SS保存場所(けいおん!) TOP  >  非日常系 >  「憂や律っちゃん達の花を植えなきゃ」

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






「憂や律っちゃん達の花を植えなきゃ」 【非日常系】


http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267616037/




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:33:57.70 ID:Z9cBHwNh0

砂漠に種を蒔いても、芽は出てきません

ヘドロにお花を活けても、すぐに枯れてしまいます

でもお墓に植えた植物は きっと綺麗に咲いてくれます



「憂はどこがいいかなぁ・・」

天気は快晴 空は青くて

涼しい風も吹いてくる

地平線が見えそうな広い広い土地で

私は種を蒔く場所を探します

時々木陰で一休みして空を眺めたりするけれど

小鳥達の声が聴けないのは少し寂しいかもしれない

小鳥だけじゃなくて

この地球上に動物が

私一人しかいないは 

少し寂しいかもしれない





2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:35:11.35 ID:Z9cBHwNh0


種を蒔くと可愛い芽が出て

そのあと恥ずかしがり屋な蕾になって

綺麗な花が咲いて 優しい顔した実がなって

そこからまた種が生まれる

種を蒔くっていう事は

命を創るってことなんだね



「おっ ふかふかな土だ!」

良い感じだよー

さっそく憂を蒔いてあげる

いつも一番身近にいてくれた愛しの妹

やっぱり一緒にいないと寂しいよぉ



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:36:29.40 ID:Z9cBHwNh0

種を巻いたら水をかけてあげる

土が盛りあがったと思えば

ぴょこっと地面から憂が飛び出してきた

「おはよう、お姉ちゃん!」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:39:42.73 ID:Z9cBHwNh0

「おはよう、憂!」

頭のてっぺんから小さな葉っぱが伸びてて

まだ産まれたての芽ということを示してる

「調子はどう?しっかりお水飲んだ?」

「大丈夫だよ。お姉ちゃんがいい土選んでくれたから!」

その後他愛も無い世間話をして

笑って話せる相手がいるって素敵だなぁって痛感したよ

「まだ私だけなの?」

「うん。これからお父さん達や軽音部のみんなを蒔いてあげて、それから・・」

思い付く限りの人名を挙げていく私を見て

憂はクスッと笑った

「いきなり全部やらなくても大丈夫だよ」

「何年何十年・・少しずつ時間をかけて、ゆっくりやればいいんだよ」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:41:48.51 ID:Z9cBHwNh0

憂がそう教えてくれると

ついつい私の悪い癖が出てしまう

「憂~ じゃあ最初の種蒔きも手伝って~」

なかなか私も疲れる仕事なので

憂に助けを求めてしまう

でも憂は少し残念そうに言うんだ

「ごめんねお姉ちゃん・・そうやって1から種を蒔けるのは・・」

「お姉ちゃんだけだから・・」

その言葉を聞いて

急に胸が哀しくなった

とても哀しくなった

何故だかはっきりわからないけど

いや、まだ理由を言葉にしたくないだけかも・・・



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:43:40.77 ID:Z9cBHwNh0

翌日も良い天気でした

私は憂にお水をあげると

一緒にお散歩しながらいい土を探しました

「お姉ちゃん、見つかった?」

「うん、この辺りはすっごい良い感じだよ!」

広い範囲で素敵な土が広がってたので

私は両親と軽音部のみんなの種を蒔きました

「わぁ 賑やかになったねぇ」

「サンキュー唯!」

律っちゃんがブイサインを決めながら私に微笑んだ

お父さんとお母さんとも久々に話せたし

あずにゃんにも抱きつくことができたよ

「ま、まだ私は生えたてなんですよっ!」

「でも可愛いよあずにゃーん!」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:48:23.88 ID:Z9cBHwNh0

みんなと話して笑って

もっともっと沢山種を蒔こうと決心する


優しい人 怒りっぽい人 面白い人


いっぱい種を蒔いて

木陰で休憩したときに 小鳥達の存在が恋しくなった

だから

人間以外の種も蒔いたよ

鳥さん犬くん猫ちゃんも生まれて 賑やかな世界になってきました

「沢山産まれたねー!」

「おねえちゃん頑張ったもんね。もうしばらく蒔く必要もないよ」

蒔き過ぎも良くないみたいだね



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:52:27.02 ID:Z9cBHwNh0

余裕ができたので

軽音部のみんなとティータイムをしよう

こういう友達とのお食事会を ずっとやりたかったんだぁ

「ねぇみんな、お菓子食べながらお話しようよ!」

期待に胸を弾ませた私の声が響く

でも、律っちゃん達は少し気まずそうな顔で言うんだ

「それは・・・無理だよ、唯」

「え?」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:54:42.48 ID:Z9cBHwNh0

「私達は植物なんだ。水を飲むことくらいしかできないよ」

すっかり忘れていた

勿論私だってみんなが植物だってことくらいわかってる

でも律っちゃん達の笑ってる顔見ながら一緒に話してると

そんなことは頭から抜けてしまっていたんだ

「そ、そっか・・・」

「ごめんな。でも水でも楽しく話せるから大丈夫だよ」

澪ちゃんは優しく言ってくれた

でも私がお菓子を食べながら みんなが水を飲みながら

一緒に話していると

否が応でも見えない壁の存在を意識してしまう



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 20:58:35.44 ID:Z9cBHwNh0

日が暮れて来て 空が茜色に染まっていく

私は別れるのが寂しくて

「ねぇみんな、今日は夜通し語ろうよ!お泊まりだよ!」

パジャマパーティーを持ち掛けた

でもムギちゃんが少し残念そうに言うんだ

「ごめんなさい・・私達はもう寝ないとダメなの」

「あ・・・そうだよね・・・」

そう

今までずっとそうだったし これからもずっとそうなんだ

夜起きていられるのは私一人で

みんなはスヤスヤ眠らなきゃいけない

一人ぼっちの夜は ずっと続くんだね

「また明日話せばいいんですよ」

あずにゃんはそう言うけど

やはり種族の違いは 私の心に突き刺さる



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:00:45.87 ID:Z9cBHwNh0

沢山の仲間に囲まれたように見えて

結局わたしは一人ぼっちなのかな

いっぱいいっぱい頑張って

沢山沢山種を蒔いて

やっぱり孤独のままなのかな

そう思うと なんだか涙が止まらなくて

私もみんなと一緒になりたいなって

思わずにはいられなくなった



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:04:02.06 ID:Z9cBHwNh0

どうすればいいんだろう



やっぱり、人間やめればいいのかな


それは


今生きる事をやめて

次に種から産まれますようにって

お祈りするしかないのかも



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:07:07.44 ID:Z9cBHwNh0

ナイフは冷たかったし鋭かったし怖かった

おバカな私はこうするしか思いつかないんだね

首筋に当てて

シュッ

と引き裂けば 血がいっぱい出て死ねるのかな

「お姉ちゃん!何してるの!?」

憂が飛び出して 私のナイフを取り上げた

「だって・・だって私・・・」

私は涙が止まらない

「頑張っても・・一人ぼっちだよぉ・・・・」

憂はそんな私を見て

とびきり優しい顔で言ってくれた

「大丈夫だよお姉ちゃん。きっと、まだみんなと一緒に素敵なことができるよ」

私は鼻をすすって頷いた

「それに・・・お姉ちゃんがいなくなったら・・・・」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:08:56.68 ID:Z9cBHwNh0

それから

私は色々なことを みんなと一緒にしようとした

けど、どれをやっても植物と動物の差が出てしまう

どうしようかな っていつもの木陰で途方に暮れていると

頭上から綺麗なさえずりが聴こえる

鳥さんの声だね

しばらく聞いていると

頭の中に電球マーク 閃きが生まれました


「ありがとう、鳥さん!」

わたしはすぐさま軽音部の元へ向かった



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:13:45.34 ID:Z9cBHwNh0

「どうしたー唯ー」

律っちゃんが私に気付いた

頭に蕾が付いていて

そろそろお花の咲く時期なんだね

「音楽だよ律っちゃん!みんなで音楽やろう!」

「音楽?」

首を傾げる皆の前で

わたしはギー太を取り出しジャラランと軽く弾いてみせる

調子は良好だね



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:20:18.84 ID:Z9cBHwNh0

「で、でも私達は楽器なんて弾けないし・・」

「大丈夫だよ!みんなは歌ってくれればいいんだよっ」

担当が変わるくらいどうってことない

私がリードギター みんながボーカル

それでいいんだから




ひとしきり演奏し終わって かつてない安心感が私を包む

ようやくみんなと一緒の舞台に立てた

寂しくなんかなくなったよ

気付けばみんなの頭には 素敵なお花が咲いていました


「そうだ!」

「どうした?」

「世界中のお花達とも、一緒に歌えばいいんだ!」

名案に違いない



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:22:29.19 ID:Z9cBHwNh0

その後はいっぱいいっぱい歌ったよ

世界中が一つの生物みたいに

心を合わせることができたんだ

とっても幸せだったけど

気付けば数か月が経っていた

私はすっかり忘れていたんだ

冬の到来を



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:24:40.41 ID:Z9cBHwNh0

冷たい木枯らしが吹き荒ぶ

いつもの木陰に腰掛けようと 大きな樹に近付いてみたら

緑の葉っぱは無くなって 茶色い枯葉が数枚付いてるだけだった

私は不安になって

すぐ憂や律っちゃん達の元へ向かう

「憂、大変だよぉ!」

「どうしたの?」

憂は至って落ち付いて 私の瞳を不思議そうに見つめていたけど

私の眼には

今にも倒れそうな痩せ細った憂が映っていた



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:28:15.09 ID:Z9cBHwNh0

「憂、大丈夫!?すっかり弱ってるよ!?」

憂達はもうみんな花を落として

次の世代の種を残している

役目はとうに果たしていたんだ

「冬だからねぇ。お姉ちゃんも風邪に気を付けてね!」

憂自身はまったく気にして無いようで

心配してる私がおかしいのか

まったく安心してる憂がおかしいのか

もうなんだかわからない



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:31:19.55 ID:Z9cBHwNh0

ほかのみんなの様子を見に行くと

やっぱり全員弱っている

私は焦る

どんどん孤独が近づいてるよ

また一人ぼっちにはなりたくないよ

「みんな、死んじゃうの・・・?」

哀しくて寂しい質問をする


「なーに泣いてんだよ?」

律っちゃんも憂と同じように

当たり前のように冬を受け入れている

「だって・・そんなに弱っちゃって・・・」

「しょうがないよ、もう役目は果たしたんだし」

「嫌だよ・・まだ死ぬことないじゃん・・・」

「いいか、唯。お前のした仕事の中で最初にして最大の仕事は何だ?」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:34:49.40 ID:Z9cBHwNh0

「種蒔き・・・?」

「そう種蒔き!私達が一年かけてようやく作った種を土に蒔く仕事だ」

律っちゃんはそこまで言うと

どさりと地面に座った

もう立っているだけでも疲れるらしい

「私達の作った種は、唯が蒔くんだ」

なんだか嫌な予感がする

「唯にしか蒔けないんだ」

とっても怖い予感がする

「唯がいてくれるから私達は安心して枯れていける」

律っちゃん・・・

「だからさ、悲しまないでくれよ。とっても素敵なことなんだから・・」

律っちゃんは そう言うとうつ伏せに倒れた



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:38:14.49 ID:Z9cBHwNh0

気付けば周囲の植物はみんな枯れていた

澪ちゃんムギちゃんあずにゃんも

倒れたまま動かない

溢れる涙をそのままに

私は走って憂の様子を見に行く



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:42:54.18 ID:Z9cBHwNh0

「憂!?」

憂は倒れたままで

話しかけても返事をしない

もう枯れちゃったのかな

せめて最後に

何か話しておきたかったんだけど・・


「憂ぃ・・・起きてよぅ・・・」



「ほらお水だよ憂・・・」



「憂・・・」



「・・・・・・」



「もう一人ぼっちは嫌だよぅ・・・」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:43:51.31 ID:Z9cBHwNh0

小さな声が聞こえたよ

「一人ぼっち・・?」

「憂!」

「お姉ちゃんは一人ぼっちじゃないよ・・?」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:44:33.73 ID:Z9cBHwNh0

「大丈夫、お水飲む!?」

「お姉ちゃん、私達の作った沢山の種を持ってるよね・・」

憂は弱々しく微笑んで

静かに囁いた


「それを蒔けるってことは、一人じゃないんだよ・・」

「お姉ちゃんはいつだって一人じゃないんだよ・・・」


「憂・・・?」

それっきり動かなくなって

枯れてしまう

私はお水の入ったコップを落として

めいっぱい泣いた



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:47:19.28 ID:Z9cBHwNh0

春が来ました

砂漠に種を蒔いても、芽は出てきません

ヘドロにお花を活けても、すぐに枯れてしまいます

でもお墓に植えた植物は きっと綺麗に咲いてくれます



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:48:03.14 ID:Z9cBHwNh0

天気は快晴 空は青くて

涼しい風も吹いてくる

地平線が見えそうな広い広い土地で

私は種を蒔く場所を探します

時々小鳥のいない木陰で一休みして 空を眺めたりするけれど

私は寂しくありません



この沢山の種は 私の友達で

きっと綺麗なお花を咲かせてくれるから



おわり




34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/03(水) 21:52:04.08 ID:4og39dFyO

乙!
この雰囲気好き






関連記事

ランダム記事(試用版)




「憂や律っちゃん達の花を植えなきゃ」
[ 2011/09/14 21:02 ] 非日常系 | | CM(1)

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

タイトル:
NO:5696 [ 2012/02/27 02:40 ] [ 編集 ]

なきかけた

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6