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唯「ばとろわ!」#後編 【クロス】


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唯「ばとろわ!」#前編
唯「ばとろわ!」#後編





65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:14:19.61 ID:dLRsDgym0

次なる敵を捜し求め、和は町の北側をうろついていた。
自分が殺した紬しか死んでいなかった事に焦りを感じる。
殺し合いをしているのは自分だけなのか?自分が異常者なのか?
いや、少なくともさわ子を殺した奴がいる。それでも二人しかいない。

それともこの人数に対してこの島が広すぎるからか?
そのお陰で遭遇率が低下しているのか?
ならば人が集まりそうな町を離れる訳にはいかない。


「あらかた探したし今度は西に行ってみようかな……」



一方唯は和を探しに町の南を探索していた。
北は住宅街が多いがこちらは畑や田んぼが多く見通しが良い。


「疲れた~アイス食べた~い」


数時間前のシリアスが嘘のように緊張感のない声を出しながらだらだらと歩く唯であった。


(そういえばうぃはどうしてるかな……のどかちゃんを助けたら探しにいかないと)


自分よりしっかりものの憂なら簡単には死ぬことはないだろう。
それに進んで人殺しをするような人間なんていないはずだ。和だって本当は殺したくないはずだ。
紬やさわ子だってもしかしたら事故死かもしれない。

そう半ば思い込むようにして納得させると丁度自転車が目に入った。


「らっきー!これで移動が楽になるよぉ~」


颯爽と跨ると乗り心地を確かめるように周囲をグルグルと回る。
次は西を探そう。そう思いペダルを勢いよく漕いだ。


奇しくも二人の向かう場所は同じ場所であった。



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:51:06.41 ID:dLRsDgym0

「斉藤、紬の行方は分かったか?」

「申し訳ありません。今しばらくお待ちを……」

「そうか……」


特徴的な眉毛をハの字にして溜息をつくのは紬の父親である。

琴吹家はパニックになる寸前だった。最愛の娘からの連絡が途絶えたのだ。
最初に気付いたのは別荘に到着していないという報告を受けた時だ。
当日、あの付近の海は荒れていたと聞くのでその影響で遅れているのかと始めは思っていた。
しかし、用意した船にも乗っていないとう報告を受け流石におかしいと思い調査をした。
近隣住民の口コミでは駅で見たのが最後だという。

そして現在琴吹家のネットワークを総動員して全力で紬の行方を追っている。

紅茶を一口飲む。プロが淹れたのだろう。上品な香りで旨みがしっかり味わえる。
なのに美味しいと感じない。思い出す味は娘の淹れた紅茶の味。
ガタンと何かが落ちた。振り向くと一家を描いた絵が落ちた。
拾い上げると丁度紬の所だけガラスにヒビが入っていた。


「無事でいてくれ……紬」


「斉藤さん、ちょっといいですか?」


廊下を歩いていると使用人の一人が斉藤の下にやってきた。
使用人は耳打ちをすると斉藤の表情が険しいものとなった。


「わかりました。念のため徹底的に調べてください」

「はい。それともう一つ、紬様のSOS信号をほんの一瞬、僅かですが感知されたと」

「場所の特定は?」

「それが本当に一瞬で微弱だったので……」

「一刻の猶予もありません。そちらを優先で急いで特定してください」

「はい。失礼します」



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:52:05.68 ID:dLRsDgym0

使用人がいなくなった後、斉藤は廊下の窓を開けた。


「紬様、それに御学友の皆様。どうか御無事で」


斉藤の呟きは夏の暑い風にかき消された。



自転車であっという間に町の西に到着した唯は支給されたパンを食べていた。
昨日から何も食べていなかったので空腹も限界だったのだ。
味気ないパンを放り込み唯は思いを馳せる。

紬が死んでしまった。

経緯はどうあれもうこの世にはいないのだ。
お金持ちのお嬢様でおしとやかでとても気が利く、
一番軽音部の仲間を大事にしていた人だった。
もう彼女が淹れたお茶が飲めない。お菓子を囲んで話に花を咲かせる事もできない。

泣きたかった。でも泣けなかった。今は使命があるから。
和を元にもどして梓を守って憂を守って律と一緒に脱出する。
それを果たすまで紬のための涙は取っておこうと思った。


「よし、行こっか」


唯は最後の一口を放り込み水で流すと自転車に跨った。



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:52:59.43 ID:dLRsDgym0

ガキン!と金属と金属がぶつかる音がした。鉛弾が自転車のタイヤに当たったのだ。
バランスを崩した自転車と共に唯は横転した。

立ち上がろうとした時、今度は左の太ももに銃弾が当たった。あまりの激痛に唯は悲鳴をあげた。
蹲る唯に撃った本人、真鍋和が近付いた。


「はぁ、はぁ……のど、かちゃん……」

「言ったでしょう?二度と現れないでって」


以前会った時とは違う。感情というものが抜け落ちてるような雰囲気だった。
機械のように淡々と喋り殺そうとする和に唯は恐怖を覚えた。


(でも……ここで怖がってちゃのどかちゃんは……!)


傷口を押さえながら唯は何とか立ち上がる。


「のどかちゃん……もう止めよ、こんな事……悲しいだけだよ」


痛みで顔が引き攣りそうになるのをなんとか堪え、
いつもの笑顔で優しく語りかけるように言葉を続ける。


「死ぬのは怖いよ。でも、みんなを殺して一人ぼっちになるのはもっと怖いと思うんだ……」


足を引き摺りながら唯は和に近寄る。


「それ以上……近付くと撃つわよ」

「本当は分かってると思うんだ。こんなの間違ってるって。優しいのどかちゃんは気付いてるはずだよ」


和の色のない瞳が僅かに揺れた。それを見た唯はさらに続ける。


「お願いのどかちゃん、もう止めようよ……私もう誰かが傷つくのを見たくないよぅ……」


涙を流しながら訴える唯に和の銃はカタカタと震える。


「……無理よ、そんなの。もう後戻りはできないのよ。私が紬さんを殺したのよ!もう殺人者なの!!」


紬を殺したと聞き唯は動揺した。


「憎いでしょ?もう昔の私じゃないの。だから……さよなら」


狙いは頭。和は引き金にを引いた。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:54:17.57 ID:dLRsDgym0

唯は眼を閉じた。次いで発砲音が聞こえた。
痛みはなかった。あまりに一瞬すぎて感じないのか?
それにしても意識はある。倒れる気配もない。
不審に思い目を開けてみる。目の前にあったはずの銃口が別の方向に向いている。
更によく見ると和の手には矢が刺さっていた。和は苦痛に顔を歪めている。




「和さん、今お姉ちゃんを殺そうとしたでしょ?」



【1日目10時現在 残り 5名】




85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:55:54.33 ID:g+Z25rFM0

憂キタ!



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:56:24.95 ID:3Xy3Rm1e0

うーいー!





87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:56:49.05 ID:dLRsDgym0

「憂ちゃん……!」


苦虫を噛み潰したような表情で和は憂を睨み付けた。
それに全く動じることなく、憂はさわ子の支給品だったボウガンの矢を装填する。


「うぃ!無事だっ……うぃ……?」


妹との再会に喜びたい。だが喜べない。何故か?
彼女の発する禍々しいオーラを本能が感じ取ったからだ。

産毛が逆立つ。鳥肌がが立つ。寒気が走る。冷や汗が垂れる。恐怖に埋め尽くされる。
唯以上に和は感じた。頭の中の警報機がやかましい程鳴っている。

自分とは別次元だ。殺される。本当の死の恐怖が目前に現れた。


「う……うわああああああああああ!!!!」


矢が刺さった方とは別の手で銃を構えるがまたしてもボウガンで射抜かれた。
両手が殆ど使えなくなった和にいよいよ死が直前に迫った。
憂はボウガンをしまうと鉈を取り出した。太陽光に反射してギラギラと輝いていた。


「う、うい……」

「もう大丈夫だよお姉ちゃん。私が全部守ってあげるから」

「うい!!」

「こんな事本当はしたくないけど、大好きなお姉ちゃんのためだからね。でも……」

「う、うあ……」


和は歯をガチガチと揺らしながら尻餅をついてしまった。スカートの下には水溜りが出来ていた。


「優しくていい人だと思ってたのに……あなたはお姉ちゃんを傷つけ、殺そうとした」


殺意の篭った目で見下ろす。


「あなたを殺しても悲しみも同情もしない。私は絶対に許さない」


大きく鉈を斜めに振り上げると和の首目掛け一気に下ろした。


「死んじゃえ」




88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:57:49.47 ID:dLRsDgym0

肉が潰れる音が聞こえた。

誰かが自分の前に立っている。

この場にいる人間でこんなことできるのは彼女しかいない。

唯はこっちを振り返るとニッコリと笑い、そしてそのまま倒れた。


「ゆいいいいいいいいいいいい!!!!」


和は倒れた唯の傍に寄ると薬局で手に入れたガーゼで必死に止血した。
憂の一撃は脇腹から中心まで深く食い込んだ。恐らくは助からないだろう。
それでも必死に手当てをする。


「なんで……なんで助けたのよ!!私はあなたを殺そうとしたのよ!?おかしいじゃない!!」


和の叫びに唯は血を咳き込みながら答えた。


「大切な友達だから……傷付けるのも付けられるのも、もう見たくないよ……」


『みんな』『友達』死んでいった2人もそんな事を言っていた。

友達ってなんだろう?唯は言った。私が友達だと。
自分の命よりも友達を優先する。馬鹿げてる。
なのに何でだろう。胸が苦しいのは?涙が止まらないのは?


「ごめん……なさい……ごめんなさい!唯!ごめんなさい!!」

「いいよ……でも、よかった……の、のどかちゃんが、も、元にもどって……」


また咳き込む。吐き出す血が鮮やかな赤からどす黒い血に変わっている。



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 22:59:33.74 ID:dLRsDgym0

「うい……もうこんな、ことしちゃだめだよ……」


憂は茫然自失といった感じだった。唯の言葉は聞こえたのかはわからない。


「じゃあね、のどかちゃん……ういをよろしくね……」

「待って唯!!お願いだから行かないでよ!!私……私……!」


目を閉じる。そこはあの講堂でみんながいた。
みんな笑顔だった。
舞台にいるみんなも舞台袖にいるさわ子や和も、客席の憂も。
みんな笑顔だった。


「みんな……大、好き……」


叫び声が響く。

悲しみと後悔が入り混じった声だった。

和はただひたすら泣き叫んだ。





90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:00:21.45 ID:dLRsDgym0

「お姉ちゃん……?」


ふらふらと覚束ない足取りで姉の傍に行く。目の焦点は合っていない。


「もう、お姉ちゃんったら……学校遅刻しちゃうよ」


唯の身体を揺さぶる。


「ほら、起きて。お姉ちゃん起きて。朝ごはん冷めちゃうよ」

「憂ちゃん……」

「起きないと今晩アイスなしにするよ?ねえ起きて」

「もうやめて……」

「後10分って、さっきもそう言ってたでしょ?さあ、起きて」


和は後ろから憂を羽交い絞めにした


「憂ちゃんもうやめて!もう、もう唯は……」

「離してください!お姉ちゃんが起きないんです!お姉ちゃん和さんも迎えに来てるよ!起きて!」

「もう死んだのよ!唯は……唯はもう……死んだの」

「お姉ちゃんお姉ちゃんおねちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねちゃんおねえちゃんおねえちゃん」

「憂ちゃん!!」


壊れたスピーカのように繰り返す憂の頬に和は平手打ちをした。

「あなたを攻める気はないわ。私のせいでこうなったんだから。
 でも、ちゃんと現実と向き合って。唯のためにも」

「お姉ちゃん……」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:02:44.91 ID:dLRsDgym0

自分が殺した。この手で最愛の姉を殺した。
手に殺した時の感触が残っている。鉈が肉に食い込み、繊維を断ち切り、骨に到達する。
感触が生々しく残っていた。
お姉ちゃんを守るつもりだった。
どこで間違えたのだろう?
どうして殺してしまったのだろう。
和さんのせい?

違う。

自分の身勝手な行動のせいで死んだんだ。


「ごめんなさい……お姉ちゃん……」


憂は自分のバックからボウガンの矢を取り出すと一気に喉に突き刺した。
あまりの突然の行動に和はただ見ることしかできなかった。
矢を強引に引き抜くと血が溢れ出した。
大量出血と血で気管が詰まることによる酸欠であっという間に意識がなくなる。

ごめんねお姉ちゃん、さわ子先生。今そっちに行きます。
許してくれるかわからないけど、なんでもする覚悟です。



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:04:01.86 ID:dLRsDgym0

「じゃあうぃ~あいす~」

「お姉……ちゃん?」

「取りあえずコレ着てくれるかな?そしたら許してあげるわよ」

「さわ子先生……」


二人が目の前にいた。いつもの姉に妙な服を手にしたさわ子先生がいた。


「もう、勝手に死んじゃだめだよ~お姉ちゃんの分まで生きてほしかったのになぁ」

「ごめん……だって、お姉ちゃんに謝りたかったんだもん。離れたく……なかったんだもん」


泣き出す憂をそっと唯は抱きしめる。


「おお~よしよし。憂はかわいいね~」

「さて、ムギちゃん達がお茶とお菓子を用意してるわ。憂ちゃんも行きましょ?」

「でも私……」

「気にしなくて大丈夫よ。みんな優しいから許してくれるわよ」

「殺された本人がこう言ってるんだし、ね?」


渋る憂の唯は手を引っ張る。さわ子も促すように後ろから押す。
仕方なく歩き出す憂だが、その表情に笑顔が戻っていた。


「お……ねえちゃ……ん……」


二人は寄り添うように横たわった。最期まで仲の良い姉妹であった。


【平沢唯、平沢憂 死亡 残り3名】



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:08:46.83 ID:dLRsDgym0

「こっちの方角から銃声が聞こえたんだけどな……」

「先輩、誰かいます!!」


銃声を聞きつけ急いで駆けつけたが到着した頃には全て終わっていた。


「唯……?」

「唯先輩……と憂……?」


駆け寄ったが既に事切れた状態だった。
二人は膝をついて涙を流した。


「和……何があったんだ……?」


律の問いに和は答えない。


「答えろよ!何が起きたんだよ!!」

「落ち着いてください先輩!」


横でへたり込んでる和の胸倉を掴み、激しく揺さぶる律を必死に梓は宥めた。
律が手を離すと和は俯いたまま何事かを呟いた。


「……して」

「ああ?」

「殺して……私を、殺して」


和は今までの経緯をすべて話した。
紬を殺した事。唯を死なせてしまった事。
唯に憂の事を頼まれた直後自殺を許してしまった事。


「最低よ……私は。だから殺してほしいの」


和の懇願に律はただ黙ってるいるだけだ。
長い沈黙の中、律は傍に落ちてた和の銃を拾い上げ構えた。



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:09:35.30 ID:dLRsDgym0

「先輩……!」

「唯は……唯は死ぬとき何て言ってた?」

「え?」


和は顔を上げるが律の表情は逆光でよくわからない。


「唯は和を恨んでたか?ムギは恨んでたか?」


和は首を横に振った。


「唯は……友達って言ってくれたわ。みんな大好きって……」

「私も唯が好きだ。梓だってみんな好きだ。その好きな奴の友達を殺すのは友達じゃねえ」


律は銃を下ろす。


「絶対生きろ。みんなの分まで、死ぬとか言って逃げんなよ」


和は泣き崩れた。


「でもな、個人的な怒りは別だ。唯とムギの分、2発殴らせろ。それで勘弁してやる」


和は黙って歯を食いしばった。鈍い音が2回響いた。


「痛ぇーなぁ……本当に痛ぇよ。殴った拳も……胸も……すげぇ痛ぇよ」


律は拳を強く握り締めながら涙を流した。
みんな泣いてしまった。少女達にとってあまりにも辛かった。
大切なものを失い過ぎた。少女達は泣くことしかできなかった。



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:10:37.20 ID:dLRsDgym0

しばらくして落ち着いてきた3人はこれからの計画を練った。


「半端じゃ済まされねえよな。絶対生まれた事を後悔するくらいギタギタにしなきゃな」


一同が頷く。と同時に紙にペンを走らせている。盗聴器が仕掛けられているため筆談をするのだ。


『ムギが見つけたアンテナをぶっ壊す。そんで篭城して澪を殺した野郎とタカハシって野郎をぶっ殺す』

『無茶じゃないです……?』

『やるっきゃねえ。他にいい方法あんのか?』


梓は俯いて押し黙ってしまった。と和がさらさらと紙に書いている。


『ある。けどこれも確実じゃない』


律が次を促すように首を振ると和はまた書き始めた。


和の提案とは次のことである。

前提条件としてアンテナを破壊しても本部に気付かれない事。
首輪の位置情報をアンテナからの電波で取得している事。
死亡した時首輪が停止し反応が消える事の三つである。


まずアンテナを壊すと同時に一人が残り二人を殺す演技をする。
アンテナを破壊すれば電波外になるので当然首輪の反応が消える。
そうすれば残った一人が優勝したと勘違いし、最低でも優勝者の首輪は解除される。
学校に乗り込んでプログラムを破壊出来次第残り二人も学校に突入して制圧。



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:12:05.35 ID:dLRsDgym0

『いや、まだ篭城のほうが確実だって……』

『だよね……本の読みすぎね』

『でも和先輩の案のほうが澪先輩を殺した人とタカハシを倒せる確立は高いですよね』


確かに篭城だと下っ端ばかりがやってきてお偉いさんは高みの見物が関の山だろう。
しかし学校に乗り込む和の案なら2人に近付く可能性は高い。
比較的安全だが最大の目的が果たせない確立が高い篭城か。
博打だが最大の目的が果たせる確立が高い奇襲か。
律は悩んだ。悩んで悩んで悩み抜いた末に出た結論は、


『篭城にしよう』


誰も否定することはなかった。二人ともどちらを選んでも受け入れる覚悟は出来ていた。

確かに二人は憎い。この手で嬲り殺したいほど。
しかし自分には大切な仲間がいる。
少しでも生き延びれる可能性を選ぶのはリーダーとして当然の行為だった。


『それじゃあ篭城する場所を決めるか』


こちらは人数3人に拳銃2丁、マシンガン1丁。唯の鞄に入っていた手榴弾6個。
対する敵は人数は不明。武器も豊富。
この圧倒的戦力差を埋めるためには拠点選びは重要だった。
あらゆる武器を想定しあれこれと議論していく。
本屋や図書館で軍略や歴史の本などでを調べた。


『じゃあここでいいな?』


律が指し示した所、それは病院だった。裏が絶壁となっており後ろから攻められることはない。
広さも広すぎず狭すぎず、医療器具完備と申し分ない所だった。
全員の意見が一致した時、12時の放送が入った。
禁止エリアが発表された時、一同の顔が凍りついた。
今篭城をすると決めた病院の場所がこれから禁止エリアになるという。
物資の調達は任せると言い残し律は走り去った。



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:13:58.51 ID:dLRsDgym0

スコップを持ちマウンテンバイクに跨ると一気に加速した。
ここからはかなり距離がある。今は12時10分。15時に禁止エリアとなるので残り2時間50分。
向こうに着いてもアンテナを探して破壊をしなければ行けない。微妙なところだった。


何度も転んだ。その度に立ち上がってスピードを上げた。
足がパンパンになろうともひたすらペダルを漕ぐ。
時刻は14時25分。やっとの思いで到着した。
だが休んでる暇はない。何としてでも見つけ出し破壊しなければならない。
間に合わなければ作戦どころか自分がリタイアとなってしまう。
こんな所で死ぬ訳にはいかない。一心不乱にスコップで掘り続けた。

――残り30分
まだ見つからない。

――残り20分
まだ見つからない。

――残り10分
まだ見つからない。

――残り5分
首輪から警告音が鳴り始めた。

――残り1分
「私は信用してるぞ、ムギ。だから……お願いだ!見つかってくれ……」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:16:30.84 ID:dLRsDgym0


――残り30秒
ガキィと地面の音ではない音がした。律は掘るスピードを速めた。

――残り10秒
「あった……!」

――残り5秒
スコップを振り上げる。

――残り3秒
「おおおおりゃあああああああ!!!!!」

――残り……





「律先輩大丈夫かな……」

「大丈夫よきっと……みんなが助けてくれてるわ」

「それにしても和先輩運転上手いですね……」

「ゲームと一緒よ。それにATなんておもちゃみたいだし」


二人は車で病院に向かっている。少しでも早く着きたいため車のある民家に進入し鍵を探した。
運よく1件目で見つかり車に乗り込んだ。そして今に至るわけだ。


「お陰で荷物が一杯つめたし。本当にラッキーね」

「そうですね。あ、次右です」


車は目的地に向かって爆走する。



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:32:00.12 ID:dLRsDgym0

程なくして本来なら禁止エリアとなる場所の手前までやってきた。
車を直前で一旦止めると二人は降りた。


「いい、もし禁止エリアなら警告音が鳴るわ。
 その時は残念だけど、律抜きでやることになるけど」

「覚悟は出来てます」

「そう、それに律ならきっと何とかしてくれたはずよ」


二人はゆっくりと歩き出す。
数十メートル、数メートル、数センチと近付いて行き、そして……


「首輪がならない……」


もう一歩、二歩とどんどん歩く。

そして首輪は……




うんともすんとも言わなかった。
二人は嬉しさの余り抱き合った。成功したのだ。
急いで車に乗り込みアンテナがあるであろう所まで向かった。
穴だらけの地面の中央に律は寝てた。
二人が寄ると律は苦笑いを浮かべた。


「ずっとチャリで走りっぱなしだったから疲れた……安心して腰ぬけた……」


久々にみんなで笑いあった。


「さあ、時間がないから車乗って。本部も気付いてるはずだから」

「おー!!……ところであの車は?」

「和先輩がパク……じゃなくて借りたものです。凄い上手いんですよ」

「昼は優等生を演じ、しかしその実態は幾多の峠を制覇する……」

「何をぶつぶつ言ってるのよ。早くしなさい」



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:36:01.32 ID:dLRsDgym0

一方本部は慌しかった。禁止エリアになるはずの場所に3人も生きているのだ。


「何故禁止エリアになってないんだ!!ちゃんと起動させたのか!!」

「それが何をしても反応がないのです……」

「壊されたか……小癪な。おい、第2、第3部隊に伝えとけ!武器を持って病院に向かえと!」


伝令が急いで教室から出て行く。
喧騒に包まれた教室の隅でタカハシは慌てる様子もなくコーヒーを啜っていた。


(おもしろい事になったな……あの成金共の悔しがる顔が目に浮かぶ)


タカハシにとってこのゲームなどどうでもよかった。危険と判断すればさっさと逃げればいいのだ。
だから慌ててる兵士を他人事のように見ていられるのだ。


(脱出が成功したほうが面白そうではあるな……)


タカハシは薄い笑みを浮かべながらコーヒーを飲み干した。


病院はすっかりと変わっていた。玄関には机や椅子などでバリケードが作ってある。
内部のあちこちにトラップを仕掛けた。これもサバイバルの本に載ってた狩猟用のものを応用したものだ。


「後は成功を祈るだけ……か」


律は窓から外を眺める。太陽が傾き始め、空はうっすらとオレンジ掛かった。
こんな状況なのにとても綺麗な風景だと思った。
この景色をみんなで見れればどんなによかっただろう。しかしそれはもう叶う事はない。
だから戦うのだ。私達から大切なものを奪った奴らに報いを受けさせるのだ。


「みんな聞いてくれ」


二人は作業を止めて律のほうを注視した。


「これから奴等と戦うけど、逃げるならまだ間に合うかもしれない」


律は思いつめた表情で続ける。


「復讐するって言い出しっぺは私だ。
 無理に付いてくる必要はない。ここまで手伝ってくれただけでも……」

「今更なに言ってるんですか?」


律の言葉に半ば呆れたような口調で梓が答える。



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:38:08.32 ID:dLRsDgym0

「復讐したいという気持ちは一緒ですよ。言い出しっぺもなにもありません」

「私なんかが言うのはおこがましいかもしれないけど、私はこんな殺し合いをやらせる主催者が心底憎い」


梓も和も主催者を倒すという強い意志があった。


「死ぬかもしれないぞ?それでいいのか?」


律の忠告も二人は笑って答える。


「一人でも欠けたら放課後ティータイムじゃないです。私は先輩とずっと一緒ですよ」

「ここで逃げ出したらまた昔の私に戻るわ。そうならないと唯に誓ったのよ」


それに死んでいった人達に失礼だしね、と和は付け加えた。
二人の目には確かに覚悟が見て取れた。迷いも後悔もなくとても澄んだ瞳だった。
なんと頼もしいのだろうか。律は涙を流した。


「ありがとな……みんな」

「泣かないでください先輩。そんなの先輩のキャラじゃないですよ。もっと能天気に……」

「誰がノーテンキだ!!」

「ふふふ……」


こんな楽しい雑談はこれが最後かもしれない。
だから笑った。みんな精一杯笑った。

18時。本来なら放送の時刻だがもうスピーカーを使うことはない。
ひぐらしの鳴き声をBGMにそれぞれが部屋から外を見張る。
離れた場所は無線を使って連絡を取り合う。

「右側異常なしです」

「左もなし」

「意外と遅いなぁ……」

「こういう場合視界が悪くなる夜に攻めるのがセオリーって聞いたわ」

「なんだよ……じゃあもうちょっと休むか」

「あくまでセオリーよ。この場合相手からすれば敵は貧相な武器を持った女3人よ」

「舐めてかかってくるに違いませんね」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:40:22.91 ID:dLRsDgym0

「さっさと片付けて帰ろうぜー、って感じか……腹立つな」

「でもそのお陰で油断してくれるはずよ。そこを突けば……」

「言ってる傍からお出ましだぜ。みんな準備しろ!」


正面にある大通りにジープが2台止まり、車から武装した兵士が出てきた。


「最初の部隊は必ず室内までおびき寄せてやっつけるんだ」


武器が圧倒的に不足している状況では相手の物を回収する以外勝つ方法はない。
安全に回収できる建物内までおびき寄せてから撃退するという作戦だ。
全員が頷くとそれぞれ配置についた。


「第二小隊は待機!第三小隊は病院へ潜入!生死は問わん!」


部隊長が命令すると各自持ち場についた。攻撃部隊はそのまま病院へ向かう。
攻撃部隊は一応の警戒はするものの、やはりどこか楽観ムードだった。
相手がただの女子高生3人。武器の情報は拳銃2丁にマシンガン1丁。
こちらはプロが6人。武器は各自マシンガンと拳銃にナイフを持っている。弾薬も豊富。
如何に愉しむか、遊んでやろうか。全員がそんな考えだった。


「見ろよ、一丁前にバリケードなんか作ってら」

「でもやっぱ素人だな。これじゃ簡単に破れる。見ろよ、そこなんかスッカスカだぜ?」


指を指すと確かに他の場所と比べればバリケードは薄い。
隊員の一人が勢いよく蹴り飛ばすとあっさりと破られた。
全員がぞろぞろと中に入っていく。電気は点いてなく薄暗かった。


「じゃあ俺眼鏡の娘襲ってくるわ」

「あ、じゃあ俺は小っちゃい子貰い!」

「馬鹿、調子のんなよ」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:46:15.99 ID:dLRsDgym0

2人が駆け足で先に出て行く。一人がそれを抑えるが顔は笑っている。
突然前に出てったうちの一人が立ち止まった。何事かと思った時それは倒れた。
慌てて駆け寄ると額に矢が刺さっていた。


「明かりを点けろ!罠が張ってあるぞ!」


全員がスコープを点けると確かに倒れた男の近くに細い糸が張ってあった。
恐らく支給品にあったボウガンと合わせたのだろう。


「クソ!生意気な事しやがって……!全員気を引き締めろ!全力で殺してやる!」


通路が左右に分かれているので二人と三人の組に別れそれぞれの通路を進むこととなった。


三人組みのほうは一部屋一部屋警戒しながら調べていく。1Fは誰もいない。
2Fも同様に探すが誰もいない。更に3Fへ行こうとした時背後で何かが割れる音がした。
振り向けば火の手が上がっていた。1Fへの階段と2Fの通路はその炎によって絶たれた。


「3Fへ逃げるぞ!」


隊員達が急いで階段を登るが突然力が入らなくなった。
やがて立つ事もままならなくなり誰もが倒れてしまった。
それらは二度と立つ事はなかった。身体を緑色に変化させて見るも無残な姿だった。



121 名前:さるさんうぜー:2009/09/24(木) 23:47:09.41 ID:dLRsDgym0

原因はH2S。一時期流行った所謂「硫化水素」である。
学校の実験室から持ってきた硫化鉄と希塩酸を混ぜて発生させたのだ。
硫化水素は空気より重いので階段の上で発生させれば自然と下に降りて行く。
それを登ってきた隊員達がまともに吸ってしまったという事だ。
しかし一般的に言われている腐卵臭という独特な臭いに何故気付けなかったのか?
硫化水素は濃度が高ければ高いほど無臭になるという性質がある。
加えて突然背後で炎が発生したことによる緊張、焦り、退避による急激な運動など。
また装備品の重量などで呼吸の回数は平常時よりも高くなっている。
気付く間もなく大量の硫化水素を吸い込んでしまったという訳だ。


タイミング良く火炎瓶の発火と硫化水素を発生させる事に成功した和は額の汗を拭う。
硫化水素が充満しているため残念ながら今すぐ武器の回収はできないが結果オーライであろう。
残りは二人。和は反対側の通路の援護に向かった。



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:51:43.08 ID:dLRsDgym0

梓は現在交戦中だった。と言っても防戦一方である。しかし上手く障害物を使い攻撃を防いでいる。
対して二人の兵士も責めあぐねていた。近付こうと少しでも物陰から身体を出せば弾が飛んでくる。
また机や椅子などが通路の片側に乱雑に置かれており人一人がやっと通れるスペースしかない。
左右に避けながら接近することができない。そうなればいくら素人でも当てることは容易い。
こうなれば持久戦となる。無駄撃ちをさせて弾切れになった所を確実に仕留めればいい。
事実梓は本物の銃撃戦に途轍もない恐怖感を煽られていた。
辛うじてみんなのため、死んでいった者のためとしての使命感で応戦してはいるが
それでも正確な射撃は出来ない。

兵士が出て行く振りをすると予想通り撃ってきた。すぐさま物陰に隠れる。
これを繰り返せばいい。そう確信した時一つ疑問が思い浮かんだ。

本当に一人だけなのだろうか?3人のうち、こちらにいるのは1人だけなのか?
反対の通路にも当然いるだろう。だとすると後一人はどこにいるのか?

その時すぐ横の窓に何か影があった。
驚いて振り向くとそこにはP-90をもった少女がいた。
窓ガラスが割れる音と共に二人の身体は蜂の巣となった。



126 名前:間違えた:2009/09/24(木) 23:56:05.79 ID:dLRsDgym0

「あ、梓ー降ろしてくれー!落ちるー!」

「まったく……無茶しすぎですよ先輩。落ちたらどうするんですか……」

「これぐらいやる覚悟ないと敵は倒せないのだよ。
 それと先輩じゃなくりっちゃん隊長と呼びたまえ梓隊員」


外で宙ぶらりんになってる律を室内に引っ張りロープを解いた。
梓が指定した場所で囮として戦っている隙に律は屋上からロープで下の階まで降り奇襲をしかけたのだ。
通路に降り立った律は先程自分が撃った死体を見た。


「殺しちゃったんだな……」


奇襲をかけた時は無我夢中だったため何も思わなかったが改めて死体を見ると罪悪感が出てきた。


「なあ梓、これで私も人殺しの仲間だ。こいつらと同類になっちまった……」


自嘲気味にそう言うと兵士から武器を回収しはじめる。


「先輩……」

「さてと、和と合流しよっか」


梓は声を掛けることができなかった。



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木) 23:57:10.36 ID:dLRsDgym0

「攻撃部隊からの連絡がありません」

「まさか小娘等ごときにやられたというのか?」

「しかも定期の連絡はおろか撃破の報告もないので敵は生存している可能性が」


報告を受け部隊長は飲んでいたコーヒーのマグカップを地面に叩き付けた。


「馬鹿者共が!!たかが女に無様にやられおって!!」


部隊長の激昂に兵は萎縮する。と、そこに一本の無線が入った。
乱暴に無線機を取ると若干声を荒げながら応答した。


「こちら捕獲部隊、どうぞ」

『ああ、そっちはどうだい。到着して随分経つが首輪の反応が消えていないのだが?』

「油断した馬鹿共が返り討ちに遭いました。これからは全力で制圧します」

『そうか。相手は死に物狂いだから気をつけたまえよ。では』


無線機を置くと直ぐに厳しい表情で皆に向き直り号令をかけた。
到着前とは明らかに違う兵士の顔つきでそれぞれが準備に取り掛かった。



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:01:15.85 ID:3COOzm5d0

一方病室では律が黙々と武器を分配していた。
普段のおちゃらけた雰囲気はなく、異様な空気だった。
梓はどう声を掛ければいいのか分からず和に助けを求めるが、和は放っておくのが一番といった。
人を、それも友達を殺したことがある和だからこそ理解できた。
何かから逃げるように、正当化しようと葛藤している心境を理解できた。

そんな律を見て梓は何もしてあげられない悔しさと
自分も変わってしまうのかという恐怖で複雑な気持ちだった。
分配が終わった。二人分のマシンガン、ハンドガンをそれぞれ梓と和に、
ナイフ、手榴弾は律が持つこととなった。


「第二派が来るけど今度はさっきみたいに行かないだろーな」

「敵も本気だろうし奇襲はもう効かないはず」

「じ、じゃあ完全に力勝負ってことですか……本物の兵隊相手に……」


不安そうな梓の肩を律は優しく抱き寄せる。


「ごめんな。こんなのについてこさせて。私が全力で守ってあげるからな」

「え、あ……いや、大丈夫ですよ。
 ちょっと怖かっただけです。それにここに来たのは自分の意思ですし……」

「悪いと思ってる。梓を人殺しにさせちゃうかもしれないし……こんな部長でごめんな」


律は梓を離して病室の出口に向かった。廊下に出ようと扉に手を掛けた時、和が喋った。


「重要なのは殺した後自分がそれを背負えるか……」


律は振り返り和を見る。まっすぐとした瞳に律は動けなかった。


「どんな経緯、理由であろうと殺したことは事実……
 だからこそ何を背負って生きて行けるかが大事だと思うの」

「和先輩……」

「私はなんとしてでもみんなと生き残るわ。唯との約束、琴吹さんや先生の願いを背負ってね」


迷いの一切ない瞳。それを見て律自信の心の迷いも少しずつ晴れてきたように思えた。


「そっか……そうだよな。背負ってかなきゃ行けないんだよな。ブルーになってる場合じゃないよな」

「そうですよ先輩。私達放課後ティータイム、夢は武道館。そのためにもみんなで生き残らないとです」

「武道館……」



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:04:53.21 ID:3COOzm5d0

始めの澪との約束。それがけいおん部全員の夢となった。
冗談交じりの夢だけど必ず行けると皆信じていた夢。
肉体がなくなろうとも皆ちゃんといる。心のビートで繋がっている。
みんなと演奏するために、そのためならどんなに汚れても構わない。

生きる。今はただそれだけ。


全員が円陣を組んだ。


「絶対生き残ろうな!!」
「みんなのためにも!」
「放課後ティータイムのためにも!」


「武道館に行くぞーーーー!!」
「「おおーーーー!!」」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:07:45.20 ID:3COOzm5d0

部隊は着々と進んでいた。
途中にトラップはあったものの所詮は素人が作ったもの。本気の兵に効果はなかった。
慎重に、だが迅速な行動に1F、2F、3Fとどんどん階を勧めていく。

律達は最上階の6Fの一室に立てこもっていた。
下手に分散させるより纏めたほうがいいと判断したためである。
誰も喋らない。全員が佇を飲んで見守る。手は汗ばみ額からも次から次へと汗が垂れてくる。
数十分が経過した所で廊下から微かだが靴の音が聞こえ始めた。
3人の緊張が一層高まり静かな部屋に心臓の音が煩いほど響くようだった。
徐々に大きくなる靴音に引き金に指を掛ける。

扉の前で止まった。恐らくは突入のタイミングを窺っているのだろう。
扉を開けた瞬間一斉射撃を仕掛けようトリガーに力を入れる。

律の額から汗が垂れ地面に着地する、と同時に扉が開き銃声が響いた。

ひたすら扉に向かって銃を撃っている3人だが和は何故か嫌な予感がした。
順番に射撃しているので一人が装填してても攻撃が途切れることがないので一方的に攻撃できる。
しかし、それにしても向こうがちっとも反撃をしてこない。

先程戦った敵の武装はマシンガンとハンドガンとナイフ。そして……


「みんな奥に逃げて!!」


和の叫びに2人は動きを止めた。そして和の予想通りのもの、手榴弾が投げ込まれた。
完全に虚を疲れた2人は目の前に手榴弾が転がってきても体を動かすができなかった。
一方和は2人よりも早めに気付いたお陰で一瞬だけ判断する猶予ができた。
恐らくは間に合わなくて全滅だと。ならばどうするか?
幸い絶え間ない攻撃に焦ったのか、手榴弾は手を伸ばせば届く距離に落ちていた。

ならばやることは一つしかない。



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:09:38.10 ID:3COOzm5d0

和は手榴弾を掴み兵士に投げ返した。
普通は敵が投げ返す余裕がないようピンを抜いてしばらくしてから投げ込んだりする。
しかし少しでも、数センチ、数ミリでも皆から離せれば、それでいい。
すこしでも生き残る確立を上げるため和は行動を起こしたのだ。


(せめて……!せめて2人だけでも……!!)


病院の一室で爆発が起きた。



「いってー……ておい!梓!和!大丈夫か!?」


室内は滅茶苦茶となっており辺りに資材やら壊れた机、椅子が散乱していた。
その一つの山から梓が出てきた。見たところ目立った外傷は無かった。
ホッと安心すると今度は和を探す。と、すぐ隣に横たわっていた。


「おい!しっかりしろ和!しっか……」


和を仰向けにして律は驚愕した。和の右腕の二の腕から先が無くなっていたのだ。
よく見ると顔や身体など右半身がボロボロだった。


「和!!しっかりしろよ!!約束したろ!!」

「あ……あ、うぁ……」

「先ぱ……」


梓が駆け寄ろうとした時、銃撃が始まった。


「くそっ!!梓は和の手当てをしてやって!!」

「は、はい!!」


律はマシンガンで応戦するが絶え間なく飛んでくる銃弾になす術がなかった。
手榴弾を投げてみるが物陰から顔を出せないため距離感が分からず
廊下の遥か向こうに転がってしまい爆発してしまう。
後ろでは泣きながら看病する梓、何かうわ言のようなものを呟いている和。
徐々に追い詰められて行く焦りに一か八か、大胆に攻めようと身体をだして反撃した。


(みんなを守るんだ!絶対みんなで生き残って……!!)


突然の反撃に対応できなかった兵士2人をまずは倒した。
すぐさま隠れ、そしてまた身を乗り出して反撃する。



135 名前:また間違えた:2009/09/25(金) 00:13:32.30 ID:3COOzm5d0


(みんなで帰るんだ!!)

グラリと体が揺れた。

天井が見えた。

肩、足、わき腹が熱い。

背中が固い。

(そっか。私、撃たれたのか)

どこか他人事のような奇妙な感覚に襲われた。

私が撃たれた事に気付いたのかさっきまで泣いてた梓が今度は目を血走らせて銃を乱射している。

だが素人がプロに叶うはずもなく右肩を撃ち抜かれ倒れてしまった。

ああ、全滅するのか。

私は何をやっているんだろう。結局誰も守れなかった。

澪も、さわちゃんも、むぎも、唯も、憂ちゃんも、和も、梓も。

あれだけ誓うとかなんとか格好つけて結局なんにもできなかった。


口だけで最低だ。



136 名前:もうしわけない:2009/09/25(金) 00:14:18.39 ID:3COOzm5d0

いや……


最低で終わっていいのか?


まだ最期じゃないだろう?


まだ手も足も動くだろう?


「うぐぅ……」


右肩を押さえ蹲る梓の元に兵隊が近寄ってきた。
ニヤニヤとした表情で銃を構える。
死を覚悟した。もう本当に終わりだと。

目の前が陰った。見上げると見覚えある背中があった。


「律先輩……?」


「さ、最後……まで、守るんだ……みんな、を……」


約束したもんな……澪。


梓を、みんなを守るってな。



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:15:33.74 ID:3COOzm5d0





銃声ガヒビク


遠クデ喧騒ガ聞コエル。





「まあまあいいんじゃない?」

「律、またちょっと走ってるぞ」

「ねえねえ、ギー太のこのツマミなに?」

「うふふふふ」


いつものようにお茶飲んでお菓子食べてちょっと練習して帰る。そんな日常が大好きだった。


「今日の活動終わり!!この後みんなでマック寄らね?」


そして帰りにどこかで駄弁って暗くなって帰るそんな毎日。それが好きなんだ。

なのにどうしてみんな立ち止まってるんだよ。微笑んでるだけでさ。



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:16:24.00 ID:3COOzm5d0

「りっちゃん、私とても楽しかったわ。合唱部じゃなくてよかったと思ってるの」


何言ってんだむぎ。マック好きだろ?早く行こうぜ。


「りっちゃん。私が変わるきっかけをくれてありがとう。ギー太は任せたよ」


何勝手にギー太預けてんだよ。


「律。律は言葉で表せないほど大事な人だ。今まで本当にありがとう」


私だって澪は大事な人だよ。だからさあ、なんで離れてくんだよ。


「律はまだだめなんだ。ここに残ってやらなくちゃいけないことがあるはずだ」

「りっちゃん、あずにゃんとのどかちゃん頼んだよ」

「りっちゃんが天寿を全うしたらまたお茶会しましょ」



――――がんばって



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:18:22.51 ID:3COOzm5d0

「ここは……」


なんだかやけに煩い。身体は上手く動かせない。と顔を覗き込んでくる初老の男がいた。


「おお、お目覚めになられましたか!いやはや無事でなによりです」


男は斉藤と名乗った。ここは琴吹家の所有するヘリだそうだ。
話を聞くとどうやら撃たれると思った瞬間に琴吹家が雇った部隊が間に合ったということらしい。
既に本部も制圧され主犯格は拘束されていると聞いて律は安堵した。


「そういえば梓と和は!?」

「梓様は幸い撃たれた場所が良く命に別状はないとのことです。
 ただ和様は未だに意識が戻らぬとの……」

「……多分和も大丈夫だと思います。だって……唯に頼まれたから」

「はて、それは一体……失礼。もしもし……おお、それはよかった!では……」


和の意識も回復したとの知らせに二人は笑みを零した。


生き残ったんだ。

帰れるんだ。

まだ傷跡は深いけど。

それでも私達は生きている。



本部制圧によりゲーム終了

生存者

中野梓 田井中律 真鍋和



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:26:47.97 ID:3COOzm5d0

あまりにも特殊な事件なのか、それとも関わった者が強大なのか。
結局、クルージング中の海難事故ということとされ関係者は口止めをされることになった。
こうして真実は闇の中となる。
また大企業の会長、株主などの複数の金持ちの人間が失脚したがこれも表沙汰になることはなかった。


梓は肩を撃たれただけで殆ど問題はない。もう少しで完治する。
律も歩くスピードはゆっくりだが松葉杖無しでも歩けるほどに回復。あと数ヶ月で完治するほど。
和はまだ車椅子での移動となる。残念ながら右手は無く、両目は光を失ってしまった。
それでも落ち込むことはなく寧ろみんなの役に立てたと誇りに思っているほどだった。

そんな3人は琴吹家の前にいる。
斉藤に案内されると地下室に連れてこられた。

牢屋のような所に澪を撃った隊長格の男とタカハシがいた。
二人とも鎖で繋がれており動くことはできない状況だ。


「彼らは社会的に抹殺されています。何をしようが法的な措置を取られることはないでしょう」


斉藤が冷たく律達に告げる牢屋の鍵を開けた。


「なあ、もういいだろ?許してくれよ……本当に悪いことしたと思ってるよ……」


隊長格の男が懇願する。前より痩せこけて生気がない。


「許せるわけ……!」


梓が突っかかろうとするのを律は止めた。
そして斉藤に一言お願いするとすぐに他の使用人達が何やら運んできた。
運んできた荷物を二人の前に置く。

ギー太、レフティのジャズベース、キーボードだった。



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:27:44.61 ID:3COOzm5d0

「まずは謝れ。それからだ。あと憂ちゃんとさわちゃんにもだ」


律は冷たく言い放つ。男も土下座をして必死に謝った。


「本当にすみませんでした。上の命令で仕方なくやってたんです。
 これからは心を入れ替えます。だからどうか……」


律は一歩踏み出す。暗い地下でその表情は読み取れない。


「『これから』って言ったなおっさん。死んだみんなは『これから』がねーんだよ」


相変わらず表情は読めない。しかし感情が容易に分かる。


「みんな仲間のことを心配しながら死んで行ったのにお前は自分のことばかり……」


鈍い音が響いた。

「ふざけんじゃねええええ!!!!『命令で仕方なく』だって!?
 その仕方なくで何人死んだと思ってんだ!!」


ひたすら謝罪する男を何発も殴る。その様子を誰も止めない。


「返せ!!返せよ!!みんなを返せよ!!!」


泣きながら殴った。涙でぐしゃぐしゃにしながら何度も何度も殴る。
しばらくして律は肩で息をしながら男から離れた。


「あんたなんか殺す価値もねえ。クズが……」


パンパンに腫れた男を見やることなく今度はタカハシに近付いた。



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:29:21.50 ID:3COOzm5d0

「私はクズと自覚しているので何も言いません。
 アレみたいにしてもいいですし殺されても恨みはしませんよ」


不適に笑うタカハシを律は無表情で見下ろす。


「聞いたよ。あんたが島の場所を教えたんだってね」

「さあ、なんのことでしょう?」

「島に張り巡らせた妨害電波を解除してむぎが出した救難信号を伝えたって聞いたよ」


タカハシは何も喋らない。


「理由はしらないけど、あんたの行動はよくわからない。目的はなんだったの?」

「言ったでしょ?私はクズだって。ただの暇つぶしですよ。豚共の思い通りはつまらないですから」


しばらくの無言状態。すると律は背を向けた。


「クズって自覚してるだけマシさ。あんたの事は梓と和に任せる」

「先輩……」

「律……」

「先に上行ってる……」


結局二人は謝罪させることだけで許した。

その後タカハシと隊長がどうなったのかは誰も分からない。



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:30:42.63 ID:3COOzm5d0

「どうだ和ー」

「んーもうちょっとハイハットのマイク上げたほうがいいかしら……」

「先輩、そろそろリハやりましょうよ」


高校卒業後は当然音楽の道へ進んだ。
私と梓の二人で放課後ティータイムとしてこつこつと活動していった。
そして影ながら支えてくれる和。
目が見えなくなった代わりに耳がよく聞こえるようになったというのを生かして
専属の音響スタッフとして活躍している。

そして活動から10年たった今。ようやく今武道館にいる。


「田井中さん。このギターはどこにおけばいいんですか?」

「ああ、それは真ん中に」

「え?でもそうすると梓さんが……」

「いいからいいから。ああそれとベースはそこでキーボードはそこな」


怪訝な顔をしながら舞台のセッティングをするスタッフ。
ギターから向かって左にレフティのジャズベース、ドラムの隣にキーボード。

あの頃の立ち居地にそれぞれの楽器を置いていく。

会場はとても広い。なのに講堂でやった時と同じくらいにしか感じられなかった。

律も梓も和も目を閉じ、あの頃に思いを馳せている。


「そろそろ開演です!!お願いします!!」


ついにここまできたよみんな。

長かったけどさ。頑張ったよな私達?



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:33:30.98 ID:3COOzm5d0

割れるような歓声の中、律は静かに語りだす。

「今日はありがとう。今日は放課後ティータイム10周年ライブってなってるけど本当は違うんだ」

ざわつく場内を少し見渡してから律は続ける。

「本当は今日からスタートなんだ。
 本当の放課後ティータイムのデビューなんだ。ってわけでメンバー紹介するよ」



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:34:21.50 ID:3COOzm5d0

「ギターボーカル!!平沢唯!!」

――――ああ、神様

「ベースボーカル!!秋山澪!!」

――――お願い

「キーボード!!琴吹紬!!」

――――私達だけの

「ギター!!中野梓!!」

――――DREAM TIME

「そしてドラムス!!田井中律!!」

――――ください


ドラムとギターだけのバンド。

しかしそれぞれの楽器の音色が聞こえた気がした。

おわり




157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:34:21.54 ID:+aIqCsbB0

泣くまいと思ったのに泣いた



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:34:28.32 ID:LgvIdHy3O

娘殺されたってのに琴吹家は懐深いな



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:35:56.09 ID:QyFTsw+e0

乙!
久しぶりに素直に素晴らしいと思えた

今までなんか書いたことあるの?



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:36:45.95 ID:kF9YSQ860

落涙



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:36:50.48 ID:Be93dsUhO

乙でした
ベタなのに泣かされた



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:36:53.81 ID:syHq8UZBO

泣いた



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:38:10.90 ID:OE8x01260

胸が熱くなったな
気分的にすっきりしないけどよかった



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:42:05.94 ID:TjGXRWWbO



個人的には紬を殺したわが許せなかったけど面白かった



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:51:37.69 ID:pgPcV8ia0

けいおんキャラでバトロワって誰得かと思ってたけど何か胸から熱いものが・・・



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:52:36.76 ID:QyFTsw+e0

>>173
わかったよ、乙!



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:55:26.88 ID:+aIqCsbB0

言い忘れてたけど乙
こんな良スレに巡り合えて感謝



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 00:58:56.60 ID:FZxxDnTDO

けいおん知らんがバトロワ好きだから読んだ。
面白かったよ。乙



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 01:06:27.10 ID:MmopPUt9O

おつ

面白かったよ



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 02:37:17.21 ID:UxoMyNWH0

乙、面白かった。



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 02:43:44.86 ID:dvU8rqgO0

おっおっ乙乙



199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/25(金) 03:20:55.91 ID:4pFDDNSKO

平沢姉妹が天国で幸せにしてますように……うぅ。


泣けた。乙






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唯「ばとろわ!」#後編
[ 2011/08/08 21:51 ] クロス | バトルロワイヤル | CM(2)

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タイトル:
NO:3492 [ 2011/08/08 22:46 ] [ 編集 ]

もしかして前に、唯「さばいばる!」書いた人かな?
相変わらず凄い

タイトル:
NO:4562 [ 2011/11/29 20:53 ] [ 編集 ]

紬「・・・という設定の歌詞を書いてみたんだけど~」

律「絶っっっ対に却下!!!」



これで胸糞悪くならないよ!    

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