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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#3 【アクション】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#1
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#2
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#3
梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#4




98 名前::2011/05/20(金) 18:29:02.47 ID:VQS/rhoQo


唯は体中を巡る魔力の渦と、全身に浴びるシャロの魔力に耐えていた。
ちょっとでも気を緩めると意識を保つことすらままならない。

唯(……ぐっ…!)

ドゴォッ!!
バギッ!

唯はその天性のバランス感覚で開放系と身体変化系を操り、
シャロのトイズによって空中に完全固定された瓦礫を退かしながら中心部へ向かって行く。

唯(シャロ…どこにいるの!?)

息を切らしながら進んでいくと、ひときわ大きなコンクリートの山があった。
まるで何かを覆うように、その部分だけ盛りあがっている。

唯(…もしかして、この中に…?)

唯は全身に力を込め、そのコンクリートの山を崩していく。

唯「!…シャロ!!」

そこには気絶し、地面に倒れているシャロの姿があった。

唯「今助けるからね!」

唯が叫び、シャロの元へ駆けつけようとしたその時――





99 名前::2011/05/20(金) 18:33:20.63 ID:VQS/rhoQo


バゴンッ!!

唯「ッ!?」

唯の土手っ腹に鈍い衝撃が走る。
一瞬にして唯は近くの壁に体を打ちつけられた。

唯「かは…っ!」

身体硬度の強化と開放系魔技によって魔力を纏わせていたにもかかわらず、唯の体は
5メートルほど吹っ飛ばされた。


「そこまでよ。ここから先は私たちバレー部に主導権が与えられています」


唯「!!…その声は…瀧エリ!?」

エリ「軽音部はこの案件に手出しする権限は与えられていません。即刻退去を命じます」

シャロのいた瓦礫の山のすぐそばに立っていたのは、
『無人軍隊(アームズ)』の第1級補佐官、通称『鬼神』の瀧エリだった。

唯「そんな…!シャロはどうするの!?」

エリ「シャーロック・シェリンフォードの能力暴走が収まるまで
   誰も彼女に手出しをしないよう命じられています」

唯(…そんな…『無人軍隊(アームズ)』がこんなところまで介入するなんて…!)

エリ「立ち退かないのであれば…強制措置を取らざるを得ないよね」ニヤァ・・・



100 名前::2011/05/20(金) 18:37:01.94 ID:VQS/rhoQo


ヒュッ

唯「!」

ベコッ!!

唯「あう…っ!」

唯が反応するよりも速く、瀧エリの攻撃が直撃する。

唯(く…!なんでエリは『念動力(サイコキネシス)』の中をあんなに自由に動けるの…!?)

エリ「同じ武力組織のよしみとして見逃してあげてもいいんだよ?」

唯「…あなたたちは…シャロをどうするつもりなの…?」

体の中で限界まで増幅された魔力と瀧エリの攻撃によって、唯の意識は極限状態にあった。
やっとのことで言葉をふり絞るが、今にも気を失いそうだ。

エリ「さあ?とにかく私たちバレー部にかかった要請は、この異常空間をできるだけ維持すること。
   それを邪魔しようとする君たち軽音部は排除の対象ってだけだよ」

唯「………!」

もはや唯の脳は正常に機能していなかった。
エリが何か言っているが、何も聞こえない。

唯(もう…駄目……)

目の前が真っ暗になった。








102 名前::2011/05/20(金) 19:41:51.20 ID:VQS/rhoQo



~~~~~


澪「唯はまだか…!?」

唯がシャロの元へ突入し、中心部へ突き進んだ所までは確認できたが、
領域に入ってしまってからは中の様子がよく分からない。

澪「早くしないと…」

紬「澪ちゃん!あれ…!」

澪「!?」

紬の声の方を向くと、ある一人の生徒が立っていた。

コーデリア「! ここから先は危ないわ!早くお逃げなさい!」

コーデリアが生徒に向かって忠告した。
しかし生徒は尚もこちらへ歩いて来る。

澪「コーデリア!そいつはただの一般生徒じゃない!」

コーデリア「え?」

突然、視界が激しい光に覆われた。

エリー「コーデリアさん!」



103 名前::2011/05/20(金) 19:49:14.75 ID:VQS/rhoQo


間一髪、エリーがコーデリアを引き寄せた。
元居た場所は黒こげになっている。

澪「アイツは…『無人軍隊(アームズ)』の第2級補佐官、佐藤アカネ…!!」

アカネ「…あなたたち、邪魔よ。どきなさい」

コーデリア「な、何よ今の…!?」

紬「彼女たちは魔技兵器のスペシャリスト…魔技使いじゃない代わりに、
  その体にはいかなる魔技も通さない特殊装甲と魔技兵器を纏っている」

紬がアカネから目を離さずに言った。

アカネ「解説ありがとう」シュ

澪「!! 避けろ!」

ドガアアン!!

紬「ああっ!」

一瞬にして廊下の真ん中に巨大な穴が空いた。
澪の掛け声のおかげで直撃は免れたが、ものすごい爆風と衝撃で全員なぎ倒される。

アカネ「命令に従いなさい。さもなければ…殺す」

表情一つ変えず、アカネは冷たく言い放った。



104 名前::2011/05/20(金) 19:54:52.27 ID:VQS/rhoQo



~~~~~


ネロ「おい梓っ!なんなんだよアイツはっ!?」

ネロが息を切らしながら後ろの梓に問いかけた。
背中越しに梓が答える。

梓「あれが『無人軍隊(アームズ)』ですよ!というか囲まれてますってば!」

ネロ「そんなの見りゃ~分かるっての!ボクが言いたいのは…」

ネロが何か言う前に、敵の攻撃が二人めがけて飛んでくる。

梓「きゃっ!?」

ネロ「んにゃろ~!!」

何とか攻撃はかわせるものの、敵の数が多く、反撃する隙がない。

ネロ「こんな雑魚どもより…あの大将は何者だよ!」

ネロが指差す方向には一人の女子生徒がいた。

梓「あれは…『無人軍隊(アームズ)』の総指揮官にしてナンバー1の実力者、佐伯三花…!
  通称『女神』の三花!」

ネロ「女神~!?あの覇気からして完全に死神だろっ!」



105 名前::2011/05/20(金) 20:01:07.10 ID:VQS/rhoQo


三花「私たちバレー部の妨害工作を企んでいたみたいだね。悪いことはしないから
   おとなしく捕まってよ。じゃなきゃここで始末することになるよ?」ニコッ

梓(く…なんで総指揮官がわざわざ現場の、しかも前線に…!?)

三花「…構え」ス・・・

ネロ「!!あぶな…」

三花「撃て」


ドドドドドドド!!!


三花が総攻撃の指令を下し、ネロと梓が居た場所に一斉に攻撃が放たれた。
土煙が立ちのぼり、視界が悪くなる。

三花「………」

煙が晴れる。

そこに二人の姿はなく、まるでコンクリートが組み替えられたように丸い穴が掘られていた。

三花「ふぅん…あの子、こんなことも出来るんだ…。
   よし、あんたたちは持ち場についてオッケーだよ。あいつらは私が殺る」

三花の指令にバレー部員たちが「はい!!」と威勢よく返事する。

三花「…楽しくなってきた♪」




101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/20(金) 19:05:27.04 ID:k2khrm9Wo

暴走した理由が分からないぜ
瀧エリってバレー部だったのか…





106 名前::2011/05/20(金) 20:13:55.08 ID:VQS/rhoQo

>>101
レス遅くなってすいません。

シャロが暴走した理由はあとで判明します。
ちなみにシャロの『念動力(サイコキネシス)』は能力名こそ澪の『念動波(テレキネシス)』と似ていますが
澪が座標を瞬時に『変換』するのに対し、シャロは座標を『移動』する方に重きが置かれています。


アニメのオリジナルモブキャラである
瀧エリ、佐藤アカネ、佐伯三花は公式でバレー部と設定されています。



107 名前::2011/05/20(金) 20:18:16.64 ID:VQS/rhoQo


…一方、ネロと梓は『無人軍隊』の攻撃からギリギリのところで逃げ、とある教室に
隠れていた。

梓「はぁ…はぁ…っ」

ネロ「あっぶなかった~…もう少し遅かったらやられてたよ~」

梓「ネ、ネロさんは一体何を…?」

ネロ「地下を通る電気配線にボクの『電子制御(ダイレクトハック)』を仕掛けたのさ。
   一か八かだったけど、ちょうど近くにタービンの駆動装置があったから
   そこの動力を借りて穴を掘ったってこと」

梓「そんなことが…」

ネロ「ってかあの三花とかいうヤツ、
   いきなり目の前に現れたと思ったら訳わかんない攻撃しやがって…」

本当にいきなりだった。何の前触れもなしに、まるでテレポートしてきたように現れたのだ。

梓「私も初めて見ました…。あれが特殊魔技装甲の能力のひとつ『隠(ヒドゥン)』…だと思います」

ネロ「『隠(ヒドゥン)』…?」

梓「彼女らは目に見えない兵器を身に纏っているんです。
  それを上手く使うことで完全に姿を消すことが出来る…」



108 名前::2011/05/20(金) 20:25:55.18 ID:VQS/rhoQo


ネロ「ふ~ん…てことはあの攻撃の正体も…」

梓「あれは魔力そのものを放出する武器です。バレー部に標準装備されていて、
  言わば開放系魔技のようなもの……詳しい仕組みは分かりませんけど……」

ネロ「…………」

教室の隅でヒソヒソと会話していると、廊下に人影が現れた。

梓「!!」


ガラッ


三花「……フッフーン、見ぃ~つけた♪」

梓「ネロさん!逃げないと!」

梓がネロの服を引っ張り、出口へ向かおうとする。
しかしネロはその場を動かなかった。

ネロ「ボクは逃げないぞ!」

梓「な!?」



109 名前::2011/05/20(金) 20:31:54.88 ID:VQS/rhoQo


三花「抵抗するなら、例え軽音部でも容赦しないよ…?」

シュン

ネロ「危ない!」

梓「きゃ!?」

ドゴッ!!

予備動作なしで繰り出される攻撃を見切り、ネロは梓を蹴飛ばして避けた。

三花「! へぇ…やるじゃん」

梓「あいたたた…」

ネロ「アイツの攻撃の正体が分かったぞ!
   あれは擬似的に魔技に見立てた微小のナノマシンを体に纏い、操っているんだ!、
   そこから魔力エネルギーを生み出したり周りの景色と同化して姿を隠したりしている…!」

三花「…こんなに早く見破られるなんて、大したもんだね。流石オカルト研、誉めてあげよう」

三花は本当に驚いたような顔をした。しかしすぐにニコニコと笑みを顔に張り付ける。

ネロ「梓、アイツの周りの空気をよく見るんだ!攻撃の瞬間に歪むからすぐに分かるはず…」



110 名前::2011/05/20(金) 20:34:32.96 ID:VQS/rhoQo


三花「分かったところで…キミ達に勝ち目はないッ!!」ビュン

梓「!?」

ネロ「うぐッ!?」ドンッ!

三花「私たちの運動能力を舐めちゃいけないよ~。これでも…最強を名乗ってるんだからね」

ギリギリ…

ネロ「あ……が……」

床に叩きつけられ、完全に拘束されたネロは身動きが取れない。

三花「一人目、捕まえた♪」

梓「あ………」

三花「さて、と。もう一人のおチビちゃんは確か…軽音部の新人で魔技も使えないんだって?
   可哀そうに…私手加減出来ないから、かなり痛いよ?」

梓「た、助けてっ!」

三花「半端な覚悟じゃ治安組織なんてやってらんないってこと、教えてあ・げ・る♪」



?「その必要はないわ」



ドドドドドド・・・!!

三花「ッ!?」



111 名前::2011/05/20(金) 20:43:12.82 ID:VQS/rhoQo


カガ゙ン!!

三花「くっ…!」

ネロの上に馬乗りになっていた三花は、何者かによって吹き飛ばされた。

ネロ「かはっ!ハァ…ハァ…お、お前…!?」

梓「あ、あなたは…?」

ほむら「遅くなってごめんなさい。コイツは私が相手するから、
    あなた達は自分のやるべきことを為しなさい」


暁美ほむらは二人を背に、淡々と言った。
梓は何が起こったのか理解する前に、一刻も早くこの場から逃げなくてはと体を起こした。

ネロ「おい!アイツはボクがやっつけるんだぞ!」

梓「駄目ですネロさん!誰だか分かりませんけど…ってあれ?もしかして…」

梓(この人どこかで………! 巴マミと一緒に魔女退治してた、暁美ほむら!?)

ほむら「…………」

ネロ「梓は一人で逃げればいいだろ!ボクは個人的にアイツをやっつけたいんだ!邪魔するな!」

ほむら「…好きにしなさい。だけど足でまといは遠慮するわ」

梓「ネロさん…!」



112 名前::2011/05/20(金) 20:46:39.13 ID:VQS/rhoQo


ネロ「早く行けってば!梓のグズ!のろま!」

梓「…くっ!ほむらさん、ネロさん、ここはお願いします!」

梓はそう言い残すと、出口に向かって走った。

三花「逃がさないよ!!」シュッ!!

バシッ!!

三花「なに!?」

ほむら「…………」

三花の攻撃は梓には届かず、手前で急に消滅した。
その間、梓は勢いよく教室を飛び出し、廊下を走って行った。

三花「…クックック……面白いね…二人同時に相手とは…」

三花は教室の真ん中で高らかに笑った。

ほむら「……一瞬でケリをつけましょう」

ネロ「佐伯三花……お前だけは、このボクがぶったおす!!」



113 名前::2011/05/20(金) 20:50:50.82 ID:VQS/rhoQo



~~~~~


紬「エリーさん!コーデリアさん!しっかりして!」

紬は気を失っている二人に声をかけていた。
すぐそこでは澪がアカネの攻撃を防いでいる。

アカネ「………」

ドゴォン!!
バギッッ!

澪は『念動波(テレキネシス)』を使って物体を呼び寄せ、それでアカネの攻撃を防いでいたが、
『楽器』による魔力増幅をしていない今の澪では運べる物体の大きさや強度で対抗しきれない。

澪「このままじゃ4人ともやられる…!
  アカネは私が押さえているから、ムギはその二人を連れて逃げてくれ」

紬「そんな…澪ちゃん一人残していくわけにはいかないわ!」

アカネ「時間稼ぎしても無駄よ。私の攻撃はバレー部で最高の範囲を誇る…
    この廊下そのものを吹っ飛ばしてもいいのよ?」

澪「く…!」

アカネ「……早くしないと三花に怒られちゃうから、そろそろ本気だします」

アカネがそう言うや否や、澪たちの周り一帯の空気が熱を帯び始めた。



114 名前::2011/05/20(金) 20:55:50.79 ID:VQS/rhoQo


澪「!! 来る!!」

アカネ「 『神の怒り(ジャッジメント)』 」パリ・・・

アカネの掛け声と共に廊下がまばゆい光に包まれる。

ドオオオオオオオオオン!!!

次の瞬間、雷鳴のような爆発音と、何メートルも立ち上がる火柱によって
澪たちが居た場所は跡形もなく消えた。

ドドドドドド…

アカネ(…本気だしすぎたかな……エリに怒られちゃう…)シュン






杏子「へぇ、アンタもそんな顔できるんだ」

不意にアカネの背後から声がした。。

アカネ「!?」バッ

振り向くと、澪たち4人を抱えて安全な場所に立っている一人の少女がいた。

杏子「『魔人』と恐れられた『無人軍隊(アームズ)』の第2級補佐官、佐藤アカネ…
   こんだけ強いのにまだ上に二人いるってのかよ」

澪「あ…あなたは一体…?」



115 名前::2011/05/20(金) 20:59:09.10 ID:VQS/rhoQo


紬と澪は唖然として助けてくれた人物を見上げていた。

杏子「私は佐倉杏子。まぁ知り合いに呼ばれて来たんだが…
   まさか悪名高い『魔人』と会いまみえるとはねえ…楽しくなってきたじゃん」

アカネ「…あなた…桜高の生徒じゃないわね?」

杏子「だからどうってんだい」

アカネ「部外者は問答無用で始末する校則となっています」

杏子「噂通り、物騒な学校だねぇ。ま、あたしには関係ないけど」

澪「学校外の…?一体どうして…」

杏子「巴マミのやつさ。ま、戦友のたっての頼みってところかな…
   ここはあたしに任せな」

アカネ「……舐めた真似を……!」ギリッ

ボッ!!

杏子「おおっと!」バシィ!

不意にアカネから炎が放たれ、杏子がとっさに反応する。
炎は弾かれ、カベに激突した。



116 名前::2011/05/20(金) 21:03:02.93 ID:VQS/rhoQo


紬「アカネちゃんの魔技兵器は現象系特化で、しかもあらゆる範囲をカバーしている…!
  佐倉さんだけじゃ勝てないわ!」

さやか「杏子だけじゃないよ!」

そう言って横に現れたもう一人の少女……以前に巴マミと一緒に
生物化学教室に居た、青髪の生徒だ。

澪「!?」

杏子「おっそいぞ、さやか!」

さやか「まーまー、相手は『無人軍隊(アームズ)』の第2級補佐官だっけ?
    魔女以外で対峙するなんて、杏子くらいなもんだと思ってたのに……」

杏子「ということで、あんたたちは逃げなって。あの場所に用があるんだろ?」


澪「……分かった、二人に任せる」

紬「私たちも協力した方が…!」

澪「『楽器』を使えない私たちは足手まといにしかならない…
  それよりもエリーとコーデリアさんを安全なところへ!」

紬はしばらく迷った後、頷いた。
二人は気を失ったエリーたちを抱え、軽音部の部室へと向かって行った。



117 名前::2011/05/20(金) 21:08:33.03 ID:VQS/rhoQo


アカネ「……ふん。私に課せられた任務は、ここから先には行かせないということだけ…
    だけど私をここまでコケにしてくれたからには、相応の報いを受けてもらいます」

アカネの体から異常な熱気が放出される。

杏子「おいおい…どうなってんだ、こりゃ…」

さやか「『無人軍隊(アームズ)』に魔法は効かないってのは聞いたことあるけど…」

アカネ「……………」

杏子「なら…魔力を上げて…物理で殴ればいいッ!!」ガッ

ドゴオオオン……!!



118 名前::2011/05/20(金) 21:14:59.52 ID:VQS/rhoQo



~~~~


ガキィィン!!

エリ「く…!」ズサッ

「どうしたよ…『鬼神』の名が泣くぜ」

エリ「ふん…」ペッ

「スピードじゃ負けるかもしれねーけどな…こっちはパワーじゃ負けねぇんだよ」

ボ!!!

エリ「ッ!」ガガガッ

「…やっぱり、この『念動力(サイコキネシス)』の中では思ったように体を動かせないみたいだな」

広範囲に渡る衝撃波を受け止め、瀧エリは少なからず負傷していた。
しかしその顔にはまだ余裕がある。

エリ「…まだ私が本気を出していないとしたら…?」ニヤァ

「んなこたー知らねぇよ…オラァッ!!」

接近戦の攻防が続く。
近くで気を失っていた唯は、その開放された魔力の影響で無理やり覚醒した。

唯「う……ん………っぐ…っ!
  あれは………りっちゃん!?」



119 名前::2011/05/20(金) 21:20:14.15 ID:VQS/rhoQo


律「おお!やっと目が覚めたか!」

エリ「よそ見してていいの?」グオン

律「おっと!」バシィン!

目覚めた唯を気にかける暇もなく、エリと律はお互い一歩も譲らない激しい
戦闘を繰り広げていた。

律「唯!今の内にシャロを!」ガシッ

唯「シャロ………そうだ!私はシャロを助けようとして…!」

律「分かってんなら早く!」グググ

エリ「そうは…させない!!」

バァン!!!

唯「!」

唯めがけて放たれた魔力エネルギーは、律のとっさの反応で弾かれた。

律「いててて……」

エリ「…二人相手は流石に分が悪いか…なら、あまりやりたくなかったけど
   本気だすしかないみたいだね」



120 名前::2011/05/20(金) 21:24:58.41 ID:VQS/rhoQo


スッ

エリはそう言うと、姿を消した。

律(『隠(ヒドゥン)』…どこだ…!?)

律は空間の歪みを探すが、どこにも『隠(ヒドゥン)』らしき影は見当たらない。
すると、傍で鈍い音がした。

ズドッ

唯「あが…!!」フラ・・・

律「唯!?」

シャロの元へ駆けつけた唯がその場にうずくまる。

律「野郎…ッ!どこだ!」

律(『隠(ヒドゥン)』を使っている間は他の攻撃は出来ないはず…!どうなってるんだ!?)

律は全神経を集中させ、エリの気配を探る。

律(……!! 風…!?)バッ

律がとっさに後ろを振り返る。
しかし遅かった。

ガツン!!

律「つッ…!!」



121 名前::2011/05/20(金) 21:32:12.76 ID:VQS/rhoQo


振り返った律の後頭部に何かが当たり、視界が一瞬星が飛ぶ。

律(馬鹿な…エリのやつ、ただの超スピードだけでここまで…!?)

空気の流れの変化を敏感に感じ取った律は瀧エリの攻撃の正体をすぐに見破った。
しかし律の反応速度をもってしても対処しきれないほどの
超スピードで移動するエリの姿をとらえることはできない。

ドゴッ!

律「う…ッ!?」

パワーは大したことはないが、次第に攻撃の手が速くなっていく。

ドドドドドド

律「ぐ……」

律は軽音部の中でも近接戦闘のスペシャリストであり、この程度の打撃なら反撃しようと思えば出来る。
だが今はシャロのトイズの中で、しかも『楽器』によるサポートもない。
本来の実力の半分も出し切れない律は、徐々にその体にダメージを溜めていった。

律(畜生…!なぜエリはこの環境下でここまで動けるんだ…!?)



122 名前::2011/05/20(金) 21:35:23.36 ID:VQS/rhoQo


エリの攻撃は激しさを増し、律はとうとう地面に膝をつける。

エリ(もらった!!)


ゴッッ!!!


瞬間、律の体に強烈な一撃が放たれる。
律の顔に苦悶の表情が浮かんだ。

律「ゲホッ…」

エリ「そのまま場外に吹っ飛べ!!」

エリが拳を振り抜かんとした、その時。

ガシッ

エリ「何!?」

律「へへ…つかまえた…ぜ…!!」

律はエリの腕をがっしりと捕えていた。



123 名前::2011/05/20(金) 21:42:49.38 ID:VQS/rhoQo


律「流石に『硬化(ソリッド)』を解除すると…堪えるぜ…っ」フラフラ

エリ「く…離せ!」

律「さて…お前達の特殊装甲に、私の攻撃がどこまで通用するかな?」

律が再び『硬化(ソリッド)』を発動させ、掴んでいない方の手に魔力を溜めていく。

エリ「や…やめろ!!」

ズン!!

地面がめくれあがるほど踏ん張る。
全魔力を集中させた拳を思いっきり構え、エリのボディめがけて叩きつける。

律「フルパワーだ……くらえッッ!!」


ドゴオオオオオオオオオオオ!!!


空気が激しく震え、その衝撃波で周りの校舎もびりびりと鳴る。
もろに攻撃をくらったエリは『念動力(サイコキネシス)』の領域の外まで吹っ飛ばされた。

律「…ぶはあっ…!はぁ…はぁ…結構…きついぜ…」

律はその場にへたり込んだ。
魔力を出し切ったことによって体が言うことをきかない。
それに加え、今の律の全身はシャロのトイズに支配されつつあった。



124 名前::2011/05/20(金) 21:46:33.53 ID:VQS/rhoQo


律「…おい唯!…起き…ろ…!」

唯「……」

唯は相変わらず気絶している。
ただでさえ『念動力(サイコキネシス)』によって身動きが取れない上に、
エリから受けたダメージも相まって 唯の意識はそう簡単に戻らない。

律(……シャロを助けられるのは…お前しかいない…!)

律は体を引きずりながら唯の元へなんとか近づく。

律「私の出番はここまでだな…あとは頼んだぞ…!」

そう言って律は唯の頬に手を当てた。
身体変化系の魔技は自分の体の細胞組織を再構築できるだけでなく、触れた相手の傷を治すこともできる。
さらに律は『念動力』から身を守るための開放系魔技も唯に預けた。

唯「………っ!!」ガバッ

突如覚醒した唯の視界に、眠るように横たわる律が見えた。

唯「りっちゃん!!」

律「………シャロを…」

唯はすぐに状況を呑みこみ、律の周りに物がないことを確認したあと
シャロのいるところへ走った。



125 名前::2011/05/20(金) 21:54:11.54 ID:VQS/rhoQo


唯「シャロ!」

シャロ「………」

外傷はない。だが息が荒く、苦しそうにしている。

唯「……!」

唯はシャロにそっと触れる。その瞬間、莫大な魔力が流れ込んでくるのが分かったが
今の唯は不思議とそれに対抗できていた。

唯(『憑依(ジャック)』……!)

シャロの意識に侵入する。
すると決壊したダムのようにあちこちから魔技が溢れているのが感じられた。

唯(……止まれ…! 止まってよ…っ!!)

必死に念じるが、ギリギリのところで押し返されてしまい、シャロの魔力の源に辿りつくことが
できない。

唯(ここで負けちゃダメだ…止まれ…止まれええええええええ!!!)



フッ…



126 名前::2011/05/20(金) 21:57:59.90 ID:VQS/rhoQo


全身の力が抜けた。

シャロの中で激しく渦巻いていた魔力が消えたのだ。

唯「…………と…止まった…の?」

唯は心臓をバクバクさせながら、シャロの暴走が止まったことを確認した。

次の瞬間、宙に浮かんでいたコンクリートや建物の残骸が一気に降り注ぐ。

唯「!!!」

唯はとっさにシャロに覆いかぶさった。
しかし付け焼刃の『硬化(ソリッド)』ではこれだけの瓦礫を受け止めきれるか分からない。

唯(潰される…っ!)

目をつぶり、衝撃に耐えようと身を固めた時、どこからか爆発音が聞こえた。


ドン!! ドン!! ドン!!


唯「……!?」


…何も落ちてこない。
唯は恐る恐る目を開けると、上空に大きな影が浮いているのが見えた。



127 名前::2011/05/20(金) 22:01:29.83 ID:VQS/rhoQo


マミ「ふぅ……間一髪、ってところね」

唯「マミさん!?」

マミ「危ない所だったわ。さ、今の内に!」

マミはそう言うと、唯とシャロを黄色いリボンで包み、安全な場所へ運んだ。

シュル・・・

唯「あの…あ、ありがとうございます…」

マミ「いいのよ、気にしないで。あのおでこさん…軽音部の部長も無事よ」

シャロ「………う~…ん」モゾモゾ

唯「! シャロ! 大丈夫!?」

シャロ「…ここは…?わたし、何を…?」

焦点の定まらない目でぼんやりと呟く。
暴走が止まったことに一安心するも、まだ油断はできない。
唯はシャロを抱きかかえ、オカルト研の教室へ運ぼうとした。



ドガアアン!!



マミ「!!」



128 名前::2011/05/20(金) 22:06:47.81 ID:VQS/rhoQo


唯とマミが驚いて音のする方を向く。

三花「ちっ……あの黒髪…しぶといヤツだね…」

壁を突き破って出てきたのは『無人軍隊(アームズ)』の総指揮官、佐伯三花だ。
続いて現れたのは、ボロボロになった暁美ほむらとネロだった。

マミ「暁美さん!」

ほむら「…………」

マミたちの居る所へ出てきた三花は、
シャロが唯の腕に抱かれている姿を見ると表情を一変させた。

三花「…なんでオカ研のそいつがそこにいるの?」

三花はそのまま微動だにせず、ぶつぶつと独り言をつぶやき始めた。
マミ、唯、ほむらは警戒する。

三花「……任務『失敗』…?……はい…分かりました…了解です」

なにやら話を終えたあと、三花は周りをぐるりと見渡した。

三花「…まさか私たちの作戦を妨害するとはね…ま、その代わり、新しい任務も発生したけど」

ズ・・・

唯「……?」



129 名前::2011/05/20(金) 22:10:25.68 ID:VQS/rhoQo


ほむら「危ない!!」

三花「遅いッ!!」

ほむらと三花の声が同時に聞こえたかと思うと、唯の手からシャロがいなくなっていた。

唯「あれ!?」

三花「次の任務はオカ研メンバーの捕獲…あと3人」

シャロは三花に抱きかかえられていた。

マミ「…まさか…暁美さんと同じ、時間操作…!?」

唯「シャロ!三花、シャロをどうするつもりなの!?」

三花「別に乱暴はしないよ…てか手を出すなって言われてるし、安心してよ」

ズ・・・

マミ「…! また消えた…」

ネロ「うわぁっ!!」

唯「!!」

唯たちがネロの居た所を見ると、すでにネロはガクッとうなだれ、三花に捕えられていた。



130 名前::2011/05/20(金) 22:13:18.95 ID:VQS/rhoQo


ほむら「くっ…」

側にいたほむらは三花を攻撃しようと構えるが、すでにそこに三花はいない。

ほむら「!?」

三花「あ~あ、こんな簡単な仕事を任せられるなんて、バレー部の価値を甘く見過ぎてるよねぇ…。
   ちょっとくらい痛い目にあったほうがいいんじゃないの?生徒会も、キミ達軽音部もね……」

マミ「居た!あそこよ!」

マミの指差す方へ全員が一斉に視線を向ける。
三花は学校の屋上の手すりに器用に立ち、気絶したシャロとネロを両手に抱えていた。

三花「この子たちの命は私が預かってるってこと、理解してくれたかな?
   理解したなら、もうバレー部の邪魔はしないことね。じゃ、さよなら!」

ズ…

唯「あ…ああ……」ガクッ

シャロとネロを連れていかれてしまった。
唯はその場に崩れ落ち、敗北に打ちひしがれた。

ほむら「…あれが『女神』の佐伯三花…逃げられてしまったわ」

マミ「…あの移動距離…時間操作じゃないのかしら?」



131 名前::2011/05/20(金) 22:15:02.90 ID:VQS/rhoQo


ほむら「あれは私より格上の能力…『時空間干渉』系の魔法ね…。
    時止めに加えて、彼女は重力の影響を受けずに移動できる…やっかいな能力だったわ」

ほむらが傷を押さえながらマミの元へ近づいた。

唯「…エリーとコーデリアさん…!」

唯が思い出したように言う。

唯「2人が危ない!」

マミ「…軽音部の人…平沢さん…でしたっけ?
   私たち、悪いけどこれ以上は力になれそうにないわ…」

ほむら「…………」

マミ「まさか『無人軍隊(アームズ)』のトップが時空間干渉系を使えるなんて…ね。
   暁美さんで敵わないなら、私たちが出る幕じゃないわ」

唯がうつむき加減に答える。

唯「…ありがとう、マミさん…と暁美さん…。
  もともとは軽音部が解決するべき事態だったんだし、
  むしろこんな危険を冒してまで協力してくれて…感謝します」



132 名前::2011/05/20(金) 22:19:29.04 ID:VQS/rhoQo


マミ「…残りのオカ研の2人のことだけど、軽音部の人が音楽準備室まで運んで行ったのを見たわ」

唯「ホント!?」

マミ「ええ。奴らがそこまで手を出していなければいいけど…」

ほむら「……私たちも厄介事になる前に、ここを去りましょう。
    軽音部の人…せいぜい頑張りなさい」

ほむらとマミはそう言うとバラバラに去って行った。

残された唯は、動けない律を背負い、軽音部の部室へと向かった。


~~~~~


バン!!

唯「みんな!」

勢いよく部室のドアを開け、汗を滲ませた唯は律を背負ったまま叫んだ。

澪「! …唯……か」

唯「……あれ…?エリーさんと…コーデリアさんは…?」

部屋に居たのは澪、紬、梓の3人だけだった。



133 名前::2011/05/20(金) 22:21:19.65 ID:VQS/rhoQo


梓「…………」

紬「……2人は…連行されたわ」

目を伏せて紬が言った。
その声は若干上ずっている。

唯「そんな……!」

唯がドサッと律を降ろす。

律「…痛えぞ……唯…」

体を動かすことが出来ない律は、口だけをかすかに動かして声を発する。

澪「…私たちは負けたんだ…結局、一人も助けられなかった。
  何が治安組織だ…!肝心の魔技も役に立たない…!」

澪は唇を噛み、悔しそうにうつむいた。
梓も誰を見ることもなくただ黙っていた。



5人は失意に打ちのめされた。
敗北。
その二文字が、軽音部の、唯の心に突き刺さった。




134 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県):2011/05/20(金) 22:48:58.10 ID:VQS/rhoQo

ということで今日はここまで。

色々と端折った部分があるので補足をば。

『魔技兵器』……ネロの言う通り、微小なナノマシンを駆使して擬似的に魔技に見立てる武器のことです。
『隠(ヒドゥン)』……魔技兵器の中でも使いやすい能力で、バレー部はほぼ全員使用可能です。
          ただし、今回の闘いでは三花もエリも『隠(ヒドゥン)』は使いませんでした。
          (三花が突然現れた時、梓はそれが『隠』だと勘違いしたのです。律もまた然り)


三花は魔技兵器と戦闘のスペシャリストなので、魔技兵器を最大に生かしたチートとも言える
『時空間干渉』系のような技が使えます。ほむらの時止め能力の上位互換として扱っています。
このあたりの魔技兵器の設定に関してはかなりアバウトなのですが、
基本的に唯たちと同じように魔技使いとして見ても差し支えありません。


梓は三花から逃げて何してたんだ等々、語らない(語るタイミングが無かった)部分について。
梓は軽音部の部室へ行き、『楽器』たちのシンクロを調整し、唯をサポートしていました。
極秘任務にあたっていた律は校舎崩壊の様子を見てすぐにシャロの暴走を察知し、
シャロと助けに行こうとしたところでエリと戦います。
コーデリアとエリーを抱えて部室に戻った澪と紬は、例のごとくあっさりと三花に2人を奪われました。


このくらいかな?
てか軽音部よわっ…と思うのは仕方ないとして、単純に戦闘力でいうと圧倒的にバレー部の方が強いです。
軽音部は情報戦や魔技を駆使した知能戦の方が得意なので……それがあまり発揮されていないのが問題ですがww




135 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/20(金) 22:54:46.76 ID:xdPn2J+ko

極秘任務が何かは後でわかるの?



136 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2011/05/21(土) 01:01:24.56 ID:Ea5RHFxAO

何か凄いな、俺も頑張ろう



137 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/21(土) 06:01:55.13 ID:lDDquaODO

こういうバトル物はりっちゃんが輝けるね





138 名前::2011/05/21(土) 19:42:36.68 ID:3mHTuewxo



◆ ◆ ◆


シャーロック・シェリンフォード暴走事件―――。
二学期中間テストの初日に起きた、桜高史上最大規模の被害をもたらした事件は
ミルキィホームズをオカルト研に再び隔離することで幕を下ろした。

出動した生徒会執行部およびバレー部にも被害が広がり、
特にバレー部第一級補佐官と第二級補佐官である瀧エリ、佐藤アカネは負傷しただけでなく、
任務遂行を達成できなかったため総指揮官の佐伯三花から期限付きの権限剥奪の罰則を与えられた。

テストは一時休止となり、教員組合はひとまず粉々になった第三棟の復旧に全力をあげた。
もっとも、建物を元に戻すのは空間座標干渉系の魔技使いに丸投げだったため、
一部の生徒だけが夜遅くまで働かされた。
結果2日ほどで全て元通りとなり、その後、テストが再開された。

一般の生徒はこの事件について表立って伝えられてはいなかったが、
オカルト研が関わっていたこと、バレー部の活躍や、
無所属の魔技使いの噂はほとんど全校生徒に知れ渡っていた。

さらにこの事件を受け、
教員組合と生徒会において二週間後の学園祭の開催における安全性を疑問視する声があがったが、
多くの生徒の反発によって日程通り行われることが決定した。


この事件は表面的にはオカルト研が暴走し、それをバレー部および生徒会執行部が食い止めたという
エピソードとして生徒の間で語られていた。

しかし本当の事の顛末、事実に近い認識をもっているのは軽音部だけだった。



139 名前::2011/05/21(土) 19:52:05.43 ID:3mHTuewxo



…学園祭の前日、放課後の音楽準備室にて。


ガチャ

澪「…………」ハァ

唯「あ、澪ちゃん。おつかれ」

疲れ切った様子で椅子に座る澪に、紬がお茶を差し出す。

律「最後の最後まで技術部は大変だな…こっちだって専門じゃないってのに」

澪「しょうがないさ…あんな事件があったからには『手品師(マジシャン)』の犯行予告がなくても
  魔技対策の防御壁に感知器、トラップは準備しないとな…」

律「だけど軽音部だって『手品師』の調査をしなきゃいけないんだぜ?
  大事な部員の一人を別の用事で抜かれるのは大きな痛手だって……」ハァ

生徒会は学園祭の準備期間中、全力で学校のあらゆる所に魔技対策を施していた。
澪は軽音部で唯一、魔技干渉系を使えるため、ここ数日はずっと技術部に合流して作業していた。

紬「…だけどやっぱり、私たち五人だけじゃ『手品師』の手掛かりを掴むことすらできない…
  こんなときミルキィホームズのみんながいれば…
  少なくても私がコーデリアさんから『手品師』の情報を聞いていれば…!」

梓「ムギ先輩…」

ミルキィホームズは先の事件によって完全にオカルト研に幽閉され、面会すらできない状況だった。



140 名前::2011/05/21(土) 19:59:25.03 ID:3mHTuewxo


律「…まあ私たちは学園祭のライブは辞退したわけだし、みんな不満はあると思うけど
  明日、もし犯行予告どおり『手品師』が動くなら…今度こそ絶対に捕まえてみせる…!!」

律が静かに怒気をはらんだ声で唸った。

軽音部はシャロの暴走事件に関して、
どうしても『手品師』の正体を暴き、捕まえなくてはならない使命感に燃えていた。

実はあの事件のあと、梓や紬の調査によってシャロの暴走に
『手品師』の魔技が深く関わっていたことが明らかになったのだ。

『手品師』は生徒に『憑依』した痕跡を探らせないため、あらゆる所に逆探知用の魔技を忍ばせていたのだ。
シャロはその逆探知に何かのきっかけで触れ、攻撃を受けたために暴走してしまった…
それが軽音部が探し当てた真実のひとつだった。

唯「…マミさんたちは大丈夫なの?」

紬「彼女たちはまだ捕まってないわ。
  文芸部が情報収集の依頼を受けているようだけど、成果は上がっていないみたい。
  おそらく学区外あたりに逃げているんだと思う…」

梓「佐倉杏子や美樹さやかの安否は分からないんですか?」

澪「…佐藤アカネの負傷の様子から見てかなり激しい戦闘が繰り広げられたことは推測できるんだけど…
  『無人軍隊(アームズ)』が撤退してから2人の姿を見た人はいないそうだ」



141 名前::2011/05/21(土) 20:05:45.60 ID:3mHTuewxo


バレー部の内部は軽音部と同等の機密扱いなので、
生徒会が公表した瀧エリと佐藤アカネの罰則という情報以外は一切外部に知らされず、
佐藤アカネが杏子とさやかとどう決着をつけたのか調べることは叶わなかった。

律「…まぁ、マミさんとその仲間なら執行部程度に捕まるなんてことはないだろう。
  『無人軍隊(アームズ)』が学校外にまで手を広げることはないだろうし…な」

律が思案にふけながら呟く。

澪「生徒会からは律のバレー部妨害の処罰に関する通達は来てないのか?」

律「学園祭が終わるまで保留だそうだ」

瀧エリと対峙し、バレー部を妨害した律は普通なら永久的に権限を剥奪されてもおかしくなかった。
処罰が保留になったのも、『手品師』に対抗できる組織がほとんど軽音部しかなかったからだ。

しかしいくら桜高トップレベルで情報戦に長けているといっても、さらにそれを上回る魔技能力を
持つ『手品師』に対し、軽音部はほとんど成果を上げられずに明日学園祭を迎えてしまう。

紬「……明日行われるであろう犯行の手掛かりになるのは犯行声明だけね」

梓「…『天罰を下す時が来た。悪を為す教員組合に正義の裁きを。
  血の祭りは学園祭の幕と共に上がる』…でもこれだけじゃ判断材料足り得ないですよ…」

絶対に捕まえると意気込んだものの、正直なところお手上げの状態だった。



142 名前::2011/05/21(土) 20:19:22.82 ID:3mHTuewxo


唯「……………」

律「……どうした?唯」

唯「……え?う、ううん何でもないよ…」

唯は別のことを考えていた。
それは『手品師』のことではなく、ひとまず解決したかに見えたシャロ暴走事件について、
自分たちが何か重大なことを見逃しているのではないのかということだった。

紬「…唯ちゃん、何か気にかかることがあるのね?」

紬が鋭く言い当てる。

唯「えぇっ、な、なんで分かるの?」

紬「感知系特化を甘く見ちゃだめよ~。それに唯ちゃんはすぐに顔に出るから分かりやすいもの♪」

澪「…どんな小さな事でもいい、気になることがあるなら話してくれ」

少し期待の混じった視線が唯に投げかけられる。

唯「うん……あのね、シャロが暴走した時のことなんだけど…
  実は私、シャロに『憑依(ジャック)』した時に、シャロの記憶の一部に触れた…ような気がしたの」

律「まぁ唯は『読心(ハートキャッチ)』もできるからな…それがどうしたんだ?」

梓「! ということはオカルト研の内情を…!?」



143 名前::2011/05/21(土) 20:23:01.85 ID:3mHTuewxo


梓が興奮気味に言う。

唯「ち、違うよあずにゃん、そこまで核心に触れることは出来なかったよ…流石に」

澪「…それで、唯は何かを感じ取ったんだろ?」

唯「うん…。シャロたちはね、やっぱり誰かに利用されてたんだよ…
  むしろ強制的に使われていたような…そんな感じの記憶があったんだ」

澪「十中八九、教員組合かその上位役員の方針によるものだろうな。
  憶測だけど、生徒会に圧力をかけてまで隠しておきたい『何か』があるんだろう…
  それにあれほど大きな事件を起こしておいてオカ研の内部を公表しないのはあまりに不自然だ。
  実際、桜高の生徒間では生徒会と教員組合に対する支持率は大幅に下がっているというデータもある…」

律「…だけど唯、シャロの暴走事件に関して調べる所は調べ尽くしただろ?
  結局、あの事件は『手品師』との直接的な関連性はないって結論が出たじゃないか…
  暴走のきっかけを作ったという点を除いては、な…」

う~ん、と全員が考え込む。

梓「…そう言えば、私もずっと引っかかっていたことがあるんです」

紬「何かしら?」

どんな些細なことでも、何かきっかけになれば…
そんな表情で、今度は梓に注目が集まる。



144 名前::2011/05/21(土) 20:27:43.75 ID:3mHTuewxo


梓「…『手品師』の動機に関して、この犯行予告から読み取れる意図は確かに少ないですが…
  私はこれを見る限り、『手品師』は正義的な思想のもとに動いている印象を受けました」

律「……まぁ、確かにコイツが言っている犯行予告の内容…『悪を為す教員組合に正義の裁き』を
  普通に読みとるなら、現教員組合に対する反政府主義のテロ行為だろうが…」

梓「…思い返すと、最初に『手品師』が現れた校長室侵入事件は極めて直接的なテロ行為でした。
  それに中間テスト乗っ取り事件も、形こそ間接的ですが、
  その過激な犯行予告からは剥き出しの正義感を感じます」

梓の言葉に段々と熱が入る。

梓「…つまり『手品師』には教員組合の不正を何としても暴こうという、
  ある意味執着心にも似た意志を感じませんか?」

唯「…確かに…それはなんとなく思うけど…」

梓「そこで少し疑問というか、不可解な点があるんです…。もし『手品師』が不正を暴こうとするなら、
  まず真っ先にオカルト研との癒着に目を向けるとは思いませんか?」

律「…それでシャロを狙ったってことか?」

梓「いえ、これは私のカンですが、これほど正義感にあふれた人物が
  被害者とも言えるミルキィホームズに手をかけるとは思えません。
  やるとしても、あそこまで大規模な事件に発展するのは何か違う…」



145 名前::2011/05/21(土) 20:32:22.01 ID:3mHTuewxo


澪「……やっぱり、『手品師』はあの事件の根幹とは関与していない。そういうことじゃないのか?」

梓「逆です。『手品師』はあのオカルト研に何か仕掛けようとしたんです。
  だけどシャロが暴走するという想定外の出来事が起きてしまった…
  そしてその想定外の出来事も何か『手品師』ではない
  他の意志によって引き起こされたような気がするんです」

紬「…でもそれは憶測の域を出ていないわ。
  考察として『手品師』がオカルト研を対象にするのは理解できるけど…」

律「う~ん…梓の言うことも一理ある…けど、しばらくオカルト研は完全隔離されるし
  外からの干渉は一切できないようになっている。
  わざわざ学園祭の時に『手品師』がオカルト研の周辺を狙うかぁ?」

梓「…………」

なんとなく『手品師』とオカルト研が密接に関係しているのではないか。
そんな予感がするのだった。
しかし、それはあくまで梓の個人的な推測でしかない。

梓(……違う…もっと…もっと他の要因があるはず…)

梓はなんとなく、『手品師』という人物は存在しないのではないかと思った。
複数の意志が複雑に絡まり『手品師』という現象を引き起こしたのではないか…
現に、驚異的な魔技能力をちらつかせながらもその姿を誰一人として見ていない。

梓(………考え過ぎ…かなぁ…)



146 名前::2011/05/21(土) 20:41:01.58 ID:3mHTuewxo



~~~~~


学園祭当日。

桜が丘高校は日頃のうっぷんを晴らすかのように賑わっていた。
しかし、一部の生徒は逆に神経をすり減らす行事となった。

律《講堂異常なし…ジャズ研が楽しそうに演奏会やってら》

律が皮肉を込めて言う。

唯《職員室付近も異常なし、だね》

梓《各学年、各クラスともに今のところ異常はありません》

紬《りょうか~い……澪ちゃんはどう?》

各配置場所で定期的に現状報告をしていた軽音部だったが、
澪からの報告がない。

律《お~いみお~、どうした~?》

澪《……あ、ああ悪いみんな…ちょっと手が離せなかったんだ》

あわてて『知覚網(シェア)』に反応する。



147 名前::2011/05/21(土) 20:46:54.37 ID:3mHTuewxo


紬《何かあったの?》

澪《いや……その、ファンクラブの人たちに声かけられててさ…
  第3棟、第4棟ともに異常なしだ》

紬《了解~♪》


軽音部では、紬を除いた4人が桜高内を巡回して『手品師』の気配を探り、
紬は文芸部と共同して情報の統括を担当するという作戦をとっていた。

紬「長門さん、技術部からの報告は何かあるかしら?」

長門「現在目立った魔技の使用反応なし。セキュリティのパフォーマンスは良好。
   システムの臨時書き換え体制完了」

紬「…準備は万端みたいね」

紬は校内全域に異常がないことを確認すると、再び軽音部に『知覚網(シェア)』で話しかけた。

紬《ひとまず今は何も問題なさそうね》

律《…本当に今日、やつは現れるのか…?》



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梓「生徒会長直属特殊治安組織『軽音部』……知らんがな」#3
[ 2011/06/15 17:31 ] アクション | 魔技 | CM(1)

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タイトル:
NO:2628 [ 2011/06/18 03:21 ] [ 編集 ]

たんなる律厨の作品か

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