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梓「ジョニーが凱旋するとき」#第6話「組織編成!」 【戦争】


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梓「ジョニーが凱旋するとき」#index




93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:32:34.56 ID:W/Ns2wUZ0


“ΝНΚアーカイブス 戦争特集アニメ「幻の放課後」

 (中略)

 今回は、前回に引き続き、第6話「組織編成!」をお送りします”





94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:36:01.72 ID:W/Ns2wUZ0


残暑も和らぎ秋の気配も漂い始めた頃、支廠の組織変更があった。

生産能力逼迫の折、労働力を少しでも多く確保するため、
後送された傷病兵──つまり先輩方──も再び動員体制に組み込まれる。

“軍需生産局検査課第32検品室”

これが、旧3年2組所属の傷病兵の動員先として新たに設けられた。
とはいえ、3年2組の傷病兵は、まだ軽音部員の3人しかいない。

そして、第32検品室にあてがわれたのは、あの部屋だった。
私と、検品員である先輩方は、検品室へと入る。

 「…こんな形で部室に戻ってくるとはねぇ」

律先輩が感慨深げにつぶやくと、澪先輩とムギ先輩も言葉を漏らす。

 「よろしく頼むぞ、律。いや、田井中室長殿!」

 「でも、この部屋に来るの大変なのよね。階段が、ちょっと…」

 「先輩方、私、何でも手伝いますから。この検品室の専属連絡員になったので」

どうやら、生徒会長が学事課長として裏で少し手を回してくれたらしい。
最近、正直言って良い噂は聞かないけれど。
中には“自分一人が助かるために、同級生二百人の命を売った”って噂まで…



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:42:39.24 ID:W/Ns2wUZ0


以来私は、午前の作業時間を、作業室と検品室を往復して過ごすことになる。

作業開始後、病室に先輩方を迎えに行き、検品室である部室まで連れて行く。
特にムギ先輩と車いすを上り下りさせるのが一苦労なのだが、
ムギ先輩を背負うと痩せた上に両足の分の体重が減っているのよくわかった。

そして作業室で作られた製品を検品室に持って行く。
衣類や皮革製品の針の残留検査や、縫い目やボタンの点検、
樹脂や金属小物のバリ取り確認などをしてもらう。



 「これ、昨日生産された分です。納期は今日中でお願いしますね」

活動の内容は全く変わってしまったけれど、この部屋で、軽音部員だった面々が、
再び顔を合わせることができるだけでも、私はささやかな喜びを感じていた。

でも、“便りのないのは良い便り”とはいうものの、
唯先輩は、いまだに帰ってこない。



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:46:54.30 ID:W/Ns2wUZ0


──桜が丘支廠会議室

 「…兵務戦備局からの報告事項は以上であります」

 「ずいぶん多いなぁ」

 「連隊全体では全滅ないしは壊滅状態と聞き及んどります。
  再編成も時間の問題でしょう」

兵務戦備局長の報告に、支廠長が渋い顔をする。

そこに軍務課長が口を挟むと、当て擦られた調達課長がわざとらしい咳払いをする。

 「まあ低い練度と貧弱な装備を考えれば頑張ったほうでしょう。
  もう少し教練に時間が取れれば違ったかも分かりませんが…」

 「…ゴホン」


副支廠長がオールバックをなで上げながら発言する。

 「こりゃ予定を繰り上げないといかんなあ。
  でも、まだ上から正式な通達は来とらんのだろ、兵務課長?」

 「は。しかし、内々には、近々年齢引き下げを決定する予定と言われてまして…」

 「では即座に対応できるよう、予備検査を実施しておこう」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:52:03.79 ID:W/Ns2wUZ0


生徒会長、いや、学事課長である私は、手元の会議資料を見る。
この数字と文字の羅列の裏で、どれほど多くの学友が傷つき失われたのか。
内心穏やかではないのだが、今は感情よりも思考を優先させねばならない。

軍需生産局から、徴兵への対応について難色を示す意見が出る。

 「しかし、軍需生産の主力である二年生が抜けると、生産計画の下方修正は必至ですゾ」

 「調達課としても、傷病兵の労働力化に時間がかかりますので、
  三年生の中隊全体が後送されてから、引継ぎなどを行う猶予を頂きたいところです」


私はタイミングを捉えて意見を述べる。

 「…軍需局のご意見はごもっともと思います。
  兵務局のお立場としても、徴兵に迅速に対応すべきというのは理解しますが、
  ある程度、訓練と戦備を充実する時間を設け損耗を抑えることも必要では?」

 「ふむ、学事課長の意見ももっともだ。徴兵の予備検査は早急に行うとして、
  生産計画にも配慮し時間的な余裕を持って進めよう。
  では定例廠議は終了する。解散!」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/15(日) 16:53:48.40 ID:W/Ns2wUZ0


支廠長が宣言をして、会議は解散となる。
解散後、軍需生産局長が軽く会釈して小声で話しかけてくる。

 「先ほどは援護射撃をどーも。堅物の学事課長が珍しいですナ!」

 「…どういたしまして」

生産計画の未達成など、私にはどうでもよいことだった。
それは、軍需生産局が責任を取ることなのだから。

私は、ただ、引き裂かれた先輩と後輩同士が、
いま一度顔を合わせる時間を作ってやりたかった。それだけだった。

(今生の別れになるか否かも分からないのに、
 すれ違いで帰還と出征なんて、寂しすぎるじゃない。

 まあ、そんなセンチメンタルな意図、悟られないほうが好都合だわ。
 恐らく、そんな意図は誰も察してはくれないでしょうけど…)

そう思いながら、私は誰にも悟られぬよう、小さく苦笑しながら嘆息した。

                             [第6話 終]




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[ 2011/08/15 00:51 ] 戦争 | | CM(0)

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