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唯「膣ちゃんおはよう」律「!!」#ヴァギナ・デンタータ編 【アクション】


唯「膣ちゃんおはよう」律「!!」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251101695/
唯「膣ちゃんおはよう」律「!!!」 より
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251276501/




233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:21:38.51 ID:h/xMJqD2O

律「ヴァギナ・デンタータ?」

紬「歯のある膣、という意味です」

律「……馬鹿にしてるのか?」

紬「ちゃんとした心理学用語ですよ。もっとも、現在では否定されていますけど」

律「…………」

紬「男性が性交を行うとき、去勢不安を抱いているという説を提唱したのがフロイド。
  しかしその説は間違っていて、男性は射精することによって女性に生命力を
  『食いつくされる』という感覚を抱いているという捉え方が正しいのでは、と言われています」





234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:30:51.22 ID:h/xMJqD2O

紬「性交渉をすることを『食べる』と同義の言葉で表している言語もあります。
  日本でも、隠喩で用いますよね?つまみ食いだとか、そんな風に」

律「なんで例にあえてそれを選んだかは聞かないでおくよ」

紬「世界中に、女性の膣に挿入したら男根を切断されたという話や、永遠の命を得ようと
  子宮に潜り込んだところを噛み殺される、なんて神話が存在しています」

律「どこの世界にもアホと変態がいるんだな」

紬「人類の無意識の層は根底で繋がっているのでは、という考えとも関連してきますね」

律「嫌な無意識だな」



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:43:09.42 ID:h/xMJqD2O

紬「禁欲主義の色が強い宗教の説話にそういうのは多いんですよ。
  陰門は地獄の門のシンボルだとしていたりして、上の口まで覆い隠すことを守らせたり、ね」

律「上の口てあんた」

紬「男性は、あまりにも神秘的で魅力的な女性の陰門に対して、
  ある種の恐怖、不安を抱いているんですよ。
  射精の後におとずれる虚脱感、ペニスの縮小などから生命力や精神力を
  食い尽くされてしまうのではないか、と。
  まぁ陰門の形が口に似ていて、奥に歯を隠しているに違いないと
  連想させてしまうということもあるんですけどね、ふふっ」

律「……似てるのか?」

紬「ほら、成長段階で陰唇が肥大してきてより一層似てくるんですよ」

律「………………で」



238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:50:26.16 ID:h/xMJqD2O

律「結局何が言いたいんだ?
  宗教だの無意識だのいってたけどさ」

紬「私たちに意識は無いですけれども、膣ちゃんは私たちが膣ちゃんのことを、
  その……ヴァギナという意味の言葉で呼んでいるように聞こえてるんですよね?////」

律「言い換えがおかしいしなんで今さら言い淀むのか知らないけど、そういうことだな」

紬「つまり、私たちの『無意識の層』で、
  膣ちゃんは『ヴァギナ』のシンボルと認識しているのでは?ということです」

律「!!」



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:55:51.47 ID:h/xMJqD2O

紬「幸い、ここは女子高ですから男子とふれあう機会は少ないです。
  しかし、思春期真っ盛りの男子高校生が『ヴァギナ』のシンボルである膣ちゃんと出会ったら?」

律「……えっと、どうなるの」

紬「群がりますね、それこそ蟻や萌豚のように」

律「うぇっ」



241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:09:41.84 ID:h/xMJqD2O

紬「私が心配しているのはもうひとつ」

律「まだなんかあるのか?」

紬「膣ちゃんが、本当に『歯のある膣』ではないか、ということです」

律「……は?
  何を言ってるんだ。私のアソコはいたって普通だよ
  まぁ、普通のなんて知らないけど、取り合えず歯なんて……」

紬「歯は、あくまで比喩。
  『ヴァギナ・デンタータ』の説話は強姦を戒めるものだったり
  ……性病の感染を意味するものだったりします」

律「……え?」

紬「ふふっ、冗談ですよ膣ちゃん」

律「いやいやいや、何を言ってるんだよ。
  それにホラ、私まだ……」

紬「母子感染とか、薬害なんたらとか、聞きますよね」

律「………………」



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:16:08.60 ID:h/xMJqD2O

律「冗談だよな?なぁ紬」

紬「さぁ、私は単に憶測を述べただけですから」

律「……いくらなんでも、なぁ」


唯「遅れてごめん!」

澪「練習始めようか。紬、膣」

律「……………」

梓「どうしたんですか?膣先輩」



247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:39:28.68 ID:h/xMJqD2O

律「あの……どうでしたか?」

医者「………ふぅ、あなた」

律「………っ」

医者「好きな人ができてそういうことが心配なのはわかるけど、
   いくらなんでも心配しすぎよ?」

律「へ?」

医者「その気持ちはわからないでもないけどね。
   取り合えず簡易検査の結果ではAIDSやその他の性感染症は見つからなかったわ」

律「あ……」

医者「心配しすぎとはいえ、こういうことに関心があるってことはいいことよ。
   また不安なことがあったら来てちょうだいね。
   でも、中絶の世話だけは勘弁よ?」

律「はい、ありがとうございます!」



だがしかし、紬の言葉は当たっていたのだった。
律の膣、いや膣の膣にはいまだかつて人類が遭遇したことのない性感染症が潜んでいた。
律のはじめての恋人ははじめての夜の一週間後、発狂して皮膚が剥がれ落ちるほど
頭をかきむしりながら夜の街を疾走し、老若男女隔てなくレイプして太陽が上る頃に息絶えた。
それが人類の終焉の始まりだったのさ。



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:57:26.27 ID:h/xMJqD2O

唯「……………」

澪「……………」

紬「……まさか、こんなことになるなんて」


律の持っていたウイルスが引き起こしたパニックは、もはや世界中に広がった。
梓は三日ほど前、感染し発狂した父親にレイプされ、今は国の施設で
治療という名目で強制収容、研究の対象にされていた。
それが今朝、舌を噛んで自殺していたのが発見された。

唯「……許せない」

澪「唯!お前、今膣も…」

唯「違うよ、膣ちゃんがじゃない」

唯「膣ちゃんの膣に潜んでいた悪魔が、許せないの」



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 10:08:46.59 ID:h/xMJqD2O

紬「ネットでは膣ちゃんが淫乱人食い魔女だと中傷されています」

紬「そして、魔女狩りの雰囲気も漂っています」

澪「そう、なるよな」

唯「……膣ちゃんが悪いわけじゃないのに、
  膣ちゃんが死んでも、何も変わらないのに…」


つい先日、田井中家が放火された。放火したのは、膣の恋人の母親だった。
幸い政府の手配で病院にいた田井中一家は無事だったが、これ以降魔女狩りの声は高くなった。

唯「私は、膣ちゃんが好きだ」

澪「私も」

紬「私もです」

唯「だから……膣ちゃんのことを知らないやつらなんかに、殺させはしない…」


唯「『魔女狩り』狩りだ……」


こうして結成された遊撃隊「放火後ティータイム」は、
全国で起こる魔女狩りの組織を潰して回るのだった……


第一部 完



269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:17:35.79 ID:h/xMJqD2O

「…魔女はこの病院の地下、特別に設置された病室で免疫学者たちに調査されている」

「作戦は前に伝えた通り。ヘリ班が屋上から侵入して陽動。
 その一分後に正面玄関にトラクター班が突入。可能なら玄関の防衛ラインを崩し侵入。
 そのすきに深夜入り口から本命が突入。一気に地下まで潜り込んで襲撃する。
 作戦開始から4分たって連絡がなければ、本命班のチョッキの爆弾を起動させる。
 いいな?」

「だが、今回の作戦はやつら……放火後ティータイムに勘づかれている可能性がある」

「!!」

「しかし、やっと掴めた足掛かりだ。逃すわけにはいかない」

「……魔女への怨みを忘れるな」

「おう」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:26:04.50 ID:h/xMJqD2O


……ズガアァァァン!


「トラクター班の突入を確認、行くぞ!」

「お、おう」

ドン、ドパパパパパ

ドパパパパパパパッ


「おい!お前、今のは医者じゃ……」

「かまうもんか、俺はどうせ地獄行き、娘のところにはいけないんだ……」

「だからって…ッ!」

「作戦に集中しろッ!」

「………糞っ!」

ドン、ドパパパパパパパパパパパッ



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:32:40.90 ID:h/xMJqD2O

――地下

「……ここかッ!?」

ガァンッ

「どうやらそのようだな…」

「……見張りのポケットにカードキーがあった」

「よし、突入したら辺り構わず掃射だ。いくぞ……」

ダァン!

ドパパパパパパパパパパパッ

ドパパパパパパパァン!



274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:44:21.07 ID:h/xMJqD2O

「…………どうだ?やったか?」


いない。魔女どころか、医者も看護婦もいない。
あるのはただ銃弾でズタボロになったベッドがひとつ。

「なんだ、紙切れ……?」


『BOO!』

「糞ッ!罠だ!本部聞こえるか作戦は中止……」


『あはは、残念でしたー』

「お、お前は…



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:55:29.88 ID:h/xMJqD2O

遠くからくぐもった爆発音が聞こえる。
お腹の底に響くような、魂の震えるような。
私は膣ちゃんのバスドラの音を思い出す。
膣ちゃんのは、こんなもんじゃなかった。

紬『こちら鍵。屋上から侵入したやつらは一掃したわ』

澪『こちら4。車で突っ込んできたやつらは何人か逃した。
  病院周辺に潜伏している様子、追跡をやめる』

唯「こちら6。本部を制圧。突入部隊の沈黙を確認」

魔女狩りさんたちは、こっちの流した情報にまんまと乗ってくれた。



278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 14:09:42.76 ID:h/xMJqD2O

事態に混乱しきった政府は「人道的見地」から暴徒化した市民から
膣ちゃんを保護、ウイルスに対する抗体を見つけ出す名目で拘束した。

今までの研究でわかったのは、オリジナルである膣ちゃんの膣に潜むウイルスに毒性はなく、
感染した個体の生殖器官で遺伝子が変化し、毒性をもつこと。
その遺伝子はオリジナルとは全く異なり、
次々と改変が行われるため抗体を作ることは不可能に近い。
ただ、どんなに遺伝子が変化しても、症状は変わらない。

一週間前後の夜に発狂して暴れまわり、レイプを繰り返し、朝方には死に至る。

この研究結果はマスコミによって漏洩し、魔女狩りを増長させることになった。



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 14:22:31.01 ID:h/xMJqD2O

唯「膣ちゃん、どこにいるんだろう……」

澪「関西と首都圏の病院は粗方当たったけど…
  地方か、もしかしたら国外か……」

魔女狩りを狩る放火後ティータイムも、膣の行方を探りながらの狩りをしていた。
マスコミはゲリラ的なもの以外は壊滅し、情報は錯綜していた。

紬「国外となると、ダメージの少ないヨーロッパかオセアニアかしら」

ちなみに朝鮮半島と南アフリカ諸国は既に壊滅した。
元々レイプ事件が多いのもあり、あっさりと駄目になった。



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 14:35:36.40 ID:h/xMJqD2O

朝目覚めると白い天井が目の前にあって、体を起こすと白い壁があった。
なぜだか焦点が合わないような気がして、周りを見ても白しか見えない。

がっかりして目線を落とすと、やっと色のついたものが目に入る。

自分の、よごれちまつた、両手が。


大好きなドラムを、この手でスティックを握って叩いた。
大好きな澪を、この手でしばいたりもした。
大好きなあの人に、この手で触れた。
その手を握り返してくれた人は、もういない。

膣「うっ…………うわぁ…………ひぐっ……」


死んでしまいたくなった。
でも、そんなことできっとみんな許してくれない。
あの人も、梓も、その家族も、きっと許してくれない。

膣「ごめんなさい……ごめんなさい…………」

膣の懺悔は、誰にも届かない。



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 14:45:54.74 ID:h/xMJqD2O

膣は、拘束されて以降、されるがままに身を任せていた。
私なんかが生きているなんておこがましい。
死ねないとは言え、いきる理由だってない。
血を抜かれたり、薬を飲まされたり、尋問されたり。
でも、そんなことも最近は少なくなった。
時間になると部屋の電気がついて食事が出され、しばらくするとまた食事が出されて、
電気が消える少し前にまた食事が出される。

膣「きっと、もうどうにもならないんだろうな……」
呟いてみても、声は反響しないですぐに消えていく。



288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 14:58:19.44 ID:h/xMJqD2O

夜の東京は今や電気も滞り、かつての明るさが夢だったかのように真っ暗闇だ。
金の玉ねぎの乗った武道館の前で、唯はまた爆発音を聞いた。
放火後ティータイムの作戦ではなく、普通の暴徒のものである。

濁った汚い音。
膣が聞いたらきっと笑い転げるような汚い音。

唯「膣ちゃん、必ず見つけ出してあげるからね」

何人もの『魔女狩り』を狩り、すっかりパンキッシュな姿にになったギー太を担ぎ、
唯はまた膣を探しに行く。



第二部 完



322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:05:27.94 ID:h/xMJqD2O

胎動を感じる。
私の中に、私以外の命の重さを感じる。
日を追うごとに、その存在感は確かなものになっていく。
この子のせいで、私は死ねなくなった。


みんな、この子のことをどう思うだろうか。
私に向けたみたいに、行き場のない憎しみをぶつけてくるのだろうか。

…守ってやらないとな。
私と、あの人の子供だもの。



323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:17:29.62 ID:h/xMJqD2O

『……もう、意味はないのかもな』

膣「えっ?」

どこからか声が聞こえた。
聞いたことがある、たしか、ここの研究員の声だ。
でも、どうして。
この部屋は厚い壁に囲まれていて、
しかも研究員たちはどこかとおくの部屋からカメラで私の様子を見ているというのに。

『これはあまりにも大衆に知られ過ぎたからな』
『だから消すに消せなかったが、ここまで世の中が混乱した今、
 どさくさに紛れて処分することも十分可能だろう』
『あぁ。わかっているだろうが、慎重にな』


膣「え……?」

きっと私のことだ。
そうか、やっぱりもう用がないんだ。
やだな。



……いやだな。



325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:24:58.51 ID:h/xMJqD2O

嫌だな。
どうして私なんだろう。
私が何をしたっていうんだろう。
ヴァギナ・デンタータとかシンボルとか、なんなんだよ。

普通に高校行って、楽しく音楽やって、あわよくば有名になって。
でかいハコでライブやったり、CD出したり、それで武道館目指して。
で、ずっと昔から付き合ってましたって感じの暴露をして
結婚して、子供も生んで、幸せな家庭を築いて。



326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:32:35.28 ID:h/xMJqD2O

郊外に建てた家の壁は少しくすんだ白色。
青い屋根は曇りの日も鮮やかに映えて。
小さなブランコも置きたいけれど、流石にないかな。
芝を敷き詰めた庭には背の低い木を植えよう。
キイチゴの実がなったら、甘い甘いジャムにしよう。
キイチゴを子供と一緒に収穫して、台所ではジャムの作り方を教えて。
女の子ならいつか好きな人に作ってあげるのよ、と言って。
男の子ならいつか作ってくれるような優しい子と結婚できるように、
優しい男になるのよ、とささやいて。



328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:41:54.30 ID:h/xMJqD2O

そんな夢みたいなこと、叶うはずないって、どこかで思ってた。
でも、その反対側で、叶えたいって思ってた。


それなのに、こんなにあっさりと挑戦権すら奪われてしまった。
嫌だな。
嫌だな。
生きてたいな。
死にたくないな。


生きる権利がないなんて言ったけど、いざってなると、怖いな。
唯、澪、紬、梓、みんな。
私、死にたくないよ。


………死にたくないよぉ。

『しかし、どうします』

『厄介なのはそれだよな。あまりにも未知数で扱いに困る』

『全く、高校生のくせに。まぁ、処分は母体と一緒でいいんじゃないですか』

膣「…………………………いやだ」



330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 20:58:07.28 ID:h/xMJqD2O

「で、どうします?」

「うーん、ウイルスの特徴がまだ掴みきれてないからな……
毒で処理した後にとりあえずコンクリートで固めて……」

『いやだ』


「えっ?」 「ん?」

「お前なんか言ったか?」

「いや、お前こそ今なにか……」

『いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ』

「いったいなんだこの声は!」

「おい……見ろ、被検体がっ!」

『いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだっ!
この子だけは絶対にっ!』


その夜、古都の空を魔女が翔んだ。



332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 21:12:51.19 ID:h/xMJqD2O

魔女は京都にいる。
その噂は全国の魔女狩り組織にまことしやかに伝わった。
色々な憶測や、尾ひれをつけて。

唯「膣ちゃん、空飛べたんだね」

澪「馬鹿、ただの噂だろう」

紬「でもそういったこと無しに、どうやって政府の研究所から抜け出せたんでしょうか?
  私たちが経験してきたように、政府の施設の警備は膣さんひとりでどうにかなるとは思えません」

澪「………わかってる。だけど政府の管理から外れた今、膣は魔女狩りの危険にさらされてる。
  はやく見つけてやらないと」



333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 21:28:23.64 ID:h/xMJqD2O

紬「……見つけて、どうします?」

澪「え……?」

紬「膣さんを見つけて、その後はどうします?
  また政府に保護をお願いしますか?
  それとも、ほとぼりがさめるまで膣さんをかくまって逃げ惑いますか?
  いつまでですか?」

澪「……っ!お前!」

唯「そんなの、わかんない」

紬「…………」

澪「唯……」

唯「でも、会って、久しぶりだねって、抱き締めたい
  その後のことはわかんないけれど、できるならずっと一緒にいたい」

紬「それが聞けて安心しました。きっと私も同じ気持ちです」

澪「2人とも……」

唯「戻ろう、京都に。膣ちゃんに会いに帰ろう」



334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 21:51:12.38 ID:h/xMJqD2O

ヴァギナ・デンタータは歯のある膣。武器の潜む膣。
魅了し、惑わせ、引き付ける。
そして、侵入を拒み、切り刻む。


パラララララッ!

「畜生!本当に空を飛んでやがるっ!」

闇雲に機関銃を撃ち放つが、魔女が有効射程距離より遥か高くを飛んでいることくらいはわかっていた。
それでも、男は撃ち続けた。

パララ、パララララララッ!

「畜生!畜生ぉッ!」

辺りには、同じ組織の仲間の無惨な遺骸が転がっている。
やったのは、あの魔女だ。
男の妻はウイルスに感染し、男の目の前で謝りながら発狂し、ベランダから身を投げて命をたった。
悪いのは、あの魔女だ。


男は機関銃を撃ち続けた。
自分の中に芽生えかけている、魔女にひかれる気持ちを否定するために。



336 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 21:59:53.10 ID:bwtURJjb0

「うわあぁぁぁぁぁぁっ!」

男は引き金を引き続ける。
マガジンが空になったことに気付いたのは、魔女が自分のほうにゆっくりと
近づいてきた時である。

「あぁ・・・畜生ッ!」

慌ててマガジンを引き抜き、新しいマガジンを装填しようとしたとき、
魔女が男の目の前に舞い降りてきた。

「あ・・・、あぁ・・・」

男は、マガジンを取りこぼした。
泣きそうな目で、口をぽかんと開き、
ぼうっと、魔女を見つめていた。

目の前に降ってきた、白く柔らかい服を着た少女。
魔女のイメージとは正反対の、まるで聖少女のような姿。
見とれていた男は、その少女がさみしそうにつぶやいたのに気付かなかった。

「ごめんなさい」



339 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:09:52.80 ID:bwtURJjb0

膣は、街を見下ろす高いビルの上に佇んでいた。
自分の住む街。いや、住んでいた街。
小さい頃よくいった公園や、澪と通った小学校。
そして、みんなと出会って、バンドを組んだ高校。
自分の知っている街は、夜の闇のせいでまったく別の世界に見えた。

・・・いや、実際まったく別の世界になってしまったのかもしれない。
ウイルスに感染して、発狂しながら疾走するレイプ魔と、
いずれ発狂してしまうであろう恐怖に怯える被害者と、
膣を狙ってくる魔女狩り部隊と、
膣が殺してしまった魔女狩り部隊。

膣「・・・ごめんなさい」

膣は、おなかをさする。
自分の中にいる、もう人るの命に語りかけるように。

膣「・・・ごめんなさい、まともに産んであげられそうにないや」



341 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:16:12.15 ID:bwtURJjb0

「いたぞ!魔女だ!」

魔女狩りたちの怒声が聞こえる。
せっかくの静かな夜なのに。
この子と、二人っきりで話がしたいのに。

膣「こまったさんだね、本当に」

膣はふわりと浮かびあがる。
おなかのあたりが熱くなる。

きっとこの子は普通じゃない。
私はいま、この子の力を借りているだけ。
私は、この子を宿すために生まれてきた。
だから、何が何でもこの子を守り抜く。

魔女狩りたちは、空を飛ぶ膣の姿に驚愕し、魅了されている。
膣は、一人ひとりを丁寧に切り裂いて、生命力を食いつくす。
すべては、おなかの子のために。



344 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:26:25.90 ID:bwtURJjb0

澪「いた、あれだ!魔女狩りたちのトラクターだ!」

町中に無造作に乗り捨てられた何台もの車は、もぬけの殻だった。
見張りすらいないことに違和感を感じながら、確実に膣に近付いていると実感した。

紬「罠かしら・・・」

唯「・・・・・・・」


唯「音が、する」

直後、夜の空に轟音が響いた。
澄んだ空気に響き渡る、抜けのいい爆発音。

唯「膣だ、膣の音だ」

それは直感でしかなかったが、なぜだか確信があった。
音のするほうへ、唯は駆け出す。
デスメタリックなギー太をかまえて。




346 名前:◆767TanvNYU :2009/08/25(火) 22:31:59.93 ID:CZ0Yfh0dO

>>344
膣wwwのwwwwおwwwwとwwwww
ブシャオォォォォァアワァギナァァァァアア゙ァアーwwwwwwww



347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 22:37:38.85 ID:HPeQSkdr0

壮大な話だ……





でもいつも膣のところで力が抜けるwwww





348 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:37:46.48 ID:bwtURJjb0

膣「爆音、爆音ゾーンの末、憂いな♪」

膣はお気に入りの歌を歌いながら、リズムをとる。
リズムに合わせて、車が、バイクが、変電機が、爆ぜる。
人がいればそこまで下りていっておなかの子に食べさせた。
発狂した老若男女のレイプ魔は、膣を、おなかの子を崇めるような
しぐさをした後、自ら地面に頭を打ち付けて死んだ。

膣「やっぱり君は凄い子なんだね」

うれしくなって、膣のリズムははしりがちになる。

膣「君が望むのなら、しな、しな。君が望むのなら♪
  僕らやれるのなら、しな、しな。それで死ねるのなら♪」



350 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:47:32.39 ID:bwtURJjb0

唯「あそこだ」

空に浮かびながら、爆音のリズムをとる膣が見えた。
その笑顔は穏やかだけれども、今までに見たことがないくらいに邪悪な笑みだった。

澪「畜生、まだ遠いな」


「おい、貴様ら放火後ティータイムだな!」

「ここを絶対に通すな!」

魔女狩り部隊が道を遮り、小銃を向けてくる。

紬「もう、時間が惜しいのに・・・ッ」

唯「下がって」

唯が、ギー太のヘッドを前方に向ける。
ドラゴンと対峙する、若き日のイングウェイ・マルムスティーンのように。

唯「叫べ、ギー太ッ!!」



352 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 22:55:02.03 ID:bwtURJjb0

唯がEのコードでかき鳴らす。
当然に、アンプラグド。

だがしかし、轟音の瀑布は衝撃波となり、魔女狩りたちの脳を揺らす。
耳だけでなく、骨に、全身に響くハムバッカーサウンドは、
魔女狩りたちの意識を刈り取る。

澪「・・・相変わらず化け物だな」

唯「こんなもの、澪のベースやムギのキーボ、それに膣のドラムがないとただの音だよ。
  私は、早くみんなでそろって音を出したい。音楽をやりたい」

紬「・・・そうね。急ぎましょう」

澪「ああ、さっさと膣を呼び戻そう」



356 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:02:36.55 ID:bwtURJjb0

膣は、街を見下ろしていた。
走り気味のリズムのせいで、だいぶガタがきている街を。
粗悪品なんてわが子に使わせたくない。
もっと、もっといいものをこの子には選んであげたい。
ちょっと見栄を張って、オーダーメイドなんてのもいいかもしれないな。
時代はDIY、いちから自分で作ってみようか。

おなかをさすり、問いかける。

膣「どう?満足してくれた?それとも、もうちょっと食べたい?」

どくん、と。
力強く胎動する。

そっか、まだ食べ足りないのか。
よし、お母さん頑張るからね。


「膣っ!」

下のほうから、人の声がした。
ちょっとまってね、すぐに狩ってくるから。



357 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:10:02.03 ID:bwtURJjb0

澪「膣っ!」

自ら輝くことをやめて月の光でぼんやりと浮かび上がる
京都タワーの上空でふわふわと浮かんでいる膣に呼びかける。
安らいだ表情でおなかをさすっていた膣が、視線を向けてくる。

美しすぎるその姿に、澪は恐怖した。

研ぎ澄ませた日本刀の、濡れたように輝く切っ先のような。
鋭さを極めたからこそ浮かび上がる、背筋の凍るような美しさ。

澪「あ・・・」

駄目だ。
魅せられてはだめだ。

膣は穏やかな顔のまま、聖母のような表情のまま
澪に寄り添うように降りてくる。



359 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:15:27.28 ID:bwtURJjb0

澪「ち、膣・・・っ」

膣は、含んだような笑顔になる。
奥に、何かを隠しているような。

澪は膣を見つめる。
覗きこめば、吸い込まれてしまいそうな膣の瞳。

駄目だ、駄目だ。
頭では分かっているのに、心はもう既に膣に魅了されている。

澪「膣・・・」

困ったような笑顔で、スカートをたくしあげながら、膣は言う。

膣「だから、膣って言うなぁ」



361 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:24:09.22 ID:bwtURJjb0

唯「澪ぉっ!」

ウツボカズラの蜜のような甘ったるい空気を、重いDのパワーコードが切り裂く。
脳を揺らす歪んだ音が澪の目を覚ます。

澪「はっ!」

気がつけば膣は目の前にいて、スカートの中から無数に伸びる薄い鞭のようなものが
澪の下腹部を狙っていた。

サクリ

澪「う、わあぁぁぁっ!!」

太ももに深く突き刺さった鞭は、さらにしなりを加えられて
澪の傷を大きく開けた。

膣「あ、残念。お母さんしくじっちゃった」

膣はおなかをさすりながらつぶやく。
その表情は、すでに子をあやす母親のそれだった。



364 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:33:41.80 ID:bwtURJjb0

ヴァギナ・デンタータ。

紬は自分の知識を総動員させて、目の前の奇異を理解しようとした。
臨月に近いほどの大きなおなかをさすり、ふわふわと空中を漂い、
おそらく膣からのびているであろう薄く強靭な刃を、
鞭のように繰り出す友人の姿をしたなにものかを。

伝承の中のヴァギナ・デンタータは、どんなだった?
確か、性交を迫った男のペニスを噛みちぎる。
怒張したペニスをくわえ込み、射精させて生命力を奪う。


じゃあ、目の前のこれはいったいなんなのだろうか。


ああ、そうだ。
ヴァギナは、地獄の門とも喩えられていた。

この光景は、まさしく地獄。
膣の膣の向こうは、もしかしたら地獄につながっているのかもしれない。
こんなふざけた推測に納得できてしまう自分と、
そうならざるを得ない状況に舌打ちをした。




365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 23:38:46.66 ID:HPeQSkdr0

>膣の膣の向こう


カオスすぐるwww





370 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/25(火) 23:48:11.54 ID:bwtURJjb0

唯「澪、平気っ!?」

澪「あぁ・・・畜生、私としたことが・・・」

唯は、友人を傷つけた友人に目をやる。
膣の目には、唯たちは映っていないようだった。
優しく、優しくわが子を孕むそのお腹を愛撫している膣は
もうすでにかつてバンドを組んでいた膣ではなかった。

唯「ねぇ、膣」

問いかけに、膣は全く反応しない。

唯「練習サボっちゃだめだよ。膣、いつも言ってたじゃない」

ギャルバンのメンバーが妊娠して脱退、なんて話はよく聞く。
デポバラでまともな演奏ができるはずがない。でも。

唯「妊娠しても、結婚しても、膣は膣だよね。
  結婚とか妊娠で音楽の方向性が変わったとしても、
  全部受けとめてあげるよ?」

膣は、ようやく唯に気付いたかのように向き直り、優しく微笑む。

唯「ねぇ、膣」

膣「今度は、ちゃんと取ってあげるからね」


唯は、歯をくいしばって、ギー太をかまえた。



371 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:01:05.69 ID:Kfajvl3q0

強烈なバッキングフレーズに、澪が乗ってくる。
ボドムを支えられた音が雷となって膣に襲いかかる。

膣はそれをのらりくらりとかわしてみせる。
手でリズムをとって、たやすく身を翻す。

澪「畜生、こっちのリズムを完全に読んでるっ!」

紬「だてに同じバンドでやってるわけじゃないわね、でもっ!」


紬が鍵盤をかき鳴らす。
曲はショパンの超絶技巧を見せびらかすためだけような曲、マゼッパ。

この曲はバンドでやっていた曲とは180度違う、
むしろピアニストだけのリズムで弾く曲!
合わせられるのもならばっ・・・

膣「うっ・・・・・・!」

鍵盤の連打に打たれ、かわす暇もなく膣はうずくまる。



374 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:13:12.78 ID:Kfajvl3q0

紬は固唾を飲んだ。
演奏が終わり、土ぼこりが晴れていく中で、
膣はうずくまったままぴくりとも動かない。

心音が高まる。
演奏に手抜きなどない。
それは、ピアニストとしての誇りをかけて。
友人のためを思って。

だというのに、膣は、髪どころか服さえも乱れがないままでうずくまっていた。

紬「・・・・・・ッ、なんてこと」

澪「あ・・・あぁ・・・」

膣はゆっくりと立ち上がり、おなかをさする。
やさしい顔で、問いかける。

膣「大丈夫だった?びっくりしたねぇー」

その顔を、紬に向ける。

紬「っ!」

紬は、戦慄した。

膣「このこになにかあったら、どうするの」

狩られる。
知識や経験などではなく、脊髄で感じた。



376 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:25:13.00 ID:Kfajvl3q0

気付いた時には、紬はへたり込んでいた。
腰が抜けて、立っていられない。
太ももに、温かいものを感じる。
ああ、失禁しているんだな、と、脳のどこか冷静な部分で思った。

この歳にもなっておもらしなんて、恥ずかしいな。
お父さんはなんて言うだろう。

鬼神母が、目の前に迫る。
この歳で死んでしまうなんて、くやしいな。
お父さんはなんて思うだろう。


冷たさしか感じない膣の笑顔が、目の前にある。
ビンタをするみたいに、右手を大きく振り上げる。
その一挙手一投足すべてが恐ろしかった。

膣の手が、高く上がってとまる。
あとは振り下ろされるだけで、私はきっと体とサヨナラする。
目をつぶることさえできず、その時を待つことしかできなかった。


唯「ねぇ、膣。あんたクビだよ」

振り下ろされたレスポールに吹き飛ばされて、膣はぶっ飛んでいった。



379 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:38:00.33 ID:Kfajvl3q0

唯「膣、ごめんね。クビだよ。何があっても、仲間を殺したら駄目だよ。
  そんな人、おんなじバンドに置いておけない。ごめんね」

膣は吹き飛んだ惰性で空中を漂い、しばらくして止まった。
止まったまま、動かない。

澪「唯、お前・・・」

唯「もう手加減しない。本気で行くよ」


膣は空中に漂うクラゲのように、
ふわふわと浮いたまま動かない。

唯「・・・・・・聞こえないふりしたって駄目だよ。
  友達の子供だからって、容赦しないから」

紬「え・・・?」

澪「・・・子供?」

膣「・・・・・・・・・・ふふっ」



380 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:46:19.67 ID:Kfajvl3q0

膣「「あははははははははははははははっ!」」

虚を衝いて、はじけたように笑い出す膣。
声がディレイをかけたみたいに響く。
膣の口を借りた、何者かの声。

膣「「はははははっ!いつから気付いてたんだい?僕のこと」」

唯「悔しいけど、ほんのついさっき」

膣「「へぇ、ばれるとはおもわなかったなぁ」」

澪「どういうこと!?」

二人の会話に取り残された澪と紬は、
困惑しきった顔で二人の顔を見比べる。

唯「さっきから膣のふりをしてたの、この子。中から膣を操っていたの?」

膣「「どうだっていいじゃないかそんなこと。
   君たちは外側からしかこの膣を見られないんだから」」



383 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 00:58:09.11 ID:Kfajvl3q0

唯「ごめんね、膣ちゃん」

唯は、片膝をついてレスポールの底を地面に付け、ギー太のネックに手を添えた。
パタパタと指を動かし、うなづいて、深呼吸。
膣をにらんで、弦にピックを添える。

唯「本気で行くから、死なないでね」


300に近いBPMで刻むブリッジミュートを用いたリフ。
重く、激しく、それでいて急激に大気を揺らす。
タワーの周りの破壊されたいくつもの寺、生き残った鐘が共鳴し、
おんおんと重く響いて空気を澄ます。

鐘の音のサスティンを残したまま入る、火の出るようなギターソロ。
変調子と速弾きを組み合わせたアドリブ。
チョーキングフレーズが脳を揺らす。



384 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 01:06:50.53 ID:Kfajvl3q0

一音一音が煌びやかで艶めかしく、そして鋭い。
それをしのぐ膣の表情から、余裕が消える。

膣「「糞っ!高校生ごときがぁっ!」」

膣のスカートから長い2本の鞭がのびる。
何度も何度も地面に突き刺さり、その一撃一撃を唯はソロを演奏しながらかわしていく。

唯「あんたはまだ生まれてもいないでしょ!」



386 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 01:12:37.18 ID:Kfajvl3q0

澪「唯のやつ、本ッ当に手加減なしかよ!」

紬「ここにいたら私たちも危険よ、とりあえずこの場を離れましょう!」

澪「・・・・・・・・・・・・・・」

紬「澪?」

澪「私は、奏る。唯と、あんなんになっちまったけど、膣と奏りたい」

血を失い、ふらふらになりながらも、澪は傷ついた足で立ち上がり、ベースをかまえる。
左手首を回し、右手の指を弦の上でスライドさせ、息を吸う。

澪「私と膣は、2人でひとつ、天下無双のリズム隊なんだから」

唯の暴れまわるギターの上に、ベキベキとスラップを鳴らす。



388 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 01:23:30.09 ID:Kfajvl3q0

膣「「このぉ、子ども相手に本気出すのかこの野郎!!」」

澪「子供は好きだけど糞餓鬼はへどが出るほど嫌いなんだよッ!」

唯「澪!いいよグルーヴィーだよ!」

ベキベキ鳴り、グオングオン唸る澪の重低音。
煌びやかな唯の長編ソロの後に続き、前に出てくる。
その跳ねるようなフレーズが、膣の生み出す爆音に重なる。

紬「・・・何よこれ、こんなの見せつけられたら、私
  ・・・逃げ出せないじゃないの」

絶望一色だった紬の顔に、笑顔が戻る。
肩の力を抜いて、両手をリラックスする。
手の中に卵が入るように形を取る。

88の鍵盤に、指を置く。



391 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 01:30:51.37 ID:Kfajvl3q0

碁盤の目のような古都の街は、一面がステージのようだった。
月の光はサーチライトのようにステージに降り注ぐ。
ドラム不在のロックバンドは普通、形を成さない。
しかし、ここには確かなグルーヴとメロディがあった。

ラストにむけて曲は上がってく。はしったってそんなのかまわない。

膣「「糞っ!糞ぉっ!」」

唯「膣ちゃん!聞こえてるかい!!最後は全員でそろえるよ!」

膣「「うるせぇんだよ!!今夜中だぞ!!」」

唯「そんなの、知らないよっ!!」



392 名前:pcからヴァギナ・デンタータの人:2009/08/26(水) 01:38:08.32 ID:Kfajvl3q0

アウトロのギターソロ、ハイポジションからローポジションまで
幅広く暴れまわり、高くまで昇って行くようなメロディアスなフレーズ。

最後の1音。
チョーキングでひっぱる。

唯「みんな、いくよ!」

膣「「ああぁっ!?」」

唯「せーのっ!」

高く、高くジャンプする。
宙を漂っていた膣の、遥か上。

膣は、月を背にギターを木刀のように振りかぶった唯の姿を見た。


ガジャアアアアアアアアンッ!!



415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:09:10.39 ID:p9k2y1wWO

目が覚めると目の前に星空があって、体を起こそうとするもできなかった。
星が多すぎて寂しいくらい遠く感じて、周りを見ても星しか見えない。

途方にくれて目をつぶろうとしたら、声が聞こえた。


唯「膣ちゃんおはよう」

膣「……」

まるでヴィンテージのようにボロボロになった、弦のすべて切れたギー太をぶら下げた、友達。
平沢唯。
肩で息をしながら、それでも穏やかな表情で、私の顔を覗きこむ。

唯「目、覚めた?」

膣「うん」

なんで、なんでまっすぐに私の目を見つめるんだろう。
すぐにでも泣いてしまいそうなのに。



416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:14:26.53 ID:p9k2y1wWO

澪「大丈夫か?膣」

膣「……うん、多分」

また、懐かしい声が聞こえた。
懐かしい。うん、そう思えるくらいに、遠く感じる。
澪はボロボロのベースを支えにして、私に歩み寄る。
傷だらけなのは、ベースだけじゃなかった。


紬「よかった、膣ちゃん」

そして、澪だけでもなかった。



418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:24:28.64 ID:p9k2y1wWO

ああ、やっちゃったんだな、私。

昔、本当はほんの少し前のことだけど、膣と呼ばれて、暴れて怒鳴り散らして、
澪や唯に殴られてようやく正気に戻ったことを思い出す。
殴れなきゃ気づけないのか、私は。

情けなくて、情けなくて、我慢しきれなくなった涙がこぼれだした。


膣「唯、お願い」

唯「立てる?手、かそうか」


膣「私を殺して」



419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:26:59.87 ID:p9k2y1wWO

街から灯りが消えてしまったけれど、その分星がはっきりと見える。
でも、星がこんなにも綺麗だって気づくまでに、あまりにもたくさんのものを失ってしまった。
唯が、澪が、紬が、本当に大好きだって気付くまでに。



膣「私を殺して」

星の空を仰ぎながら、涙を浮かべながら、膣は言った。

唯「………………」

膣「ごめんね、せっかく助けてくれたのに」



421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:34:50.02 ID:p9k2y1wWO

ゆっくりと手をおなかにやり、優しく撫でる。

膣「この子はきっと、産んじゃいけない。
生まれたらきっと、こんなもんじゃない。
わかるでしょ?」

澪「膣………」

膣「でもね、私は、この子を産みたい。
女として、母親としてこの子を産みたい。
なんで生まれてきたのとか、言われるかもしれない。
でも、生まれてきて欲しいって思ってる。わがままだよな?」

紬「膣ちゃん………」


膣「悔しいけど、自殺はできない。…私にこの子は殺せない」

唯「…………ッ」

唯は唇を噛んだ。
親友の思いを受け止められない、自分の無力さに。



423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 10:42:23.20 ID:p9k2y1wWO

膣「さあ。また、この子が起きる前に」

唯「……膣ちゃん、ごめん」

静かに、唯はネックに手を添えて、ギー太を青眼にかまえる。
それを、ゆっくりと振りかぶり、

唯「ごめんね」

真っ直ぐに降り下ろす。

重い音がして、酷使し続けてきたレスポールはネックの真ん中で折れた。



膣「……どうして」

唯「……………………」

どうしても、唯は膣を殺めることができなかった。



426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 11:29:16.21 ID:p9k2y1wWO

唯「……できないよぉ…………私、駄目だ、膣ちゃん…………」

二つに折れたギー太が、唯の足元で静かに佇む。
塗装が剥がれてあらわになった木目に涙が落ちる。

唯「どうしたらいいのかなんて、わかんないよ。
大切な人も、その人の大切な人も、ほんとは傷つけたくないよ」

澪「………唯」

唯「ねぇ、膣ちゃん、澪、ムギちゃん、私わかんないよ。
  私はただ、みんなと一緒に音楽をやりたいだけなのに」


膣「……………唯」


膣「「本当に甘いねぇ」」

天を仰いだ不安定な姿勢から放たれた強烈な蹴りが、唯を薙ぎ払う。



428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 11:38:56.70 ID:p9k2y1wWO

澪「唯ッ!」

膣「「あはははっ!馬鹿か!簡単に騙されやがって!!」」

紬「そんな…ッ!」


唯「………………」

唯は、吹き飛ばされながら、建物に背中をしたたかに打ちつけられながら、瓦礫に埋もれながら考えた。
いったい誰が悪いのか。

膣の子供?
ウイルスを宿していた膣?
ウイルスを広めた恋人?
膣を狩ろうとした人たち?
それを煽ったマスコミ?
膣を拘束していた政府?
それとも、身勝手な私たち?


わからない。



430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 11:43:49.85 ID:p9k2y1wWO

わからない。
私、馬鹿だから。
悔しいけど、その通りだ。

わからない。

唯「………あぁ………もう………」


知るか。



443 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 12:11:28.19 ID:p9k2y1wWO

紬「唯ちゃん大丈夫!?」

ふらりと立ち上がる唯に、澪と紬が駆け寄る。

唯「うん……、もう、わかんないや私」

澪「………唯」


唯「わかんないから……………
  やりたいことをやるッ!
  膣ちゃんが殴られなきゃわかんないんなら、何度でも殴る!」

澪「待て、唯ッ!」

駆け出した唯に、膣は高みから侮蔑の目を向ける。

膣「「楽器も持たずに何ができるッ!満身創痍で、なんの考えもなしにッ!」」

唯「私はっ…………私にはこれがあるッ!」

翻るスカートに手をやり、黒く、硬い棒状のモノを握る。


唯「私はッ!ギターボーカルだッ!」



466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:07:48.58 ID:p9k2y1wWO

ボーカルとマイクは、言わばひとつの楽器。
楽器の中で、最もダイレクトなものだと言っても過言ではない。
腹のそこから押し出された空気が、喉で形を持ち、胸や頭蓋骨、全身に響く。
その響きを、マイクは拾い上げ、より大きな力に増幅させる。


唯「アァラァァァァァイッ!!」

唯のシャウトは地を揺るがす。
張りつめた大気を切り裂き、どこまでも響く。



467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:17:34.77 ID:p9k2y1wWO

雑音が消え去る。
空気はどこまでも澄みわたる。
マイクを握り締めた唯が威風堂堂と、その指先はぐるっと回って膣を指す。


膣「「…っ!」」


静寂、台風の目の中のような。
ビリビリとした緊張感が膣を縛り付ける。

すっと息を吸い、唯はカウント。

唯「さん、にー、いち」



468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:27:41.03 ID:p9k2y1wWO

愛する気持ちを伝えるとき、
言葉はどこまでも婉曲的でダイレクト。
悲しみを慰めるとき、
言葉は限りなく優しくさりげない。
怒りをぶつけるとき、
言葉はどこまでも抽象的で共感を呼ぶ。
幸せを歌うとき、
言葉はどこまでも軽くどこまでも重い。


だから、どんな楽器よりも心を揺らす。
どんな楽器よりも心を乗せられる。


唯は歌う。凛々と、悠々と。

メロディは稚拙でもかまわない。
リリックは卑近でもかわまない。

ただ、その声に心をのせて歌う。



469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:34:36.42 ID:p9k2y1wWO

膣「「……くっ、下らないッ!そんな綺麗事の寄せ集めみたいな歌ッ!」」

膣は焦れていた。
なんだこの充足感は。
なんだこの焦燥感は。
相反する感情が、脳を揺らす。


澪「…………なんだよ、これ」

紬「今までのどんな音よりも力強いのに、どんな音よりも優しい」


紬「きっとこれが、唯ちゃんの膣ちゃんへの愛なのね」

そんな言葉を照れなく言えるほどに、唯の歌声はまっすぐで柔らかだった。



470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:44:51.02 ID:p9k2y1wWO

羊水に満たされたような仄暗い意識の中で、膣は漂っていた。
心は鈍り、思考は麻痺していく。

このまま、消えてしまってもいいのかな。
うん、どうせいつか死ぬのなら、早くたって問題ないよね。
それよりも今は、なにも感じることのないここで、体を丸めて漂っていることが心地いい。


あれ、でもなんだっけ。
何か忘れているような。
まぁ忘れてしまうようなことなら、大したことじゃないような気もするし。

どこが上でどこが下かわからない場所で、膣は小さく丸まる。


…あれ、今一瞬思い出しかけたぞ?
なんだっけ。
どこか懐かしい、胸が騒がしい、これはなんだ?



471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 15:53:25.48 ID:p9k2y1wWO

顔を上げてみる。
上げると言っても上も下もわからないから、とりあえず音のする方へ。

…音?

そういえばさっきからずっと響いている音がある。
どこか遠いところで、呼んでいるような歌声が。

…歌だ。
どこかで聞いたことのある歌声が、膣を呼んでいる。
呼び掛けている、ずっと。

何かを思い出しそうだ。
なんだ、なんなんだこの気持ちは。

音の方に、体を向ける。



474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 16:26:12.76 ID:p9k2y1wWO

膣「「うぅぅぅるさいんだよおぉぉぉお前はぁぁぁっ!
   いいいいいいい加減黙れぇぇぇぇぇぇッ!!」」

頭をかきむしり身をよじり、膣は膣から激しく鞭を繰り出す。
が、それは歌う唯には掠りもせず、ただ地面を叩くだけだった。
明らかに、冷静さを欠いている。

その隙を、紬は見逃さなかった。


紬「唯ちゃんの!聞いて!
  とあるヴァギナ・デンタータの言い伝えよ!
  無人島に漂着した二人の男は、島に一人の娘を見つけるの!
  淫らに誘う娘を不審に思った男が犬とその女を交わせたら、犬はペニスを咬みきられて絶命した!

娘の膣に歯が生えているのに気づいた男たちは、
鉄製の男根で歯を削り取って普通の女に変えたのッ!」


鉄製の男根。
唯は歌いながら、右手に握ったマイクを、もう一度強く握り直した。



476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 16:47:25.64 ID:p9k2y1wWO

歌いながら、唯は駆け出す。
膣に向かって歌いながら、膣をまっすぐに見据えながら。

膣「「来るな、
   来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁッ!」」


絶叫しながら膣が繰り出す無知の乱舞をかわし、それを蹴ってかけあがる。
歌は続く。膣に向けて。

膣「「歌うのを止めろよォォォォォォォッ!!」」

唯「私は歌い続けるよ!大好きな人に向けて、何度でも歌うよ!」

リリックはアドリブ、メロディは単調。
それでも、届くと信じて。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 17:56:16.05 ID:p9k2y1wWO

歌が、聞こえる。

水泳の後耳に水が入ったままで英語のリスニングを聞くようにボンヤリとだけれど、確かに。

唯だ、唯の声だ。
滑舌がちょっと不安だけれど、まっすぐに歌詞が溶け込んでくるような、唯の歌声だ。

靄が晴れてくる。
音楽が聞こえてくる。

歌声を下から持ち上げるように、重低音がうなる。
歌声に絡み付くように、きらびやかな和音が響く。

体は自然にビートを刻み、頭を揺さぶる。
バスドラムのような心音が、早鐘をうつ。
この一体感、焦燥感。

思い出した。
私は、音楽をやりたいんだ。
みんなと、爆音を響かせたいんだ。


音の鳴る方を睨む。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:00:30.61 ID:p9k2y1wWO

膣「「お前らぁぁぁぁぁぁッ!止めろっつってんだろうがァァァァァァァァァァァッ!!」」

もはやのたうち回るように鞭を繰り出すことしかできない膣に、音楽が押し寄せる。
膣は身震いをした。
なぜ、ドラムも無しにここまで音を揃えることができるのか。
まとまった音楽になるのか。

そして、なぜここまで響くのか。


膣「「糞ッ、このッ、たかが高校生のアマチュアバンドがあァァァッ!!」」

膣は痙攣のようにガタガタ震えだした。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:10:37.82 ID:p9k2y1wWO

唯「膣ちゃん!ちゃんと聞こえてるかな!?」

唯は歌う。

唯「私は歌うよ!私は、またみんなと音楽がやりたいから!
  私と、澪と、ムギちゃんと、膣ちゃんででっかい音で騒ぎたい!!」

膣「「だからなんなんだよッ!!知らねぇよそんなことはッ!!」」

唯「あんたになんか聞いてないッ!!」

繰り出された鞭を強く蹴り、高く、高く飛び上がる。

紬「唯ちゃん!今よッ!」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:21:30.56 ID:p9k2y1wWO

激しい既視感。
さっきよりも高く昇った月を背に、唯が迫ってくる。
膣は目を見開く。
蛇ににらまれた蛙のように、動けない。

唯「私は歌うッ!」

その手には、ボーカリストの武器がかまえられている。
その切っ先は、膣を狙って。


唯「はい、じゃあ、あなたは?」



膣の膣に、そのマイクを深く突き立てた。




16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:24:11.74 ID:O5G5+8CI0

wwwwwwwwwwww



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:30:44.36 ID:C/Iqxgj10

すげえ状況だなwwww





18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:31:02.52 ID:p9k2y1wWO

膣「「んあああああああああああああああああ
   あああああああああああああああああああああああ
   あああああああああああああああああッッ!!」」

断末魔が響く。
体を弓のように反らせ、激しく痙攣する。
唯はそのまま、突き立てたマイクを力任せに捻る。

膣「「やめろおぉぉぉぉぉッ!!堕ちるッ、堕ちてしまうッ!うあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

なにかが砕ける音がゴリゴリと鳴る。

膣の膣から、矢のような青白い光がほとばしる。
光の矢は束となり、柱となり、世界中を照らした。


膣「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
   ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
   あああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」」

輝きを放ちながら、膣と唯はゆっくりと墜落していく。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:37:15.24 ID:p9k2y1wWO

澪「唯ッ!」

紬「唯ちゃんッ!」

演奏を中断し、2人は唯と膣の堕ちてくる場所へ走り出す。

輝きは段々と弱々しくなり、ついには絶える。

糸の切れた操り人形のように、急速に墜落する。

紬「あぁっ!!」

澪「くっ!!」

地面に叩きつけられる寸前に滑り込んだ2人によって、かろうじて激突は免れた。

澪「唯、大丈夫かッ!」

唯「うん……平気」

弱々しい笑顔だが、2人は安堵した。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:42:22.83 ID:p9k2y1wWO

びくんっ。


胸を撫で下ろした三人の側で横たえられた膣が、大きく跳ねる。

紬「なっ、何!?」

澪「まだくるのかッ!」

澪は、急ぐあまりにベースを置いてきたことを後悔した。
膣の大きなお腹が蠢く。
膣の膣が押し広げられ、奥からなにかが現れる。


澪「…………ッ!」

紬「な……………」


微かな光を纏いながら、産道から少女が排出された。
白い肌を包んでいた光が無くなる。


唯「律ちゃん、おかえり」

唯は覆い被さるように律を抱き締め、ボロボロと泣き出した。



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:50:21.26 ID:p9k2y1wWO

泣き声が聞こえる。
遠くで……いや、すぐ耳元で。
暗闇に目が慣れていくように、意識がはっきりとしてくる。
この声は、あぁ、またか。
まったくしょうがないな、泣き虫め。


目を覚ますと、すぐそこにぐちゃぐちゃになって泣く唯の顔が見えた。
なんだよその顔。笑うのか泣くのかどっちかにしろよ。

なんだ、澪もムギも泣いてるじゃないか。いったいどうしたって言うんだ。

律「………なぁ、何があったんだよ」

唯は、不細工な泣き顔でくしゃくしゃに笑って言う。



唯「律ちゃんおはよう」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 18:57:50.46 ID:p9k2y1wWO

その夜、世界中からウイルスが忽然と姿を消した。
様々な憶測が飛び交ったが、結局解明されることはなく、ウイルスの正体とともに謎のままになった。

世界を混乱の渦に陥れたウイルスと魔女の騒動は、ひとまずの終息をむかえた。


でも、騒動がなかったことになった訳じゃない。
死んだ人は戻ってこない。
傷ついた心を癒すことは容易くない。

唯の恋人も、2人の子供も、かえって来ることはない。



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 19:11:56.94 ID:p9k2y1wWO

律は校舎の屋上から、少しずつ復興に賑わう街を見下ろす。
弾き慣れないアコースティクギターを抱え、何度もフレーズを推敲しながら。

唯「どう、律ちゃん?」

律「だいぶまとまってきた。…でも、やっぱりギターは向いてないや」

唯「でも、作曲しようって気持ちがすごいよ」


律「……自己満足だよ」

自嘲ぎみに微笑む律に、唯は何も言えなくなる。

律「こんな歌をつくったって、皆に届くわけでもないし、騒ぎがなかったことにはならない。
  死んだ人たちが生き返るわけでもなければ、残された人たちが救われるわけでもない」

律「結局、私が救われたいだけなんだ」

律は街を眺める。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 19:20:02.16 ID:p9k2y1wWO

唯「歌は、気持ちだよ」

小さく丸まった律の背中に、唯はゆっくりと言葉を選びながら投げかける。

唯「その人のことを思って歌えば、その人のことはきっと忘れないよ。
  綺麗事ばかりの歌を歌うのは、そうあって欲しいって願うからだよ。
  他の人がどう思うかなんて関係ない。律ちゃんが思いを込めた歌を歌えばいいんだよ」

律「……………………」

唯「その歌で律ちゃんが救われたら一石二鳥だし、誰かを感動させることができたらもうけもんじゃない。
  ……それに、その歌を歌えるのは律ちゃんだけだからさ」

律は黙ったまま、ギターを爪弾く。

唯「ねぇ、出来たところまででいいから、よかったら聴かせてよ」

律「…………ありがとう」

二人だけの屋上に、二人にしか聞こえない旋律が響く。
結局は誰に届くでもないであろう歌が。
でも、律にはそれしかできない。だから、それをするしかない。

目に痛いほど澄んだ空に、拙いギターと歌声がすいこまれていく。

ただ、大切な人のことを悼む歌が。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 19:22:28.68 ID:p9k2y1wWO

唯「膣ちゃんおはよう」律「!!」ヴァギナ・デンタータ編

おわり




59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 19:35:56.46 ID:qrPTiePvO

いやいや乙乙です
楽しかった





60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 19:49:49.98 ID:p9k2y1wWO

>>59
ありがとう、その一言でどれだけ救われるか…
書く側としてはすごくたのしかった
前スレの>>1に感謝。あなたは本当に最高なアホだ




61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 20:05:25.24 ID:LmSqR68sO

おつでした

即興でこの展開はすごいと思う
ゆっくり休め



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 20:06:27.44 ID:VgDPQskK0

なんという展開w

>>1
たのしませてもらった



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 20:22:03.28 ID:lDBbXTxlO

>>1
面白かったよ。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/26(水) 20:33:07.11 ID:uJZlhJF1O

>>1
乙!面白かった!
また気が向いたらSS書いてほしい






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唯「膣ちゃんおはよう」律「!!」#ヴァギナ・デンタータ編
[ 2011/07/15 17:27 ] アクション | | CM(0)

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