬「これは……」

村長「斬馬刀……馬すら一刀両断すると言われている太刀じゃ。今のお前さんなら使えよう」

紬「ありがとう村長! みんな! 私、この力じゃなく
  私自身を必要としてくれてる人達のところに行ってくるね!」

紬「ううん、まどろっこしい言い方はやめにしましょう」

紬「友達を助けに、行って来ます!」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:10:29.86 ID:OB8OCWUXO

────

律「はあ……惜しい人材を逃したな」

澪「それは言わない約束だろう?」

唯「ムギちゃんはムギちゃんの、私達は私達の戦いをしよう。大丈夫、きっとまた会えるよ!」

律「全部終わった後にな!」

澪「ああ」


ドスンッドスンッドスンッ

律「な、なんだ!?」

唯「地震?!」

澪「見ろ! 木が何かを避けてる!!!」

律「違うっ! 避けてるんじゃない! 当たったと同時にへし折れてるんだ!!!」

紬「みんな~待って~」バキドサグシャズスゥォォォ

澪「待つから! 待つからその背負ってる刀を縦に持って! 木引きずってるから!」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:18:13.24 ID:OB8OCWUXO

【五人目 琴吹紬】

巷で噂の夢牛ことムギ。
実際のところ震源地はムギが足の悪い牛に餌をあげる為に持ち運んだのを
村に来た商人が見たのがきっかけなそうな。

本当は心優しく動物を投げ飛ばしたりすることなど絶対にしない、
が、友達と村人の為なら心を鬼とし、野武士を狩る牛鬼と化す……かもしれない。
しかし、夢牛の伝説は遥か昔からあったと明記されているが……
他に彼女のような剛力の持ち主がいるのだろうか。

愛刀 村長の斬馬刀
部類 斬馬刀



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:25:25.56 ID:OB8OCWUXO

唯「これで五人……もう戦えるよね! 憂!」

憂「う~ん……」

律「まだ駄目か……」

憂「この村には北、南、東門がありますから最低でも6人は欲しいんです。
  2人づつ配備する予定なので」

澪「ってことは後一人か……」

紬「一気に5人も友達が出来るのね!」

唯「後一人……。仕方ない、あの人に頼ろう」

憂「お姉ちゃん……でも、来てくれるかな?」

唯「きっと来てくれるよ……和ちゃんなら!」



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:33:53.53 ID:OB8OCWUXO

────

律「まさかあの真鍋和と幼なじみとはな~世間ってやつは狭いもんだ」

澪「この辺りでもっとも強いと言われている侍……真鍋和、か」

唯「みんなが言ってたのって和ちゃんのことだったんだ~。確かに昔から強かったよ~」

律「でも今は将軍のお抱え侍だろ? こんな野武士討伐なんかに出てきてくれるのか?」

唯「さあ?」

澪「さあって……」

紬「友達と城下町歩くなんて夢みたい!」

律「興奮してほんとに白昼夢起こさないようにな」

澪「あ、見えてきた。あそこだよ。真鍋和の本家」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:39:59.70 ID:OB8OCWUXO

唯「ごめんくださ~い」

和「どちらさま……あら、唯。久しぶりね」

唯「ヤッホー」

和「何の用かしら?」

唯「野武士退治手伝って!」

和「わかったわ」

唯「ありがとう和ちゃん!」

和「ちょっと待っててね。準備してくるから」

唯「はーい」



律澪「って待て!!!!」

唯「ほぇ?」
和「なにかしら?」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:50:15.59 ID:OB8OCWUXO

澪「話つくのが早すぎだろ!」

律「ほら、将軍のお抱え侍だから無理なの……的な展開は……」

和「ないわね」

律「さいですか……」

唯「幼なじみだからね!」ブイッ!

紬「いいなぁ~。私も唯ちゃんと幼なじみなりたぁい♪」

澪「ムギ、幼なじみは……いや、何でもない」

和「実は野武士にはこっちも頭を悩ましているのよ。
  村が荒らされたら年貢が減るから上も焦って討伐隊組んだものの
  お付き侍ってプライドだけは高いから全く動かないのよ。
  ほんとは野武士にビビってるのね、あーやだやだ」

澪「何か大変そうだな……」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 23:55:44.60 ID:OB8OCWUXO

和「というわけでこちらとしても好都合なわけなの(唯も心配だしね)。
  野武士討伐、ご一緒させてもらうわ。真鍋和よ、よろしく」

唯「よろしくね!和ちゃん!」
澪「よろしく」
律「よろしく……」
紬「よろしくねっ!」

和「ええ」

唯「これで六人揃ったよ!」

澪「いよいよ野武士と戦うのか……緊張してきた」ガクブル

律「けっ、野武士の10や20私が一人で蹴散らしてやるよ!」

紬「みんなは私が守るわ! 友達だもの!」

唯「さあ! 決戦の時だよ!」




梓∥じ~

梓「侍……!」




132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:00:28.91 ID:jraI3NgOO

やっとあずにゃん登場か



133 名前: 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/06/06(月) 00:01:00.15 ID:IsrsJjx50

梓忘れてたわ





134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:07:25.70 ID:tipSFitiO

【六人目 真鍋和】

将軍の付き人侍。この辺りでは和に並ぶものなしと言わせる程の実力。
将軍の夕食時、ハエが飛び待っていたため切り落とせと命じられ、
居合い一閃、一発で切り落とし、死骸を味噌汁の具の一つにしてしまったのは余りにも有名。

赤いフレームの眼鏡と、袴姿がとても良く似合うため、
影にファンクラブが出来る程の人気があることを本人は知らない。

愛刀 唯命(ユイメイ)
部類 長覆輪大太刀



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