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澪「こんにちわ」 【非日常系】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 19:43:08.26 ID:vUaVnnw20

律「こんにちわ…って秋山さん?」

澪「どうしたの田井中さん」

律「いや、私と同じ高校だったんだね」

澪「そうだよ。あと同じクラスだよ」

律「そうなんだ。まぁよろしくね」

澪「こちらこそよろしく」





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 19:46:21.88 ID:vUaVnnw20

澪「しかし良く考えてみると、私達って小中高全部一緒だよね」

律「そうだっけ…?」

澪「そうだよ」

律「そっか。忘れててごめん…」

澪「いいよ。気にしないで」

律「うん。ありがとう」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 19:49:34.26 ID:vUaVnnw20

律「秋山さーん!」

澪「田井中さん?どうしたの?」

律「秋山さんは部活決めた?」

澪「決めたよ。文芸部に行こうと思ってるんだ」

律「あ…そうなんだ」

澪「田井中さんは?」

律「軽音部に行こうと思ってるよ」

澪「…そうなんだ」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 19:52:44.49 ID:vUaVnnw20

律「え!?廃部した!?」

さわ子「正確には廃部寸前ね」

律「そんな~、どうしよう…」

さわ子「今月中までに4人入部すれば廃部にならないわよ」

律「4人ですか…」

さわ子「そうよ」



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:04:40.50 ID:vUaVnnw20

律「………」

律「…誰も来ない」

律「…やっぱり廃部なのかな?」

がちゃっ

紬「あのー入部したいんですけど…」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:07:10.64 ID:vUaVnnw20

紬「私は琴吹紬です。よろしくお願いします」

律「私は田井中律です。よろしく!」

紬「はい♪よろしくお願いします律さん」

律「よろしく紬さん」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:09:33.51 ID:vUaVnnw20

律「…実はね、この部4人以上入部しないと廃部になるんだ」

紬「まぁ…ならあと二人ですか」

律「うん、誰か入部してくれるといいんだけど…」

がちゃっ

唯「こんにちわー!入部したいんですけど」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:12:36.88 ID:vUaVnnw20

律「…え?」

唯「…?あ、申し遅れました。私は平沢唯です。よろしくお願いします」

律「…あ、ええと、私は田井中律です。って本当に入部希望?」

唯「そうだよ~?」

律「今日一日で2人も集まるなんて…どうなってんだ?」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:16:05.32 ID:vUaVnnw20

紬「私は琴吹紬です。よろしくね唯さん」

唯「よろしくです紬さん♪」

律「…なぁ二人とも。どうしてこの部に入部しようと思ったんだ?」

唯「どうしてって…演奏したいからだよ」

紬「そういう律さんはどうして?」

律「え?私は…どうしてだっけ?」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:20:01.46 ID:vUaVnnw20

律「………」

唯「…律さん?」

紬「……実はね唯さん。この部は今月中にあと1人入部しないと廃部になっちゃうの」

唯「…えっ!?そんなぁ…」

紬「まだ時間があるからきっと見付かるわ…」

唯「…そうだよね♪」

律「………」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:23:47.93 ID:vUaVnnw20

―数日後

律「…期限まであと一週間か」

唯「本当に見付かるのかな…?」

紬「…きっと見つかるわ」

唯「……そうだ!友達を誘ってみるよ!」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:29:59.67 ID:vUaVnnw20

―次の日

がちゃっ

和「こんにちわ」

唯「和ちゃん!」

律「この人が唯の友達?」

唯「そうだよ。真鍋和ちゃんっていうんだ。来てくれてありがとう和ちゃん♪」

和「いいのよ、唯の頼みなんだもの。早速ですが入部させてください」

律「えっ!?いいのかよそんな簡単に決めて!?」

和「いいの、特にやりたいことがあるわけでもないし」

紬「やったぁ♪これで廃部は免れたわね」

律「…そうだな」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:33:49.74 ID:vUaVnnw20

律「…ていうかみんな楽器できるのか?」

唯「私はギターが弾けるよ」

紬「私はピアノを少々…」

和「…私は何もできないわ」

律「…なら和さん、この機会にベースやってみないか?」

和「…そうね。やってみようかしら」

律「よし!これで部としてやっていけそうだぞ!」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:38:30.67 ID:vUaVnnw20

―次の日


和「ベースにも色々種類があるのね。迷うわ…」

律「自分の気にいったのを買えばいいよ」

和「そうね…なら値段も手ごろだしこれに…」

澪「あ、まって!それは私も目をつけてて…」

律「あれ?秋山さん?」

澪「律…」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:42:55.18 ID:vUaVnnw20

律「律…?」

澪「あっ!ごめん田井中さん…」

律「いや呼び捨てでもいいよ。そのかわり私も澪って…」

律「…澪?」

唯「どうしたのりっちゃん?知り合い?」

律「………」

唯「りっちゃん?」

律「え…?あ、ああごめん。ぼーっとしてた」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:49:27.16 ID:vUaVnnw20

澪「田井中さん、この方達は?」

律「こいつらは同じ軽音部の部員だよ」

唯「平沢唯です。よろしくね♪」

紬「琴吹紬です。よろしくお願いします」

和「真鍋和です。どうぞよろしく」

澪「…私は秋山澪です」

和「よろしくね秋山さん。それとあのベース…あなたに譲るわ」

澪「いいんですか?」

和「えぇ、他にもほしいのはあるし」

澪「ありがとう和さん」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:55:20.74 ID:vUaVnnw20

律「秋山さんってベース弾けたんだ」

澪「……うん」

律「なら軽音部に入部してほしかったな~なんて…」

澪「………」

律「あはは…」

澪「…ごめんなさい」

律「い、いいよ全然!気にしないで!」

澪「………」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 20:59:52.46 ID:vUaVnnw20

澪「それじゃ私はそろそろ…皆さん、さようなら」

唯「またね~」

紬「もしよかったら音楽室に遊びに来てください。お茶を御馳走しますよ」

和「今度ベース教えてね」

律「…またな。秋山さん」

澪「…さようなら、田井中さん」

律「………」






澪「………」

澪「……律」ぐすっ



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:05:30.72 ID:vUaVnnw20

―別の日


紬「みんな、合宿をしましょう♪」

律「お!いいねぇ!」

和「どこでやるの?」

紬「私の別荘よ。海の近くにあるの♪」

律「なんと!新しい水着買わなきゃ!」

唯「わーい!楽しみ!」

和「まったく…遊びに行く訳じゃないのよ?」

紬「いっぱい遊びましょうね♪」

和「…ムギまで。…まあいいか」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:09:55.24 ID:vUaVnnw20

―別荘

律「うおー!でけー!」

唯「すごいねりっちゃん!」

律「ああ!早速着替えて遊びに行こうぜ!」

和「何言ってるの。まずは練習よ」

紬「まぁまぁ…練習は夜からでも遅くないわよ?」

唯「そうだよ和ちゃん!早く遊びに行こう!」

和「全くあなた達は…」








26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:16:05.16 ID:vUaVnnw20

律「いやー遊んだな…」

唯「疲れた~もう寝ようよぉ」

和「何言ってるの!まだ…」

律「花火してないだろ!」

和「…え?いや、練習…」

唯「そうだねりっちゃん!大事なことを忘れてたよ!」

律「もうまったく唯は!しっかりしろよ~」

唯律「あははははは!」

和「………」

紬「まぁまぁ…花火が終わってから練習しましょう?」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:20:13.83 ID:vUaVnnw20






律「…よし。唯ー!準備できたぞー!」

紬「こっちもいいわよー!」

唯「オッケー!」

和「…一体何が始まるの?」

律「見てたらわかるよ」


ズドーーーン!!!

唯「それじゃ次の曲、いっくぜ~!」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:26:53.52 ID:vUaVnnw20

和「……すごい。綺麗…」

紬「……ええ、すごく…」

ドーーーン!!!

唯「いえーい!」

律「………
  (花火をバックにギターを弾く唯、…まるでスターだな。
   もし、私もプロになれたらあんな風に…)」


『バンドやろうよー!』

『えー?』

『もしプロになったらギャラは七三ね!』


律「……!!…なんだよ今の…」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:32:17.59 ID:vUaVnnw20

唯「あれー?もう終わりー?」

和「もう花火は無いわよ。それより練習…」

唯「えーつまんなーい!」ぶーぶー

和「…私達って何しにここに来たか覚えてるわよね?」ギロリ

唯「う…、はい…」

紬「…それじゃ、今から練習しましょうか」

律「………」

唯「…りっちゃん?どうしたの俯いて」

律「…みんなに聞きたいことがある」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:38:16.13 ID:vUaVnnw20

唯「ん?なーに?」

律「…私、みんなに軽音部に入部した理由って話したっけ?」

紬「そういえば…聞いてないわね」

唯「確かあの時はよく分からないとかって…」

律「…そういえばそうだったな。なら今からみんなに話すよ」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:48:43.62 ID:vUaVnnw20

律「昔な、誰かと約束したんだ。一緒にバンドやろうって…」

唯「ふーん、誰と?」

律「…それは分からない。
  でもそいつと、もしプロになったらギャラは七三とか…それから…!」


『これだよこれ!私がやりたかったのは!一緒にバンドやろうよー!』

『えー?本気で言ってんのか?』

『もちろん!もしプロになったらギャラは七三ね!』

『…どっちが七だ?』

『もちろん私だよん☆』


『…楽器って高いなぁ…』

『ああ…ベースってこんなにするんだ…』

『…よし!お母さんに小遣い前借してみる!』

『そうだな。私も頼んでみるよ』


律「それから…!」ぐすっ



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 21:55:59.20 ID:vUaVnnw20

『やったー!やっとドラム買えたぞ!』

『私もベース買えたよ!』

『これから毎日練習しような!』

『ああ!そしてがんばってプロになろう!』

『でも、まずはその前にバンドを組まないとなー』

『…確かに。…律、約束しよう。高校にいったら必ず私とバンド組むって』

『…分かった。約束だ!必ずバンドを組もうぜ!』

『澪!』


律「…そうだ。そうだよ私…全部思い出した…」ぽろぽろ



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:03:25.10 ID:vUaVnnw20

唯「りっちゃんどうしたの!?」

紬「どこか調子が悪いの…?」

和「大丈夫…?」

律「ごめん…ごめん澪!ごめん…」ぽろぽろ

律「うわああああああん!みおおおお!!!」ぽろぽろ

和「澪…?」

唯「りっちゃん落ち着いて!大丈夫だから…ね?」ギュッ

律「ゆいい!わだじ…澪に酷いことしちゃったよぉ…!」ぽろぽろ

律「約束したのに…一緒に高校でバンド組もうって約束したのにぃ…!」ぽろぽろ

唯「よしよし…」ナデナテ

律「うわああああああん!!!」ぽろぽろ゙



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:06:17.65 ID:vUaVnnw20




ばたん

唯「………」

和「…律は?」

唯「泣き疲れて眠っちゃったよ…」

紬「…そう」

唯「…りっちゃん、一体どうしたのかな?」

和「分からないわ…明日律に聞いてみましょう」

唯「うん…」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:11:25.26 ID:vUaVnnw20

―次の日


律「おはようみんな!」

唯「りっちゃん…」

紬「もう大丈夫なの?落ち着いた…」

律「えっ?何が?」

和「なにがって…昨日澪の名前を呼んで泣き叫んでたじゃない」

律「澪…?……ああ!秋山さんか!…でも私そんな記憶ないぞ?」

和「…え?」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:16:22.37 ID:vUaVnnw20

唯「何言ってるのりっちゃん…?」

紬「からかわないでよ…!」

律「からかうもなにも…本当に知らないし…」

和「…これはどういうこと?」

唯「分からないよ…」

紬「これは澪さんにあって聞いた方がいいわね…」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:21:47.24 ID:vUaVnnw20

―次の日

紬「……というわけなの…」

澪「………」

和「なにか律のことについて知らないかしら…?」

澪「………」

唯「…黙ってないでなんとか言ってよ!」

澪「…みんな、私からのお願いです。…軽音部を辞めてくれませんか?」

和「えっ?」

紬「なにいって…」

唯「…そんなこと出来る訳ないじゃん!」

澪「お願いします。これが…律の為なんです」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:26:09.49 ID:vUaVnnw20

唯「なにそれ…意味わかんないよ…」

澪「…今に解りますよ」

和「…律のことについてもっと教えてくれないかしら?」

澪「………」

紬「澪さん!お願いです…教えてください!」

澪「…私からは何も話せません。すみませんが今日はもう帰ってください」

唯「そんな…教えてよ…!」

澪「いいから帰ってください!」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:32:01.85 ID:vUaVnnw20

和「…わかりました。今日はこれで失礼します」

唯「和ちゃん!このままでいいの…!?」

和「いいから唯は黙ってて…」

唯「でも…!」

紬「唯ちゃん。ここは和ちゃんの言うことを聞きましょう?」

唯「…なんで?みんなりっちゃんが心配じゃないの…?」ぽろぽろ

和「…心配に決まってるじゃない。ここにいるみんながそう思ってるわよ」

澪「………」

紬「…それじゃ、そろそろ私達は帰りますね。…お邪魔しました」


がちゃっ  ばたん…


澪「………」

澪「律…りつぅ…」ぽろぽろ



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:37:00.66 ID:vUaVnnw20

―別の日


律「よーし!そろそろ学祭に向けて特訓だ!」

唯「………」

紬「………」

和「………」

律「…どうしたんだよお前ら。最近元気ないなぁ」

唯「…そんなことないよ!さぁ、練習しよう!」

律「…・?お、おお!」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:41:34.92 ID:vUaVnnw20

和「そういえば学祭では何を演奏するの?」

律「あ…そういえば考えてなかった…」

和「まったく…何かないかしら?」

紬「一応、私作詞作曲出来るんですけど…」

唯「へぇ!すごいねぇ♪なら学祭はムギちゃんが作った歌で…」

律「だめだ!」

唯「えっ?…どうして?」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 22:47:03.15 ID:vUaVnnw20

律「どうしてって…あれ?私何言ってんだろう…ごめんムギ!ムギの歌がダメとかじゃなくて…」

紬「大丈夫よ。気にしてないわ♪」

律「ありがとう…私さ、学祭で演奏したい曲が一つだけあったんだ」

和「へぇ、なんて曲?」

律「えーっと…確か…なんだっけなぁ…」

唯「忘れちゃったの?りっちゃんらしいなぁ」

律「…そうだ!思い出した!確か曲名は…」

律「ふわふわ時間!」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:00:05.84 ID:vUaVnnw20

和「ふわふわ時間?聞いたことないわね…」

紬「どんな曲なの?」

律「えーっと、確か…」

律「キミを見てると、いつもハートどきどき…揺れる思いはマショマロみたいにふわふわ…
  いつも頑張る…キミの…キミの………なんだっけ?」

唯「…何その歌。私知らないよ」

紬「…私も」

和「…同じく」

律「えー、みんなも知らないのー?なら演奏のしようがないじゃん」

唯「…やっぱりここはムギちゃんにお願いしようよ」

律「う…頼む!絶対思い出すからみんなでこれをやろう!」

唯「…どうするみんな?」

和「まぁ2、3日待ってあげましょう」

律「サンキューみんな!絶対思い出すから待っててくれ!」  



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:08:22.96 ID:vUaVnnw20

―田井中家

律「うーん…見付かんねえなぁ」カチッ

聡「ねえちゃん!いつまでパソコン使ってんだよ!?」

律「あーごめんごめん!えーっと…聡!」

聡「……姉ちゃん。もしかしてまた…」

律「んー?何か言ったー?」カチッ カチッ

聡「…なんでもねぇよ。さっきから何調べてんの?」

律「曲を探してるんだけど…見付からない…」カチッ

聡「…仕方ないなぁ。俺も手伝ってやるよ」

律「おぉ!ありがとう愛しの弟!」

聡「わかったから…それで?なんて曲?」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:18:54.76 ID:vUaVnnw20

―次の日


律「…結局曲のことわからなかったなぁ。……あれは?おーい!秋山さーん!」

澪「あ…田井中さん…」

律「おはよう秋山さん!…このあたりを歩いてるってことは、もしかして家近所?」

澪「…そうだよ」

律「やっぱり!私、全然知らなかったよ」

澪「そうなんだ…私は知ってたよ…」

律「あ…そうなんだ。…なんかごめん」

澪「…いいよ。気にしないで」

律「うん…そうだ!一緒に学校行こうよ!」

澪「…うん。いいよ」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:25:54.24 ID:vUaVnnw20

律「………」

澪「………」

律「……(気まずい。何か話をふらないと…そうだ!)…ねえ秋山さん」

澪「ん?」

澪「ふわふわ時間って曲知ってる?」

澪「…!」

律「確か…キミを見てると、いつもハートどきどき…
  揺れる思いはマショマロみたいにふわふわ…
  いつも頑張る…キミの…キミの………」

澪「…横顔。ずっと見てても気付かないよね」 

律「え…?」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:34:59.93 ID:vUaVnnw20

澪「夢の中なら二人の距離縮められるのにな」

律「…あぁカミサマお願い二人だけの…」

律(…この先は知っている)

律「♪ドリ~ム~タイムく~だ~さい☆お~気に~いり~のうさ~ちゃん抱いて~

澪律「今夜~も、お~や~すみ♪」

律「…思いだした。っていうか秋山さんがこの歌を知ってるなんて…」

澪「…知ってるよ。私の好きな歌の一つだもん」



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:49:09.19 ID:vUaVnnw20

律「そうなんだ…」

澪「うん」

律「…もう一つ教えてほしいんだけど、これって、誰の曲?」

澪「…もう忘れちゃった。…ただ」

律「ただ…?」

澪「この曲は大好きな人のことを歌った曲なんだ。
  いつもがむしゃらで…夢は叶うって信じ続けていて…
  彼女のことは忘れても、夢だけは絶対に忘れられない…
  そんな人のことを歌った曲なんだよ。それだけは覚えてる」

律「…なんか悲しい曲だな」

澪「…どうしてそう思うの?」

律「だって、これは彼女視点の曲なんだろ?
  秋山さんの話が本当なら彼女は忘れられちゃうんだろ。そんなの…悲しいよ」

澪「…そんなことないよ」

律「え…?」

澪「彼女は忘れられたってその人のことが好きなんだから。
  ずっと思い出すって信じて待ち続けているんだから…」

澪「だから、彼女は悲しくなんかないよ」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/24(月) 23:54:12.58 ID:vUaVnnw20

律「…そっか」

澪「うん」

律「…私、秋山さんのことさ、澪って…」


『みーお。何書いてんだー?』

『ちょ、ちょっと律!勝手にみるな!』

『いいじゃん減るもんじゃないし!どれどれ…。…ふわふわ時』


澪「律!しっかりしろ!」

律「…はっ!?」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:00:19.51 ID:EsM6gPky0

律「澪…?」

澪「大丈夫?急にぼーっとしちゃって…」

律「う、うん。大丈夫だよ」

澪「そう…良かった。早く学校に行こう。田井中さん」

律「そ、そうだね秋山さん…」

律(気のせいかな?さっき私のことを律って…それに私も澪って…)

澪「………」



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:08:31.39 ID:EsM6gPky0

律「みんな!曲を思い出したぞ!」

和「へぇ。どんな曲なの?」

律「ふふん♪最初から最後までよーく聞いてろよ!それじゃ、歌います!」

唯「りっちゃんが歌うんだ…」

律「しょうがないだろ調べても見付からなかったんだから!それじゃ…」


~~~~♪


律「ふわふわ時間!…どうだった?私の歌声と曲は」

和「…両方とも微妙ね」

紬「そう?私はいいと思うなぁ」

律「だろ!?唯はどうだ!?」

唯「…歌声はともかく曲はすごくいいよ!学祭はこれでいこう!」

律「よし!決まりだな!…あれ?何か腑に落ちないけどまぁいいや!」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:18:56.52 ID:EsM6gPky0

和「そういえばこの曲、調べても見付からなかったのよね?ならこれは誰の曲なのかしら?」

紬「そう言われてみれば確かに…」

唯「?言ってる意味が良く分からないよ」

和「だから、普通はどんなマイナーな曲でも
  ネットで調べればすぐ見つかる筈でしょ?だから誰が作ったのかなって…」

唯「あーなるほど。ならすごくマイナーだから見付からなかったとか…」

律「…いや、秋山さんの口ぶりだとそんな感じじゃなかったぞ」

和「えっ?澪もこの曲知ってたの?」

律「澪って…。お前いつからそんなに親しくなったんだよ」

和「まぁ色々あってね。そうか…澪が…」



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:26:55.11 ID:EsM6gPky0





澪「…それで私の所まで来たんだ」

和「えぇ、この曲のことで知りたくてね」

紬「澪ちゃんは何でこの曲を知ってるの?」

唯「また隠したりしないでね」

澪「…分かったよ。ちゃんと話す…その前に2つ約束してくれないか?」

和「何かしら?」

澪「この話を律に話さないこと。それと…笑わないこと」

和「…わかったわ。約束する」

唯「笑わないことって…もしかして笑い話なの?」

澪「いや…まぁ、まずは聞いてくれ。実はこのふわふわ時間っていう曲を作ったのは…」

澪「…私なんだ」

一同「な、なんだってー!?」



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:33:39.60 ID:EsM6gPky0

和「あなたがこんな寒い…じゃなかった。いい曲を作ったの?」

澪「…そうだよ。どうせ寒い曲だよ」

紬「私はそんなこと思いません!とても素晴らしい曲だと思います…」ウットリ

唯「すごいね澪ちゃん!まさかこんな才能があるなんて!」

澪「そ…そうかな…///」

和(…私の感覚っておかしいのかしら)



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:43:05.04 ID:EsM6gPky0

澪「…そうだ!話を本題に戻そう」

和「…ようやくね」

澪「みんなにも知っておいて貰った方がいいかもしれない…律のことを」

唯「話してくれるんだ?」

澪「ああ、みんなはこんなにも律を心配してくれてるだろう。だから知っておいてほしいんだ」

唯「この前だってすごく心配してたんだけどなぁ…」

澪「…あの時はごめん。まだみんなを信じられないでいた」

紬「気にしないで♪」

澪「ありがとう…」

和「…それで律は?一体何があったの?」

澪「…あぁ、今から話そう。これは私達が中学生の頃の話だ…」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:51:52.70 ID:EsM6gPky0

ジャーン!

律「…すげぇ」

澪「あぁ…すごい…」

律「だろ!?誰だよライヴのDVDなんか見たくないとか言ってたのは!?」

澪「…私です」

律「恐れ入ったか!えっへん!」

澪「…でもこんなステージの上で歌えたら気持ちよさそうだな」

律「おやおや?恥ずかしがり屋の澪さんも言う様になりましたね~」ニヤニヤ

澪「う、うるさい!」



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 00:59:50.36 ID:EsM6gPky0

律「でもそれには私も同感だよ。私もこんなステージに立ちたいな~」

澪「無理だろ…プロにでもならない限り」

律「…!そうだよ…なればいいんだ」

澪「は…?」

律「だったらプロになればいいんだよ!な~んだ、簡単なことじゃないか!」

澪「…マジで言ってんの?」

律「マジだよ!」

澪「馬鹿だなぁ…なれる訳ないだろう」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:11:17.01 ID:EsM6gPky0

律「はぁ…お前って夢がないなぁ」

澪「なんだと!?」

律「いいか?目を閉じてみろよ」

澪「?…こうか?」

律「想像してみろ!ここは武道館だ!」

―私達は何万もの観客の前に立っている。ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

 時には才能がないと言われたり…
 
 時にはまったく曲がヒットしなかったり…。ここまで来るのに本当に色々あったよ。

 でもわかる人にはわかる、見てくれている人は見てくれていたんだ。
 
 私達の音楽は徐々に大衆に受け入れられ始め、今じゃオリコンで1位をとるほどだ。

 そして私達は今ここに立っている!世間が私達を求めてくれているからだ!

 
 律「本当にここまで来るのに色々あったなぁ」

 澪「ああ、あとはこのライヴを成功させるだけだ」

 律「そうだな…よし!やってやろうぜ相棒!」

 澪「望むところだ!」

律「そして私達は黄色い声援をあび、観客の前に姿を現す…そこで!」

澪「え…?まだ続くの?この妄想…」



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:25:22.97 ID:EsM6gPky0

 『律ーーー!!!こっち向いてくれーーー!!!』

 『澪ー!!!俺だー!!結婚してくれーー!!!』

 澪「すごい人の数だな…緊張する…」ゴクリ…

 律「何言ってんだよ?後は演奏するだけだろ。ほら、みんなの声援にこたえてやろうぜ」

 律「みんなーーーー!!!今日は来てくれてありがとーーーーー!!!!」

 『うおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 『りっちゃあああああん!!!澪ーーーーーー!!!』

 律「早速だが聞いてくれ!!!」

 そして私達は華麗に演奏する。私達がドラムを叩く度に、澪が…えーっと、ベースでいいや。
 
 ベースの弦を弾く度に観客のテンションは上がっていくんだ。

 もちろん私達だって同じだ。
 
 会場全体がやがて一体となり、気分も最高潮になってきた頃、私達は観客に向かって一言叫ぶんだ。

 律「お前らーーー!!!!最高だぜーーーーー!!!!」

 澪「今夜は朝までぶっ飛ばすぞーーー!!!」

 『いえええええええええいえええええええい!!!!』

 
律「…てな訳だよ!どうだ!?興奮するだろ!?」

澪「…あっ終わった?」



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:30:42.97 ID:EsM6gPky0

律「…そうだよ。私がやりたいのはこれなんだ…」プルプル

律「これだよこれ!私がやりたかったのは!一緒にバンドやろうよー!」

澪「えー?本気で言ってんのか?」

律「もちろん!もしプロになったらギャラは七三ね!」

澪「…どっちが七だ?」

律「もちろん私だよん☆」

澪「………」びしっ!

律「あいたっ!」



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:39:05.07 ID:EsM6gPky0

澪「まぁ…バンドは組んでやってもいいよ」

律「本当か!?ありがと澪!大好き♪」ぎゅっ

澪「な…!離れろ馬鹿律!///」

律「え~?もう少しこのままがいい」

澪「……なら好きにしろ///」ドキドキ

律「……よし!そろそろ楽器でも買いに行くか!」バッ!

澪「あ……うん、そうだね…」ショボン

律「ん?どうしたの澪?」

澪「…別に」



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:46:25.00 ID:EsM6gPky0

―楽器屋


律「…楽器って高いなぁ…」

澪「ああ…ベースってこんなにするんだ…」

律「…よし!お母さんに小遣い前借してみる!」

澪「そうだな。私も頼んでみるよ」


―田井中家

律「お願いします!お小遣い前借りさせて下さい!」

律母「何かほしいものでもあるの?」

律「ドラム!」

律母「はぁ!?あんたドラムなんて叩けたっけ?」

律「…全くできません」

律母「…。いくらほしいの?」

律「…とりあえず五万円」

律母「五万!?」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:54:01.71 ID:EsM6gPky0

律母「あんたねぇ…もう少し考えてみなさい。
   そんな高いもの買って飽きたらどうするの?勿体ないでしょ」

律「考えたよ!それに私はプロになるんだ!だから絶対に飽きない!」

律母「………」

律「だから…お願いします!お小遣い前借りさせて下さい!」

律母「…これ、とりあえず三万。残りは来月まで待ってなさい」

律「お母さん…!」

律母「それと…これから毎日家のお手伝いをすること!いいわね?」

律「はい!心得ております!やったー!」

律母「まったく、調子がいいんだから…。
   この子も澪ちゃんみたいにお淑やかになってくれれば…」



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 01:58:22.37 ID:EsM6gPky0

―そして一ヶ月後


律「やったー!やっとドラム買えたぞ!」

澪「私もベース買えたよ!」

律「これから毎日練習しような!」

澪「ああ!そしてがんばってプロになろう!」

律「でも、まずはその前にバンドを組まないとなー」

澪「…確かに。…律、約束しよう。高校にいったら必ず私とバンド組むって」

律「…分かった。約束だ!必ずバンドを組もうぜ!澪!」



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:08:52.86 ID:EsM6gPky0




和「…そんなことがあったのね。なら律が軽音部に入ったのは…」

澪「…あぁ。夢を忘れられないから」

唯「…でも澪ちゃんと一緒じゃなくちゃ意味ないじゃん」

澪「あいつは私よりも夢が大事なんだ。でも、私はそんな律のことを嫌いだとは思わない」

紬「どうして…?私なら夢より自分のことを覚えていてほしい…」

澪「…私の夢は、律の夢だから。
  たとえ同じステージに立てなくたって、私の夢は律と一緒に生き続けてるから」

和「…強いのね」

澪「そんなことないよ。私はあの日から何も変わっちゃいない…」

澪「あの日から何も…」



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:15:14.63 ID:EsM6gPky0

―秋山家


律「澪ー!ここわかんないよー」

澪「どれどれ…ここさっきも教えただろ?」

律「忘れた」

澪「おい。はぁ…お前がそんな調子じゃ私と同じ高校は無理だな」

律「だからがんばって勉強してるんじゃん!」

澪「でもこの調子じゃなぁ…これじゃバンドは組めないな」

律「なにぃ!?…澪!あの日の約束は嘘だったのか!?」

澪「…嘘じゃないよ。
  だからこうやって勉強教えてやってんだろ?頑張ってプロになるんだもんな」

律「そうだよ!」ニカッ



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:21:51.22 ID:EsM6gPky0

律「………」カリカリ

澪「………」カリカリ

律「………」カリカリ

澪「………」カリカリ

律「…みーお。何書いてんだー?」ヒョィ

澪「ちょ、ちょっと律!勝手にみるな!」

律「いいじゃん減るもんじゃないし!どれどれ…。…ふわふわ時間?…何これ?歌詞?」

澪「…そうだよ。悪いか」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:32:22.61 ID:EsM6gPky0

澪「今から曲の一つでも作っておいて方がいいかなと思って…」

律「へ~、どれどれ…」

―キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI  揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ

  いつもがんばるキミの横顔 ずっと見てても気づかないよね

  夢の中なら二人の距離縮められるのにな

  あぁカミ

律「もう限界!なんだよこの歌詞…?」

澪「…頑張って書いたんだけど…変かな?」ウル…

律「うっ…。まあ曲を聞いてみないと何とも言えないな…」

澪「実は作曲はもうしてあるんだ…」

律「なに…?」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:39:20.24 ID:EsM6gPky0

澪「まぁとりあえず歌ってみるから…聞いててね?」

律「…わかったよ(あの歌詞がどう化けるんだ…?もっとひどいことになったりして…)」

澪「こほん…それじゃ…」


~~~~♪


澪「ふわふわ時間!……どうかな?やっぱり変?」

律「………」

澪「律…?」

律「…驚いたよ。すげーじゃん澪!」

澪「え?…そうかな?///」

律「ああ!歌詞はともかく曲はいいと思うぜ!
  よーし!これを初めてのライヴで絶対に歌うぞ!おー!」

澪「おー!…あれ?何か腑に落ちないけどまぁいいか!」



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:47:21.27 ID:EsM6gPky0

律「…よし、そろそろ帰るかな」

澪「そうだな…もう結構遅いし気をつけて帰れよ」

律「大丈夫だって!家なんてすぐ近くなんだし」

澪「…まぁ、それもそうだな」

律「それじゃまた。…澪」

澪「ん?」

律「今日勉強教えてくれてありがとう!私頑張って澪と同じ高校に行くから!」

律「…だから、必ず一緒にバンドやろうな!」

澪「あぁ。当然だ」

律「えへへ…それだけ!じゃぁまた!」


がちゃ ばたん

ビュオオオオオオ…!

律「さびぃ…結構吹雪いてるな。早く家に変えろっと!」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 02:57:53.38 ID:EsM6gPky0




澪「…ちなみにこの年はあの吹雪があった年だ」

和「異常気象って言われた、あの?」

澪「そう。…思えば、あの吹雪は律をそうさせる為に起きたのかもしれない…」

唯「考えすぎだよ…」

紬「そうよ。異常気象なんだもの…仕方がないわ」

澪「…そうだよな。私の考えすぎか…」

和「…それでその後律は?」

澪「…あぁ。律は…」



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:07:52.69 ID:EsM6gPky0

律「…寒いな。吹雪なんて異常だぞ…早く家につかないかな」

ざくっ ざくっ

律「…しかし澪が作詞作曲するなんてびっくりしたな」

ざくっ ざくっ

律「へへっ、やる気なのは私だけじゃないんだよな。
  澪と同じ夢を追いかけられるのは…すごく嬉しい」

ざくっ ざくっ

律「それにあのふわふわ時間って歌も中々いい歌だな。澪って才能あるのかな?」

ざくっ ざくっ

律「…ふわふわ時間♪」

ビュオオオオオオ…!

律「うわっ…前が見えな…」



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:12:48.39 ID:EsM6gPky0

ピーポーピーポー

澪「…?外が騒がしいな。事故かな?」

澪「まさか律になにか…いや、それは無いだろう」

ピーポーピーポー

澪「家だって近いんだ。気いっと今頃家でごろごろしてるんだろうな」

ピーポーピーポー

澪「…さて、私もそろそろ寝るかな」

澪「…お休み律」



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:23:18.22 ID:EsM6gPky0

―次の日


澪「律ー!!!」

律母「澪ちゃん…」

澪「おばさん…律は…?律はどうなったの!?」

律母「………」

澪「おばさん!!!」

聡「…姉ちゃんさ…車にはねられたんだって…」

澪「そんな…どうして…」

聡「…昨日の吹雪のせいだよ。あのせいで前が見えなくなって…それで……」

聡「…車が姉ちゃんに突っ込んできたんだよ」

澪「…それで…律は助かるの?」

聡「………」

澪「聡君!!!」

聡「…俺だって知らないよ!!!……姉ちゃん…ねえちゃあん」ぽろぽろ

澪「……嘘だこんなの…」



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:32:10.37 ID:EsM6gPky0




澪「…それからのことは良く覚えていない」

和「………」

澪「ただ、医者が言うには命は何とか取り留めたそうだ」

唯「………」

澪「…でも、頭を強く打ったらしくて…何らかの後遺症が残るんじゃないかって」

紬「………」

澪「私はその時安心しきっていたよ、律が生きていたことに対してね。
  私は律さえいればいいって思ってた。夢なんか捨ててもいいって…」

澪「…でもね、私が失ったのは両方だったんだ」



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:40:12.32 ID:EsM6gPky0

澪「あれからもう5日か…律、お前はいつ目を覚ますんだ?」

律「………」

澪「…バンドの話はどうするんだよ?プロになる夢は…?」

律「………」

澪「お前が起きなくちゃ何も始まらないだろ?一緒に武道館のステージに立つんだよな?」

律「………」

澪「…なぁ、起きろよ律。……起きてくれよ!」

律「………」

澪「…本当は私、律さえいれば何もいらない。夢だって叶わなくたっていいから…」

律「………」

澪「だからお願い…目を開けてよぉ…またいつもみたいに私の名前を呼んでよぉ…!」ぽろぽろ

律「……ここは…?」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:47:24.30 ID:EsM6gPky0

澪「…律?律…りつぅ!」がばっ

律「いたたっ!」

澪「この馬鹿律!どれだけ心配かけたと思ってんだよ…!」ぽろぽろ

律「………」

澪「でもよかった…私、律さえいれば後は何もいらないから…夢だって…」

律「…夢?」

澪「そうだよ…ステージに立てなくたっていい…プロになれなくたっていい…!」

律「ステージ…プロ…私の夢…」

律「どうして秋山さんは私の夢を知ってるの…?」

澪「…え?」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 03:55:05.14 ID:EsM6gPky0

澪「何言ってんだよ…私達が一緒に決めた夢だろ?」

律「…そうだっけ?」

澪「そうだよ。それと秋山さんって何だよ。からかってるのか?」

律「え…?からかってなんかいないよ」

澪「はいはい。もういいから…」

律「…秋山さんはさっきから何の話をしてるの?」

澪「は…?おい律、いい加減にしないと…」

律「秋山…澪…?私達の…夢…?うあああああああ!!!頭がああああ!!!」

澪「!?おいしっかりしろ!今先生を呼んでくる!」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:04:07.92 ID:EsM6gPky0




澪「私はそれからすぐに医者を呼びに行った。私は最初、律の態度は悪い冗談だと思ってたんだ」

唯「………」

澪「…でも違った。それこそが律の後遺症だったんだ」

紬「そんな…」

澪「…律の後遺症、それはみんなも知っての通り、記憶を忘れてしまうこと」

和「ちょっとまって…なら律はどうして私達のことは忘れないの?」

唯「確かに…忘れられてるのは澪ちゃんだけだよね」

澪「…そのことについてもこれから話すよ」



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:10:51.54 ID:EsM6gPky0

医者「それじゃ…きょうで退院です」

律母「先生…どうもお世話になりました。ほら律も…」

律「…お世話になりました」ペコリ

医者「いえいえ…また頭が痛くなったりするようなら、すぐに病院に来てください」

律母「はい。本当にありがとうございました」

澪「良かったな律。また明日から一緒に学校行こうな」

律「…うん」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:20:07.01 ID:EsM6gPky0

―次の日


澪「律ー!迎えに来たよー!」

律「うん!すぐ行くよー」

澪「おはよう律」

律「おはよう秋山さん」

澪「昔みたいに澪でいいよ」

律「昔の私は呼び捨てにしてたの?」

澪「そうだよ。澪ー!ってな」

律「…ごめんね。全然思い出せないよ…」

澪「いいって気にするなよ。これからゆっくり思いだしていこう。な?」

律「そうだね。み…澪♪…変かな?」

澪「そんなことないよ」ニコッ

澪(そうだよ…これから思い出せばいいんだ)



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:30:23.49 ID:EsM6gPky0

がらっ

澪「おはよー」

律「おはようみんな!」

クラスメートA「律!怪我は大丈夫か!?」

クB「みんなとっても心配したんだよ?」

律「いやーごめんごめん心配かけちゃって!この通りピンピンしてるよ!」

澪「え…?」

澪(おかしい…いつもの律だ。律は記憶がないんじゃ…?)

澪「…ちょっと律、いいか?」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:32:12.82 ID:EsM6gPky0

律「?どうしたの澪?」

澪「律はクラスメートのこと、覚えてるのか?」

律「うん。覚えてるけど…」

澪「なら聡は?両親は?それに…私のことは?」

律「家族のことは覚えてるけど…澪のことは…覚えてないんだ」

澪「そんな…」

澪(一体どういうことなの?なんで私だけ…?)



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:37:22.29 ID:EsM6gPky0

律「ごめん…」

澪「あ…いやいいんだ。気にしないで」

澪(…弱気になるな私。きっとすぐに思い出すさ)

澪「…そうだ!今日家に来ないか?一緒に楽器の練習しようよ」

律「お邪魔しちゃっていいの?」

澪「いいに決まってるだろ?私が誘ってるんだからさ」

律「…わかった。学校終わったら遊びに行くよ」

澪「うん!」

澪(一緒に演奏すれば、もしかしたら…)



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:42:31.62 ID:EsM6gPky0

―秋山家


がちゃっ

律「お邪魔します。ここが澪の部屋か…」

澪「そうだよ。何回も来てるだろ?」

律「そうだっけ?…うん。そうだよな!」

澪「ふふっ♪まあ適当にくつろいでてよ」

律「うん。…でも練習は?ドラムもないし…」

澪「安心しろ。そろそろ来る頃だから…」

ピンポーン!

澪「…ほら来た」

律「誰が?」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:49:04.55 ID:EsM6gPky0

がちゃっ

聡「はぁ…はぁ…!澪さん!持ってきましたよ…!」

律「聡!?お前なんで…!それは…私のドラム?」

澪「そうだよ。私が聡にお願いしたんだ」

聡「はぁ…重かった…」ドサッ

澪「さすが男の子、力持ちだね♪」

聡「…思ったんですけど、練習うちでやればこれを持ってこなくても…」

澪「ごめん聡。律に私の部屋を見てもらいたかったからさ…」

聡「…姉ちゃんは何か思い出しました?」

澪「………」ふるふる

聡「…そうですか」



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 04:55:35.53 ID:EsM6gPky0

聡「それじゃ、俺帰るから。あんまり澪姉に迷惑かけるなよ?」

律「おい!私がいつ迷惑かけたんだよ!?」

聡「それは自分の記憶に聞いてみな。…それじゃ」

がちゃ ばたん

律「聡の奴め…帰ったら覚えとけよ」

澪「あはは!律と聡は本当に仲良しだな」

律「…まぁね。なんたって大事な弟なんだか…ら…?」

澪「…律?」

律「あ…ごめん。なんでもないよ!それじゃ早速練習しようぜ!」

澪「?…うん」



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:02:43.34 ID:EsM6gPky0




澪「ふぅ…今日はこれだけ練習すれば充分だろ」

律「そうだな。…ねえ澪、このふわふわ時間って曲、澪が作ったんだっけ?」

澪「…!?律!お前記憶が!」

律「ごめん…ぼんやりと思いだせるのはこの曲だけ…」

澪「それでも思いだせたんだ…!」

澪(よかった…この調子なら記憶をすぐに取り戻せそうだ)



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:11:46.55 ID:EsM6gPky0

律「…とりあえず今日はもう帰るね」

澪「わかったよ。また明日一緒に練習しよう。もしかしたらまた何か思い出せるかもしれない」

律「うん。また明日くるよ…それじゃ」





澪「それから私と律は、毎日私の家で練習した」

唯「それで記憶は…?」

澪「練習したり昔のことを話したりするだけで結構思い出せてたよ。でも…」

紬「あの合宿の時みたいに…」

澪「あぁ。…私は信じてた。このまま行けば律の記憶は全部蘇るってね…」

和「………」

澪「…でもすべては無駄だったんだ」



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:18:39.74 ID:EsM6gPky0

―数日後

がちゃっ

律「お邪魔しまーす。よう澪!相変らずだらけてるなー」

澪「…お前もすっかり元通りだな」

律「そんなことないよ。私はまだ、澪と約束したことを思い出してない」

澪「…なら今日はまたその話をしようか」

律「えー、またー?もう聞き飽きたよ。それに澪から聞いたって自分で思い出せなきゃ意味ないじゃん」

澪「いいから、まずどこから話そうか…」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:32:56.48 ID:EsM6gPky0

澪「…そうだ!律、目を閉じてくれ」

律「?…こうか?」

澪「想像してみてくれ。ここは武道館だ」

―私はあの日に律から聞いた『あの話』をこと細かに話した。

 この話なら思いだせるだろう?だって、これは私と律の夢の始まりのお話じゃないか。

 あの時、私は無関心を装っていたけど…

 本当はこの話のお陰で私も律と一緒に同じ夢を見たいと思えたんだ。

 だから律、また一緒に同じ夢を見ようよ。また二人でやり直そう。だって、これは…

澪「…その時、私の相棒が言ったんだ」

律「お前らーーー!!!最高だぜーーーーー!!!ってか?」

澪「そうそう…って律!?お前…!」

律「…思い出したよ全部…ただいま、澪」ニカッ

澪「律…りつぅ…!」ぽろぽろ


―始まりのお語なんだから。 



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:43:53.22 ID:EsM6gPky0




澪「律はその時全部を思い出したんだ」

和「………」

澪「私はこれで大好きな律と一緒に、
  また夢を追いかけられると思って喜んでたんだ。失ったものがいっぺんに帰ってきたって」

唯「………」

澪「…でも、また失うことになるんだ」



律「澪は相変らず泣き虫だな」

澪「うるさい馬鹿律!」ぐすっ

律「えへへ…澪、本当にありがとな」

澪「りつぅ…!」ぽろぽろ

律「私はな…澪がだーい好…





澪「……律?」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:46:35.37 ID:EsM6gPky0

律「………」

澪「…律?どうしたんだよ?」

律「………」

澪「おい律!」

律「…あれ?秋山さん?」

澪「……そ…そんな…嘘…だ…」



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 05:55:51.72 ID:EsM6gPky0




澪「…私は絶望したよ。また同じことを繰り返すのかって」

和「………」

澪「それでも私は諦めなかった。何度も律も記憶を甦らせたんだ」

紬「………」

澪「…でも、今まで忘れていた時の記憶も全部一緒に思い出してしまうんだ」

澪「そしたら律のやつ…泣くんだぞ?今まで忘れていてごめんって…
  何度も思い出させてもらってるのに…ごめんって…!」ぽろぽろ

唯「………」ぐすっ

澪「…そして、また記憶をなくすんだよ…」



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:10:13.49 ID:EsM6gPky0

澪「…だから私は、もう律にかかわらないことにしたんだ」

澪「私が律にかかわれば、律は私を思い出してしまうから。
  そしたらまた律は泣いてしまう…これ以上は、心が壊れちゃうよ」

唯「……話はわかったよ。でもどうして澪ちゃんだけを忘れるの?」

澪「私だけじゃないよ。律は自分の大切なもの、大好きな人から忘れていくんだ…
  実際、律の弟も何度も忘れられてる」

紬「…でも、りっちゃんは澪ちゃんよりも夢が大切だって…」

澪「それは律が前に言ってたんだ。
  夢は私の一部、大切かどうかなんて考えたことないって。
  だから私の夢は律の中で生き続けている」

和「…そういうことね」



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:16:31.35 ID:EsM6gPky0

澪「ふぅ…久しぶりにいっぱい話して疲れたよ」

和「…ありがとう澪。私達に話してくれて」

澪「いや…いいんだ。それと、これは私からの最後の忠告だ」

紬「…なにかしら?」

澪「お前達も、もう律にかかわらないでやってくれ。あいつはいずれお前達も忘れてしまう」

唯「………」

澪「…いや、これは忠告じゃないな。友達としてのお願いだ」

和「…わかった…」

唯「私は嫌だよ」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:26:54.43 ID:EsM6gPky0

和「唯…?」

紬「唯ちゃん…?」

唯「私はりっちゃんを見捨てることなんて出来ない。だってそうでしょ?
  今ここでみんなに見放された方がりっちゃんの心は壊れちゃうよ!」

澪「………」

唯「澪ちゃん、あなたはただ逃げているだけ!
  あなたは自分が傷つく方が怖いんだよ!りっちゃんから目を背けないで!
  本当にりっちゃんが大好きなら何度でも許してあげるべきだよ!
  何回泣いたっていい、その度に一緒に悲しみを分かち合ってあげればいいじゃん!」

澪「…偉そうなことをいうな!ならお前に何ができるんだよ!」

唯「私はりっちゃんとずっと一緒にいる。
  何度泣いたって私がその涙を拭ってあげる為に。一人じゃないって教えてあげるんだ!」



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:34:51.91 ID:EsM6gPky0

澪「…あははは!呆れた。私はずっと律の隣でそうしてきたんだよ!でもダメだったんだ!
  わかるかこの気持ちが!?わかる訳ないだろう!
  だって私は律の幼馴染、お前はたかが何カ月かの付き合いなんだからな!」

唯「…それでも、私はりっちゃんを見捨てないよ」

澪「なら好きにしろよ!奇麗事ばかりでどうにかなることじゃないんだ!」

唯「知ってるよ。でも私は自分を信じる…それじゃ、お邪魔しました」

和「ちょ、ちょっと唯!待ちなさい!」

紬「唯ちゃん!」


がちゃっ ばたん

澪「……くそ」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:40:10.04 ID:EsM6gPky0




和「ちょっと唯!あなたこれからどうするつもり?」

唯「りっちゃんに会いに行く」

紬「唯ちゃん落ち着いて!もう少し冷静になりましょう?」

唯「なに言ってるの?こうしている間にも私はりっちゃんに会いたいの!みんなは違うの!?」

バシィン!

唯「っ!!!」

和「…落ち着きなさいって言ってるでしょ」

唯「…ごめん」



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 06:54:56.12 ID:EsM6gPky0

和「まったく…唯は昔から人のことになるとすぐ熱くなるわね」

唯「………」

和[明日澪に謝ること…いいわね?」

唯「…はい。わかりました…」

和「よろしい。…あと、さっき澪が言っていたこと。
  残念だけど…これ以上は本当に律の心が壊れてしまうわ」

唯「そんな…なら私達はもうりっちゃんにかかわらないほうがいいの…?」

和「…それもダメよ。私達が見放しても律の心は壊れてしまう」

唯「ならどうすれば…!」

和「…わからないわ。それだけ難しい問題なのよ。
  律は今、極限の状態を保っているのよ。それはわかるわね?」

唯「……うん」



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 07:06:53.87 ID:EsM6gPky0

和「とりあえず、今は様子見よ。いつも通りにしていること、いいわね」

紬「私もそれが一番かと思います」

唯「うん…わかったよ」



―次の日

唯「澪ちゃーん!」

澪「…唯?」

唯「澪ちゃん…あの、昨日はごめんなさい!」

澪「…こっちこそ悪かったよ。あれは唯なりに律を想ってのことだもんな」

唯「…ねぇ澪ちゃん、やっぱり私はりっちゃんを見捨てることなんてできないよ」

澪「………」



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 07:19:37.88 ID:EsM6gPky0

―数日後


律「あと1週間で学祭だなー。私人前で演奏するのって初めてだから緊張するよ…」

唯「私もだよ…」

紬「私はコンクールで何度か…」

和「私に至っては今年から楽器やり始めたんだけど…」

律「…とにかく緊張していられないな。武道館はもっと人がいるんだからな!」

唯「………」

紬「………」

和「…そうね。目指すはプロだものね」

律「おう!ってあれ?私みんなに話したっけ?」



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 07:38:17.38 ID:EsM6gPky0

―そして、学祭当日


律「とうとうこの日が来たか…」

唯「すごく緊張するね…」

紬「はたして成功するのかしら…?」

和「…大丈夫よきっと。あんなに練習したんだから」


『次は、軽音楽部によるバンド演奏です』


律「…よし、みんな!いっちょ派手にやろうぜ!」

唯和紬「おー!」



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 07:48:13.41 ID:EsM6gPky0

『みてみてー!かわいいー!』

『何組の子かな…?』

唯「すごい…人がいっぱい…」

紬「…やっぱり緊張するわ…」

和「…大丈夫…きっと大丈夫…」

律「それじゃ行くぞ…」


律「みなさんこんにちわー!!!軽音部です!」

律「早速ですが聞いてください!!!」

『早速だが聞いてくれ!!!』

律(まただ…何なんだよ一体?)

律「ふわふわ時間!!!」

『…ふわふわ時間?…何これ?歌詞?』

律(私は…こんなの知らない)



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 07:54:51.31 ID:EsM6gPky0

律「キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI  揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ 」

『もう限界!なんだよこの歌詞…?』

唯「いつもがんばるキミの横顔 ずっと見てても気づかないよね」

『…頑張って書いたんだけど…変かな?』

律「夢の中なら二人の距離縮められるのにな 」

『まぁとりあえず歌ってみるから…聞いててね?』  

律「あぁカミ…」

『…驚いたよ。すげーじゃん』

      『澪!』

律「……!!!」



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:00:05.76 ID:EsM6gPky0

律「………」

唯「…りっちゃん?」

紬「…!もしかして…」

和「澪のこと…」

ざわざわ…ざわざわ…

『…なんで歌わないの?』

『どうしたんだ~?』

唯「りっちゃん!早く歌わないと…!」

律「………」

紬「りっちゃん…!」

律「…ごめんみんな。私には無理だ…」

和(なんてこと…恐れてたことが…)



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:08:03.93 ID:EsM6gPky0

律「私さ…この場所に澪と一緒に立つって約束してたんだ…」

唯「………」

律「はは…これを思い出すのも何度目だろうな…」

和「………」

律「ごめん澪…私、澪との約束破っちゃったよ…」ぐすっ

紬「………」

律「ごめん…ごめん澪…!みおおおお…!!!」ぽろぽろ

和「…とりあえず演奏は中止よ」

唯「…まだ終わってないよ。ね?」

?「そうだな。ライヴはこれからだ」

和「え…?」



澪「しっかりしろ律。まだ終わってないだろ?」

律「え…?澪…?」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:15:22.64 ID:EsM6gPky0

律「な…なんで澪が…?」

澪「律…お前と一緒にステージに立つ為さ」

澪「そう約束しただろう?」

律「…!みおおおおお…!うわあああん!」ぽろぽろ

和「なんで澪がステージに…?…!唯、あんたまさか…」

唯「えへへ…ぶぃ♪」

和「まったくあなたは…。上出来よ、唯」



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:28:40.23 ID:EsM6gPky0




澪「なに?次のライヴは失敗するって?」

唯「うん。りっちゃんは間違いなく澪ちゃんのことを思い出すよ」

澪「……ならどうすればいいんだよ!律には夢を叶えることもできないのか!?」

唯「…このまま行けばね。でもね澪ちゃん、
  前も言ったように一人じゃないってことを教えてあげればいいんだよ」

澪「どうやってだよ…!?」

唯「そんなの簡単だよ。ただ一緒にいてあげるだけ」

澪「それだけ…?」

唯「そうだよ♪澪ちゃんならこれから何があっても二人で一緒にいてあげられる筈だよ」

唯「だって、澪ちゃんもりっちゃんもお互いが大好きなんだから♪」



澪「…やっと一つ目の夢が叶ったな。一緒にステージに立つことだ」

律「…うん!」



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:36:11.90 ID:EsM6gPky0

澪「そして二つ目の願い、バンドを組むこと。これも叶う」

澪「さぁ演奏を始めよう律。これが私達の本当の…始まりだ」

律「そうだな…よし!やってやろうぜ相棒!」

澪「望むところだ!」

律「みなさんすみませんでした!!!もう一度聞いてください!!!」



律澪「ふわふわ時間!!!」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:46:56.63 ID:EsM6gPky0





『すげー!上手だなー』

『いいぞー!もっとやれー!』

律「はぁ…はぁ…やった…大成功だ!」

和「まさかここまで成功するなんて…」

紬「よかった…本当に…」

澪「…唯、ありがとう。今日のライヴが成功したのは唯のお陰だよ」

唯「違うよ、澪ちゃんが来てくれたからだよ。ありがとう澪ちゃん♪」

律「しかし澪のベースの腕も結構上がったな」

澪「まぁな。私はいつか来る日の為にずっと練習してたんだ」

律「いつか来る日?」

澪「そう、私もやっぱり夢を諦めきれなくてね。二人で追いかけたあの夢がね」



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 08:57:13.57 ID:EsM6gPky0

律「ありがとう澪…。それとみんな、ごめん。先に謝っておくよ」

唯「え…?」

律「今日のライヴ、本当に楽しかった!最高のライヴだったよ!」

和「………」

律「…でも、それも私は忘れちゃうんだよな…本当にごめん」

紬「………」

律「私は…この気持ちを忘れたくない…ずっと覚えていたいよ…」ぽろぽろ

澪「…安心しろ。忘れたら私が思い出させてやる。…必ずな」

唯「私達もいるよ。同じ軽音部の仲間だもん。ずっと一緒にいるよ」

律「…ありがとう澪、みんな。…私、みんなと会えて本当によかった…!」ぽろぽろ

澪「ああ…私もだよ律…」ぽろぽろ

律「えへへ…みんな…だい好



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:02:01.22 ID:EsM6gPky0

がちゃっ

唯「いやーごめんごめん!遅れちゃったよー!」

和「遅いわよ唯!何してたの?」

唯「ちょーっと掃除が長引いちゃってさ…」

紬「あらあら♪」

和「まったく…今日は新入部員が来るんだからね?」

唯「わかってるよー」



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:22:13.69 ID:EsM6gPky0

?「うー、ここはどこだ…?」

軽音部に入部する筈の今日、私は部室の場所がわからなくて迷っていた。

?「あの先生の話だとこのあたりの筈なんだがな…?」

?「そんなところで何やってんだよ…?」

?「ひゃっ!?」

不意に後ろから声をかけられ、私は何とも間抜けな声をあげてしまった。

…誰だよちくしょー!…ってこの人は…!

?「秋山さん!よかったー!部室の場所がわからなくて困ってたんだ!」

澪「はぁ…?仕方ないな…ついてこいよ」

?「やったー!よろしくお願いします!」



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:30:22.80 ID:EsM6gPky0

?「ねぇ秋山さん。ひとつ聞きたいんだけど、軽音部ってどんなところ?」

澪「そうだなぁ…あんまり練習もしないでダラダラしてばかりの部活だな」

?「なんだそれぇ?そんなんで大丈夫なのか?」

私にはプロになるという夢がある。その夢の為に、部活でいっぱい腕を磨きたい訳だ。

澪「安心しろよ。あいつらならお前をプロに導いてくれるかも」

?「そうですか…って…え?なんで私の考えていることが…?」

澪「長い付き合いだからな。大体分かるよ」

長い付き合いって…。確かに小中高は一緒だけどそんなに話した記憶がないぞ?

澪「…ほら、ついた。ここが軽音部だ」

がちゃっ



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:46:26.63 ID:EsM6gPky0

唯「おかえり澪ちゃん!りっちゃん!」

澪「あぁ、ただいま」

律「…あ……」

…私はすぐに全てを思い出すことができた。

それだけ、私がこの軽音部の連中を愛しているからだろう。

唯「りっちゃん?」

律「…ただいま、唯…澪!」

ここにいれば、私は何も忘れることはない。

この素晴らしい仲間たちと一緒なら。




                    
                         おしまい



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:50:30.30 ID:EsM6gPky0

おわった…最後の方は死んでました。
頭が働かなくなるんです。眠いです。

最後は投げやりですいません。でももともとこんな感じで終わらすつもりでした。
ていうか毎度のことながら何も考えずスレタテしたんで話がむちゃくちゃです


最後まで読んで下さった方々、本当にありがとうございました。

もう10時ですね お休みなさいノシ




203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:50:17.67 ID:RGoLqNYnO

乙でした



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:51:53.57 ID:1oNEyCUC0

おつかれさん
ゆっくりねれ



206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:53:20.74 ID:UC090qkTO

1乙!

仕事頑張れ



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:53:21.69 ID:gkBKtqMEO


面白かったぞ



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 09:53:28.75 ID:H+pYsotb0

よかった乙
律のキャラサンをエンディングとして聞いて俺は寝る



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 10:04:25.39 ID:Jy6rCpfaO

ありがとうおつおつ!



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 10:58:23.83 ID:ZVw7Pty5O







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澪「こんにちわ」
[ 2011/07/15 18:54 ] 非日常系 | | CM(0)

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