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唯「澪ちゃんと結婚しました…でも」#後編 【ホラー】


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1252848065/

唯「澪ちゃんと結婚しました」

唯「澪ちゃんと結婚しました…でも」#前編
唯「澪ちゃんと結婚しました…でも」#後編



管理人:グロ、エロあります。閲覧にご注意下さい。




68 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 21:16:51.01 ID:Z0atOwso


こんにちは、平沢 憂です。
澪さんが起こしたあの事件から1年が過ぎました。
そして私は今、平沢家のお墓の前に居ます。

憂「両親よりも先に、お兄ちゃんの名前が先に彫られることになるなんて…信じられない」

「そうだな…私も信じられない… スーッ…パァー…」

憂「けほっ、けほっ…墓地でタバコなんて吸うなんて不謹慎ですよ?」

「なにそのわざとらしいせき…
 今日くらいは許して頂戴よ、なんせ久しぶりの顔合わせなんだからさ」

この人は兄と幼馴染の真鍋 和さん。
琴吹事件を解決した敏腕刑事であり、今回の一見でも色々お世話になりました。
澪さんの世話から葬式の手配までやってくれました…兄の友達としては優秀すぎるくらいです。

和「しっかし遅いな…今回の騒動のタネ…」

憂「そうですねぇ…
  でも、電話で"来る"って言ってましたから、そのうち来ますよ」

和「そっか…」

ぽわぽわと口から白い輪を生み出している後姿は、昔から変わっていません。
どんな状況下でも平静でいられるから、デリケートな兄も安心できたのかもしれませんね。

和「よっと…しばらく来なさそうだから、唯と澪さんの話でもしようか?
  …というか、憂ちゃんが第一発見者だったんだから別に話さなくてもいいか…な?」

憂「お兄ちゃんのことは、もういいですけど…
  澪さんがどうなったのか知りたいですね…」

和さんは一呼吸置くと、兄が倒れたあの日のことを話してくれました。



69 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 21:53:41.35 ID:Z0atOwso


私はあの日、兄に頼まれた本を届けに家を訪ねました。
何度もインターホンを鳴らしましたが、返答は澪さんの絶叫。
家へ入ると、血生ぐさい部屋に傷だらけの兄と澪さんが倒れていました。
兄の腹部からはこんこんと湧き出る血液、澪さんの横にちらばった錠剤。
私は何が起こったか一瞬でわかりました…好きな人を殺して自分も死のうとしたのでしょう。

殺してやる。

そんな言葉が脳裏をよぎりましたが、たとえ殺人犯でも兄が一途に思った人。
私は即座に救急車を呼び、澪さんに大量に水を飲ませ、兄の止血に徹しました。
どちらも助けたい、最悪1人だけでも助かって欲しい…そんな思いでした。
その後和さんに連絡をとり、事件性を考慮し兄と澪さんは別々の病院に運ばれ、
私は兄へ沢山の血を分けました。

肉体の一部が兄に入っていったことを思い出すと、今でも少しドキドキします。
なんとか一命は取りとめたものの、しばらくは意識不明の面会謝絶。
意識を取り戻すまで、毎日落ち着きませんでした。

そして、兄の体に入っていったのは、私の血液だけではありませんでした。
えぐりとられ失われた声、これを戻す為に喉頭ガン用の人工声帯を移植することになり、
声を戻すことに成功しましたが、元の声に戻ることはありませんでした。

さらに、失われたのは声だけではなく、"歩く"という日常では当たり前だった行動。
澪さんにバッサリと切られた靭帯は最早回復することができないとのことです。

…そんなヒドいことをされても、兄は澪さんを許していました。
だから、私も澪さんを憎むことができません。
そんなこんなで、私は兄が回復するまでつきっきりでした。

澪さんの方はというと、和さんが保護監査役としてついていました。
体に異変はなかったものの、ココロが完全にやられてしまったみたいで、
毎日うつろな瞳で"唯・律・澪"の登場人物で人形劇やままごとを繰り広げていたようです。
たまに瞳がクリアになったかと思うと、和さんの瞳を見つめ「ゆ…い…?」と呟き、
瞳を曇らせ劇を再開するそうです。

さすがの和さんもその光景を見続けるのが苦痛になってきたのか、
"平沢 唯"として澪さんに語りかけココロのケアを試みているそうで、
少しずつ回復の兆しも見えてきているとのことです。

和さんの活躍はこれだけではありません。
徐々に澪さんの記憶から兄の記憶を取り払うべく、兄を亡き者にしました。
…もちろん書面上からですけど、偽装葬式まで行われるなんて意外です。
毎日毎日、兄と悪魔を引き離すことに勤めてくれたようで本当に助かりました。

「やっほぉ~、おまたせ」

後方から聞き覚えのある声…。ようやく、元・お兄ちゃんが到着したみたい。



71 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 22:30:05.23 ID:Z0atOwso

会社の子なのかな?
黒髪をツインテールにした小柄な女の子が同伴している。
私たちにペコリとお辞儀をすると、ササッと車椅子の陰に隠れた。

和「遅いぞ…唯」

唯「あはは、ごっめーん…
  でも、墓石に僕の名前が彫られているの見ると、なんだか変な気分になるね」

和「そりゃ…ねぇ、それに今は"田井中 唯"だからねぇ」

唯「和ちゃんに色々やってもらって、本当に助かったよ…ありがとう」

そう…兄は田井中さんと入籍という形で戸籍に潜り込み、
今は全くの別人として暮らしています。

戸籍とともに住む場所や会社の部署も変え、
今は澪さんとの関係を完全に断ち切る方向に進んでいます。



梓「それじゃ、行きましょうか…平沢…いや、田井中先輩っ!」

唯「あはは、やっぱりまだその苗字は慣れないみたいだね。
  それじゃ、会社まで押していってくれたまへ!えっへん!」

梓「まったく…
  私も平沢先輩のこと好きだったんですよ?
  それなのに、田井中さんと結婚しちゃうなんて…」

唯「あずにゃん、何か言った?」

梓「えっ!?あ…
  そ、そのシルバーリング似合ってますね!」

唯「ありがと、でもあげないよ!
  りっちゃんとのペアリングなんだから…」

そう、りっちゃんは今でも僕の中で生き続けている。
ドクンドクンと循環する僕の血液に姿を変えて生きている…。
こんなことになる前に、彼女の笑顔をもっと見たかった。
優柔不断な僕のせいでこんなことになるなんて、悔やんでも悔やみきれない。

梓「そういえば最近、左手首に包帯巻いているようですけど…
  何かあったんですか?」

-BAD END?-

【おわり】
★蛇足おわり。
 パー速のスレって、後始末どうすればいいんだろう…




70 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 22:27:55.73 ID:vQ.Nd5so

>>65
乙でした。

>澪のメンヘラ成分が足りなかった気がしますが
イヤイヤ、十分でしたwwww

>琴吹事件を解決した
この事件の設定も気になりますね。時間があれば是非



72 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 22:31:05.64 ID:ceu9pbMo

乙半月間楽しかったよ



73 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/03(土) 23:54:51.88 ID:ceu9pbMo

本当に終わった・・・



74 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/05(月) 08:08:21.87 ID:Rk8x9MAO

まだ書いてもいいんだぜ



75 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/05(月) 13:57:30.15 ID:gBMBzgAO

乙!

あずにゃんと再婚したパターンまで脳内補完したwwwwww



76 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/05(月) 14:14:33.94 ID:Tu1zFAYo

>>74
澪のその後を~





77 名前:1:2009/10/05(月) 21:35:19.52 ID:QSMMk6Yo

終わってもスレがあったのに驚きました。
蛇足の蛇足ですが、書いてみます。



78 名前:1:2009/10/05(月) 22:01:00.65 ID:QSMMk6Yo


「秋山 澪さん、本日の体調はどうですか??」

私が目を覚ましてから半年以上経ったが、過去の思い出は、
この個室と目の前にいる看護士さんのように真っ白で、何も思い出せない。

澪「ええ、今日も何も思い出せません…」

私は"してやったりの笑み"を浮かべ、わざと看護士さんの意図に反した回答をする。
すると看護士さんは顔を引きつらせ苦笑いをする。
これが1日の始まりだ…。

「全く澪は…いたずらをするのも、ほどほどにしなさい」

いつの間に来ていたのだろうか、個室の入り口に"あの人"の姿。
少しヨレた背広に細い黒フレームの眼鏡。
さすがに病室だからだろうか、電子タバコというものを咥えている。

私が記憶を無くした日から、毎日会いに来てくれていたらしい。
そう…ハッと意識を取り戻した時に目の前に居たのが、あの人だった。
どうやら、あの人は私の夫で当初"ひらさわ ゆい"と名乗っていた。
しかし、私を騙していたのか、話していくうちに夫の本当の名前を知ることができた。
きっと、夫の昔の女だろう…"唯"という単語を口にすると、とても敏感に反応する。
いつも冷静なはずの夫が、一瞬みせる驚いた表情がとても好きだ。
今でもたまに、わざと"唯"と名を呼び夫を驚かせる。

澪「ええ、最近お腹を蹴ってくるのが、はっきりと解るようになりました」

その言葉を聞くと安心したのか、次第に看護士さんの表情は穏やかになり、
最後は笑顔で病室を後にした。
そう…私は今、子供を授かっている。
スイカの中玉くらいに膨らんだお腹は、ぽっこりとしていてとても愛しい。

「ふぅ…あまり看護士さんを困らせたらだめだぞ…。
 ところで、子供の名前って考えているの?」

澪「ふふっ、なんだか楽しくってね。
  子供の名前かぁ…そうだな、女の子だったら唯、男の子だったら律…かな?」

その言葉を聞くと、あの人はいつもの驚く表情はせず呆然と私を見た。
だってそうだろう、昔の女の名前が自分の子供の名前になるんだから…。
ショックを受けるのも仕方が無い。

というのは冗談…私にそんな悪意は無い。
とっさに口走った唯・律という名前が、唇に馴染んでいた気がしたからだ。
自分自身、つっかえること無くさらりと出てきたことに驚いた。
記憶が無くなる前、私と関わりのあった人物なのだろうか?
それともお腹の子供が求めた名前なのだろうか?
何にせよ、唯も律も良い名前だ。
どちらの性別で生まれても、私の意思を変えるつもりはない。



79 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/06(火) 21:53:31.46 ID:c6laWsQo

澪「ねぇ…キス… してよ」

私は顔から火がでそうなほど恥ずかしいセリフを口にした。
意識を取り戻してからというものの、夫からキスしてもらったことなど1度もない。
だから、今日はがんばって自分からおねだりをした。
緊張で手に滲む汗を悟られないように、しっかりとシーツを握り布をきしませた。
力んで震えた手を夫は軽くさすってくれ、左手の甲へ軽いキスをしてくれた。

「ごめん、今はこれが精一杯だ…。
 子供ができたら唇にする…だから、それまで待ってて」

ずるい。

記憶が無くなってから、初めて感じた夫の唇。
少しカサついてはいるが、唇の温もりと吐息を感じることができた。

澪「それじゃぁ…それまで我慢するから、その代わりに…
  …これからは、名前で呼んでいいか?」

「もちろん、いいよ」

澪「和…」

私は名前を呼んだあと、一呼吸置いて続きの言葉を言った。

澪「チョコレート系の何かが食べたい」

和「はいはい…
  でも、私の名前を呼んだだけでそんなニヤニヤするなんて、
  よっぽど呼んでみたかったんだな」

澪「えっ!」

慌てて10本の指で自分の目、口、頬の形を確かめると、和はクスクスと笑い始めた。
いつもと立場が逆転し、私がからかわれてしまった。
ぽっと湧き出る恥ずかしさで体温が上昇しているのがわかる。
ほんとはもっと甘えたかったが、いつもの調子で和と接してしまう。

澪「は…はやく買ってきてよっ!」

ぽふっと軽く枕を投げると、和は飛び出すように病室を後にした。
私は…なんで素直になれないんだろう…。



80 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/08(木) 00:32:24.95 ID:5Yvayhko

でも、和はそんな私を受け入れてくれている。
それなのに私はいつまでたっても素直になれない。
そう思うと…何故だかムシャクシャしてきた。

それに連れ、目頭からじわじわと涙がこみあげてくる。
そして、こんこんと湧きでる涙は頬を伝って腹部に落ち、ぽつりぽつりと染みをつくる。
お腹には赤ちゃんがいるというのに、こんな弱い母親じゃだめだ。
必死で涙を止めようと頑張った…止まらない。

やがて気分はムシャクシャからイライラへと変わり、いつもの悪いクセがでてきた。
記憶がなくなる前にできていたと思われる手首のキズを、ただひたすら引っ掻くことだ。
毎度毎度カサブタを剥がしては掻き続け、流血しても掻き続ける。
とにかく誰かが止めてくれるまでは止まらない、なんとも変な癖だ。

和「澪っ!何やってるの!?」

和は私の両腕を取り上げ、両目をじっと見つめてきた。
数秒のできごとだというのに、とても長く感じる。

和「はぁ…」

澪「…ふぅ」

彼は少しため息をつき、私も追って溜め息をついた。
この後どんな空気になるか、大体予測できる…これもいつものことだからだ。
どちらも話し出すことができない、湿っぽくジメジメした空気。
晴天雨天関係無く、とても重い空気が訪れる。
そういえば以前、太陽のように明るく、湿っぽい空気をいとも簡単にカラッとさせる存在が
身近に居たような気がする。
カチューシャをつけている女の子…
脳内に浮き出た姿形はぼやけており、たまに記憶の片隅にノイズのように映っては消える。



82 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/08(木) 22:12:08.97 ID:5Yvayhko


和と過ごす時間はとても楽しく、1日があっという間に終わる。
他人から見れば他愛もない会話ばかりだが、私は幸せだ。
そんな日々を送っていたところ、ある異変に気がついた。
お腹の子供の元気が無くなって来たのだ。
ぽこぽことお腹の内側を蹴っている感覚が、日が経つにつれ弱くなってきている。
私は検診を受ける度に得体の知れない不安に襲われ、
微笑んでいた日々は終わり、ビクビクと縮こまる日々へ変貌した。
さすがに和も私の雰囲気を察したのか、心配そうに私の様子を伺ってくる。

和「澪…最近元気ないけど、どうかした?」

澪「ううん、大丈夫…大丈夫… …  …」

作り笑いを浮かべ、大事にお腹をさすっているとトクントクンと響いていた鼓動が消えた。
ついさっきまで、この手で感じていた子供がいるという感覚が無くなった。
突然の出来事に対応できない私の頭は、今の腹部の状況と同じ空っぽになっている。
和に心配させたくない、その一心でお腹をさすり続けた。

さすり続ける度、間欠泉のように熱い熱い涙が込み上げる。
そういえば、自分以外の為に泣いたのって初めてかもしれない。
せめて、この涙は産声と共に流したかった…。

和「澪!? 澪!?」

澪「…」

和の声がどんどん遠ざかっていき、目の前は真っ暗になった。
耳にしていた声はフェードアウトし、変わりに別な男性の声がフェードインしてきた。



83 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/08(木) 22:16:51.27 ID:5Yvayhko

「澪ちゃん… 澪ちゃん…」

どこかの大学生だろうか?
爽やかではあるものの、どこか間が抜けていそうな男性に呼ばれた。
その人は、いつも記憶の片隅に現れる少女のようなカラッとした笑顔ではなく、
小春日和のようにぽかぽかとした微笑を浮かべている。

ふと、ロングヘアーの女性が私の真横を通り過ぎ、軽いステップを踏みながらその男性へ近づいた。
光を帯びた黒髪はツヤがあり、絹のように美しい。
その女性は男性へ近づき手を握ると、遠くを目指し歩き始めた。
そして、今度は私の横をカチューシャをつけた女性が通り過ぎ、二人の後を不貞腐れた様に追っている。
その気配を察したのかロングヘアーの女性は振り返り、カチューシャの女性を気遣っている。

ああ…ロングヘアーの女性…これは私だ。

男性もカチューシャの女性のことも知っている。
でも…名前が出てこない。
答えを知るべく三人の後を追い走り出したが、気づかぬうちに別の空間に躍り出たようだ。

そこは…目が眩む様に白い部屋。

和「澪!? 澪!?」

澪「…和…」

和の涙がぱたぱたと顔に降り注ぎ、私の涙と混じって頬は一層湿り気を帯びていく。
私がカサついた唇を動かそうとしたその時だった。

澪「っ…んっ!?」

いままでずっと待っていた行為…和とのファーストキス。
嬉しくもあり悲しくもある、複雑な気分になるキスだった。



84 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/09(金) 20:34:26.05 ID:.k7MYU6o


「秋山 澪さん、本日の体調はどうですか??」

澪「…」

和とキスしたあの日、私のお腹の膨らみは無くなった。
"出産"というよりも"摘出"という言葉が似合う結果に終わった。
その日を境に私は言葉を発することを忘れた。
もし言葉を発するとするならば、きっと「死にたい」が真っ先に出てくるだろう。
和は何度も色々話かけてくれるが、楽しくもなんともない。
表情筋も衰え、すっかり無表情になってしまった。

食べる行動で口周りを動かすことはあったものの、
拒食症となってしまってからは点滴と微量の流動食が主食だ。

絹のようにつややかだった髪から潤いは飛び、
水をはじくほど張りのあった肌はくすんで枯れている。
こんな魅力のない女性を誰が看取ってくれるだろうか。

和は最後まで一緒にいてくれるのだろうか?

嫌な疑問が頭をよぎってしまった。
和だけはずっと最後まで一緒にいてくれる、ずっと信じていたはずなのに。
こんなことを思うようになるなんて思わなかった。

「それでは、また午後診察しましょうか」

そう看護士は告げ部屋を後にした。
入れ替わりに入って来るのは和…でも、直視することができない。
全身からぷつぷつと出てくる冷たい汗は、パジャマをしっとり湿らせる。

もう顔を向けることもできない、和の言葉にを耳にする度にココロが痛む。
どう接すればいいのか解らない…どうすればいいんだろう?
私はドブの中でもがき苦しみ、記憶の片隅にいつもいるカチューシャの女性に助けを求めた。
すると…

「澪も一緒に行こうよ」

そんな声が聞こえた気がした。




86 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/09(金) 23:42:48.41 ID:uwvyTHko

基本設定を確認させてもらいたいんだけど、
和は唯の友人として事後処理として澪に接しているだけ?(憂のモノローグからはそう受け取れるけど)
それとも澪に特別な感情を抱いている? でも以前に二人に接点はあったのかな





87 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/09(金) 23:51:03.12 ID:.k7MYU6o

>86
ツッコミありがとございます!

事後処理で接しているつもりが、徐々に好意を抱いて…

というような、ありがちなパターンを予定していました。
かなり端折りまくっています(澪入院~意識が戻るまでの経緯や、和の心変わり等)。
迷走しないように気をつけます(汗



89 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/11(日) 19:46:27.93 ID:Zbmx7z.o

プルプルと身震いし始めたとき、
和が私の異常を察したのか私の弱くか細い手を取ろうとした。

ぺちっ

気づくと枯れ木の枝で叩く音を立て、和の手を払っていた
信じることができなくなった私は、和に触れる資格なんて無い…
そう体が判断したのだろう。
ちらりと和を見ると、ショックを受けたのか暗い表情をしている。

和「澪…」

私のことを励まそうとしてくれていることぐらい解っている。
本当は和の頭を私の胸元へ沈め、キスへ持ち込みたいぐらいだ。
でも、何故か体が拒否反応を示している。

澪「…は…って…」

和「?」

澪「今日は帰って…ごめん、一人にさせて」

長い間閉じっぱなしだった口を開け、久しぶりに言葉を発した。
詰まりながら出ると思われたが、スムーズに声帯を振るわせることができたのに驚きだ。

久しぶりに出した声は、自虐的で誰かにかまってもらいたい「死にたい」という言葉ではなく、
自分から進んで孤立することを選ぶ言葉だった。
和は肩を落として病室を後にした…きっと、もう来ることはないだろう。
今生の別れになるかもしれないのに、涙も出てこない。
あんなに好きだったのに、自分の行動が憎い。

「澪と私はずっと前から一緒だったんだぞ!
 だから、澪を泣かせたら…
 な…泣かせたら、絶対に…絶対に唯を許さないからな!」

「澪さんに頼ってばっかりじゃなくて、唯もしっかりね」

ふと聞いたことがある声が聞こえ、ある日の光景が脳内に広がった。
白いタキシード姿の男性は唯という名前らしい、カチューシャの女性と和に言い寄られている。
そして私は真っ白なヴェールをかぶり、胸元・肩・背中が露出したウェディングドレスを纏っている。

ああ、これが私の結婚式だったんだ…。
唯という少し間が抜けたような男性、この人が私の本当の旦那さんなんだ。



90 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/12(月) 00:12:38.19 ID:6tAvUuYo

私は和に騙されていたのだろうか?
それとも脳内に浮かんだヴィジョンが妄想なのだろうか?
クルクルとツイストしてある電話のコード…それが2本絡まり、なかなかほどけない。
そのような苛立ちと、もどかしさを覚えた。
いつもは腕や手首を引っかき、赤紫色のミミズ腫れをつくっているのだが…今日は違う。
赤ん坊がおしゃぶりをするように親指を口に含み、ひたすらガリガリと爪をカジっている。

ムシャクシャしている間に昼食の時間になったのか、
食欲をそそらない昼食を配給する看護士さんが私の行動を止めてくれた。
一方的に私を落ち着かせる声をかけてきてくれるが、それがまた苛立ちを増幅させる。
さすがに諦めがついたのか、看護士さんは奥の手を使ったつもりなのだろう、
テレビを点けてくれた。

そういえばこの時間は、黒いサングラスをかけ、カツラっぽさを髣髴させる髪型のタレントが
司会をする番組が始まる。
テレビを見るのも久しぶりだ。
和と一緒に居る時はとても楽しくて、テレビなんてまったく点けていなかったからな。

その番組が始まるまであと15分といったところだろうか、
地方で起こった行事やら事件やらのニュースが流れている。

「――山中さわ子さん(年齢不詳)が、秋葉原で下着を露出するという事件がありました。
 この件につきましては、万世橋警察が――」

本気なんだかジョークなんだか解らないニュースばかりで、ヒマつぶしにはもってこいだ。
鼻で笑ってみていると画面が切り替わり、テロップには「惨殺事件解決への兆し」と出ていた。
すると見たことのある家の映像が流れ死亡者の名前が表示された。
テロップには平沢唯・律と出ており、見知らぬ容疑者の名前が表示されていた。

絡まっていた電話のコードは解れていき、霞がかっていた記憶がに鮮明になっていく。




91 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/12(月) 02:05:58.41 ID:/jLXsUAO

さわちゃん何やってるんすかwwwwwwwwwwww





92 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/12(月) 12:05:49.84 ID:6tAvUuYo


ここは律の部屋?私と何か言い争っているようだ。

澪「ねぇ… 唯と寝たんだよね?
  セックスしたんだよね!?」

律「…」

澪「今朝見たんだ…片方の布団に二人が裸で寝ているところ…」

律「私だって… 本当は唯のことが好きだったんだ…
  一晩だけ、一晩だけ唯の温もりが欲しかったんだ!」

彼女は瞳に涙を溜め、自分の罪を認めた。

澪「へぇ、私から唯を寝取ろうとしたんだ?
  そんなことするなんて…唯と一緒に居たいんだよね?
  ずっと…一緒に…」

すると、私は常備しているナイフをポケットから取り出し、
彼女の核を一突きした。
突き立てたナイフを中心に、みるみるTシャツが赤く染まっていく。
そして、液体を吸い取れなくなったTシャツは、雫を生み出しポタポタと
フローリングへ零れ落ちた。

律「…み…  お…?」

ナイフを刺したベクトルは残っており、律はそれに逆らうことなく仰向けに倒れていった。
そして2・3度痙攣したと思うと、全く動かなくなった。
いつもだったら血を見るだけで叫び声をあげるはずなのに、冷静に解体作業へ取り組み
私は律の四肢をバラバラにし、さらに細かくパーツの仕分けを行った。



93 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/12(月) 23:51:49.62 ID:6tAvUuYo

スライドショーのように場面は切り替わり、寝室の風景が脳内に投影された。
目の前には下半身を引きずり寄ってきたと思われる男性がそこにいた。

「ひゅー…っ けひゅっ…」

声帯を切除され声の代わりに隙間風の様な音を立てながら、私の体をよじ登ってくる。
徐々に頭が私の目の前に近づき視線が交差する。
そして、唯の視線が私の視線を通り越したその時、苦痛の表情をしているその男性は
安心したような笑み浮かべ、弱々しく倒れていった。

澪「!?
  ゆ…い?ゆい?唯!?
  うわっ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ゆいっ!唯ぃぃぃっ!」

私は狂ったように叫び、ガクンガクンと人形のようになった唯の体を揺さぶった。
反応することをしなかった唯の状況を察した私は台所へ歩み、錠剤が入ったビンを手にした。
ココロを落ち着かせる薬、いわゆる精神安定剤だ。
ふらふらと唯の遺体の元へ歩み、私は錠剤を一気飲みした。
何度むせたことか解らない、吹き出してしまった錠剤は床をコロコロとかわいらしく転がった。
それを拾っては再度口に含み…またむせる。
そのようなことを繰り返しているうちに、徐々に視界が狭まり目の前が暗くなった。
殺したのは律だけではなく、愛しく思っていた夫まで殺してしまった…。

体は罪悪感を覚えていたのだろう、好きになったはずの和を拒絶した理由も解った気がする…。

「澪? …澪?」

白昼夢を見ていた私は、男性の声に反応し目覚めた。
あのニュースを見てから、今までずっとぼーっとしていたらしい。
病院食に手を付けることなく、午後になってしまい診察の時間がやってきた。
私は声のする方向に顔を向けた。
すると和の姿があった…よかった、私のことを嫌っていなかったんだ。

でも、記憶を取り戻してしまった今、和にこのことを話していいのかわからない。
「あの事件の犯人は私」というただ一言、これを話したら全てが終わってしまう…そう思った。

和「澪がいつまでも暗い顔をしているから…プレゼントを買ってきたんだ。
  ちょっと、開けてもらってもいいかな?」

ベロア生地のようにふっくらとしたケースを開けると、冷たく輝くシルバーリングがあった。

和「…これからも、一緒に居ていいかな??」

和は頬を赤らめ、少し照れ笑いをしている。
私は心を痛め戸惑い迷った結果、嘘を混ぜ込んだ返事をした。

澪「…何言っているの…もちろん良いに決まってるじゃないか。
  これからも、ずっと一緒に居よう…」



96 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/13(火) 23:54:43.10 ID:aLRbie2o


ガバッ!

澪「…っ!?」

和から貰ったシルバーリングをはめたその日から、毎晩の唯・律が夢に出てくるようになった。
その度に私は目覚め、寝汗でぺっとりと張り付いたパジャマと下着を取り替える。
着ているモノを脱ぐと、ふわっと湿気を含んだ熱気が服と肌の隙間から吹き出す。
そして、呼吸をすると私の匂いが肺へ入り込んでくる。
自分の体温だけれども、人肌がこんなに心地よく温かいと感じる瞬間だ。
でも…自分の温もりではなく、別な人の温もりが欲しい…唯の温もりが欲しい。

私は指輪をはめた左手をギュッと強く、はだけた胸元へ深く沈め想いを込めた。
すると、夢か幻か二人の姿が瞳に入りこんできた。

唯「澪ちゃん…」

律「みーおっ!」

澪「唯… 律…?」

私は二人にヒドいことをしたというのに、唯と律は笑顔で私をエスコートしてくれる。
戸と思われるところを開けると、吹き込んでくる夜風が汗で蒸れた体を冷やしてくれる。
すると、夜風は徐々に強くなって私にぶつかり、髪をバサバサと激しく乱す。



少し時間が経ったのだろうか、気がつくと私はひんやりと硬い床に寝そべっていた。
聞き覚えのある声を耳にし、上半身を起こすと律がいた。

律「ったく、澪はいつまで寝ぼけているんだ?」

澪「律…? 律!? うわぁぁぁぁ!!」

私は涙を滝のように流し、律に抱きついた。
記憶を取り戻してから、暗く重い罪悪感がずっと体にまとわりついていた。
それからようやく解放され、体がとても軽くなったように思えた。

律「おいおい…いつまでたっても、澪は泣き虫だなぁ…唯に笑われるぞ?」

律の向こう側には見覚えのある男性の姿…唯だ。
私を見てクスクスと含み笑いをしている。
すると、唯は微笑み2回目のプロポーズをしてくれた。

唯「澪ちゃん、…これからも、一緒に居ていいかな??」

澪「グスッ…良いに決まっているじゃないか、ずっと一緒に居てよ。
  離さないでよ… ずっと… ずっと…」

とてもあたたかく、ひさしぶりなゆいのぬくもり… ほんとうに あたたかい…。



97 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/14(水) 00:21:04.69 ID:LooEEEMo


和「飛び降り自殺…か。
  現場検証には立ち会いたくなかったけど、これも保護監査の仕事だから…仕方ない…か」

何かを諭すようにボソボソと呟く和は、澪が入院していた病院に来ていた。
いつもは保護監査の名目で見舞いに、そして好意を抱いて貰う為に通っていたのだが、
今日は仕事で来ている…自殺した澪の現場検証だ。

普通ならば愛する人が死んだ時は驚愕したり、泣いたり、金縛りにあったかのように
ピタリと静止したりするものなのだが、人の死を見慣れている彼はいつも通りに
仕事をこなしていた。
ただ違う所は、澪の亡骸を美術品を眺めるかのような目で見ていたことくらいか。

和が澪に特別な感情を抱いていたからというわけではない。
現場検証に立ち会っている老若男女全ての人間がそのような目で見ている…
異様というか不思議な光景だ。

それもそのはず、澪の血で作り出された赤い絨毯の上に一糸纏わぬ彼女の姿は、
一枚の絵画ともいえるほど美しい。
真っ赤な血液・真っ黒な髪の毛・真っ白な肌で見事なコントラストを描いている。

和(こんなときに考えるのも不謹慎かもしれないが、澪って…綺麗な肢体だったんだな。
  こんな形で素肌を拝むことになるなんて、刑事っていう立場もなかなかキツいものだ。)

和「現場検証実施日は…と…?
  そうか…そういえば、今日はアイツとの待ち合わせだったか。
  運命なのか偶然なのか、なんだかもどかしいな…それじゃ、後頼むわ」

彼は部下に書類を渡すとタバコに火を点け、背を澪に向けて歩き始めた…。
これから再会する幼馴染を悲しませないよう、澪と和自身の物語を考えながら。

和「澪… 好きだった…」

彼が発した初めての"好き"という言葉は、澪に届くことなく虚しく宙へ消えていった。

【おわり】
★蛇足の蛇足おわり。
 スレ立てて1ヶ月…色々矛盾点があったり、端折りすぎて読み辛かったと思いますが、
 お付き合いありがとうございました! …もう書くことってないよね?
 それでは、また別のSSでお会いしましょう~。




99 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/16(金) 09:51:37.80 ID:Gek.yAAO

乙でーす

楽しませてもらいました



100 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/17(土) 01:02:43.97 ID:SeIhwJY0

乙っした。

あ、あずにゃん…



101 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2009/10/22(木) 15:30:50.27 ID:tif.42AO

乙でした






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タイトル:
NO:5679 [ 2012/02/24 14:16 ] [ 編集 ]

和ちゃあああああああああああああんじゃなかった和くううううううううん

かっけええええええええええええええ

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