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唯「今夜星を見に行こう」―澪、律編― 【非日常系】


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唯「今夜星を見に行こう」―澪、律編―
唯「今夜星を見に行こう」―紬編―
唯「今夜星を見に行こう」―憂、唯編―




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:16:28.02 ID:vbUB6mwpO

夜。
私は芝生の上で寝転がり、空を見上げる。
空にはびっしりと星が敷き詰められていた。

あれがデネブ、アルタイル、ベガ。

こんなやり取りをしたのはもう何年前のことだろうか。

私は空を見上げる。
それは二人の約束だから。

私の隣にもうキミはいない。

夜空はあの頃のままなのに、
私達があの頃のままでいることは出来なかった。





7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:21:18.85 ID:vbUB6mwpO

唯「またケンカ~?」

唯の声にハッと我に返る。
でも、ここまで来たらもう引き下がるわけにいかなかった。

澪「だって律が…」

律「はいはい、全面的に私が悪ぅございましたぁ。すいませんねぇ」

澪「なんだよその態度!」

律「謝ってんだろ。まだ何か文句あるのかよ」

澪「だからお前のそういう態度が…!」

最近、律の一言一句に腹が立つ。
いつからこうなったのだろうか。

梓「兄弟喧嘩は犬も食わないってよく言いますけど…」

紬「もう放っておくしかないわね…」




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:23:25.05 ID:xON0Kclv0

余計なお世話かもしれないが
台詞の前に名前いらない気がするんだぜ



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:15:18.81 ID:s9cbFpA30

>>8
今更だが、名前あったほうが読みやすいんだぜ?
特に、複数人をそれぞれ会話に参加させようとすると
得てして地の文を増やさないと誰が何を言ってるのか判らなくなる。

小説まんまの書き方をすると台詞と台詞の間の改行も否定しなくてはならなくなり
やはり読みにくくなる。

>>1は適度に改行入れたり
表現もある程度削って読みやすくしている。

SSはかくあるべしなどと云わないが
読みやすいことに越したことはなかろうて。





9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:26:21.12 ID:vbUB6mwpO

文化祭前、私達がケンカをした時、
本気で心配してくれていた梓も今では呆れ気味だ。
後輩に呆れられるとは、我ながら情けなく思う。

ムギも梓同様、以前はケンカを止めようと努力していたが、
最近は静観を決め込んでいる。

律「空気悪くするなよ、まったく」

澪「おまっ!」

…。
言いかけてやめた。
こいつと言い争ってても不毛だ。
意味がない。
どうせ、どちらも譲り合う気がないのだから。

私はムギの方を向いていつもの椅子に腰掛ける。
もう何ヵ月も正面を向いて座ってない。

私の正面に座る律も同様だった。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:31:41.62 ID:vbUB6mwpO

唯「りっちゃん、あまりこっち見ないでよ~」

律「いいだろ~。私達親友なんだし」

「親友」を嫌に強調する。
嫌味な奴だ。

唯「それはそうだけど。うぅ、視線が気になる…」

梓「澪先輩も律先輩も姿勢が悪くなりますよ。ちゃんと座った方がいいと思います」

澪「ん…」

律「ちぇっ…」

紬「梓ちゃんに注意されるなんて、あまり誇れることではないわ」

さすがのムギも私達の行動に堪忍袋の緒が切れそうな様子だった。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:36:17.90 ID:vbUB6mwpO

律「先に澪がちゃんと座れよ」

澪「なんで私が先なんだよ。律が先」

律「嫌だよ。これは部長命令なの!」

澪「だから?」

唯「また始まった」

紬「もういいわ。私達はお茶を楽しみましょう。梓ちゃんもこっちにおいで」

梓「あ、はい」

大抵、私達があーだこーだ言ってる間に下校時刻となる。
したがって、最近はまともにバンド練習ができていない。
最悪。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:41:11.97 ID:vbUB6mwpO

私と律がケンカしていると、突然音楽室の扉が開いた。
入ってきたのはもちろん私達の顧問である。

さわ子「おいっす!」

唯「さわちゃーん。イラッシャーイ」

さわ子「はいはい。みんな今日はちゃんと練習してる?」

梓「いえ、今日も律先輩と澪先輩がこの調子で…」

律「」ムスッ

澪「」プイッ

さわ子「あんたたち相変わらずなの…せっかく今日はいい話を持ってきたのに」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:46:28.43 ID:vbUB6mwpO

唯「いい話って何々!?」

さわ子「慌てないことよ、唯ちゃん」

梓「ゴクリ」

紬「気になります…」

律「ふん…」

いい話ってなんだろう。
律の手前、唯のようにはしゃぐことはできないけれど、
私もすごく気になった。

さわ子「それはね…ふっふっふ。懸賞で温泉旅行が当たっちゃいましたー!」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:51:18.44 ID:vbUB6mwpO

唯「さわちゃんすごい!」

さわ子「アハハ、もっと誉めて~!」

唯「男運がない代わりにくじ運はあるんだね!」

さわ子「そうそう、そりゃもう私の男運は地べたを這いつくばるが如く…って何言わせるの」

唯「えへへ。うまいこと言っちゃった」

えへへ、じゃないだろ…。
別にうまくもないし。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 21:56:08.66 ID:vbUB6mwpO

明日は近場の温泉に一泊旅行。
楽しみ半分、律のことを考えると憂鬱半分と言ったところか。
恐らく、律も私と似たような精神状態だろう。

まぁ、律のことはどうでもいい。
もう寝ちゃおう。

次の日、唯は出発時刻を過ぎてから集合場所に到着。
今日はさわ子先生が運転するレンタカーで行くことになっていたから、
問題ないと言えばないのだが…

唯「えへへ~、みんなごめんね~」

いつもの唯スマイルのおかげで、怒る気も失せてしまった。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:01:13.78 ID:vbUB6mwpO

さっそく私達はバンに乗り込む。
私が助手席、中列に梓とムギ。
最後列が唯と律という案配だ。

道中、さわ子先生お気に入りのメタルを聴きながら目的地へと向かった。
さわ子先生はノリノリだったが、
私達からすれば、こんな曲を聴きながら数時間も車に乗らなければならないと思うと気が重い。

バックミラーを覗くと、唯と律が何かコソコソ話し合って笑っている。
曲のせいもあって二人の会話を聞き取ることはできなかった。

少し前まで、唯の位置にいたのは私なのに、
と思った瞬間、顔が熱くなった。

何を嫉妬しているんだ、私は。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:06:27.72 ID:vbUB6mwpO

さわ子「澪ちゃん、りっちゃんとはまだ仲直りできないの?」

澪「まぁ…」

さわ子「何があったかまで聞くのは野暮だろうから聞かないわ。でもあなたたちらしくないわよ」

澪「それはわかってますけど」

さわ子「前はあんなに仲良しだったじゃない。
    澪ちゃんとりっちゃんは軽音部を引っ張る存在なんだから、いつまでもそんなことじゃダメよ」

澪「…」ムスッ

私は律が素直になれば、いつでも仲直りするつもりだけど、
あいつがあんな態度だから…。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:11:17.08 ID:vbUB6mwpO

ケンカの原因は実にくだらないものだ。

確かあれは、1ヶ月前。

律「ほげ~」ダラー

唯「アハハ~りっちゃん、両さんみたい」

律「なんだ唯。あんなつまらないドラマ見てんのかよ~」

唯「つまらなくないよ!シンゴくん格好いいもん」

律「慎吾は格好いいけど、脚本が…ね」

唯「ぶー、りっちゃんのくせに…」

律「おいこら」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:16:17.67 ID:vbUB6mwpO

唯、律「ほげ~」ダラー

澪「おい律。もう文化祭終わって1月経つぞ。この1ヶ月間全然練習してないじゃないか」

律「いいのいいの。どうせ後は来年の新歓まで何もないんだから」

澪「だからって毎日こんなにダラけてていいわけないだろ!」

梓「そうです!最近は私と澪先輩とムギ先輩でしか合わせてないんです!
  そろそろ真面目にやりましょう」

紬「さすがに私もみんなと合わせて練習したいわ」

律「なんだよ~みんなして。でもこっちにはダラケ女王唯がいるもんね~!」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:21:11.93 ID:vbUB6mwpO

唯「でも私もそろそろギー太に触りたいかな~。コードも忘れちゃうし」

律「えー…」

澪「後はお前だけだぞ律」

律「む~…じゃあ明日!明日から本気出す!それでいいだろ?」

澪「本当だな…?じゃあ、明日はみっちり練習だからな」

梓「やっと普通に部活ができるです」

紬「良かったわね梓ちゃん」

唯「よーし!明日に向けて今日は帰るぞー!おー!」

一同「おいおい…」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:26:29.75 ID:vbUB6mwpO

そして次の日。
予想通りと言えば予想通りだったが、練習直前、
また律がゴネ始めた。

律「今日は筋肉痛でさー。あいたたた」

一同「…」

さすがの私も堪忍袋の緒が切れた。
ここで甘やかしたら、またこいつは付け上がる。
ならば、幼馴染みとして渇を入れてやらねばなるまい。

バシン!

乾いた音が音楽室に響く。

私以外、一瞬何が起きたかわからないようだった。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:31:22.79 ID:vbUB6mwpO

律「へ…?何…」

律は右頬を赤く染め、困惑している。

澪「いい加減にしろバカ」

最初に状況を理解したのは意外にも唯だった。

唯「み、澪ちゃんいくらなんでもツッコミ激しすぎだよ~。
  りっちゃんがギャグできなくなっちゃう」

唯は少しでも場の空気を和らげようとしたのだろう。
心優しい唯らしい。
だが、それは無駄に終わってしまった。

律「いったいな!急に何すんだよ!」



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 22:35:45.04 ID:vbUB6mwpO

澪「お前が約束を守らないからだろバカ」

律「何だよさっきからバカバカって!」

澪「バカだからバカって言ったんだ。何か間違ってるか?」

バシン!

またしても小気味いい音が響いた。
殴られたのが私という違いはあったが。

澪「――――!」

律「これでおあいこだバーカ」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:27:09.89 ID:vbUB6mwpO

梓「あぅ…」

紬「ちょっと二人とも…」

澪「そんなに無責任ならもう部長なんてやめろ!」

律「文句あるならお前がやめればいいだろ!」

澪「こいつ…!」

私は律の頬にもう一発くれてやろうと手を振り上げた。

唯「た、タイムタイム!タイムアウト!」

私と律の間に唯がわって入った。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:33:27.63 ID:vbUB6mwpO

唯「ね、練習しよ?ね?」

澪「…」

律「ちっ…」

唯の機転で久しぶりに5人で合わせて演奏したが、もう最悪。
1ヶ月ぶりということもあるだろうが、
音も気持ちもバラバラだった。

その後はみなさんの知る通りである。
回想終わり。

思い出したらまた腹が立ってきた。

そうこうしているうちに、私達が今日泊まる温泉宿に到着した。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:38:20.37 ID:vbUB6mwpO

さわ子「それじゃあさっそく温泉かしら!行くわよ唯ちゃん!」

唯「いえっさ!」

紬「私も楽しみ♪」

梓「先輩達元気いいですね…私なんてあの曲と車の揺れで疲れが…」

澪、律「私も…」

澪「…」

律「…」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:39:54.92 ID:vbUB6mwpO

やり直し


さわ子「それじゃあさっそく温泉かしら!行くわよ唯ちゃん!」

唯「らじゃあ!」

紬「私も楽しみ♪」

梓「先輩達元気いいですね…私なんてあの曲と車の揺れで疲れが…」

澪、律「私も…」

澪「…」

律「…」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:43:24.59 ID:vbUB6mwpO

唯「りっちゃん、サウナだよ!露天風呂だよ~!GOGO!」

律「待ってましたぁ!…ふぅ」

梓「疲れてるなら疲れてる顔すればいいのに。律先輩は素直じゃないです」

律「むっ、そんな生意気な事を言うのはこの口かー?うりうり」

梓「やめふぇくらはいー」

紬「♪」

律と梓のやり取りを見ながらムギはうっとり顔をしている。
私と律以外は平和だ。



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:48:22.62 ID:vbUB6mwpO

唯「みんなで露天風呂に入るのは初めてだね」

律「今年の合宿は露天風呂なかったもんな」

律「あの時は唯の言葉で澪が照れ…」

律は何かを言いかけて、口を閉じた。

唯「澪ちゃんがなんだって~?」ニヤニヤ

律「うるさい!なんでもないよ!」



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:53:21.70 ID:vbUB6mwpO

さわ子「もう、あんたたち仲直りしたら?」

紬「せっかく一緒にお風呂に入ったことだしこのまま水に流してしまいましょう♪」

唯「うまい!」テレッテー

梓「割と使いふるされたネタのような気が…」

澪「私はもう別に…」

律が素直になって、練習もちゃんとしてくれるなら。

律「私も…」

律「…」

律「のぼせた!もう出る!」

唯「ちょっ、りっちゃん!」



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/29(火) 23:58:28.45 ID:vbUB6mwpO

さわ子「素直じゃないんだから…」

紬「溝は深いですね…」

澪「あいつのああいう所が嫌なんです。自己中だし、自分の思い通りにいかないとすぐ拗ねる」

唯「私が言うのも何だけど、りっちゃんは子供っぽいところがあるから…」

澪「だろ?唯もそう思うよな?」

梓「でもいきなりひっぱたくのはどうかと思います」

澪「それはあいつが言ってもわかってくれないから…」

唯「りっちゃんは澪ちゃんなら、言葉がなくても
  自分のことを理解してくれると思ったんじゃないの~?」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:03:23.94 ID:XeW1jTZKO

紬「そうかもね。それだけ長く一緒にいたら
  何も言わなくてもお互い理解できたりするもの。私も…」

澪「え?何?」

紬「ううん、なんでもない」

唯「私も和ちゃんが何を考えているかわかるよ時あるよ~!」

梓「幼馴染み、親友ってそういうものですよね」

紬「澪ちゃんは今りっちゃんが何を考えているかわかる?」

澪「それは…」

わからないわけがない。
あいつも私に謝りたくて仕方がないんだ。
ああ見えて律は不器用だから、どう切り出していいのかわからないのだろう。

澪「まったく、厄介な幼馴染みを持ったものだな」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:08:15.47 ID:XeW1jTZKO

紬「そういう割には嬉しそうな顔をしているわ」

澪「ん?そう?」

梓「いつもの澪先輩です」

澪「うん。私もちょっと意地になってたところがあった。ここは私が折れてやるか」

唯「やっといつもの軽音部かー。もー毎日肩凝ったよ~」

梓「嘘ばっかり」

唯「へへ、バレた?」

澪「ごめんなみんな、今まで気を使わせて」



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:13:22.96 ID:XeW1jTZKO

いざとなると中々声をかけ辛いものだ。

何度もチャンスを伺うが、そのたびに逃げられる。

唯「澪ちゃん、しっかり!」

澪「う、うん…でもあいつ明らかに私を避けてるし…」

唯「もぅ!さっきの意気込みはどこに行ったの!」

澪「だって…」

唯「だってじゃないよ!あーもう、まどろっこしい!」

澪「え、ちょ唯!?」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:18:27.10 ID:XeW1jTZKO

唯「りっちゃん!」

律「えっ何?」

唯「ちょっとこっちおいで!澪ちゃんも!」

澪「うわっ」

私と律は唯に手を引かれ、宿の外へ躍り出た。

律「何…?」

唯「二人とも一晩頭を冷やしなさい!お母さん、もう怒りましたからね!」プンプン

澪「お母さん…?」



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:23:43.53 ID:XeW1jTZKO

唯「ちゃんと話し合って、仲直りしないと部屋に入れてあげないからね」プンプン

澪「ちょっと待て唯!」

律「…」

なんということだ。
唯の奴、勝手に玄関の鍵を掛けやがった。
他に客はいないようだから問題はない…のか?

澪「…」

律「…」

沈黙が続くこと5分。
せっかく唯がお膳立てしてくれたのだ。
その好意をありがたく頂こう。

澪「とりあえず歩くか」

律「うん」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:28:27.97 ID:XeW1jTZKO

律「夕飯、うまかったな」

澪「うん」

律「…」

澪「…」

澪「茶碗蒸しが美味しかった」

律「うまかったな」

澪「…」

律「…」

残念ながら、もう修復不可能な気がしてきた。



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:33:18.11 ID:XeW1jTZKO

林道を抜けると、
だいぶ開けた場所に出る。

木のせいで気付かなかったが、
今日は雲ひとつない夜だった。

夜空には無数の星が瞬いている。

私も律も、数分間口をポカンと開けて、空を眺めた。

澪「くくく…」

律「どうした?」

澪「いや、だってさ…ぷふ」

客観的に見たら、ひどく間抜けな絵面だろうなと思ったら、
笑わずにはいられなかった。



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:38:26.44 ID:XeW1jTZKO

律「なんだよ。何が可笑しいんだよ」

澪「いや、なんでも…ふふ」

律「何なんだよ、気にな…ぶふ」

律も私につられて笑い出した。

澪「アハハハハ、お腹痛い」

律「ハハハ、何が可笑しい!」

澪「…」

律「…ぷっ」

澪、律「アハハハハ」



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:43:10.78 ID:XeW1jTZKO

律「はぁ、あー何かもう疲れた!」

澪「私も」

律「よいしょっと」

律が芝生に寝転がる。
私は余り服を汚したくなかったので、
その場に腰を下ろすだけにした。

律「なあ澪。あれって何座?」

澪「さぁ?」

律「さぁってお前、会話終わっちゃうじゃん。織姫様とか彦星様とかあるだろ」

澪「さすがの私でもそれくらいわかるぞ。織姫と彦星は七夕の代名詞ってことくらいな」



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:48:10.52 ID:XeW1jTZKO

律「てことは、織姫と彦星は見れないの?」

澪「そうなるな」

律「こんなに星があるのに?」

澪「えっ、ああ、うん」

律「そっかぁ、それは大変な事だな」

澪「律ってやっぱりバカだな」

律「んなっ!?」



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:53:14.63 ID:XeW1jTZKO

律「はいはい、どうせ私はバカですよー」

澪「ふふ、バーカ」

律「うるさいわい」

澪「星、キレイだな」

律「うん」

澪「…」

律「…」

律「澪、あの時は悪かったな」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 00:58:28.16 ID:XeW1jTZKO

澪「私もいきなり殴っちゃったから…」

律「…」

澪「…」

律「私達なんでケンカしてたんだっけ?」

澪「んー、忘れた」

律「私も忘れた!バカだからな」

澪「じゃあ私もバカか。仲間だな」

律「だな」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:03:42.57 ID:XeW1jTZKO

律「ずっと親友な」

澪「うん」

律「ごめんな」

澪「何の謝罪?」

律「この先またケンカすると思うから、先に謝っておく」

澪「なんだよそれ。その時に謝って欲しいな」

律「私は素直じゃないからな。できるときにしておくんだよ」

澪「自己分析はバッチリか」

律「おお!今すぐ履歴書を書けるぞ」

いつもの私達がそこにいた。



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:08:23.32 ID:XeW1jTZKO

楽しげな一つ隣の君。

律「また来年ここに来ような」

澪「ん?ああ」

律「今度は二人で」

澪「わかった」

律「そうだ!来年と言わず毎年この日にここに来ようぜ!
  高校卒業しても働き出しても結婚してもばーさんになっても」

澪「死ぬまで律と会わなくちゃいけないのか?出来れば遠慮したいな」

律「なーに言ってんだ。いいだろ、親友なんだから」

澪「まあ、律だから特別な」



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:13:44.44 ID:XeW1jTZKO

私達は別々の大学に入っても、
お互い県外に就職しても、
約束の日には必ずここにいた。

数え切れないほどケンカをした。
取っ組み合いのケンカをしたこともある。

それでも私達の関係が続いたのは、
この時間、この場所を共有できたからに他ならない。

律はどう思っているか定かではないが、私はそう信じている。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:18:29.53 ID:XeW1jTZKO

70年後、私は服の汚れを気にせず芝生の上に寝転がった。

どうやら今年から、ここに来るのは私一人になるらしい。

一人と言っても、ここまで来るために、
息子の車に乗せてもらうわけだけれど。

結局、軽音部の中で一番長生きだったのは私だった。
唯だけは…。
うん、これは私の口から語ることではあるまい。

70年前、せっかく星を眺めに来るのだからと、
星座の勉強をしようと思い参考書を手に取ったが、すぐに諦めた。

わかるのはせいぜい北極星くらいだろうか。

今となってはどうでもいいことだが。



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:23:15.28 ID:XeW1jTZKO

ふと横に目を向けると、高校生の律が隣にいるような気がした。

澪「何してるんだ?」

律「約束だからな。澪がここに来れなくなるまでは顔を出すさ」

澪「そっか。縁起でもないから早く成仏してほしいものだけど」

律「相変わらずの減らず口だな」

澪「律にだけ、な」

律「私は特別ってか?」

澪「ふふ、よくわかったな」

律「その調子ならあと20年はここに来るつもりか?勘弁してくれよ」

澪「私はまだまだやりたいことがたくさんあるんだ。悪いけどもう少し待っててくれ」

律は私に微笑みかけ、そのまま闇夜に溶けていった。
気がした。



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:28:35.35 ID:XeW1jTZKO

息子「母さん、そろそろ宿に戻ろうか。だいぶ冷えてきた」

澪「ええ」

息子「ほら、手を貸すよ」

澪「悪いね」

お恥ずかしながら、私は人の手を借りないとすぐに立ち上がることもできない。
老いとはおそろしいものである。

車が林道に入るまで、私はずっと名も知らぬ星を眺めていた。

それじゃあ律、来年またここで。

唯「今夜星を見に行こう」―澪、律編―






89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:29:11.57 ID:ozHcxWkU0





90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:29:50.02 ID:PAQRx3ZL0

おつかれ



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:31:36.23 ID:UYAK7uo2O


>>1センス良い



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:32:36.30 ID:pTXAzU3b0

乙 
スレタイ唯にしたのは唯、紬編とかあるの?



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:33:05.82 ID:kncG1lDUO

おつ!
澪律編という事はまだ続く?



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:34:17.61 ID:9ibxfKlcO

乙!続き期待



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:34:51.48 ID:gstaC4JaO

しえん





97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/30(水) 01:34:53.15 ID:XeW1jTZKO

ちかれた
紬編、唯、憂、梓編に続きます

紬編がカキタメ中なのでカキタメながらの投下
多分さっきより遅くなる




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