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律「逆らってないでムギはさっさと私に金出せよ」 【非日常系】


http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1249380483/




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:08:03.28 ID:oHj261S9O

こんにちは。平沢唯です。
桜が丘高校二年生、軽音部やってます。
軽音楽のことを、最初は軽い音楽だと思って、
カスタネットでもできればいいかなって入部したんですけど
ギターに出会い同じバンドのみんなと毎日楽しくやってます。
今年の文化祭ライブも終わり、
一段落ついたところだったんですけど困ったことが起きたんです。





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:12:20.74 ID:oHj261S9O

それは放課後に私が忘れ物に気づき音楽室に戻ったときでした。


紬「やっぱりこう言うことは……」

律「今さら何言ってんの?」

音楽室には律とムギちゃんがいました。
いきなり入るのも躊躇われたので、私は入り口のところで止まってしまいました。
二人の会話が聞こえます。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:13:18.36 ID:oHj261S9O

律「おまえが渡すって言った以上は渡すの」

紬「でも…」

律はムギちゃんに手を差し出しました。

律「私が出せと言ったら出せ」

紬「……」

それを聞いてもムギちゃんは俯いていましたが、やがてカバンから財布を出し言いました。

紬「分かったわよ…」

ムギちゃんは財布から何枚かお札を取り出すと、それを律に渡しました。

律「毎度ありー!」

音楽室から出て行こうとする律。
入り口には突っ立ったままの私がいて――



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:14:12.54 ID:oHj261S9O

律「ん? 唯じゃん」

唯「あ、いや、あの…」

律「あっちゃー、見られちゃったか―。まあいいや、唯、このことは口外不出だから」

律「じゃあねー、琴吹さん」


律はムギちゃんにそう言うと階段を下りていきました。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:14:59.95 ID:oHj261S9O

私は音楽室に一人残されたムギちゃんに駆け寄りました。

唯「ムギちゃん、大丈夫?」

紬「唯ちゃん…」

唯「何があったの?」

紬「な、なんでもないから!」

唯「ん?」

紬「本当に、なんでもないから!」

ムギちゃんは音楽室から走り去りました。

私はやはり状況がよく飲み込めないまま、しばらく一人茫然としていましたが、
はっと我に返ると忘れ物を取り、その日はまっすぐ帰りました。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:16:55.69 ID:oHj261S9O

律「ムギ、ケーキおかわり!」

紬「はい、どうぞ」

澪「律、それ以上食べると太っちゃうぞー」

梓「皆さん早く練習始めましょうよう!」

次の日も軽音部は相変わらず軽音部でした。
昨日のことが嘘のように、いつも通りな律とムギ。
おそらく二人にとってあのことが当たり前なのでしょう。
でも、私は律がみんなに隠れてあんなことをしているのはショックだし、
それに応じようとするムギちゃんを見てて悲しいと思いました。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:17:42.45 ID:oHj261S9O

だから、二人をやめさせようと決めた私は正しいと思います。
幸せと言うものは、誰にでも平等に与えられるべきで、
誰かの勝手で奪われたり与えられたりしちゃいけないのです。
そんなことがあったら、人間が壊れちゃうのです。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:20:49.58 ID:oHj261S9O

こんにちは。琴吹紬です。
桜が丘高校軽音部でキーボードをやってます。
幼い頃からお嬢様と呼ばれて、世間知らずな私に分け隔てなく接してくれる軽音部のみんなに囲われて、
今では私はこの部に入って良かったと思っています。
ところが、今年の春の終わり頃、困ったことが起こりました。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:22:25.34 ID:oHj261S9O

律「ムギ、お金、貸してくれない?」

紬「えっ? 私?」

律「頼むよ、頼めるのムギしかいないんだ」

紬「あららぁ。何に使うのかしら?」

律「理由は聞くな」

紬「別にいいわよ、いくら?」

律「その…」

紬「?」

律「五万」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:23:26.26 ID:oHj261S9O

最初は、律もどこか躊躇っていたところがありました。
私は律をよく知っているつもりです。
だから、律があんな顔をして頼んできたので、
彼女なりの何かがあるのだろうと、彼女にとっては大金であろう金額を渡したのです。

律「ありがとう。本当、ありがとう。必ず返すからね!」

私が彼女に渡した五万円は返ってきませんでした。

それどころか、律はそれ以来たびたび私にお金をせびるようになりました。
私を部活が終わったあとの教室に呼び出し、私がお金を出すまで解放してくれませんでした。
いくら私でも、毎回何万円も出すのは嫌でした。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:24:36.17 ID:oHj261S9O

紬「もうダメよ! もういくらあなたに貸したと思ってるの?」

紬「どうせ返す気も無いんでしょ? 一体何にそんなに使ってるの?」

バシッ

頬を平手打ちされました。

律「逆らってないでムギはさっさと私に金出せよ」


彼女に打たれた頬よりも心が痛い。
律があんなことをするなんて。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:25:27.87 ID:oHj261S9O

どうして、
どうして私はいつもこうなんだろう?
もし私が私でなかったら、琴吹紬じゃなかったら、
こんな家に生まれてなかったら、お金なんてなかったら、
律にお金をせがまれることも、痛い目に会うこともないのに。
私がこんな人間だったから、私は友達を失ってしまった。
私は普通であることを望んでいるはずなのに。
普通の学校生活を送りたいだけなのに。

どうしてこの世界は、私を幸せにしてくれないんだろう?



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:28:39.07 ID:oHj261S9O

ラブホテル


律「あんっ、んぁ、あっ、いくっ、あふっ、んっ」

男「ハァ、ハァ、ハァ、そろそろいくぞ」

律「んっ、いって…」

男「ハァハァ……うっ」

 … … … … … … …



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:29:59.11 ID:oHj261S9O

律「今日も、良かったね」

男「お前いつまで握ってんだよ」

律「なにを?」

男「手」

律「あ、ごめん」

男「それで、金は?」

律「ちょっと待って」

律「はい」

男「うっひゃー、すげーなー」

男「これお前の友達に出してもらってんだろ? 今度紹介してくれよ」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:31:02.01 ID:oHj261S9O

律「だめ!」

律「私だけを見て」

男「分かってるってば」

律「キスして」

男「ん」

律「んんっ…」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:32:29.51 ID:oHj261S9O

私はあの日以来部活が終わりみんなと校門で別れたあと
こっそり一人で音楽室に戻るようになりました。
律がムギちゃんを脅している場面を捉えるためです。
しかし全くかち合う気配がありません。
違う場所なのでしょうか?
感づかれたのでしょうか?
そうして二週間が経ったとき――


律「いいじゃない。お金なら人に配るくらいあるんでしょ」

唯「!!」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:33:16.63 ID:oHj261S9O

紬「じゃあ、せめて何に使ってるのか教えてください!」

律「そんなのおまえに関係ないでしょ?」

唯「律っちゃん、ムギちゃん」

律「唯?」

紬「…!?」

唯「律っちゃん、もうやめてあげて!」

紬「唯ちゃん…」

唯「ムギちゃんから、お金を取るのはもうやめてあげて!」

律は始めは驚いていたみたいですが、すぐに落ち着いた表情を取り戻しました。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:35:19.98 ID:oHj261S9O

律「そんなこと言われてもなー」

唯「この通り! お願いします!」

私は跪いて両手と額を床に付けました。
私の土下座を見ると律はムギちゃんと私と交互に見て言いました。

律「じゃあ唯、私の言うことなんでも聞けたら琴吹さんを揺するのやめてやるよ」

唯「わ、分かったよ! 何でもする! 私は何をすればいいの?」

律「琴吹さんとキスしろ」

唯「!!?」

紬「そんなの、い、いやです!」

律「じゃあ駄目だな。残念だね、唯」

唯「や、やる。やるから!」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:37:18.05 ID:oHj261S9O

私は立ち上がり、ムギちゃんの前に立ちました。

唯「ごめんね。でも、私にできることはこれくらいしかないから…」

紬「ち、違うの、私は…! 私はこんな…」

ムギちゃんの次の言葉は私の唇に塞がれました。
唇を重ねている間、ムギちゃんはまばたきもせずに硬直しているようでした。

律「あーはっはっはっは! いいもん見せてもらったわ!」

律「琴吹さん顔真っ赤っかにして、もしかして初めてだったんじゃないの?」

私はムギちゃんの唇から顔を離しました。
ムギちゃんは口を閉じて何も言いませんでした。

唯「これで…」



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:39:42.23 ID:oHj261S9O

律「まだだよ」

律「今度から唯が琴吹さんの代わり。とりあえず、今日は三万でいいわ」

唯「三万円…」

律「やっぱり無理みたいだね」

律「かわいそうに、琴吹さん。ファーストキスも奪われた上に、救われなかったね」

ムギちゃんは黙ったまま律にお金を渡そうとしていました。

唯「む、ムギちゃんだめー!」

パチン

律は私の頬を張り飛ばしました。
私は打たれた方へそのまま倒れました。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:41:31.55 ID:oHj261S9O

律「それじゃあ、また明日、部活でね、琴吹さん。それから平沢さんもね」



唯「ムギちゃん、ごめんね」

私はムギちゃんに歩み寄りました。

紬「なんて、なんてことをしてくれたの!?」

ムギちゃんの目には涙が浮かんでいました。

紬「私に構わないで! なんでもないって言ったじゃない!」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:43:05.26 ID:oHj261S9O

唯「む、ムギちゃん…だってこのままだったら…」

紬「これは私が我慢してればいいだけの話なの! 私が黙ってればいいだけなの!」

唯「で、でも、みんなに相談した方が…」

紬「やめて、やめて…」

唯「ムギちゃん…」

紬「私に触らないで!」

唯「!」

紬「な、なにがなんでもするよ! なにが私にできることよ!」

紬「私から普通を奪わないで!!」

ムギちゃんはそう言うと、カバンを掴んで音楽室から出て行きました。
私を一度も振り返りませんでした。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:44:22.37 ID:oHj261S9O

私のやったことは間違っていたのでしょうか?

私はムギちゃんから幸せを奪ってしまったのでしょうか?
帰り道、消費者金融の看板を目にしました。

唯「三万か…」

唯「私のギー太を売ったらいくらになるのかなあ…」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:54:15.93 ID:oHj261S9O

こんにちは。中野梓です。
軽音部では最初はあのノリに付いていけなくて辞めようかとも思ったけど
今では私にとってはあの音楽室が私の居場所の一つです。
軽音部ではたった一人の一年生ですが、個性的で魅力的な先輩方と何とか頑張ってます。
でも、ちょっと困ったことがあるんです。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 19:56:02.89 ID:oHj261S9O

喫茶店――

梓「付き合わせちゃってすいません」

澪「いいよ。何? 部室では話せないことって」

梓「その…最近、なんかみんな変じゃありません?」

澪「変? 私も?」

梓「いや、えっと唯先輩とムギ先輩。それから律先輩も、かな」

澪「みんな変なのは前からじゃない」

梓「そうじゃないんですよ」

梓「唯先輩とムギ先輩、全然話さないし、ときどき律先輩も二人を見ていきなり吹き出したりするし」

澪「確かに、まあな」

梓「練習してても、みんな息が合わなくて気持ち悪いんです」

澪「バンドに悪影響が出るのは問題かもなあ」

梓「みんな喧嘩でもしたんでしょうか?」

澪「うーん、どうなんだろう」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:00:02.94 ID:oHj261S9O

梓「……」

澪「……」

澪「よし。仲直りパーティーでも開くか!」

梓「仲直りパーティー?」

澪「そう。文化祭ライブの打ち上げもやってなかったしな。
  その名目で開いちゃえ。みんなってぱーっと騒げばわだかまりも無くなるさ」

梓「なんか、楽しそうですね!」

澪「よーし、なら決定だ。でも場所どうしよう…」

梓「私の家、使っていいですよ! 憂ちゃんにも頼んでみて手伝わせます!」

澪「本当か? なんか悪いなあ…」

梓「構いません! 先輩たちのためですから!」

澪「そうか。ありがとうな」

梓「いえいえ。とんでもありませんよ」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:10:01.85 ID:oHj261S9O

こんちは。田井中律。
バンドでポジションはドラム。
ついでに部長。
澪とは幼馴染で唯一無二の親友。
そしてこれは澪と私の話。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:17:48.14 ID:oHj261S9O

私は昔から勉強ができなくて見た目も悪かった。
澪は勉強も出来て美人だった。
こんな私が澪と仲良くできた理由は家が近かったからくらいだろう。
一緒に登下校した。
買い食いした。
宿題教えてもらった。
私がドラムで澪がベースのバンドの約束もした。
何の取り柄もない私にとって、澪の親友であることは誇りだった。
澪と学校の廊下を歩く度に胸を張った。
ほら、私はこんないい女の親友なんだぞ。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:20:03.31 ID:oHj261S9O

世の中の人間を二つに分けると、私を幸せにしてくれる人と幸せにしてくれない人に別れる。
私にとって、ほとんどの人が後者だった。
休み時間いつもグループを作っている女子たちも、
隣の席で鼻糞ほじってる男子も、
黒板を消すたびに私の机にチョークの粉を飛ばしてくれる先生も。
何もない私には、私が幸せになるために前者がいなきゃいけない。
澪だけが、前者だった。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:23:11.73 ID:oHj261S9O

中学校二年生の頃に、澪に彼氏ができた。
澪にぴったりな、背が高くて、頭も良くて、髪の毛もいじってる人。
その人と澪のカップルは、学校の人気者になった。
完全無欠の美男美女。
恥ずかしがりの気質で表に出ることのなかった澪が、目立つようになった。
私のよく知らない人とつるんでた。
ほのかに化粧していた。
スカートが短くなった。
澪が、私の澪じゃなくなった。
澪が、前者じゃなくなった。

返して。
私に澪を返して。

私に幸せを、返して。

そう毎日思った。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:26:14.63 ID:oHj261S9O

律「最近付き合い、悪くない?」

澪「そうかな?」

律「そうだよ。学校行くのも私とじゃなくなったし、放課後いつも予定あるって言うし」

澪「だって、彼との約束があるし…」

律「携帯いじりながら話すのやめてよ」

澪「ああ、ごめんごめん。それで何の話だっけ?」

律「もういい」

澪「律も彼氏作ればいいのに」

律「私には、無理だよ…」

律「私、ブスだし、性格暗いし」

澪「うんん、律はかわいいって。いつも誰より近くで見てるから分かるもん」

律「へ?」

澪「ほら、こうやって前髪上げた方がかわいいよ」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:29:20.75 ID:oHj261S9O

澪はいつも自然体だった。
私とは、根本的に違うんだと思った。
他人の力を借りなくても、結局幸せを手に入れてしまう。
澪にとって、幸せを運んでくれる人は、澪自身なんだ。
ああしてどこででもうまくやっていくんだ。
私にはきっとそんな風にはなれないんだ。


ああ、そうか。
そうかもしれない。

彼氏ができれば。
彼氏さえいれば、私、澪みたいに輝けるのかなあ。

決められた誰かと一緒じゃないと、駄目な私には。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:32:18.66 ID:oHj261S9O

高校に入ってから変わろうと思った。
それでも澪と同じ高校を受験したのはまだ私が澪に依存していたからだった。
文芸部に入るとごねる澪を無理やり私のやりたい部活に入れた。
軽音楽部。
私が部長になった。


前髪を上げて、ブレザーのボタンを開けた。
新しい友達ができた。
文化祭でライブした。


それでも。
たぶんもう分かっていたんだ。
澪は私の澪じゃなくなったことに。
私を幸せにする人じゃなくなったことに。
澪は、私を幸せにするのに疲れたのかな。
私は心のどこかで“前者”を探していた。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:36:16.31 ID:oHj261S9O

彼に出会ったのは楽器屋だった。

「君、ドラムやってるの?」

私のカバンからはみ出たドラムスティックを指差してそう言ってきた。
澪の彼氏。みたいな人だった。
背が高くて、髪を染めてた。
どこのかは知らないけど、学校の制服を着ていた。

「女の子のドラマーってかっこいいよね」

その男の子は私の腕を掴んだ。

「うわあ、やっぱり筋肉がすごいや」

「これって…ナンパですか?」

「そう言うことかな」


やっと見つかった。
私を幸せにしてくれる人…?


私は恋をした。



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:39:11.67 ID:oHj261S9O

これまでまともに男性経験のなかった私に、彼は眩しすぎた。
彼は私より一つ年上で、彼もまた、彼の学校でバンドをやっているそうだ。
私と一緒、ドラム。
話は弾んだ。
彼と街を並んで歩くとき、私は胸を張った。
ほら、私はこんないい男の彼女なんだぞ。


澪たちに内緒で彼のライブを見に行った。
彼に、彼の学校の人たちに自慢の彼女だと紹介された。
エッチした。
朝まで遊んだ。

私は今幸せなんだ。


「わりぃ、金貸してくんね」

突然彼が言い出した。

「お金って…いくら」

彼は手のひらをパーにして私に手相を見せた。
私が考えていたより、ケタが一つ多かった。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:43:00.41 ID:oHj261S9O

「ムギ、お金、貸してくれない?」

「頼むよ、頼めるのムギしかいないんだ」

ここまでは本当。

「理由は聞くな」

これは本音。

「ありがとう。本当、ありがとう。必ず返すからね!」

ここからが嘘。

いや、最初は私だって返すつもりはあった。
でも、それは彼があんなことを言い出すのはあれっきりだと思ったからだ。


ムギのお金を彼が何に使ったかは知らない。
何に使ったか聞くと、
こんなことはもうしたくないと言うと、
彼を失ってしまいそうだから。

彼は、私がやっと出会った人なんだ。
どこへも逃げていかないんだ。
逃げられたら困るんだ。
逃げられないためには、私は彼に貢ぐしかないんだ。
私が幸せなるためなんだ。
私がこうしているうちは彼を失うことはないんだ。
私を幸せにしてくれるのは、彼だけなんだ――。



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 20:59:35.83 ID:oHj261S9O

澪「文化祭ライブの打ち上げしようと思うんだ」

律「打ち上げ?」

澪「そう。まだやってなかったろ?」

澪「来週の土曜。場所は梓ん家、な?」

梓「はい。憂ちゃんと料理作って待ってますよ」

律「おお!! それはまた憂の手料理が食べられるってことか!」

梓「私も作るのに…」

律「ほほう…。あずにゃんも料理できるのかな?」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:00:19.53 ID:oHj261S9O

梓「出来ますよ! からかわないでください」

澪「二人も、行くよね?」

紬「そ、そうですね。参加させてください、是非」

澪「唯は?」

唯「え? あーいやー、いいよー私は…」

澪「みんなでやるの!」

唯「?」

澪「メンバーみんなでやるんだから。全員揃わなかったら私…」

梓「先輩…」

澪「メイド服着て一発芸するんだから!!」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:10:16.48 ID:oHj261S9O

打ち上げ当日
中野宅

澪「おじゃましまーす」

憂「あ、澪さん!」

梓「どうしたんですか? まだ始まるまでかなり時間ありますよ」

澪「いや、私に何か手伝えることがあったらな、って」

梓「本当ですか? あっじゃあちょっとこっち来てください!」



律「打ち上げ、か…」

律「まだ時間あるし寄り道しよ」



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:11:16.58 ID:oHj261S9O

澪「唯見てて変なことなかった?」

憂「お姉ちゃんが? 変なこと…ですか」

憂「あ、でも最近ちょっと元気ないかも。
  帰ってすぐ寝たりするし、食事のときもおいしそうじゃないし」

澪「ふうん、そっか…」

憂「ああ! 澪さん、エプロン焦げてます!」

澪「きゃあっ!」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:12:50.94 ID:oHj261S9O

CDショップ――

律「……」

律「あ、このアルバム欲しかったやつ…」

律「でも、今はお金が…」

律「……」












店長「ねえ、今きみカバンに何入れた?」

律「……」

店長「CD盗もうとしたよね。ちょっと店の奥まで着いて来て」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:13:37.51 ID:oHj261S9O

紬「おじゃまします」

梓「あ、ムギ先輩!」

唯「こんばんは」

梓「唯先輩も!」

唯「うわあ、すっごい料理!」

梓「三人で作ったんだよ」

憂「あとは律さんだけですね」

澪「おっそいなー、律」



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:14:44.38 ID:oHj261S9O

店長「万引きは犯罪だよ。自分高校生でしょ? だったら分かるでしょ」

律「……」

店長「じゃあ、学校と自宅の番号教えて、ちゃんと反省して…」

律「ぷ」

店長「?」

律「いいですよ」

律「そうやって私を学校にでも警察にでも突き出せばいいじゃないですか」

店長「はあ? きみさ、自分のしたことに全然反省してないよね?」

律「うっせ。そうやって偉そうにしてればいいじゃない。
  どうせ私みたいなガキ相手にしかでかい態度取れないんでしょ?」

店長「…ナマばっか言ってると犯すぞ」

律「できるのかな? どうせ女子高生ばっかりジロジロ見てそのきたねーチンポ擦るしか能のないんでしょ?」

律「本番やって起たなかったりしてね、そのフニャチンが」

店長「てめー!」

ガタンッ



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:15:33.18 ID:oHj261S9O

澪「……」

梓「律先輩、来ませんね」

ピンポーン

憂「来た!」

さわ子「ちょりーすっ」

梓「さ、さわちゃん先生…」

さわ子「私をおいて打ち上げとはどう言うことかしら?」

さわ子「聞いたわよ、澪ちゃん、メイド服着たいんだって?」

澪「いやああああああああああ」



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:16:19.15 ID:oHj261S9O

プチプチ…

律「くっ」

店長「ちっ、派手な下着着やがって…」

店長「おうおういいタマ持ってんじゃねーか。彼氏に毎日揉んでもらってるのか? え?」

律「……」

店長「下の方はどっかなあ」



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:17:19.95 ID:oHj261S9O

さわ子「ほら、昨日徹夜で作ったのよ、このメイド服」

澪「だから着ませんって!」

さわ子「ほらほらいいじゃないヌギヌギ~」

澪「ひぃぃぃぃぃぃぃ」

さわ子「やだ、澪ちゃんまたおっぱいおっきくなったんじゃないの?」

澪「そんなことありません! だから揉むのやめてええ!」

唯「くすっ」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:18:02.88 ID:oHj261S9O

澪「唯?」

唯「ごめんごめん、あの、二人見てるとやっぱり面白くて、えへ、えへへへへ」

紬「うふっ」

唯「ムギちゃん?」

紬「あ…」

唯「楽しいね!」

紬「うん!」

梓「澪先輩、良かったですね!」

澪「…ああ、そうだな」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:18:53.28 ID:oHj261S9O

律「んっ…くっ…あふ、いや」

店長「かわいい声で鳴きやがって…いい子だな、おい」

RiRiRiRiRiRiRiRi…

律(私の、携帯…)

着信 アキヤマ ミオ

律(澪…!)

律「…くっ、うっ」

律(携帯に…手が…届け、届け!)

ピッ

律「!」

店長「ダメだよね、邪魔が入ったら」



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:19:50.53 ID:oHj261S9O

澪「切っちゃったよ…」

梓「どうしたんでしょ、律先輩…」

紬「あのー…」

紬「私、この辺でお暇させていただきます」

唯「ああ、じゃあ私も…」

澪「そっか。あんまり盛り上がらなくて悪かったな」

紬「いえいえ」

唯「全然良かったよ!」

澪「でも…律が来ないし」

紬「……」

唯「……」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:21:22.20 ID:oHj261S9O

店長「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、そろそろ、出すぞ…、うっ」

律「……」

店長「ふぅ」

律「……」

店長「きみもう帰っていいよ」

店長「別に大ごとにするつもりねーから」

店長「ま、俺のしたこと内緒にするならの話だけど、な」



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:22:33.21 ID:oHj261S9O

さわ子「じゃあ私も帰りますぅ」

憂「先生も後片付け手伝ってくださいよ」

さわ子「待ってよ。私家事は苦手なのにいい!」

梓「さわちゃん先生そんなのだから彼氏に振られちゃ」

さわ子「うっさいわねえええ!!」

PuRuRuRuRuRuRuRu…

澪「律から…」

ピッ

澪「おい、律、どうしたんだよ。心配したんだぞ!?」

律『……』

澪「もしもーし、律? 聞いてんの? 何か喋れない状況なの?」

律『澪…』

澪「ん? 何があったの?」

律『私、汚れちゃった』ピッ


プーップーッ…



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:50:30.30 ID:oHj261S9O

打ち上げの帰り道に、唯ちゃんが追いかけてきました。


唯「ムギちゃん…」

紬「……」

唯「ごめんなさい!」

唯「私、勝手なことしちゃって、ほんと、ごめんなさい!」

唯「今日ムギちゃんが来なかったらどうしようって思ってて」

唯「もし今日来たら、絶対、絶対謝ろうって思って…」

紬「唯ちゃん…」

唯「今日、本当にムギちゃんの笑顔が見れて良かった!」

紬「唯ちゃん…ありがとう。でも、もう律っちゃんのことは…」



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 21:55:12.41 ID:oHj261S9O

唯「ダメだよ」

紬「え?」

唯「でも、こんなの絶対ダメだと思うの。こんなんじゃ、ムギちゃんが幸せになれないと思うの」

紬「私の、幸せ?」

唯「明日、澪ちゃんに相談しよ」

紬「嫌よ! 嫌よそんなの!」

唯「でもこのままじゃ何も変わらないよ!」

紬「変わらなくていい。私は…」

ああ、この後の言葉、あのときは唯にキスされて言えなかったっけ。

唯に口付けされたとき、私の心臓が、一回だけドクンと波打った。
その鼓動が私の全身を駆け巡って、私の体を温かくした。
こんなことは初めてだった。
肌の温度の上昇を感じながら、今度は私の胸が何かでいっぱいになった。
力強くて、柔らかい何か。
私、幸せになれる気がした。
私が望む幸せ、それは。

紬「元通りになる?」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:00:14.34 ID:oHj261S9O

紬「私のこと、打ち明けたら全てが元通りになる?」

紬「律っちゃんが昔の律っちゃんに戻って、みんなでまた楽しくお菓子を…」

唯「うん、きっと、元通りになるよ!」

紬「本当?」

唯「うん!」

唯ちゃんは私に力いっぱい笑ってみせました。
それは、まるでまるで天使のような笑顔でした。



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:05:26.34 ID:oHj261S9O

こんにちは。秋山澪です。
私たちの部活での不穏を感じていた梓と一緒に
仲直りを目的に料理を作ってみんなを梓の家に招かせたのですが、
そこには律だけ来ませんでした。


律とは昔からの友達でした。

幼い頃から人見知りで臆病な私は、成長するに連れて
多くの人と交わるようになってもうまく話すことができませんでした。
他人との関係を繋げるために、私はいつも他人の表情を窺い自分の本音を隠してきました。
それが律にとって私が要領よくやっているように見えたのかもしれません。
でもね、律、本当は違うんだよ。
私だって、他人に嫌われるのが怖かったんだよ。



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:10:08.24 ID:oHj261S9O

私が本当の私でいられるのは律といるときだけでした。
律といる間は気も使うことなく楽ちんでした。

自分の何かが変わればと思って初めて男の人と付き合ってみました。
私とその人との関係は一気に広がり、私は以前よりもっとたくさんの人と関わるようになりました。
でも、変わったのは私じゃなくて私を取り巻く人間関係だけで、
私の周りには化粧も濃くてスカートの短い女の子たちばかりでした。

私は焦っていました。
新しい自分に生まれ変わるために、この人たちに合わせなきゃいけない。

「律も彼氏作ればいいのに」

激変する人間関係に、私は律を取り残してしまいました。
私の大切な友達を疎外してしまいました。
他人に追いつこうともがく中、律にあんなことを言ってしまったこと。
それが律にどれくらいの影響を与えてしまったかはそのときの私には分かりませんでした。
結局自分自身に限界を感じ、私はその人と別れを告げました。



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:15:15.13 ID:oHj261S9O

私は律に帰る。
律は私を待っていてくれませんでした。

高校一年の冬頃から、律にも恋人ができたようでした。
本人の口からは言いませんでしたが、私には律の思わせぶりな態度からすぐ見てとれました。
毎日が楽しそうな律を見るのは、律の幸せを願う一人としても十分嬉しかったです。
しかしもう昔のようには行かないことを思うと寂しさを感じていました。
そんな中――。



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:20:32.45 ID:oHj261S9O

澪「律が? ムギを?」

唯「そうなの」

梓「律先輩がそんなことする人には…」

澪「話のおおよそが分かったんだけど、なんでもっと早く言わなかったの?」

唯「うーん、みんなに迷惑かけたくなかったんじゃないなあ」

澪「ムギのバカ。そんなこと言ってる場合じゃないのに」

唯「律っちゃん、今日学校休んだしね」

梓「でも、これからどうなるんですか? 私たち」

澪「……」



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:22:05.05 ID:oHj261S9O

ガチャ

ドアを開ける。
全員がこっちを見る。

私を心配そうに見る瞳。

唯「ムギちゃん…」

私を哀れみの顔で見る瞳。

梓「ムギ先輩…」

私を真摯に見る瞳。

澪「ムギ…」


ああ、私の日常は、もう修復不可能なまでに壊されてしまったのですね。



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:45:47.91 ID:oHj261S9O

やはり私には普通であることはできないのでしょうか?
私はただ、普通に高校生活を送りたかっただけなのに。
最初は合唱部に入りたいと思ってました。
でも、ただピアノが出来たから、キーボードとして軽音部に入りました。
それでも良かったんです。

楽しくて、おかしな仲間たちと日常を過ごせたから。
放課後に、音楽準備室に机を並べてどうでもいい話に花を咲かせる毎日。
これで良かったのに。

私はせっかく手に入れた幸せを失ってしまいました。
私が普通じゃないから。



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:50:11.64 ID:oHj261S9O

私にお金がなかったら律も私からお金をせびろうとしなかったはずですし、
軽音部のみんなからも奇異の目で見られることもなかったと思います。

結局、私には平凡な毎日は許されなかったのです。
桜が丘高校音楽準備室には、もう私の日常はないのです。

だから、私にはもう未練はありません。
本当に色々楽しかった。
唯ちゃんを入部させるためにベースもドラムもバラバラのまま演奏したり、
強化合宿なのに一日中遊んだり、
文化祭で全校の前でライブしたり、
クリスマスを一緒に過ごしたり。

ほんの短い間だけど、私に普通を与えてくれた軽音部のみんなには本当に感謝します。


唯ちゃん、澪ちゃん、梓ちゃん、さわ子先生。

そして、律っちゃん。



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 22:55:14.35 ID:oHj261S9O

唯「ええ、転校ってどう言うこと!?」

紬「ごめんなさい本当に突然で」

唯「それで…どこに行っちゃうの?」

紬「転校したらもうそう度々は会えなくなりますね。お引っ越しです」

澪「律のせいか?」

紬「違うの。これは私の問題だから」

唯「ダメだよ! ムギちゃんの問題は私たちの問題だよ」

唯「まだ何とかなるから、今日、みんなで律っちゃん家行こうよ!
  みんなで話して、律っちゃんに訳を聞こうよ!」

唯「ね…?」

紬「もう、手遅れなんです!」

唯「!?」



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:00:17.65 ID:oHj261S9O

紬「ごめんなさい。もうダメなんですよ、私。これ以上ここにいても意味ありません」

梓「嫌です。こんなの」

梓「私たちの放課後ティータイムは、五人みんな揃って一つなんです。誰かが欠けるなんて、ありえません!」

梓「ムギ先輩がいなくなっちゃったら、私たち、どうすればいいか…」グスッ

紬「あずにゃん…」

ガチャ

さわ子「残念だけど、いなくなるのはムギだけじゃないわ」

澪「先生…どう言うことですか?」

さわ子「さっき、律がこれを私に渡しに来たの」

澪「退部届け…」

梓「そんな…、ムギ先輩がいなくなって、律先輩も辞めちゃったら軽音部は…」

さわ子「四人いない部活動は廃部、ね」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:07:10.10 ID:oHj261S9O

紬「みんな、本当にごめんなさい! 全部私のせいです! 私がこんな…」

唯「ギュッ」

紬「えっ?」

唯「ムギは何にも悪くないよ。それに、軽音部がなくなっても放課後ティータイムは解散しないよ」

唯「ムギがどこの学校にいても、ムギは私たちのメンバーの一人なんだから」

紬「唯ちゃん…」

澪「……」

澪「ちょっと行ってくる」

梓「どこにですか?」

澪「律ん家に決まってんだろ! あの凸をとっ捕まえて、前髪パッツンにさせてみんなの見せしめにしてやる!」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:12:22.81 ID:oHj261S9O

紬から転校すると言うメールを受け取った。
私はその夜、彼と会った。

律「お金、出せなくなっちゃった」

男「どうした? お前のパトロンに何かあったのか?」

律「……」

男「ん?」

律「お願い! 私を嫌いにならないで!」

男「…!」

律「お金、出せなくなっても私を捨てないで! 私から離れないで! 私だけを見て! 私、なんだってするから!」

私はひざまづいて必死に訴えた。
声も裏返えっていた。
目に少し涙が浮かんでいたと思う。

男「別にそんなんでお前を…」

律「……」

男「ああ、なるほど」

男「じゃあ、ちょっとアルバイトに付き合って貰おうかな」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:17:23.64 ID:oHj261S9O

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴っている。
今は家に私しかいない。
鍵も閉めてないのでどうぞご自由にお入りください。
その前にマットで靴の土をよく落とさないとお母さまがお怒りなりますのでご協力お願いします。

そのお客さまはドンドンと足音を立てて私の部屋にやってきた。

制服でカバンも持たず、長い髪を振り乱して、息を切らしながら。

律「澪…」

澪「律! お前どうするつもりなんだよ!?
  お前がムギにしてたこと、もうみんな知ってるんだぞ!? 退部届けまで出して…」

律「だからだよ」

律「澪はもう、私を幸せにする気ないんでしょ?」

澪「……」

澪「男のためか?」

澪「お金をせがむのも、打ち上げに来なかったのも、男のためか?」

律「そうだよ。悪いか?」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:22:17.28 ID:oHj261S9O

澪「そんな、そんなので部活辞めてどうすんだよ!! 私たちは…、放課後ティータイムはどうなるんだよ!!!」

律「四人でやれば?」

律「ムギが転校してもキーボードはキーボードでしょ。それに澪、いっつも私のドラムプレイにケチ付けてたし」

律「私よりうまいドラムはいくらでもいるじゃん。これで邪魔者はいなくなりました。めでたしめでたし」

澪「違う…私はそんなつもりで…」

律「ふん」

澪「律はこれからどうするんだよ」

律「彼のバンドに入る」

澪「またドラムやるのか?」

律「なんでもするよ。ギターでも、バックコーラスでも、カスタネットでもタンバリンでもいいや」

澪「バカ律!」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:27:25.06 ID:oHj261S9O

澪「私、律のことならなんでも分かるんだから。本当はそんなことしたくないって分かるんだから」

澪「律は昔から真面目で努力家だったよね」

澪「でも、高校入ってから律は変わった」

澪「私、中学校のとき、律のこと置いてけぼりにしちゃった」

律「そんな昔の話…」

澪「だからでしょ? 律は生真面目な自分が嫌いで、だから自分を汚したくて汚したくてたまらなかったんでしょ?」

澪「汚れていく自分を見たくてしょうがなかっんでしょ?」

律「やめろ…」

澪「確かに、今の律を作った原因に私がいたことは認め…」

律「黙れ!!!!!」

澪「……」

律「……出て行け」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:30:07.92 ID:oHj261S9O

澪「……」

澪「明後日の夜の十時発の電車に、ムギが乗るから。それでこの街から出て行くから」

澪「じゃあね」

澪「……バカ律」

それだけ言って、私の親友はバタンとドアを閉めて出て行った。
ドンドンと今度は階段を降りる音が聞こえる。
私は部屋で一人、真ん中に突っ立ったままだった。

「明後日って、彼との約束の日じゃん」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:35:14.09 ID:oHj261S9O

午後八時。
私は公園にいた。
街に近いから夜なのにここは人が多い。
私はとっくに学校は終わったはずなのに制服を着てそこで待っている。
誰を?
「彼」を。
ブレザーのボタンは締めていた。

ふいに肩に手を置かれた。
首を回してその手の持ち主を見る。
四十歳前後のスーツを来たおっさんが笑っていた。

中年「やあ、君がリツちゃん? 可愛いね」



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 23:40:38.59 ID:oHj261S9O

午後八時十分、駅。

澪「おーい、ムギ!」

紬「みんな! お見送りに来てくれたの?」

唯「当たり前だよ!」

梓「本当に、行っちゃうんですね」

紬「ごめんね、梓ちゃんとは少しの間しかいられなかったね」

紬「…あの」

唯「律っちゃんはまだ来てないよ」

紬「そうですか…」

梓「あんな人、待つ必要ありません!」

唯「あずにゃん…」

澪「来る」

梓「……?」

澪「律は、絶対来る」

紬「……待ちましょうか」



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:00:39.53 ID:EOmSFuy8O

午後八時三十分。
私はその中年と彼の指定したホテルに入った。
もちろんいかがわしい方のホテルで、部屋の真ん中に大きなダブルベッドがあった。

中年「綺麗なところだね。今日はいっぱいいいことしようね」

中年はそう言いながらベルトを外しズボンだけ脱いだ。

私はブレザーのポケットに手を入れる。

中年が私に近寄ってきた。

中年「シャワー浴びる前に、ちょっと。ほんのちょっとね…」

中年の手が私のシャツの胸元に伸びる。
耳元に荒い鼻息を感じる。
薄くなった頭の天頂部が照明の光でテカっている。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:05:17.74 ID:EOmSFuy8O

私はポケットの中の携帯を強く握りしめた。
中年の指がシャツの第一ボタンを外し始めた。

男「ストーーーップ」

部屋の入り口には、彼が立っていた。
私にアルバイトと言ってこの中年とホテルまで来させた本人。
その後ろには彼と同じくらいの年齢の二人ついていた。
私も会ったことがある、彼のバンド仲間だった。

男「や、待たせたね。律」

私にニコリと笑いかけ、
そして中年に手を伸ばし、

男「おっさん、お金ちょーだい!」



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:08:38.99 ID:EOmSFuy8O

午後九時。

唯「来ないね、律っちゃん」

紬「ジュース、どうぞ」

梓「え?」

紬「もうみんなとお茶出来ないかもしれないし、自販機の缶ジュースですが、最後に…」

澪「一つ余ってるけど…」

紬「律っちゃんの分」

澪「……」



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:12:14.07 ID:EOmSFuy8O

午後九時十分。

彼は中年の財布から万札を抜き取っていた。

男「はあ? こんだけ?」

中年「勘弁してください! 本当にこれだけしかないんです」

仲間「おい、あれ」

男「おお、お前のカバンも見せてみろ」

中年「やめ…、駄目だっ!」

男「おいおいいっぱい持ってんじゃん」

カバンの中には封筒がありその中には札束がどっさり入っていた。

仲間「大当たり。へへへへ」

中年「そ、それだけはお願いします! 会社のお金なんです! 見逃してください!」

男「はあ? 俺の律に手を出しといて何言っちゃってんのこいつ」

男「逆らってないでお前はさっさと俺に金出せよ」

中年「本当にすいませんでした! 謝ります。
   それが無くなったら私の首が飛ぶんです! だからこれだけは見逃してください! この通り!」

中年は床に土下座した。



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:14:15.76 ID:EOmSFuy8O

律「……!」



突然唯の叫び声が、私の頭の中に響いた。

「ムギちゃんから、お金を取るのはもうやめてあげて!」

「この通り! お願いします!」

そう言えば唯もあのとき私の前で土下座した。
そのとき、私は唯になんて言ったっけ。



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:16:48.19 ID:EOmSFuy8O

男「お前が会社でどうなろうと関係ねえんだよ」

床に頭を付ける中年の禿げたテッペンを、男は踏みつけた。

中年「お願いします! それ以外なら何でもします!」

男「じゃあ俺の靴舐めて綺麗にしてみろ」




「じゃあ唯、私の言うことなんでも聞けたら琴吹さんを揺するのやめてやるよ」

「琴吹さんとキスしろ」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:18:45.47 ID:EOmSFuy8O

中年は男の足元にひざまづき、黒く汚れた男の靴を舐め始めた。

男「気持ち悪っ! こいつマジで舐め始めた」




「あーはっはっはっは! いいもん見せてもらったわ!」

「それじゃあ、また明日、部活でね、琴吹さん」

「それから平沢さんもね」



最悪か、私。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:21:12.74 ID:EOmSFuy8O

律「あ、あ、あ、ああああああああああ、ああああああああああああああああああああああああ!!!」

男「どうした? 律?」

考える暇もなかった。
私は彼を押し飛ばし、床に四つん這いになってる中年に寄り添った。

律「おじさん、行きましょう! おじさん!」

中年「えっ?」

律「立てますか? 立ってください!」

私は中年の手を掴んだ。
そして、お金の入った封筒をカバンに押し込みそれもひっ掴んだ。
彼が何か言っている。
聞こえない。
私は一心にホテルの部屋から走り出した。
中年もよろめきながらだが着いて来ている。

私たちは走った。
息が切れようと、全身から汗が吹き出ようと、周りに見られようとどうでも良かった。
私は中年の手を引いて、夜の街を疾走し続けた。



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:24:26.00 ID:EOmSFuy8O

いつの間にか、最初の公園にたどり着いていた。

律「本当に、本当にすみませんでした!」

私は立ち止まり中年にカバンを渡した。

中年「君は一体…」

それから自分の財布からありったけのお金を取り出した。
中年の手に小遣い程度のお金を押しつける。

律「これ、あなたが取られた分には全然足りないけど、受け取ってください!」

私は、私は、他にどうしたらいい?
私は何をすればいい?



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:47:31.56 ID:EOmSFuy8O

そうだ、ムギは!?

ムギ?

澪「明後日の夜の十時発の電車に、ムギが乗るから」

今日、十時、電車!

私は腕時計を見た。
あと十時まであと三十分もなかった。

律「あの、すみません、私、行かなきゃいけないところがあるんで!」

私は走って来た方向へまた走り出した。
今から行っても間に合うかどうかは分からない。

中年「おい、君!」

中年が呼び止める。

中年「ありがとう」

私は返事の代わりにただ彼を振り向くだけにした。



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:51:04.02 ID:EOmSFuy8O


私は駅に向かって走り続けた。
タクシーを捕まえようにもお金は全て渡してしまったので使えない。
自分の足しか頼りにならない。
汗で制服がびしょびしょに濡れているのが分かる。
でも止まる訳には行かない。
今行かなきゃ、間に合わせなきゃ、少なくとも私は最悪の人間のままだ。


今までムギにしたことを思い出す。
ムギだけじゃない。
唯、それから澪にも梓にも。
ひどいことをした。
ひどいことを言った。
終いには現実を見るのが怖くて、退部届けを出して逃げ出した。
結局私は自分のことしか考えてなかった。
自分のことしか見てなかった。
何が自分を幸せにしてくれる人だ。
私は所詮幸せになる権利もないゴキブリ以下のうんこ野郎じゃないか。
私のバカ!

律のバーカ!!



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:52:56.00 ID:EOmSFuy8O

律「あっ」

路上で私は派手にこけた。
足から出血している。
その痛みも感じない程に私の両足は疲労でわなわな震えていた。
どうした!? いつもドラムで鍛えてるだろ! 私の足はこんなに役に立たないのか!
腕時計を見る。
あと十分しかない。
まだ間に合うはずだ。
まだ――。

ローファーを脱いで靴下だけになった。
震える足を押さえつけ、私はまた全力で走り出した。


……でも、ムギに会ってどうすればいい。
何を話せばいい。
謝ればいいのだろうか。
これまでのことを?
謝って許してくれるのだろうか。
それだけで、これまでのことが帳消しになるとはとても思えない。
私のせいで、ムギは転校を……。
私みたいな人間はやっぱりムギたちのそばにいない方がいいのだろうか。

ああ、やっぱりうまくいかない。
でも、やらなきゃ!



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:54:13.27 ID:EOmSFuy8O

駅が見えた。
夜空に明るい光を放っている。
あの中にムギがいるはずだ。
いや、唯も、澪も梓もみんないるかもしれない。
私は駅に向かってスパートをかけた。
もう時計を見る時間も惜しい。
邪魔だ…
頭の上でぶらぶらしていたカチューシャを放り投げた。
汗でぐっちょりとした髪の毛が顔に降りてくる。
長い前髪を振り乱し必死に走っている私はきっと中学校の頃の自分にそっくりだろう。
駅のエントランスが見えた。
自動ドアの向こうに人が見える。
あと少し、もう少しだ。
どうか、どうか間に合え。
間に合え――――――!!



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:55:44.28 ID:EOmSFuy8O

着いた!
構内に入る。
駅員を無視して改札口を通り過ぎる。
階段を上がってプラットホームに出た。
ムギは…
ムギは……。



十時三分。

ホームに取り付けてあった時計はそう差していた。


そっか、間に合わなかったんだ――。

私は体中の力が抜けるのを感じその場に座り込んだ。
もう体のどの部分にもエネルギーが残っていない。
結局、何もできなかった。
私は、他人を不幸にすることしかできない!



「律っちゃん」

私の名前を呼ぶ声がして、私は首を上げた。
目の前にはムギが立っていた。
本当に何気ないような笑顔で、私に言った。

紬「はい、ジュース」



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:57:49.53 ID:EOmSFuy8O

律「……」

ムギから少し離れたところに唯、澪、梓もいる。

律「あ、あ、あの……」

律「ごめんなさい! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!
   私、自分のことしか見えてなかった。自分が良ければそれで良かった!」

律「私、どんなことでもする。ムギに払わせたお金も全部返す! 今はお金無いから働いて返す!
  ムギん家の召使いになってもいい! ムギのコートをかけておくハンガーにもなるし、
  私の髪の毛をタオル替わりに使ってもいい!」

律「だからお願い! 私の前から消えないで! ムギがここにいてくれたら、私、もう一生幸せになれなくていい!」

紬「……」

ムギは無言で携帯電話を取り出して、どこかにかけ始めた。

紬「もしもし、斎藤ですか?」

紬「転校するの辞めました。荷物も全て送り返しましょう」

『え? は? 紬お嬢様、あの…ちょっとお待ちください! お待』

ピッ

律「……」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 00:59:18.75 ID:EOmSFuy8O

紬は猛抗議を返す携帯電話を切り仕舞いながら言った。

紬「本当に、どんなことでもしますか?」

律「す、する」

紬「本当に?」

律「本当に」

紬「私が律っちゃんにして欲しいことはたった一つ」

紬「全てを忘れてください」

律「え?」

紬「全て忘れて、元の律っちゃんに戻ってください」

紬「元の、大雑把で調子者で、優しい律っちゃんに戻ってください」

紬「それが、律っちゃんが私にできる、唯一のこと」



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:01:03.53 ID:EOmSFuy8O

律「うっ、うっ、うゎ、うえええぇぇぇん!……」

涙が出てきた。
もう体の水分がほとんど汗で出ていったはずなのに。
これ以上泣いたら脱水症状で死にそうなくらいにポロポロと。
私はムギに渡された缶ジュースのプルタブを開け一気に飲み干した。



さわ子「はあ、何とか間に合ったようね」

澪「先生…」

さわ子「大急ぎで来たんだから。これを律に返すために」

唯「あ、退部届けですね!」

さわ子「そう!」

梓「ムギ先輩と律先輩…これで、良かったんですよね」

澪「ああ、五人揃っての軽音部だ」



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:07:01.73 ID:EOmSFuy8O

ムギは私をそっと抱きしめた。

紬「もう、幸せになりたくないの?」

律「…ぅっ、ぅ、うん」

紬「律っちゃんは、誰かを幸せにできる?」

律「じあわぜに……グスッ……ずる?」

紬「律っちゃんが今まで誰かに幸せされてきたなら、今後は誰かを幸せにしないと」

律「グスッ……私……幸せに、できるかな……」

紬「できるわよ、きっと」



紬「優しい律っちゃんなら」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:10:11.37 ID:EOmSFuy8O

こんにちは。田井中律です。
桜が丘高校軽音楽部では部長とドラムを勤めています。
今回は私たちのバンド、放課後ティータイムのメンバーを紹介したいと思います。
まずは、唯。
可愛いもの大好きおっちょこちょいで天然ドジっ娘ギタリスト!
次は軽音部のいじられキャラ、澪。
走り気味な私のドラムに合わせてくれる天才ベーシスト!
もう一人のギター担当、梓。
小四からギターをやってて腕前はちょーうまい!
そして、最後。キーボード、紬。
私たちに素敵な「放課後ティータイム」を与えてくれるムードメーカー!
どんな難曲も弾きこなすその大きな手でなんでも包んでくれます!
まだまだな未熟な私たちですが、メンバーの団結力なら世界一!
最終目標は武道館ライブ!
皆さん、これからも放課後ティータイムをよろしくお願いします!
最後まで読んでいただきありがとうございました!




おしまい



189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:18:25.39 ID:EOmSFuy8O

予想してた形とは少し違うけど
まあ何とか完結まで・・・
呼び方がばらばらだったのはまずかったですね、修行します
こんな感じですが楽しんで頂けたら嬉しいです
最後までお付き合い本当にありがとうございました!




183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:11:33.44 ID:cozwd9aS0

>>1



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:13:40.94 ID:nxPAgZJGO

最後まで読んで~を律が言ってることになんとなく感動した




186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:15:28.05 ID:acdTAT5/O

乙。よかったよ



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:15:47.40 ID:Law/xmnK0

>>1
面白いけど律ファンからしたら色々とキツイSSなんだろうな・・・



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 01:22:29.79 ID:mX2nVy6Ni

>>1





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律「逆らってないでムギはさっさと私に金出せよ」
[ 2011/06/17 17:45 ] 非日常系 | | CM(7)

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タイトル:
NO:2610 [ 2011/06/17 18:43 ] [ 編集 ]

こいつはSSのけいおんしか知らない奴と見た

タイトル:
NO:2611 [ 2011/06/17 19:29 ] [ 編集 ]

色々おかしいww

タイトル:
NO:2612 [ 2011/06/17 19:42 ] [ 編集 ]

2年前のSSなんだからのは許してやれよ、でもホントにおかしいな

タイトル:
NO:2619 [ 2011/06/18 01:18 ] [ 編集 ]

ストーリー、展開等良いSSだと思うが、※の通りおかしい。
キャラの口調とある程度の性格は把握出来てるのに
呼び方が皆バラバラで悪い作品では無いのだけど、おかしい。

タイトル:
NO:2620 [ 2011/06/18 01:48 ] [ 編集 ]

泣けた、おかしかったけど泣けた。

タイトル:
NO:2642 [ 2011/06/18 23:11 ] [ 編集 ]

こんなの絶対(ry

タイトル:
NO:2661 [ 2011/06/19 16:25 ] [ 編集 ]

口外不出って初めて聞いた表現だ。門外不出?

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