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律「最近なんか、聡が怖い…」 【非日常系】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 20:58:34.50 ID:IRVSgYHF0

澪「どうしたー?寝込みを襲われたとか?」

律「そんなんじゃねーよ!
  なんか、よく分からないけど二人だけになると不安になるんだよ!!」





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:01:37.71 ID:IRVSgYHF0

律「一緒にゲームしててもDVD見てても、なんか落着けないというか、
  とにかくそんな感じなんだよ!」

澪「どんな感じだ」

律「とにかく今日は両親ともいないからうちに来てくれー!」

澪「分かった分かった…」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:05:08.10 ID:IRVSgYHF0

澪「おいーっす」

聡「あれ?澪姉じゃん!久しぶり~!!」

澪「おー聡!なんかちょっと見ない間に大きくなったなー!」

聡「あはは……って姉ちゃん、澪姉に隠れるようにして何やってんの?」

律「よ…よう、聡!」(コソコソ)



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:11:23.85 ID:IRVSgYHF0

澪「晩飯はピザのデリバリーか…」

律「しょうがないだろ!誰も料理できないんだし!!」

聡「まー、たまにはこういう方がいいよー
  なんか姉ちゃん最近俺と顔も合わせてくれないし。」

澪「なんだお前今頃反抗期か?
  (さっきから聡と顔も合わせようとしない…どういうつもりなんだ?)
  それじゃあ二人の仲直りの為に一緒にゲームでもするか」

聡「いや、別に喧嘩してる訳じゃないよ…」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:15:21.39 ID:IRVSgYHF0

律(おい!一緒にゲームってどういうつもりだ!
  一緒にゲームなんて、怖いだろ!!)

澪(いや、怖いとかわかんねーし…
  全然聡は昔のままだろ?
  つーか、相変わらず姉ちゃん姉ちゃんでほほえましいよw)

律(それは…今は澪がいるから大人しいだけで
  ふ…二人きりになったら・・怖くなるんだ!!)



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:20:33.82 ID:IRVSgYHF0

聡「よし!貧乏神は姉ちゃんに、そしてこの物件はいただいた!!」

律「うぎゃー!澪の方が資産でかいのに何でこっちに!?」

聡「最近俺のこと無視してる罰だー!」

律「うぎゃー!」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:26:37.79 ID:IRVSgYHF0

聡「じゃあ、俺ちょっと風呂入ってくるね」

澪「飲みすぎんなよー」



澪「怖いってなんだよ、聡が律のこといやらしい目で見てるのかと思ってたけど全然普通じゃないか。」

律「でも、なんか最近…今だってそうだけど、よく目が合うし、距離がちけーし、
  なんか変じゃない?聡の奴?」

澪「いや…そうだったか?全然気にならなかったけど」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:30:13.79 ID:IRVSgYHF0

律「キャラじゃないってのは分かってるよ。
  でも、最近、あいつと顔を合わせてられないというか、
  ちょっと前なら気にならなかったのに、二人でいるとじっとしていられなくなって…
  なぁ!頼むよ!助けてくれ!」

澪「いや、まぁ、二人きりになるのが不安なら一緒にいてやるけど、
  多分何もないと思うぞ」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:34:54.68 ID:IRVSgYHF0

聡「出たぞー。姉ちゃんと澪姉どっちが先に入るの?」

澪(ちょっとだけ律の方を見て)
  「……じゃあ私が先にお風呂いただこうかな?
  律、大丈夫か?(聡と二人きりになるけど)」

律「!?いやいや!
  澪!一緒に入ろう!!たたたたまにはいいだろ!」

澪「別に私は構わないけど・・・」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 21:44:16.13 ID:IRVSgYHF0

(りつのへや!)

澪「やっぱり聡は全然普通に見えるけどなー
  どこかおかしい所あったか?
  私から見れば体ばっかりでかくなっても昔と変わらないなー、としか思えないんだけど」

律「……」

澪「確かに変わってるところが全くないとは言わないけど
  なんか一生懸命律にかまってもらいたがってたように見えたぞ。」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 22:21:54.09 ID:IRVSgYHF0

澪(結局その日は律と一緒に寝たが
  聡は昔と何も変わってなかったし、
  私には律一人がどぎまぎしているようにしか思えなかった)

澪(その後も何度か律に頼まれ聡と一緒に三人で映画を見に行ったりしたが
  特におかしいと思えることはなかった――――)

(ピルル、ピルル)

澪(聡からメールか『相談したいことがあるので二人で会えませんか』か)

聡「なんか、最近姉ちゃんに避けられてるような気がして…」

澪(律は明らかに聡を避けている。
  年頃の姉弟だからという感じではなく、
  律は聡のことを怖がってる。
  でも、こいつのどこにそんな怖がるところがあるんだ?
  頭の中は子供のままだし、ゆがんだ性春を歩み始めてるようにも思えない。
  律に対する態度だって怖がるようなところがあるようにも思えない。
  あいつは一体何におびえてるんだ?)



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 22:30:06.05 ID:IRVSgYHF0

律「澪はよく聡と普通に話せるな。怖くないか?」

澪(怖いも何も今どきあんなお姉ちゃんお姉ちゃん言ってくれる
  弟らしい弟なんてなかなかいないぞ?)



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 22:55:51.98 ID:IRVSgYHF0

そんなある日、律から花火大会に誘われた。
聡が律に声をかけ、二人きりになるのを怖がった律が私に声をかけてきたのだ。
花火大会は大層な人出でこの不景気なご時世縮小することが多いにもかかわらず
盛大な花火の大共演に私たちを含めたすべての参加者が大いに盛り上がった。

……そんな大盛況な花火大会が開催されれば
帰りの電車が満員のラッシュアワーと同じになることは想像に難くない。
私たち3人は何とか寄り添うように電車に乗り込んだ。

すると───
 私を挟んで聡を避けるような形で立っていた律が
不安そうな表情でうつむいたかと思うと急に不自然に体をよじりだした。
一瞬目が合う。
 助けを求める視線。
 律が痴漢にあっているのだと直感した。
 もしやと思い聡を見るが、聡はのんきに中吊り広告を眺めていた。
 ただ、私が急に聡の方を振り向いたからか視線に気づいてこちらに目を向け、
そして、私の後ろに立つ助けを求める律の視線に気づいたようだ。
 聡は怒りの表情を見せると強引に体動かし、律の後ろに回り込むと
目の前にいたおっさんをにらみつけ一言二言小さく怒鳴りつけるように声をかけた。
 おそらく、このおっさんが痴漢の犯人だったのだろう。
 聡は小さな声ではあるがはっきりと「この痴漢野郎!」と言った。
 おっさんは挙動不審に辺りを見回すと聡の声が聞こえたであろう周りの客も
おっさんを白い目で見ている。おっさんはいたたまれなくなって
混み合った社内をかき分けるように別の車両に移動していった。



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 23:11:00.24 ID:IRVSgYHF0

律「ありがとう、聡…ごめん…」

聡「なんで姉ちゃんが謝るんだよ。それより大丈夫?」

私も人のことは言えないが、律の奴、もしかしたら痴漢の犯人が聡と思っていたのでは?
だからつい謝ってしまったのではないだろうか?

律を見るとまだ、うつむいたまま…震えているのだろうか。
痴漢にあうと声が出なくなるし、
私も律が痴漢にあっていると分かっていながら声を出すことが出来なかった。
もしかしたらその恐怖が今頃来ているのかもしれない。

聡は腕を律の方に回して抱きしめるような形になった。

聡「ごめん、俺が気付いてなかったから…
  でも、もう大丈夫だから…」

そう言われた律が耳まで真っ赤にしながら聡を見上げた。
律が聡を見上げた!?
ああ、聡。
最近大きくなったと思ったらいつの間にか律の伸長を追い越してたんだな。

もしかしたら聡が怖いって言ってたのってそれまで自分よりも下の目線だった弟を
見上げなきゃいけないようになったからなんじゃないのか?



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 23:23:59.06 ID:IRVSgYHF0

澪「…てなことがあってさーww」

唯「ほえーりっちゃんの弟君ってかっこいいねー。」

律「うがー!その話をすんじゃねー!うがー!!」

紬「でも、聡くん?がいてくれてよかったよね。
  これで聡くん恐怖症は良くなったんでしょ?」

澪「いや、これがますますひどくなるばっかりで、
  最近は碌に会話もないらしくって、聡の奴へこんでるのなんのってw」

律「………」

澪「いや、笑いごとでもないのか…?」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 23:27:10.28 ID:IRVSgYHF0

唯「なにか聡くん?の話をしてる時だけりっちゃんがかよわい女の子に見えるよ!」

律「そりゃどういう意味だ!?
  普段は男に見えるとでも言うのか!!」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/08(火) 23:39:56.20 ID:IRVSgYHF0

紬「ですが、怖いとおっしゃるのでしたら
  今後家族生活を営まれる上でも問題でしょうし
  聡くん?とも仲直りしないといけないのでは?」

律「そうなんだけどなー
  それは分かってるんだけど、別に喧嘩してる訳でもないし『ごめんなさい』って言うのもおかしいだろ?
  それにあいつの前に出ると体がすくんで言葉が出なくなるんだよなー」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 01:06:26.41 ID:0CwsPlsQ0

聡「澪姉ー。映画連れてってくれよ!映画!」

澪「お前どんだけ映画好きなんだ?
  律に連れてってもらえ、律に!」

聡「だってこの間も姉ちゃんに連れてってもらおうとしたら


「姉ちゃん、映画連れてってくれよ。見たいのがあるんだ」

「映画!?一緒に出かけるなんて恥ずかしいだろ!
 私は忙しいんだ!
 そう!その日はけいおん部で遊びに行くことになってるんだよ!!」

「じゃあ来週でもいいからさー」

「その日も駄目ー!ダメなものはダメなんだ!!」


聡「…てな具合で。取り付く島もないというか…
  もしかしたら好きな男でもできてデートとか?」

澪「………」



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 12:34:50.04 ID:ADy3nHhA0

澪「家での律の様子はどうなんだ?
  最近何か変わったところないか?」

聡「んー…最近は家に帰ってくるとずっと部屋に閉じこもってずっと外に出てこなくなったかな?
  前はくんなって言っても勝手に俺の部屋に上がりこんでゲームやったりまんが読んだりしてたのに。」

澪「そうか…
  あ、もうこんな時間。そろそろ出るか。
  ここは払っとくよ。」

聡「ありがとう、澪姉。ゴチになりやす!」



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 12:38:41.28 ID:ADy3nHhA0

律「…だからそこで言ってやった訳だ!
  『人間万事塞翁が馬だ』とね!」

紬「確かにりっちゃんがいうことも一理あるわね。
  人間何事も前向きに生きていかないと。」

唯「さるがりっちゃんだね!」

律「そんなにほめんなよー
  私は当たり前のことを言っただけだ、ぜ!
  お…?
  あの喫茶店から出てくるのは澪じゃねーか。
  おーい、みおー!」



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 12:43:04.05 ID:ADy3nHhA0

聡「ほんと、ありがと澪姉。」

澪「気にすんな。まさか聡に払わせるわけにも行かないだろ。」

(カランカラン)

「おーい、みおー!」

澪「げ・・・律のヤツ・・・大声で呼ぶなよ、恥ずかしい…」

聡「あ、姉ちゃん!」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:16:45.60 ID:0CwsPlsQ0

律「…聡…なんで澪と一緒に…?」

唯「あれがりっちゃんの弟の聡くん?」

紬「思ったよりもかわいい男の子ね。
  りっちゃんは怖い男の子だって言ってたし
  澪ちゃんの話だともっとかっこいい感じだったのにね。。」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:40:19.52 ID:0CwsPlsQ0

澪「なんだー、みんなそろって。私だけ仲間はずれか?」

紬「そんなつもりはなかったんだけど、ごめんなさい。
  澪ちゃんは?」

澪「そこの本屋で聡…律の弟と会ったんで、一緒にお茶してたんだ。」

聡「は…初めまして。律の弟の田井中聡です。」

律「なんで一緒にいるんだよ…」

澪「いや、だから、そこの本屋でばったりと…」

律「そういうことじゃなくて!なんで一緒にいるんだ!?
  聡!お前も!!」

聡「いでで…服引っ張んなよ!
  なにおこってんだよ!?」

紬「りっちゃんとにかく落ち着いて!」

澪「そうだぞ!急にどうしたんだ!?」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:48:15.05 ID:0CwsPlsQ0

律「…………・」
 (つかんでいた聡を突き放して澪をキッと睨みつける)
 「もういい!」

澪「おい律!」

聡「姉ちゃん!」

紬「行っちゃった…」

澪「なんなんだ…?律の奴…」

唯「りっちゃんは聡くんのことが大好きなんだね。」

澪紬聡「は?」

唯「あれ?大好きな聡くんを澪ちゃんに取られちゃうんじゃないかって、
  やきもちやいてたんじゃないの?
  聡くんの話をするときはいつも、すっごく嬉しそうに話すから、
  大好きなんだろうな、って思ってたんだけど。」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 20:52:39.06 ID:0CwsPlsQ0

澪「あー、いや。確かにこいつらすっごく仲いいとは思うけど…
  聡だって、律のことは好きだよな?」

聡「あ…そうやって言われると変な感じだけど、
  うん。まぁ、好きだよ。」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:06:02.37 ID:0CwsPlsQ0

よる

律(そういえば昔は聡って澪のこと好きだって言ってたっけ…
  今でもまだ好きなのかな…?)
  「ハァ……」
  (私は一体何を逆噴射してるんだ!?
  なんか澪に悪いことしたな…一言謝っとこ)

 ピッ

澪「もしー、どうした?律。
  いいよ、別に怒ってなんかないから。
  けど、なんで今更私が聡と一緒にいるくらいで妬いたりしたんだ?
  っ…耳元で大きい声出すな!
  分かった分かった。違うんだな。分かったから!
  それと、私に謝るんだったら聡にも声掛けたのか?
  ハァ…もういいから聡に謝ってこい!
  でもじゃない!すぐに謝ってくるんだぞ!!」

 ピッ



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 21:24:51.79 ID:0CwsPlsQ0

(コンコン)

聡「姉ちゃん!?はいってよ!」

律『いや、このままでいいや。ちょっと話がしたいだけだから。』

聡「何言ってんだよ!
  いつもはノックもしないで入ってくる癖に!」

  立ち上がりドアを開けようとノブに手をかける

聡「ちょ…何やってんだ!外からドアつかむなよ!」

律『ちょっと話をするだけだからいいんだよ!
  あきらめろ!』

聡「いいから開けろよ!」(ぐぐ…)

 ちょっとずつ力負けして開き始める。

律(力…強っ…聡のくせに!)
  『やめろよ!お前の顔なんか見たくないんだよ!!』

聡「!?」

 バタン

律『…今日はその…悪かったな…
  一応、謝ったからな!』



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:13:01.13 ID:0CwsPlsQ0

よくじつ!

澪「おい律、昨日聡にちゃんと謝ったのか?」

律「謝ったよ。ごめんねごめんねーってな具合に。」

澪「なんだよそれ、ちゃんと顔見て謝ったのか?」

律「いやー、なんかすげー怒ってそうで怖くて顔は見れなかったから
  ドア越しに…。」

澪「ドア越しってなぁ…お前聡に『顔も見たくない』とか言ったんだって?
  聡落ち込んでたぞ。」

律「なんでそんなこと澪が知ってるの?」

澪「そりゃああの後聡と電話して…

紬「ちょっと!澪ちゃん!?」

澪(!?)

律「………」



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:14:28.46 ID:0CwsPlsQ0


澪「律!違うぞ!お前たちがちゃんと仲直りできたか不安だから電話しただけで…」

律「別に、もうどうも思っちゃいないよ。
  ただ、聡もあたしなんかじゃなく
  やさしくてきれいな澪みたいな姉ちゃんが欲しかったんじゃないかな…
  あいつ、あたしよりも澪のこと好きだったみたいだし…」

澪「聡がそんなこと考えるはずないだろ!」

律「おやおや、澪ちゃん。なんでそんなに聡くんのこと理解しちゃってるの?
  もしかして澪ちゃんも聡くんのこと好きだったのかなー?」

澪「お前いい加減にしろ!おかしいぞ!」



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:31:04.93 ID:0CwsPlsQ0

律(結局部活も抜け出しちまったなー
  昨日の今日だし澪の奴怒ってんだろうなー
  ほんと一体何やってんだ、あたしは…

  家帰りたくねーなー
  聡ももう帰ってんだろうし…)

 ピピッ

律(唯からメールだ。
  『今どこにいるの?一緒にお茶しない?』…か)

ごうりゅう!

律「さすがに澪は来てないかw
  やっぱり怒ってた?」

唯「うーん…怒ってるけど、怒ってなかった。
  りっちゃんのこと心配してたよ」

律「澪やっぱいい奴だな~
  私が聡の立場でも私より澪の方が姉ちゃんに欲しいわw」

紬「りっちゃんだっていいお姉ちゃんだと思うわ。
  じゃなきゃ普通はあんまり異性の姉弟でそこまで仲良くはできないもの。」



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:43:31.61 ID:0CwsPlsQ0

律「ありがと。
  でもなんか、最近ダメなんだよな、なんか。
  何をやっても気が散っちゃうというか…」

唯「りっちゃんは自分に素直になればいいんじゃないかな?」

律「ん?」

唯「聡くんのこと、好きなら好きって言っちゃえばいいんじゃない?」

律<ブーーーー!!>
  「あ…あのな、唯!好きって、好きって…聡は弟だし、
  まだ身長だって全然低いし、言ってることもやってることも全然子供で!
  いや、好きか嫌いかと言われれば好きだけど、弟だし!
  ただ、それはそういうのとは違ってそういう訳で…
  つーか、最近はむしろ好きというか怖いというか…」

唯「怖いってどういう風に?」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:49:14.65 ID:0CwsPlsQ0

律「なんか最近、あいつの前に出るとすごく緊張するし…
  まっすぐ目を見ることが出来なくて…
  一緒にいると心臓がドキドキして…
  手が触れたりすると、ビクってなって…」

唯「私も。
  好きな男の子の前に出るとすごく緊張しちゃって
  まっすぐ目を見ることが出来なくなっちゃって
  一緒にいるとすごく心臓がドキドキして
  ちょっと手が触れただけでビックリしちゃうよ。」

紬「まぁ」

律「ちょ…ちょっと待て!
  聡は弟だぞ!まだちんちくりんで全然子供だし!
  だ…大体聡は澪のことが好きだって、憧れてるって言ってたし…
  澪だって聡のこと嫌いじゃないはずだし…」



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/09(水) 23:55:15.10 ID:0CwsPlsQ0

唯「澪ちゃんは関係ないよ!
  りっちゃんは聡くんのことが好きになっちゃったんだよ!」

紬「そっか…それで…
  りっちゃんにとってはまだまだ子供だと思ってた
  弟くんを好きになってるかもしれない自分が怖くて
  それを弟くんが怖いと勘違いしてたのね!」

律「私が…聡のことを…!?
  なんで?そんなの??え…?」

唯「聡くん身長でりっちゃん追い越したんだよね?」

律「追い越したって言ってもまだ1センチか2センチくらいだぞ…」

唯「この間会った時、澪ちゃんやあたしたちと話をしたときは
  聡くん見上げるような目線で子供っぽかったけど、
  りっちゃんの方を見るときだけはちょっとだけ
  上から目線でちょっとだけ大人っぽく見えたよ。
  りっちゃんはどう思うの?」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 00:00:18.93 ID:/2ogTjTJ0

唯「多分澪ちゃんも聡くんのことは好きだと思うし、
  あたしたちもきっと好きになれると思う。
  けど、それはあたしたちが憂やあずにゃんを好きなのと同じ好きなんだよ。
  最初に、りっちゃんだけが聡くんが大人になっていくことに気付いたから、
  きっとりっちゃんが聡くんのことが好きって言うのは特別な好きなんだよ!」

律「………」

紬(今日の唯ちゃんは…本物の唯ちゃんかしら…?)



242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 21:11:09.89 ID:/2ogTjTJ0

律(なんだよ、唯の奴!私が聡のことを好きだなんて…
  …なんだよ…それ…
  そんなこと言われたら家に帰りづらくなるだろうが…)


プルルプルルプルルル~♪

澪「聡からだ。
  また聡と話すと律に何か言われそうだけど
  向こうからかかってきてるし大丈夫だよな、よし!
  もし~。どうした?」

聡『澪姉~…おれやっぱり姉ちゃんに嫌われたのかな?
  全然心当たりないのに『顔も見たくない』って…』

澪「落ち着け、聡!
  もう一度律の部屋に殴りこんででも膝を突き合わせて話してみろ!」

聡『え?姉ちゃん澪姉と一緒にいるんじゃないの?
  まだ帰ってきてないよ!?」

澪「いや…私は一緒にいないけど…まだ家に帰ってないのか!?
  ちょっと待ってろ!軽音部の奴らに確認してみる!」



244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 21:19:41.83 ID:/2ogTjTJ0

唯「りっちゃんがまだ家に帰っていない!?
  だって私たちもう2時間も前に別れたよ!」

ピッ

澪「ほんとに何やってるんだよ、あいつ!」

ピピッ

聡『姉ちゃんが行方不明!?』

澪「すまない…2時間前まで軽音部の奴らと一緒にいたらしいんだけど
  駅前で別れてからはどこに行ったか分からないらしいんだ!!」



律「何やってんだろ、私…
  どのみち家には帰らなきゃいけないってのに…
  そうは言っても…なんか帰りづれー!」
ピロリロピロリロ
 「ん?電話…
  聡から!?
  何話せばいいんだよ!何も話せねーっての!!」
ピッ
 「ふー…思わず電源を切ってしまった…
  まぁ、多分、大した用事ではないだろうし大丈夫だろう。」



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 21:25:35.28 ID:/2ogTjTJ0

  『この電話はただ今電波の届かない場所に…』

聡「電源が切られた…俺からの電話だって分かってるはずなのに…」

律母「け…警察に電話した方がいいかしら…?」

律父「お…落着け…友達と駅で別れたんだからうちのすぐ近くで時間を潰してるのかもしれない…
   ちょっと探してくるから、お前は家に帰ってきたらすぐに連絡するんだ!」

聡「お…俺も…探してくる…」



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 21:55:10.14 ID:/2ogTjTJ0

ふらふらと歩いて家の近所の公園に入りこむ律

律「そういえばこの公園…聡や澪と昔よく来たっけ…
  この鉄棒…聡は背が届かなくて私と澪が遊んでるのを見てギャーギャー叫んでたんだっけ…」

「姉ちゃん!」

 自分が浸っていた思い出からではない、現実から声をかけられ驚いた。

 驚いて声の方を見ると、街灯だけでは
 そこに人影があるだけしか分からない暗闇から人影がこっちに歩いてくるのが分かった。

 暗い街灯の下…殆ど輪郭も分からない人影…

 でも、そこにいるのが誰なのかはすぐに理解できた。

律「聡・・・」

 子供のころからずっと一緒だった、いつも自分を追っかけて来ていた影を、ほんの少しだけ見上げた。

聡「父さんも母さんも、澪姉も心配してたよ…こんな時間まで何してたの?」

 一歩一歩近づいてくる。

 そのたびに近づくたびに鼓動が跳ね上がり、体温が上昇するような気がした。



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:03:51.77 ID:/2ogTjTJ0

(りっちゃんは聡くんをことが好きになっちゃったんだよ)

 唯の言葉が浮かんでくると鼓動は一気に強くなったような気がした。

聡「とにかく一回家に帰ろう?」

律「!?」

 聡が肩に手を触れようとした瞬間律はとび跳ねるように反対に向けて走り出した。

律(聡は私より足が遅かったから全力で走れば振り切れるはず!
  昔からそうだったんだ!あいつはちんちくりんで、運動が苦手で、
  逆上がりもずっとできなかったし、走るのだって私よりも遅かったし…)

 律は全力で聡から逃げた。

 一瞬反応の遅れた聡だったがすぐに律を追いかける。

 追いつくのは造作もなく、手を伸ばし腕をつかむ。



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:09:53.84 ID:/2ogTjTJ0

律「は…離せ!!」

聡「なんで逃げるんだよ!?父さんも母さんも、みんな心配してたんだよ!」

律「うるさい!いいから離れろよ!そんなに強くつかむと痛いだろ!!」

聡「強くつかまないとまた逃げ出すだろ!」

 必死に暴れて離れようとする律を聡は強引に引き寄せようとした。

律「うわっ!?」
 (ドサッ)

 律は勢い余って転倒する。

 その律を離すまいとつかんでいた聡も巻き込まれ重心を崩し、
 律に覆いかぶさるように転倒してしまった。



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:18:06.24 ID:/2ogTjTJ0

聡「…ようやく捕まえた…一緒に家に帰ろうよ。」

律(悔しそうな顔をする)
  「お…大声出すぞ!」

聡「じゃあ助けに来た人と一緒に姉ちゃんを家まで連行するよ。」

 逃れようとして暴れてもしっかりと捕えられてしまいろくに身動きもできない。

(力は聡の方が強いんだ…
 体も私より大きくなってるし…)

 それが自分の中で理解出来た瞬間、抵抗しようとする気力が消えうせてしまった。

聡「姉ちゃん?」

 急に暴れるのをやめた律を不思議に思った聡が声をかける。



260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:28:48.39 ID:/2ogTjTJ0

律「いいよ…今度は本当に逃げないよ…」

 聡はそういって力を抜いた律を確認すると、
 急に逃げようとしても対処できるように腕をつかみながら二人でゆっくり体を起こした。

律「なあ聡。ひとつ確認したいことがあるんだけどいいか?」

聡{?」

律「こっちを向いてくれないか?体ごと。」

 そういうと律も聡の方に体を向けた。

 暗闇で殆ど表情も姿も分からないが真正面からお互い向きあったのは久しぶりだった。

律「短い間にずいぶんでかくなったな。」

聡「そりゃあ…ここ3カ月で5センチくらい伸びたよ」

 律は視線をわずかに見上げると胸が高鳴り体中の体温が上昇するのを感じた。

 そして、自分でもそれを把握すると、今度は一歩前に進み、
 聡と体を密着させ腕を後ろに回して、ぎゅっ、っと抱きしめた。

 顔は聡の顔の真横に当てる。

 頬と頬が触れ合う。

 鼓動がさらに高鳴るのを感じた。



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:44:07.30 ID:/2ogTjTJ0

律「あたしの心臓がドキドキいってるの…分かる?」

聡「うん…」

 耳の奥から聞こえる鼓動で聡の返事など、まともに聞こえなかった。

律「あたしはよく分からなかったんだけど…
  どうやらあたし、聡のことが好きみたいだ…」

聡「俺だって、姉ちゃんのことは好きだよ。」

律「バカ、そういう好きじゃねーよ。
  聡と一緒にいると胸がドキドキして、目線を追っかけて、
  ちょっとしたことで不安になったり喜んだりして…
  自分では聡のことを怖がってると思ってた。
  よく分からなかったから、今、確かめたんだ。
  聡を抱きしめたらどんな気持ちになるか…」

聡「ど…どんな気持だった…?」

律「んー…まだ、ちょっとはっきりしないかな…?
  もう少し、確かめていい?」

聡「う…うん…」

 そういって上半身だけを背中をそらして話すと、聡の顔を真正面から見詰め、
今度はそのまま顔を近付け、やわらかく、それでいながら強く、唇を重ねた。

 どれほど口づけしていたのか、二人とも理解できていなかったが
律は唇を離すとすぐに聡から顔が見えないように下を向いた。



267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:50:05.95 ID:/2ogTjTJ0

律「今、私の心臓すげー、ドキドキ言ってる!体もじっとしていられない感じがする!
  体中熱くて汗が噴き出してきそうなくらい興奮してる!感情が爆発しそう!!
  聡…今の私どういう顔してる!?」

 鼻が触れんばかりの距離しか離れていない。
 聡の眼からは薄暗い街灯の下でもはっきりと律の表情が見てとれた。

聡「すげー…嬉しそう…」

律「はは…やっぱり!私は聡のことが好きだったんだ!
  聡なんか怖くなかった!好きだっただけなんだ!」



268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 22:59:31.14 ID:/2ogTjTJ0

よくじつ!

澪「で…その後は一体どうしたって?」

律「二人で一緒に家に帰ったよ。
  今まで本当は好きなのに怖がってると思いこんでこそこそ避けてたから気持ち悪かったんだから、
  原因さえ分かれんば、一緒にいてべたべたしてれば不安になったりすることはなかったんだ。」

澪「聡は…どうだって?」

律「あはは…それは…」

澪「そこまでしてまさか振られたのか!?」

律「いや…
  『今まで姉ちゃんのことそういう風に考えたことなかったから何とも言えない』…って」

澪「あ…あぁ…」
  (こ…これは気まずい…)

律「『だから、今度から姉ちゃんのことも一人の女の子として見るから、
  好きになった時今度は俺の方から告白させてくれないか』だってさ!
  全くわが弟ながら照れるやつだなー!おい!!ww」

澪「いてて、嬉しいのは分かったから、叩くな!暴れるなー!」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:06:35.96 ID:/2ogTjTJ0

もう…ゴールしていいよね…?

長いことお付き合いくださいましてありがとうございました。

もっと聡の描写をしっかりして気持ちの動きをつかんで相思相愛にしてあげたかったな…
あと、身長に関する部分はもうちょっと、それこそ慎重に表現したかったけど駄目だった…
つーか場面の展開があれ過ぎてあれだったわ…(苦笑)

今までSS読んでて『自分ならもっとうまく書けるぜ―』とか思って気楽に書き始めちゃったけど
もう二度とそんな不届きな事思いません。
どんなにペースがゆっくりでも二度と「早く書け!おせーんだよ!」とか思いません。
ほんと、原作通りのキャラを崩さないまま動かすことがこんなに難しいとは思いませんでした。
二度と「りっちゃんはこんなこと言わない!」とか思いません…

唯はもう少し短い言葉でナチュラルに本質だけを言い当てる天才肌のキャラにしたかったのに
言葉がうまく見つからなくて無駄にしゃべらせ過ぎたし、
気楽に書いたら言動も口調もむちゃくちゃになってとほほ過ぎたし…

本当にこんなだ分に付き合っていただきありがとうございました。

今後はこれに懲りて職人様の作品を純粋に楽しんでいこうと思います…




272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:12:16.10 ID:l45H5L40O

>>1
やるじゃん



273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:12:43.96 ID:xeMVQMd7O

>>270乙!

おもしろかったしその分保守のし甲斐もあるってもんだぜ

またなんか書いてくれよ!



274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:17:18.22 ID:Dud1QcFA0


よかったよ



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:29:09.48 ID:ZOrl5inr0





276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:37:47.65 ID:o2kezJdRO


これからも期待してます



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/10(木) 23:52:27.52 ID:o6aKxv9vO

またいつか会おう



278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 00:31:23.65 ID:PfWZBn9Y0

乙でした



279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 00:41:28.04 ID:m3qGOnLC0


ここで終わらせて正解だとおも



280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 01:15:23.41 ID:zXVWIzAe0


だができればセクロスまでry






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律「最近なんか、聡が怖い…」
[ 2011/07/26 17:58 ] 非日常系 | 律聡 | CM(1)

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タイトル:
NO:3347 [ 2011/07/27 02:19 ] [ 編集 ]

2009年の雰囲気がいい味出してる作品

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