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唯「天上のノモス!」#後編 【学問・古典・文学・哲学】


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唯「天上のノモス!」#前編
唯「天上のノモス!」#後編





126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/18(金) 23:54:37.85 ID:7A3qvQVI0

翌日 12月18日 19時 琴吹家食堂

一同は食堂に会して夕食を摂っている。
今回は紬の父も同席している。

律(しかしまあ、親子で立派な眉毛ですこと…)

律は盗み見るように、琴吹父と琴吹娘の額あたりを見比べる。
紬の父も、それはそれは太い眉毛(ただし毛色は黒色だが)を持っている。
まるで、ぶっとく海苔を切り取って貼り付けたかのよう。



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:01:52.29 ID:7A3qvQVI0

紬父「ん?田井中くん、やはり私の眉毛が気になるかな?」

律(しまった…!)

律「え、あ、ああ、いやぁ…ハハハハハハ…」

笑ってごまかそうとする律。

梓(これだから…)

ため息をつく梓。



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:09:19.52 ID:CeVfSM5f0

紬父「まあ、琴吹家と言えば眉毛!と言われるくらいだからね。」

紬父「着脱可能だと誤解されることもあるぐらいなんだよ?」

紬母「まあ、あなたったら♪」

紬の父は、にこやかに笑いながらそう言う。
やはり彼もどことなく、紬と同じ優しい雰囲気を漂わせている。

唯「あの、ムギちゃんのお父さん…」

唯が唐突に口を開く。



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:17:25.32 ID:CeVfSM5f0

紬父「うん?なにかな、平沢くん?」

紬の父は、唯に顔を向ける。

唯は上座に座る紬の父の斜め左奥、
紬や律とテーブルを挟んで対面する形に座っている。
唯の両隣には憂と梓がいる。

唯「あの、聞きたいことがあるんです、けど…」

紬父「言ってみなさい、平沢くん。」

優しく微笑みかける紬の父。



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:25:31.72 ID:CeVfSM5f0

唯「ムギちゃんのお父さんが、会社の社員の人たちの幸せのために、
  心がけていることって、何なんですか?」

律(ん?唯らしからぬ真面目な…)

律は訝しげに唯を見やる。

紬父「ふむ…」

視線を天上に吊るされたシャンデリア状の照明に向け、
数秒、何事かへと考えを向ける、紬の父。



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:35:48.54 ID:CeVfSM5f0

紬父「たくさんあり過ぎるけれど…」

視線を唯へもどし、真面目な、しかし柔らかな目持ちで答える。

紬父「そのうちで最も大切だと私が考えることは…」

紬父「私が判断と決定う場合に、最高度の内容と速さを持って、
   この二つを行うこと、かな。」

紬父「これが、リスクを回避する上で最も重要なこと、
   と考えているね。」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:49:04.57 ID:CeVfSM5f0

唯「…」

実を言うと、紬の父の回答は、唯にはよく理解できなかった。
『状況判断と命令』の重要性を、まだ年若い唯は、
現実味を持って捉えることができないのだ。

紬父「例えばだ、ある人が心臓発作で倒れたとしよう。」

唯がうまく反芻できていないことを悟り、紬の父はこう続ける。



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 00:58:55.86 ID:CeVfSM5f0

紬父「そして救急車を呼び、救急隊員が来るまで応急手当を行って
   その患者を病院まで搬送する。」

紬父「脳内出血や心臓発作から生還する可能性は、
   時間との格闘だ、ということはわかるね。」

コクリ、と唯は首肯する。

紬父「それに、応急処置や救急隊員の処置が不味いものであった場合にも、
   あたりまえだが、患者の命はそれだけ危険にさらされる。」

紬父「企業を運営管理することも、これと同じ、ということになるね。」

唯「あ、そっか…」

唯は合点がいったようで、ふんふん、と頭を少し揺らす。



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:06:15.52 ID:CeVfSM5f0

そのとき-

コンコン。

食堂の扉がノックされる音がする。
扉の脇に控えていたメイドがゆっくりと扉を開ける。

「失礼します。」

スーツ姿の女性が入室してくる。
すらりとした長身、肌は白く細かく、長い銀髪を有している。
黒ふちの細長い眼鏡をかけ、
片手にブリーフケースのようなものを持つ。
二十代、ということはわかるが、正確な年齢の推定は難しい。



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:15:07.71 ID:CeVfSM5f0

唯(すっごいキレーな人…)

銀髪の女性の容姿に、うっとりとする唯。
となりの憂のほうから、ギチギチギチ、
と歯軋りする音が聞こえる。

律(ムギよ、随分とまー美人なおねーさんだな…)

律が隣の紬にそう囁く。

紬(でしょう?『白銀(しろがね) ありす』さんって、あの若さで
 お父さん直属の秘書室長をなさっているの。)

律(ありす??変な名前ぇ。)



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:30:15.32 ID:CeVfSM5f0

梓(おっきなおっぱい…)

梓は、スカッスカッ、と自分の胸の前で両手を動かす、

銀髪の女性は、紬の父の側面に立ち何事かを報告している。

紬父「了解した、食事が終わり次第向おう。」

報告が終わると、銀髪の女性は紬の母と紬のほうへ一礼する。

その直後、銀髪の女性が面をあげたとき、
唯の視線と女性のそれが交差した。

ほんの一瞬、女性の、薄紫の瞳が唯の瞳を射る。

唯「??」

そして、何事も無かったように、女性は扉へと向かい
食堂から退出していった。



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:43:23.76 ID:CeVfSM5f0

18日の夜は、あの精霊は唯の前に姿を現さなかった。
そして日が替わる。

12月19日9時 和の家 玄関

和「いらっしゃい、あがってちょうだい。」

唯「お邪魔しまーす。」

律(いやぁ、今朝までムギんちだったからカルチャーショックだわ。)

律は和の家を見つつ、そう思う。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:51:06.99 ID:CeVfSM5f0

梓「唯先輩のおうちからホントに近いところにあるんですね。」

和「そうね、スープの冷めない距離ってやつかしら。」

律「つまり、それだけ色々と唯に
  迷惑をかけられて来たわけだな、和は。」

唯「りっちゃんひっどーい!!」

律「ザリガニ事件聞いた時はさすがに引いたぞ…」

唯「あ、あれはぁぁ…///」



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 01:59:22.85 ID:CeVfSM5f0

和「あのザリガニたちには悪いことしたわね…
  唯、後でお墓参りしなさいよ。」

唯「はーい…」

梓「お墓??」

憂「結局全部死んじゃって、和さんの家の裏手に埋めてあげたの。」

和「故381匹のためのザリガニ塚よ。」

律「そ、そいつはまた…」



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 02:11:19.62 ID:CeVfSM5f0

-和の部屋-

律「…てわけ。」

和「そう、そんなことがあったの…」

紬の家での、唯と紬の禅問答のことを、和に教える律。

和「まあ、昔から唯には,譲れないこだわりのようなものがあって…」

和「それが原因で、周りを巻き込んでの大騒動も何度か経験したけれど…」



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 02:22:15.86 ID:CeVfSM5f0

和「それも唯の一部だから、」

和「唯には、そのこだわりを捨てて欲しくないわ。」

唯「和ちゃん…」

梓(軽音部の人たちとの絆とは、また違った…)

憂(和さんには、敵わないな…)



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 10:51:19.87 ID:CeVfSM5f0

12日19日 深夜 真鍋家裏手 "ザリガニ塚"前

真鍋家の裏手、同家に面した道路からは全く見えないところに
"ザリガニ"塚はあった。
見た目はまさに『金魚のお墓』のそれ。
こんもりとした小丘の上に漬物石のようなものが置かれていた。
ここに381匹の遺体が眠る。

ザリガニのお墓の前に立つ唯。
パジャマ姿にカーディガンを羽織っただけ。
見た目からして非常に寒そうだ。



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 10:58:48.47 ID:CeVfSM5f0

目前の墓もまた、己の悪の結実である-

『これが沼海老のお墓?』

あの精霊の声だ。
いつのまにか唯のすぐ横、肩ぐらいの高さをふよふよ、と浮遊している。

唯「沼海老??ザリガニだよ?」

唯もこの奇妙な存在にすっかり慣れてしまったようだ。

『ようするに湖沼に生息する海老の一種でしょう??』



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:05:54.12 ID:CeVfSM5f0

唯「あ、そうか…」

『まあ、いいわ。』

『あなたたちアジアの人たちは殺生を、
 ヨーロッパの人間とは別の形で忌むものね。』

『アジア人は怖れから、ヨーロッパ人は仮象の愛から。』

『一般化し過ぎかもしれないけれど…』



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:11:24.64 ID:CeVfSM5f0

『ゆい、≪カルマ≫って知っている?』

『カルマ??』

首をひねる唯。

『生き物の行為は、その生き物自身のうちに蓄積されて、
 物事の原因の一つになり、その人の来世や子孫に
 様々な影響を与える。』

『簡単に言えばそんなところかしら。』

『ずっと昔、インドで発明された考え方よ。』



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:18:18.85 ID:CeVfSM5f0

『因果応報ないし因報果報っていう言葉は
 聞いたことがあるでしょう?』

唯「うん。」

『因果応報もカルマの存在が、
 そのプロセスのうちにある、と考えられてきたのだわ。』

『でも、可笑しなものね。カルマをそういった原因として見ても、
 人間は、自分にこびりついたカルマを全て認識することなど
 できないはずでしょうに。』

唯「?」

唯は再び首をかしげる。



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:29:40.89 ID:CeVfSM5f0

『原因があるから結果が生まれる。
 ある結果には必ずそれに応じた原因がある。』

『原因論とか因果論とかもいわれる、古くからある考え方。』

『たとえば、ゆい、あなたのご両親がいるから、
 あなたは今、生きている。そうよね?』

唯「あたりまえ、だよね?」

『ええ、そうよ。』



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:35:02.71 ID:CeVfSM5f0

『カルマも、人間の身に生じる結果の一原因、ということ。』

『そして、ある人間が持っているカルマのうち、そのほとんどは
 その人間に知られていない、と考えられるわ。』

『例えば、もし前世があるとするならば…
 ゆい、あなたは前世のことを覚えている?』

唯「ぜーんぜん。本当にあるのかなあ…」

『さあ、それは私にもわからないのだわ。』



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:41:00.81 ID:CeVfSM5f0

『そして、あなたのご先祖様たち、彼らが生まれてから死ぬまで
 何をおこなってきたか、を全て把握することはできないでしょう?』

唯「昔のことなんて、わかるはずないんじゃない?」

『そう、そのとおりね。だから…』

『沼海老を381匹死なせるよりも、もっと残酷なこと、
 あなたが残酷と考えるようなね、
 そのようなことを、あなたのご先祖様が行っていたかもしれない。』

唯「…」

唯は嫌な予感がした。



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:48:09.70 ID:CeVfSM5f0

『まあ、カルマも人間が考えだしたものだから。
 信じる信じないも、参考にするしないも、あなたの勝手。』

『私が今したお話は、その381匹の沼海老を思うあなたへの手向け。』
 
『…そしてこれから、あなたが知るであろう悪に備えるための、前準備。』

『今日はここまで。』

『明日もこの時間、ここに来なさい。』

『そして、人間の絆についてのお話をしましょう。』



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 11:56:10.04 ID:CeVfSM5f0

そう言い終えると、紅い光球は上昇し、どこぞへと飛んでいった。

唯「…」

唯「ブルッ…」

精霊が消えると、はじめて、外気の冷たさを覚える唯。

唯「気がつかなかったけど、精霊さんといっしょだと
  ぜんぜん寒くなかったんだなぁ…」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:01:45.84 ID:CeVfSM5f0

唯「…」

再び唯の胸奥に、さきほど感じた不安感、の名残が意識される。

唯「そういえば、なん、なんだろう…?」

この不安感がはっきりとした形をとるのは
もう少し先のことになるはず。



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:11:56.43 ID:CeVfSM5f0

翌12月20日 正午過ぎ

唯と律は和とともに、アルバムをらしきものを眺めている。

律「へー、和はこのころはまだ眼鏡をかけてなかったんだな。
  コンタクトにはしないんか?」

和「眼鏡のほうが色々と便利なのよ。
  コンタクトは手間がかかるし、安全性にも問題があるわ。」

唯「だいじょぶだいじょぶ!
  和ちゃんは眼鏡かけても、コンタクトでも
  どっちにしろすっごい美人さんだから!」



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:21:22.04 ID:CeVfSM5f0

和「唯ったら…はぁ…」

憂「2ab…+(a-…」

梓(先輩達、和先輩の家に来てから、ぜんぜん勉強してない…)

梓「ふぅ…」

和(梓、呆れてるわね…)

和(まあ、澪がスパルタでやるだろうから、
  明日まではいわば中休みよ…)



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:27:41.80 ID:CeVfSM5f0

律「ん…?」

律が何事かに気づく。

律「唯と和が移っている写真にはどれにもこれにも
  な、ぜ、か…憂ちゃんも写ってるよな?」 

憂「ピクッ…」

和「律、正確にはそうじゃないわ。
  唯の写っている写真には必ず、よ。」



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:32:16.11 ID:CeVfSM5f0

憂「汗…」

律「おいおい…これなんて調理実習の写真だよな、
  奥の窓側、見切れてるポニーテール後姿…」

唯「あっ、ホントだ!」

和「今まで気付かなかったわ…」

憂「だ、だって…」

憂がはじめて口をひらく。



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:39:17.72 ID:CeVfSM5f0

憂「お姉ちゃんが怪我したり火傷したりしないか、心配で…」

唯「うい…」

和「憂、このときの授業、さぼったの?」

憂「は、はぃ…保健室に行くって言って…」

梓「唯先輩と憂は、昔からずっとそんな感じなんですか?」

和「ええ。物心ついた時から今の今までね…」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:44:37.65 ID:CeVfSM5f0

和「でも、まあ、姉妹中が悪いよりは、よっぽどね。」

和「唯を甘やかすのを今の三分の一ぐらいにすれば、
  ちょうど良い按配になるかもしれないわ。」

憂「で、できるかぎり善処します…」

唯「むむぅ…」

律(多分無理だろ…)



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:49:24.84 ID:CeVfSM5f0

そして-

再び紅い光との邂逅。

『ゆい、あなたたち姉妹は…』

『本当に仲が良いのね。』

唯「へへ…///」

『羨ましいわ…』

精霊の声音が少し暗くなる。



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 12:59:16.62 ID:CeVfSM5f0

『愛、というものに一括りされること。』

『これは人間の生が充実するために、
 甚大な割合を占めるのと同時に…』

『これほどまた、当てにならないものもない、
 と考えられてきたわ。』

『人間と人間を結びつける紐帯。』

『同朋意識、家族愛、友情、友愛、忠義、性愛…』

『もっと数多くあり、もっと細かくも分類できるけれど…』



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:09:05.13 ID:CeVfSM5f0

『感情と強く結びついているこれらは、
 悪を減少させもし、増大させもする。』

『鞴(ふいご)から送られる風が、
 良き鋼と悪き鋼の母であるように、ね。』

『そのため人間は、指導的な原理、
 人間の性質の中でも、最も高尚かつ有意とされる原理を作り出したわ。』

『それはまずは知性としてあらわれ、それは理性として分たれ、
 能動的な、人間が持つ他の性質を統御するものとされた。』



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:15:36.61 ID:CeVfSM5f0

『ある人間は、感情と理性の関係やバランスを微妙さを説いた。』

『ある人間は、理性の原理の元に壮大な≪倫理の宮殿≫を作り上げた。』

『ある人間は、人間の歴史の背後に理性を見、
 つまり物事の形成の根源であると考えた。』

『そして、多く、神との関係で語られてきた。』



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:23:00.37 ID:CeVfSM5f0

『絆を作り上げるものと、これをコントロールするもの。』

『人間の絆は深妙なバランス、均衡のもとにあるわ。』

『町々を潤す大河は、町々を滅ぼす龍にもなりかねない。』

『だけれど、心のうちに、愛する人との間に、
 それを持っていたい、と願うもの。』



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:25:36.46 ID:CeVfSM5f0

『ゆい、良い絆を求めなさい。』

唯「よいきずな?」

『ええ。』

『あなたは良い絆に恵まれすぎているから。』

『それが当たり前のことになっている。』



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:29:33.32 ID:CeVfSM5f0

『けれど、あなたほど良い絆を持っている人は、そう、いないわ。』

『だからこそ、意識して良い絆を求めなさい。』

『それが、悪を抑える近道の一つになるの。』

唯「…」

自分は、恵まれているのだろうか?



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:32:17.87 ID:CeVfSM5f0

『さて、次からは本題に入るわ。』

『悪の繁殖、悪を抑えること、そしてー』

『天上のノモスについて。』

『だからこそ、今は眠り、今日の疲れを癒しなさい。』

『≪眠りこそ最大の癒し≫だから。』



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:39:12.64 ID:CeVfSM5f0

結局、和のもとでの三日間は、ほとんど碌に、
勉強に対して費やされなかった。

そして-

12月22日 秋山家居間

澪「Our nation is at war, against a far-reaching
  network of violence and hatred!」

律「ア、アウア ネーション アト ワー アゲンスト…」

澪「声が小さいっ!」

唯「ひぃぃぃ…」



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:45:12.27 ID:CeVfSM5f0

律(舌が痛てぇ…)

澪「次、唯!訳してみろ!」

唯「わたしたちのネーションは戦争です、
  ヴァイオレンスとヘイトレッドのファーリーチングなつながりに対して…」

澪「ぜんぜっん駄目だっ!」

澪「いいか、この箇所はだな、
  オバマ大統領の国際的テロに対する…」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 13:52:06.35 ID:CeVfSM5f0

澪「まるまるうまうま…
  あーだこうだあーだこうだ…」

唯「うぅぅぅ…」

律(これは時間がかかりそうだ…)

律「ん?あれは…」

居間の一角に目を向ける律。

一方の梓は、

梓(澪先輩は恋愛と仕事にのめり込みすぎて
  破滅するタイプかも。)

などと思っている。



190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 16:55:33.88 ID:CeVfSM5f0

律「ゆい、ゆい!」

唯「なあにぃ?」

律「上野介覚悟ぉぉぉぉ!!」

律は抜き身の細長い剣を両手に持ち、唯に飛びかかるようにポーズをとる。
どこから持ち出してきたのだろうか?

唯「内匠頭殿ッ!乱心めされたかあー!」

律「てぃや… 澪「おい。」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:02:44.36 ID:CeVfSM5f0

澪から桁外れのプレッシャーを感じる。

澪「ひいお祖父ちゃんの指揮刀で遊ぶなって…」

澪「昔から言ってるだろぅ!!」

ゴツン!

律の脳天に拳骨がおちる。

律「いだっ!!…いだひぃ…」



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:09:51.05 ID:CeVfSM5f0

澪「まったく…お前は本当に…」

律から指揮刀、つまりサーベルを取り上げ、
近くに落ちていた鞘に刀身を収める。

サーベルは全長90cmくらいだ。
柄には金メッキがかけられており、何かの花を模した意匠が施されている。
鞘は鉄製の簡素なもの。

澪「本当に罰あたりな…」

澪はサーベルを両手で水平に持つと、居間の隅の、違い棚にある木箱中に収める。



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:15:31.65 ID:CeVfSM5f0

律「だってよぉ…澪が勉強勉強… 澪「私はお前たち二人のことを思ってそうしてるんだ!!」

澪「いいか、バラク(オバマ大統領のことらしい)はな、
  ハワイ時代に少しグレかかった事があったらしい。
  だけれど、彼はそれを乗り越え、真面目に日々…」

唯「澪ちゃん、澪ちゃん。」

澪「ん?なんだ、唯??」



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:18:28.09 ID:CeVfSM5f0

唯「澪ちゃんのひいお祖父さんってさ、軍人さんだったの」

澪「あ、ああ、そうだぞ。」

律「こいつんちは先祖代々軍人家系だぜ。
  だからこんなに凶暴に育…」

ゴチンッ!!

律に再び鉄拳が降り注ぐ。

律「ひいぃぃ…」

澪「たく、本当に…」



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:25:30.34 ID:CeVfSM5f0

梓「なんか、かっこよさげですね…」

澪「かっこいい、か。でも、お祖父ちゃんやパパの話では、
  色々と大変なことがあったらしいよ。」

唯「大変なこと??」

澪「具体的にどういうことがあったのかは知らないけど…」

澪「指揮官に任された権限は、大変大きなものだから、
  小さな間違いすら、『致命的な惨事』を引き起こすもとになるんだって。」

唯は紬の父親の話を思い出す。



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:29:32.37 ID:CeVfSM5f0

澪「それに、ひいお祖父ちゃんは生きて帰ってこれたけれど、
  そうじゃなかった方々もたくさんいらっしゃるから…」

澪はそう言うと、いつになく真剣な顔になる。
澪の表情に見惚れてしまう律と梓。

梓(…////)

律(はっ…いかんいかん…クールにクールに…)



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:36:09.52 ID:CeVfSM5f0

律「と、純和風少女っぽい澪もクリスマスは祝うんだよなぁ。」

澪「わっ、悪かったな…////」

澪「っと、もうこんな時間か。とりあえずお風呂を沸かすから、順番に入ってくれ。」

律「一緒に…入る…////?」

澪「ばっ…!?そういうのをやめろって言ってるんだ!!」

唯は呟く。

唯「クリスマス…」

紬の家の、クリスマスツリーの装飾はすでに完成している。
しかし、あの木は、『生命の樹』という不可思議な…



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:47:05.67 ID:CeVfSM5f0

『ふふ…。ゆい、来たわね。』

深夜、秋山家の居間。澪が曽祖父の指揮刀を収めた違い棚の前。
紅い光球が浮かんでいた。その輝きで、部屋の中を仄かに照らす。

『あの黒髪の子の家は代々、高位の軍人の家みたいね。』

唯「うん、そうみたい。ムギちゃんちもそうだったけど、
  ウチみたいなフツーの家とは大違いだね。」

『そんなことはないわ。あなたのご先祖様にも何人か軍人がいたわよ。
 下士官や兵卒だったようだけれど。』



199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 17:53:27.13 ID:CeVfSM5f0

唯「え?」

『その人間の魂の、いろ・かたちを見れば…数代前の先祖達が
 どのような人物だったかくらいは読み取れるもの。』

『だから、これから話すことのために、
 あなたのご先祖を例にとらせてもらうわね。』

『ふぅ…』

精霊は一息つく。

『あの黒髪の子の先祖の中には、少なくとも、ここ百年五十年、
 人を殺めた人間はいないわ。』

『士官、つまり将校の職務は基本的に、
 実際の戦闘を行うことではなく、その指揮と上位指揮官の補佐。』



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:01:02.57 ID:CeVfSM5f0

『そして…よく聞きなさい。』

『ゆい、あなたの曽祖父の一人は、兵卒及び下士官として、
 約四十人ほどの人間の命を奪ったわ。』

『そのうちの半数はその武器で、もう半数は敵艦を撃沈させたことによるもの。』

唯「え…」

唯の両目が驚きで見開かれる。

唯「うそ…」

唯は曽祖父四人全員と面識はなく、どのような人物だったかも全く知らない。
だから、このうちの誰のことについて言われているのかすら、わからない。



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:08:32.82 ID:CeVfSM5f0

『国や民族のための殺人は、古来から、名誉なことだと考えられてきたけれど…』

『しかし、殺人であることに変わりはないわ。』

『これをどう考えるかはあなた次第。』

『だけれど、国と呼ばれるもの、企業と呼ばれるもの、
 教団と呼ばれるもの…もっと数多くあるわ。』

『つまり共同体と呼ばれるものは、その構成員に対して、
 ある一定の価値を持つことを要求し、
 それを拒否するものには、ひどいときには無理にこれを強制する。』



202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:18:58.02 ID:CeVfSM5f0

『私は前に言ったわね、個人の目的が集団の目的に束ねられるとき、
 そのときに起こる悪のことを。』

『個人の目的が集団の目的の一束とされるのは、
 それが良きことを生み出すから。』

『その一方で、人間は悪や不幸、つまり厭わしいものと
 無関係ではありえない。』

唯は虚空を見つめたまま。



203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:21:00.48 ID:CeVfSM5f0

『そして…』

『悪を抑制する方法は、≪否定≫であったわ。ずっと、ずっと…ね。』

『進歩や啓蒙は、いわば、否定のもとの飛躍。』

『素晴らしい腕持つ匠が、木片を削り取ることによって
 神々の像を生み出すように、ね。』

『しかし、これは邪魔な者の排除にも至りえる。』

『これを十全に認識しなかったために、前世紀の多くの指導者が
 恐ろしい悲惨を作り出してしまった。』



206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:32:05.08 ID:CeVfSM5f0

『大地のノモスには限界がある。』

『ここ数百年来、人間は、大地のノモスを精緻してきたわ。』

『法、及びそれに定められた制度という一種の機械の精密化のこと。
 そして、それらを受け入れえる人間を作り出すこと。』

唯「…」

唯は言葉を発せぬまま。

『ゆい、あなたが、曽祖父の行為を受け止めることは必要かもしれないけれど、
 そのために、あなたが罰をうける必要性は全くないわ。』

『明日、≪天空のノモス≫について教えましょう。』

『そして≪生命の実≫をその手に取るかどうか…』

『ゆい、あなたが決めなさい。』



209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:38:25.23 ID:CeVfSM5f0

か、ちゃ…

澪「ん?」

ドアの開く音で澪は目を覚ます。

唯が部屋に戻ってくるのが、うっすらとわかる。

澪「唯、トイレ…か?」

唯「…」

唯は答えない。



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:41:21.33 ID:CeVfSM5f0

唯はそのまま、澪のベッドの横にしかれた布団に
頭まですっぽりと包まってしまう。

澪「唯?」

唯は答えない。



212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:47:26.68 ID:CeVfSM5f0

翌日の唯も口数は少ないままだった。

澪が律にそのことについて漏らす。

律「ここ一週間ぐらい、
  様子がおかしいといえばそうだったような…」

澪「悩み、かな?」

律「かもな…」

律「よし!」



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:56:24.19 ID:CeVfSM5f0

唯は秋山家の縁側で、ぼーっと空を眺めている。

唯「ふぅ…」

律「よっこらしょっと、な。」

唯の横に腰を下ろす律。

律「唯よ…」

律が突然、そう切り出す。

律「オトコか?」

唯「…」

唯「え…?」



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 18:58:28.24 ID:CeVfSM5f0

律「成績か?友達か?ギターの技量のことか?」

唯「えっとね…話がよくわかんない…」

律「あーー!!もうっ!!」

律「最近お前がおかしいから、それについて心配してんだよ!!」

ぶっちゃける律。



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:05:09.97 ID:CeVfSM5f0

唯「!!」

唯「そっか…」

唯は律に顔を向ける。

唯「わたし、自分ことばっかり考えてたね。」

律「は、はい??」

唯「うん。」

律「唯さん??」

唯「うん、うん。」

律「…」



216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:11:14.92 ID:CeVfSM5f0

そして、日は落ち宵闇の中-

唯「天上のノモス-」

唯「教えてくれる…?」

『ええ、そのつもりよ。』

『…聞きなさい。』



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:15:08.65 ID:CeVfSM5f0

『明後日はクリスマス。イエスの誕生日とされた日。』

『≪救世主の心持つ皇帝≫という造語があるわ。』

『地上の神、とでも言えばよいのかしら。つまり…』

『人間の進歩ないし進化をいっそう進めることによって、
 人間の社会がましなものになる、ということだけれど…』

『これがもし実現するというのなら、いったいどのくらいの人間が
 そのための人柱にならなければならないんでしょう?』



219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:22:01.04 ID:CeVfSM5f0

『≪天上のノモス≫は、大地からの飛翔では無いし、
 また、大地を這うことが悪しきことでもない。』

『≪天上のノモス≫は、数数多(あまた)における調和。
 天上の音楽のこと。』

『楽器を演奏するあなたならわかるでしょう?
 多くの音源と声音が一つの楽曲を形作る。』

『ある楽器とある楽器の音と音の結びつき。
 あるフレーズと別のフレーズの結びつき。』

『変奏、変調さえも楽曲の調和の材料となる。』



221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:30:36.77 ID:CeVfSM5f0

『狂おしいほどの生の追求によっても、理性の冷徹な支配によっても、
 悪は克服されない。
 悪を迷信としたり、認識的な間違いとしたりすることは
 結局、遠近法的な逃避でしかない。』

『ゆい、ムーサとなり調和のために尽くしてごらんなさい。』

唯「私に、できるかな…」

『難しいことではないわ。あなたの人生の実現のうちで調和を進めなさい。
 何事においても最大の困難は、継続することにまつわる困難よ。』

『自然が隠れることを好み永遠に流転するけれど…』

『調和もまた、永遠に自然の諸物を他の諸物と結びつけることでしょう。』



223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:33:49.57 ID:CeVfSM5f0

紅い精霊はそういうと、ゆっくりと唯から離れていく。

『お別れが近いようね。』

『明日、生命の樹の下で…』

『あなたに生命の実をみせてあげましょう。』

そうい言い終えると、唯の前から姿を消した。

唯「ふぅ。」

唯は一息吐き出す。

唯「寝よっと♪」



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:36:34.53 ID:CeVfSM5f0

-エピローグ-

12月24日の夕刻、琴吹家にてクリスマスパーティを楽しむ唯達。

軽音部員達も憂も和も各々が気ままに楽しむ。

広場の中央にはあのクリスマスツリー。

唯はツリーへと近づく。



226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:40:52.93 ID:CeVfSM5f0

高さ3mほどのツリーには、典型的なクリスマス装飾で飾られ、
大きめのダイオードたちが、様々な色に輝いている。

しかし、目を凝らせどあの紅い光球の姿はない。

そのとき、唯の背後から声がする。

「生命の実を受け取りに来たようね。」

振り向けば、あの銀髪の女性。



227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:44:49.53 ID:CeVfSM5f0

唯「え…」

白銀「安心して、私はあの子の姉妹だから。」

唯「あの子…堀江さん?」

白銀「ホーリ…いえ、堀江でいいわ。」

なぜ人間であるこの女性とあの精霊が、≪姉妹≫なのだろうか?
しかし、唯はそのことについて問うてはいけないような気がした。



228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 19:50:55.31 ID:CeVfSM5f0

白銀「そろそろ時間かしら?」

白銀「お嬢さん、生命の樹の頂点を見てみなさい。」

言われるまま、唯がツリーの樹の天辺に目を向ける。

ツリーの頂点には球形の飾り球らしきものが設置されている。
その刹那、飾り球に紅い輝きが宿る。
そして、飾り球はゆっくりと下降をはじめた。

唯「え?」



229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:03:05.59 ID:CeVfSM5f0

白銀「両手を差し出して御覧なさい。」

唯は言われるまま、両手で"器"をつくる。
そして、飾り球が唯の手の内に収まる。

飾り球から紅い光が分たれる。
すると、瞬時にかたちを変え、淡い黄金色に輝きはじめる。
林檎とも柑橘類とも見分けのつかぬ、果物のような物体。

『それが≪生命の実≫。かつてはアンブロージアとも呼ばれた果実よ。』

紅い光球から、あの精霊の声が聞こえる。



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:10:34.50 ID:CeVfSM5f0

白銀「さる稀代の天才錬金術師が作り出した作品のなかでも
   特に傑出したものよ。大事に扱いなさぁい。」

紅い精霊は銀髪の女性のすぐ横に浮かんでいる。

『まあ、ゆいに任せるのだわ。
 ゆい、それをあなたにあげましょう。
 その生命の実は、人間の意志をどのようにでも具現化できるものよ。』

唯「…」

『どうしたの?』

唯「どうやって使うの?
  食べればいいのかな??」

『ふふ…好きなように、あなたの望むようにして頂戴。』



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:13:34.37 ID:CeVfSM5f0

唯「!!」

唯「じゃあ…」

唯は瞳を閉じる。
生命の実の輝きが黄金色から白銀色に変わり、
さっと、まばゆく光ったと思うと、唯の手の中から消えてしまった。

そして-



232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:16:04.24 ID:CeVfSM5f0

梓「!!」

梓「あっ!雪!ゆきですよっ!」

梓が上空からちらつき始めた粉雪に気がつく。

紬「ナイスタイミングね♪」

澪「♪~」

何やらノートに書き取り始める澪。



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:27:29.15 ID:CeVfSM5f0

律「ホワイトクリスマスねぇ…」

和「わたし、生まれて始めてだわ。」

憂「おねーーちゃん!雪だよっ!!」

少しはなれたところにいる憂が唯に呼びかける。

唯「うんっ!」

憂の方へと駆け出す唯。

白銀「もったいないことするわねぇ。
   不死にもなれる魔力を持つ果実だったのに。」

『あれでいいのだわ。ゆいは、それよりも…
 皆に喜んでもらえることを選んだのだから。』

クリスマスイブの日に、雪は一晩中、京都の街へと舞い散っていた。


ちなみに、年明けのテストで再びワースト10に入ってしまった唯と律が、
他の五人とともに、さわ子のいい性玩具(おもちゃ)にされたことは、また別のお話。



234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:30:12.54 ID:CeVfSM5f0

おしまい。
言い訳としては、錬金術や先鋭科学をもとにしたSSやラノベがあるのだから
倫理学をもとにしたそれがあってもいいだろと思って書いてみただけ。

最後に
津軽良いとこ一度はおいで




235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:31:59.21 ID:HoC6ZvDcO





236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:37:39.99 ID:lWDymd3N0

堀江野茂乙

無欲な唯ちゃん可愛い



237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/19(土) 20:41:28.31 ID:znRKiGaLO


あかい精霊→真紅
白銀→銀様
か?






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唯「天上のノモス!」#後編
[ 2011/08/30 20:35 ] 学問・古典・文学・哲学 | | CM(0)

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