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唯「CCA!」#第十一話 律動! 【ガンダム】


ニュー速VIP避難所(クリエイター) より

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288440551/

唯「CCA!」#index




330 名前::2010/11/10(水) 19:16:28.92 ID:R97B7Tgo

第十一話 律動!

MSデッキ横の休憩室は、暗い雰囲気につつまれていた。
紬が、体を震わせている。

紬「もう少し、私が早く駆けつけていれば…純ちゃんは…」

梓「あの…純が…死ぬなんて…。」

梓は、それを、実感なく眺めていた。
憂に、純。
二人の親友を、自分の知らないところで失ったのである。
梓の心に、黒いものが溜まっていった。

律「唯は?」

律が、雰囲気に耐えきれずに話題を変えた。
またすぐに戦闘が開始される。
その時、悲しみを引きずっていれば、死を招く事につながる。
残酷なようだが、正しい行動だった。

和「一応医務室に運んでおいたけど、ケガは無かったわ。
  心配なのは精神面ね。 律が来るのがもう少し遅かったら、ホントに危なかったから。」





331 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:16:59.47 ID:R97B7Tgo

澪「…艦長はどこに行ったんだ? 見当たらないけど?」

和「ラー・カイラムで作戦会議よ。もうすぐ帰ってきて、命令下達があると思うけど。」 

律「じゃあ、ブリーフィングルームに行っておくか。」

悲しみの溜まった空間に居るのは、辛い。
そして、自分までそれに飲まれてしまう。
律は、早くここから出たかったのだ。
しかし、そう思った時点で律はその暗い雰囲気に飲まれ始めていたのだった。



332 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:17:27.28 ID:R97B7Tgo

ムサカ3番艦のMSデッキに、ニュータイプ研究所の研究者が慌てて入ってきた。
その先には、自機の足元で膝を抱え、うずくまったいちごが居る。

研究者「泣いているだって!? 涙を流しているのか!?」

信代「確かに意外だけどさ、大切な人が死んで、泣いちゃ悪いのかい?」

信代と潮をかき分け、いちごが泣いているのを確認した研究者は、唖然とした。

いちご「…」ポロポロ

研究者「ホントだ…泣いてやがる…」

潮「人が泣くのが、そんなに珍しいの? 私だって悲しいよ。」

研究者「これは強化人間なんだぞ! 泣くなんてことが無いように作り変えてあるんだ!!」

信代「なんだって…?」

信代は、研究者の言葉に眉間を歪めた。
泣くことが出来なくなる。
そこまで人間を作り変えようという輩に対し、真っ直ぐに嫌悪を感じたのだ。



333 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:17:55.67 ID:R97B7Tgo

研究者「パートナーが死んで、ブッ壊れちまった! もう使い物にならん! この役たたずめ!!」

研究者は、そう言ってうずくまったいちごに蹴りを入れた。
いちごは、それに抗わずに、うずくまったまま飛んでいき、自機の足にぶつかった。

潮「ちょっと!…何すんのさ! 酷くない?」

潮は、それを見て信じられないような気持ちになった。
いじめはしたものの、彼女たちもそこまではしなかった。
人が人に対してする扱いでは、無い。

研究者「こいつの機体の整備は後回しでいいぞ!
    エネルギーだけぶち込んで、移動砲台くらいになればいい!
    予備のファンネルもアクシズ内で整備しているヤクト・ドーガに回してくれ!」

そう、整備兵に言いつける研究者の肩を、信代がポンポンと叩いた。


信代「研究員殿。」

研究者「あん?」

振り返った研究者の顔を、信代の拳が捉えていた。
信代は研究者の体がそのまま飛ばされて、デッキの壁にぶつかるところまでは確認した。
わめきちらす声が聞こえたが、信代にそれは虫の鳴く声位にしか聞こえていなかった。
信代にとって、この研究者は人間では無い。
だから、人としての扱いをしてやることもないと思ったのだ。

信代「しっかりと、整備してやんな!!」

信代の言葉に従い、整備兵がキビキビとサイコミュ試験型の整備をし始めた。



334 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:18:21.34 ID:R97B7Tgo

律達が、ブリーフィングルームで仮眠を取っていると、艦長が入ってきた。
ラー・カイラムでの作戦会議から帰ってきたらしい。

艦長「もう集まっているのか。 作戦の説明をするぞ。」

和「みんな、起きて。」

その言葉に、仮眠をとっていたメンバーが起き、机に座り直す。
律などは、無重力に漂ったまま、寝ていたのだ。

艦長「アクシズは、すでに落下コースに入ったが、まだ阻止は可能だ。」

全員、息を飲んで艦長の言葉を聞いている。
律も、もう軽口は叩かないようだ。
その時、ブリーフィングルームに唯が入ってきた。

和「唯、大丈夫なの?」

唯「うん…ケガはないし、最後の戦いでみんなと一緒にいられないと一生後悔すると思うんだ…。」

和「そう、着席しなさい。」



335 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:18:47.20 ID:R97B7Tgo

艦長が、スクリーンに地球とアクシズの位置関係が示された図を映しだして、続けた。

艦長「時間がない…続けるぞ。 アクシズの落下を阻止しても、
   低軌道上でルナ2からの核を爆発させちまえば、地球は汚染されてシャアの作戦は成功しちまう。」

和「ルナ2から敵の援軍が来たみたいですが、敵本隊に核は届いているのでしょうか?」

艦長「いや、あれは先行してこちらに向かってきた戦闘部隊だ。
   ルナ2で核兵器を積み込んでいる奴らはもう少し遅れてくるだろう。」

律「…そいつら、どれくらいで着くんだろうな?」

艦長「我々は、軌道上のこの位置でアクシズを叩くが、その頃にはもう着いちまっている可能性もある。
   ルナ2での核兵器搬出作業にどれ位時間が掛かるか、なんだがな…。」

律「連邦軍が、動いてくれりゃあな…」

艦長「だから、低軌道に達する前に、アクシズのノズルを破壊して、アクシズの進行方向を変えるか、
   残りの核ミサイル4発をぶち込んで、アクシズそのものを、分割、破壊する。」

澪「核ミサイル4発で、アクシズを破壊できるんですか?」



336 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:19:14.85 ID:R97B7Tgo

艦長は、澪の質問に応えるため、アクシズの透視図を表示した。

艦長「この位置、坑道が混んでいる部分がある。 そこにミサイルを叩き込めば、出来る計算だ。」

艦長「それでも駄目だった場合は、アクシズに接岸し、ラー・カイラムの陸戦部隊が内部に侵入、
   先程説明した坑道の入り組んだ部分に爆薬を仕掛け、内部から破壊する。」

そこまで聞いていた和の顔が、徐々に青ざめていく。

和「…」

紬「分割しても、地球に落ちてしまったら、向こうの作戦は成功してしまうんじゃないですか?」

艦長「分割できれば、質量が変化して、大気圏外に飛び出していくらしい。」

梓「エンジンのノズル破壊で進行方向の変更、核ミサイルでの分割、内部に侵入しての分割…
  三段構えですね! それなら、阻止できます!」

唯「うん、勝てるね!!」

艦長「ルナ2からの核が来る前に、やっちまうぞ! 準備にかかれ!!」

律「よっしゃ、行くぞ!!」

唯梓紬澪「おおーーーーーーっ!!」



337 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:19:45.74 ID:R97B7Tgo

慌しく、パイロット達が出て行った、と思ったが、和だけが残っていた。

艦長「どうした?」

和「本作戦は…まるで艦隊特攻です…」

和の目には、見る見るうちに涙が溜まってくる。

和「あなたは、死ぬ気なんですか?」

艦長「…」

和「どうなんですか…答えて下さい!!」

和の目から、涙の粒が漂いだした。
艦長は、その光景を、美しいと思って、素直に感動していた。

艦長「死ぬつもりなんか、無い。 だがな、死ぬかも知れないことは、確かだ。」

和「どうして…せっかくあなたのこと、好きになれたのに…どうして…」

艦長「それが、戦争だ!」



338 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:20:11.60 ID:R97B7Tgo

和は、まるで駄々っ子のように頭を振りながら、泣き叫んでいる。

和「嫌よ、嫌! もう、こんなの嫌! 私と一緒に逃げて!! こんなの、作戦とは呼べないわ!!」

泣きじゃくる和を抱き締めて、艦長が毅然と、言い放った。

艦長「真鍋少尉、お互い、最善を尽くそう。」

和「…あなた…」

艦長「辛い思いをさせて、すまない。」

長いキスをして、離れると、和の目に決意の輝きが宿った。

艦長「愛してる。」

和はブリーフィングルームを出る艦長を、唇に触れて、先程の感触を確かめつつ見送っていた。



339 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:20:44.75 ID:R97B7Tgo

姫子の部屋で、いちごがうずくまっていた。
部屋の中にはまだ、かすかに姫子の香りが残っている。

いちご「…寂しい。」

いちごの目を、涙が濡らしている。
もう彼女は、強化人間などでは、なかった。

いちご「立花さん…まだありがとうも、伝えていないのに…」

目の前に浮かんだ姫子のイメージを抱きしめようとするが、
彼女の両手は虚しく空を切るだけだった。

いちご「私を、独りにしないで…」

いちごが瞬きをすると、瞼の間から涙の粒がはじき出され、宙に漂った。



340 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:21:11.61 ID:R97B7Tgo

そこに、信代と潮が入ってきた。

信代「やっぱりここにいたのかい。」

いちご「…何?」

潮「出撃だよ。」

いちご「…」

信代「若王子さん、あたし、戦いが終わったら、実家の酒屋を継ぎたいんだよ!
   だから、死ねないんだ!」

いちご「酒屋?」

信代「死亡フラグでも何でもいいからさ、あんたの力が必要なんだよ!」

いちご「私の…力?」

潮「あんたのこといじめたの、許して欲しいなんて、言わないけどさ…一緒に、戦ってくれよ!」

いちご「…それは構わない…でも…」

潮「何さ?」

いちご「私はもう、戦いのあと、したいことなんて…無い。」



341 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:21:39.70 ID:R97B7Tgo

いちご「立花さんに…ありがとうを、伝えたかったのに…いなくなってしまったから…」

信代が、かすかに微笑みながら、口を開いた。

信代「サイド3のどこかに、立花さんの家族が住んでいるんだ。」

いちご「…家族?」

信代「ああ…だから、その家族に会って、ありがとうを、伝えればいいんじゃないのか?」

潮「それは名案だね!」

いちごは頷いて、立ち上がった。

いちご「彼女の家族…仇を取ってからじゃないと、会えない。」

潮「そうだよ!」

信代「かなりの数の連邦軍が動き出しているようだ、そいつらが来る前に、カタ付けるよ!!」

いちご「…出撃する。」

三人は、姫子の部屋を出て、真っ直ぐにMSデッキに上がった。



342 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:22:06.36 ID:R97B7Tgo

梓は、唯の部屋に来ていた。
唯が、心配だったのだ。
しかし、伝えたいことが山ほどあるようで、
どれも具体的な言葉にならず、もどかしい気持ちばかりが募っていく。

唯「私なら、大丈夫だよ、あずにゃん。」

梓「でも…私…」

唯「さっきの戦いで、ファンネルにやられそうになったときね、
  大丈夫だからって、憂の声が聞こえた気がするんだ。」

梓「…」

唯「そうしたら、りっちゃんが助けに来てくれて…なんか不思議だよね!」



343 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:22:32.74 ID:R97B7Tgo

梓は、それが信じられなかった。
死んだ人の声が聞こえるなどということは、ありえない。
それよりも、声が聞こえた気がしてしまうほど、
唯が憂に引き込まれそうになっている、という思いのほうが強い。

梓「唯先輩…私…」

梓は、自分が情けなくなった。
唯の中で憂はどんどん大きくなる。
それに自分が負けてしまうような気がして、辛いのだ。

梓「憂の代わりは出来ないかも知れないけど…
  唯先輩を想う気持ちは、憂にだって負けてないつもりです…」

唯「あずにゃん…」

梓「だから…戦闘の間だけは、憂の事、忘れて…とはいいません。
  私のこと、ちゃんと見ていてください。」

そこまで言ってしまって、
梓は自分の言ったことがどういう意味を持ってしまうのか考えてしまい、赤面した。

梓「戦闘中に、僚機を見失ったら…やられてしまいますから…//////」

唯は、梓の気持ちを知ってか知らずか、そんな梓を可愛いと思って、思い切り抱きついていた。

唯「出撃前のあずにゃん分補給!」

梓「もう、やめて下さい!!//////」

唯も梓も、この時だけはいつもの調子に戻っていた。



344 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:23:00.30 ID:R97B7Tgo

簡易休憩室では、澪と律がジュースをすすっている。
澪は、地味な色の天井を見つめながら、呟いた。

澪「曽我部先輩も、憂ちゃんも、鈴木さんも、もういないんだな…」

その呟きに、律が無重力に漂いながら、首を向ける。

澪「私たち…どうなるのかな…?」

律「…恐いのか?」

澪「それとはちょっと違うのかな…
  ただ、一日後、自分が何をしているのか、想像できないって言うか…」

律「まあな…それが普通だろうな…」

澪「よくさ、人生設計って言って、何十年先まで計画立てたりするよな…
  まあ私もそんなクチだったんだけど…」

律「ああ…」

澪「でも、普通に暮らしていても、明日何が起こるかなんて、わからないんだよな…
  健康な人が、次の日事故にあったりさ…。」

澪「戦争なんかやってたら、尚更じゃないか…ハハッ。」



345 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:23:26.04 ID:R97B7Tgo

そこまで聞いて、律は澪が怯えていることに気がついた。
いつものような怯えとは違うが、それとは違う部分での、怯えだ。
床に足裏のマジックテープをしっかりと付けて、澪の前に立つ。

律「何が起こるか分からない状況でも、予定は作っておくもんじゃないのかよ。」

澪「律…」

律「まず、艦に帰ってきて、ムギのお茶を飲む。
  次はロンデニオンにいって、みんなでそろって貸しスタジオで、演奏する!」

律「これが予定だ! それでいいじゃないか!」

澪「…そうだな…ありがとう、律。」

律「へへっ…」

澪「どうしたんだ?」

律「いや、何かの計画なんて、初めて立てたからさ…。」

澪「無計画なお前に、計画を立てさせちゃったな…。」

二人は、そろって笑い出していた。



346 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:24:21.69 ID:R97B7Tgo

MSデッキで、自分のジェガンを見上げていた紬のところに、4人が近づいてきた。

律「何シケたツラしてんだよ、ムギ!」

紬「りっちゃん…」

澪「帰ってきたら、お茶、頼むな。」

紬「澪ちゃん…」

梓「元気だしてください。 帰ったら、一緒に演奏しましょう!」

紬「梓ちゃん…」

唯「ムギちゃん、一緒に行こ! 私たちが、地球を救うんだよ!」

紬「唯ちゃん…そうね、あと少し、頑張りましょ!」

そこに、和も加わってくる。

和「私も帰ったら、お茶、頂こうかしら。」

紬「艦長さんと一緒にね!」

一通り笑ってから、6人は各々のMSに流れていった。



347 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:24:47.83 ID:R97B7Tgo

艦長は、ブリッジで報告を受け、首をかしげていた。
どう考えても、不可解極まりない動きである。

艦長「連邦軍の艦隊だと?」

副長「ええ、この光点が、ルナ2から脱出した艦艇、
   こっちはサイド2、こっちのはサイド5からの艦艇と見て、間違いないでしょう。」

艦長「ブライト司令はなんと言っている?」

副長「向こうの意図はわからないが、定期的に、こちらの位置表示は出しておくように、だそうです。」

艦長「ろくに戦闘もやった事が無い連中だ、戦闘を見ておきたいだけの野次馬かもしれんな。」

副長「ありえますね。」



348 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:25:15.87 ID:R97B7Tgo

艦長「それより…あの話だが、いいのか?」

副長「ラー・カイラムが危なくなったら、
   近くの艦がラー・カイラムの盾になる…3隻のクラップ級艦長達の密約ですな。」

艦長「…そうだ。」

副長「みんな、異存はないようです。
   艦長は頼りないですから、いざとなったら我々が三途の川の向こうまでお供しますよ。」

艦長「言ってくれるじゃねえか!」

副長「艦長は、いいんですか?」

艦長「何がだ?」

副長「真鍋少尉のことです。 この話、彼女には伝えていないんでしょ?」

艦長「彼女は、強い。 大丈夫だ! 私が死んでも、すぐに他のいい男が見つかるだろうしな!」

そう言い切っては見たものの、艦長の脳裏には、さっき見た和の泣き顔が引っかかっていた。
それを振り払うように、命令する。

艦長「MS隊、出せ!」

和「第1小隊、出ます!」

モニター内の和は、もう泣き顔ではなかった。
艦長は、心配し過ぎなのは自分のほうだったかな、と思った。



349 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:25:43.31 ID:R97B7Tgo

MSのコックピット内で待機していた信代に、ブリッジから通信が入った。

通信手「ロンド・ベルが動き出した。
    MS隊は出撃して艦隊の前面に展開。 敵の侵攻を阻止せよ、だ!」

信代「やっと来たかい、二人共、いいね!」

いちご潮「了解!」

右舷カタパルトデッキに信代の重装型、
左舷側に潮の通常兵装のギラ・ドーガが固定され、順次発艦した。

いちご「立花さん…仇は必ず。」

少し遅れていちごのサイコミュ試験型が射出された。



350 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:26:13.84 ID:R97B7Tgo

出撃してすぐ、信代たちの前にいくつもの火線が現れた。

信代「ミサイルだ! 迎撃!!」

いちご潮「了解!!」

ライフルでミサイルを打ち落とす。
多少撃ち漏らしても、後方には艦が控えている。
MSの敵は、やはりMSである。

信代「ミサイルの後に、MS隊が出てくるよ! 二人はその迎撃!
   私は対艦戦闘隊と共に、艦をやりに行く!
   また核なんか撃たれたらたまったもんじゃないからね! 二人共いいね!」

いちご潮「了解!」

ミサイル攻撃の第一波が止むとともに、信代の機体が、
各艦から集められた対艦戦闘隊に混じって戦場を迂回する軌道をとった。
その信代に、いちごが通信を開いた。

いちご「中島さん!」

信代「何だい?」

いちご「必ず、帰ってきて。」

信代「あたりまえだろ! 対艦戦は得意なんだ! 旗艦を沈めて、戻ってくるよ!」

いちごたちは、それを見送ってから、味方のMS隊に混じっていった。
少しすると敵MSの航跡が見え、散開した。

いちご「来る!」

潮「よっしゃ!」

いちごの心の器に、一気に憎悪の念が満ち溢れた。



351 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:26:43.43 ID:R97B7Tgo

前進中の和達も、敵を捉えていた。

和「敵接近! 今回の任務は艦隊主導だから、何としても艦を守りぬくわよ!!」

律「おうよ! 澪、いいか!?」

澪「了解だ!」

唯「あずにゃんも、いい!?」

梓「はいです!!」

紬「今度は、ちゃんとやってみせる!」

6機になっていたので、MSの編成は小隊基本になっていた。
和と紬、律と澪、唯と梓である。
散弾のバズーカは、紬、澪、梓がそれぞれ肩部に取り付けられたマウントラッチに携行している。

その時、編隊の横を白いMSが抜けていった。

律「なんだよ、ありゃ! 突っ込み過ぎだろ!」

澪「νガンダム…急ぎ過ぎじゃないのか?」

律「あんなに突出しちまって、掩護なんか出来やしないぞ!」

和「私たちは、私たちの仕事をするまでよ!」

敵が、迫る。

3つの小隊は、あくまで連携して、ギラ・ドーガの編隊に当たった。



352 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:27:11.70 ID:R97B7Tgo

いちごの戦い方は、まるで鬼神のようだった。
潮は、出撃前とは別人のようになった彼女に、恐怖すら感じている。

いちご「奴らはどこ? 立花さんを奪った敵は!?」

潮「ちょっと、飛ばし過ぎなんじゃない!?」

躊躇なくファンネルを放出し、いちごはそれらと連携して敵を落としていく。
その戦い方は、姫子を失う前より苛烈になっている。

潮「…パートナーを失ったら、ダメになるんじゃなかったっけ…?」

また、ファンネルが敵を爆散させた。
ビーム砲のバッテリー切れなのか、今しがた敵を落としたファンネルを放置し、
サイコミュ試験型はもう1基ファンネルを放出し、敵に向かわせる。

戦闘中は回収して充電する暇が無いため、ファンネルはほとんど使い捨てにされる。
戦闘が一段落したときに、サイコミュで捉えきれるファンネルがあれば回収し、
充電して再利用することができるが、これが最後の戦闘である。
そんな暇がある保証はどこにもなかった。



353 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:27:44.61 ID:R97B7Tgo

潮「ファンネル、使いすぎじゃないの? 大丈夫なの?」

いちご「どうせ奴らが出てきたらファンネルは無効化される。 使いきってしまって構わない。」

いちごたちの後方、アクシズの方には、
α・アジールとヤクト・ドーガが敵のガンダムと交戦しているのが見えるが、
いちごにそんな事は関係なかった。
彼女の目的は、姫子の仇を取ることだけである。

何故なのか分からなかったが、いちごはもうサイコミュによる頭痛を感じていなかった。

いちご「…見つけた!!」

憎悪の念がいちごの体から溢れ出し、周りの雰囲気を変え、潮に緊張を与えた。
サイコミュ試験型のコックピット周りから、黒々としたモヤのようなものが出ているようにも見える。

潮「…奴らか!?」

いちごがライフルを連射しながら突っ込む。
敵が蜘蛛の子を散らしたように散開するのが見えた。

モニターが敵艦の艦影をはっきり映し出しているのを見て、
潮は自分たちが戦場の奥まで侵攻していたことを知り、背筋が冷えた。
しかし、いちごを放っておく訳には行かない。
潮は、いちごの後を追い、6機のジェガンに突っ込んでいった。



354 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:28:10.26 ID:R97B7Tgo

先鋒のギラ・ドーガを凌ぎきると、
肌を突き刺すような緊張に、戦場の雰囲気が震えているような気がした。
その中心に、赤い機体を見つけて、唯の心は憎悪に染まった。
もう、出撃前の笑顔は、忘れている。

唯「あいつだ!! 憂の仇!!」

梓「やってやるです!!」

二人の親友を失った梓も、唯を止めようとはせず、自ら憎悪に身を委ねて突っ込んでいく。

律「畜生、あいつか!! 今日こそ引導を渡すぜ!!」

律も唯たちの雰囲気に飲まれているのか、熱くなっているのを見て、澪がそれを制した。

澪「律、落ち着け!! 周りもよく見るんだ!!」

律「あいつが諸悪の根源になって、みんながおかしくなってやがる!!
  あいつを殺したら、みんな落ち着くだろ!!」

澪「…分かったけど…ちゃんと連携して当たるんだぞ! 出来るのか?」

律「できる出来ないじゃねえ! やるんだよ!! 憂ちゃんの仇は、必ず仕留める!!」



355 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:28:36.91 ID:R97B7Tgo

艦の近くにいた和の小隊は、4機の動きに付いていくことは出来なかった。

紬「和ちゃん、みんなが…」

和「分かっている! でも私たちはこれ以上艦を離れるわけには行かないわ!」

散発的に戦場を抜いてきた敵が、艦に取り付こうとするので、
和たちは、その対処に追われていたのだ。

この作戦は、核ミサイルを保有し、
爆破処理を行う陸戦隊を擁するラー・カイラムを沈められると終わりである。
さらに敵艦に対処する必要もあったため、艦隊を損耗させないよう死守する必要があったのである。

紬「和ちゃん! 10時方向!」

和「掩護をお願い!」

和がビームライフルを放ち、また艦に取り付こうとした敵が爆散した。
艦隊は、徐々にアクシズに近づきつつあった。



356 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:29:05.69 ID:R97B7Tgo

律と唯が敵を追い散らし、梓が廻り込んでビームを撃つ。
その形を基本とし、時に役割とパターンを変え、赤いサイコミュ搭載機に当たっている。
澪は、サイコミュ搭載機に随伴していた通常型のギラ・ドーガを足止めしている。

澪「なんなんだよ…あいつら…恐い…。」

絡み合い、時にぶつかり合う敵味方は、
お互いに深い憎悪の念に駆られているのが、澪には痛いほど分かった。

その憎悪の念は、4機のMSから滲み出し、拡散し、宙域を染め上げているような気がするのだ。
あまり近寄ると、澪もその毒気に当てられて、
おかしくなってしまいそうな、そんな危うさを感じるのである。

だから、澪は援護しつつも、4機には近寄りがたいものを感じていた。

澪「あれが…律たちだって言うのかよ…そんなの認めたくない…」

目の前の敵も、同じことを感じているのか、味方機を避けているようにも見える。

澪「お前も…感じているのか?」

澪はそれを確認したい衝動に駆られたが、交戦中の敵機である。
その衝動は、抑えこむしか無かった。



357 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:29:59.07 ID:R97B7Tgo

艦長は、作戦の焦点が近いことを、感じていた。

艦長「もうすぐ、最後の核ミサイルの出番だな!」

副長「アクシズが最終加速をするポイントにさしかかります!!」

レーダー手「艦長、右舷に熱源多数、敵MSと思われます!!」

艦長「直掩は!?」

レーダー手「数が足りなすぎます!! このままじゃラー・カイラムが…!!」

艦長「手はず通り、当艦の横っ腹を敵さんに見せつけてやれ!!
   ラー・カイラムの盾になってやる!!」

操舵手「了解!!」

艦長「対空砲火、メガ粒子砲、敵機を撃ち落せ!! 簡単に、当艦を沈めるんじゃないぞ!!」

砲手「了解です!!」



358 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:30:30.64 ID:R97B7Tgo

ラー・チャターの右側面が、ラー・カイラムを敵から覆い隠したその時、艦内に大きな衝撃が走った。

副長「隔壁閉鎖! 消火作業急げ!!」

艦長「よっしゃ! ちゃんと盾になっているじゃないか、当艦は!!」

操舵手「操舵手の腕がいいんですよ!!」

艦長「ラー・カイラムが核ミサイルをアクシズにぶち込むまで、持ちこたえろよ!!」

砲手「1機落としました!!」

艦長「全部落としてから報告しろ!!」

砲手「了解!!」

通信手「ラー・カイラムが、核ミサイル発射!!」

艦長「おし!! アクシズがバラバラになるまで、持たせろよ!!」

また、艦内に衝撃が響いた。
しかしクルーは、それを気にも止めず、作業に没頭している。



359 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:30:59.63 ID:R97B7Tgo

和は、ラー・カイラムをかばうように進路変更をした母艦を見て、目を疑った。

和「何をする気なんですか!? 艦長!!」

ラー・チャターに、火線が集中する。

紬「ラー・カイラムの…盾になって…」

和「嫌ァアアア!! ムギ!! ムギ!!」

紬「分かったわ!!」

和は、その様子に取り乱して的確な指示が出来ず、紬の名前を叫けび続けるだけだった。
しかし紬には、和のしたいことが、言いたいことがハッキリと分かっていた。

紬「艦に取り付く敵を、排除するわ!!」

紬は散弾で牽制し、和と共に敵機の群れに突っ込んでいった。
しかし敵が多く、2機は連携出来ずに分断された。



360 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:31:35.31 ID:R97B7Tgo

旗艦を狙っていた信代は、クラップ級の一隻が盾になっているのを見て、舌打ちをした。

信代「チッ、そこまでして旗艦を守りたいってのかい!」

信代は、回避機動をとりながらランゲ・ブルーノ砲を構えて、言い放った。

信代「じゃああんたから沈めてやるよ!!」

ランゲ・ブルーノ砲から発射された200ミリ対装甲用榴弾は、
大きすぎる標的に、次々に飲み込まれ、閃光にかわっていく。
しかし、信代が3発目を打ち込もうとしたとき、1機のジェガンが絡みついてきた。

信代「直掩か!?」

信代は、また舌打ちをして、敵機とドッグファイトにもつれ込んだ。

信代「小賢しいね!!」

ランゲ・ブルーノ砲を右のマニュピレーターに保持させたまま、
シールドに装備されていたシュツルムファウストを発射する。

命中。
足をもがれた敵が怯むことなくサーベルを発振し、さらに接近する。



361 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:32:03.36 ID:R97B7Tgo

和は敵の群れの中に入り、長距離砲を持った敵が、
艦に大経口の実体弾を撃ち込むのを見て、頭に血が上った。

和「何よ…やめてよ…やめなさいよっ!!」

敵が多すぎ、紬も他の機体と交戦状態である。
和は得意のチーム戦ではなく、単機で交戦せざるを得なかった。
それが、和に冷静さを取り戻させた。
だが、焦る気持ちは機動を単調にさせる。

和「…敵は長距離砲だから、小回りは効かないはず…」

ビームライフルを連射して、一気に距離を詰める。
衝撃。
敵の撃ったシュツルムファウストで、左足が無くなった。

和「アンタなんかに、私の大事な人を連れて行かせるもんですか!!」

和のジェガンは損傷にも構わずにビームサーベルを発振し、敵にそのまま突っ込んだ。



362 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:32:32.38 ID:R97B7Tgo

信代「艦も艦なら、艦載機も艦載機だね! そろって死ににきやがる!!」

信代は、そのMSのパイロットの度胸をすこぶる気に入った。

信代「でもそう言うの、嫌いじゃないんだな…いい度胸だ!! あたしの命、くれてやるよ!!」

信代は、覚悟を決めて、ランゲ・ブルーノ砲を構え直した。



363 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:33:00.39 ID:R97B7Tgo

和「艦長は、私が守る!!」

貫いた。そう思ったとき、機体の左側に、短い、強烈な振動を何発も感じた。

後ろを振り返ると、艦に幾つもの弾着の光が見えた。
敵は、はじめから艦を目標にしていたのである。

和「…しまった!!」

もう、艦はボロボロだ。
爆発の光がそこここから生まれ出ている。
脱出しなければ、クルーは…艦長は…。



364 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:33:28.89 ID:R97B7Tgo

和は、艦長のもとに飛んできたかった。
しかし、目の前にはまだ数機のギラ・ドーガが紬の機体と交戦中だった。
他の艦隊直掩もまだ交戦中だ。
和が紬の掩護をしようと前進をかけたとき、紬の通信が彼女の耳を打った。

紬「艦長さんのところに、行ってあげて!!」

和「でも…まだ敵が…」

紬「ここは私が引き受けるわ! 早く!!」

和「でも、単機じゃ…」

紬「行け!!」

紬の強い言葉を聞いて、和は迷わずラー・チャターの艦橋部に取り付き、接触回線を開いていた。



365 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:33:58.46 ID:R97B7Tgo

戦闘ブリッジ内に、和の声が響いた。

和「艦長、脱出してください!! 艦はもう…!!」

艦長「まだだ! アクシズが分割するのを見るまでは…」

その時、正面に3つの大きな火球が観測できた。

副長「核ミサイルが…阻止されたのか…?」

次の瞬間、アクシズ付近で大きな爆発が起こった。

副長「いや、一発はアクシズへ…」

それを見て、艦長が落ち着いた声で命令した。

艦長「一発じゃ足りんかったな…当
   艦は、引き続きアクシズに接舷するラー・カイラムを、身を呈して掩護する。」

和「艦長!! もう無理です!! 艦はその役目を果たしました!!
  脱出してください!! お願いします!! 生きて…」



366 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:34:29.57 ID:R97B7Tgo

和の絶叫に近い懇願が戦闘ブリッジ内に飽和しているのを見かねて、副長が艦長に目配せをした。

艦長「何だ、副長。」

副長「あなただけ通常ブリッジに上がってください。
   うるさくてかないません。 ここは私らだけで何とかなりますから…」

艦長「…しかしな…」

艦長が周りを見る。
戦闘ブリッジをほったらかして、女に会いに行くというのは、
どうも責任者として不適切な気がしたのである。



367 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:34:58.84 ID:R97B7Tgo

通信手「艦長は、邪魔なんですよね…最後まで、イチャイチャしてるとこ見せつけたりして…
    上が空いてんですから二人だけでやってくださいよ。」

レーダー手「女の声は、監視機器とレーダーに響きますんでね、
     黙らせたいんですけど、我々じゃ役不足ですな。」

砲手「あーあ、我々は、自分の女も黙らせられない男に付き合って死ぬんですか?」

操舵手「早く行かないと、ラー・カイラムを敵に晒しちゃいますよ?
    分かったら、痴話喧嘩は上でお願いします。」

副長「…最期の時くらい、静かに迎えさせちゃくれませんかね。
   みんな考えたいこともあるんです。 うるさいのは、ゴメンですよ。」

艦長「すまない、諸君。」

艦長は、そう言い終わるやいなや、通常ブリッジに上がっていった。



368 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:35:30.24 ID:R97B7Tgo

紬は、単機で4機2個小隊を相手にしていた。
だが、この状況にもかかわらず、不思議なほど心は落ち着いていた。

紬「フフフ…人の為に命を掛けるの、夢だったの。」

冷静に敵機を見ると、弱い部分が見えてくる。
数を頼みにしている敵だった。
目の前の敵をいなして、弱い敵機に向かっていく。

紬「チームワークが、なっていないわね!」

数を頼みに押してくるのは、各人の役割が明確でないからだ。
チーム訓練を重ねてきた紬には、それが手に取るように分かった。

紬「落ちなさい!!」

3射目で、弱い敵機をビームが貫いた。
そうすると、他の敵機も目に見えて動揺を始めた。
躊躇せず、突っ込んでいく。

紬「和ちゃんと、艦長さんの最後のひととき、邪魔はさせない!!」



369 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:35:58.97 ID:R97B7Tgo

また、弱い部分を見つけた。
ツノ付きの機体だった。

紬「指揮官が、怖がってちゃ終わりよね!!」

機体をまっすぐ突っ込ませるが、
敵を捉えたジェガンはオートで回避機動をとりながら突進する。
敵のうろたえ弾が装甲をかすめたが、ビームマシンガンの低出力ビームは
ビームコーティングに弾かれて装甲板を焦がしながら霧散していった。

紬「もらった!!」

敵を貫くと、警報音がコックピット内に響いた。
2機の敵が、並んで接近してくる。
衝撃が走り、シールドが吹き飛んでいた。

紬「シールドなんか、要らないわよ!! 軽くなって、いい感じだわ!!」

ダミーを放出し、一旦後退をかける。



370 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:36:27.55 ID:R97B7Tgo

敵は、ようやく紬に連携して当たることを思いついたらしい。
2機が分かれて、紬を挟みこんでくる。

紬「…まだまだ…」

敵を振り払うように回避機動をとりながら、隙を窺う。
Gが、体にのしかかる。
アーム・レイカーを操作すると、それに答えるように体が上下左右に、暴力的に揺さぶられる。
被弾の衝撃も加わり、紬の背骨がミシミシッ、と軋んだ。

1機、ハッキリと敵を捉えた。
反射的に右人差し指に力を込めると、次の瞬間、その機体がビームの直撃ではじけ飛んでいた。

残り1機。

そう思って周りを確認すると、さらに2機1個小隊が紬の攻撃に回ってきていた。

紬「ウフフ…私ったら、モテモテね…」

紬「でも私、女の子同士にしか、興味ないのよね!!」

弱い部分を探してみた。
見つからないな、と思った。



371 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:36:58.50 ID:R97B7Tgo

艦長が通常ブリッジに上がると、
艦橋部に取り付いたジェガンのコックピットハッチが開いて、和の姿が確認できた。

そのまま、二重になっているブリッジのサイドハッチから
和が艦内に入り込んで、艦長の胸に飛び込んだ。
見つめ合うと、すぐに二人はヘルメットをかなぐり捨てた。

和「あなた!!」

艦長「和、さよならだ。 ジェガンに戻れ。 ラー・カイラムの掩護をしろ!」

和「嫌よ!!」

艦内に、衝撃が走った。
かなり大きい。



372 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:37:26.28 ID:R97B7Tgo

艦長「もう艦が持たん! 艦長命令だ! 出ろ!!」

和「嫌だったら、嫌なの!!」

艦長「そんなに死にたいのか!!」

和「あなたを失うくらいなら、死んだほうがマシよ!!」

艦長「このわからず屋め!! 君がそんなにアホだとは思わなかったぞ!!」

涙に濡れた和の顔が、フッ、と笑顔を作った。

和「私、あなたの言う事なんか、まともに聞いたこと、あったかしら?」

それにつられて、艦長の顔も、笑顔になった。

艦長「そういえば、無かったな。」

一瞬、見つめ合った後、艦長が和を抱きしめる手に力を込めて、言った。

艦長「仕方ない…もう、君を離さんからな! 地獄の底まで、私についてこい!」

和「…その言葉、プロポーズとして、受け取るわ。」

二人の唇が重なりあった瞬間、
ラー・チャターは、和のジェガンもろとも爆散し、宇宙の塵になった。



373 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:38:54.35 ID:R97B7Tgo

紬が覚悟を決めたとき、2機のギラ・ドーガがほぼ同時に爆散していた。
次の瞬間、味方を失った残り1機を反射的に紬のビームが捉えていた。

紬「味方!?」

ロンド・ベル兵1「ラー・チャターMS隊の方ですね!
         ラー・カイラムMS隊、第3小隊です! 掩護します!!」

紬「助かります!!」

ロンド・ベル兵2「ラー・チャターのお陰で、何とか作戦を続行出来ているんです。
         感謝したいのはこちらですよ!!」

紬「来る!!」

さらにギラ・ドーガが2機、紬達に向かってきた。
敵の後ろを取ろうと旋回をすると、宇宙空間を照らす大きな火球がチラッ、と視界に入った。
ラー・チャターの、最期の光だった。

紬「和ちゃん…艦長さん…。」

戦闘中の紬はそれを目の端に捉え、二人の名前を呟くことしか出来なかった。


第十一話 律動! おわり

明日で俺の孤独との戦いもおわり。




374 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 19:49:08.90 ID:laL2eWoo

おつです



375 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 20:52:54.38 ID:1g//MQDO

明日はいよいよ放課後ティータイムは伊達じゃない!!
だな。



376 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 22:43:32.45 ID:2lFY6IAO

もうνとサザビーの殴り合い宇宙は終わってるよね?



377 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 22:44:58.43 ID:1g//MQDO

まだやってる最中



378 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/11(木) 01:17:11.57 ID:d1ZoCLko

おつです!






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タイトル:
NO:3313 [ 2011/07/09 06:50 ] [ 編集 ]

信代さん・・漢だな

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