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律「……崩壊後デイタイム?」 【非日常系】


http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1254146601/




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/28(月) 23:04:37.49 ID:GFFUTw6d0

「だいぶあったかくなってきたなぁ」

もうすぐ5月。思わず昼過ぎまで寝てしまいそうなぽかぽかした朝を迎える。
寝癖も直さずパジャマのまま習慣のように郵便受けを覗く。
今日は休日だしこの格好でも大丈夫だよね?
家のポストには自分宛の郵便が2通届いていることを知った。

家に入り、パンを食べながら1通目の封筒を開けてみた。





4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/28(月) 23:05:47.95 ID:GFFUTw6d0

『 田井中 律 さん

  拝啓 春暖の候、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。
 このたびは弊社の選考に応募頂き、 誠にありがとうございました。
 慎重に審議を重ねました結果、誠に残念ながら採用を見送らせて頂くことになりました。
 ご希望のところ、誠に不本意な結論ではございますが、
 あしからずご了承くださいますようお願い申し上げます。
 末筆ながら今後の田井中 律さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。
                               敬具
 株式会社オニーキャニポン 人事 』



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/28(月) 23:06:40.91 ID:GFFUTw6d0

「あ~あ。また落ちたか…」


2秒で内容を把握して封筒ごと破ってゴミ箱に投げる。こういう時期だとわかっててもつらい。
これで何十社落ちたかな。あーもうっ!二次面接で落とされるからタチが悪いぜっ。
澪は最終面接までいったって聞いたけど、そういえば他のみんなはどうしてるかな。

そんなことを考えながら3個目のミニクロワッサンと2通目の封筒に手を付けた。


「え~っとなになに?桜ヶ丘高校移転終了のお知らせ…?」


そういえば、私達が卒業する頃にはもう話が進んでいると聞いたけどついに終わったのかぁ。

大人の事情で移転した後の”元桜高”はどうやら図書館が併設された
市民向けの総合施設になったみたいで、封筒の中にはその内容が載せられていた。


「私達が青春を捧げた校舎かぁ… 懐かしいな」

「もう解放されてるみたいだし…」

「せっかくだから行ってみようかな」


気づいたら出かける準備は整っていた。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/28(月) 23:07:25.40 ID:GFFUTw6d0

電車で数十分揺られた後、懐かしの看板を見ながら歩く。

白い校舎を目の前にすると、高校時代のいろいろな事を思い出す。
澪も連れてくればよかった。いや、今日は予定入ってるって言ってたけど。
少しざわつく施設内をキョロキョロと惜しみながら歩く。

懐かしい校舎の中をぶらぶら歩いていると足は自然に音楽室に向かっていた。


「思い出すなぁ。三年前の事を」



8 名前:1:2009/09/28(月) 23:08:09.92 ID:GFFUTw6d0

…3年と少し前。


私達軽音部こと放課後ティータイムは卒業前にライブを行った。
内容は結果から言えば大成功だった。


「みんなありがとおおお!!」

「桜高軽音部は永遠に永遠だよおおお!!」


その昔、桜高軽音部が少し有名だった時があったと聞いたけど、
私達はそれに負けないぐらい地元では有名になっていたらしい。
澪のファンクラブをはじめ、
どうやら極秘に他のメンバーのファンクラブが出来ているという噂も聞いたし、
ライブの度にボーカルがどっちになるか賭ける事が校内で流行ったとか。
曲がすごく良いのに歌詞が恥ずかしいというギャップも話題を呼んだ。

大成功を収め部室で祝杯を上げたときは、嬉しくも同時に寂しくなった。


唯「今日は最高だったね!」

澪「唯はあそこで歌詞間違えなかったからな。ギターもうまく決まってたよ」

唯「ずっとこのまま続けてればプロになれるかな??」

律「おーう!この調子だと本物の武道館も夢じゃないぜ!!」


そんな会話も束の間、現実は厳しかった。
誰もがバンドを続けたいと願ったが、
4人全員進路は別なのでまともに会うことすら難しかった。
会うだけならともかく、バンドの練習などもってのほかだった。



9 名前:1:2009/09/28(月) 23:08:57.42 ID:GFFUTw6d0

澪「私達、これで解散だね。」

紬「………」

律「………」

唯「…嫌だよ」

律「唯…」

唯「もう少しだけでいいからバンド続けようよ!」

澪「でももう春休みしか無いし…」

唯「そうだ!あずにゃんの為にライブをしようよ!
  このままだとあずにゃん、一人で新歓ライブすることになっちゃうし」



10 名前:1:2009/09/28(月) 23:10:33.27 ID:GFFUTw6d0

梓「え、でも唯先輩。別に私は一人でも…」

律「…そうだな。せっかくだし、私達の本当の最後は来年度の新歓ライブにしよう!」

澪「でもその時大学がもう始まって大変じゃない?」

律「だから春休みのうちに練習して準備万端にしておくんだよ♪」

紬「んー、できなくはなさそうね」

梓「先輩…」

軽音部が終わってしまうことを寂しいと思う気持ちが皆強かったせいか、
私達のライブは3年になった梓が部員を獲得する為の新歓ライブに
特別参加という形で最後を迎えることになった。
学校の許可を取るのは難しくはなかった。



11 名前:1:2009/09/28(月) 23:12:09.80 ID:GFFUTw6d0

しかし、四月になってからの4人の予定はバラバラで、なかなか合わせることが出来なかった。
ムギや澪は土曜日まで学校が入ってるし、私もアルバイトを始めていたからだ。

やっと集まることが出来た日曜日ではこんなことがあった。


ジャーン!

澪「うん、悪くは無いな。皆空いてる時間に練習してるのか?」

律「まぁね!」

唯「ねぇねぇみんな、ちょっと相談があるんだけど」

澪「どうした唯?」

唯「実は、私密かに歌詞作ったんだ。ムギちゃんに頼んで曲も作ってもらったよ♪」

「「えええ!?」」

唯「すごくいい曲なんだよ!高校生活を思い浮かべながら書いたんだけどどうかな?」


『曲名: キラキラ☆な高校生活』

タイトルはともかく、曲の内容は唯らしい歌詞とポップな曲調だった。



12 名前:1:2009/09/28(月) 23:13:32.44 ID:GFFUTw6d0

澪「これは…」

律「澪の歌詞とはまた違うけどなんというか…」

澪「いやでもかわいいんじゃないかこれは?」

紬「うふふ、ポワポワしてていいと思って思わず唯ちゃんに協力しちゃった♪」

唯「ね?ね?なかなかでしょ?やろうよやろうよ!」

律「確かにせっかくだからやりたいなー」

澪「でもやるとしたら、この曲結構練習が必要なんじゃないか?難しい部分が多い気がする」

律「うん。その上練習時間がもうほとんど無い。」

唯「え?だってあと2週間もあるじゃん。」

澪「いや、次に皆で会うときは本番だぞ?」

唯「うっそーーー!?」

律「梓もいきなり新曲やろうと言われても困るだろうから、今回は無理かもな~。
  でもこれいい曲だからさ、新歓終わってまた集まった時にでもやろうよ」

唯「ん~そうだね~しょうがないかな~」



13 名前:1:2009/09/28(月) 23:14:58.14 ID:GFFUTw6d0

この時私は、唯がこのタイミングで新曲を提案した事で何を考えているか察しがついた。
バンドが解散する事を寂しいと思っているのは皆そうだし、
部長であり発端となったこの私が一番惜しんでいるのだと勝手に思い込んでいた。

違ったんだ。誰よりも放課後ティータイムの解散を寂しいと思っていたのは唯だった。
だから無理して作詞までして続けようと唯なりに考えていたんだ。
でも、楽器を皆で演奏するのは今の状況じゃ厳しすぎる。
唯もそれがわかっているはずだろう?
いやわかっているからこそ、最後の悪あがきだったのかもしれない。


紆余曲折を経て、新曲は御蔵入りとなった。
新歓は無難に終わり、バンドは事実上の解散となって皆バラバラになった。
皆泣いていた。泣き虫の澪よりも唯が号泣していたのを今でもよく覚えている。

後になって梓から連絡が入った。
『新入生が数人入ってきました。ありがとうございます』だってさ。
これで私達の苦労の甲斐もあったってことかな。

私達4人はたまに集まって遊んだりしていたが、そういえばここ最近は遊んでいない。
皆進路関係で忙しいから仕方ないことだと割り切っているけど、寂しいものは寂しい。

今皆何をしているんだろうな。



14 名前:1:2009/09/28(月) 23:16:15.21 ID:GFFUTw6d0

「…だからこうして思い出の場所に足を運びたくなったのかな」


3年前のことを思い出しながらティーセットが置いてあった棚を無造作に触る。
そうやって音楽準備室を俳諧しているうちに、予想外の事が起きた。



「あれ、律?」

「えっ…?澪!?」

澪が音楽準備室の入り口に立っていた。



「えっ…澪は今日予定があるんじゃなかったのか?」

「そのはずだったんだけど、キャンセルになったんだ。
 それで丁度元桜高のお知らせを見て、せっかくだから行ってみようかな、って」

「ええ?どうして誘ってくれなかったんだよー!」

「だって律、まだ就活中でしょ?」

グサッ
「あ、いやそうだけど…。澪はどうなんだよ?」

「私もう決まったから。だから今日の説明会はキャンセルしたんだよ」



16 名前:1:2009/09/28(月) 23:18:22.20 ID:GFFUTw6d0

「そうなのか!?お、おめでとうござわしゅう…。そそそれより澪は何が目的でここに来たんだ?」

「うん。あの知らせを見て桜高にいた頃のこと思い出してね、自分なりに区切りをつけに来たのかも」

「ふーん…」


こういうところは澪と似ているのかな。


「…」

「…ねぇ澪」

「なに?」

「どうしてベースなんか担いでるんだ?」

「わからない。ここに来る時はいつも担いでたから今日も担いでたってところかな」

「実は私もドラムスティック持ってるんだ」

「ドラムは持って来れなかったんだな」

「そうだ澪、ちょっと久しぶりに演奏してみない?」

「え?どうやって?」

「私は床でも適当に叩いてるから澪はベース弾きながら歌うとか」

「マジで言ってるのか?」

「いいからいいから♪ほら準備して」



17 名前:1:2009/09/28(月) 23:19:37.08 ID:GFFUTw6d0

音楽室の扉を閉めて、適当な位置について準備をする。
澪は渋々ながらもベースを取り出して弦を指でいじっている。
満更でもなさそうな顔にちょっと安心した。

澪と二人。客は零人のライブ。



「じゃあいくよー。1・2・3・4・1・2・3!」






「…ふわふわターイム!」

ダダッ ダダッ ジャーン!


「へへっ…。結構いけるもんだな」

「何度も練習してたとはいえ、未だに覚えててちょっと驚いたね」

「澪が素直に歌うとは思わなかったな~♪」

「なっ…!律だってボーカルじゃないのにコーラスと合いの手しっかり入れてた癖に」



18 名前:1:2009/09/28(月) 23:20:50.79 ID:GFFUTw6d0

「まぁまぁ。ところで澪。」

「どうした?」

「さっき演奏してる時に思ったんだけどさ」

「なんだその笑顔は。あんまりいい予感がしないんだけど…」

「……ふふっ♪」

「……律?」

ガシッ

「バンドやろうよバンド!」

「ぇえ!?」

「ほら私達、卒業するまでの時間があるじゃん!もう一回バンド組もうよ!」



19 名前:1:2009/09/28(月) 23:21:55.11 ID:GFFUTw6d0

「そんな無茶な!他のメンバーはどうやって集めるつもりだ?」

「そんなのどうにだってなるし最悪2人だけでもバンドになるって!ね?いいじゃんね!」

「何考えてるんだよ律?大体お前忙しいんじゃないのか?」

「大丈夫だって!早速今週から練習しよ練習!」

「練習ってどこでやるつもりだ?」

「ここだよここ!音楽室借りて高校ん時みたいにさ」

「…まぁ律がやろうって言うなら止めないが、本当に借りられるのか?」

「許可貰えば大丈夫だって♪」


その後、あっさりと許可を貰ってしまったのには澪も驚くほどだった。



20 名前:1:2009/09/28(月) 23:23:32.40 ID:GFFUTw6d0

そうして澪と2人で練習するようになって少し経った。
文化祭で発表した曲を沢山練習していくうちに、
私は当時の勘のようなものを思い出していていた。多分澪もそうだ。



「ところで律。こうして練習するのはいいんだけどさ、他のメンバーはどうなの?」

「それなんだけどさ~。電話しても皆出ないしメールも返事が来ないんだ。」

「やっぱり皆忙しいんだよ。バンドはやっぱり無理あるんじゃないか」

「いーや絶対に返事があるはずだ!その時を待つ!」

「待つの…?」

「んん待つ!」


澪がクスリと笑う。懐かしさからくるものかな?私も笑って返す。


「放課後ティータイムは、絶対に復活させるからな!」

「こんな状態でよく言うよ」

「これからお目覚めするに違いない」

「じゃあ今の私達は?」



21 名前:1:2009/09/28(月) 23:24:52.00 ID:GFFUTw6d0

「ん?」

「一度解散したくせにこうやって昼間からセッションしてる私達のバンド名は?」

「なるほど、5人揃わなきゃ放課後ティータイムとは言えないもんね」

「律ならそう思うかなって」

「元桜高軽音部ってのもちょっとなー」

「桜高の軽音部だった人は他にもいるもんね」

「そうだなぁ。バンドが解散した後もこうして日中集まって懲りずに演奏する…」

「あ、そんな真面目に考えなくても…」

「……崩壊後デイタイム?」

「……」

「……」

「……」


うわ、澪の呆れ顔が痛い。
語呂合わせで悪かったよ。澪の歌詞を笑う権利なんかあたしには無いですよーだ!



22 名前:1:2009/09/28(月) 23:25:57.49 ID:GFFUTw6d0

その微妙な沈黙を破ったのは、私の携帯電話だった。


『♪ああカミサマ~お願い~♪2人だけ~の♪』


「あ、電話だ」

「なんでわたしの歌声が着信音になってるんだ!!」


無視。


「あ、もしもし?…おお噂をすれば!え?ほんとに!そうそう丁度今やってるとこ!」

「ひょっとして…!?」

ピッ
「澪!喜べ!元桜高軽音部の"彼女"がついにここにやってくるぞぉ!」

「やっぱりさっきの電話はそうだったのか。誰からだったんだ?」

「それはお楽しみ!もうすぐ来るから期待して待ってなぁ~」



そう、電話の彼女は私達が今もここで練習しているという連絡を受けてここに来ることになった。
やがて階段を上ってくる音が聞こえてきて、私は思わず入り口まで走って扉を開けて迎えた。



23 名前:1:2009/09/28(月) 23:26:46.04 ID:GFFUTw6d0

「はい!お待ちかね放課後ティータイム癒しと技術のカリスマ、中野梓の登場でぇえい!」

「こんにちは。律先輩、澪先輩、久しぶりです」

相変わらずのツインテール姿がそこに立っていた。


「梓!久しぶり!身長はあんまり伸びてないけどなんだか大人っぽくなったな」

「澪先輩こそ、一段とこう、貫禄がつきましたね。律先輩は相変わらずですけど」

「なんだとコンニャロ!」
ガジッ クリクリ

「あうあう」

「こーら律!」

「あう!」



24 名前:1:2009/09/28(月) 23:27:59.44 ID:GFFUTw6d0

中野梓。20歳。
高校卒業後、音楽系の学校に入った梓は、そこの学校でもバンドを組んでいた。
桜高軽音部とは違って本格的な活動がメインで、ライブハウスのステージにも立ったそうだ。
そこの先輩の卒業と共にバンドは解散して、しばらく経った所で私からの連絡で来たという。

『元桜高に集まって久しぶりに練習しよう』

最初は忙しくって断ろうと思ったけど、なぜか気になって今日来てくれたらしい。
しばらく私達3人で懐かしむように演奏を楽しでいた。
梓は相変わらずどころか、更に上手くなっていた気がする。
いったん休もうと言った私に対して「少しだけですよ」と言う表情はあの時のままだった。

そんな梓に、私は「今更だけどバンドを始めよう!」と澪に言った時の話をした。



25 名前:1:2009/09/28(月) 23:29:29.60 ID:GFFUTw6d0

「…というわけで、放課後ティータイムを復活させたいなということなんだけど」

「へぇー。復活するというのは、ライブをやるためだけ…ですよね?」

「え?そんなの決まってるじゃんかー」

「え、ライブはやるって聞いたけどまだ何か考えていたのか?」

「ええ?澪先輩も知らなかったんですか?」

「だって律のやろうとしてることに理由なんて無いもんな」

「なんだとぉ!ん?ここは否定するところか?」

「ということはまだ何か企んでいたのか?」

「もちろんだぞ!」

「律先輩…」


この時の梓の表情が微妙に笑っていた。それも呆れとかじゃなく、期待を思わせる表情。
このいじりたくなる可愛いところは変わっていない。
そんな梓を見てニコリと笑い、やっぱり呆れている澪を見てニヤリと笑う。



26 名前:1:2009/09/28(月) 23:31:45.85 ID:GFFUTw6d0

一息ついて、私は声を張り上げた。


「放課後ティータイムはプロデビューして、国民的アイドルに!なる!」

一瞬だけ息を呑む音が聞こえ、
やがて2人の割れんばかりの拍手と歓声が乾いた音楽室に響き渡り、
そのまま手を取り合ってがんばろう!と言い合う
…光景が脳裏に再生された。


私の宣言を聞いた2人は表情ひとつ変えずに、
驚いてるわけでもなく哀れんでもいない妙な表情を浮かべた。
今にも「ふーん」と言われそうな感じだ…。
やがて澪は肩をすくむ動作を見せた。

いつぞやの「目指すは武道館!」なんて言ったときのノリで聞いて欲しかったのに。
…やはりこの2人はソリが合うんだなとどうでもいいことが頭に浮かんだ。 


「あのなぁ律。自分が何言ってるかわかっているのか?」

澪は梓と一瞬顔を合わせてそう言った。
なにやら期待していた反応は見せてくれないようで、心の中で溜息をついた。



27 名前:1:2009/09/28(月) 23:32:47.44 ID:GFFUTw6d0

「…あ、いや本気にした?プロまで行こうってのは冗談だよ」


実は半分本気だったりするんだけどね。そりゃ今の状態じゃ厳しい以前にできないけど…。
でもそんなのやってみなきゃわからない。楽観的って言われても構わないからな!


「でも卒業までに皆集まって三回ぐらいはライブやろうよ!ここに人集めてさっ」

「…びっくりした。そうだな、せっかくだし何回かは集まってみたいな。」

「そうですね。でも今のままでできるんですか?」


梓の表情が気になった。
不安とはまた違う、落ち着かない表情だ。
軽音部に入って少し経った、実態を知ってもがんばろうとしていた表情だろうか。
もうかなり前のことだし良く思い出せないのかもしれない。
ひょっとしたら私の考えを見抜かれているかも、なんて思った。
ちなみに澪も似たような表情をしていた。が、ここは置いておこう。



28 名前:1:2009/09/28(月) 23:33:50.33 ID:GFFUTw6d0

「そりゃ、メンバーはじき集まると思うし…」

「いえ、違います。練習する場所ですよ。」

「場所?今のままここを使えばいいじゃんか」

「律先輩、いつまで使用料を払い続けるつもりなんですか?」

「ええ!?使用料!?そんな話聞いてないぞ律!」

「ぁゎ、梓どうしてそれを!!」

「調べればすぐわかりますよ。律先輩♪」

澪には内緒だったのに、ここの使用料をこっそり払っていることが
まさか梓にばらされるとは思わなかった…。
そして私はおかげさまで金欠を極めているのだけど、
それは流石に内緒にしよう。いつものことだし。

「どうして黙ってたんだ」「かっこいいじゃん!」「かっこつけんな!」
澪といつものやりとりをしていたら梓の頭の電球が光る音がした。



29 名前:1:2009/09/28(月) 23:35:19.71 ID:GFFUTw6d0

「私にひとつ、提案があるんですけど」

私と澪のなんだろうという状態を見ながら、梓は得意げに言った。

「ストリートをやりませんか。おすすめの場所を知っています。
 道行く人に聞かせるためではなく。あくまで練習が目的の、です」


「…ストリート?」

「ストリートってまさか駅前とかで見知らぬ人が通るそばで演奏するってこと…?」


確かに使用料には困らないし、練習もし放題だけど、これは1名の許可が下りないんじゃぁ…。


「無理無理!!多くの人が通る場所で演奏を…ましてや歌なんてできるわけないよ!」


ほらきた。それに私も恥ずかしくないわけではないからなー。


「梓、確かにいいけどちょっと厳しいんじゃないか?」


恥ずかしがりやの澪が、いきなりストリートで歌えるわけがない。
梓もそれをわかっているはずなのに、なにやら勝算がありそうな様子があるのはなぜだろう。
当の澪はなにやら無実の被告人を思わせる表情をしている。当たり前か。



30 名前:1:2009/09/28(月) 23:36:11.62 ID:GFFUTw6d0

「や、やっぱりきついですか?でもやる価値はあると思うんです」

「梓、どうしてよりによってストリートなんだ。場所はだから、私がどうにかできそうだし…」

「だめですよ律先輩。先輩、今一人暮らしですよね?お金出せるんですか」

「だから、何とかするって」

「本当に大丈夫ですか?」


梓と不毛なやりとりをしていると澪が制止の合図をしてきた。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ顔が赤くなってるのがわかる。
その気がないわけではないということかな?


「梓。ストリートにこだわっているように見えるんだけど、理由はあるのか?」

「はい。…えっと実は、私少しだけやったんです。その時楽しかったので」


どうやら梓のバンドは結構本格的なところまで行っていたらしい。
ライブハウスを借りたこともあるのだとか。ちょっと悔しいのはなぜだろう。
しかしバンドは先輩の卒業と喧嘩の末に解散したというのはさっきも聞いた。
ひょっとしたら梓は、ギタリストとしての自分の居場所を私達に求めているのかもしれない。



31 名前:1:2009/09/28(月) 23:37:17.60 ID:GFFUTw6d0

それなら応えてあげたいのは当然だろ?

澪に目配せをしてみる。

「(1回だけでいいからやってみようぜ!)」

「えっ… でも…」


澪は悩んでいる。ならゴリ押しで進めるしかない。


「梓、今度場所だけ案内してもらえるか?」

「いいですよ。澪先輩、場所を見るだけならいいですよね!」

「う、…うーん。まぁ場所だけならいいか…」


梓が澪に気づかれないようにガッツポーズをした貴重な瞬間を私は見た。



32 名前:1:2009/09/28(月) 23:38:01.07 ID:GFFUTw6d0

そういうわけで、梓に「練習をするおすすめの場所」を教えてもらうことになった。
私と澪の定期圏内なので交通費は大丈夫ということらしい。


一緒に行こう、とムギと唯も誘ったが、結果は相変わらず惨敗だった。

ようやく来たムギからの返事は「当分忙しくて行けないの。ごめんなさい」
だった。ムギは相当忙しいらしいので仕方ないと思ったけど、唯は?
唯は返事が来ない。
ずっと前から音信不通の状態が続いている。
唯も試験やその勉強に忙しいのだろうか。


なので結局3人で出かけることになった。



33 名前:1:2009/09/28(月) 23:38:54.68 ID:GFFUTw6d0

「へー。こんな場所があったなんてなぁー!」

最寄り駅に着いて、駅前の繁華街を5分ほど歩いた所に公園があった。
駅前なのに人通りがほとんど無い。というか無い。ベンチだけが置かれた小さな公園。
梓の話によると少しだけ離れた所にある大通りに人が歩くからこの場所は狭くて遠回りになるんだとか。
得意げに話す梓を見たせいもあるけど、どう見ても練習にうってつけにしか思えなかった。


「澪!いいんじゃないか?周りはビルばっかりでまるで個室みたいな場所じゃん!」

「…うーん。悪くはないな。けど律。ドラムも無いのに出来るのか?」

「要はリズムが取れてればいいんだろ?適当に本でも叩けば大丈夫だって!」


そうして不安から渋っている澪を梓との連携プレイで20分ほど押して、ようやく澪を説得した。
梓がギターを弾くふりをしながら歌ってまで説得していたのには驚いた。
アンプが無いので言ってしまえば音はしょぼいし、ベースなんかほとんど聞こえないだろう。
それでも問題ないと思えてしまうのは何故だろう。


「早速、今度からここで練習ですね!」

「おう!」



35 名前:1:2009/09/28(月) 23:40:52.07 ID:GFFUTw6d0

時間の流れは早いもので、気づいたら週に2,3回
駅前の公園に3人集まって練習する日が続いていた。
ムギと唯は『忙しい』と『音信不通』のWブロックで相変わらず顔を出せずじまい。
仕方ないと割り切っても、流石に1回ぐらいは出てきてもいいのにな。

今日は澪が遅れてくるので最初は梓と2人きりになった。
適当に音を出しながら、鼻歌を歌っていると梓が話しかけてきた。


「律先輩。」

「んー?どうした梓」

「律先輩は、プロを目指したいって思いますか?」

「…うん。そうだね、何回かは考えたけど、今のままじゃ難しいかなって」

「そうですか」

「ということは梓は、プロを目指して練習してたのか?」

「…そうですね。例えバンドじゃなくても、音楽に関わる仕事をしたいと思っています



37 名前:1:2009/09/28(月) 23:42:03.23 ID:GFFUTw6d0

「へへー。私実は、梓が前にいたバンドの演奏を見たんだ。」

「ええ?」

「動画投稿サイトぐらい梓も知ってるだろ?
 アマチュアバンドのライブの一つや二つすぐに出てくるって。すごく上手かったよ」

「…ありがとうございます」

「梓はプロを目指してたんだろ?私達と一緒にいて大丈夫なのか?」

「全然大丈夫です。律先輩こそ、本気でプロを目指しているんじゃないんですか?
 就職も決まってないのにここにいるってことは、そうですよね」

「げっ!!どうしてそのことを…」

「律先輩のことは、澪先輩に聞けばわかります。」

「いや、でも澪にはまだ言ってないのに…」



38 名前:1:2009/09/28(月) 23:43:07.79 ID:GFFUTw6d0

「澪先輩は、律先輩のことを何でもお見通しですよ。
 とにかく、それを聞いて私、ちょっと嬉しくなりました」

「? 嬉しいってどういうことだよー」

「先輩方と一緒に練習できるようになって、です。しかもプロを目指せるこの場所で」

「場所ってこの場所のことか?」

「居場所って意味もありますが、それもあります。ふふっ。これは澪先輩には内緒ですよ」

「何が?」

「この場所、こちらからはわからないんですが、音だけは大通りに駄々漏れなんです。」

「ぅぉえ。そうなのか!?」

「毎週同じ曲を演奏していれば、ひょっとしたら気にかける人が増えるかもしれませんね!」

…確かにこれは澪には内緒にしておかねば。



39 名前:1:2009/09/28(月) 23:44:06.73 ID:GFFUTw6d0

「梓。ひょっとして梓は、放課後ティータイムを本気でプロにするつもりなのか?」

「もちろんですよ。律先輩もそうなんですよね」

「ははっ!さぁな。プロも何も、私の帰る場所はここって決まっているからな」


前々からずっと考えていたこと。
一流のバンドとして活躍するという夢。
それをこんなにも簡単に共有できる仲間がいるのは心強い。
できるかできないかなーんて、そんなことは考える必要は無し。



その後、澪も加わって3人で数時間練習をした。
音はしょぼいし、照明も明るくはないけど、やっぱり楽しい。
けど、いつまでも3人じゃだめだ。
ムギと唯を、なんとしてでも連れて来るぞ!



40 名前:1:2009/09/28(月) 23:45:35.83 ID:GFFUTw6d0

それから数日後のことだ。


「えー?その日も無理なのか?」

『ごめんなさい…。どうしても外せなくって』

「じゃあいつならいいんだ?」

『それは…』

「じゃあちょっと見るだけでもいいからさ、1回ぐらいは来てよーぉ!」

『行きたいのは山々だけど…』


私はムギと電話中。
携帯だと繋がらないことが多いから、家電にかけて会話中。
がんばって誘おうとしている努力家な私なんだけど、上手くいかない。
ムギは今相当忙しいみたいで、声色からも疲れが感じられた。
だったら尚更、会って飲むなりして、いろいろ発散すればいいのに。
そう思うのは私が庶民だからなのかな。
やっぱり放っておいた方がいいのかな。でも…。



41 名前:1:2009/09/28(月) 23:47:05.26 ID:GFFUTw6d0

『…ちゃん …りっちゃん?』

「あ!おおう!どうしたムギ」


ムギは少しの間受話器を押さえるような動作をしてボソボソと向こうでなにやら喋っった後、


『やっぱり、明後日ならなんとか行けそうなの。時間はさっき言ってた通りでいいの?』

「ええ!?ほ、本当か!もちろんだよ!」

『用事が終わり次第だから、行けるかもだけど…』

「十分だって!待ってるから、絶対来るんだぞ!!」

『わかったわ。それじゃあね』

「じゃなー!」


電話を切った後、思わずベッドに飛び込んだ。


「っしゃー!」


やっとムギとの約束を取り付けたぜ!会うだけだけどな。
っていってもかなり強引にだけど、ムギも会いたがってたみたいだし大丈夫だよね?
ふふっ。澪と梓には内緒にしておこう。



42 名前:1:2009/09/28(月) 23:48:10.68 ID:GFFUTw6d0

ムギとの約束を取り付けた日、いつもの小さな公園で、音質に乏しい音楽が鳴り響いていた。
各自で練習はしているし、先週は3人で場所を借りて合わせたので上達に不安は無い。
澪も大分慣れてきたみたいで、梓と一緒に歌う様子は楽しげだ。
梓は唯のパートをボーカル含めて勤めているのが凄いところだけど、
本人は「唯先輩じゃないと駄目です」の一点張りだ。私もそれに賛同する。
梓のボーカルというのが案外良かったりするのだけど、それは別の話だ。

そんな”崩壊後デイタイム”だったが、今日はついにムギがやってくる。
それを考えると、嬉しくてドラムにも力が入ってしまうってものだ。


「こーら律! また走ってるぞ」

「悪い悪い!」


しばらくそうやって練習していたが、ムギはまだやってこない。
そろそろいつも終わらせている時間帯だ。
連絡も来ていないし、ムギは約束を反故にする奴じゃない。



45 名前:1:2009/09/28(月) 23:50:34.56 ID:GFFUTw6d0

「そろそろ終わりにしようか?」

「そうですね」

「待ったーーー!もう少しやろうぜ!」


練習を続けようとする私に違和感を感じたのか、澪は変な顔で私を見た。


「珍しいな。律が続けようと言うなんて何かあるのか?」

「いや、何でもない。なんでもないから…」


い、いかん。このままじゃ隠しとおせそうに無いかもな。
なんとか押して、ようやくもう1曲、という流れになった。


「よし、じゃあふわふわ時間いくか!」

「よっしゃー1234・123!」


梓のギターが小さく響いて澪が歌い始めた時の事だった。

梓の見えざる”猫耳”がピクリと反応している。
そして澪も同じように反応している。
そんな錯覚が見えた気がした。2人が急に演奏を止めたのだから仕方ない。



47 名前:1:2009/09/28(月) 23:51:49.22 ID:GFFUTw6d0

ムギが来たのか?私は最初そう思ったのに、ムギらしき人はどこにも見えない。
突然の沈黙に疑問だらけの私は口を開かずにはいられない。


「どうしたんだ?二人共急に…」


そう言いかけた時、こっちに向かってくる微かな足音が聞こえた。
やがて建物の間からひょっこり顔を見せ、こちらを見つけて嬉しそうに歩いてくる人影。
急ぎ足なのに上品なリズムを刻むその主は―


「「ムギ!!!」」


ブロンドの長髪と特徴的な眉毛、おっとりとした表情は変わりない。
間違いなく、桜高軽音部のキーボード担当だった琴吹紬だ。


「ムギぃぃぃ!」

「ムギ先輩!来てくれたんですね!!」

「お久しぶりね。ごめんなさい、遅れちゃって」


「いいっていいって!」

「コラ律!何でムギが来ること黙ってたんだよ!」

「へっへー!ビックリしただろう?」



48 名前:1:2009/09/28(月) 23:53:21.48 ID:GFFUTw6d0

「すぐ戻らなくちゃいけないから、あんまり長居できないけど…」

「いいっていいって!!」


ほんの数分だけだけど、ムギとは沢山話した。
ムギが想像を絶するような忙しい状況であることは庶民の私にもわかることだけど、
やっぱりここにいるムギは私達の知っているムギだった。

時間が経つのは早いもので、
やがて腕時計を盛んに気にし始めたムギを見て澪がアイコンタクトを送ってきた。


(律。しゃべりすぎだぞ。そろそろ終わりにしてあげないと)

(うへー マジかよー。)

「ムギ、ちょっと音が微妙な感じだけどさ、最後に1回だけ演奏聞いていかない?」

「本当に!?私も聞きたいと思ってたから是非お願い!」


ムギは心の底から聞きたいと思っていたようで、
必死にスタンバイする私達の前で手を合わせて目を輝かせている。

そんなムギをみて思わずはにかみつつ、私達は顔を合わせた。
4人で円になるような形になる。


「よーし。じゃあ演奏するのは『私の恋はホッチキス』でいいかー?」

「どんとこいです!」


澪と梓と私の三人。客は一人のライブ。



49 名前:1:2009/09/28(月) 23:54:49.67 ID:GFFUTw6d0

演奏を聴いたムギは泣きそうになるほど感動して、
って大袈裟じゃなくってほんとにそれぐらい感動して、
ここが仮にも公共の場であることを忘れてはしゃいでいた。

また少ししゃべっていたけど、遅いからか
迎えの人が来てしまったようでとうとう別れの時がきてしまった。


「ムギ!ムギも一緒に練習してライブやろうよ。練習にはちょっとだけ出る感じでもいいからさぁ」

「うん、うん。時間はなんとか見つけるから、やりましょう!」

「ほんとですか!?」

「ほ、本当かぁー!? いぃぃぃいやっはーっ!」

「ムギ…」


私の恋はホッチキス。
この曲はムギのキーボードがかなり重要になってくる曲だ。
あえてムギに聴かせることで、ムギの参加意欲をそそる作戦はひとまず成功ということか。
この曲は歌詞を含めて誰かを誘うにはうってつけなのかもしれない。
いつぞやの梓を思い出して、思わず顔が緩んでしまう。



50 名前:1:2009/09/28(月) 23:56:04.47 ID:GFFUTw6d0

ムギが立ち去った後、私は清々しい気分になっていた。

「いやぁームギが参加してくれるようで良かった!
 ところで、どうしてムギが来ることがわかったんだ?」

「なんのこと?」

「ほら、ムギが来る直前二人とも演奏をピタリと止めたじゃん。
 私ムギが来ること内緒にしてたのにさー!」

「え?いやあれは…。やっぱり律は気付かなかったのか」

「え?」

「梓はわかっていたんだよね?」

「はい。」

「いきなり凄い数の視線を感じてさ。しかも私達を伺うような何人もの強い視線が…」

「やっぱり澪先輩も気付いていたんですね」

「澪が恥ずかしがりやだという事が長所になる時もあるもんだなぁー」

「うるさいっ。それで身の危険を感じて止めたんだよ」

「そうだったのかー。…ってもしかしてその何人もの視線の正体って…」

「うん。恐らく、ムギのSP…」


なんとなく嫌な予感がした。
もう一波乱ぐらいあるのではないか?とね。



52 名前:1:2009/09/28(月) 23:58:08.99 ID:GFFUTw6d0

その後、ムギも練習に来るようになった。
ムギが加わることによって音楽も綺麗に響くからやりがいも増すというもの。
ただ、本人は隠しているつもりでも
予定をキャンセルしまくって私達に加わっている事は私にもわかった。
その気がかりは澪にも梓にもあったのだけど、言い出せずにいるみたいだ。
唯とは、まだ連絡が取れない。


それでも1回本格的に練習しようという話になるまでに時間はかからなかった。
そんなわけでちょっと良いスタジオを借りて練習すると決めた日曜日のことだった。



53 名前:1:2009/09/29(火) 00:00:11.08 ID:GFFUTw6d0

「え?ムギと連絡が取れない!?」

「うん。携帯の電源は切れてるし、家に電話をかけても留守電になるし…」

「んな馬鹿な。ムギの家には執事がいるんだぞ?留守のはずが無いじゃんか」


ムギは今まで約束事をドタキャンしたことは一度も無い。
嫌な予感が瞬時に脳裏を駆け巡る。


「それに、誰よりも練習を楽しみにしていたのはムギだった。やっぱ忙しいのかな…」

「じゃあ行きましょうよ。ムギ先輩の家に」


私と澪のやりとりを横目に、梓がさらりと言った。
ムギの家に…行くですと? そりゃ住所はわかるけどさ。
でも、私は未知の”ノリ気”のようなものが沸いてくるのがわかった。



54 名前:1:2009/09/29(火) 00:01:24.18 ID:AZtrJ7Ix0

梓の車に乗って、カーナビに住所を入力して勢いよく走り出す。
しばらく走っているうちに、高級住宅街のような場所に辿りついた。
3階建てだったり、異常に広かったり…。私には無縁の場所だな。

やがて車が停止して、琴吹という文字が浮かぶ家に到着する。
お屋敷、とまではいかないけどかなり大きい。


「梓はここで待っててもらっていいか?」

「はい」


梓を運転席に待機させて、私と澪は一緒に車を降りて門まで歩き、家のチャイムを押した。


『はい』

「あの、私、紬さんの同級生の秋山と申します。紬さんはいますか?」

『……。 紬お嬢様は今はおられません』

「では、今どちらへ向かわれたかわかりますか?」

『わかりかねます』

「どこかに行くとか、聞いていないんですか?」

『いいえ…』



55 名前:1:2009/09/29(火) 00:03:00.69 ID:AZtrJ7Ix0

執事らしき人と澪が問答している間に、私は一人門の中に入っていった。
澪が私を呼び止めようとして手を伸ばしたが、大丈夫だと頷いて綺麗に手入れされた庭を歩く。

チャイムにすぐ出る執事がいるのに、電話に出ないなんて事があるのだろうか。
お出かけにSPを張らせるぐらいなのに、今日に限って一人でどこかに行きましたって?
おかしいだろ。
私は梓の車のトランクから持ってきた長いロープを握り締めた。
足音を立てないように広い家をゆっくりと周る。

…あった。あのカーテンの柄をティーセットで見たことがある。
窓の外からわずかに見える部屋の置物の趣味から、そこがムギの部屋であると特定する。


「ふふ。こういうの、初めてだけど一度はやってみたかったんだよな」


ベランダの丈夫そうな枠に上手くロープをひっかけて、手元を強く結ぶ。
音を立てないように、こっそりと、こっそりと上に上る



57 名前:1:2009/09/29(火) 00:04:20.23 ID:AZtrJ7Ix0

ベランダに上った時、私は目を丸くしてしまった。

ムギがいた。
部屋の隅で椅子に座って俯いているムギがいた。


「ムギの奴、ひょっとしたら私達のせいで家に閉じ込められてたりして」「まっさか~」

「でもそれ、ありえなくもないって思いました」「だろぉ~」


先ほどそんな会話を車でしていた。
嫌な予感が当たった。まさか本当に軟禁状態になっているなんて。
というか、ムギの家ってこんなことするような家柄じゃないと思っていたのに。
…もう後のことは考えないようにしよう。今はムギを助けなければ。

コン コン

ガラスの扉をノックする。

ムギがこっちに気付いた。
おお、ムギのこういう顔が見たかったぞ。
口を押さえて、信じられないという顔でこちらを見ている。
私は思わず笑ってしまう。



58 名前:1:2009/09/29(火) 00:05:23.23 ID:AZtrJ7Ix0

ムギはゆっくりとこっちに来てベランダのガラス戸の鍵を開けた。


「よぉムギ!迎えに来たぞ」

「…律っちゃん。どうして」

「いやぁ、あはは。これってさ、普通は男女でやることだよねー。なんちゃって!」


特に意味も無く言ったつもりだったけど、若干ムギの顔が赤くなっていた。


「ええ!? あ、あの、そ、それよりどうやって…」

「細かいことはいいから、はやくこっち来て!」

「え、律っちゃん!?」


戸惑うムギの手を取って部屋を飛び出し、ロープを使いゆっくりと下に降りる。
下には澪がいて、ムギを見つけては驚き、私を見てちょっと呆れ顔を作った。
なんだよー。何か言いたいことでもあるのかよー。
というか、澪も私がやることわかってたのかな?迎えに来てくれるなんて頼もしいじゃん。



59 名前:1:2009/09/29(火) 00:07:00.67 ID:AZtrJ7Ix0

ムギを降ろした後ロープをたぐりよせ、急ぎ足で三人は梓の車に向かう。
想像以上の事態だったのか、澪が耳打ちしてきた。


「マズいって律。こんな…」

「話は後だ。バレないうちに逃げ切るぞ!」


もしかしたら今頃ムギの部屋を見て腰を抜かしている人がいるかもしれない。

ムギの部屋を降りた場所から車を停めている門の前までそう距離は無い。
この時とにかくムギを連れて行くことしか考えていなかったので、気付かなかった。
さっきまで開いていた門が閉まっている。
鉄製の門の向こう側で、凍りついた私達を心配そうな梓が覗き込んでいた。



「先輩!?」

「梓!いつからここが閉まって…」

「それより車を出す準備を!」

「あ…! せ、先輩…う、後ろ…」


やば!?
とっさに後ろを振り向くと、遅かった。
私と澪とムギを囲むようにSPが取り囲んでいた。
思わず両手で澪とムギを庇おうとするも、どう考えても勝算が無い。
今無理に逃げようとすれば手が後ろに回る事もありえる。
やっぱり漫画みたいに上手くはいかないよなぁ。でも!



60 名前:1:2009/09/29(火) 00:08:50.10 ID:AZtrJ7Ix0

必死に打開策を考えていると、コツコツと落ち着いた足音が聞こえた。
ムギが息を呑む様子がわかった。澪は緊張しているのか、私の裾を掴んでいる。

やがて目の前に立った執事は、うまくいえないけど怒っているというより心配そうな顔つきだった。


「…お嬢様」


何かを言おうとする執事に対し、ムギは意を決したように言った。


「斉藤。私が散々迷惑をかけていることは知っているわ。でも、私バンドをやりたいの」


それだけ言って執事を睨みつけた。
正直これには私がビクリとなる。こんなに強気なムギは初めて見た気がする。

ここまでムギががんばっているんだ。
ここでまだ私達を止めようというのなら、力ずくででも逃げてやる。

無言のにらみ合いが続くのかと思っていたけど、意外にも斉藤と呼ばれた執事はニコリと笑った。


「わかっております。私はお嬢様の忘れ物を届けにきたまでです」



61 名前:1:2009/09/29(火) 00:11:55.89 ID:AZtrJ7Ix0

そう言って執事は大型の茶封筒を差し出した。
この状況で物を渡すということが、ムギを捕まえる罠じゃないか?
そう思った私は、ムギを手で制して変わりに封筒を受け取った。

ムギがゆっくりと頷いているのを見て、私はゆっくりと封筒を開ける。
封筒の中には五線譜の書かれた紙がぎっしりと詰まっていた。
しかも日付は最近のばかりときた。



「お嬢様が最近、家の者に内緒にして
 作曲やピアノの練習に力を入れていることは知っておりました。
 紬お嬢様がそこまで音楽活動をやりたいとおっしゃるのなら、私も止めは致しません。」


むしろ喜ばしいことです。と付け加えて執事は指をパチンと鳴らした。
合図を聞いて周りを囲んでいたSPは立ち去り、門がゆっくりと開いた。

私と澪、門越しに後ろで様子を見ていた梓は軽く放心状態になっていた。



62 名前:1:2009/09/29(火) 00:13:08.19 ID:AZtrJ7Ix0


「ムギぃ、本当にあれで良かったのか?」

「いいのよ。私最初から会社の跡継ぎになるつもりは無かったもの」

「えええ?そんな話にまでなってたのか」

「跡継ぎなんか誰にでも出来るわ。私は私にしかできないことをやりたいの。ね?」

「いや、跡継ぎだって誰にでもできないから!」


梓の車で移動中、嵐の去った気分が充満する中話をしていた。
やっぱりムギは家の人といろいろ揉めたらしい。
それでも自分のやりたいことを貫き通す所は素直に凄いと思う。


「私達ん中で一番たくましいのは、ムギだな」


ポツリと言った私に対し、


「あら、律っちゃん。さっきどうやって私を助けたのか、忘れたの?」



64 名前:1:2009/09/29(火) 00:14:47.29 ID:AZtrJ7Ix0

そういえばさっきは興奮していたけど、冷静に考えれば…。


「映画のヒーローみたいだったわよ。ね?澪ちゃん」


話を振られた澪はチラリと私を見てニヤリと笑った。


「そうだなー。そういえばこの前見た映画の影響かもね」


コラ!それを言うな!


「ふふ、でもりっちゃんが助けてくれたのは確かだから」

「そりゃそうだけど…」


思い出すのは、最後に背一杯啖呵を切ったムギの横顔。
なんだかムギを助けようとして、結局ムギに助けられた気がしてならないんだよ。


「最後に活躍したのはムギ自身だよ」

「そうそう律はいっつも肝心なところでへたれるからなぁ♪」

「う、うっさい!」




その後、なんとか間に合った練習用スタジオで4人で思いっきり演奏をした。
ムギが参加することによって楽曲が本格的になったし、
作曲者でもあるから澪は歌詞を作ろうととに気合を入れていた。

しかし梓を始め、全員が考えていることはもはやひとつ。
唯の存在だった。



65 名前:1:2009/09/29(火) 00:17:10.86 ID:AZtrJ7Ix0



「律。まだ唯との連絡取れないのか?」

「そうなんだよなー。なんかここまで無視されてると罪悪感わいてくるよ」

「私もこの前電話してみたけど、さっぱりだったわ」


ムギ救出の日以来の練習。いつものストリートでの練習にて、私とムギと澪の会話である。
梓が来るのを待ちながらの談笑だが、話題は自然に唯の一択になる。
ちなみにムギはこういうストリートに一切抵抗を見せず、むしろ楽しんでくれるからこちらも安心だ。

事は、梓が駆けつけたところから始まる。

「先輩ぁ~~~ぃ!!」

「おー梓。どーしたんだそんなに慌てて」

「大変です!唯先輩と連絡が取れないので憂ちゃんに電話したんですけど…」

「え?繋がったのか?」

「はい、やっと繋がって…それで…」

「それで…?」

「唯先輩が…!」



66 名前:1:2009/09/29(火) 00:18:38.60 ID:AZtrJ7Ix0

私達はまた梓の車のお世話になって唯の家に向かうこととなった。
今度は車の中での会話が無い。当たり前だ。


ピンポンピンポン

「ごめんくださーい!!」


車を停めて4人で唯の家のチャイムを鳴らして中の人を呼んでみる。
梓が憂ちゃんの名前を叫んでいたけど、すぐには出てこない。
でもどうやら中に人はいるみたいなので強行突破するしかないな、と思ったところで…
ゆっくりとドアが開いた。


「憂ちゃん!!」

「皆さん…。こんにちは。」


中から元気のなさそうな憂ちゃんが出てきた。
目の下にクマのようなものが見えるのは気のせいだろうか。


「えと、とりあえず上がってください。でも…」

「大丈夫だから!」


なにが大丈夫なのかは知らない。全員スリッパも履かずに急いで唯の部屋へ向かう。
私は先頭を切って部屋のドアを勢いよく開けた。


「唯!」



68 名前:1:2009/09/29(火) 00:19:50.19 ID:AZtrJ7Ix0

雨戸もカーテンも閉めて電気も消えている暗い部屋。
一瞬誰もいないかと思って澪の顔を見て、そして澪の固まった視線の先を改めて見直す。
部屋の奥にあるベッドの上に、人がいた。正しくは、人が隠れていそうな布の山だ。


「唯?」


ゆっくりと蠢くような布。暗くてよく見えない。
これが…唯?


「と、とりあえず電気つけようぜ…?」


そう提案した私に頷いて、梓が電気のスイッチに手を掛けた瞬間、


「あ、電気はつけちゃ…」


憂ちゃんの制止がかかった。

一歩遅かった制止だったらしい。
部屋の明かりがつくと、小さい嗚咽と一緒にベッドの上の布がダンゴ虫のように丸まった。
これはどう見ても異常だ。澪もムギも梓も口が半開きになって止まっている。
憂ちゃんがまた電気を消そうとしたが、なぜか梓に止められていた。


「唯ー?」

「…………」

「唯。えっと、私達だよ。桜高軽音部でぇす?」

「…………」


ゆっくりとベッドに近付き、できる限り優しい声で呼びかける。が返事は無い。
返事が無いので布団を剥ぎ取ってみようかと思い手を伸ばしてみるも、澪に止められた。


「何すんだよ澪ー」

「律、やめといたほうが、いいと思う」


澪はものすごく真剣な顔でどうしようと悩んでいるみたいだけど、
私はイマイチ実感が沸かなくなっていた。
だってあの唯が、あの平沢唯がこんな状態になってしまうなんて信じられないから。
未だになにかの冗談じゃないかって思う。我ながらいいかげんだなとは思うけど。



70 名前:1:2009/09/29(火) 00:21:39.92 ID:AZtrJ7Ix0

『唯先輩が…唯先輩が家に引きこもって出られない状態になってるって!!』

『っ…!? 梓。それはマジで言ってるのか!』

『は、はい。憂ちゃんも最初はただの現実逃避だと思っていて、そしたら…そしたら…』

『梓。落ち着いて。皆、唯の家に行く準備だ』

『おっしゃ!』

『行きましょう!』


最初に梓から唯の異変を聞いたときは正直冗談だと思っていた。
冗談なんかじゃないけど、唯がいつもの唯じゃないのは冗談であってほしい。
でも冗談じゃなくて…ん?あれ?考えてることがごちゃごちゃになってきたぞ。
そうやってあわあわしている私の手を澪が掴んだ。


「律。落ち着いて。とりあえず憂ちゃんに詳しい話を聞こう?」

「あ、うん…」


あ、やばい。私ったら冷静に行動しているつもりだったのに気付いたらテンパっていたらしい。

とにかく憂ちゃんに話を聞こう。うん。
そう思ったときだった。



71 名前:1:2009/09/29(火) 00:23:28.46 ID:AZtrJ7Ix0

モゾモゾ
布団がゆっくりと動き始めて、見覚えのある茶色の頭髪がゆっくりと、亀の頭のように出てきた。
出てきたのは頭の上だけで、顔は布団に隠れたままだ。
一同、停止。


「う~~~~~~~ぃ~~~~~…」


もはや懐かしいとすら思えるけど、間違いなく唯の声だった。
呼ばれたらしい憂ちゃんが恐る恐る返事をした。


「お、お姉ちゃん?」

「ぅ~~~いい~~まぶしいよぉ…」

「唯?起きてるのか?ほら、私だよ!りっちゃんだよ!?」

「りっ…ちゃんー?」

「そ、そうだぞ!唯!」

「おは~~ようぉ~~~こそ~~」

「私だけじゃないぞ!軽音部の皆もいるよ」

「しょうなんだぁー…」



73 名前:1:2009/09/29(火) 00:25:44.41 ID:AZtrJ7Ix0

「唯。これから皆でご飯に行くところなんだけど一緒に行こうぜっ!」


澪に小突かれた。


「(おい!そんなこと聞いてないぞ)」

「(だってまず食べ物で釣ったほうが早いかなって)」


唯に気が付かれないようにコソコソやりとりをする私達
今はどんな手段を使ってでも布団から唯を引きずり出すことが大事なんだよ。
なんだかそんな気がしてならない。

不意に、唯が呟いた。


「…りっちゃん。私もう駄目なんだあー」


唯にしては曇った声だ。鼻の先から出ているかようなか細い声。


「ダメって…。何が?」

「もう全部駄目なんだ。だから駄目なんだぁ。」

「いや、意味わかんないって!駄目なんかじゃないって私達は知ってるぞ」

「そうだけど、駄目なんだー。ごめんね。うううぅぅぅぅううぅぅぅうううぅうう」


そう言って唯は出ていた頭の先をまた布団の中に引っ込めた。

重症だ。

正直救いようが無いと一瞬思ってしまったけど、
でもそう思ってしまうのも無理はないと理解頂きたい。
ムギも唯の名前を呟いて絶句したまま動かない。
梓に至ってはムギに支えられている状態にある。
澪も黙り込んで動かないまま、時間だけが過ぎていった。



80 名前:1:2009/09/29(火) 00:33:56.85 ID:AZtrJ7Ix0

「お姉ちゃん、大学で上手くいかなかったんです」


唯の部屋から出て、下のリビングルームで憂ちゃんが漏らした。
うまくいかないことが続いたらしい。しゃべるのにも背一杯という感じだ。


「それで大学を辞めて、しばらくアルバイトをしていたんだけど、
 最近部屋に閉じこもっているからおかしいな、って。それで気が付いたらあんな状態に…」


憂ちゃんはホコリのかぶった携帯電話を差し出した。電源は切れている。
電源を入れたら私を含めた各メンバーからのお知らせ表示が何十件も表示されるだろう。
もはや姉を心配するあまり今度は憂ちゃんがおかしくなってしまうのではという勢い。


「私、いろいろ試したんだけど全部駄目で、もう軽音部の皆さんにすがるしか…」


憂ちゃんはこんな姉を見られたくなくて最初梓からの連絡をスルーしていたんだとか。


「ということは、唯がニートになってからそんなに日が経ってないということだな?」


そう言ったのは澪。
ニートってまた極端だなと思ったけど、あながち間違いではない。



82 名前:1:2009/09/29(火) 00:36:05.03 ID:AZtrJ7Ix0

「はい…。けど…」

「だったら希望はある。落ち込むのも早ければ復活も早いんじゃないかな?
 その単純さが唯の長所でもあるわけだし」


澪なりのポジティブな考え。

唯は確かに単純だけど正直そこまで上手くいくわけないと考えてしまう。


「でもそう簡単に復活するかな?唯だっていろいろ遭って今に至っているわけだし…」

「だから、やってみなきゃわからないだろ?」


あ、それあたしが言おうとしたのに!


「あの、唯ちゃんは自分が輝いていた時のことを否定しなかったでしょう?
 だったらそれをちゃんと思い出せば立ち上がる気力が沸くんじゃないかしら」


ムギの搾り出すような声が部屋に響いた。



83 名前:1:2009/09/29(火) 00:37:41.10 ID:AZtrJ7Ix0

「でも、どうやって?」


憂ちゃんがそう言った瞬間、私達ははっと全員顔を見合わせた。
どうすればいいのかわからなくて縋る不安な顔は誰もしていない。
ニヤリと笑いを隠せない。
これしかない。全員わかっているという意思表示だ。私もわかっている。
最初からこうすることがわかっていたと言ってもいい。


「よし!唯のために桜高の講堂を借りて演奏しようぜ!」

「絶対そう来ると思いましたよ。大賛成です!」

「よっしゃ決まりィ!明日から早速練習するぞおー!」

「おー!」

「おおぅ!」

「皆さん…」


さっきの空気と変わって明るく賑わうリビング。
私はここで漠然と誰かの為に皆で協力するっていいな、なんて考えていた。



85 名前:1:2009/09/29(火) 00:39:36.00 ID:AZtrJ7Ix0

話は自然に唯のために演奏する曲を考える流れになっている。


「それで、何の曲を演奏しようか」

澪が切り出した。

「う~ん。誰かを誘う曲として評判の『私の恋はホッチキス』はどうでしょうか」

そう。ホッチキスは確かに梓には効果覿面だった。ムギにも。梓の気持ちはわかる、けど…。

「唯が本気でがんばることを思い出すにはやっぱ『ふでペンボールペン』がいいんじゃないか?」

これが私の意見。一番熱心に練習していたのはこの曲だった…気がする。
歌詞だってあふれる本気を表してるわけじゃん?そうでしょ澪。
しかしそれに対して澪は、


「私はやっぱり原点に近い『ふわふわ時間』がいいと思う。
 初めてのステージもこの曲だったし、やっぱり唯にとっても思い入れが深い曲だよ。」


そう。それもすごく良い。私も真っ先に思いついたんだけ…ど。
それは唯がガラ声になってしまった事も思い出しそうで怖くないかぁ?


「原点の原点に帰るっていったら、『翼を下さい』なんてどうだ?」

「戻りすぎだろ!」

「いや、アリかもしれませんよ…?」

「それよりこっちの曲は…」


皆の意見は見事にバラバラ。
しばらく話し合っていたけどまとまる様子は無い。
そんな踊る会議に突破口を開いたのはムギだった。


「あの~…」


ムギは1泊置いてからまた言った。


「こういうのはどうでしょうか?」



86 名前:1:2009/09/29(火) 00:41:29.50 ID:AZtrJ7Ix0

それから1週間後。



「うい~あんまり電気つけないでぇぇ」

「お姉ちゃん起きて!今日は出掛けるって言ったでしょう」

「…でも私起きれないし、外出るのもなんか無理そう…」

「そんなぁ。お願い、今日だけでいいから…」

「ぅぃぃぃーでも眠いよぉ…」

「もう。お姉ちゃん起きてって!軽音部の人達が待ってるよ」

「私行っても何もできないし、皆に期待だけさせてたら、なんて謝ったらいいのかぁぁ」

「お姉ちゃんが何かするわけじゃないんだってば!演奏だけ聴いてくれればいいだけだって!」

「演奏してくれるの!? あれ?」

「わぁっ。いきなり起き上がってどうしたの?」

「ういー。変だよ。なんか行かなきゃいけない気がしてきてぃあー」

「そ、そう。良かったぁ」



87 名前:1:2009/09/29(火) 00:43:21.58 ID:AZtrJ7Ix0

今日の天気はどうしようもなく晴れている。
私ら軽音部は元桜高の講堂を借りて唯のためのライブの準備をしている。


正直、唯を起こして外に出かけさせるのが一番難しいところなのだけど、
憂ちゃんからどうやって唯を起こしたのかを聞いて、ちょっと納得した。
憂ちゃんは唯が反応するキーワードを自然に使っているではないか。

憂ちゃんには倉庫で眠っていた唯のギターのチューニングをお願いしておいたので、
ギターを背負っている。ふふ、ありがとさん!

憂ちゃんと私が会話している間に、唯は他のムギや澪や梓と会話をしていた。

久しぶりー とか、ごめんねー とか、大人っぽくなったね!とかそれらしい会話が聞こえてくる。
変わらないおどけたような会話に安心しつつ、これからの事に不安を抱く。

…やっぱり外に出たら普通の唯に見えるじゃんか。
でも、一緒に演奏してみない?の誘いにはNOで返ってきた。
待ってろよ唯。お前は、やる気と思い込みさえ変えればこの先どうとでも変われるんだ。



88 名前:1:2009/09/29(火) 00:44:55.67 ID:AZtrJ7Ix0

談笑タイムは終了。
唯と憂はステージの前に置かれた椅子にギターを挟んでちょこんと腰掛けた。
私達は音あわせをして、いよいよ演奏に入ることにする。

澪、ムギ、梓、私の4人。客は二人のライブ。


スティックを2回鳴らし、勢い良くリズムを叫んだ。
「1・2・3・4!」

ドラムの音から前奏が講堂に響き渡り、やがて歌に入る。
その時に唯は少し驚いた顔をした。
そりゃそうだ。歌っているのは澪ではなくムギなのだから。
驚くなよ唯。バンドのメンバー全員が歌うなんて、
唯がガラガラ声でステージに立とうとした事に比べれば訳もないさ。
やがて梓がボーカルに変わり、サビは二人で熱唱する。



91 名前:1:2009/09/29(火) 00:46:15.47 ID:AZtrJ7Ix0

「「この大空に翼を広げ、飛んで行きたいよ」」

誰もが知ってるこの曲は、唯が軽音部に入部するきっかけになった曲だ。
ちょっと演出にしてはベタかなと思ったけど気にしないでくれよ。
私達でロックなアレンジをして歌いやすくしたんだ。悪くないだろ?

2番は私と澪で担当することになっている。
正直ドラムを叩きながらの歌はきついけど、自分が歌に参加しているという実感はなかなかのものだ。
あ、やべっ 音外した。

そういえばステージ上で澪と二人で歌うのはこれが初めてだ。
二人で散々いろんなことをしたのに今更初めてだなんて不思議な気分。
私が歌う時が来るなんて想像つかなかったもんね。
ふっとそんな事を考えていたら澪がしかめっ面で見てきた。わかってるって。走ってるんだろ。


ちぐはぐしながらも最後は4人で歌いきる。
正直リズムや音が微妙に狂ったりしていたが気にしない。

「「悲しみの無い自由な空へ 翼はためかせ行きたい」」



93 名前:1:2009/09/29(火) 00:48:34.50 ID:AZtrJ7Ix0

最後はギターやキーボードがカッコよく締めて終わった。
演奏が終わった瞬間、思わず全員が口々に声を挙げていた。


「うっしゃあ!」

「凄いです!」

「なかなかだ!」

「うふふ…♪」


唯と憂ちゃんも拍手をしていた。


「わぁ、皆凄いじゃーん!そんな曲も練習してたんだ!」

「そうだぞ唯!実は時間が無くて1回も合わせてないから、今日初めて全員で演奏したんだ」

「上手くいくかわからなかったけど、思ったより全然良かったね!」

「そっかー!演奏が微妙だと思ってたけどそれなら納得するね!」


ここでばっさり言われるのだって想定内さ。
あんまり上手に演奏したら敬遠されちゃうかもしれないもんね。あの時みたいに。
本当はもっと酷くなるって思っていたからすんなりと演奏できて拍子抜けしたぐらいなんだ。
演奏が終わった時の皆の一体感が唯に伝わればいいんだけどね。



96 名前:1:2009/09/29(火) 00:50:42.71 ID:AZtrJ7Ix0

澪がマイクを取った。
「さあ、本日のライブは2曲の予定だから、次で最後!」

「ええー?そうなの?」

「そうですよ。唯先輩!思いっきり歌って演奏するので是非聴いてください!」

「うん♪楽しみにしてるね」



さっき、『翼をください』を演奏した時、時間が無くて練習できなかったと伝えた。
それは唯に「私にもできるかもー」と思ってくれればいいからそうしたって言ったよね。
でも本当はもう一つ理由があるんだ。
この1週間、いまから演奏する曲をずっとがんばっていたからなんだ。
唯はどう思うかは知らないけど、私達は唯の為にこの曲を練習していたんだ。
言葉は使わないけど、伝わって欲しい。



105 名前:1:2009/09/29(火) 00:59:42.03 ID:AZtrJ7Ix0

「1・2・3・4!」
私の合図と共に勢いよく前奏が始まった。

始まってすぐに、それまでのほほーんと楽しみにしていたような唯の表情が一変する。
憂ちゃんも姉の表情に気付いて少し驚いているようだ。
唯が驚いている顔なんて先にも後にもそんなに見れないだろう。
してやったり!

サプライズを受けた顔をしている唯を見るのがちょっと嬉しくて、私達は演奏が少し楽しくなる。
ちなみにボーカルは澪。コーラスは梓をメインに私とムギも参加している。

知っている。
誰よりもこの曲を知っているのは唯だ。
なにしろ放課後ティータイムとしての演奏が好きな、他でもない唯自身が作った曲なのだから。
そろそろサビに入るかな。思わずドラムに力が入っちゃうのは許してくれよ!



106 名前:1:2009/09/29(火) 01:01:22.48 ID:AZtrJ7Ix0

「Jumping Now!ガチでウルワシ Never Ending Girls' Life 日々マジ ライブだし待ったなし!」

アップテンポでキャッチーな曲調と楽しげな歌詞がつい癖になってしまう。
唯の表情は恍惚としていて、口も開きっぱなしで聞き入っている。
みんなこの歌詞を見て、唯らしいな、って笑ったってのに。

「早起きしても早寝はNon Non Non!目一杯Shouting ワッショイ」
「「わっしょい!!」」

ムギと一緒に叫んで盛り上げる。
最初は邪魔かな、なんて思っていたけどマイクのあるドラムも悪くない。

「ガチでスバラシ Never Ending Girls' Song!午後ティータイムには持ってこい」

客席を見てみると、唯の指がピクピク動いている。
コードの詳しいことはわからないけど、ギターを弾く時の動きに違いない。


「片想いでも玉砕で」
「「Here We Go!!」」
「歌えばShining After School!」



109 名前:1:2009/09/29(火) 01:04:47.53 ID:AZtrJ7Ix0

3年前にお蔵入りになった曲。
皆の予想だと、唯はこの曲を練習していたはずだ。それも結構本気で。
その曲と歌詞を更にアレンジして出来たのがこの曲だ。
違うけど基本は変わらない。

作曲者であるムギは当時の事を良く覚えていた。当時の唯の悔しさや思い入れを。
そうだ。あの時夢で終わってしまった状況を作ってあげたい。


体でリズムを取りながら指で弦を押さえる動きをする唯。
隣に座っていた憂ちゃんがそれを見てギターを、いやギー太をケースから取り出した。
そこまで来たならもう躊躇う必要は無しだぜ!
舞台から見る唯の様子に一喜一憂しながら2番のサビに入っていく。

「Chatting Nowガチでカシマシ Never Ending Girls' Talk 終業チャイムまで待てない!」

澪が珍しく楽しそうに歌っている。
5人揃うというできそうでできなかった一体感が今にも待ちきれないという感じだ。
恥ずかしさを忘れて演奏に夢中になる澪は、プロだって顔負けのミュージシャンに違いない。



111 名前:1:2009/09/29(火) 01:06:57.55 ID:AZtrJ7Ix0

ムギも梓も唯を見ている。
二人とも最初は不安だったのに、今や思いっきり楽しんでいる。
もちろん、あたしもだけど!

唯はおそるおそる憂ちゃんからギターを受け取っている。
そっと撫でみて、指で軽く弾いて感覚を確かめている。

「型破りなコードでもHere We Go!歌えばShining After School!」


梓のギターがよく響いて間奏に入る。
そういえば梓は上手いのに、私達と一緒にいて本当に大丈夫なのだろうか。
いや、そんな言い方は駄目だ…。唯にギターを教えてたりするのに今も唯を慕っている。
そんな梓が自らの意思でここにいてこうやって演奏してくれている。
嫌な顔も見せず、喜んで唯のために一緒に演奏してくれている。



112 名前:1:2009/09/29(火) 01:08:40.94 ID:AZtrJ7Ix0

私は叫んだ。
「あずさっ!!」

聞いた梓は続いて叫ぶ。
「ムギッ!!」

実に楽しそうな表情でムギも続く。
「みおーっ!」

澪はフッと笑ってマイクを握った。
「りーつ!」

そして、図らずも全員で叫んでいた。
「「ゆ・い!!」」


唯は立ち上がった。
ギー太をしっかり持って。



113 名前:1:2009/09/29(火) 01:10:37.95 ID:AZtrJ7Ix0

間奏をおずおずと弾き始める唯。その表情はまだ不安を抱えていた。
あえてペースを落とさずにドラムを打ちながら、
集中力を落とさないように気をつけながら唯の様子を伺う。
私もなかなか器用な事ができたもんだ。

唯が奏でる音は聞こえないけど、なんていうかな、感じられるってやつ?
音がわからなかったりはずしていたりするかもしれないけど、肝心なのはそこじゃない。
唯が楽しそうにしているか、そうでないか。
もちろん前者だ。

最後のサビに入る前にジャンプしよう。
そう決めたわけでもないのに、『せーの』で全員飛び上がった。

「Jumping Now!!」



115 名前:1:2009/09/29(火) 01:12:15.13 ID:AZtrJ7Ix0

演奏が終わって、ふっと一瞬静まり帰る講堂内。

やがてどこからともなく、数人の歓声が響き渡った。

「いよっしゃああああああ!!」

梓がステージから飛び降りて唯に抱きついた。
あんまりはしゃぐとギターが傷つくぞー。


「唯先輩!ゆいぜんぱいいいいいーー!!!」

「あ、あずにゃん!どうしたの?」

「ずっと先輩が演奏する姿が見たかったです…。なんか夢みたいです!」

「え、えへへ。わたしもあずにゃんのギターが見れて、なんか嬉しくなっちゃったぁ」


微笑む憂ちゃんの傍ではしゃぐ二人。

澪とムギと目が合った。


「なんだか、感動したとかそういうのじゃなくて、懐かしいな」

「すごく久しぶりなのに、ずっとこうだったような、でも新鮮な、不思議な感じだわ」

「ああ、そうだな…」



118 名前:1:2009/09/29(火) 01:14:27.32 ID:AZtrJ7Ix0

「ギー太弾くの、やっぱ楽しい。やっぱり楽しいよ」

「はい!唯先輩はやっぱり、ギターを弾いてる姿が一番かっこいいです」

「あずにゃん…。ありがとっ!」


そんなやりとりを聞きながら、私と澪とムギもステージから降りた。

「久しぶりに梓がはしゃいでいる姿を見たな」

澪はそう言って梓を撫でた。


「唯ちゃん」

「あ、ムギちゃん!澪ちゃんにりっちゃんも!あ、あのね、私…」


「わかってるわよ。そのままの唯ちゃんが一番好きよ」

「ムギちゃん…!そ、それは告白だったりして!?」

「あら?そうに決まってるじゃない」

「ええええ!!??えーと…」

「冗談よ」

「もームギちゃん!こんな時に冗談言わないでよー」


いつもの唯だ。



120 名前:1:2009/09/29(火) 01:16:25.57 ID:AZtrJ7Ix0

「唯!舞台裏にアンプあるからさ、アンコールでもう少しやってみないか?5人で!」

「はいはい!やりまぁーーーーあああす!!」


そうして大喜びで梓と一緒に舞台に上がっていく唯を見送った。

澪がそっと話しかけてきた。
「やっと、スタート地点だな」

「うん。」

「実は、最初に二人で演奏した時は、またこんな日がくるなんて夢みたいだって思ってた」

「私もだよ。澪のおかげかもな!」


そう、澪のおかげだよ。今は心の中で言わせて貰うぞっ。
いつだって私のスタート地点には、澪がいてくれる。ありがと!


「律。私達、どこまで行けるのかな」

「そりゃ目指すのはとりあえず武道館で…」

「音楽に人生を懸けるって、大変だぞ?」

「何だよ今更。やってみなきゃわからないって、澪も言っただろー? …って、あれ?」

「どうした?」



121 名前:1:2009/09/29(火) 01:18:47.54 ID:AZtrJ7Ix0

「あたしさー、プロ目指すって、澪に言ったっけ?」

「なんだ、そんなの最初からわかってたよ。まだわかっていないメンバーも、ほら」


ここで澪は舞台ではしゃぐ唯を見て、


「…いるみたいだから、ちゃんと教えてあげるんだぞー。すっげー本気だ!って」

「えーー!!ええーー!!澪にだけはまだ黙っておこうって思ったのに!」

「梓も最初からわかってたみたいだぞ。それより律、ほら、唯が呼んでるから行こう!」

「あー!待てってば澪!」


舞台に走っていく澪の先で、唯が声を枯らして叫ぶ。


「りっちゃん澪ちゃん!早くぅ!アンコール1曲目いくよ!ふわふわタイム!!」





日曜日の昼間っから、解散した後も懲りずにまた結成して演奏する。

私達のバンド名は、放課後ティータイム。


---fin---



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:25:10.82 ID:AZtrJ7Ix0

原作と設定がいろいろズレてるのは書いたのが7月だからです。
たくさん汗かきました。
本当に支援サンク!




132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:27:13.45 ID:oK2i0qGz0

乙です!
やっぱり澪は内定蹴ったのかな





133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:30:22.50 ID:AZtrJ7Ix0

>>132 最終的にはそうなるけど、プロプロいいながら結局普通に仕事するのもありかななんて。




122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:20:07.26 ID:J/71D/CV0

おつかれ!



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:20:23.50 ID:JxQVx8Rd0

乙!良かった



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:20:28.58 ID:5Zy1tLXz0

乙!!そして激GJ!!!
泣けたぜ



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:20:35.94 ID:AvBPDb3F0

乙でした



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:20:41.83 ID:IrPTfToy0

乙!最近の中では一番よかった



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:22:17.83 ID:dGogfIMyO

おつ



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:23:41.83 ID:wqCcJEN4O





131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:26:37.81 ID:G6cN8JEG0

面白かった 乙



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:32:17.52 ID:x4yWAJP0i

乙だぞ!
やっぱむぎゅはイイな



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:34:41.42 ID:rEelNxxPO

アジカンみたいに普通に会社員やりながらプロになるのもアリだ
おつ!



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 01:54:05.26 ID:+8ZAg3WJO

乙です
良いなー



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 02:15:58.77 ID:IBNWxKYi0


感動した!!!



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 02:29:25.19 ID:77DWgdd2O

乙です!!



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 02:37:41.28 ID:lQ8jugOBO

本当によかった
おめでとう



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 03:10:31.14 ID:CfpUrAph0

乙、面白かった



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 03:10:57.84 ID:FMrFqD6NO

何故か鳥肌たったわ

乙!



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 03:27:27.95 ID:veS4SLaV0

いい話乙



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 03:39:03.08 ID:ehp2AEtUO

いいね



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 03:54:26.60 ID:RnjMQ6Lt0

乙!



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 04:38:35.61 ID:gyxIuiZKO


たまにこういう名作があるからけいおんSSはやめられないわ。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 04:41:13.59 ID:7uKjlwTpO

激しく乙
一貫して律視点なのがよかったな
ムギを迎えに行くとこなんてベタすぎて絵に描けるくらい妄想しやすかったwww



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 06:29:01.47 ID:363QxfDEO





153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 07:16:16.35 ID:L/f56+Uq0





154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 08:10:02.50 ID:AtnVY9pzO





155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 08:49:16.63 ID:f+bloaEJ0

よかった乙



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 10:20:27.40 ID:d5ciUUURO

>>1乙!



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 10:14:59.34 ID:CShQEpku0

これは良作
しかし唯はいいなぁ…大学で失敗して引き篭もっても迎えに来てくれる友達がいて…






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タイトル:
NO:3531 [ 2011/08/11 22:56 ] [ 編集 ]

これリアルタイムで読んだなあ懐かしい
そして面白い

タイトル:
NO:3535 [ 2011/08/12 01:22 ] [ 編集 ]

やばいすごいイイ
やっぱけいおんはこうゆうのが一番和む!

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