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梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#6 【ホラー】


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梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#1
梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#2
梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#3
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梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#6
梓「学校中がゾンビだらけに……いったいどうすれば……」#7




38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 01:58:24.98 ID:w2BkvRYy0



唯「つ、ついたぁ。意外と距離があったね」

憂「うん。……でも、ここら辺にいるはずなんだけど」

唯「いる? 誰がいるの?」

憂「う~んと、ここらへん。……あ、右にいるはず」

唯「右? ……あれ?」

憂「いた? お姉ちゃん」

唯「えぇとね、あそこで会った人がピラミッドの中にいるんだ!」

憂「あそこで……? あ、この人、お姉ちゃんと一緒に演奏した人だ!」

唯「ね? ……でも、どうしてここに居るんだろう。この中にいて狭くないのかな」

憂「ねぇ、お姉ちゃん。この人、私たちの後ろを指さしてるよ?」

唯「え?」


『          ウウウ!』


唯「うわぁ!」ザシュッ



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:03:54.77 ID:w2BkvRYy0

『ゥゥゥゥゥゥウウウウウウウ!』


憂「お姉ちゃん! 大丈夫だった!?」

唯「う、うん。この人が私の後ろを指さしていたから、何とか対処出来たよ」

憂「そうなんだ。もしかして、この人、アレが来る方向を教えてくれるのかな」

唯「それだったら、私の石太でやっつけられるね!」


憂「指さしてる方向は、……左だよ、お姉ちゃん!」

唯「おっけー憂! 行くよ、石太!」

カチッ
ドシュウウウウウウウゥゥゥッゥウウ

『ゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!』


唯「当たった!」

憂「やっぱり! お姉ちゃん、この調子で行くよ!」

唯「うん!」



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:11:14.74 ID:w2BkvRYy0

憂『あれは……ういえん! なんでお姉ちゃんが持ってるの!』

憂『あの時、確かに地中深くに埋めたはずなのに。……なんで』

憂『わからないことを考えても仕方がないね。
  さっきは偶然当たったみたいだけど、今度はそうはさせない』

憂『堕辰憂!』


『          !』



唯「憂が何か言ってたみたい」

憂「そうすると、きっと今までみたいに行かないかもしれないよ」

唯「大丈夫、この中の人の通りにすれば!」

憂「……あ、この人、今度は上を指してるけど」

唯「じゃあ上にいるんだね! ……えぇと」

唯「上にいる手きを攻撃するには、どうしたらいいのかな?」

憂「え、ええと……!?」


『       ウウウウウ!』



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:18:18.66 ID:w2BkvRYy0

唯「う、うわわわわ」ザッ

『ゥゥゥゥゥゥ         !』

憂「お姉ちゃん!」

唯「だ、大丈夫。和ちゃんから貰った刀で何とかなったけど……」

憂「でも、また上から来たら。……う、上から来るみたい!」

唯「ええぇぇ? ど、どうしよう……!」


憂「あれ、お姉ちゃん。この人お姉ちゃんと同じものを持ってるよ?」

唯「え?」

憂「なんだろう、この部分を押せ、って言ってるのかな?」

唯「ううんと、この部分、かな。……あ、こんなところに別のボタンがあったよ!」

憂「その部分を押せばいいんじゃないかな」

唯「ええと、それじゃあ」ポチッ


ゴオオオオオオオォォォォ
ゴオオオオォォォォォォ
ヒュウウウゥゥゥゥウウウン!



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:24:50.34 ID:w2BkvRYy0

唯「うわあああ、上から青い火が沢山降ってきたあ!」

憂「す、凄い!」

ヒュウウウウゥゥゥウウウウン!
ヒュウウウウウウウウゥゥゥゥ!

唯「これが、石太の力なんだね」

憂「うん。……凄い」


『ゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ!』


憂「お姉ちゃん! 効いてるよ!」

唯「よおし、このまま……あれ?
  和ちゃんから貰った刀も青く光ってる……さっきの火が移ったのかな」

憂「お姉ちゃん!」

唯「うん! いまやるよ!」


唯「石太の火の力を受け継いだ、和ちゃんの刀! くらえええええ!」

ザヒュシュウウウウウウゥゥゥゥゥゥl!


『ゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!!』



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:31:28.60 ID:w2BkvRYy0



唯「……」

憂「……」

唯「……やったの?」

憂「……どうだろう。でも、首は、斬ったよね」

唯「う、うん」

憂「ど、どうしたの? 喜ばないの?」

唯「りっちゃんが言ってた。こういう時に喜ぶのはふらぐだって!」

憂「う、うん。……それじゃあ暫く様子を見て。……え?」

唯「あ、中の人。バッチグーってやってるよ」

憂「……それって、つまり……」



唯「勝ったんだああああ! やったああ!」

憂「お、おめでとう! お姉ちゃん!」


『……』グッ



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:40:10.56 ID:w2BkvRYy0

唯「あ、中の人! 中の人も喜んでるんだね! それにお祝いの言葉まで貰っちゃって!」

憂「うん。この人が居なかったら、私たちどうなってたかわからないね。
  ……でも、中の人っていうのはやめた方がいいと思うよ」

唯「ほえ、なんで?」

憂「い、いや。なんとなくだけど」




憂『……堕辰憂が、負けた?』

憂『ううん。負けたなんてものじゃなくて、滅びた。……かぁ』

憂『なんで……? 途中からおかしかった。
  お姉ちゃん達はまるで堕辰憂が何処にいるかわかってたみたいだった』

憂『おかしい。……憂ちゃんが私の心をジャックできないようにって、ガードをかけてあったはず』

憂『私の視界もジャックさせなかった。……それじゃあ誰の目を通して堕辰憂を見たの?』

憂『……ピラミッド? それを通してみたの? まさか、それにはそんな機能はないはず』


唯「あ、憂がこっちに来る!」

憂「お、お姉ちゃん」

唯「大丈夫、憂は私が守ってあげるから」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:47:32.00 ID:w2BkvRYy0

憂『……お姉ちゃん、おめでとう。……っていうべきかな』

唯「おお、まさかほめてくれるなんて~」

憂「……大分悔しそうですね」

憂「当たり前。……堕辰憂が倒されるなんて思わなかったんだもん。……結構悔しいよ」

憂『そしてそれ以上に憎らしいよ。また、この手でも殺せなかったなんて』

唯「……!」

憂『……でも、私自身じゃお姉ちゃん達を倒すことはできない、から』

憂「何を……する気なんですか」

憂『お姉ちゃんが呼んでた漫画にね、
  負けるくらいなら体がどうなってもいい、っていう敵が居たんだ』

憂『その時は、その敵の考えが理解できなかったけど、今ならわかる』

憂『……今なら、わかるんだ』


ドシュッ


唯「……な!」

憂「じ、自分の体を、包丁で刺してる!?」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 02:54:16.50 ID:w2BkvRYy0

憂『うう……いたいよ、お姉ちゃん』

唯「う、憂! 何をやってるの!」

憂『ふ、ふふふ。……ねぇ堕辰憂。首が取れちゃったけど生きようと思えば生きられるよね』

憂『ここで死ぬなんて嫌だよね。
  あなたは天から落とされた子、竜からも見放されたかわいそうな子』

憂『こんなところで死にたくないでしょう? それなら、私の血をあげる』

憂『私の一番大切な部分の血をあげる。……だから、生き返って』


憂『生き返って、お姉ちゃん達を殺してぇ!』


『         ウウウウ       』

『    ゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!』


唯「い、……生き返っちゃった…」

憂「お姉ちゃん! 危ない!」ダッ

ドスッ

憂「い……っ!」

唯「憂!」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:03:04.60 ID:w2BkvRYy0

唯「さ、さっきまでより早い! どうしてこんな早く!」

憂『私の……血を浸したからだよ。……もうだめ、お姉ちゃん達は堕辰憂に殺されるんだ』

憂『私の大事なお姉ちゃん。手を伸ばしても届かないお姉ちゃん。……私のものじゃないお姉ちゃん』

憂『私から全部奪った世界。私を見捨てた世界。……そんなの、もうどうでもいい』

憂『とりあえず今は。……目の前のお姉ちゃんだけ、殺せればいいや……』トサッ


唯「憂!」

唯(どうしよう、どっちの憂もこのままじゃ死んじゃうよ!)

唯「どうしよう、どうしようどうしよう!」

『ゥゥゥゥゥゥゥウウウウ!』
ドスッ

唯「きゃあ!」ガンッ


唯「う、うう。動きが早いから刀も石太も上手く当てれそうにないや。……どうしよう」


『……そうだねぇ、このままじゃちょっと危ないかもねぇ』

唯「……誰?」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:09:51.19 ID:w2BkvRYy0

『あ、もしかして私の声が聞こえてるの?』

唯「う、うん。え? 誰?」

『よかったあ。憂にしか聞こえてないから。このままじゃ寂しいなあって思ってたんだ』

唯「憂? ……えっと、もしかして中の人!?」

『うん。そうだよ。……いや~、あの時の演奏は上手だったよね~』

唯「いやいやそんな~。中の人も上手だったよ~」

『あはは、自画自賛だね』

唯「ほぇ?」

『それよりも、今はアレを倒すことの方が先決でしょ』

唯「うん。……でも、どうやって」

『そのことなんだけど、アレは実はよく見ると、
 単純に早くなっただけの堕辰憂じゃないってことがわかるんだ』

唯「早くなっただけじゃないの?」

『うん。あの速度で憂にぶつかったら多少なり凹むと思うんだけど、
 それがないってことは、防御力も高いみたい』

唯「そんな……」

『だけど、多分ういえんなら効くと思うよ』



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:14:49.09 ID:w2BkvRYy0

唯「ういえん?」

『えっと、石太の事だよ』

唯「おお、石太! やっぱりやればできる子だったんだね」

『でも、闇雲に撃ったんじゃ逃げられると思う。だから』

唯「何か策を考えないといけないんだね」

『……ううん、実はもう考えてあるんだよ』

唯「え?」

『いい、今から私の言うとおりに動いてね』


唯「……」

『ゥゥゥゥゥウウウウウウ!』

唯「来た……!」


『なるべくここから離れたところ。
 ……周りが全部平坦なところがいいかな。そこに立っていてね』


唯「えぇい! くらええええ!」

カチッ



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:20:43.46 ID:w2BkvRYy0

『そしたら、自分の向いてる方向の後ろに石太を放って。
 ……そうしたら多分、当たると思うから』


『ッゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ!』


唯「当たった!」

『やったね。私の予想通りだよ! さぁ、今度こそ!』

唯「うん。……もう、今度こそ復活しないように!」

唯「まっぷたつだよ!」


スパッ



『ゥ       ウウウウ……』

『ウウウウウウウウウウウウ……』


シュウウウウウウゥゥゥゥゥ


唯「……堕辰憂が」

『消えていく。……これでいいんだよ。これで』



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:28:22.41 ID:w2BkvRYy0



唯「……そうだ、憂は!」

『……多分大丈夫だよ、どっちもまだ息がある。……でも』

唯「こっちの憂は大丈夫みたい。……でも、こっちの血を流してる方は」

『……もう、無理、かな』

唯「そんなことないよ! きっと、なんとかなるよ!」

『いいんだよ。きっと、憂も、生きてるよりも死んだほうがいいんだ』

唯「よくないよ!」

『……』


唯「だって、死んだって何もいいことないよ!
  演奏もできないし、美味しいものも食べられないし! ゴロゴロもできないんだよ!」


『じゃあ、どうすればいいの!?』

唯「それは……」


憂『……ああ、そうか。……私の血を浸した堕辰憂でも、……負けちゃったんだ』

唯「憂!」



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:35:10.02 ID:w2BkvRYy0

憂『あーあ。……あんなに頑張ったのに。
  ……でも、最後の結末だけは見て無いから、しょうがないか』

憂『でも、私が今ここにいるってことは、結局そういうことなんだよね』

唯「憂?」

憂『お姉ちゃん、覚えておいて。……この惨劇は、また起きる。……ふふ、また起きるんだよ』

唯「な、何を言って」

憂『だって、そういう風になっちゃってるんだもん。
  私の前も、その前も、その前も。……皆ずっと繰り返してきたこと』

憂『さようなら、お姉ちゃん。
  私はここで死んじゃうけど、きっとこの後、お姉ちゃんはずっと苦しみ続ける』

憂『いい気味。……だなぁ』

唯「憂? どういう事!? ねぇ憂!」

憂『変わらないんだよ。私を倒しても、そこにいる憂ちゃんが同じことを繰り返すから、ねぇ』



「そういうことをさせないために、私たちが頑張ったんじゃない」



唯「さ、さわちゃん先生!」

さわ子「やっほ、唯ちゃん。……とく頑張ったわね」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:42:11.73 ID:w2BkvRYy0

唯「とく?」

さわ子「よく」


憂『今更、何しに現れたんですか』

さわ子「つれないわねぇ。……はい」

憂『これは……?』

さわ子「見て分からない? 一応の治療道具を持ってきたんだけど」

憂『いりません』

さわ子「まぁ、そういわずに。……はい」

憂『やめて! このまま私を』

さわ子「ダメなの。……唯ちゃんとの約束だしね」

唯「え? 私?」

さわ子「違う違う。未来の唯ちゃんとの、ね」

唯「え? 未来?」

さわ子「ああ、唯ちゃんにも話してなかったんだっけ。
    ……と、そっちの憂ちゃんも手当してあげないと」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:48:56.46 ID:w2BkvRYy0



さわ子「さ、これでよし。と」

憂「……」

唯「憂、大丈夫?」

さわ子「ええ、打撲だけだったから、そんなに心配しなくていいわ」

憂『……』

さわ子「そんなに睨まないでよ」

憂『何を、したいんですか。何でこんなところにいるんですか』

さわ子「そうね。……それじゃ、ま。向こうに戻った後から話しましょうか?」




さわ子「羽生蛇村。かつて、その村では大量失踪者が出たって事で、
    その手のマニアには有名になった話しね」

澪「た、大量失踪!?」

紬「ええ。……お父様も、それに興味を持っていましたわ。
  ……その羽生蛇村、というのが、私のお母様の故郷でもあったから」

律「え!? ってことは、ムギのお母さんはムギん家に失踪したってことか!?」

澪「何をいってるんだお前は」



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 03:57:45.92 ID:w2BkvRYy0

紬「……ともかく、そのことがあって、お母様の誕生日だったあの日、お父様は羽生蛇村へと出かけました」

さわ子「ところが、その日、またもや羽生蛇村で失踪事件がお来たのよ」

さわ子「いなくなったのは、ムギのお父さんとSPが何人か、それと当時まだ小学校を出たばかりの少女だった」

澪「少女?」

さわ子「何でも、以前一回失踪事件に巻き込まれて、ただ一人だけ生還した少女らしいけどね」

律「ふ~ん」

紬「お父様が失踪したその日から、私の家では大騒ぎでした。……むりもないですよね」

梓「それは、だって頭首……というか、そんな感じの人が失踪したってことは大事件ですからね」

紬「ええ。幸い、圧力をかけてマスコミには報道させませんでしたけど」

澪「……すごいな」

律「それで、結局お父さんは帰ってきたんだろ?」

紬「はい。……嵐が酷い晩に、傘もささず、一人で戸を叩いて」

紬「異様な光景でした。……まるで、お父様一人だけ悪夢を見ているような、そんな顔で」

紬「私を見るなり、言ったんです。『私が居なかった間のことは全て忘れろ』と」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 04:03:01.80 ID:w2BkvRYy0

紬「その他にも、前述した通りのことなどを言われました」

澪「一体、何があったんだ?」

紬「……わかりません。ですから、先生! 教えてください、その日、何があったのかを!」

さわ子「わかったわ、私の知ってる限りで、だけどね」

紬「ありがとうございます」





唯「あ、そういえば、あれを倒したから、その話聞けるんだよね」

憂『……ああ、そういえば、そんなこと言った気もするな』

唯「教えて、何があったの?」

憂『……あれはね、私が過去に戻って、結構たったある日の話だよ』



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 17:53:28.04 ID:w2BkvRYy0

さわ子「ある日、憂ちゃんが目覚めると周りが見知らぬ森の中だったそうよ」

さわ子「それで、心細くなって歩いていたら一人の男性に出会った」

さわ子「結果から言うと、その男性がムギちゃんのお父さんだったらしいんだけど」

さわ子「結局そこが羽生蛇村だったらしく、今のこの街と同じような状況だったらしいわね」

さわ子「まぁ、結局何だかんだあってムギちゃんのお父さんと憂ちゃんは助かって、
    ういえんを地中深くに埋めてお父さんは帰ってきたってわけ」




澪「……え? それで終わりですか」

さわ子「終わりだけど……? え、何? ダメだった?」

律「駄目って言うか。……びっくりするほど短かったな」

梓「重要なところを『なんだかんだ』で済ませましたよね。……知らない名前まで出てきたし」

さわ子「だって私だってそこまで詳しく聞いたわけじゃないもん!
    なんか急に憂ちゃんが昔の話をしだしたときに断片的に聞いただけで」

紬「……な、なんだかんだ」

律「ほら、ムギが落ち込んじゃったじゃないか!」

さわ子「ええぇえ!? じゃ、じゃあどうすればいいのよ! 私これ以上しらないわよ!?」

和「じゃあ直接行って聞いてくればいいじゃないですか」



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:08:37.89 ID:w2BkvRYy0

さわ子「ちょ、直接行くって言われても……あの世界行こうと思っていけるわけじゃないのよ」

和「気合を出しなさい」

さわ子「それで行けたらこんな苦労はしてないわよ!」

澪「そもそも、あの世界って何なんですか?」

さわ子「何か、憂ちゃんが羽生蛇村に言ったときに見つけた世界らしいけど、詳しくは知らないわね」

和「はぁ……」

さわ子「あの、露骨なまでにため息つかないでくれるかしら」

和「申し訳ございません」

さわ子「し、視線がいたい……!」


紬「そ、そういえば、お父様がこの騒ぎが起こる直前に、電話をしていましたけど!」

さわ子「ああ、それは多分憂ちゃんね」

和「何でもかんでも憂ちゃんなのね」

さわ子「仕方ないじゃない。これは憂ちゃんの恨みが招き起こしたことだもの。
    私たちはその補佐をしただけに過ぎないわ」

澪「それで、その電話の内容は……」

紬「大方、予想はつきますけど……」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:16:46.57 ID:w2BkvRYy0

さわ子「この計画は、ムギちゃんのお父さんの協力を元に、私と憂ちゃんで作っていたものなのよ」

律「こんだけのことをたった二人でやってたのかよ」

さわ子「まぁ、ムギちゃん家の協力は凄まじいものがあったからね」

紬「でも、なんでお父様はその計画に協力したのですか?」

さわ子「憂ちゃんと面識があったと言うのが一つ、
    一緒の怪異を経験したと言うのが一つ。あとは脅迫じみたこともしたらしいけど」

梓「脅迫ですか!?」





憂『うん。……もしも協力しなかったのなら、娘さんをあの山奥に放置しますよ、ってね』

唯「そ、そんなこと言ったの!? ムギちゃんのお父さんに!?」

憂『他にも色々言ったけど、この一言が一番効いたみたいだね、
  母親についで娘まで失いたくなかった……ってところかな』

唯「憂! そういうこと言っちゃだめだよ!」

憂『駄目って言われてもね、もう言っちゃったし』

唯「あ、そうか。……えっと、じゃあ、これからはそういうこと言っちゃだめだからね!」

さわ子「なんだか間の抜けた会話ねぇ」



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:26:09.89 ID:w2BkvRYy0

憂『……知りたかった最後が、こんなふうに終わるなんて、わかっていたけど寂しいなぁ』

唯「最後?」

憂『そ、さいご。……だって私はこの時ずっと寝ていたから。
  ……最後がどんなふうになるか知らなかったんだ』

さわ子「……そうね、私も、最後がどうなるかはわからなかった」

憂『でしょう? ……まぁ、皆に一泡吹かせたからいいかなぁ』

さわ子「そうかしら? むしろ、私はあなたがずっと泡吹いていたように見えたけど」

憂『何が……?』

さわ子「憂ちゃん。あなたはずっと自分のことしか考えていなかった。そうでしょう?」

憂『それが、何か?』

さわ子「だから、あなたは他人が向ける自分への慕情に気がついていないのよ」

憂『な、何を言って……!』

さわ子「唯ちゃん。……きっとあなたなら会ったはず。あなたにそっくりな黒い影を」

唯「黒い影? ……えっと、あ! もしかして中の人のこと?」

さわ子「な、中の人かどうかはわからないけど、多分それで合ってると思うわ」

憂『中の人?』



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:35:41.51 ID:w2BkvRYy0

唯「うん! ……えっと、たしかそこにいるはず。あ、いたいた!」

憂『……なっ、何でこの中に人が!?』

さわ子「その人影、よく見てみなさい。誰かに似てるとおもわない?」

憂『……! お、お姉、ちゃん……!』


唯「え? 私?」

『違う違う。私のことを言ってるんだよ』

唯「おお、中の人にも妹さんがいたんだね」

『うん。ほら、そこにいるでしょう?』

唯「……あれ? あれは憂だよ」

『だから、憂のお姉ちゃんなんだって』

唯「? 憂のお姉ちゃんは私だよ?」

『え? 私だって憂のお姉ちゃんだもん』

唯「……?」

『……?』

さわ子「はいはい、変な話し合いしないのそこ!」



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:44:17.16 ID:w2BkvRYy0

憂『……こ、これはどういうことなんですか!』

さわ子「あのね。あなたが一人過去に取り残されてるのに、
    私たちが何にもしないなんて本気で思っていたの?」

憂『そ、それは……!』

さわ子「確かに、タイムマシンは壊れてしまったし、あなたの血も現代には残っていなかった。でもね」

さわ子「それでも私たちは、一生懸命になってあなたを探そうと頑張ったのよ」

さわ子「その中で一番頑張ったのは誰だと思う? ……わかるでしょう?」

憂『……お姉ちゃん』

さわ子「そう、だってあんたのお姉ちゃんだから、周りから見たらいつ倒れるか心配だったわよ」



唯「なんだか、話に付いていけないんですが」

『う~ん、まぁ。単純に言ってしまえばね、私も憂を助けるために頑張ったってことなんだよ!』

唯「おお~、やっぱり中の人も憂を心配してくれたんだね」

『まぁ、私の妹だしね』

唯「だから私の」

さわ子「変な話し合いを再開させないの!」



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 18:53:30.46 ID:w2BkvRYy0

憂『でも、どうやってここに……私は呼んでないですよ、お姉ちゃんなんて』

唯「え? でも私はここにいるよ」

さわ子「えっとね、つまりここに唯ちゃんが二人いるってことなのよ」

唯「おお、私が二人も!」

『そう! 最初からそう言えばよかったんだぁ』

唯「え? と言うことは、中の人は平沢唯なの?」

『そう、私の名前は平沢唯だよ!』

唯「おお、初めまして、平沢唯と申します」

『御丁寧にありがとうございます。私の名前は平沢唯と』

さわ子「ええい! さっきから漫才してるんじゃないわよ! 話進まないでしょう!?」

唯「おお!」


憂『それに……そのピラミッドの中にどうやって?』

さわ子「……その前の質問。
    何故ここに居るか? ということの答えくらいはわかるんじゃないかしら」

憂『ここに、何でいるか。……それは、私が呼んだから』

さわ子「それ以外に、ここに来る方法はあるでしょう?」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:04:37.85 ID:w2BkvRYy0

憂『ま、まさか……!』


憂『行ったの!? お姉ちゃん! あの村に!』


『……うん。どうしても憂に会いたかったから』

憂『お、お姉ちゃんの声……!』

『あ、やっと聞こえたんだ。困ったよ~、ずっと私は喋っているのに、いっつも憂は無視するんだもん』

憂『え? ……お姉ちゃんの声、今はじめて聞いたよ』

唯「……?」

さわ子「だから、あなたは自分のことしか考えてない、って言ったのよ」

憂『……い、いつからそこにいたの!?』

『う~ん、憶えてないかなぁ。でも、つい最近だった気もするかな』

さわ子「嘘を言わないの。少なくとも10年以上はそこにいるでしょう? あなた」

憂『じゅ……!』

『それでも、憂が一人ぼっちだった期間を考えると短いよ』

憂『そんな……』



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:15:39.43 ID:w2BkvRYy0

唯「えぇと、私としてはさっきから何を話してるかわからないところなんですけど~」

さわ子「ああ、そうだった。すっかり忘れてた」

唯「も~、さわちゃん先生ひどいよ~」

『相変わらずなんだね~』

さわ子「相変わらずって何よ。
    ……まぁつまりね、私達としてはなんとしてでも憂ちゃんを助けたかったのよ」





澪「そもそも、なんで先生はタイムマシンなんて作ったんですか?」

さわ子「う~ん、……ムギちゃん、説明してもらっていいかしら?」

紬「はい。……単純に言うと、昔の彼氏さんに会いたかったんです」

律「お~、初恋の味が未だに忘れられなかったんだな」

さわ子「う、うるさいわね。……いいじゃないそれくらい」

梓「顔が赤くなりました!」

和「恋する女の子の表情ね」

さわ子「そう! 女の子なのよ」    和「……」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:24:37.90 ID:w2BkvRYy0

澪「そ、そうだな。女の子だな」

律「う、うん。女の子だな」

梓「女の子はいつだって恋する乙女ですもんね」

紬「うふふ」

和「……」

さわ子「その、乾いた感想やめて欲しいんだけど。
    和ちゃんに至ってはさっきからじっと見てくるし」

さわ子「ともかく!
    そんなこんなでタイムマシンを作った私が過去に行って初恋と結ばれました終わり!」

澪「いや、まだ始まった段階……」

さわ子「だって皆していじめてくるんだもん!」

和「いい歳した大人が何を言ってるんですか」

さわ子「女の子だもん!」

和「……」

紬「ほら先生。お茶とお菓子ありますよ」

さわ子「それじゃさっきの続きから話すわね~」

澪「軽っ!」



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:34:51.64 ID:w2BkvRYy0

さわ子「まぁ、私の性格上、けいおん部の皆にタイムマシン作ったことを自慢しに行ったのよ」

和「彼氏ができたこと、の間違いじゃなくて?」

さわ子「や~ん、そんなこと言わないでよ~」

和「……」


律「和……さわちゃんに彼氏のこと言うのはやめた方がいいと思うぞ」ヒソヒソ

和「そうね。……そうするわ」ヒソヒソ


さわ子「まぁそういうわけで、皆に言いふらしたら、当然唯ちゃんは憂ちゃんにも言うわけよ」

さわ子「そしたら、憂ちゃんが子供の頃のお姉ちゃんを見に行きたい、って言い出してね」

梓「もしかして、それで……」

さわ子「ええ、憂ちゃんは過去に行ったっきり、戻ってくることができなくなってしまった」

澪「……」

さわ子「そもそもね、私たちはこの災害を経験したのに、
    なんで憂ちゃんを一人で過去に行かせたのか。……そう思うでしょう?」

和「まぁ、結局それがなければこんなことは起きなかったわけですし、
  原因も分かっているのにそんなことをさせる意味がわかりません」

さわ子「そうね。……結果から言うと、忘れていたのよ」



106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:43:40.30 ID:w2BkvRYy0

和「歯を食いしば」

さわ子「だーかーらー! こういう時は最後までちゃんと話を聞きなさいっての!」

律「お、落ち着け和! こんなところで撃ったら私たちまで巻き込まれるぞ!」

和「大丈夫、貫通しないようにするから」

さわ子「怖すぎるわよ!」


さわ子「はぁ、はぁ。……つ、つまりね、あの騒動の最後って、
    憂ちゃんが死んであの世界が崩れ、変な光が私たちを包んで終わり、って感じなんだけど」

さわ子「その光りに包まれた瞬間、皆今回の出来事の重要な部分を忘れちゃったのよ」

さわ子「そういうわけで私たちが忘れてたのも無理はないでしょう?」

和「……今、さらっと大変なこと言わなかった?」

梓「う……憂が死ぬ?」

さわ子「……やば、つい言っちゃったじゃない」

律「ど、どういう事だよ!」

さわ子「……はぁ。あのね、これはあんまり言いたく無かったんだけど」

さわ子「結局憂ちゃんを追い詰めた私たちは、追い詰めたせいで憂ちゃんは自殺しちゃうの」

さわ子「あの空間は憂ちゃんが作り出したものだから、憂ちゃんが死ぬと同時にあの空間もなくなるわけよ」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 19:53:34.38 ID:w2BkvRYy0

律「こ、ここに来て衝撃の事実が次々と!」

澪「物語終盤にありがちな実はこうでしたっていう展開ですか!」

さわ子「あなた達傍から見てて本当に仲がいいわよね~」

紬「ええ本当に。……私としては、これよりもっと仲がよくなってくれた方が」

和「ムギはいっつも他人のことばかりで、自分がそうなることを考えてないわよね」

紬「私は……見るだけで充分ですから」

和「恥ずかしいの?」

紬「……、すこし」

梓「おお、ムギ先輩の頬も紅いです」

紬「……」カァ

さわ子「はいはい、そこまででいいかしら?」

さわ子「それで、憂ちゃんが過去に行って戻れなくなった後、私たちは一斉に記憶を取り戻したのよ」

さわ子「今思えば、記憶をなくしたのも、
    取り返しが付かない状況下で思い出したのも、全部憂ちゃんの怨念だったのかもね」

さわ子「まぁ、そういうわけで、私たちは必死になって憂ちゃんを助けようと頑張った」

さわ子「だって、このままじゃ憂ちゃんが死んでしまうのが確定してしまうから。
    ……それだけは、なんとしてでも避けたかったの」



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:04:19.80 ID:w2BkvRYy0

紬「それで、結局どうなったんですか?」

さわ子「……そうね、正直。何もできなかったわ」

律「そんな……!」

さわ子「タイムマシンは元に戻らなかったし、皆の力をもってしてもどうにもならなかった」

さわ子「しばらくして、このバッヂだけが直ったの。
    それを聞いた皆は、私に思い思いのものを持たせてくれたの」

さわ子「和ちゃんに渡した焔真鍋も、その一つよ」

和「……そうなんですか」

さわ子「まぁ、それで私は過去に戻ったんだけれど、
    何故か行こうとした時間とのズレが発生してね、
    結局、憂ちゃんがそっちに行ってから数十年たった日についちゃったの」

梓「そ、それも……憂と何か関係が?」

さわ子「まぁね。憂ちゃん自身が時を越えて戻れなくなったのは
    その血のせいだけど、私のことは、やっぱり怨念かなぁ」


澪「……」

律「いや、だから大丈夫だから、大丈夫だって」

澪「……」

梓「澪先輩、怨念って言葉にも弱いんですか」

律「さっきも耳塞いでたからな……」



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:13:19.05 ID:w2BkvRYy0

さわ子「そんな中ね、どうしても憂を助けたいって言った子がいるのよ。
    ……誰だかわかるでしょう?」

和「唯ね」

律「唯だな」

梓「唯先輩ですね」

紬「唯ちゃんね」

澪「……」

律「もう怨念って言ってないから耳から手を離せ!」

さわ子「まぁ、皆の予想通り、唯ちゃんだったのよ。
    でもね、やっぱり唯ちゃんにもどうすればいいかわからなかったんだって」

和「それは、そうよ。……ムギや澪が考えてどうにもならないなら、厳しいでしょうけど……」

さわ子「ええ。……でもね、そんな中、唯ちゃんが言ったの」

『私、憂の所にいってくる!』





唯「え? 憂の事を助けたいのに、憂の所に行けないかったんじゃないの?」

さわ子「えぇ、だけどね、唯ちゃん。ムギちゃんの話を聞いた途端にそう言い出したのよ」



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:21:39.36 ID:w2BkvRYy0

憂『それで……羽生蛇村に、行ったんだね』

『うん。……でも、何処にあるかよくわからなかったから、何回も道に迷っちゃった』

憂『そのまま、ずっと迷ってればよかったのに』

『本当だよね~。……でも、ちゃんと見つけることが出来たよ』

憂『それで、どうしてずっとそんなところにいるの? ……こっちに出てくればいいのに』

『……』

さわ子「それが、そうできないのよ」

憂『できない?』

さわ子「ええ。……唯ちゃんはね、永遠に影の世界でしか生きられなくなったのよ」


唯「えぇ!? それじゃあ、こっちにこれないの!?」

『うん。……まぁ、こっちにいるとね、
 食べたり寝たりしなくてもいいようになったから、便利って言えば便利なんだけどね』

唯「でも、アイス食べられなくなっちゃうじゃん!」

『それが唯一の不満点なんだよね~』

憂『で、出られないって……! どういうことなの、お姉ちゃん!』

さわ子「……話してあげたら?」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:33:17.91 ID:w2BkvRYy0

『……私がね、羽生蛇村についたときは、そこは普通の廃村だったんだ』

『でも、その真ん中の方に、でっかい建物があったんだよ』

憂『屍人の巣……』

『そう言うんだ。……よくわからないけど、憂の手がかりを探しに、そこの中に入っていったんだ』

『その、一番奥深いところ。そこに変なものがあったんだ』

唯「変なもの?」

『うん。……唯ちゃんがういえんを見つけた場所、覚えてる?』

唯「うん」

『あれのボタンを押す前のに似てるかなぁ。
 ……そういう風に作って欲しいって、さわちゃん先生に頼んだから』

さわ子「資料も無しに作ったから、合ってるかどうかはわからないけどね」

『大丈夫、さわちゃん先生ならきっと上手く再現できてると思うよ』

憂『……祭壇』

唯「裁断?」

憂『祭壇、ね。……あそこで、昔誰かが人柱になったって聞いたけど』

『うん。……そこに落ちてあった古い本にね、同じことが書いてあったよ』



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:43:29.88 ID:w2BkvRYy0

唯「同じ……ってことは、ひとばしらになるってお話?」

『うん。だから、私は、それと同じことをしようとしたんだ』

憂『……なっ! 何を言ってるのお姉ちゃん!』

『だって、そうすれば憂に会えるんだろうなぁ、って思ったから』

憂『自分が何をやったかわかってるの!?』

『何って……憂に会いに来ただけだよ』



唯「さわちゃん先生。ひとばしらって何?」

さわ子「う~ん、簡単に言ってしまうと生贄、かなぁ」

唯「生贄。……てことは、えぇと、もしかして」

さわ子「ええ。……唯ちゃんは、そこで死んだのよ」


憂『お姉ちゃん! 今死んでるんだよ! ……どうして、自分の命を捨ててまで……!』

『だって、憂に会いたかったんだもん』

憂『……お姉ちゃん、お姉ちゃん……!』



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 20:52:07.66 ID:w2BkvRYy0

唯「ってことは、唯ちゃんはもう死んじゃってるの!?」

『え~、でも私こうして喋ってるじゃん』

唯「あ、そうか。な~んだ」

憂『……いいわけないよ。だって、お姉ちゃん、そうなるのにも苦労したでしょう?
  そうなってからも苦労したでしょう?』

唯「えっと、……ひとばしらって、どうやってやったの?」


『う~んとね、まず祭壇に寝転がって、自分の体を火で焼いたんだ』


唯「えええ!?」

さわ子「そ、そんなことしてたの!?」

『うん。……最初は熱かったけれど、こうすれば憂に会えるって思ったら、そんなには』

憂『苦しくない訳ないじゃない!
  そんなことお姉ちゃんがしたら! すぐ泣き言をいって……私の名前を……呼ぶんだから』

『えへへ、見透かされちゃってたんだ。……うん、憂の名前、何度も叫んじゃった』

『でも、そのおかげで、憂に会うことができたんだから、やって良かったんだよ……』

憂『よくないよ! よくないよそんなの! ……もしもそれで私に会えなかったらどうするつもりだったの!?』

憂『それに、上手くこの世界に来れたとしても、
  私がここに来るまでどれだけの時間がかかるかわからないでしょう!?』



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:00:51.13 ID:w2BkvRYy0

『う~ん。でも割とすぐ憂には会えたよ!』

憂『え? ……で、でも、私はお姉ちゃんに……』

さわ子「……」

憂『あ……。そう、か。……そうだったんだ。私、お姉ちゃんの声、聞こえてなかったんだ』

憂『ううん。聞こえなかったんじゃない、聞こうとしなかったんだ』


さわ子「目の前に大好きな相手がいるのに、その人と触れ合うことは疎か、会話さえできない悲しみ」

さわ子「それは、あなたにもわかるでしょう? 憂ちゃん」


憂『……ずっと、ずっと側にいてくれたんだね、お姉ちゃん……!』

『だって、ずっと側にいるって、約束したんだもん! お姉ちゃんだからね、約束は守らなくちゃ!』

憂『うん。……うん! ありがとう、お姉ちゃん……!』



唯「……でも、このままじゃ、中の人は」

さわ子「そうね。……ずっと影の世界にいなければならないのだから。……ある意味、死ぬより酷い結果なのよ」

憂『そんな! 駄目だよお姉ちゃん! せっかく会えたのに……!』



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:09:47.87 ID:w2BkvRYy0

『う~ん、でも。私は憂に会えたし、会話もできたから、満足かなぁ』

憂『わ、私が満足できないの!』


さわ子「今のセリフ、ムギちゃんが聞いたら卒倒しそうね」

唯「?」


憂『とにかく、何か方法はないの!?』

『ない、かなぁ。そもそも、私の体って全部燃えちゃったから、どう仕様も無いしね』

憂『そ、そんなことないよ! 何か絶対、方法が。……そ、そうだ、私の血をかければきっと何とか』

さわ子「やめて起きなさい。あなた、さっき大量の血を流したでしょう?
    その状態でやったら死んじゃうわよ」

憂『構いません! お姉ちゃんを救うためなら……!』

『だめだよ、憂。私のことはいいから』

憂『よくないよ! 痛っ……!』

さわ子「ほら見なさい! 血が出てるとこを包帯とかそういうもので当てただけなんだから」

憂『この……! どうして、どうしてこんな時に限って……!』

『憂……』



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:19:08.07 ID:w2BkvRYy0

さわ子「唯ちゃん、あなた言ったわよね、『憂に会えるためなら何でもする』って」

『……うん』

さわ子「それで、憂ちゃんに会えた。……でも、本当にこれで良かったの?」

『……』

憂『そ、そうだ。私がずっとここで暮らせば』

さわ子「あなたは人間だから、お腹もすくし眠くもなるでしょう?」

憂『て、定期的に先生から食べ物を送ってもらえれば』

さわ子「はぁ、……あのねぇ、そんなことしても根本的な解決にはならないでしょう?」

さわ子「あなたは唯ちゃんと触れ合うことができないんだから、
    そのうち、いつか不満が爆発するわよ」

憂『そ、そんなこと……!』

さわ子「無い、とも云いきれないでしょう。
    ……唯ちゃんはね、自分が見た結末を変えようと必死で、その結果がコレなの」

さわ子「あなたが死ぬのだけは、なんとしてでも阻止したい。その願いの果てが、これなんだから」

憂『でも、そのせいでお姉ちゃんが死んじゃったんなら! 意味ないじゃない!』

『意味なくないよ! 憂は死なずに生きてるじゃない!』

憂『意味ないよ!』



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:26:34.67 ID:w2BkvRYy0

さわ子「そうね。意味が無いわね」

『さわちゃん先生まで!』

さわ子「さっきも言ったけど、
    憂ちゃんは定期的にお姉ちゃん分を補給しないと生きていけない体なのよ」

憂『……』

唯「否定しないんだ!?」

憂『本当のことだから』

唯「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあ、コッチの方の憂もそうなのかな」

さわ子「あなたがここに現れたことで、今憂ちゃんが自殺することは無くなったかもしれないけど」

さわ子「結局同じこと、いつかきっと、自殺しようとするわよ」

『そんな。……それじゃ、私の努力は……』

さわ子「まぁ、無駄だったってことかしらね」

憂『そんな言い方ないじゃないですか!』

さわ子「じゃあどうしろって言うのよ!
    唯ちゃんは助けられない憂ちゃんも助けられない! その状況下で何をすればいいのよ!」


憂「……私が、何とかすればいいんだと思います」



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:35:14.57 ID:w2BkvRYy0

唯「憂! もう立って大丈夫なの!?」

憂「うん。……さわ子先生のおかげで、なんとか」

さわ子「そうは言っても、結構強く打ち付けられてたから、そんなにすぐすぐ治らないはずだけど」

憂「でも……こんな状況で、私一人眠ってなんていられないから」

憂『……凄い、私の時は、ずっと眠ったままだったのに』

さわ子「何かが変わり始めたのかもしれないわ。……唯ちゃんの行動のおかげで」


憂「……私の血には、母体としての特殊なものが入ってるんですよね?」

さわ子「ええ、あなたに定期的に飲ませた薬が、その母体としての血を作るためのものだったから」

唯「薬?」

憂「多分、風邪薬のことだよ。
  ……そうか、私の中でそういうことがおきてたから、風邪みたいな症状が出たんだね」

唯「へぇ~。……じゃあ風邪じゃなかったんだね! よかったぁ」

さわ子「いや、あんまりよくはないと思うけど」

憂「それで先生。私の血をここに居るお姉ちゃんにかければ、なんとかなるんですか?」

さわ子「いや、どうかしら。……正直、関係性が全く無いから、やっても無駄だと思うけど」

憂「でも、全くの無駄でもないんですね?」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 21:59:52.75 ID:w2BkvRYy0

憂『そういえば、人柱の理由は、その血を捧げる事が目的だったと、聞いたはずです』

さわ子「誰から?」

憂『外国の求導師さんが、そう言ってた気がします』

『私が見た本にも、そんなことが書いてあった気がする。
 でも、ある時だけは失敗したって書いてあったよ』

唯「ある時?」

『うん。……その人の血を、別の人に分け与えたときには、失敗したって……』

憂「……今のを聞いてみて、やっぱり、無駄じゃないみたいですね」

さわ子「で、でも……それでいいの? 可能性が無いとは云いきれないけど、
    薄い可能性に、あなたは自らを危険に晒すことができるの!?」


憂「できます。……だって、今から私が助ける人も、私のお姉ちゃんだから」


憂『憂ちゃん……』

『憂……』


唯「よーし、私の血も中の人にかけてあげるよ!」

さわ子「さ、流石に唯ちゃんの血は意味がないかなぁ。……って、あら」

唯「……石太が光ってる?」



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:11:36.35 ID:w2BkvRYy0

『ういえん。……どうして今光ってるんだろう』

憂「そういえば、これ、って何なんですか? 敵を倒したりアンムギを武器にしたり……」

さわ子「これは。焔眞鍋と同じく、ずっと昔から私たちの手に渡ってきたものなの」

唯「ずっと昔から?」

さわ子「ループする世界にはかならずこれがある。
    ……私も、内部構造を見ようと、頑張ってみたけど、詳しいことはわからなかった」

唯「よくわかんないけど、でも、これが今光ってるってことは!」

憂「これで何かをするってことだよね。……何をすればいいんだろう」

唯「よぉし、とりあえずボタンを押して……あれ? 押せない」

さわ子「ういえんは、必要な時、場所に応じて押せる押せないが変わるのよ。
    だから、押せないと言うことは、そこに向かって押すべきではないということね」

唯「そうなんだ。……それじゃあ、色々試してみよう。えいっ。えいっええぃ!」

憂「私に向かってでも、中のお姉ちゃんに向かってでもないね……」

唯「う~ん。それじゃあ、えいっ!」カチッ


シュゴオオオオオオオオオオォォォォォォウ!


唯「うわああああ!」



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:19:05.95 ID:w2BkvRYy0

憂「お、お姉ちゃんに火が当たっちゃったよ!」

さわ子「おおお、落ち着きなさい!
    そもそもういえんは普通の人には特に意味が無いものだからきっとだだいじょうぼ」

憂『先生こそ落ち着いて下さい。……今ここで慌てても何も解決しません』

『憂、足がそわそわしてるよ』

憂『お姉ちゃんこそ、両手がそわそわしてるくせに』

憂「そんなことより! お、お姉ちゃん~!」

シュウウゥゥゥ


唯「うう……死んじゃったかと思った~」

憂「お、お姉ちゃん! 大丈夫!?」

唯「うん。……でも、なんでこんなことになったんだろう。……あれ?」

憂「どうしたの? お姉ちゃん」

唯「……こ、これから何をすればいいかが、なんとなくわかった気がする」

憂「本当!?」

唯「うん! 憂、協力してくれるよね!」

憂「勿論! お姉ちゃんのためなら、何でもするよ!」



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:26:24.71 ID:w2BkvRYy0

唯「まず。……えっと、憂の血を中の人にかけてあげるんだけど」

憂「それぐらいなら大丈夫だよ」

さわ子「ちょ、ちょっと、本当にいいの!?

憂「お姉ちゃんが、そういう風にしようっていいましたから」

憂『なら、私も頑張らないとね』

さわ子「憂ちゃんはダメよ! さっきいった通り血を流しすぎてるじゃない」

憂『どっちの憂ちゃん?』

さわ子「聞かなくてもわかるでしょう?」

憂『……でも、私のお姉ちゃんを助けるのに、私だけ何もしないで見てるだけなんて嫌だから』

さわ子「……あぁもう、そこまでいうなら私も手伝うわよ」

唯「あ、さわちゃんの血はいらないって」

さわ子「より好みしないの~!」


唯「……さぁ、皆。刃物は持った?」

憂『うん。……持ったよ』

憂「持ったけど、……ちょっと怖い、かな。やっぱり」



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:38:03.33 ID:w2BkvRYy0

『……でも、本当にいいの? 私は、別にこのままでもいいから』

唯「このままピラミッドの中で生活なんてしてたらミイラになっちゃうよ!」

『いや、ミイラにはならないけど……』

唯「それに、ういえんの火が私に当たったんだから、多分こうしろってことなんだよきっと!」

『憂や、憂はいいの?』

憂『なんだかややこしいけれど、
  私はお姉ちゃんを助けたいから、そのためなら、どんなことでもするよ』

憂「私も、お姉ちゃんを救うためにお姉ちゃんがすることだから、気にしてないよ」

さわ子「なんて面倒くさい会話なの……。唯Aとか憂Bとかつければわかりやすいのかしら」


憂『ところで、私たちの血をお姉ちゃんにかけたらどうなるの?』

さわ子「今いったお姉ちゃんはピラミッド内のお姉ちゃんね」

唯「そしたら、私が中の人と同じかっこうで重なるんだって」

憂「って、ことは。……私の血が、結果的にお姉ちゃんにもかかるってこと……!」

さわ子「今のお姉ちゃんは、ういえんを持ってる唯ちゃんのことね」

憂『……さわ子先生』

さわ子「だってこうでもしないと、自分自身でもどっちがどっちだかわからなくなってきちゃったのよ!」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:47:45.44 ID:w2BkvRYy0

唯「ともかく。早くしないと決心が鈍っちゃうからね」

憂「でも、血を出すっていっても、どこから出せばいいんだろう」

憂『よくありがちな、腕からとかかな』

唯「い、痛そう……」

憂「で、でも、注射の要領でやれば何とか……」

唯「注射……!」

憂「あ、ご、ごめんね! 注射苦手だったよね!」

さわ子「今から体を切りますっていうのに注射ごときでまごまごしてちゃ先が思いやられるでしょ」


『そういえば、私はどんなポーズでいればいいんだろう。
 ……同じかっこうで重ならないとダメなんだよね』

唯「うん。そうしないといけない気がするから」

『う~ん。せくしーぽーずとか?』

唯「あ、いいかもしれない。……こう、腕を頭に回して……」

『膝を折って……』

憂憂『可愛いよ! お姉ちゃん!』

さわ子「いいからやるなら早くやりなさいよ!」



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 22:56:28.80 ID:w2BkvRYy0

唯「それじゃ、せーのでやるよ」

憂「うん」

憂『わかったよ、お姉ちゃん』

『それじゃ、私は普通の立ちポーズでいるね』



『せーのっ』


スパッ……!


唯「痛っ!」

憂『……っ!』

憂「うう、でも、まだ何とか……」


ダラ……


憂『……まだなの?』

唯「まだ、……私たちの血が中の人を完全に覆うくらいに!」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:04:18.83 ID:w2BkvRYy0

憂『……』フラッ

唯「! さわちゃん先生!」

さわ子「わかってるわ! ……顔が青くなってる、もう限界ね」

憂『まだ……』

さわ子「ここまで血を流して喋ってるのがびっくりするくらいなの。後はあの二人に任せなさい」


唯「うう、今度から献血はやりたくないよ」

憂「あ……はは。お姉ちゃん、らしいや」

唯「憂、大丈夫?」

憂「うん。お姉ちゃんこそ、大丈夫?」

唯「大丈夫。……もう少しだから」

ダラダラ……

唯「うん、こんなところで大丈夫だよ、憂。……後は離れてて」

憂「うん。……お、お姉ちゃんが、私の血で体中が塗れて……」


さわ子「おーい、憂ちゃん。間違っても鼻からは出さないでね~」



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:12:49.72 ID:w2BkvRYy0

唯「行くよ、中の人!」

『うん、外の人!』

『えぇーい!』


ガベチョッ



さわ子「……何と言うか、シュールな図ね」

憂「ピラミッドなので、表面が斜めになってますからね……」

さわ子「その血溜まりにへばりつく唯ちゃん。……シュールすぎるわね」

憂「お姉ちゃんが、私の血で一杯に」

さわ子「間違っても変な趣味に目覚めないでね、憂ちゃん」

憂『……あれ、何か、光ってません、か?』

憂「あ、本当だ。お姉ちゃんが光ってます!」

さわ子「というより、あのピラミット自体が光ってるわね。
    ……も、もしかして、あの光を受けたら記憶を失うんじゃ!?」

憂『!? お、お姉ちゃん!』



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:20:34.81 ID:w2BkvRYy0

唯「……ダジョ……コレカ……」


さわ子「何かもごもごいってるわよ!?」

憂「お、お姉ちゃん、間違って血を飲まないように気をつけてね!」

シュゥゥゥゥゥゥウウウウウ!


憂『光が強くなった!』

さわ子「なんだかよくわからないけど、なるようになりなさいもう!」


シュウウウウウウウウウウウウウウウ!




さわ子「……ど、どうなったの?」

憂「分かりません、まだ目がチカチカして……」

憂『あ、あれ……影が、二つ……?』


唯「もーいーよ!」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:27:01.00 ID:w2BkvRYy0



さわ子「あ……」

憂『お、……お姉ちゃん!』

唯『えぇと。……憂、なんとか、この世界に戻ってこられたけど。えぇと……』


憂『おかえり……お姉ちゃん』

唯『……うん。ただいま、憂』



さわ子「……なんだかよく分からないけど、唯ちゃんはちゃんとこの世界に戻ってこられたのね」

憂「……きっと、それも。皆のおかげなんですよ。ね、お姉ちゃん」


唯「うん!」



憂「お、お姉ちゃん! 血がべっとりついてるうう!?」

さわ子「血はつきっぱなしなの!? せっかくの感動の再会なのに台無しよ唯ちゃん!」

唯「お風呂入りたい……」



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:35:39.37 ID:w2BkvRYy0



唯『なんか、ういえんだとか憂の血だとかご都合展開だとかで戻ってくることができました』

さわ子「うん。最後のは言わなくてよかったかなぁ」

憂『お姉ちゃん!』

唯『妹~!』


唯「……変わった姉妹だね」

憂「え?」

唯「でも、とっても仲が良さそうだね」

憂「……うん!」


さわ子「さぁさぁ。やるべき事をやったんだから、後はここを出るだけね。
    ……さぁ、さっさとこんな場所から……」



ガラ、ガラララガラララララ!


憂「あ、あの! なんだか凄い嫌な音がするんですけど!」

さわ子「やばっ! 皆、早くここから脱出するわよ! じゃないと崩れるこの世界に巻き込まれるわよ!」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:45:31.18 ID:w2BkvRYy0

上空

さわ子「さて、皆にはこれからやって欲しいことがあるの」

和「やって欲しいこと?」

さわ子「ええ。……実は今、ムギちゃんのお家にはタイムマシンがあるわ」

澪「え? でも、それって壊れてて使えないんじゃ」

さわ子「私が、最初何もしてなかったのは、実はそれを修理するため。……つまり」

律「おー、それじゃ、使えるようになったんだな」

さわ子「まぁ、多分」

澪「多分?」

さわ子「いや、色々な勉強してからというもの、
    絶対という言葉をあまり軽々しく使えなくなっちゃったのよね」

律「それ、聞かされてる側からしてみると結構怖いんだけど」

さわ子「まぁ多分大丈夫よ。……それで、それを使ってして欲しいことがあるの」

梓「なんですか?」


さわ子「過去に行って、この事件を起こさないようにして欲しいの」



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/27(水) 23:54:57.23 ID:w2BkvRYy0

和「……そんなことしていいの? というより可能なの?」

さわ子「今回の事件を起こそうとしたのは憂ちゃんだけど、鍵となる存在はムギちゃんのお父さんよ」

紬「!」

さわ子「あとは、……そうね、私の彼を助け出したら私もきっと手助けすると思うから」

澪「そ、それを私たちがやるのか?」

律「そういうことだろ、まったく、難しいことをさらっといってくれるなぁ」

梓「先生は、いかないんですか?」

さわ子「私は、別にやることがあるから」

和「……それは、唯に関係あること?」

さわ子「勿論」

和「そう、ならいいわ」


斉藤「お嬢様方、屋敷につきました」

紬「わかったわ」

さわ子「タイムマシンはムギちゃんのお父さんの部屋の本棚の隠し扉の……」

和「間怠っこしいわね、後で屋敷の人に聞くから、あなたはさっさと自分のやるべき事をやりなさい」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:04:56.98 ID:KDqgCLPS0

さわ子「なんだろう。私今後和ちゃんに弄られっぱなしな気がする」

和「……まぁいいわ。それじゃ、私たちはさっさといくわよ」

澪「え、ほ、本当に行くのか!? もし、戻れなくなったら……」

律「その時は私がずっと側にいるから、それで満足しろ!」

澪「律……」

紬「大満足!」

梓「え、な、何がですか!?」



さわ子「……さて、と。それじゃ、唯ちゃん達のところに行きますか」

さわ子「あの世界に私はいけない、みたいなこと言ったけど、アレは嘘。本当は行けるのよねぇ」

さわ子「一度あの世界に行ったから、軸は大丈夫。……さて、と、それじゃ」ピピピピ

さわ子「電話? ……いえ、メールね。……送信者は、和ちゃん?」

『後で覚えて起きなさい』

さわ子「……え?」

さわ子「と、盗聴器でも仕掛けてあるの!? あの子は……もう」



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:13:42.87 ID:KDqgCLPS0

和「ムギのお父さんの部屋の本棚の隠し部屋。……ここね」

澪「何で分かるんだ!?」

律「すごいな和……」

和「適当にやったらたどり着いただけよ。……それよりも、これがタイムマシンなのね」

梓「で、でっかいです……」

紬「お父様は、私たちに内緒でこんなものを」

和「あら? ……メールだわ」

律「お、さわちゃんからか?」

『タイムマシンごと現代に持ってくるのは骨が折れたけど、きっと大丈夫なはずだから、安心してね』

和「……へぇ、こんな大きなものを未来から持ってきたんだ」

澪「……ど、どうやったんだ」

律「まぁ、そこら辺はどうでも言いじゃんか。それよりも」

梓「マニュアルはここにあります。……それじゃ、早速乗り込みましょう」

紬「一応、帰る方法も探しておかないと」

梓「それは大丈夫です、これに書いてありますから」



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:25:53.52 ID:KDqgCLPS0

紬「えぇと、中に入って行きたい時代と場所を指定する。……これでよし、と」

律「次に、ボタンを押せば簡単に行けます。だって」

澪「当時のファッションに文句を言わないでね(笑)……なんで笑うんだ」

和「先生もつかれてたんでしょう、きっと」

梓「疲れてると笑うもんですか……」

紬「帰るときは元来た場所にこれの小さいのがあるから、それに乗り込めばいいって書いてあるわ」

和「なら早速行きましょう。……場所は、ここでいいかしら?」

澪「そうだな、ムギのお父さんを説得するだけだし」

梓「後は、先生の彼氏さんを助ける、って話しですけど」

律「そっちの方は説得が完了してから行こうぜ!」

紬「わかったわ。それじゃ皆、行くわよ!」

『おーう!』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
キュインキュインキュインキュイン……!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
パシュン!



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:38:03.99 ID:KDqgCLPS0



和「ああ、昔は白黒テレビの時代だったのね」

澪「そこまで過去に遡ってないだろう!?」

律「まぁ、過去って言っても三日前だしな」

梓「いまいち迫力がないですよね」

紬「それよりも、お父様にお話しなければ!」タタタ


澪「ちょっとムギ! 落ち着けって……!」

律「行っちゃったぞ……」

和「しょうがないわね。ムギを追うわよ」



「……やはり、あの計画は。……いや、しかしそうなると紬が……」

紬「お父様!」

「なっ……紬! お前どこから来たのだ!」

紬「そんなことよりも、憂ちゃんとの協力体制を解除してください!」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:48:48.27 ID:KDqgCLPS0

「何故お前が、そのことを!」

紬「それよりも解除して下さい!」

「いやだから、何故お前がそのことを知ってるのかと聞いているのだ」

紬「お父様が解除なさるまで、私は引きません!」

「……聞いているか、紬よ」

紬「あの時は引いてしまいましたけど、今度こそは!」

和「落ち着きなさいムギ! 話しが全く噛み合ってないわよ!」

「他にも人が!? 一体どこから」

律「へー、これがムギのお父さんなのか。
  あ、初めまして、学校ではいつもムギのお世話をしています」

澪「こ、こら律! むしろ私たちはムギに世話になってるだろう!?」

律「なにいってんだ。私は部長として皆の面倒を見ているだろう!」

澪「そういう問題じゃなくてだな……」

紬「さぁお父様! 今すぐにでも!」


梓「……何でこんなことになったんですか」

和「私に言われても困るわよ……」



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 00:56:17.04 ID:KDqgCLPS0



「……つまり、君たちは未来から来たと、そういうことだな」

和「ええ、話しが早くて助かります。ミスター」


澪「いいのか、未来から来たことを言って……」

律「知らないが、和が何かちょっと格好つけてるのが気に入らないな。私的には」

梓「私も格好いいこと言ってみたいです」


「……ふむ、にわかには信じられん話しだが。……だが、そうか。あの村の……」

紬「お父様」

「紬……」

紬「協力体制を……」

「……まさか、それしか言えなくなったわけではあるまい」

和「私たちは、数々の壁を乗り越えて、今ここに居ます」

梓「和さんにいたっては、死んでいるのに、
  今こうして私たちに協力してくださってるんです。みすたー」

律「梓が言うと格好良くないな」   梓「え……?」



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 01:07:36.36 ID:KDqgCLPS0

「……しかし、憂は私に言ったのだ、こうすれば妻も喜ぶ、と」

和「……申し訳ありませんが、それは幻想に過ぎません。
  そんなことをして喜ぶのはマッドサイエンティストか狂信者と決まっております」


律「何か格好つけてて腹立つんだよな」

澪「……そうか?」


紬「お父様……」

「それに……断れば、紬まで危ない目に……」

和「もう充分危ない目にあっています。
  ……ですが、そのたびに私たちはそれを乗り越え、ここまで成長してきたのです」

「……」

和「ムギは成長しました。私たちも成長しました。
  ……それで、ご自身は成長なさらないのですか?」

和「羽生蛇村に行ってから人が変わったようだ、とムギから聞きました。
  あなたは、その時からずっと止まったままなのではないですか?」

和「そろそろ、歩き出しても良いのでは」

「……そう、か」


律「ミスター。渋いですよ」

澪「いや、律が言っても格好良くないな」    律「何ぃ?」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 01:16:23.24 ID:KDqgCLPS0

「……決めたぞ。私は、憂との協力体制を解除する」


和「……ふぅ」

律「おっしゃあ! これで事件は起こらないな!」

澪「そうだな。……後は先生の彼氏さんを見つけて、先生を味方につければ大丈夫だな」

紬「お父様……」

「紬よ、私は怖かったのだ。あの日の惨劇がずっと頭から離れなくてな。
 ……だが、決心したよ。これからは、お前にも前のように接して行こう」

紬「お父様……」


紬「協力体制を解除して下さい!」


「……まさか本当にこれしか言えなくなったわけではあるまいな」

和「ム、ムギ! 目がぐるぐるしてるわよ!?」

律「あまりのプレッシャーに自分自身で何言ってるかわからなくなっちゃったんだな」

澪「大丈夫か、ムギー!」




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