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唯「岡崎さん…私……」#後編 【非日常系】


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唯「岡崎さん…私……」#前編
唯「岡崎さん…私……」#中編
唯「岡崎さん…私……」#後編






237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:07:00.15 ID:mOdUVLjnO

暑い7月が過ぎ、夏休みなった。
しかしやはり三年と言うことと、この進学校は夏期講習なんてものがあり…
夏休みに関わらず普通に登校する毎日を送っていた。

昼休みはみんなで飯を食べ、放課後は部室でお茶をしながら音楽のことを語り明かしたり。
海に行ったりもした。他にも律が提案した夜中の学校肝試し等々。
勿論許可は取っていた。勿論、あの縁が太い眼鏡をかけた女の子、真鍋和にだ。
何でも生徒会長には顔が利くらしい。最近では何かと頼りにしてたりする。

そんなこんなで暑い8月も終わりを告げ…季節は9月を迎えていた。
そう、文化祭のある9月に

文化祭まで残り2週間を切った俺達は、部室でひたすら練習に明け暮れていた。



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:14:18.18 ID:mOdUVLjnO

澪「ダメダメ!もっとそこはこう~♪って感じじゃないとまとまらないだろ!」

律「なこと言われてもいっぱいいっぱいなんだよ!」

澪「なんだよ!
  律が私の走り気味なドラムを思う存分発揮出来る曲作ってって言うから私とむぎで作ったのに!」

律「あぁ~わかったわかったよ!」

澪「じゃあもう一回頭から行くぞ!みんなもいい?」

唯梓紬「」コクリ

律「はい1.2.3.4.123!」

岡崎「……大変そうだな」

春原「だねー」

岡崎「まあ本番まで二週間切ってるから当然と言えば当然か」

春原「そうだねー」

岡崎「…………」

春原「……やることないよね…僕達」

岡崎「まあな…」



240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:23:47.12 ID:mOdUVLjnO

帰り道─────

律「あ~疲れた~…最近毎日こうだもんな~」

唯「しょうがないよぉ~もう本番まで時間がないし」

澪「あのままじゃお客さんに笑われちゃうよ」
律「むっ!私が悪いって?!」

澪「そうは言ってないだろ?」

紬「まぁまぁ」

唯「りっちゃんどうどう」
律「疲れた…アイス食べたい」

梓「よって帰りましょうか。たまには息抜きも必要ですし」

律「いえ~い喜べ唯~!アイスの許可が梓さんから出たぞ~!」

唯「アイス♪アイス♪」
春原「帰りまで空気だとへこむよね」

岡崎「あぁ……」
澪「そう言えば春原はなんでついてきてるんだ?寮はあっちだろ」

春原「今日は岡崎と息抜きにゲーセンさ」
澪「暇そうだな」
春原「うるさいよっ!」



244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:32:35.42 ID:mOdUVLjnO

カチャカチャ
「……むっ?」

律「アイス~アイス~」
「!!!おい貴様ら!そこに直れ!」

律「ん?なんだ?」

唯「上から声が……」
澪「したような…」

タンッタンッタンッ

上からゆっくりと降りてくる男

岡崎「あぁ電信柱の上で工事してたんだな。でも俺らなんかしたっけ?」

「お前達、なんでこんな狭い道で横一列で闊歩している?」

律「ここは車通らないしいいだろ~おっさん」
「おっ、おっさん!?俺はまだ20代だ!そんなことはいい…。特に許せないのがお前だおでこ」

澪「おでこって…」

岡崎「まあ一人しかいないな」

律「わ、私?!」
「そうお前だ。お前さっきこのコーンの内側に入って来ただろう?」

男の言う通り電信柱を囲む様に三つの赤いコーンが立てられていた。



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:39:24.70 ID:mOdUVLjnO

律「そうだっけ…」

「そうだ!いいか?このコーンの内側に入るってことは
 上からスパナやドライバーが降って頭に当たったとしても文句は言えないと言うことだ」

律「そ、そうなの?」

「勿論俺は職人だ。そんなヘマはしない…だがこの人生どこで何があるかわからないのが常だ!
 愛する者が消えてしまう…そんな悲しみを誰にも味わって欲しくない!だからこそのこのコーンなのだ!」

律「コーンが…そんな大切な役割を……」

「そうだ!このコーンには俺の…愛が詰まっている!
 だから少女よ、このコーンを…見かけだけで判断しないでくれ」

律「ごめんなさい…私……そんな大切なコーンとは知らないで…内側を…」



247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:44:58.92 ID:mOdUVLjnO

「わかればいいんだ。
 なんだ、最近の子供(ガキ)はバカの一つ覚えに反抗するだけかと思ったが…
 まだまだ捨てたものじゃないな」

律「今度から気を付けます!」

「あぁ!俺の、いや…職人達の愛を…無駄にしてくれるなよ。お前らも」

岡崎「……えぇ」

澪「はあ…」

紬「暑苦しい…」

梓「わかり…ました」

唯「カッコいい…//」ポッ

岡崎「なんだ…と?」

春原「も、もしかして……その声…その顔…芳野祐介さんですか!?」

芳野「あん?俺を知ってるのか?」

律「芳野…」

澪「祐介……」



248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 00:52:44.09 ID:mOdUVLjnO

岡崎「知ってんのか?」

春原「知ってるも何も僕がギターを始めたきっかけの人だよ!前に言っただろ?!」

岡崎「忘れた」

春原「えぇっ……」

律「芳野…祐介。覚えてるか、澪」

澪「うん……私達が初めて行ったコンサートのロックバンドグループの…ボーカルの人だよ!」

律「灯台もと暗しだなこりゃあ…」

芳野「なんだ?」

律「芳野祐介、私はあんたにどうしても聞きたいことがあったんだ」

芳野「俺にか?」

律「あぁ。もう覚えてないかもしれないけど…
  ここのライブホールでしたライブの…最後の曲。
  あれを唄ったのは確かここが最初で最後だったよな?」

芳野「……あぁ。その事なら良く覚えている」



249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:00:29.15 ID:mOdUVLjnO

澪「あなたは最後の曲で……唄いながら泣いていた。
  私と律は…その理由がずっと知りたくて…音楽をしてきたんです」

律「あの舞台に立てば…いつかあんたの気持ちがわかるんじゃないかって…」

芳野「……それを言うならおでこ、お前もだ。
   あの時お前達は最前列にいただろう?そこで、俺の曲を聴いて泣いていた。
   あれは感動や、衝動なんかじゃなかった。ただ純粋に…お前泣いていた」

澪「そうなの?律」

律「うん……。本当に切ない曲で…でも…ボーカルの人の声がそれを支えてくれる感じがしてさ。
  人間はこんなにも感情を表せられるんだって思ったら…辛くて」

芳野「辛い…?どうして?」

律「だってさ…何でも感情を表せられるってことは……その分隠すのが難しくなるってことじゃん…」

芳野「!!!」



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:07:07.63 ID:mOdUVLjnO

律「世の中ってさ……そんな綺麗事ばかりじゃない。
  そんな世界でどんな感情をも表せる…って…辛いことだと思ったんだ。
  芳野祐介と言う男は…こんなにも愛されてるのに、
  本当はその表に出せないでいる感情に…押し潰されてるんじゃないかって」

芳野「……お前、名前は?」

律「律…田井中律」

芳野「律か…いい名前だ。旋律や調律…すべての音をまとめると言う意味合いか。
   こんな所に…答えを持っていた人間がいたなんてな…」

律「芳野さんは…あの時…何で泣いてたんですか?」

芳野「この街はな…俺の故郷だからだ。そしてこの街には、俺の愛した女性がいた。
   その人の為に、唄った曲だったんだ。泣いちまったのは…その人が…見ててくれたから…。」



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:14:34.47 ID:mOdUVLjnO

澪「ようやく…長年のもやもやがなくなったな、律」

律「うん……っ」

芳野「こうして巡り合わせてくれたこの街と、このコーンに…感謝だな」

律澪「はい!」

芳野「これからも音楽がんばってけよ!」

律「芳野さんはもう唄わないんですか?」

芳野「唄はいつもで唄っているさ、この街のどこかで…な。プロになって唄うことだけが全てじゃないさ」

澪「一度プロになったから言えるセリフですね…!」

芳野「じゃあな!俺はもう行かなきゃならない。またいつかこの街で会おうお前達!」

律「よっしの!よっしの!」

澪「よっしの!よっしの!」

紬「………おえぇぇぇゲロ吐いちゃうよぉぉぉぉぉ!」

唯「むぎちゃん落ち着いてぇっ!」

岡崎「……何だったんだ…あの人は」

そのよしのコールは、いつまでも鳴り止むことはなかった



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:26:02.66 ID:mOdUVLjnO

文化祭まで残り一週間という日だった。
いつも通り部活を終え帰る私達。
私とりっちゃんのアイス~アイス~攻撃が功を奏したのか
久しぶりに駅前のアイス売り場でのんびりしてた時でした。

律「しっかしアイスってなんでこううめぇんだろうな~唯」

唯「わからないよ~りっちゃん、だからこそいいんじゃないかな?」
律「だよねぇ~」

アイス売り場の数少ない椅子を占領する私達、思えばこれがいけなかったのかもしれません。

DQN女1「ちょっとさ~あんたら邪魔なんだけど」
DQN女2「そこ私達の指定席なんですけどぉ~」
DQN女3「ほんとウザい。てかウザい!ハハハ」
律「なんだこいつら…」

澪「感じ悪いな…行こうみんな。せっかくアイスが不味くなる」
DQN女4「ちっ……」

そう言ってみんな立ち上がり、あっちに行こうとした時でした。

ガッ

澪「うわっ…」

ドテーン



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:33:14.72 ID:mOdUVLjnO

DQN女4「ハッハッウケるwwwドテーンってwww 」

律「こんのぉ…」

澪「いいんだ、律。みんな、行こう」

優雅に立ち上がって砂を払い歩いて行く姿…大人です、澪ちゃん

DQN女3「何すましてんだよあの女。あいつぜってぇ処女守ってますって感じのキャラじゃない?」

DQN女2「あるあるwwwwww今時黒髪ストレートって貞子かよっwww 」

DQN女1「マジキモいんですけどwww」

律「唯、梓、むぎ、行くぞ」

唯「わ、わかった」

しかし慌てていた私は…何もないところでつまずき…そしてそのアイスが……

ペチャ

DQN女1「ペチャ?」

唯「あっ……」
梓「あっ……」
紬「あらざまぁ」
律「プププ」



256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:38:28.16 ID:mOdUVLjnO

DQN女1「てめぇ…」

唯「あ、あのあのごめんなさいっ」

DQN女2「ごめんなさいで済んだらGメンいらねぇんだよ!」

DQN女3「クリーニング代払えよ!」

DQN女4「ざっと20万ぐらい?ハハハ!」

唯「あ…うぅ……うちにそんなお金…」

紬「20万でいいのかしら?」サラサラサラ

紬「はいこれ小切手。精々その薄汚い服を何回も何回もクリーニングすればいいわ。
  まあ着ているのがあなたじゃ一緒でしょうけど」

DQN女1「んだとぉこのたくわん!こんな紙切れもらってもしょうがねぇんだよ!現金だせよ現金!」

澪「なら私のクリーニング代も、20万もらおうかな。こかされちゃったおかげで汚れちゃったから」



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:46:42.69 ID:mOdUVLjnO

DQN女1「てめぇの服なんざボロ切れだろうが!」

紬「そちらの名前も知らない頭悪そうな高校の制服よりはいい生地でできてましてよ?」

梓「あ、あの!皆さん落ち着いて!」

DQN女2「ゴキブリはすっこでな!」

梓「ご、ゴキブリ…」

律「こうなったらとことん白黒つけてやろうじゃねぇか!どっちが悪いのか!」

DQN女3「上等だこのデコ!」

唯「な、なんとかしないと……」

春原「は~いはい解散解散。君達F高だよね?さっき馬面した怖~い先生が見回ってたよ?」

DQN女2「やっべ鬼河原だ!」

DQN女1「ちっ……行くぞお前ら!覚えとけよてめぇら…」

タッタッタッ

春原「覚えとけ~なんてありきたりな負けセリフだよねぇ」



260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 01:54:50.09 ID:mOdUVLjnO

唯「春原君!さすが男の子!頼りになるなぁ!」

律「助け方はカッコ良くなかったけどな。でもまあありがと春原」

澪「ほんとに助かったよ…春原。大事な時期だし揉め事は避けたかったからな」

梓「ご、ゴキブリ……」

唯「あずにゃんよ~しよ~し…」

梓「ふ、ふぇぇ…ん」

春原「大丈夫か?紬」

紬「え、えぇ。ありがとう春原さん」

春原「来るのが遅れてごめんな…
   もうちょっと僕が早く来ていれば…君がこんな思いせずにすんだのに」

紬「は、はあ…」

律「(なんか春原がいつもと違うぞ)」

澪「(きっとむぎのことが好きなんだ。じゃないとあんな真面目な顔にならないよ)」

唯「(カッコいいね春原君!)」

律澪「(それはない)」
唯「(でも見てよむぎちゃんの顔…満更でもないって顔してるよ?)」



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 02:00:05.92 ID:mOdUVLjnO

律「(どれどれ…)」

澪「(じー……)」

紬「………」ウザッ

律澪「(つむぎ目が死んでるぅぅぅ!)」

春原「ともかく早く帰った方がいいよ。F高の奴等は本当しつこいからさ」

唯「うん、ありがとう春原君!」

春原「(嗚呼、やっぱり唯ちゃんの笑顔が一番眩しいよ……)大好きだ」

唯「えっ?」

律「春原、声に出てる出てる」

春原「じゃ、じゃあまた明日!」

そうしてその一日は終わりました。ちょっと怖かったけど…
終わって見れば何てことはない一日、
けれど…これが後々あんなことになるなんて…思っても見ませんでした



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:07:00.45 ID:mOdUVLjnO

文化祭まで残り一日

いよいよ明日に迫った文化祭。最後に体育館でリハーサルすることになっていた。
俺達はみんなで楽器を体育館へ運びこみ、音響などのチェックをしていた。

岡崎「これで全部か」

紬「はい、ご苦労様です岡崎さん」

春原「全く…律のバカ思いドラムセット持って来るのは本当一苦労だったよ」

律「な~んか言ったか~?春原~」

春原「いえ!別に!何でもございません!」

律「よろしい」

岡崎「しかしいよいよ明日か…色々あったけどようやくライブだな…」

唯「私はあっという間だったけどね。あの坂で朋也君と出会い…
  そして軽音部を作るために朋也君は一生懸命走り回ってくれて…あれ?私何もしてないや」

岡崎「何言ってんだ。俺はお前がいなきゃそもそも軽音部何か作らなかったよ」



272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:14:18.66 ID:mOdUVLjnO

唯「そっかぁ…だよね!えへへ//」

岡崎「そうそう。」

澪「さて、みんな!最後のリハーサル行こうか!」

全員「おー!」

「なんだ?なんだ?」

「何か校門に他校の生徒がいるらしいよ!」

「うっそー今の時代に出待ちって古風ねぇ」

「あれ確かF高じゃん。この辺り占めてる谷口って奴がいたらしい」

「あの谷口?マジかよ……
 だとしたら出待ちされてる奴らやべぇって。あいつメンチで犬ビビらすらしいぜ?」

「それってすげぇのか?」

「さあ?」

岡崎「何か表が騒がしいな…」

律「まさか……」

春原「ちょっと見てくる」

岡崎「おい春原!待てよ!」



273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:19:21.56 ID:mOdUVLjnO

校門前──────

谷口「オラ!とっとと俺の女に恥かかせた奴ら連れてこいっつってんだよ!
   デコと在日とゴキブリとたくわんと池沼っつったらわかんだろ!?」

生徒J「さ、さあ…」

不良A「さあ?じゃねぇんだよコラ!谷口さんに何タメ口きいとんじゃわれ!死ぬか?」

生徒J「ひっ……」

生徒K「先公はまだかよ!」

生徒L「ビビって出て来ないんじゃないの?」

生徒M「ちっ……ここじゃ俺の能力に皆を巻き込むか…何とかしないと」



274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:26:54.67 ID:mOdUVLjnO

新校舎2階、2年C組

結局気になって全員見晴らしのいい2年C組に来ていた。
ここは文化祭の時休憩室になる予定なので準備をしている人はいなかった

春原「あっちゃ~あれF高の奴等だよ。
   ほらあの後ろ、前律達に絡んでた奴らじゃん。男連れてきて乗り込んで来たんだねぇ~」

律「ど、どうしよ」

唯「怖いね…」

春原「今先公大体出払ってるからね~男で行きそうなのって行ったら……あっ!あいつ社会の」

梓「先生……」

不良の群れに向かって行くのはあの社会の先生だった。

梓「先生がんばって!」

春原「何か言われてるねぇ…あ、殴られた!……逃げてったねぇ」

梓「先生……」

澪「どうしよどうしよ」

唯「寝ちゃおう寝ちゃおう!」

澪「もう寝ちゃおう!」

岡崎「おい」



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:34:28.02 ID:mOdUVLjnO

……………

岡崎「事情は大体把握した。しかしそれだけのことでここまで乗り込んで来るなんてな…」

春原「まああいつら教室殴ってたしそろそろ警察が来るんじゃない?」

岡崎「あいつらだってそんなことわかってだろう。なら痺れを切らしたら次にどんな行動を取るか…」

春原「まあ、乗り込んで来るよね」

梓「二人の言うとおりです!中に入ろうとしてます!」

岡崎「やっぱりか……ちっ……中庭で迎え討つ。お前らはここから動くな!いいな?」

唯「駄目だよそんなの!」

岡崎「今回の騒ぎの張本人はお前らだ。
   それがバレたらあの時悪かろうが良かろうがどのみちライブは中止だ!間違いなくな」

律「でも…」

岡崎「俺が時間を稼ぐ、だから絶対動くなよ!わかったな?」

タッタッタッ



276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:41:44.97 ID:mOdUVLjnO

紬「春原さんも…行ってあげてください」

春原「僕は駄目だよ。だって軽音部だもん。
   その僕が厄介事起こしたら結局中止になるだけだよ、ライブが」

紬「それでもあなたは岡崎さんの親友ですか!?」

春原「親友だからこそ…行けないんだろうが。
   岡崎はもう事実上軽音部じゃないからああやって無茶承知で行ったんだよ!
   俺だって行ってやりたいさ」

さわ子「安心しなさい、あなたは元々軽音部じゃないから」

唯「さわちゃん先生!」

律「さわちゃん!あいつら止めてよ!」

さわ子「や~よ怪我したくないし。
    あいつらもう教師だろうが見境なしよ。まあでも警察を呼んだからじきに来るわ」

春原「先生、軽音部じゃないってことは下で暴れてもライブは中止にならないって事ですよね?」

さわ子「えぇ。あなた記入用紙出してないからね。前々から何でいるんだろうって思ってたけど」



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:46:40.69 ID:mOdUVLjnO

春原「この時ほど自分のアホさ加減に感謝したことはないよ…じゃあ行ってくる」

唯「春原君…!」

春原「大丈夫、岡崎は僕の親友さ。死なせたりしない」

律「春原……私達のせいで…」

澪「本当に…なんて言っていいか分からないけど……ごめん」

梓「すみません……」

春原「君らは悪くないだろ?しいて言うなら運が悪かっただけ…かな。
   だから気にしないでよ!ライブ、楽しみにしてるよ」

紬「気をつけて…ね。陽平君」

春原「あぁ、任せときなって紬ちゃん」

タッタッタッ

さわ子「戦うのが男の子の宿命…か。変わらないわね、昔も今も。頑張れ、男の子」

女神達が応援してるよ



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:53:42.01 ID:mOdUVLjnO

中庭───────

谷口「どこだデコ!在日ぃ!」

DQN女1「たにぐっちゃんそろそろヤバくない?
    教師とかあんだけ殴ったらさすがに警察来ちゃうよ…」

谷口「警察だあ?そんなもん俺のメンチで一発だっての!
   俺の大事な大事な女に恥かかせてくれた礼はきっちり返さねぇとな」

岡崎「残念だがここまでだ」

不良B「んだぁてめぇは?」

岡崎「(1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13人って所か男は。
    さすがに乗り込んで来るだけあってみんないいガタいしてやがる)
   もうじき警察が来る、悪いことは言わないからさっさと逃げた方がいいぞ」

谷口「…てめぇ岡崎だな」

岡崎「意外と有名人なんだな俺って」

不良C「誰ッスか岡崎って?」

谷口「ここは進学校なのによ、そんなもんかなぐり捨てて不良やってるって奴がこいつと後春原って奴だ。
   人生棒に振ってまでツッパってんだ…恐らく半端じゃねぇぞ」



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:01:08.44 ID:mOdUVLjnO

不良D「マジかよ…すげぇ気合いだな」

谷口「だからよ、お前とはいっぺんやってみたかったんだ。タイマンだ」

岡崎「……いいぜ
   (助かった。タイマンなら時間が稼げる。この人数じゃ正直一人じゃ話にならないからな…)」

谷口「んじゃ行くぜぇ!」

岡崎「(はやっ───)」

と思う前に谷口のヘッドバットが岡崎の脳天を揺さぶる

岡崎「がぁっ……クッソ!」

負けじと手を出す岡崎、岡崎の拳も決して遅いわけではない。
しかし喧嘩の場数が違い過ぎたのだ。

谷口「おっせぇ!」

谷口の左ジャブが二発、岡崎の顎と頬にクリーンヒットしその衝撃で岡崎は思わず鑪(たたら)を踏んで後退

岡崎「(こいつ口だけじゃねぇ…な)」

唇にまとわりつく血を手の甲で拭い去る



282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:07:02.52 ID:mOdUVLjnO

岡崎「久しぶり本気でやれそうだ」

勿論ハッタリだ。さっきの動きが限界、寧ろ今は呼吸もしにくい分さっきより動きは悪いだろう。
しかし男と言う生き物に生まれたからには、それでも引き下がれない時が人生に何度かあるものなのだ。
そして岡崎も、その時を迎えていた。

谷口「上等だァ!」

ガスッ、ガスッガスッ!

ガスッガスッガスッ!

そこからはただの殴り合いとなっていた。ただタフな方が勝つインクロスファイト。
谷口はこんなことをせず、先程の様に足と喧嘩殺法を軸に戦っていれば敗けはなかった

岡崎の腫らしながらも相手を睨み付けるその瞳が、谷口を決着へと焦らせたのだ。

そして数分後、そこに立っていたのは岡崎朋也だった。



283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:16:39.51 ID:mOdUVLjnO

岡崎「はあ…はあ…はあ…」
不良E「タイマンで……谷口さんが負けただと…?」

不良F「ありえん…」
岡崎「帰れ……警察が来る前にな」

谷口「や、やるじゃねぇか……だがなぁ……真の谷口はこっからだぜ?」

不良G「出るぞ!谷口さんの第二形態が!」
谷口「こいつを外すのは久しぶりだ……」

岡崎「パワーアンクル……だと?」
谷口「クックックッ……」

ドサッ

不良H「終わったな…」

不良I「あぁ。あぁなった谷口さんは肉眼で捕捉するのが難しいからな」
岡崎「ここまでか……」

春原「させるかああああ!」
谷口「何っ!?」

死角からのいきなりの体当たりで大きく吹っ飛ばされる谷口

岡崎「春原!お前っ」
春原「心配ないよ岡崎、元から僕は部員じゃない。久しぶりに思いっきり暴れようぜ!」
岡崎「ちっ……お前って奴は。よし!一丁やるか!」



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:24:23.92 ID:mOdUVLjnO

和「そこまでよ!」

岡崎「お前は……」

春原「真鍋和(まなべのどか)!」

岡崎「それに柔道部の龍!拳!」

龍「無事か岡崎。この学校の為に良くやってくれた」

拳「俺達が県大会でいない間にやってくれたじゃないの」

春原「相撲部の本田まで…」
本田「どすこい!」

和「もうじき警察が来るわ」

谷口「ほぅ…精鋭引き連れて女王様気取りかいねぇちゃん……だがなぁ!」

和に向かって殴りかかる谷口

それをあっさり避ける和

和「これで正当防衛ね」
龍「死んだな、あやつら」

拳「だな…」

本田「ど、どすこい」



285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:30:50.89 ID:mOdUVLjnO

……………

岡崎「人が飛んでくの久しぶりに見たな…」

龍「リアル竜巻旋風脚を使えるのは彼女だけだろうな」

拳「全くだな」

春原「僕…何で来たんだろう」

和「あなた達二人は後で生徒会室へ来て。先生方もいらっしゃるから」

岡崎「……わかった。だが勘違いするなよ。俺は帰宅部だからな」

春原「何で僕まで呼ばれるのかはわからないけどさ…同じく帰宅部なんでよろしく」

和「えぇ、わかってるわ。彼女達のことを隠すために人柱になれ、と言えば尚納得しやすいかしら。
  こいつらはあなた達を逆恨みして乗り込んで来た、OK?」

岡崎「和……。OKだ」

春原「今更停学なんて怖くないよ!」



286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:36:21.79 ID:mOdUVLjnO

あの後警察が来てF高の奴らは署に連行され、取り調べを受けてから学校に引き戻されるらしい。
恐らく退学だろう。そして俺達と言えば……


生徒会室─────

岡崎「あの…なんて?」

校長「聞こえなかったかね?君達は退学だ」

春原「待てよ!俺達は別に何もしてないって言ってんだろ?!
   勝手にあっちが因縁つけてきて乗り込まれて退学なんてやってられっかよ!」

和「彼らの言い分もあります。三年のこの時期に退学は余りにも厳しいかと」

校長「しかしだな、明日は大事な大事な文化祭の日だと言うのに彼らの日頃の行いで中止になりかけた。
   展示物を壊されたり怪我をした生徒もいる。これは大変遺憾だよ私は」



287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:44:17.91 ID:mOdUVLjnO

生徒会長「だがしかし校長先生。彼らはこの学校の生徒を守ろうと奴等に立ち向かったんですよ?!
     教師の方々が臆病風を吹かせている中で!
     これは彼らのこの学校へ対する敬意だとは思いませんか?」

校長「う~む……」

和「彼らは私が危ないところを助けてくれました。
  確かに暴力はいけないことだと思います、
  ですが守る為に振るった拳は、暴力ではなく勇気と言うのではないでしょうか?」

春原「(よく出てくるね~自分が全員ぶっ飛ばしたくせにさ)」

岡崎「(いいから黙ってろ)」

校長「君達がそこまで言うのなら……退学は取り止めにしよう。停学一週間、いいな?」

和「ありがとうございます…校長先生」

岡崎「(停学一週間か…ライブは見れないけど…まああいつらが無事演奏出来るならいいか)」



288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 04:50:57.59 ID:mOdUVLjnO

文化祭当日─────

昨日はあのまま帰されてそのまま停学だからな…
外に出てるのが見つかれば即退学ってんじゃ行きたくても行けないか…
あいつらちゃんと上手くやれるかな

ピーンポーン

岡崎「ん?こんな朝早くから客?」

ピンポンピンポンピーンポーン

岡崎「はいはい今開けますから。後宗教はお断りだからな」

ガラララ

ギュッ、ギュムッ、ギュギュッ

岡崎「な、なんだ?」

律「岡崎ごめんよぉぉぉぉぉぉぉぉ」

澪「私達の為に停学なんて…」

梓「不憫すぎます…」

唯「おかざ……ぎともやぐん……ほん゛とに……ごめ゛んな゛さ゛い……」

岡崎「お前ら……わざわざ来てくれたのか」



289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:02:41.53 ID:mOdUVLjnO

唯「だって…いっつもいっつも朋也君には助けられてばっかりで…。」

律「今回は私達も助けられてたからな…」

澪「うん…」

岡崎「気にするな、俺が好きでやったことだからさ」

律「なんであんたは…そんないいやつなんだよ…諦めきれなくなるだろ…」

澪「律…」

岡崎「?」

梓「岡崎君傷の具合はどうですか?」

岡崎「ん?あぁ、まあまあだ。」

梓「そうですか…。停学だから…ライブは見にこられないんですよね…残念です」

岡崎「いいさ、俺はお前達の演奏は何回も何回も見てるからな!
   必ず成功させろよ!俺や春原の分まで」

律「任せとけ!」

澪「うん!頑張るよ!」

唯「……」

岡崎「唯……。そういや琴吹は?」



290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:09:36.12 ID:mOdUVLjnO

梓「むぎちゃんなら春原さんのところへ行きました。
  時間の都合で二人とも寄ることは出来なかったので…」

岡崎「そうか、琴吹がねぇ」

梓「じゃあ私達もそろそろ行きますね。」

澪「うん……」

律「…んだ。じゃあな岡崎、ほんとにありがとう…今までのこと」

岡崎「おいおい二度と会えないみたいな言い方するなよな。
   一週間の停学明けたらまた一緒に飯でも食おうぜ」

律「……うんっ!」

そうして三人は歩いて行った、ただ一人、唯だけを残して

岡崎「どうした?唯。もうみんな行ったぞ」

唯「朋也君は…ズルいよ……いつもはずっと側にいてくれて…
  こんな大事な時にいなくなるんだもん…私……不安だよ」

岡崎「……」



291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:14:21.23 ID:mOdUVLjnO

岡崎「ごめんな…唯」

唯「でも……いつも朋也君は私達みんなを守ってくれた。
  そんな朋也君の気持ち……無駄にしたくないから」

岡崎「あぁ、行って…唄ってこい!精一杯演奏して来い!
   三年最後のライブ、悔いを残さないようにな」

唯「うん!行ってきます!朋也君!」

岡崎「あぁ!」

こんな時に行けない自分が歯痒くて、でも、今の唯なら大丈夫
きっと一人でも上手くやってけるさ

そう、思っていた



292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:31:08.94 ID:mOdUVLjnO

寮───────

コンコン

春原「は~い開いてますよ~」

ガチャリ、キィ…

紬「春原君、具合はどうですか?」

春原「紬ちゃん。わざわざ来てくれたんだ。大丈夫だよ。
   僕が殴られる前に終わっちゃったからね。停学損って言うか…カッコ悪いよね」

紬「うぅん。そんなことないですよ。あの時の春原君、カッコ良かった」

春原「そ、そうかな//」

紬「うん」

春原「…僕ってさ、キャラがこうだから何言っても真剣に受け取られなくてさ…
   参っちゃうよね。だからいっつも振られてばかりでさ…」

紬「……春原君」



293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:31:52.96 ID:mOdUVLjnO

春原「陽平でいいよ紬ちゃん。そろそろ準備する時間でしょ?
   ここまで来てさすがに退学にはなりたくないから大人しく寮から君達の健闘を祈ってるよ」

紬「ありがとう、陽平君」

そう言って立ち上がる紬、春原に背を向けてから、小さくこう言った。

紬「私には、告白してくれないんですね」

春原「っえ…」

紬「じゃあ……」

春原「待ってよ!あの…さ、僕…本当こんな不真面目で不甲斐ないやつだけど……
   本当に紬ちゃんのこと大好きです!付き合ってください!」

紬「───────」

春原「えっ……」



295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:48:20.49 ID:mOdUVLjnO

体育館──────

『吹奏楽部の皆さん、ありがとうございました。
 次は軽音楽部による演奏です。準備の為10分少々お待ちください』

和「はい、じゃあ次は軽音部ね。時間は20分だから、いいわね?」

律「了解!しかしいよいよか…」

澪「緊張してるのか?律」

律「誰が!ただこれは今いる私達だけのライブじゃない。
  いない岡崎や春原の為にも…私達が頑張るんだ!」

梓「そうですね…」

紬「えぇ♪」

唯「う、うん」

律「じゃあ円陣行っとくかぁ!」

みんなが肩を組み合い一つの円になる。

律「軽音~ファイ!」

澪梓紬「オ~!」

唯「……」



296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 05:49:17.64 ID:mOdUVLjnO

そして、いよいよ幕が上がる。

私の、私達のみんなの想いが一つになったこの軽音部の……最初で最後のライブ

生徒11「きゃー!澪先輩!頑張ってくださーい!」

生徒12「軽音部~!頑張れよ~!」

そこには数百人の人がいて、私達を見ていた。

ドキッ、ドキッ、ドキッ、ドキッ

鼓動が早くなって行くのがわかる。

駄目だ……緊張するな…飲まれたら……

昔の悪夢が甦る。大切な妹が死に、それ以来しばらくずっと声を出せなかった日々を

今は違う…

何が違うの?

朋也君は…ここにはいないのに

唯「あ────」

その瞬間、私の声は停止した



297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 06:04:37.57 ID:mOdUVLjnO

岡崎家──────

岡崎「暇だな…しかも落ち着かない。」

後30分で唯達が演奏する頃か…。

岡崎「まあ…大丈夫か」

そうやって思ってはまた気になっての繰り返しだった。

岡崎「やっぱり気になるな…」

「岡崎さん……」

岡崎「ん?」

「お姉ちゃんにはあなたが必要なの。だから、行ってあげて」

岡崎「もしかして…憂ちゃんか?」

憂「私のこと、覚えててくれてたんだ」

岡崎「いや、唯から聞いたことしかない。一歳下の妹がいたって…」

憂「そうですか…あの岡崎さんは…もう。だけどこうして話せた。
  だから、言いますね。お姉ちゃんを…助けてあげて、岡崎さん」

岡崎「唯を?」



298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 06:07:29.43 ID:mOdUVLjnO

憂「私のお父さんが迎えに来ます。私が呼んでおきました。
  どうかお姉ちゃんをよろしくお願いします、岡崎さん。
  私のことで生んだもので姉は不幸になりました…だから……私は……」

岡崎「憂ちゃん?憂ちゃん!」

……………

岡崎「憂ちゃん…。でも今の唯に心配事なんて…」

ピーンポーン

岡崎「うおっ、マジで来た。」

ある程度支度をすまし玄関に直行する。変装には必須の帽子も勿論被っている。

岡崎「おっさんか?」

ガラララ

秋生「予知能力者かてめぇは。準備は出来てるな、行くぞ」

岡崎「行くってどこに?」

秋生「学校に決まってんだろうが。話は行きながらだ、時間がねぇ」

岡崎「おいおっさん!待てよ!」



299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 06:14:44.30 ID:mOdUVLjnO

───────────

ざわざわ……

ねぇ、いつまでああしてるつもりかしら

何で誰も話さないの?

お~い演奏出来ないなら引っ込んでろよ軽音部!

段々とそのざわめきは大きくなっていく。

その異変に気付いたのか一番近く、ベースの澪が唯に声をかけた。
MC担当は唯で、その唯がいつまでも黙っている。
初めは緊張しているのだろうと思っていたが、そろそろ2分を過ぎようとしていた。

さすがにこれをただの緊張とは言わないだろう。

澪「唯、大丈夫?」

唯「──────」

澪「唯……?」

それは、声を出したいのに……出せないと言った表情と仕草だった。



300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 06:29:11.72 ID:mOdUVLjnO

秋生「これから話すのは…唯についてだ。お前にも話しておいた方がいいと思ってな。」

岡崎「……あぁ」

秋生「唯に…妹がいたのは知ってるか?」

岡崎「あぁ。憂ちゃんだろ?さっきあんたが来るって教えてくれたよ」

秋生「……そうか」

岡崎「驚かないのか?」

秋生「さっき俺の所にも来て、岡崎さんを連れて学校に行ってって~なんて催促されてな。
   大事な娘の頼みだ、断れはしないだろ。だからこうして呼びに行ったわけだ」

この人は、さぞ当たり前にそんなことを言った。まるで憂ちゃんは本当に生きているかの様に



301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 06:33:43.36 ID:mOdUVLjnO

秋生「でな、その憂が死んだのが唯がちょうど二年の頃だった。
   憂は高校にあがりたてでな…お姉ちゃんと一緒の学校に行けるって喜んでたもんだ。
   ある日、……家庭科で作ったミートパイを温かいままお姉ちゃんにあげるんだって言ってたらしい。
   結局そのミートパイは……唯に渡ることはなかった。帰り道で交通事故にあって…そのまま…な」

岡崎「……そのミートパイはきっと…唯に届いたと思うぜ」

秋生「…そうか。お前は俺の知らない所で唯や憂といっぱい話してたんだな。
   で、だ。ここからが本番だ。そのショックで唯は…一時的に声を失った。」

岡崎「声を……?でも今は」

秋生「今はな。普通にしてれば出せるかもしれねぇ。
   ただ極度な緊張状態や過度なストレスが溜まると…今でも出せなくなる」



334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:00:15.36 ID:mOdUVLjnO

岡崎「でもそんなもん見たことな…」

そうだ…唯は俺に出会う前、友達がいないと言っていた。
空気が読めない、空気だとか言われていたらしいが、
しかし今の唯はそんなことは全くない。
思い遣りもあり、部のみんなとも普通に接している。
なら何故ここまでギャップがあるのか…それは…。

岡崎「唯は…二年から三年までずっとそうだったのか」

秋生「……事故当初から声が全く出ないわけじゃない。
   俺や早苗にはちゃんと受け答えをしていた。だがある日学校から連絡があってな。
   何を言われても一切何も喋らないと…それで気になって病院に行ってみたら…な」



336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:02:49.82 ID:mOdUVLjnO

岡崎「学校が唯にとってストレスになってたってことか?」

秋生「いや違う。唯自身は学校は好きだ。
   ただあいつは自分の事で迷惑かけたくないと周りに気を遣いすぎた……
   そいつがストレスになってたんだろうな」

唯はただひたすら耐え続けたのだろう。声を出せない自分に浴びせられる声を


秋生「本当に知らなかったってことは、俺はお前に感謝しなきゃならねぇな」

岡崎「なんでだ?」

秋生「唯は、お前と一緒にて…一切緊張もストレスも感じなかったってことだからな。
   居て当たり前、寧ろ心の支えになると思ってたぐらいだろう。
   毎日毎日家でもお前の話ばかりしやがるからな」

岡崎「一切緊張しないって…ちょっとへこむな」

秋生「一緒にてリラックス出来るってこったろ」



337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:06:52.06 ID:mOdUVLjnO

秋生「俺はお前にどうこう言える立場じゃねぇ。
   お前が唯のことをどう思ってるかなんてことも聞かねぇ、
   だがな岡崎、今までのことは礼を言いたい。ありがとう、岡崎」

岡崎「らしくねぇぞおっさん」

秋生「…三年になるまでの唯はほとんど何も喋らなかった…
   俺達も憂を失ったショックで正直どうしたらいいかわからねぇ…
   そんなある日娘が元気にこう言いやがったんだよ」

唯『お父さん!やりたいことが見つかったよ!』

秋生「ってな。それから毎日楽しそうに学校の話をしてな…
   正直俺達は救われた。唯に、それを助けたお前に」



338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:07:53.27 ID:mOdUVLjnO

岡崎「別に助けようとか思ったわけじゃない。俺はただ……見過ごせなかっただけだ」

あの坂の上で立ち尽くす彼女を。
学校が好きなのに、自分のせいで大好きになれないという彼女を。
俺もそうだったから。初めは好きだった学校は、いつの間にか嫌いになっていた。
でもそれは学校が変わったからじゃない、俺が変わってしまったから。
変わることによって好きなることも嫌いになることもある。
俺は彼女に、好きになってもらいたかった。

俺と違うように



339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:12:05.74 ID:mOdUVLjnO

学校が見えてくる…そろそろ唯達のライブの時間だ

秋生「最後にこれは憂からだ。
   今お姉ちゃんは一人だから、側に行ってあげてください岡崎さんだとよ。
   今回ばかりは俺じゃ役違いらしい」

岡崎「?」

秋生「いいから行け。娘を、娘達をよろしく頼む」

岡崎「あ、あぁ」

走って行く朋也の背を見ながらおもむろに煙草を取り出す秋生。
それに火をつける

秋生「……この幻想の世界に、幸あれ」



340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:13:07.61 ID:mOdUVLjnO

岡崎「しかし憂ちゃんもむちゃ言うぜ。バレたら退学だってのに」

人ごみをかき分けた、だひたすらに体育館を目指した。

この際退学になろうが知ったことではない。唯の高校最後の大切なライブだ。

それを成功させる為なら俺の退学ぐらい安いものだろう

今までは言えなかった
照れ臭くて、恥ずかしくて

でも、俺は……

平沢唯が好きなんだ

誰よりも、何よりも



341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:14:00.89 ID:mOdUVLjnO

声が……出なかった。
喋りたくても、歌いたくても、声が出てくれなかった。

二年生の時と同じだ。やっぱり私……一人じゃ何も出来ないんだ。
あの頃から何も変わってない……。

朋也君……ごめん、私…歌えないよ

唯は澪を見た。心配そうに見つめる彼女に、唯はただ静かに首を振った。

自分には無理だと

このジェスチャーがどこまで伝わったかは分からない。
けれど唯が歌える状況ではないと言うことぐらいは感じとっていただろう。

それでも澪、こう言った。

澪「唯、みんな…待ってるから。私じゃなくて、唯の歌を」



342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:16:48.41 ID:mOdUVLjnO

唯「(澪ちゃん…)」

梓「この日の為に一生懸命練習して来たんです。
  大丈夫です。唯ちゃんの歌は、きっとみんなに伝わります」

唯「(あずにゃん)」

紬「あの日、初めは三人で始まった軽音部。ここまでこれたのは唯ちゃんや岡崎さんのおかげよ。
  最初で最後のライブ、頑張りましょう。唯ちゃん」

唯「(むぎちゃん)」

律「私はこのメンバーでバンドをやれたことを誇りに思うよ。
  澪のベース、梓のギター、むぎのキーボード、私のドラム、そして唯のギターと歌。
  どれが欠けても軽音部じゃないんだ。だから唯、頑張れ」

唯「(りっちゃん)」



343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:18:02.69 ID:mOdUVLjnO

唯「(でも…私…声が出ないんだ……。いくら出したくても…出てくれない)」

「お姉ちゃん……そんなに自分だけを責めないで」

唯「(う…い…?)」

「お姉ちゃんはいつもみんなのことを気にしてそれを溜め込んじゃう。私のことだってそう。
 お姉ちゃんは私がミートパイを届けようとしたから交通事故にあったって思ってるよね?」

唯「(だって…そうじゃなかったら憂が信号を見間違えて飛び出すなんてこと…)」

「違うよ、信号は青だった。つまり避けられない事故だったの」

唯「(……それでも)」



344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 16:20:17.21 ID:mOdUVLjnO

「私はね、お姉ちゃん。お姉ちゃんが大好きだから、ミートパイを食べてもらいたかったの」

唯「(憂……)」

「大好きなお姉ちゃんにいつも笑っていてほしい。私の為に泣いて欲しくない、声を失って欲しくない」

唯「(憂……私は…)」

「だから、声を取り戻してお姉ちゃん。
 もうじき彼が来る、私とお姉ちゃんの架け橋になってくれたあの人が。
 あの人がミートパイをお姉ちゃんに届けてくれたから、こうしてちょっとだけお話が出来たの」

唯「(じゃあやっぱりあのミートパイは…)」

「うん♪私と岡崎さんが作ったんだよ。美味しかった?」



350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:02:15.68 ID:mOdUVLjnO

唯「(凄く美味しかったよ……)」

「ありがとう、お姉ちゃん。じゃあ私、もう行くね。」

唯「(憂……大好きだよ)」

「私もだよ、お姉ちゃん。岡崎さんによろしくね」

唯「(…うん)」

そして、

彼が来た、

体育館の入口で息を荒くしながら、

岡崎「歌えぇぇぇぇぇゆいぃぃぃぃいいいい」

そう、大声で言ってくれた



351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:04:56.58 ID:mOdUVLjnO

体育館を開け、見た先には佇んでいる唯だった。
周りはざわつきを見れば一発でわかる。唯は、声を失っていたのだろう。

体育館いっぱいの人と言う緊張と、
失敗してはいけない最初で最後のライブだと言うプレッシャーがストレスになり、
唯はそこにたたずむしかなかった。

それでも残りのメンバーは演奏を始めない。
唯なしで始めるつもりは更々ないと言った感じで、ただ、唯の方を見つめていた。

ここで演奏が始まっていれば唯は孤独だったろう。ただ舞台にいるだけ
そして俺も声をかけられなかっただろう。

あの日、坂道で立ち尽くしていた唯……

あの日と同じように俺は……声をかけた



352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:06:08.14 ID:mOdUVLjnO

唯「(朋也…君)」

澪「朋也…」
律「あのバカ…」
梓「やっぱり来たんですね…岡崎君」
紬「ふふ♪」


岡崎「ここで歌わなかったら俺や春原のしたことは何なんだったんだよ!
   俺達はそうやって立ち尽くすお前を見たかったんじゃない!
   大勢の観客の前でお前が、お前達が演奏する姿を夢見て来たんだよ!」

「そうだよ唯ちゃん!僕や岡崎、それに軽音部のみんなも唯ちゃんの歌が好きだから待ってるんだ!」

紬「陽平君…」

和「あのバカ達が……」

岡崎「春原の言う通りだ!待ってんだよ!ここにいるみんなも!だから…歌え!唯ぃ!」



353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:08:22.92 ID:mOdUVLjnO

生徒G「応援してるぞー!軽音部!」

生徒H「衣装可愛いぞ~!」

生徒I「唯殿律殿!皆さん!がんばってくだされ!」

律「あれは…握手会に来てたやつら」

澪「ちゃんと来てくれたんだ…」

その一つ一つの声が、段々と大きくなり…やがて会場全員が軽音部や唯を応援する声に変わって行く。

会場「唯ーがんばって~!」

会場「頑張れよ~」

会場「緊張すんな~気楽にいけ~」

唯「……うっ…うぅ……」

唯から声が出た

岡崎「(でもそうじゃないだろ?お前はいつも笑ってないとな)」

唯「……みんな…ありがとう」ニコッ

岡崎「(そうだ…いつも笑ってろ。唯……お前の歌を聴いてくれる…みんなの為に。何より自分為に)」



354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:09:47.28 ID:mOdUVLjnO

唯「澪ちゃん」

澪「お帰り、唯」

唯「りっちゃん」

律「待たせやがって…!」

唯「むぎちゃん」

紬「お帰り唯ちゃん」

唯「あずにゃん」

梓「お帰りなさい唯先輩」

唯「(春原君、そして……朋也君。私、歌うよ。精一杯)」

世界が、ズレていく

岡崎「(そうだ…歌え唯。その歌で……世界中のみんなを幸せにしてやれ。
    俺や春原、おっさんに早苗さん、芳野さんや幸村のじいさん、
    他にもここにいない奴らには出来ないことを……お前は出来るんだから)」

律「1.2.3.4.123!」

唯「君だけが……過ぎ去った──────」



355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:14:32.22 ID:mOdUVLjnO

ライブも終わり、後片付けが済んだ後。俺と春原は生徒会室にいた。

和「わかってるとは思うけど…約束は約束よ。」

岡崎「あぁ、覚悟はできてる」

春原「それに……もう退学だろうが停学だろうが意味がない話だしね、岡崎」

岡崎「あぁ、そうだな」

和「どうゆうこと?」

岡崎「さあな。じゃあな、世話になった。最後にみんなに挨拶するぐらいはいいだろ?」

和「えぇ、構わないわ。残念ね、色々あったけど……あなた達のこと嫌いじゃなかった」

岡崎「あぁ、俺もだ」

そう言って生徒会室を出る二人

春原「またな岡崎。」

岡崎「あぁ。」

最後にあいつらだけには別れを言わないとな



356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:19:31.13 ID:mOdUVLjnO

軽音部 部室────

岡崎「よぅ~ってあれ?律一人か?」

律「あぁ、唯達ならあっちの音楽室に機材返しに行ってるよ。で~あんたやっぱり退学?」

岡崎「らしいな」

律「らしいなってそんな簡単に」

岡崎「もういいんだ。退学だろうが停学だろうが関係なくなる。」

律「……?」

岡崎「あぁ。」

律「退学ってことは……じゃあこれが岡崎と学校で話す最後の機会になるね。
  一つだけ…言ってもいい?」

岡崎「なんだ?」

律「好きだったよ、図書室で会って初めて話した時から」

岡崎「……ありがとう、律」

律「返事は…わかってるつもり。ただ、言っておきたかった。
もぅ!私らしくねーし!……照れるからさっさとどっか行け!」



358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:25:19.91 ID:mOdUVLjnO

岡崎「あぁ。唯や他のみんなのこと、よろしく頼むな」

律「うん。部長だからな、私は」

岡崎「そうだったな。じゃあ……またいつか」

ガラララ

律「岡崎朋也……か、いい奴だったな」



359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:28:26.66 ID:mOdUVLjnO

澪「あっ、いたいた。朋也~」

岡崎「ん?澪に中野…いや、梓か」

梓「えっ…あ、あの、私達岡崎…朋也君が心配で探してたんです。」

澪「あれだけ大々的に見つかったらさすがに……」

岡崎「あぁ、めでたく退学だ。春原もな」

澪「……やっぱりか」

梓「みんなで抗議すれば何とかなるかもしれません!署名とかも書いてもらって…」

岡崎「いいんだ梓。もう終わったことだから」

梓「でも…」

澪「……最後に行くところがあるんじゃないか?」

岡崎「あぁ、唯の所に行ってくるよ」

澪「そっか…また会おう、岡崎」

梓「岡崎君……」

岡崎「二人とも、元気でな」



360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 17:30:34.08 ID:mOdUVLjnO

岡崎「ん?お~い紬?」

紬「春っ……岡崎さん」

岡崎「残念だったな春原じゃなくて。」

紬「いえ……そんなことは…」

岡崎「春原なら寮にいるんじゃないか?急いだ方がいい」

紬「でも……」

岡崎「行ってやってくれ。一人で寂しがってると思うから」

紬「……はい。唯ちゃんなら…多分屋上にいますよ。」

岡崎「そうか、サンキューな。今まで助かったよ」

紬「それを言うならこちらのセリフです。私達を守ってくれてありがとう、朋也さん」

岡崎「また、いつか」

紬「……はい」



362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:02:08.72 ID:mOdUVLjnO

寮───────

春原「返事はライブが終わってからなんてズルいよね…思わず行っちゃったし。
   まあ退学になったところで大した話じゃないんだけどね。岡崎も気付いてたみたいだけど」

コンコン

春原「あいてまーす」
紬「いいかしら」

春原「うん」

春原の座っているベッドの隣に腰かける紬

紬「答えを言いに来たの…」

春原「付き合ってくれるかってやつ?」

紬「うん」

春原「そっか…。で、答えは……」

紬「ごめんなさい」

春原「えぇっっっ!」
紬「嘘よ♪」

チュッ

春原「僕もう死んでもいいッス…」



363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:04:04.70 ID:mOdUVLjnO

屋上───────

もう夜7時を過ぎていた為、空には星が浮かんでいた。
その満天の星空の下に、彼女はいた。

岡崎「唯、待ったか?」

まるで待ち合わせでもしてたかの様な言い方。それに唯は驚きもせず「うぅん」と答えた。

岡崎「歌と演奏、良かったぜ」

唯「……ありがとう」

岡崎「……星…綺麗だな」

唯「うん……」

岡崎「どうした?元気ないな」

唯「だって…私のせいで朋也君……退学に」

岡崎「いいんだよ、もう」

唯「でも……」



364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:05:31.59 ID:mOdUVLjnO

岡崎「唯、俺はお前に会えて良かったと思う。」

唯「私も……」

段々記憶が、戻って来る。
そう、本来俺達は…ここに居合わせない人間なのだ。

でも最後に言っておかないといけないことがあった。

こうして巡り会えた奇跡を借りて…

岡崎「唯、これからもお前達は歌い続けてくれ。いつまでも…いつまでも」

唯「 ? う、うん!わかった!朋也君が言うなら」

岡崎「唯……」ギュッ

さよならだ

唯「……ともや…」ギュッ

これは、きっと夢だ。だから、覚めなければいけない。

俺達は俺達の待っている世界に帰らなくてはならないから



365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:07:43.97 ID:mOdUVLjnO

だから……言った。

岡崎「なあ唯、この学校ってなんて名前だっけ?」

唯「え?桜が丘高校……だけど」

それがトリガーになった。そう、ここは光坂高校ではない。

だが、あの坂道がなかったわけではない。確かにあの坂道を、俺達は登った。

俺達の世界と、唯達の世界が交わった道だったのだろう。

俺はいつまでも、お前達の音楽を、歌を…聴いている。

あの、世界の中で

だから、歌い続けて欲しい。俺達が出来ないことを、お前達は出来るんだから

唯「岡崎さん……私……」

唯が何か言おうとしてる…でも、それももう聞こえない。

目の前が白く、染まって行く。

昔見たような…白い幻想世界の終わりの様に

憂「ありがとう、岡崎さん」



366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:17:35.22 ID:mOdUVLjnO

──────────

「あんぱんっ」

「!?」

「この学校は好きですか?私はとってもとっても好きです…。
 でも何もかも、変わらずにはいられないです。」

見知らぬ女生徒、俺に向けられた言葉ではなかった。多分心の誰かに語りかけているのだろう。

「楽しいこととか、嬉しいこととか、全部…全部変わらずにはいられないです。
 それでもこの場所が好きでいられますか?」

「見つければいいだろ」

「!?」

「楽しいことや嬉しいこと、見つければいいだろ。ほら、行こうぜ」

そうさ、見つければいい…あいつみたいに……

俺達は登り始める、また、長い、長い、坂道を

歌が聞こえた。あの歌が

君だけが 過ぎ去った坂の途中は 
暖かな日だまりが いくつも出来てた
僕一人が そこで優しい 暖かさを
思い返してる



367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:21:40.38 ID:mOdUVLjnO

─────────

君だけを 君だけを

好きで いたよ

風で目が 滲んで

遠く なるよ

唯「………どうかな?」

澪「唯……凄い良いよ!どうしたの!?」

唯「今日朝起きたら思い付いてさ♪」

律「何かどっかで耳に残る曲だよな!」

梓「はい…。」

紬「これが楽譜。なんだかすぐ書けたわ♪ まるで一度書いたみたいに」

唯「不思議だねぇ……」



368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:27:24.65 ID:mOdUVLjnO

トントン

憂「お姉ちゃん~家庭科の授業でミートパイ作ったの♪ 皆さんも一緒にどうぞ」

唯「わあぁ~い♪♪」

紬「お茶淹れますね」

梓「手伝います、むぎ先輩」

律「う~ん…」

澪「どうした律?ミートパイ見ながらうんうん唸ったりして」

律「…デジャブだ」

澪「?」

彼女達は歌い続けるだろう。彼女達を応援する声がある限り
いつまでも……いつまでも

だから、見守っててください

岡崎さん、そして……

けいおんを見てくれている皆さん



お わ り



370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:29:10.86 ID:mOdUVLjnO

見てくれた人10人いたら満足

もっとネタ考えて書かないとな

まあ言えることはけいおんとクラナドは素晴らしいってことか




369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:28:53.27 ID:Zmr1bhQw0

乙!



372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:32:11.27 ID:dnBTfhBl0


面白かったよ



373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:33:48.98 ID:zmvGZt/6P





374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:41:33.72 ID:G/LU827i0

見てた
幻想世界も書いて欲しかったぜ!
てか結局ヒロイン勢出てこなかったね





371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:30:13.90 ID:mOdUVLjnO

>>369
ずっと支援してくれてありがとう
そのID、今日だけは忘れないぜ



375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:53:28.96 ID:mOdUVLjnO

キャラが多すぎると扱いに困る&凄い長編になりそうだったからなぁ

まあいつか誰かがもっと面白いけいおんとクラナドのクロス書いてくれるさ

ほんとここ二日で携帯何時間さわってたろ…
もう二度と書かないなうん




376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:54:54.22 ID:fzsKNg5F0

おつ!!



377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 18:55:34.21 ID:M5gHowN6O

楽しめた乙



379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 19:06:45.35 ID:N4Dx/wq0O

他のルートも見てみたかったな…





384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 19:46:43.90 ID:feb3UuS9O

おもしろかった

おつかれさま



386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 19:59:13.09 ID:+EbFwXF2O

おもしろかったよ乙!!!



380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 19:13:23.50 ID:6bukzLl2O

>>1はどのルートが一番好きなんだ?





382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 19:28:11.01 ID:mOdUVLjnO

>>380
ふうこだな
ともよも捨てがたいけど




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唯「岡崎さん…私……」#後編
[ 2011/07/22 02:03 ] 非日常系 | CLANNAD | CM(1)

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NO:4260 [ 2011/11/03 06:36 ] [ 編集 ]

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