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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#1 【アクション】


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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#1
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#2
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#3
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#4




1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県):2011/05/19(木) 03:16:35.10 ID:YkMs7/euo

けいおん!のキャラを軸に唯たちが
よく分からないオリジナル能力を駆使してなんやかんやするSSです

百合っ気は皆無ですし少々血生臭い場面もありますがそこのところ御了承願います。





2 名前::2011/05/19(木) 03:18:31.54 ID:YkMs7/euo

2011年4月某日、桜が丘女子高等学校音楽準備室にて。
今年2年生になる軽音部の4人は新入部員の勧誘もそこそこに、放課後を適当に満喫していた。

唯「ムギちゃん今日のおやつはなぁに~?」

紬「女体盛りよ~♪」

澪「ブフッ!!」ピャー

律「うお!澪っ!こっち向いて噴くなよ!」

澪「だってムギがいきなり変なこと言いだすから…!」

紬「変なことってなぁに?澪ちゃん」

澪「いや、それはその…にょ、にょ、にょたいって…///」

唯「ムギちゃん、女体盛りって何?」

紬「澪ちゃんが教えてくれるみたいよ♪」

澪「わ、私は女体盛りなんて知らないからなっ!」

軽音部は学年が上がっても変わらず平常運転だった。
しかしお茶とお菓子をのんびり嗜み、たまに部活動らしく活動して満足する日々も
今日からほんの少しだけ様変わりする。

賑やかな音楽準備室にコンコンと軽く扉をノックする音が聞こえた。
失礼しますと言って入って来たのは幼い顔立ちをした小さな女子生徒だった。



3 名前::2011/05/19(木) 03:21:42.82 ID:YkMs7/euo

梓「入部希望…なんですけど」

律「おおっ!待ってました!」

律に続いて他の3人も顔を明るくして歓迎した。

紬「ささ、どうぞ座って」

梓「あ、失礼します…」チョコン

唯「名前はなんていうの?」

梓「中野、梓です」

唯「へぇ~、じゃああだ名はあずにゃんで決定だね!」

律「はえーよ!いろんな意味で!」

澪「軽音部に入るってことは、今まで何かやってたのか?」

梓「えっと、ギターを、少し」

唯「えっ?」

梓「え?」



4 名前::2011/05/19(木) 03:24:36.67 ID:YkMs7/euo

澪「ん?」

唯「あ、ああ、そういうことね。うん、いいよ。全然おっけー」

律「お前が全然おっけーじゃなさそうだが」

梓「その…何か駄目でしたか?」

唯「全然問題ないよ!うん!多分」

澪「そっか、ギターやってたんだ。それで、他には?」

梓「他、ですか?…す、すいません…私ギターしかやったことなくて…」

澪「えっ?」

梓「えっ?」

律「だあーっ!!まどろっこしい!澪、お前聞き方が悪いんだよ」

澪「わ、私は普通に質問してるだけだぞ!」

紬「どうやらコレは去年の唯ちゃんのパターンのようね…」

梓「あ、あの…」

唯「あずにゃんは何も悪くないんだよ!むしろ私たちに非があるっていうか…」



5 名前::2011/05/19(木) 03:27:01.78 ID:YkMs7/euo

律「…コホン!えーつまりだな。単刀直入に聞くけど…」

律「中野さんの『魔技』は何に特化してるんだ?」

梓「………まぎ?」キョトン

紬「…どうやらまたやってしまったみたいね」

律「まじかぁ~…」

事態を呑み込めない梓は困ったように首をかしげている。
それを囲む4人はそれぞれ目配せした後、仕方ないと納得したように話を続けた。

律「中野さんはどうして軽音部に入ろうと思ったの?」

梓「新歓ライブを見て…かっこいいなって思って」

唯「ホント!?ありがとぉ~」

律「ま、まあそう言われる分にはこっちも嬉しいけどな」

梓「先輩方とっても上手でした!私あのライブを見て感動して…」

澪「い、いや、実はそうじゃないんだ。本当に申し訳ないけど」

梓「?」

紬「私たち軽音部はね、たぶん梓ちゃんが思ってる軽音部とは違うと思うの」

梓「…?どういうことですか?」



6 名前::2011/05/19(木) 03:30:04.48 ID:YkMs7/euo

澪「要するに軽音部っていうのは表向きの立場で…」

律「実態は桜が丘女子高等学校の生徒会長直属の防諜機関、少数精鋭の治安組織なんだよ」

梓「…???」

律「ちょっとライブで張り切りすぎちゃったかなぁ。
  まさか音楽の方面で入部希望者が来るとは思ってなくて…」

澪「去年も唯が何も知らないで入部届け出したけど…」

唯「あ、あの時は人数足りなくて本気で困ってたんでしょ!?」

紬「それは実際、かなり助かったんだけどね」

梓「ちょ、ちょっと待って下さい。もしかしてバンド活動はやらないってことですか?」

澪「いや、練習もするしライブもちゃんとやるよ」

律「それ以外にも私たちには仕事があるってことさ」

梓「…それでしたら、すいませんけど入部は諦めます」スッ

唯「ま、待って!」ガシッ

梓「え?」

唯「ごめんねあずにゃん。これは決まりなの。ここの存在を知った以上、入部は取り消せない」



7 名前::2011/05/19(木) 03:34:29.65 ID:YkMs7/euo

梓「そ、そんなの私には関係ありません!」バッ

律「まあまあ、そんなこと言わずに。ちゃんとバンドだってやるぞ?」

澪「少数精鋭というけど人数はそれなりに必要だしな」

紬「歓迎いたしますわ~♪」

梓「…ちゃんと練習するなら…入部します、けど」

律「よっしゃ決まりだ!…と、その前に説明しなきゃいけないことがいくつかあるな」

澪「梓は本当に『魔技』について何も知らないんだな?」

梓「は、はい…」

唯「『魔技』っていうのは魔法のことだよ!あずにゃん!」エヘン

梓「魔法…?」

澪「簡単に言えばそうだな。一部特権を持つ人間だけが使える、特殊な能力のことだ」

紬「それを使って数多の事件を解決するのが私たち軽音部のお仕事なの~♪」

梓「そ、そんなの私使えませんよ!?」

唯「心配には及ばないよあずにゃん。和ちゃん辺りが適当になんとかしてくれるから」

澪「現生徒会長が唯の無二の親友だからな。無能力でもコネで正式加入は余裕だろう」



8 名前::2011/05/19(木) 03:40:21.23 ID:YkMs7/euo

律「『魔技』の話は追い追いするとして、活動の内容なんだが…」

澪「私たちは事件が起きてから要請を待って動くタイプの生徒会執行部とは違う。
  常に事件の匂いを嗅ぎとって未然に防ぐ、暗密の特殊部隊と言ってもいい」

唯「だからといって勝手に動いていいわけじゃないんだけどね」

紬「上層部である生徒会のトップ、真鍋和生徒会長が軽音部の総指揮官なの。
  だからある意味では生徒会のいいように使われるという側面もあるのだけど…」

梓「…どんな時に出動するんですか?」

律「例えば生徒の非行、『魔技』による暴行、不正、事故、他には部活間抗争の時等々…だ」

梓「そんなの、生徒会執行部や生徒指導教員に任せればいいんじゃ…」

律「奴らがそんな真っ直ぐに解決してくれると思うか?」

紬「執行部も指導教員も、組織が大きくなればなるほど裏で何をしているのか分からなくなる…。
  汚職に献金、利権と保身しか頭にない彼らには何も期待できないわ」

唯「ま、私たちも校則違反スレスレのことやってきてるんだけどね!」フンス!

律「時に思いっきり違反するが、それもこの軽音部の特権ってもんだ」

梓「でも、解決するって言っても4人でどうやって――」

梓がそう言いかけた時、唯たちの携帯がけたたましく鳴り響いた。



9 名前::2011/05/19(木) 03:44:19.18 ID:YkMs7/euo

ギュイッ ギュイッ ギュイッ

梓「!?」

律「うおっと!新学期初のお呼びがかかったみたいだな」

梓を除く4人がそろって携帯の画面を見た。

律「アンプに転送するぞ」

ブツッ、という音が聞こえたかと思うと、梓の頭にノイズの混じった
機械的なエフェクトをかけたような声が鳴り響いた。

?「第4棟、生物化学教室にて犯行グループが一般生徒を人質に立て篭もりする事件が発生したわ。
  既に生徒会執行部が制圧に向かっているけど
  犯行声明が確認できない以上、こちらも手出しが出来ない。
  『魔技』の使用を許可するわ。軽音部に人質の救出を要請します」

長々としゃべった後、またブツンという音と共に頭の中の声は消えた。

梓「な、なんですか今の!?」

梓が驚いて唯たちに訊ねるが、4人ともそれぞれの楽器を慌ただしく用意していて答えなかった。

梓「???」

梓はわけがわからないまま立ちつくしていた。



10 名前::2011/05/19(木) 03:47:52.86 ID:YkMs7/euo

律「…よしッ。準備は出来たか?」

澪「ああ、問題ない」

唯「ちょ、ちょっとお待ちを~…」ゴソゴソ

紬「…目標の情報を取得するわ。第4棟生物化学室…」ブツブツ

梓「な、なに…?」

困惑している梓に、律がやっと声をかけた。

律「梓は無能力だからな…そうだ、ここに居てムギの指示に従ってくれ」

紬「入部していきなり実戦なんて、ついてるわね♪」

梓「は、はあ…」

律「で、どうだ?あっちの状況は」

紬「魔技使いが二人、一般生徒が4人、うち一人は動き回っていることから犯行グループの一員ね…」

律「ってことは犯人は3人、人質も3人か…」

唯「よいしょっ…と。りっちゃん、準備できました!」



11 名前::2011/05/19(木) 03:52:27.05 ID:YkMs7/euo

律「…よし。今回は私と唯のツーマンセルで行く。澪はサポート頼む」

澪「分かった。だけどどうやって行くんだ?」

律「どうって…そりゃ正面突破だ」

澪「馬鹿、人質がいるんだぞ」

律「大丈夫だって。唯と私で犯人を拘束しておくから、
  その間に澪の『念動波(テレキネシス)』をぶちかましてやればいい」

澪「ぶちかますような能力じゃありません!」

唯「でも救出には『念動波(テレキネシス)』が一番向いてるんだよ~」

律「信用してるからな!さ、行くぞ唯!」

唯「ラジャ!」ビシッ

澪「お、おい!待って!」

ひとしきり打ち合わせをすると律と唯の二人は迷わず音楽準備室を出て行った。
追いかけて澪も出ていく。



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県):2011/05/19(木) 03:58:53.08 ID:YkMs7/euo

梓「あの…『念動波(テレキネシス)』って…?」

紬「澪ちゃんの魔技のことね。彼女は『空間座標操作』に特化した魔技の使い手なの」

梓「空間座標操作?」

紬「まあ見てれば分かるわ」

紬はそう言うとキーボードにそっと手を乗せた。

紬「まず唯ちゃんたちの固有カメラを設置して…と」

梓は紬が鍵盤を弾く様子をじっと見つめた。
電源が入っていないのか、音が全く出ていない。

梓「つ、紬先輩?音が出ていないみたいですけど…」

紬「これでいいの♪それと梓ちゃん、今日はギター持ってきてないのよね?」

梓「はい…」

紬「じゃあ唯ちゃんのギー太でいいかな。あそこのギター、構えてくれる?」

梓は言われた通りにストラップを首にかけ、ギー太を構えた。

紬「似合ってるわ♪」



13 名前::2011/05/19(木) 04:02:52.79 ID:YkMs7/euo

梓「そ、それだけですか?」

紬「ううん。何か弾いてみてくれる?」

梓「は、はい」

梓は恐る恐る弦を弾いてみた。とにかく適当なフレーズを奏でていく。

するとギー太の音色が梓の頭をガンガンと鳴らし始め、瞬間的に強烈な痛みが走った。

梓「ッ!!」ガタッ

少し目眩がした後、梓が目を開けるとそこには音楽準備室とは違う風景があった。

否、梓が見ている準備室と見知らぬ風景が同時に見えていた。

梓「こ…これは…!?」

紬「梓ちゃんの目から得る視覚とは別の視覚領域を脳に作ったの~。
  これで私の『衛星解析(サーチ)』を直接梓ちゃんの脳に送り込めるわ。
  ただ梓ちゃんとギー太じゃ相性の問題もあるからクリアな情報は提供できそうにないけど」

梓が両目で見る部屋とは別に、様々な風景が頭の中に渦巻いている。
もやもやしていて良く見えないが、どうやら学校全体の立体的な図面のようだ。
他にも唯、律、澪の目から見える景色らしい映像がチラついたが、
今の梓にはそれらも意識するのは困難だった。



14 名前::2011/05/19(木) 04:04:51.77 ID:YkMs7/euo

紬「最初は4画面全部を意識するのは難しいだろうから、まず透過図面に意識を集中するのがいいわ」

紬「コネクト開始。ターミナルを田井中律に設定。伝達率97%、異常なし」

紬「今はまだ梓ちゃんに『知覚網(シェア)』で
  意識伝達までするのはキツイかな。梓ちゃんだけ遮断しておくね」

何やら言っている紬の言葉も、ごちゃごちゃした梓の頭では返事をすることも難しかった。

紬「さ、始めましょうか。作戦開始♪」

梓の意識は音楽準備室から学校の透過図面へと移っていった。

――――
―――
――

律《状況確認。教室の入口付近は物騒な連中でぎゅうぎゅうだ》

唯《生徒会執行部だね。あれじゃ中の様子が分かんないや》

律《ったく…こんな狭い場所なんだから機動力生かせなくてどうすんだよ…》

澪《愚痴ってる場合じゃないぞ。
  侵入経路を想定して『知覚網(シェア)』した方が効率がいいかもしれない》

律《そうだな。澪は校外から広範囲をカバー、唯と私でそれぞれ潜入できるポイントを探す》



15 名前::2011/05/19(木) 04:06:49.16 ID:YkMs7/euo

唯《でも執行部のみんなが邪魔だよ》

律《お前の『憑依(ジャック)』を上手く使えば私たちの姿は見えないはずだ。
  下手にこいつらに動かれるより、私たちだけで人質を救助した方がいい》

唯《これだけの人数に?そんな簡単に言わないでよぉ~…結構難しいんだから》

律《そう言うな。澪、そっちはどうだ?》

澪《ムギ、拡大調整してくれ。距離は100メートルだ》

紬《こんな感じでいいかしら?》

音楽準備室に居る紬が澪の『知覚網(シェア)』にのみ視覚拡大調整を施した。

澪《OKだ。……人質の様子を見て回っているのが一人、残り二人は窓側と入口側を見張っているな》

律《…澪、『念動波(テレキネシス)』で唯のピックを教室の中に送り込めるか?》

澪《唯のピックなんて送ってどうするんだ?》

律《私に考えがある》



16 名前::2011/05/19(木) 04:11:00.84 ID:YkMs7/euo


~~~~~

マミ「…なかなか魔女の結界が現れないわね」

さやか「せっかく周りに被害が出ないように教室を封鎖したってのに…」

まどか「この人たちも早く外に避難させた方がいいんじゃないかな」

鹿目まどかは、気絶している一般生徒を見守りながら二人に声をかけた。

マミ「そのまま外に運んでも人目につくし、何より騒ぎが起きてしまうわ。
   それは少し、避けたいのよね」

巴マミはそう言うと、教室を見渡した。

マミ「…確かにここに魔力の痕跡があったのね?」

さやか「まどかと二人でたまたま見つけたんだけど、
    ちょっと目を離したすきに消えちゃったんだよね…」

マミ「でも被害者の3人が影響を受けてるってことはこの教室のどこか…
   いえ、何かに結界への扉があるはず。色々探してみましょう」

キラッ

さやか「?なんだろ、これ…ピック?」スッ

ドクンッ!


さやか「ッ!?」



17 名前::2011/05/19(木) 04:18:06.78 ID:YkMs7/euo


~~~~~

澪《よし、ひっかっかったぞ。唯、あとは頼んだ》

唯《…………》ガクン

律《しかし大丈夫か、唯で…。なんかヘマやらかしそうで心配だぜ》

澪《まぁ、確かに『憑依(ジャック)』を唯に使いこなせるかどうか、不安ではあるけど…》

紬《信じるしかないわ。唯ちゃんも軽音部の一員なんだから》

律《こういうの、ホントは澪とかムギに一番向いてる能力なのにな…》


~~~~~


さやか「う、うぅ~ん………」

マミ「美樹さん、どうかした?」

さやか「…えっ? い、いやなんでもないよぉ」アセアセ

マミ「? そう…」

さやか(ん~…。やっぱ他人の体は上手く使えないなぁ…よいしょっと)

まどか「さやかちゃん?」

唯が意識を乗っ取ったさやかの体はどこか動きがぎこちなく、教室をふらふらしていた。



18 名前::2011/05/19(木) 04:23:42.28 ID:YkMs7/euo

さやか(…さて、と。どうすればいいのかなぁ?)

唯は辺りをキョロキョロと見た。
やはり教室の入り口は黄色い髪の生徒によって塞がれている。

さやか(なんか全然悪い人に見えないなぁ)

さやか(! 人が倒れてる…。3人…でも別に束縛されてるわけじゃないね)

さやか「あ、あの~」

まどか「なに?さやかちゃん」

さやか「(あ、私さやかっていうんだ)その人たち…どうするの?」

まどか「どうするって…さっきマミさんが言ってたじゃない。目が覚めるまで外には出さないって」

さやか「そ、そうだったね!うん、そういえばそんなこと言ってたね!」

まどか「…?」

さやか(状況がよく分からないなぁ…。目的は何なんだろう)

さやか(この体じゃ『読心(ハートキャッチ)』も出来ないし…まずは人命救助から先、かなぁ)



19 名前::2011/05/19(木) 04:27:08.04 ID:YkMs7/euo

さやか「…なんだかこの部屋、暑くない?窓開けようよぉ」

唯は澪に連絡を取ろうと窓に近づいた。
澪の『念動波(テレキネシス)』で人質を空間移動させるためだ。

マミ「そうかしら?別に暑くはないと思うけれど…」

唯は適当に受け流すと、窓の外に澪の姿を探した。

さやか(あ!居た!っていうか遠すぎる~…えっと、サインサイン)クイックイッ

澪《ん…?あれは…》

律《どうした澪?》

澪《犯人の一人が窓を開けてこっちを見た。サインを送ってる事から、唯だな》

律《『念動波(テレキネシス)』できそうか?》

澪《いや、人質3人の姿が見えないから無理だ。もう少し近づいてみる》

律《慎重にな》



20 名前::2011/05/19(木) 04:28:11.34 ID:YkMs7/euo

澪は生物科学教室の中が良く見える位置まで行った。

さやか(おっ、来た来た。後は人質を見えやすいところにもってこないと…)

さやか「あ、あの~…」

マミ「…さっきから美樹さん、様子が変よ…?」

さやか「い、いや、私なら大丈夫。全然問題ないよ~」

マミ「ちゃんと魔力の痕跡、探してる?」

さやか「(魔力の痕跡…?)う、うん。探してるよ。
    ところでさ、この人たち地べたに寝かしておくのはちょっと可哀そうじゃない?」

まどか「う~ん、確かに…」

さやか「こう、机の上に寝かせてあげるのはどうかな?」

まどか「…そうだね、それがいいかも」

思ったより簡単に受け入れてくれたな、と唯は心の中でつぶやいた。

さやか「じゃ、じゃあ私が運ぶよ!」

唯は半ば強引に人質を窓際の机に並べて寝かせた。



21 名前::2011/05/19(木) 04:32:00.29 ID:YkMs7/euo

澪「!」

澪《人質の姿を肉眼で確認、律のいる廊下にテレポートさせるぞ》

律《よし、それが終わったら唯にこっちに戻るよう伝えてくれ》

澪《了解》

澪は『念動波(テレキネシス)』を使い、人質3人を一瞬にして教室の外に移動させた。

さやか(よっし!作戦成功!)

まどか「あれっ!?さ、さやかちゃん!?」

マミ「鹿目さん、どうし……えっ!?あの人たちはどこに…?!」

さやか(気付かれちゃった!ってか当たり前か。どうしよ…)

さやか(あ、澪ちゃん…なになに、「もう戻っていいぞ」…おっけー!)

唯はすぐにさやかの体から抜け出した。

さやか「………っとと…! あれ?二人ともどうしたの?」

まどか「さやかちゃん、あの3人はどうしたの!?」

さやか「???」



22 名前::2011/05/19(木) 04:33:58.40 ID:YkMs7/euo


~~~~~

唯「………はっ!」ガクン

律「おう、おかえり」

唯が自分の体に戻った時、廊下にいた生徒会執行部はいなくなっていた。

律「人質が私のところに来た時に、アイツらに事情を説明して撤退してもらったんだよ。
  今頃保健室に連れてってるところだな」

唯「じゃあ任務完了だね!」

律「いや、執行部の連中が居なくなったいま、結局犯人の身柄拘束も私たちが引き受けることになった」

唯「そ、そんなぁ~」ガックシ

律「何言ってんだ、こっからが私たちの本領発揮だろ!」

律《澪、犯人の姿は見えるか?》

澪《見える、けど奴らを直接テレポートは出来ないぞ》

澪の『念動波(テレキネシス)』は意識のある物体に干渉するのが難しい。
基本的に"動かない物体"に対して使う澪の能力は、
意識レベルの高い人間や動物を対象にするにはかなりの力が必要になる。

律《そうじゃない。これから私と唯で正面から突っ切るんだ》



23 名前::2011/05/19(木) 04:38:51.00 ID:YkMs7/euo

澪《? 入口は塞がれてるんじゃ…》

律《だから澪の『念動波(テレキネシス)』で入口ごと座標変換するんだよ。
  そうすれば教室はガラ空き、相手の意表もつける》

澪《な、なんつー発想だ…っていうかそんなデカイ空間移動は…まぁ、出来るけど…》

律《よし!カウント3で突入するぞ!》

唯(3…2…)

律《…1…行け!》

ドゴッ!!

マミ「きゃっ!?」

さやか「マミさ…んっ!?」ギュッ

一瞬にして廊下と地続きになった教室に唯と律が突入する。
隙が出来たマミとさやかは二人に後ろを取られ、身動きを封じられた。



24 名前::2011/05/19(木) 04:42:16.38 ID:YkMs7/euo

まどか「マミさん!!さやかちゃん!!」

律「おっと動くな。この状態なら首も飛ばせるぞ(この人胸でっけー)」

マミ「……っ!」ゾクッ

さやか「は……離せっ…!」ジタバタ

唯「ちょ、ちょっと…暴れないでよぉ」

まどか「あ、あなたたちは誰!?」

律「軽音部だ。3人を強制拉致の疑いで補導する」

さやか「きょ…強制拉致!?私たちが!?」

マミ「…何かの間違いよ」

マミ(ヤバイわね…まさか軽音部が動く事態になっていたとは…)

律「ま、一般生徒3人を気絶させて教室に閉じ込めたという事実は変わらない。
  おとなしくするんだな」

マミ「弁解の余地はないのかしら…(この子…すごい力…っ!)」

律「思ったより抵抗しない所を見ると、なにやら事情はありそうだが…話は別の場所でしようか」



25 名前::2011/05/19(木) 04:45:44.33 ID:YkMs7/euo

さやか「私たちは何もしていな…」

まどか「ああっ!!」

驚きの声と共にまどかが見つめる先に、孵化しかかっているグリーフシードがあった。

さやか・マミ「!!」

マミ(魔女の結界が…開く!)

律「ん?どーしたんだよ、そんな悲鳴あげて…」

マミ「ごめんなさい、軽音部の人…!」ググ…!

律「うおっ!?」バンッ

マミは魔力を使い、律の拘束から抜け出した。

さやか「は、離してよっ!魔女の結界が…」

唯「まじょ?けっかい?」

マミ(駄目…遅い…ッ)



26 名前::2011/05/19(木) 04:53:57.22 ID:YkMs7/euo




~~~~~


律「………で、これは一体どーゆーことなんだ?」

マミ「ここは魔女の住処…結界の中ね。私たちは迷い込んでしまったの」

唯「うわぁ~、なんかキレー」

さやか「この人は危機感とか恐怖心とかないの…!?」

律「説明になってないな。魔女ってそもそも何だよ」

マミ「…あの一般生徒3人は魔女の毒気にやられて気絶していたの。
   私たちは原因である魔女を倒すため、あの教室で待ってたってわけ」

律「ふぅん…イマイチ分からんけど、なんか面白そーじゃん」

マミ「あなたたちは危険だから美樹さんと一緒にここに居て」

まどか「マ…マミさん…あれ…」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

マミ「…!どうやらあっちから出向いてきたようね」

さやか「で…でっか!」



27 名前::2011/05/19(木) 04:56:26.20 ID:YkMs7/euo

律「あれが魔女か?」

律は適当に魔女の方へ目をやると、ハハン、と軽く笑った。

マミ「軽音部は早く逃げなさい!」

律「その必要は……ないぜッッ!!」

ビュン、という音とともに律の体は魔女へと一直線に向かっていった。

さやか「なっ!?アンタ死にたいの!?」

唯「私も~♪」

律を追いかけて唯も魔女の足元へ走っていった。

さやか「ってコラ!……あ~あ、行っちゃったよ」

不意に爆音が轟く。
異形の魔女がバランスを崩し、地面に逆さに激突した。

マミ「こ、これは…!?」

律「唯!こっちによこせッ!」

唯「ほいよりっちゃん!そーれ!」ドゴォ

律「くらえッ!『ウルティマ・シュート』ッッ」

マミ「え」



28 名前::2011/05/19(木) 04:59:32.91 ID:YkMs7/euo

ドドドドドド・・・!!

律のダサい掛け声とともに、魔女の体は完全に破壊された。

マミ「ちょ、ちょっと!パクらないで頂戴!」プンプン

何故か頬を膨らませて起こるマミを尻目に、律と唯は二人でガッツポーズを取った。

さやか「つ…つよすぎる…」

まどか「あんな大きな魔女を数発、しかも生身で…!?」

律「いやぁーっ、久しぶりに本気だしちゃった」テヘ

唯「普段使わない開放系の魔技なんて使うんじゃなかった…」グッタリ

マミ「……ま、まぁウルティマよりアルティマの方がカッコイイから許すわ…。
   それにしても、あなたたち一体…何者なの…?」

律「だから軽音部だってば。あんたら二人も魔技の使い手なんだろ?」

マミ「魔技…?私たちの場合は魔法だけど…」

律「どっちも一緒だって!私らも魔技を使えるんだよ、一応」

さやか「じゃあアンタらもQBと契約を?」

唯「きゅーべー?」キョトン



29 名前::2011/05/19(木) 05:03:20.42 ID:YkMs7/euo

魔女を倒したことで律たちの周りはいつもの学校の風景に戻った。

律「お、戻った」

マミ「ちょっと、詳しく聞きたいのだけれど…」

律「あー、話はあとあと!とりあえず生徒会に身柄を引き渡すから、そんときにな」

マミ「…分かったわ」

まどか「マミさん!?」

マミ「ここは大人しく従いましょう。生徒会には逆らえないわ」

マミ(…こんな化物がいるんですもの。この学校…底知れないわね)

~~~~~

マミ達を生徒会室に送り届けた後、律と唯は音楽準備室に帰った。

ガチャ

律「おいーっす。任務完了!だよーん」

紬「り、りっちゃん!」ダキッ

律「うおいっ!?どうしたんだよムギ!?」



30 名前::2011/05/19(木) 05:06:08.95 ID:YkMs7/euo

紬「いきなり『衛星解析(サーチ)』から消えるんだもの、心配したんだからね!」

唯「あ、そうだったんだ」

澪「そうだったんだ、じゃない!全く、説明してもらうぞ」

律「そうそう、それがさ!なんか魔女とかいうアレがいてさ…………」

さっき起きた一部始終を臨場感たっぷりに澪と紬に聞かせている律を、梓はボーっと眺めていた。

梓(…なんかわけわかんなかったけど、魔技ってすごいんだな…)

紬の『知覚網(シェア)』によって軽音部の活躍を知った梓は色々な考えを頭に巡らせ、
知らぬうちに興奮していたことに気付いた。

梓(あっという間に解決しちゃったし、コレはコレでかっこいいかも)

唯「あ~ずにゃんっ」ダキッ

梓「んにゃっ!?ゆ、唯先輩なにしてるんですか!?」

唯「え~?可愛い後輩にまた会えてうれしいんだよぉ」スリスリ

梓「うぐ…そ、そういえば唯先輩」

唯「なぁに?」

梓「唯先輩の魔技って、どんな感じなんですか?」



31 名前::2011/05/19(木) 05:13:28.52 ID:YkMs7/euo

唯「ん~…私の場合はね、意識干渉系に特化した魔技、かなぁ」

梓「意識干渉系、って具体的に何が出来るんですか?」

唯「例えば他人の五感を奪って私のものにするとか、逆に自分の五感を強化できるとか…」

梓「さっき、一時的に唯先輩の視覚情報が消えたんですけど…それも関係あるんですか?」

唯「あの時は私の意識を完全に他の人に乗っけちゃってたからね~…」

梓「そ、そんなことまで出来るんですか…」

唯「けっこう難しいんだけどねぇ。それから、ムギちゃんも割と意識干渉系が得意なんだよ。
  ムギちゃんは『憑依(ジャック)』は出来ないけど、そのかわり広範囲に干渉できるんだ。
  それプラス、感知系に特化してるから『衛星解析(サーチ)』で得た情報を『知覚網(シェア)』で
  みんなと意識を共有できるってこと」

梓「は、はぁ…」

唯「…あずにゃん、もしかして自分が魔技使えないから落ち込んでる?」

梓「へ?い、いえ全然そんなことないです!」

唯「焦ることないからね~、私も最初は魔技使えなかったけど
  いつの間にか使えるようになってたから、心配いらないよ!」エヘン

梓(…それよりも私、こんなぶっ飛んだ部活でやっていけるのかな…)



32 名前::2011/05/19(木) 05:34:30.85 ID:YkMs7/euo

ひとまずここまでにしておきます。
唐突に色々な能力が出てきますが、はっきり言って設定自体はかなりいい加減です。
能力の名前でなんとなく想像してもらってもそんなに問題ない…と思いますが
とりあえず今までに出てきた『魔技』の能力を適当にまとめておきます。

『念動波(テレキネシス)』…空間座標干渉系。澪が得意。
『衛星解析(サーチ)』…感知系。広範囲の情報を取得できる。ムギが得意。
『知覚網(シェア)』…感知系、もしくは意識干渉系。
           他人と感覚を共有することで、テレパシーのように脳内で会話できる。
           ムギはこれを使って『衛星解析』を軽音部メンバーと共有した。
『憑依(ジャック)』…意識干渉系。他人の感覚を乗っ取る。
           頑張れば意識そのものを乗っ取り、体まで支配できる。
『読心(ハートキャッチ)』…意識干渉系、または感知系。相手の思考を読む。

他にも色々出てきますが、漢字と当て字からなんとなく推測して下さい。

ちなみに『魔技』というネーミングはまどマギから取りました。
特に意味はありません。この辺の厨二的痛さはマミさんに免じて許して下さい。




33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/19(木) 11:42:25.48 ID:OGP2Qncio


律の得意とする魔技はどんな能力なの?



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/19(木) 12:24:44.16 ID:Nbyf1BYDO


けいおん版マケン姫っ!かと思ったら、まどかが出てきたでござる。



35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/19(木) 12:55:45.89 ID:ARxmI2QIO

開放系ってのは全員使えるって解釈でいいんだよね?
最初軽音部を知ってる振りとかさすがマミさん





36 名前::2011/05/19(木) 17:40:39.56 ID:1rWkWI6Xo

そういえば開放系も出てましたね

開放系は魔力そのものを体から発散させる能力です
その魔翌力エネルギーで攻撃したり、まあそんな感じです
オーラのようなものを纏っているイメージで。

基本的に全員、ある程度開放系は使えますが、その中でも律が断トツで特化してます。
律の能力については後ほど。



37 名前::2011/05/19(木) 17:42:08.93 ID:1rWkWI6Xo




~~~~~

数日後。
巴マミを首謀として行われた小規模の拉致事件は、
事情を知った唯や律たちの説得もあって刑を執行されることなく解決した。

澪「和と太いパイプがあったから良かったものの、
  普通だったら巴マミ一味には実刑が下されててもおかしくなかったな」

律「最近じゃ表立って大きな事件ってのも無かったしな…
  生徒会の権威を示すための見せしめにならなくて、ホント良かったぜ」

紬「それにしても、あれだけの魔技の使い手でありながら
  どこにも所属してなかったっていうのも不思議ね」

唯「マミさんは自分たちの力を魔技じゃなくて魔法だって言ってたよ?」

律「似たようなもんだけどな、実際。もし学校管理外で魔技が使われているとしたら問題だけど」

梓「……でも、その可能性って十分あり得るんじゃないですか?」

律「その通りだ。そこで梓くん」

梓「はい?」

律「巴マミと美樹さやか、それから鹿目まどかの調査を依頼する」

梓「私がですか!?」



38 名前::2011/05/19(木) 17:49:09.64 ID:1rWkWI6Xo

澪「ただ調査するだけなら別に魔技は必要ないしな」

梓「で、でも相手は魔技使いなんでしょう?」

律「マミさんは大丈夫だ。悪い人じゃない。だからといって不必要に近づくのも駄目だけど」

唯「実はマミさんを見逃す条件として見張りと身辺調査を頼まれたんだよ~。
  和ちゃんの、生徒会長として公式に処置はしないけど何らかの対応はするべきっていう判断なんだ」

梓「…私に務まりますかね」

紬「大丈夫よ~。一応彼女たちに関する最低限の情報は用意してあるから、
  そこから身辺の関係を探っていけばいいの」

梓「……了解です」

律「何か新しい情報があったら報告してくれ。場合によっては私たちも動く」

澪「そんな大事にならなければいいけどな」

放課後の部室で優雅に紅茶をすすりながら、物々しい会話に身を寄せる5人。
ひとまず巴マミの事件に関するミーティングは梓が引き受けることで終わりとした。



39 名前::2011/05/19(木) 17:56:20.71 ID:1rWkWI6Xo

紬「ところでりっちゃん、今後の私たちの活動は?」

律「今まで通り続けよう。ムギは職員組合の潜入調査、澪と私は校内監視。
  唯は待機、だ」

唯「らじゃ!」ビシッ

澪「了解、と…。それじゃさっそく…」

梓は体をこわばらせた。今から自分の仕事が始まると思うと緊張するのだ。

律「そうだな。ムギ!紅茶のおかわりくれ」

澪「違うだろ!練習するんだ!」ゴチン

律「あいたーっ」

梓「れ、練習?」

思いがけない言葉に、梓は聞き返してしまった。

紬「そうね~。たまには練習しましょっか♪」

数名がけだるそうに席を立ち、澪がやる気出せと促す。
梓はここが軽音部であることを思い出し、なんて面倒な部活なのだろうと今更ながら思った。



40 名前::2011/05/19(木) 18:02:18.28 ID:1rWkWI6Xo



~~~~~


春が過ぎ、大きな事件も起きないまま梅雨、夏休みと季節は移っていく。
小さな事件が起きても軽音部に回ってくる前に生徒会執行部が処理するため、
軽音部も学園祭に向けてバンドの練習に時間を割くことが出来た。

入部してから半年が経過しても、梓の魔技は一向に目覚めない。
それでも梓は軽音部の仕事を難なくこなすだけの実力をつけていった。

梓「……美樹さやかと佐倉杏子の接触及び魔技の使用はこの一週間、確認されませんでした。
  ただし暁美ほむら、巴マミの両者は今日までで数件、校外での魔技の使用が見られます。
  いずれも物損や人的被害がないので、おそらく魔女が人間に危害を加える前に処理していると
  思われます。報告は以上です」

律「QBとかいう淫獣の調査の方はどうだ?」

梓「相変わらず姿は確認できませんでしたが、鹿目まどかの付近に常にまとわりついているようです。
  物質生成系の魔技による生命体の線ですが、彼女ら5人にしか目視出来ない点と
  魔技使いではない鹿目まどかが会話している所を見る限り、可能性は薄いと思われます。
  もっとも、それほど複雑かつ強力な魔技生命体であることも一概に否定できませんが…」

澪「和が彼女らを黙認する条件として私たちに監視を依頼した以上、
  正体の分からない魔技を放っておくわけにはいかないし…まだ調査は続きそうだな」

紬「でも梓ちゃんは期待以上に働いてくれてるわ」

唯「あずにゃんは真面目さんだからね~」



42 名前::2011/05/19(木) 18:10:54.10 ID:1rWkWI6Xo

各々が調査報告をし終えたところで、律が今後の話題をふる。

律「さて、夏休みも今日で終わりだ。みんなの働きのおかげで大きな事件もなく
  2学期を迎えられるわけだが…」

紬「平和で何よりね♪」

澪「このまま無事に学園祭までいけばいいけど」

唯「学園祭かぁ~楽しみ~」

梓「その前に中間テストがありますよ、唯先輩」

梓の言葉に、唯の顔が一瞬にして青ざめる。

律「バンドに仕事に勉強か…忙しすぎるだろ私たち」

澪「テスト期間と学園祭準備の時くらいは仕事を減らした方がいいかもしれないな」

律「ま、今は練習くらいしかすることないし、仕事の優先度はしばらく低くてもいいだろ」

澪「『対魔技用思考楽器』たちのメンテも兼ねて、な」



43 名前::2011/05/19(木) 18:54:19.81 ID:1rWkWI6Xo

澪が部室に並べられている楽器を見ながら言うと、扉を開けてさわ子が入ってきた。

さわ子「みんな、揃ってるわね」

紬「どうしたんですか?」

さわ子「あなたたちの『楽器』のバージョンアップ用の追加パッチよ。
    シンクロ率の調整と各種インターフェイスの強化が主な変更点ね」

律「おお、やっと来たか!」

タイミングよく現れたさわ子に律が駆け寄る。

律「…あれ?1枚多いみたいだけど…」

さわ子「これはマザー用の分。今回はマザーの大規模なバージョンアップもする予定なの」

澪「この時期に、ですか?」

さわ子「新しく導入されたむったんとの最終的な組み込み調整もしなきゃいけないし、
    この前、技術部で開発されたソフトもようやく実用化したからよ。
    あなたたちがあまりにも適合能力が高いからこっちは追いつくのに必死なの。
    むしろこれだけ早く追加パッチを出せたことにびっくりしちゃうわ。
    協力してくれた憂ちゃんのおかげね」

唯「さすが、私の妹!」エヘン



44 名前::2011/05/19(木) 19:03:50.26 ID:1rWkWI6Xo

さわ子「私はマザーの方の作業をするから、この追加パッチはあなたたちで組み込んでちょうだい」

さわ子はそう言うと音楽準備室の物置へと行ってしまった。

梓「…あの、追加パッチって何ですか?」

紬「私たちの『楽器』を並列化してパフォーマンスを底上げするためのプログラムのことね」

澪「魔技をバックアップするために『楽器』とシンクロを繰り返してると、
  次第に私たちの意識に影響されて最適化できなくなったり、
  中枢のマザーが処理しきれなくなることがあるんだ」

紬「それに私たちの魔技は常に進化して特性が変わっていくから、それに対応する必要もあるの。
  梓ちゃんのむったんが前に『楽器』の役割を持たせた時は
  私たちよりも一つ下のバージョンだったけど、
  それだと色々と弊害があるから今回の追加パッチをさわ子先生に頼んでおいたのよ」

梓「そうだったんですか…」

梓が説明を受けている時、律と唯は嬉々として自分の『楽器』にソフトを組み込んでいた。

梓「これで私も魔技を使えるように…?」

魔技を身につけるためは『楽器』との共鳴による覚醒が必要だ。
今までもむったんを介して共鳴に挑戦してきた梓だったが、上手くいかなかった。

澪「…それは…分からない」

梓は肩をがっくりと落とした。



45 名前::2011/05/19(木) 19:10:20.72 ID:1rWkWI6Xo

唯「落ち込まないで、あずにゃん」

律「そうだぞ。楽器と会話するなんて正直めんどくさい事この上ないからな」

梓「でも…むったんと私、何が駄目なんでしょうか」

『対魔技用思考楽器』と共鳴して魔技使いとなった者は、魔力を使って楽器と会話できる。
梓だけが自分の楽器と会話できず、そのことが梓にとっては寂しかった。

唯「ギー太なんて超めんどくさがりだからね。世話するのホントに大変だったんだよぉ」

澪「まぁ唯の意識に感化されれば当然といえば当然だな」

唯「ま、このパッチで少しは普通に戻ったかな~」

紬「梓ちゃんもほら、むったんに設定してあげましょ」

紬と澪の手を借りて梓はむったんに追加パッチを組み込んだ。

梓(……むったん)

どこか釈然としない気持ちで梓はむったんの名前を呼んだ。
結局この日は学園祭に向けて少し練習して解散となった。

~~~~~



46 名前::2011/05/19(木) 19:17:10.56 ID:1rWkWI6Xo

某日、昼休み。

純「あずさぁ~っ!」

いきなり純が泣きそうな顔で梓の元に駆け寄った。

梓「ど、どうしたの!?」

純「次の英語の授業の予習ノート見せてください!」

またか、と梓はため息をついた。

梓「別にいいけど…私もそんなに完璧にはやってないよ?
  憂には頼まないの?」

純「憂は唯先輩の教室に行っちゃったから今いないんだ。
  ギー太の調整するとかなんとか言ってたし、頼れるのは梓さんだけなんです!」

梓「はぁ…もうすぐ中間テストなのに、そんなことで大丈夫なの?」

桜高は2学期中間のテスト期間に入っていた。それぞれの部活ではしばらく活動が自粛となり、
軽音部でもバンド練習はテストが終わるまでしないという方針をとっていた。



47 名前::2011/05/19(木) 19:24:56.91 ID:1rWkWI6Xo

梓「はい。ちゃんとあとで返してよね」

純「3秒で映すから大丈夫だって!せーの…っ」

純はそういうと、梓のノートを隅から隅まで読んでパタンと閉じた。

梓「ちょっと純、まさか『記録(メモリ)』使ったんじゃ…!」

純「今だけ!今だけだから、ね?見逃してよ~」

梓「…まったく、テストでそれ使ったら留年どころじゃ済まないっていうのに…」

純「さすがにそんなことはしないけど、せっかくの魔技なんだし有効に使わないとね」

梓「…魔技使いがうらやましいよ」

梓は呆れたように言った。

純「それに私の『記録(メモリ)』の容量はノート2、3ページ分の情報しか保存できないから、
  どっちにしろ留年のリスクを犯してまでテストで使うほど私も馬鹿じゃないって」

じゃあ予習くらいちゃんとやってきなさいよ、
と言いかけたが説教くさくなってしまうと思い、止めた。

純「ところで梓、あの噂、知ってる?」

梓「うわさ?」

純「…『手品師(マジシャン)』の話。聞いたことない?」



48 名前::2011/05/19(木) 19:31:04.20 ID:1rWkWI6Xo

梓「……ああ、なんか聞いたことある。かも」

梓は嘘をついた。というより、本当のことを言わなかった。

なぜなら『手品師(マジシャン)』は現時点で軽音部の最重要調査対象になっていたからだ。
判明しているのは超特A級の魔技使いであるということだけで、軽音部の情報網をもってしても
一切素性が分からないという犯罪者……それが『手品師(マジシャン)』だった。

純「なんでもあの『無人軍隊(アームズ)』とタメ張れるくらいの魔技使いだとか…」

梓「…誰がそんなこと言ったの?」

純「いや、風の噂でね?
  まさか『無人軍隊(アームズ)』と一人の魔技使いが対等になれるとは思えないけど…」

『無人軍隊』――桜高の運動系クラブにおいて最強の実力を誇るバレー部のことだ。
生徒会執行部と共同で武力制圧による風紀、治安維持を請け負っている。
上の命令には執行部以上に忠実に従い、いかなる非人道的手段を使ってでも使命を全うすることから、
人ならざる者たち……『無人軍隊(アームズ)』と呼ばれている。

梓「でも『手品師』が『無人軍隊』と戦うことなんてないんじゃないかなぁ」

純「確かに『無人軍隊』は力だけで圧倒するタイプだし、そういう意味では
  テクニカル系の能力らしい『手品師』とは関係ないかもね」



49 名前::2011/05/19(木) 19:40:02.14 ID:1rWkWI6Xo

梓「…そもそも『手品師』は何か事件を起こしたわけじゃないし…きっとただの噂だよ」

実際には事件を起こしていたのだが、
生徒会上層部と職員組合のトップの間で情報が隠ぺいされていた。
彼らの威厳に関わる事態でもあったので、
外部には洩らすなと生徒会長から直々に言われていたのだ。

しかしやはり噂は立つもので、
最近ではもっぱら『手品師』の話題が生徒の間で盛り上がっていた。

純「まあね。でもなんかカッコイイじゃん。最強の魔技使いなんてさ」

軽音部としても、『手品師』が超特A級の魔技使いだと判断したのは
そのたった一つの事件がきっかけだったに過ぎない。

それは単純に校長室に何者かが侵入しようとした事だった。普通なら誰かがイタズラで
忍び込んだということで済んだかもしれないが、桜高の場合は違う。

桜高のどの施設よりも強固なセキュリティで固められた校長室は、
あらゆる魔技を通さない特殊防壁に、
並のミサイルではびくともしないほど分厚い壁で覆われた要塞である。
例え忍び込めたとしても、何重にもに張り巡らされた警備網によって
すぐに生徒会執行部に通報がいく。

それほどの場所に、単体で忍び込んだのだ。
セキュリティは全て解除され、警備システムも見事に破られていたが、
忍び込んだ形跡があっただけで校長室の中は何の物的損害もなかった。
まるで自分の能力を誇示するかのように、足跡だけを残して
華麗に桜高史上前例のない大犯罪をやってのけたのだ。

梓「……ただの噂で終わってくれればいいけどね」



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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#1
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タイトル:
NO:4228 [ 2011/10/30 00:41 ] [ 編集 ]

こりゃ面白そうだ

タイトル:承認待ちコメント
NO:6644 [ 2012/07/01 22:13 ] [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

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