SS保存場所(けいおん!) TOP  >  クロス >  唯「七人の侍!」#後編

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






唯「七人の侍!」#後編 【クロス】


http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1307259675/l50


唯「七人の侍!」#前編
唯「七人の侍!」#後編




135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:12:08.31 ID:tipSFitiO

憂「おかえりお姉ちゃん!」

純「おかえりなさい皆さん!」

唯「ただいま憂! 純ちゃんもふもふ~」
純「ひゃあ~」

憂「ん~っ!」

和「あら、お姉ちゃんをとられて嫉妬かしら?」
憂「和ちゃん!!! 来てくれたんだね!」

和「唯と憂の頼みじゃ断るわけにはいかないもの」

憂「ありが……あっ」
和「会いたかったわ……」ぎゅっ


律「……なんだろう、この疎外感」
澪「わ、私はしないからなっ! はしたないっ!」

律「誰がしたいって言った!」

紬「ちょっと行ってくるね!」
律「まてぇい!」
紬「むぎゅっ!?」

律「抱き締めるのはいいけど力加減を考えような、ムギは」
澪「そんな興奮して抱き締めたら中身出ちゃうよ……」





138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:18:56.61 ID:tipSFitiO

「全くなにやってるんですか。敵の予想侵攻ルートの作成は?」

和「わ、わたし?」

「そうですよ。眼鏡つけてるんだからそういうの得意でしょ?」

和「え、ええ……まあ」

「そこの頭もふもふしてるのは村人の陣形チェック。急いで」

純「は、はいっ!(あれ? こんな人いたっけ……)」

「あなたは私と一緒に作戦会議」

憂「え? えっと……」

「後は野武士退治に向けて素振りでもしててください。じゃ」

律「じゃ、じゃないだろ!!! てかお前誰だよ!」

澪「いつの間に仲間にしたのか?」

憂「いえ……さっきお姉ちゃん達と一緒に帰って来てたから
  新しい仲間の人かなって思ってんですけど」

律「私達も憂ちゃん達も知らない……じゃあお前はなんだ!!!」

「よくぞ聞いてくれました……私こそが、七人目の侍!」

梓「中野梓です!!!」デデーン



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:25:30.79 ID:tipSFitiO

唯「んん~ちっちゃくて可愛い~」ぎゅ~

梓「や、やめてくださいっ! こちとら侍ですよ!? なめんなやがれですっ!」モガキモガキ

澪「……どうする?」

律「どうするって……」

和「侍ならいいんじゃない? 人は見掛けによらないし、案外この子も凄いのかも」チラッ

紬「?」ニコニコ

梓「ふん、この梓流剣術さえあれば野武士なんでズバババーンですよ!」

律「まあ得物だけはデカいな」

澪「長干しか、身長よりあるんじゃないか? それ」

梓「へっちゃらですよこのぐらい! なめないでください!
  侍ですから! 私!」

唯「」クンクン

唯「おかしいなぁ~あずにゃんからはお米のいい匂いがするんだけど」

梓「に゛ゃっ」



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:31:41.45 ID:tipSFitiO

律「……ちょっと刀抜いてみろ」

梓「よ、余裕ですよこのぐらい!」

梓「ふんぬ~」

紬「頑張って!」

梓「はい! ありがとうございます!」ペコリ

律「律義だな」

梓「ぬんふぅは~ていや~抜けろ~こんにゃろ~んしょぉ!」

紬「もうちょっとよ! 頑張って!」
唯「頑張れ!あずにゃん!」
憂「がんばって梓ちゃん!」

梓「よいこらしょ~こにゃろ~ふんしゃ~~~~んにゃあっ!」スポン

梓「どうですか!」ヘヘン

紬「凄いわ!」パチパチ
唯「よくがんばったねあずにゃん」パチパチ
憂「偉い偉い」パチパチ

梓「えへへ」

律「えへへじゃねぇよ!!! 戦場なら5太刀は浴びてるぞ!!!」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:36:25.65 ID:tipSFitiO

澪「さすがにちょっと……な」

和「小太刀を渡せば使えるってレベルじゃないわね」

梓「そ、そんなこと言うなら眼鏡の人やってみてください!
  これすんごく重くてくねってて抜きにくい」

和「」スサッ ザンッ チャキン

和「刀はいいわね」

律「ひゅ~カッコいい~」

澪「あれが居合いかぁ~」

唯「惚れ直したよ和ちゃん!」

憂「和ちゃんカッコいい~」

紬「凄いわ~」

梓「ぐぬぬぬ」

純「ケラケラケラ」

梓「ガミガミガミ!」

純「ふーん」

梓「ぐっ……農民にもバカにされるとは……! こうなったら……!」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:41:25.81 ID:tipSFitiO

梓「仲間に入れてください」ヒラニー

律「次は土下座か……なんと言うか忙しいやつだな」

梓「デコ八は黙ってやがれです!」

律「デコ八?!」

澪「ぷふっ」

律「笑うなー!」


梓「どうかお願いです……私を七人目の侍として認めてください!」

唯「どうしてそんなに侍になりたがるの?」

梓「農民じゃなにも得られない……守れない、
  ただ失って行くだけだからです。私は……強くなりたいんです!!!」

律「(こいつ……昔の私そっくりじゃないか)」

唯「斬り斬られる覚悟は出来てるの? ここにいるみんな遊びでやってるんじゃないんだよ?」



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:46:52.56 ID:tipSFitiO

梓「……出来てます!」
唯「……どうしよう」

和「私は反対ね。変に関わって死なれたら後が悪いわ」

澪「私も反対かな。もっと別な生き方があると思うんだ」
憂「私も反対です。危ないから……ね?」

梓「……」
紬「私は」

梓「」パァァ←味方してくれてたから期待してる人の図

紬「反対ね」

梓「」ガックシ←裏切られて落ち込む人の図

紬「こんな危ないこと、出来るなら関わって欲しくないわ」

唯「じゃあ反対多数で……」

梓「そんな……私にはもうこれしか」

律「待ってくれ」

梓「!!?」

唯「りっちゃん?」

律「私はこいつを入れてもいいと思う」



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 00:54:14.01 ID:tipSFitiO

唯「理由はあるの?」

律「この戦国時代ってのは力がすべてだ。
  ないものはただ失って行くだけ……ここでこいつが一人になっても死ぬだけだ」

梓「っ……そんなこと!」

律「どのみち死ぬならここで死ね」

梓「!!!」

唯「……」

純「いくらなんでも酷すぎじゃ……」

憂「ううん、違うの。律さんの言いたいことは」

その場の全員がもし農民ならその言葉の意味を間違えて解釈していただろう。

律が言ったのはそんな簡単なことではない。

ここで死ぬようならどのみち死ぬ、
ならばここを生き抜いてこの時代を生きて見せろ、と言う意味合いが込められていた。

梓「……ハイッ!」

この意味がわかった瞬間、もう彼女は侍になったのかもしれない。



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:02:09.01 ID:tipSFitiO

【七人目 中野梓】

元農民。侍になるために旅をしているところで唯達を発見し、仲間になろうと決意する。

体に似合わぬ大太刀は父親が戦場から拾って来たものを持ち出した。
両親共々野武士の焼き討ちに合い死亡している。

籠手を額に巻き付ける格好をよく取るが頭が小さい為すぐにずり落ち、首飾りとなっている。

愛刀 無丹(ムッタン)
部類 大太刀



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:11:04.17 ID:tipSFitiO

そして、いよいよその時が来た────

純「今日が収穫日……来るなら間違いなく今日です!」

憂「作戦開始するよ!」

唯「うん!」律「いよいよか」澪「ああ」紬「頑張らなきゃ」和「腕が鳴るわね」

憂「澪さんと和さんは北口に! 紬さんは南に!
  火縄銃があるかもしれません! 十分注意してください!」

澪「わかった」
和「任せて」
紬「火縄がなんぼのもんじゃ~い」

唯「私は?」

憂「お姉ちゃんは私と一緒に東口だよ! 律さんは梓ちゃんと合流したら西口に!」

唯「了解だよ!」

律「わかった」

純「私達も頑張りますから皆さんもがんばってくださいね!」

唯「あの時の白ご飯の恩義……今日返すよ!」



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:14:34.64 ID:tipSFitiO

バカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッバカラッ

梓「怖がるな……!」

私が怖がったらみんなが後に続けない!

ムギ先輩に作ってもらった旗を地面に深く突き刺す。

行けっ! 私っ!

梓「きやがったですきやがったですきやがったですーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」

梓「やってやるです!!!!!」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:21:12.73 ID:tipSFitiO

野武士「村が……あんだありゃ?」

野武士「城みたいになってやがる……」

野武士の頭「構うもんか!!! 突撃だ!!!!」

「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」



梓「あんなに……」

律「もうビビってんのか?」

梓「そ、そんなこと……」

律「覚えとけ、弱いやつほど良く群れるんだよ。そして、強いやつほど孤独を好む」

脇差しを抜刀し、修羅像のように構える。

梓「私達は……?」

律「さ、どっちだろうな!」

律が馬の軍勢に突っ込んで行く。
分隊してるとは数は優に20を越える。



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:28:44.66 ID:tipSFitiO

野武士「バカが一人突っ込んで来てるぞ!」
野武士「生意気に刀なんか持ってやがる!!! 首を飛ばせ!!!」

律と野武士、その距離実に30m。
どっちも接近し合いの片方が馬ならほぼ距離はないと言っていい。

律「首が飛ぶのはどっちかな!」

その時、律が片方の脇差しを深く地面に突き刺した。

野武士「見てみろよあれ。落っことして抜けなくなったか~? 」

笑いながら突っ込んで来る野武士達、
完璧に小兵の律がこちらに手出し出来るわけがないとタカをククっている。

が、その慢心が命取りとなる。

律「妙技……」

律は地面に刺さった脇差しの柄を踏みしめ、

野武士「なっ」

空高く飛び上がった──

律「馬跳び」

すれ違い様に首が二、三個鮮血を撒き散らしながら飛ぶ。

律「首が飛ぶのはあんたらだったな」



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:35:51.59 ID:tipSFitiO

梓「凄い……あれが……侍」

馬に乗っている野武士相手に次から次へと斬り伏せ、
返り血が頬にかかるのも気にせず、ただ己の命の為に敵を斬る。

梓「私には……やっぱり無理だよ……こんなこと」

足が震える、喉がカラカラに渇き今すぐここから逃げ出せと脳が信号を送り続けてくる。


梓「でも……逃げたらほんとに侍じゃなくなっちゃう」

梓「だから!!!」

大太刀のムッタンを抜き出し、両手いっぱいに握りしめ駆け出す。

梓「うああああああ!!!!」

私を侍にしてくれるチャンスをくれた律先輩を守る為にも、絶対に逃げるわけにはいかない!

梓「どのみち死ぬならここで死んでやるです!!!」



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:45:33.10 ID:tipSFitiO

南口──

紬「来たわね……」

純「……思ってたより数が多いです。大丈夫ですか?」

紬「ええ。問題ないわ」

純「私達も矢で援護しますから! ご武運を!」

紬「これが終わったらなにしようかしら。みんなでピクニックとかいいかもしれないわ」

一人佇んだ紬の先には数十騎の野武士。

野武士「どけぇ変眉が!」

野武士「構わねぇ! このままひ殺してやる!!!」

紬「まあ終わってから考えましょうか」

紬は思いきり地面を蹴る──

ヒヒィンッ ブルルル キョォンッ

軽い地震のようなものだが、馬はそれにも敏感に反応し、慌てふためく。
乗っていた野武士達はたまらず次々と落馬していく。

紬「馬に罪はないものね」

斬馬刀を抜き、鞘を投げさる。その鞘がぶつかった衝撃で
木がメキメキと音をたてながら折れて行くのを見て、野武士達はただ顔を青らめることしか出来なかった。



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:53:46.72 ID:tipSFitiO

北口──

和「ここが一番数が多いらしいわ。死なないでね」

澪「私は誰も殺さない、そして自分も死ぬつもりはないよ」

和「逆刃刀……ね」

澪「今まで打ってきた中の一番の自信作だよ」

和「以前私はあなたの店に買いに行って断られてるの、覚えてる?」

澪「断った客はあんまり覚えてないかな」

和「そう……。その時私悔しかったのよ。一流の私の刀を作れるチャンスを蹴るなんてってね」

澪「それは悪いことしたな」

和「この戦いで今の私が刀を打つに値するかどうか、見てくれない?」

澪「その余裕があればね」

和「50かそこらってとこかしら、別に大したことないわよ」



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 01:58:00.73 ID:tipSFitiO

乱戦に継ぐ乱戦。

後ろを取られないように移動を重ね間合いを測り牽制を繰り返す。

紬の地震で馬は逃げてしまった為に全員白兵戦の状態だが、2対50ではさすがに部が悪い……。

和「囲まれた……か」

野武士「覚悟しろや!」
野武士「こいつ真鍋和だぞ! 将軍侍の!」
野武士「首を取れば名が上がるぞ!!!」
野武士「その首もらいうけるうううううう」

和「うるさいハエね。今楽にしてあげるわ」

そういうと、静かに柄に手を当てる。



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:04:19.12 ID:tipSFitiO

和を囲むように10人、一斉に斬り殺しに来る野武士。

野武士「しねやあああああああ」

チンッ────

音が鳴った─────

よく聞いて無ければ何の音なのかもわからないぐらい小さな音。

この戦場の中でそんな微かな音など拾う価値もない、

和「秘剣……」

それが和が刀を抜き、鞘に入れた音じゃなければ。

囲んでいた野武士達の胴体が一斉にずり落ちる。

和「風車(かざぐるま)」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:09:46.53 ID:tipSFitiO

澪「和大丈夫かな……」

野武士「おらっ!」

澪「ぐっ!」

野武士「なんだなんだそのなまくらは!? 農民はまともな刀さえ持てないのかァ?」

澪「農民も侍も関係ないっ!」

澪「善と悪、ただそれだけだ!!!」

野武士「何を偉そうに!!! てめぇらなんぞ俺らの肥やしでしかねぇんだよっ!」

澪「刀を……」

野武士「あっ?」

澪「刀を汚すなっ!」

首筋を思いきり逆刃刀で強打。これにはたまらず野武士も昏倒する。

澪「あっ……」

野武士「後ろとった!」

澪「しまっ」

和「はあっ!」ザンッ
野武士「ぎゃあああああ」



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:15:49.14 ID:tipSFitiO

澪「助かったよ!」

和「そんなに死んだか死んでないかが心配?」

澪「うん。唯と約束したからな。不殺の道を行くって。
  だから見せてやるんだ、刀は人を殺さずともいいってことを」

和「理想ね。でも悪くないわ。せっかくの戦国時代だもの、夢は大きく楽しまないと」

二人は自然と背中を合わす。
四方八方にいる野武士を迎え討つために。

澪「ああ! 夢はでっかく行こう!」

野武士「うしゃらあっ!」
野武士「ひゃっはっ!」
野武士「うひゃっ!」

「死ぬなよ」澪和「そっちこそ」



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:20:26.87 ID:tipSFitiO

純「弓三番四番、うてーーー!」

ヒュンヒュンヒュン

純「次はえ~と」

村人「純! 敵がこっちに向かって来るぞ!」

純「えっとえっとこういう時は……!」

野武士「うおおおおおおおお」

純「そうだ!!! 竹槍を全面に!!!」

村人「よっしゃあ!!!」

突き出された竹槍に次々と串刺しにされてゆく野武士達。

純「純ちゃん作戦針ネズミ! 参ったか野武士!」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:28:54.84 ID:tipSFitiO

数は圧倒的に多かった野武士側だが、
七人の侍と村人の思わぬ反撃に合い、その数を半数以下に減らしていた。


野武士の頭「どうなってやがる!!」

野武士「それが……北口にはあの真鍋和が、南口には怪物みたいな強さのやつが……
    あれはもしかしたら夢牛なんじゃ……それに西にも刀狩りがいて全く中に入れないんです!
    村人のやつらも妙に連携組んでやがるし……」

野武士の頭「泣き言はいい!!! たかが七人の侍と農民の村人にやられてみろ!
       末代までの恥だぞ!」

野武士「しかしお頭……」

野武士の頭「ちっ……俺が行けばそこは落とせるが後が続かん。
       囲まれて終わりだ。
       何とか一回の突破で村の物を根こそぎ奪える方法が……あるじゃねぇか」

野武士「えっ?」



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 02:47:05.24 ID:tipSFitiO

東口

野武士「なんだこいつ! 攻撃があたらねぇっ!」

唯「唯我独尊流は唯我独尊流を極めたものにしか当てられないよ!」

憂「さすがお姉ちゃん!」


モクモクモク……


野武士「狼煙……ちっ、撤退か」

ぞろぞろと引いてゆくのように戻って行く野武士達。

唯「撤退……? ってことは」

憂「うんっ! やったよお姉ちゃん! 私達の勝ちだよ!」

唯「うん……」
憂「どうしたの? 嬉しくないの?」
唯「嬉しいけど……妙に引き際が良すぎるような……」

憂「確かにそれは気になるね……。でも勝ちは勝ちだよ!
一旦村に戻ってみんなと合流しよう!」

唯「そうだね」

唯「(胸騒ぎがする……なんでだろう)」



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 03:34:54.26 ID:tipSFitiO

南口

南口は地獄と化していた。地面はひび割れ、
龍でも現れたかのような爪痕が地表を抉り木は何本も薙ぎ倒されている。

野武士「やったぞ! 撤退だおまえら!」
野武士「生き延びた! 生き延びたんだ!」

狼煙を見て嬉々とした声をあげながら戻って行く野武士達。

紬「撤退……諦めたのかしら?」

引いて行く野武士を見て気を緩めたのか、ゆっくりと斬馬刀の鞘を取りに向かう最中だった。

野武士「(喰らえ化物!)」

シュゥゥゥゥ……


純「ムギ先輩、どうやらあいつら撤退したみた……」

パシュンッ──

紬「あっ……」

種火が降り、火薬の爆発の勢いで鉛を飛ばしつける。

この火縄銃が、ムギの体に傷をつけた最初で最後のモノとなった。



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 03:41:24.33 ID:tipSFitiO

北口

和「はあ……はあ……はあ……」

澪「ふう……はあ……ふぁ……」

二人とも肩で息をしながらギリギリ立っている。
野武士の撤退をキッチリと見届けた後、背中合わせのまま地面にへたりこんだ。

澪「生きてる……あははっ! 生きてる!」

和「あの数に囲まれて尚、不殺とはね……恐れ入ったわ」

澪「こうしてる場合じゃない! 早く合流……の前にここでノビてる野武士を縄でしばらないと!」

和「手伝うわ」

澪「ありがとう!」

和「他のみんなは無事かしら」

澪「きっと大丈夫。私達七人は何があっても欠けない……何故かそんな気がするんだ」



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 03:53:45.48 ID:tipSFitiO

西口

律「おうらあああっ!」

まさに回転剣舞と言わんばかりの剣幕。

野武士の腕や足を容赦なく切り落とし、その度に鮮血を浴びて行く。

梓「律先輩……」

律「ひゃっはっは!」

梓「ひぃっ」

明らかに死んでいる死体をほじくり回すように刀で突き込む。

律「次はどいつだ!!!」

そう高らかに吼えるも、そこにいた野武士は既に全滅していた。
地面に転がる無数の残骸がその激しさを物語る。

梓「もう敵はいませんよ……帰りましょう?」

律「……おっ」

その時律の目に入ったのは梓ではなく、撤退してゆく野武士達だった。

律「逃がすかっ!!!」ダッ

梓「律先輩っ!!!」



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:03:07.40 ID:tipSFitiO

律は、血を浴びすぎて、或いは殺しすぎて、
もしくはその両方で感情のヒューズが飛んでしまっている状態だった。

律「こいよオラァッ!」

強い自分に酔っているという見方出来る。

野武士「こいつ……!」

野武士「てめぇ!」

後ろを取られあっさりと一太刀浴びる、
鎖帷子を着ていた為致命傷ではないが、これで足は止まった。

律「あっ……?」

上手く足が動かないと言った様子で自分の足を眺める律。

何時間も一人で、梓をも守りながら野武士20人以上を相手に戦って来たのだ。
体に影響が出ないわけがなかった。

野武士「もらったあっ!!!」

首を掬い上げるような軌道で刃が迫る。

律「嘘……だ」



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:10:21.23 ID:tipSFitiO

ガキィィッ──

梓「死なせませんからっ!」

律「梓……?」

大太刀を持って割って入ったのは紛れもない梓だった。
律の真横に刀を打ち立てるようにして斬撃を防ぐ。
まともに振れない彼女唯一取れた方法と言えるだろう。

野武士「すっこんでろ!!!」

梓「あ゛っ……」

鳩尾を蹴られまともに息が出来ないまま地面に踞る。

野武士「じゃあな」

虫でも殺すかのように容赦なく降り下ろされる太刀。

梓「ごめんなさい……」

ザクッ───



189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:15:33.54 ID:tipSFitiO

血を撒き散らしながら何かが宙を舞う。

首……。










いや、それにして長い……何か。


律「謝るのは私の方だよ、梓」

梓「律先輩……っ!」

梓が悲壮あげるのも無理はなかった。

律の右腕はごっそりとなくなっており、見るも無惨になった切り口から血が吹き出している。

宙を舞っていたのは梓の首ではなく律の右腕だった。



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:26:59.06 ID:tipSFitiO

────

なにやってんだ……私は。

ざまあないな……強くなった気でいて……
強さ追い求めるなんて目標作って生きてるのに必死なふりして……結局はこのザマかよ。

数秒後、あの刀が私の首を跳ねるだろう……それで何もかも終わりだ。

約束守れなくてごめんな……。

ガキィィッ──

梓「死なせませんからっ!」

律「梓……?」

あんなに臆病で人一人斬れない梓が、私を助ける為に
野武士の群れに来てくれたと、気付くまでにずいぶん時間がかかった。

わがままで身勝手で一人での垂れ死ぬのがお似合いのこの私を……。

梓「ごめんなさい……」

謝るなよ、謝るのはこっちなんだから。

刀は、持ってない。

探して持ち直す時間もない。

他に太刀を止める方法は……これしかないよな



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:45:39.57 ID:tipSFitiO

──

律「鎖帷子を着こんでて良かったよ。私の腕で勢いが止まってくれて……ほんとに良かった」

梓「何がいいんですか……大事な右腕が……もう……」

その先はもう言葉にならない。

律「右腕一本で梓を守れたんだ、安いもんさ」ニコ
梓「!!!」

野武士「なにごちゃごちゃぬかし──」

梓「喋らないでください」

地面に刺さっていた大太刀をいつの間にか抜き出し、野武士の顔面を側面から殴り倒す。

野武士「てめがっ……は……」

後ろを見ずに突き込んだ大太刀が見事に野武士の腹を抉っていた。

梓「早く手当てしないと!」
律「ああ……そうだな」

梓は律の肩を一生懸命担ぎながら村へと向かう。

律「これでようやく……本当の七人の侍、だな」
梓「そんなこと言ってる余裕あるならもっと走って!」
律「へいへい」



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 04:55:00.25 ID:tipSFitiO

──

唯「りっちゃん……」

律「たかが腕一本なくなったぐらいでわめくなよ」

唯「でも……」

律「そんなことよりムギは……? さっきから顔見てないんだけど」

澪「……ムギは」
和「くっ……」
唯「……ムギちゃんはっ」

律「まさか……っ」

ダッダッダッダッ

紬「りっちゃん大丈夫!!!??」

律「うわっ、ちょっ、大丈夫だから! 変なとこ触るなって……の……ん」
梓「そこまでですムギ先輩! 律先輩は重症なんですから!」

紬「でも……腕が……りっちゃん」

律「そんなことよりムギ! 無事だったんだな! 良かった……ってお前ら!」

澪「誰も死んだなんて言ってないだろ~?」
律「和はなんかくっ……とか言ってたろ!」
和「私はくしゃみを我慢しただけよ」



221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 12:22:34.15 ID:tipSFitiO

唯「でも普通なら死んじゃってるよ!
  火縄銃を受けてあんな軽傷なのはムギちゃんだけってこの村のお医者さんも言ってたし!」

澪「全くどんな体してるのやら」

紬「でも凄い痛かったのよ? あんなに痛かったのは村長に叩かれた以来だもの」

和「火縄銃と同じ威力の平手って……」



梓「律先輩」

律「なんだ?」

梓「痛くないですか?」

律「痛いに決まってんだろ」

梓「ですよね……」

律「なんだよ。言いたいことがあるなら言えよ」

梓「……あの」

バタンッ

純「大変です!!!! 」



224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 12:36:50.22 ID:tipSFitiO

唯「そんな慌ててどうしたの純ちゃん?」

純「さっき村に矢文が来たんですが……その内容が、これなんです」

唯「なになに」

『そなたらの作戦、力量、敵ながら天晴れであった。
 しかし、こちらもこのまま引き下がるつもりはない。
 来季の収穫の際には他の野武士と合流し、500の大軍で村を襲うだろう』

唯「500……」

和「はったり……かどうかは微妙なところね。実際この辺りにはかなりの数の野武士がいるから。
  もしそれらをまとめられる器の頭なら、有り得るわね」

澪「500……そんな人数で来られたらどうしようもない……」

唯「続きがあるよ」

『しかし、それはこちらとしても不本意。仲間を失ったこの借りは自らの手で返したい。
 よって代表同士の一騎討ちを申し付ける。我が勝てば村の収穫物は根こそぎ頂く。
 そちらが勝てば二度と村に手を出さないと約束する。
 時間は明朝6時、場所は村の西口にて。
 まさか逃げるような腰抜け侍ではあるまいな?』



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 12:44:01.12 ID:tipSFitiO

唯「野武士の頭、だって」

純「こいつ偉そうですよ! なんかもう偉そうですよ!」

和「一騎討ちとは古風なやり方ね」

紬「来たらみんなでボコボコにしちゃいましょう! りっちゃんの腕の敵よ!」

律「いや、それは駄目だ」

紬「なんで!?」

澪「胡散臭いとは言えあっちは一騎討ちを望んでる。
  それを袋叩きにするなんて侍の名折れじゃないか」

唯「そうだよ、侍は何より威風堂々じゃないとね!」

紬「じゃあ私が行ってミンチにしてくるわ!」

律「ほんとになりそうだから怖い」

唯「みんな……ここは私に任せてくれないかな?」



227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 12:55:13.49 ID:tipSFitiO

和「唯……」

唯「もとはと言えば私が受けた依頼、最後に褌を締めるのは私だと思うんだ!」

澪「……そうだな。私は文句ないよ。
  今までずっとその背中を見守って来た。最後までお前を信じるよ、唯」

唯「ありがとう、澪ちゃん」

律「私が負けたのは唯我独尊流の使い手ただ一人だ。
  文句なんてあるわけもない。蹴散らして来い、唯」

唯「うんっ! りっちゃんの腕の敵は任されたよ!」

紬「本当は私が行きたいけど……
  唯ちゃんになら任せられるわ。友達を信じて待つこともまた侍よね!」

唯「ありがとう、ムギちゃん。
  ムギちゃんの村が野武士に襲われようものなら私はどこからでも駆けつけるからね!」



228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:01:24.73 ID:tipSFitiO

和「私は勿論文句なしよ。多分この中の誰が行っても負けることなんてないと思うけどね」

梓「それって……」

和「見ればわかるわ。もうあなたは立派侍よ、梓」

梓「……はいっ!」

梓「私も唯先輩に任せます。
  皆さんが信じた腕、どれほどの物かこの目で確かめさせてもらいますからね」

唯「ありがとう、和ちゃん、あずにゃん」

純「やっちゃってください唯先輩!」

唯「任せて!」グゥ~

唯「その前に……」

憂「ごはんだよ! お姉ちゃん!」

唯「おおっ! ナイスタイミングだよ憂!」



229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:08:26.14 ID:tipSFitiO

唯「うまうま」モシャモシャ
和「新米か、美味しいわね」パクパク
純「なんたってこの村のお米ですから!」ムシャリムシャリ

梓「律先輩、あーんしてください」
律「出来るか! んな恥ずかしいこと!」

紬「でね、おにぎりを作るといつもお米がつぶれててあんまり美味しくないの。
  お餅をつくのは得意なんだけど」モグモグ
憂「こう赤ん坊を触る時みたいにしたらどうですか?」モグモグ

澪「刀が侍の魂なら、米は農民の魂だな」モグモグ

唯「一粒残さずいただきます!」モシャコラモシャコラ



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:14:58.03 ID:tipSFitiO

澪「……さっきからなにやってるんだそれ」

唯「これ? ふふふ、実は同じごはんでも味が違うのです!
  だからごはんに合うごはんとごはんを一緒に食べてるんだよ!」

律「ははっ、まるでごはんはおかずだな」

唯「そうだよ! ごはんは主食でありおかずでありみんなを結ぶ絆でもあるんだ!」

唯はごはんを天に掲げる。

それを見た他の侍達も同じくそれを天に掲げ、唯の言葉を待つ。

唯「この一杯のごはんから始まった絆に」



七人の侍+純「乾杯っ!!!」



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:20:41.46 ID:tipSFitiO

明朝6時

野武士の頭「逃げずに来たようだな。お前が代表か(てっきり真鍋和が来ると思ってたが……)」

唯「そうだよ。一騎討ちの前に約束を確認しよう。
  私達が勝てば今後この村、引いてはこの辺りの村全体に手を出さないこと」

野武士の頭「多少変わってるが、まあいいだろう。ここ以外興味はない。
      俺が勝てば村の収穫物は全てもらう、そして七人の侍全員打ち首とする、いいな?」

唯「これでおあいこだね。わかったよ」

野武士の頭「刀を抜け、日が出た時が開始の合図だ」

唯「私はこのままでいいよ」

野武士の頭「ちっ……舐めた野郎だ」



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:27:22.02 ID:tipSFitiO

純「なんか勝手に追加されてるけど大丈夫なんですか!?」

和「唯が負けたら全員打ち首、みんなで仲良く死ねるならそれも悪くないわね」

純「悪いですよ!」

紬「大丈夫。唯ちゃんは勝つわ!」

純「ですけど……」

梓「うるさいです! 黙って見てやがれですこのマリモ頭!」

純「マ、マリモ……」


澪「で、実際どう見る?」

律「相手が普通のやつなら唯が勝つよ。ただ基本に囚われないやつなら……唯は簡単に負けるだろう」



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:35:18.94 ID:tipSFitiO

澪「律だって基本に囚われない型だろう?」

律「私のは初動だけ、後は基本的だよ。
  唯は多分肩や体の流れでどこから打ち出して来るかわかるんだ。
  つまり人間の動きを捨てなきゃ唯には当てれない」

澪「そんなカラクリがあったのか……唯我独尊流には」

律「見破るまで時間かかったけどな。腕があれば再戦してたところなんだがな」

澪「……後悔してるのか? 梓を仲間に入れたこと」

律「そんなわけないだろ。逆に感謝してるよ梓には。自分の詰めの甘さを救われたんだから。
  梓がいなきゃ多分死んでたよ」

澪「そうか……なら腕のことはもう何も言わない。
  色々大変だろうけど、何かあったら言ってくれ、力になるから」



238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:40:53.59 ID:tipSFitiO

律「ああ。その時は頼むよ。
  そう言えばいつの間にか梓や純ちゃんが
  『先輩』って呼ぶようになったんだが、ありゃなんだ?」

澪「先輩って言うのは南蛮で目上の人に使う呼び方らしい。さんとか様と一緒じゃないかな」

律「先輩、か。どうしてだろうな、こんなに心地がいいのは」

澪「さあ、そればっかりは言葉を作った神様にでも聞いてみないとわからないよ」

澪「……始まるぞ」


日の出──

山からうっすらと出てきた光が、

唯を正面から、野武士の頭を下方から照らす。

野武士の頭「行くぜえええええっ!!!」

閉じていた目を開き、その光を受け入れる唯。

唯「来いっ!」

唯の、いや、七人の最後の戦いが始まる。



240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:48:32.90 ID:tipSFitiO

野武士の頭「おらっ!!!」

ぶっきらぼうに斬りつけるも、唯は一方後ろに引きかわす。
目線でその刀を追うことが出来るぐらいの冷静さ。

しかし、その冷静さもここまでだった。

野武士の頭「ペッ」

唯「あっ」

何かが唯の顔に当たる、それは唯の気を一瞬だけでも反らすことに成功した。

野武士の頭「おらよっ!!!」

返す刀で切り上げ、

唯「あぐぅっ」

かろうじて避けるも左肩に深く刀が食い込んだ。



242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:54:06.51 ID:tipSFitiO

紬「唯ちゃん!!!」

律「野郎っ! 唾吐きやがった!」

澪「侍の風上にも置けないな……!」

和「でも効果的よ。
  唯もまさか唾を飛ばして来るなんて思ってなかった、だからこその被斬よ」

澪「綺麗なだけじゃ勝てないってわけか……」

和「ええ。さすが野武士の頭、手慣れてるわ」

律「となると唯にとっちゃ最悪の相手……もしかすると……」

和「そんなことになる前に私は侍を捨ててでも唯を助けるわ」

澪「私もだ。唯が殺されるぐらいなら……!」

憂「大丈夫です。お姉ちゃんは負けませんから」



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 13:59:41.08 ID:tipSFitiO

律「でも……」

憂「お姉ちゃんの凄さは私が一番知ってます……その私が大丈夫って言ってるんです!」

澪「憂ちゃん……(本当は誰よりも唯を助けに行きたいんだろうな)」

和「(ここで助けたら唯の侍の意地は砕け散るも同然……
   姉の尊厳を守るために自らをも圧し殺す……いい侍になったわね、憂)」

律「よぅし、憂ちゃんがそう言うなら黙って見させてもらおうじゃないの!」

紬「唯ちゃん……がんばって」

梓「唯先輩……!」

純「がんばれ!がんばれ!」

憂「お姉ちゃんは誰にも負けません……」



244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 14:10:08.32 ID:tipSFitiO

皆が応援する祈りも虚しく、野武士の頭の攻撃は唯を追い詰めて行く。

野武士の頭「どうしたよッ!? そんなもんか侍大将さんはよォ!」

唯「くっ……」

義意太を使わなければ避けられぬ程に疲弊し、後ろに下がるだけの一方的な展開が続く。

野武士の頭「ちっ!」

痺れを切らした野武士の頭は一旦距離を取り、また大振りで斬りかかって来る。

律「さっきのが来るぞ!」

太振りな為、受ければ大勢が崩れる。
唯は何とか義意太を使わずこれを回避、しかし二の矢、

野武士の頭「ペッ」

たっぷりとためこんだであろう唾が唯の顔目掛けて飛翔する。

唯「同じ手を食うか!」

斬られてない方の腕で唾をガード、しかし……

野武士の頭「三の矢まであるんだよォォォォ!!!」

土蹴り───

古典だが効果的な一撃が、唯の腕と体の間をすり抜けて顔に向かってくる。



250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 15:19:32.18 ID:tipSFitiO

唯「ぐっ……!」

律「もらっちまったか!」

目に大量の土が入り込み唯の視界を奪う。

野武士の頭「もらったァァァァァァ!!!!」

和「」ダッ!
澪「」ダッ!

和と澪が無言で駆け出す、間一髪間に合うか、というタイミング。

それでも、憂だけは微動だにしない。

律「唯っ!!!!」
紬「唯ちゃんっ!!!」
梓「唯先輩っ!!!」

憂「お姉ちゃんこそ……唯我独尊……!」

憂「平沢唯なんです!!! 私のお姉ちゃんは負けません!!!」



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 15:26:32.44 ID:tipSFitiO

サアアアア……

野武士の頭「なっ」

唯「唯我独尊、我一人也」

野武士の頭「刀が……避けて……」

ガタガタガタ……。

野武士の頭「刀が震えてやがる……違う、震えているのは俺か……?」

殺気、それもそれだけで人を殺しめる程の。

野武士の頭「う、うわあああああああ!!!」

無茶苦茶に刀を振る、しかしどれも唯には届かない。

唯「っ────」

野武士の頭「ご……」

何かに斬られてたかのように崩れ落ちる。

泡を吹きながら地面に倒れ込んだ野武士の頭が、立ち上がることはなかった。



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 15:36:31.34 ID:tipSFitiO

純「何もしてないのに野武士が倒れましたよ!?」

澪「なんだ……さっきのは」

憂「あれが唯我独尊流奥義、第三の剣、心斬です」

律「心斬?」

憂「人には三つの剣があると言われています。一つは真剣、一つ手刀、そして心斬……」

和「一つ、剣を使い己を鍛え、二つ、己の体を剣とし、三つ、心すらも斬り裂く刃となれ……
  まさか唯がそこまでの領域に踏み込んでいるなんて」

律「唯は野武士の心を斬ったってのか? あの殺気で……」

憂「あれこそ唯我独尊流初代師範代、原点にして頂点、平沢唯なんです!」

唯「」どん!!!


唯「前が見えないよぉ~」ゴシゴシ



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 15:47:31.68 ID:tipSFitiO

こうして私達の村は野武士との戦いに勝利し、平和を取り戻しました!

これも何もかもお侍さんのおかげです!

一杯のごはんから始まり、集まってくれた七人の侍に、どれだけ感謝しても感謝しきれません!

だからこの気持ちを何とか形に出来ないかと色々試行錯誤するつもり。

今は、こんなことしか出来ないけど……。


唯「純ちゃん早く~」

純「もうちょっと待ってくださ~い」

和「しかし良くあんなものもってたわね」

澪「あれも南蛮の人の貰い物だよ。映写機って言うらしいよ」

紬「私達の姿が残るなんて……何だか緊張するわ」



256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 15:58:05.05 ID:tipSFitiO

梓律「……」

律「なんだよ、寄ってくんなよ」
梓「いえ、そうは行きません」

律「……」
梓「……」

律が一歩動けば、梓も一歩動く。
つかず離れず……。

律「だぁっ! なんだってんだよ! 一緒に写るって言っても近すぎだろ!」
梓「私は律先輩の右腕ですから」

律「まだそんなこと気にしてんのかよ。いいって、長い人生なんだ、私なんかで無駄にすんな」
梓「嫌です。ずっと側にいます」
律「わがままだな梓は」

梓「はい、わがままです……それでも、一緒にいてくれますか?
こんなわがままでも…」

律「……こっちにこい」
梓「えっ……」

律「右側に立たれると私が何もしてやれないだろ? だから、こっちに来い」
梓「あっ……」

律「こっちなら、私もお前を守れる」ぎゅっ
梓「……はいっ」



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:03:24.76 ID:tipSFitiO

純「これでいいのかな? じゃあ撮りますよ~?」

七人がそれぞれの返事を返し、純が映写機を覗き込む。

純「え~と、こんな時どんな掛け声かけたらいいんだろ」

唯「純ちゃん! ごはんごはん!」

純「あぁっ! わかりました!!!」


純「じゃあ行きますよ~?」



純「ごはんは~?」


律「おかず!」梓「おかず!」唯「おかず!」憂「おかず!」和「おかず!」澪「おかず!」紬「おかず!」


───────



260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:11:53.72 ID:tipSFitiO

律 梓 唯 憂 和 澪 紬

律 梓 唯 憂 和 澪 紬
    パシャッ
     純「撮れましたよ~」

澪「ごめんね純ちゃん。タイマー式の持って来るの忘れて」

純「いいんですよそんなの! 気にしないでください!」

唯「それにしても私達に良く似てるよね~この七人の侍像!」

憂「うん。お姉ちゃんがピースしてるとことかそっくりだよぉ」

和「もしかしたら私達の古い祖先とか? 何てあり得るわけないわよね」

紬「でもこの眼鏡つけた人なんて和ちゃんそっくりよ?」

梓「ありえませんよ! 私が律先輩に寄り添ってるなんて!」

律「なんだと中野ぉ!」

梓「大体卒業旅行って私達はまだ卒業してな」

唯「細かいこと言うあずにゃんはいね~が~?」ぎゅ~

梓「もうっ! いいから早く次のところ回りましょう!」



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:18:41.12 ID:tipSFitiO

駅前──

唯「あ~楽しかった!」

梓「唯先輩ははしゃぎすぎです」

律「さて、解散か」

澪「私はちょっと寄るところがあるから」

律「ん、わかった」

憂「私も買い物して買えるねお姉ちゃん」

唯「わかったよ!」

和「見事に全員帰り道がバラバラね」

純「私はどう転んでも一人な帰り道ですけどね」

紬「じゃあまたね~みんな~」

唯「うん! 大学生になっても頻繁に遊びに来るからね~あずにゃん純ちゃん」

純「はい!」

梓「あんまり遊び過ぎて単位落として留年して来年私と同学年なんてやめてくださいよ」

唯「わかってるわかってるぅ」



262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:23:24.39 ID:tipSFitiO

手を振りながらじゃあねと別れる。

それぞれがそれぞれの道を行き、またいつか交わることもあるだろう。

七人の侍達の最後も、こうだったのかもしれない。

    唯
   憂 和
  澪 完 律
   紬 梓



266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:28:12.66 ID:tipSFitiO

なんか思ってたよりちょっとなげやりな終わりに見えるけど気にしない

本当の七人の侍とはかなり違いますけど何となく表せたかなとは思います
気になったら見たりしてください! 名作です!

保守してくださった人達に感謝です!

長々とすみませんでした!


きやがったですやりたいだけがこんな長くなるとは思いませんでした!




263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:25:30.58 ID:bAAm/4VU0

おつ



264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:26:22.57 ID:eY8cavUIO





267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:28:17.00 ID:vK5U5lsM0

乙!
面白かったよー。梓が可愛かった



268 名前: 忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/06/06(月) 16:42:15.11 ID:WYnvkhFh0

乙!
楽しんで読めたよー



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:51:03.80 ID:UaIaMpbNO

乙!面白かった



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 16:51:52.10 ID:uyiGD8FlO

乙!
ちょっとオリジナルに興味わいた



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 17:26:27.31 ID:ZMiH2JAd0

おつ!
このスレを見て7人の侍BDをポチったのは俺だけではないはず



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/06(月) 19:13:36.28 ID:0guRt8qI0

面白かったよ乙
オリジナルはビックリする程長いからなぁ





関連記事

ランダム記事(試用版)




唯「七人の侍!」#後編
[ 2011/06/06 21:30 ] クロス | 七人の侍 | CM(4)

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

タイトル:
NO:2400 [ 2011/06/06 22:22 ] [ 編集 ]

竜頭蛇尾

心斬で萎えた

タイトル:
NO:2402 [ 2011/06/07 01:38 ] [ 編集 ]

唯の心斬強すぎ、チート並みの強さだな
でも個人的にはムギが一番強い気がする

タイトル:
NO:2426 [ 2011/06/08 06:14 ] [ 編集 ]

かっこよかった!!

タイトル:
NO:5541 [ 2012/02/08 04:35 ] [ 編集 ]

心斬いいじゃん?
最初から使わないのは物語上、仕方ないが何らかの条件があるんだろ?追い込まれなければ使えないとか
実際↓の米にあるように紬の怪力、または和の居合なら発動前に唯を潰せるかもしれないし

萎えたとか言ってるのは唯が活躍するのが疎ましいだけだろ

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6