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唯「国家社会主義!」#前編 【歴史】


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唯「国家社会主義!」#前編
唯「国家社会主義!」#中編
唯「国家社会主義!」#後編




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:03:55.45 ID:OIvzO94V0

琴吹家系列の音楽店

梓「ムギ先輩、ホントにいいんですか?
  ここにある品が全部9割引きなんて?」

紬「お年玉セールっていうんでしょう?
  世間では年始によくあることって聞いたわよ。」

律「9割引でも手が出せねえ…」

澪「それはお前の無駄遣いの結果だ!」

唯「…」

律たちが騒ぐそば。
唯は店内をぐる、と見回す。





4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:12:07.23 ID:OIvzO94V0

梓「なんか…すごく悪いような…」

紬「いいのよ、いいの。さあ、お買い物を楽しみましょう♪」

2010年が明けて数日後、
桜高軽音部員たちは琴吹グループ系列の音楽店にいる。

澪「ムギ、ほんとにいいのか?」

紬「ぜんぜん~!
  世間がまだまだ不景気なんだから、
  こんなことをしても問題ないわよ♪」

琴吹グループは今年度も黒字経営らしい。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:18:58.56 ID:OIvzO94V0

律「っていってもよー、10万円のヤツも九割引きで一万ちょいだろ? 
  どうせだったらもっと安くしてくれよぉ…」

紬「そう?だったら…」

澪「ムギ、コイツの与太話は無視してくれ…」

梓「わ、わたしも今は特に足りないものはないんで…
  メンテナンスの用具を見せてもらいます。」

唯(うーむ…)



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:26:01.82 ID:OIvzO94V0

かくいう唯はギー太さえいれば満足という口だ。
とくに欲しいものはない。

紬「ぜんぜん気にしないで♪
  澪ちゃんも…二台目のベースとかどう??」

澪「え…え!?」

唯(私はギー太一筋だけどね~)

と、思いつつ、唯は店の方々へ視線を向ける。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:29:07.49 ID:OIvzO94V0

唯「あ…!」

"モノ"との出会いというのは不思議なもの。

紬「唯ちゃん、どうしたの?」

唯「あれ…」

梓「"ピック特集"??ですか?」

唯の指すほうには、たくさんの光沢美しい、ピック達。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:37:04.60 ID:OIvzO94V0

唯「あれ…いいなあ…」

そのうちの一つが唯の目に留まる。
はっきり言えば、若者向けとは言えぬ、鼈甲(べっこう)細工の。

梓「でもそれだけ値段書いてないですよ?
  かなり高いんじゃ…」

その中の一品。

律「ふむふむ…『ドイツの著名ギタリスト、ラウバウ氏所有の…』」

律が紹介文を読み上げる。

店員「あ…あの…」

横から店員の一声。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:45:38.69 ID:OIvzO94V0

店員「紬お嬢様、
   その品はちょっとお売りできないんです…」

常日頃、桜高軽音部員達の我侭につき合わされている店員Aも
さすがの困り顔。

紬「いわゆる"展示品"かしら??」

店員「その通りです…」

澪「"A・ラウバル"。
  著名って言う割には聞いたことないなぁ…。」

店員「お嬢様のお父様、琴吹会長の御縁ある方の品らしいんです。」

紬「お父さんの??」

店員「はい…」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:50:31.15 ID:OIvzO94V0

紬「ヨーロッパの洋楽関係で??聞いたことがないわね…」

紬が思案顔になる。

唯「…」

その間も、唯はひたすらそのピックに視線を向ける。
…というかぶつける。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:53:12.58 ID:OIvzO94V0

澪「唯、そんなまじまじと見つめてもさ…」

唯「…」

澪「非売品なんだから…」

唯「…」

澪「唯…」

唯「…」

梓(梃子でも動かない感じですね…)



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 22:57:16.48 ID:OIvzO94V0

唯「…」

唯はまわりの声が聞こえていないようだ。

紬「唯ちゃん??」

唯「…」

梓「先輩!非売品ていうのは売ってもらえない品物なんですからね!?
  そんな物欲しそうにしたって…」

物欲しそう??
いや、唯の方が魅入られたような。

紬「…」

携帯電話を取り出し、どこぞへ電話をかける紬。

律「あ、もしかして…」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:03:58.83 ID:OIvzO94V0

紬「もしもし…お父さん??今、大丈夫ですか…??」

律(こりゃムギの"スイッチ"が入っちゃったか…)

紬「実はね…」

紬「そう、そうなの…」

紬「私のお友達がね…」

気に入った品から離れぬ唯。
その横には彼女のために父親へ電話をかける、筋金入りのレズっ娘。

紬「うん…」

紬「…」

紬「え??いいの!?」

澪「?」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:05:36.18 ID:OIvzO94V0

紬「店員さん、父が…」

そういうと、自分の携帯電話を店員Aに差し出す紬。

店員「え!?まじっすか!?」

そして…



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:10:55.12 ID:OIvzO94V0

律「よかったなぁー唯よぉ!」

唯「うん!!」

唯はこぼれんばかりの輝く視線を、小さなピックへと向ける。
額より上に両手で掲げ、大事そうに護持している。

梓「でも"レンタル"なんですよね??」

口を挟む梓。

梓「それも"無期限の"。」

澪「確かにおかしな話ではあるな…」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:16:44.52 ID:OIvzO94V0

紬「私にもよくわからないわ。
  お父さんに詳しく事情を話したらね…」

律「ムギのお父さんに無理言えばさ、
  超有名どころのアーティストの品も貸してもらえるかも!?」

澪「確かにありえるな…」

澪が律に同調する。

唯「…」

梓「…?」

その一方、梓はピックに魅入られたままの唯を見、
なにかを、覚える。
何かを。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:22:02.75 ID:OIvzO94V0

唯「あなたは…誰?」

「…」

そして、その日の夜。
これは唯の夢の中。

目前には"よくわからないもの"が一体。
縦に170センチほどの大きさ。

「…」

黒く煤け、大きな丸太のよう。
そして、唯の鼻に酷く臭う。
嗅いだことのない臭い。
強い吐き気がこみ上げるほどの…



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:30:07.08 ID:OIvzO94V0

唯「…」

しかし、唯の鼻へ通ずる臭いは
嫌悪感ではなく、強い悲哀を彼女に生む。

「きみは…しんめいか…」

"よくわからないもの"からの声。

「しんめいに愛さるる…おとめか…」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:33:46.67 ID:OIvzO94V0

"よくわからないもの"を見ることが苦しい。
しかし、見ずにはいられぬ。

唯「しん…めい??」

「神明…」

「"あいんへると"…もしくは…"あるつぇんごっと"…」

「わたしは…」

「ついに…

「"ヴァルハル"に…来たるか…」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:42:21.61 ID:OIvzO94V0

唯「よく、わかんない。」

唯の片手にはあのピック。

「ちがうのか??みえぬ…」

「わたしには、みえぬのだ…」

黒い、焦げた丸太、"よくわからないもの"が"目"を開く。
刹那のこと。
その"瞳"は海のような青。ひどく澄んだ、透明な青。
"よくわからないもの"は、唯を見ることができず、
その視線は唯の体躯を漂う。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:49:47.51 ID:OIvzO94V0

「焦熱、そして、凍えより…」

「放たれたとおもえば…」

唯は思い出す。
床に就く前、さんざんにギー太を可愛がった。
ムギから借りたあのピックで。

「とはゆえ…」

「なつかしい香りがする。君から…」

「それは、"レオ"に与たゆたはずだが…」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:53:02.43 ID:OIvzO94V0

唯「れお??」

「"はらから"の子だ…我が甥…」

唯「はらから??」

「わたしの姉…」

「いや…」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/04(木) 23:57:32.17 ID:OIvzO94V0

「君からも…きみの身体からも、懐かしい匂いがする…」

「若きころ…青いころ…」

そう言うと、液体のようなもの、を流す、"よくわからないもの"。
涙、だろうか?

唯「あなたは人間なの?」

「そうだ。」

「…」

「いや…」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:03:46.88 ID:CCRwLSWN0

「そうだった。」

「人間だったのだ…」

「そうだ!」

"よくわからないもの"は続ける。

「そうだった!」

「きみのこと、クビツェクとよくはなしたなぁ…」

唯「クビツェク…って??」

「少ない、友のひとりだ…」

「公園のベンチに座り…その少し先にいた、美しい君のことを…」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:11:23.16 ID:CCRwLSWN0

「雑然としていたが、あのころの"ヴィーン"も、」

「また美しく…」

「さらに君もまた美しかった…」

「きみのことは絵にできなかったが…」

「むしろきみを題として、歌劇を描きたかった…」

唯「よく、わかんないよ…」

唯「ヴィーンって何?クビツェクってだれ?」

唯「あなたは、」

唯「誰?」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:17:15.65 ID:CCRwLSWN0

「わたしの名??」

「…」

「そうだ。わたしはついぞ、」

「きみにわたしの名を名乗ることもしなかった…」

「そうだ、」

「そうだった…」

そういうと、"よくわからないもの"は、視線をはるか上に移す。



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:22:49.90 ID:CCRwLSWN0

「そうだ…」

「そうだ!!」

「我らが国はどうなったのだ!?」

再び"よくわからないもの"は唯に視線を…
獲物狩るような目を向ける。

唯「っ!!」

先ほどまでの、恋焦がれる相手を思うような目と、なんと違った…
飢えた鷲のごと…



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:27:41.54 ID:CCRwLSWN0

唯「わがくに!?」

唯「意味わかんないよ!?」

「ちがう!!」

「"我ら"が国だっ!!」

唯「うっ…ぅ…」

唯ははじめて恐怖を感じる。
そして、漏れ出る嗚咽。

「!?」

「す、まない…」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:34:31.70 ID:CCRwLSWN0

唯「くにって…」

唯「ここは、日本…だよ…」

「ヤパン…?」

「…」

「ことばの混濁がある…」

「…」

「どういうことだ…」

唯「ヒック…」

「これは…」

「きみの、ゆめ??」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 00:50:06.39 ID:CCRwLSWN0

唯「ヒック…」

「…」

「もしや…」

「…」

「いや…そうか…」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:16:33.68 ID:CCRwLSWN0

「そう…だったの…か…」

「…」

「Ihr antwortete drauf die kluge Penelopeia,
 Aus der susen Betaubung im stillen Tore der Traume
(夢の間際、心地よくまどろむペネロペーは答ゆる…)」

"よくわからないもの"が何か唱えると、唯の意識に突然、白色が現れ―
そして、唯は目を覚ました。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:21:46.25 ID:CCRwLSWN0

眠りから覚めれば、自分の部屋だ。
そうだ、眠り、から醒めたのだ。

さきほどまでのあれ、は夢?
けれど…

唯のすぐ横、ベッドの脇に気配を感じ唯は顔を向ける。

唯の瞳と交差する、澄んだ青い瞳。
唯のそばには、一人の男性が佇んでいた。



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:30:56.73 ID:CCRwLSWN0

青い目をもつ、彫の深い男だった。
20代前半の、痩せた男。白人だとわかる。
頭髪は左半分に偏った、短めのツーブロック、
背の丈は唯より小頭一つほど高く、ひょろり、としている。
その男の青い目が、唯を見下ろしている。

唯「え…」

「…」

「きみは、夢から醒めたのだ。」

「そして…」

「わたしも。」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:37:58.34 ID:CCRwLSWN0

上着は背広のような、しかしよれよれで、摩れている。
ズボンは、踝ほどまでで、いわゆる、『つんつるてん』
お世辞にも、いや正直に言ってもあまり綺麗な格好ではない。

唯「お兄さん…」

唯「なんで光ってるの??」

唯の次の一声はそれであった。
唯の側に立つ男は、薄く暗く、ほんのりと、青白く蛍光しているのだ。

「人の輝きは、魂に由来するから、」

「かもしれないね。」

男は答える。
優しく、答える。



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:40:37.91 ID:CCRwLSWN0

唯「あはは、まだわたし寝てるんだね…」

「いや、君は間違いなく、覚醒しているよ。」

唯「…」

唯「夢じゃないの??」

「ああ。」

唯「…」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:47:12.34 ID:CCRwLSWN0

唯「…」

唯「も、ももも、もしか…して、お、おばけっ!?」

「おばけ??」

「確かにね。魂が肉体から離れれば…」

「その存在はすなわち人外だろうね。」

そういうと、その青年は微笑む。
はにかんだ微笑だが…
強く、惹きつけられる。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:54:17.83 ID:CCRwLSWN0

唯「だ、誰なの…」

唯「おばけの…お兄さん…」

唯は震えながら発する。

「すまない、初対面の女性に対して名乗らずにいるとは…」

「わたしは、アドルフ。」

アドルフ「アドルフ・ヒットラー、と言います、お嬢さん。」

"ッ"の部分を小気味よく発音し、青年は唯にこたえる。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 01:58:54.26 ID:CCRwLSWN0

唯「あどるふひとらー??外国人??」

アドルフ「そう、ドイツ人、だよ。」

青年はそう答える。

唯「…」

唯「が、がいじんのおば…け…」

唯は再び震えを覚える。

アドルフ「怖がらせてしまって、いるね…」

青年の表情から笑みが消え、そのはにかみは一層痛々しさを帯びる。

唯「あ…」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:05:58.51 ID:CCRwLSWN0

唯はすぐに悟る。
この青年の表情は、澪が度々その面に映す…

唯「あ、ご、ごめんない…おばけのお兄さんにおばけなんて言って…」

アドルフ「こちらこそ…すまない。どうやら今の私は…」

アドルフ「君の認識どおり、人外の存在らしいから…」

唯「…」

唯は青年に憐憫を覚える。
この青年は、表面上は、はきはきしているとはいえ、
澪並の人見知りだと理解する。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:11:52.08 ID:CCRwLSWN0

唯「あやまらなくちゃいけないのは私のほうだよ。」

憐憫を覚えると、唯の心から恐怖が消えていく。

唯「え、と、あどるふさん?」

アドルフ「呼び捨てで構わない。
     アドルフでも、ヒットラー、でも。」

青年は答える。
表情に笑みが戻りつつある。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:17:43.49 ID:CCRwLSWN0

唯「アドルフ…」

唯「なんか照れるね…」

唯も可愛らしくはにかみつつ、微笑む。

唯「気にせずに。」

青年も微笑む。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:21:02.78 ID:CCRwLSWN0

唯「アドルフはどうして私の部屋にいるの?」

当然の質問だ。
側にいるのが生身の人間なら、間違いなく変質者扱いだろう。

アドルフ「私にもよくわからない。」

アドルフ「ただ…」

アドルフ「どうやら、君がもっていた"小撥"と関係があるらしい。」

唯「こばち(小撥)??」

アドルフ「君が昨晩ギターを奏でるのに使った、鼈甲製の。」

唯「あ、ムギちゃんのお父さんに借りたピック…」



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:28:40.24 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「その小撥は、私が、甥のレオに与えた小細工物の"一部"だ。」

唯「へ、そうなんだ。じゃあ、このピックは元々アドルフの物なんだね。」

唯からはすっかり、怖れ、が消え、
持ち前の人懐こさ、と好奇心が頭をもたげつつある。

アドルフ「もともとは、義母の髪飾りだったはずだが…」

唯「義母…」

アドルフ「ああ。父の前妻のことだ。私の母は後添えでね。
     甥の母、姉のアンゲラとは腹違いになる。」



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:34:45.05 ID:CCRwLSWN0

唯「ふ、ふくざつな家庭じじょうだね…」

アドルフ「気にしなくてかまわないよ。」

アドルフはそう言う。

アドルフ「ああ!」

アドルフ「忘れていた!まったく私としたことが…」

アドルフの表情に再び、はにかみ、が浮かぶ

唯「?」

アドルフ「君の名前を聞くことを…」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:39:47.82 ID:CCRwLSWN0

唯「わたし?」

唯「私は、ゆい。ひらさわ ゆい だよ。」

アドルフ「日本人はシナ人と同じく姓、名前、の順だから…」

アドルフ「平沢お嬢さん、ですね?まったく私としたことがすいませんでした…」

唯「?」

唯「わたしも、呼び捨てで、"ゆい"でいいよ?」

アドルフ「え!?いいの、かい?」

唯「うん♪」



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:46:07.90 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「身内と妻以外を、名前で呼ぶのにはなれないものでね。」

唯「妻!?結婚してるの!?」

アドルフ「ああ。私が…」

アドルフの表情が強く歪む。

アドルフ「私の生を終える直前に、結婚式を挙げたんだ。」

そう答えるアドルフ。

唯「…」

唯は、彼の表情を読んで、それ以上聞こうとはしなかった。



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:50:35.31 ID:CCRwLSWN0

唯「ご、ごめんなさい…」

アドルフ「気にしないでいい。」

アドルフは、そう答える。
無理やりに、はにかみ微笑んで。

唯「と、とにかく…」

唯は話題を戻す。

唯「なら、このピックはアドルフに返した方がいいかな…」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 02:59:49.62 ID:CCRwLSWN0

アドルフの表情は、再びにこやかなものに戻っている。
けれど、それは、笑みを装った、唯を安心させるためのものだが。
これから先、アドルフが表情を崩すことはほとんど無くなる。

アドルフ「気にしなくていい。
     君が今までどおり使ってくれたまえ。」

唯「いいの?」

アドルフ「ああ。」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:03:28.50 ID:CCRwLSWN0

唯「ありがとう♪」

唯は微笑む。

アドルフ「ところで、私も死人なのでね…」

アドルフ「ここが日本だということはわかったが…」

アドルフ「ベルリンが落ちてから、どのくらい時間が経っているんだろうか?」

唯「べるりん、て何?」

アドルフ「…」

アドルフの質問も悪いが、彼は現代日本の、
平均的女子高生の教養について全く知らない。



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:09:19.68 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「ドイツ国の首都なんだが…」

唯「あ、そ、そうなんだ!?
  私、東京とアメリカのニューヨークしか知らないから…(汗)」

アドルフ「…」

アドルフ「…なら確か、日本は皇帝陛下臨御のもと、その皇紀2600年を祝…」

アドルフはそう言いかけてやめる。

アドルフ「現在は西暦何年だろうか?」

一番的確な質問だ。



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:17:13.06 ID:CCRwLSWN0

唯「えっと…」

唯「えとね…」

側においてあった携帯を手に取り、なにやら始める唯。

アドルフ「…」

ちなみに、アドルフは天然女性が苦手ではない。
自身の妻がそうであったように、その手の女性に対してはかなり寛容なほうだ。



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:22:19.69 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「その、機械、はなんだい?」

唯「え?携帯電話だよ?」

アドルフ「けいたいでんわ??」

アドルフは、数秒思案する。
が、技術発展、という概念とともに思考をやめる。

唯「あ、今は2010年だって!!」

アドルフ「!!」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:30:42.44 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「…」

アドルフ「65年…!!」

彼はそう口にする。

唯(ってことは、アドルフは60年前に死んでるんだ…)

アドルフ「ああ…」

アドルフ「ああっ!!」

アドルフは強く、強く悲痛な表情を帯び、ベッドの横にしゃがみ込む。



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:37:25.64 ID:CCRwLSWN0

数十秒後。

アドルフ「…」

アドルフ「ゆい。」

アドルフは唯に青い瞳を向け、問う。

アドルフ「今のドイツは…どうなっている…

アドルフ「…のだろうか?」

悲痛な表情のアドルフ。

唯「え、えと…」



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:47:07.28 ID:CCRwLSWN0

唯は答えることができない。
アドルフに気兼ねして、というよりも、
その知識材料が"ビール"と"ソーセージ"と、両親が現在滞在してる場所
ということぐらいしかない。

唯「あ!」

両親が少し前に送って来た土産を思い出す。

唯「たしか東西ドイツ統一記念20周年がうんたらかんたら…」

唯にしては珍しい。

アドルフ「東西ドイツ統一記念20周年!?」

アドルフ「どういうことだ…」



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 03:55:06.83 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「…」

アドルフ「ゆい、君は見たところ学生のようだが。」

唯「うん!高校3年生になったばっか!」

アドルフ「歴史、は学校でならっているだろうか?」

唯「うん!世界史取ってるよ!」

アドルフ「…」

早速アドルフは、自分のことよりも唯のほうを心配する。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:01:07.03 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「教材があれば見せてもらいたいのだが…」

唯「教科書なら多分バックに入ってると思うんだけど…
  ちょっと待って…」

アドルフ「…」

唯「あ、あった!」

アドルフ「!!」



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:08:28.34 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「すまないが早速読ませてもらっていいだろうか!?」

唯「もちろん!」

アドルフ「早速…」

アドルフ「…」

アドルフ「く…」

アドルフ「どうやら私は…物体に触れることができないようだ…。
     ページを開いて、もらえないだろうか?」

唯「おーけー!!」



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:15:09.45 ID:CCRwLSWN0

それから、アドルフは第二次大戦後から現在までの、
中道的な教科書の内容にそった、歴史の歩みを知り…

アドルフ「…」

唯「あ、あどるふ?」

アドルフ「やはりアメリカが…
     マルクスなどかわいいものじゃないか…」

アドルフ「…」

唯は、アドルフが生前、何者だったのかに気が付いていない。
先ほど彼と一緒に眺めた、教科書の記述や写真には
山ほどの情報がアドルフについて記されていたのに。



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:26:22.28 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「いや、覚悟はしていたことだ…」

アドルフ「けれどしかし、私のことをさも悪魔のように…」

アドルフ「いや、堕天使…」

アドルフは独りごつ。

アドルフ「何より…イサァクの種どもは再び蔓延り…あろうことか国家まで…」
     
アドルフ「忌まわしい…げに忌まわしい!!」

アドルフ「汚らわしい種族汚染者どもめ!!」

唯「ビクッ…」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:33:13.29 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「やはり、私の歴史観は全く正しかった!!」

アドルフ「しかし…」

アドルフ「今、私の意識が目覚めていること…
     神は私を罰されているということか…」

アドルフ「ドイツを救えなかった、この私を…」

アドルフ「…」

アドルフ「いや…」



92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:38:51.62 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「いや違う!」

アドルフは、唯のベッドに腰掛ける。

アドルフ「今、この私の意識が再び蘇ったということは…」

そう言うと、アドルフは右手で、ポン、と一度右ひざを打った。
霊体?のはずの彼から、小気味良い音がする。



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 04:46:15.72 ID:CCRwLSWN0

アドルフ「…」

アドルフ「神よ。」

アドルフ「感謝します。」

そう言い終えると、アドルフは潤んだような目で、虚空を見つめる。
押し黙ったまま。

唯は少し混乱していた。芽生えた恐怖を再び、ほんの少しだが、覚えつつ。
これが先ほどまでの、内向的だが、しかし、人の良さそうに見えた青年のそれだろうか?
そして何より唯は、このような顔をする人間を、面とむかっても、テレビでも、目にしたことは無い。
あどけない少年の眼差しを持ちながら、老獪さを隠そうともしない、表情の男を。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:15:35.84 ID:CCRwLSWN0

明けて翌朝。

唯「うーんんんん…」

唯「むにゃむにゃ…」

眠っている唯。
そして、ガチャ、と唯の部屋のドアが開く。

憂「あねーちゃんーーん!朝だよぉ!」

憂が姉を起こしに来る。

唯「あと、ごふん…」

憂「おねーちゃんっ!!」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:22:12.11 ID:CCRwLSWN0

憂「遅刻しちゃうよ!早くゴハン食べよ!」

唯「わかったよぉー」

ムクリ、と起き上がる唯。

起き上がった唯の、その視線の先には、
青白く輝く人型。

唯「!!」



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:28:36.56 ID:CCRwLSWN0

唯「ヒッおば…」

と言いかけて昨夜のやり取りを思い出す。

アドルフ『おはよう、ゆい。』

アドルフは唯の机の前の椅子に腰掛けていた。
やさしく唯に微笑みかけ、言葉をかける。

アドルフ『もちろんこれは、夢ではないよ。』




※以降のアドルフの台詞には二重括弧を使います。



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:36:01.08 ID:CCRwLSWN0

唯「あっ、やっぱりそうなんだ…」

憂「どうしたの??」

憂が首をかしげる。

唯「あっ!」

唯「この人はアドルフって言うんだけどね…」

憂「?」



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:41:41.76 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『ゆい、やめておきなさい。』

アドルフ『どうやら妹さんには、私の姿は見えていないようだよ。』

アドルフが諭す。

唯「そうなんだ…」

憂「??」

憂は格別気にしない。
唯が寝ぼけて変なことを口にするのはいつものこと。



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:46:36.49 ID:CCRwLSWN0

朝食をとる唯と憂。
アドルフは唯の隣の椅子に腰掛け、平沢邸の内部を見回している。

唯「もぐもぐ…」

アドルフ『…』

唯「…」

唯(すごく変な感じ…)



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 10:55:26.57 ID:CCRwLSWN0

現在のシチュエーション、
平沢姉妹とその横に座る白人男性の幽霊。
確かにシュールである。

憂「ちゃんと牛乳も飲むんだよ!」

唯「うん!」

アドルフは微笑みながら、二人のやりとりを見守る。



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:01:07.02 ID:CCRwLSWN0

そして登校。
仲良く並んで歩く平沢姉妹。
一歩下がってその後を、アドルフがついて行く。

唯は時折、ちらちら、と、アドルフに視線を送る。

唯「…」

憂「どうしたの?おねーちゃん??」

唯「ううん!な、なんでもないよっ!」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:08:13.83 ID:CCRwLSWN0

アドルフが声をかける。

アドルフ『ゆい、黙って聞いてくれたまえ。』

唯「…」

アドルフ『どうやら私は、その鼈甲の小撥と離れてはいられないようなのだ。』

唯「!」

唯(地縛霊ってやつだね…)

ちなみに、ある場所や建築物に縛られているのが地縛霊である。
その理論でいけばアドルフは地縛霊でない。



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:15:36.33 ID:CCRwLSWN0

律「うーっす、ゆいー、ういちゃん」

澪「おはよう。」

唯「おはよう!りっちゃん、みおちゃん!」

憂「お早うございます!」

律や澪と行き会う。



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:20:36.02 ID:CCRwLSWN0

校門近く。
桜高の生徒が多く歩いている。

アドルフの表情は、無表情のそれに近くなっていた。
彼は、あまりアジア人種のことを好いていない。
というか、はっきりいえば嫌悪の対象である。

唯に対してだけは、まったく違うようだが。



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:28:34.67 ID:CCRwLSWN0

そして、場所は音楽室。
授業がはじまる。

さわ子「はーい、さっき配った譜面に注目。」

アドルフは唯の座席の隣に立ち、
音楽の教科書と、先ほど配られた譜面に目を向ける。

アドルフ『おお!これは…』

唯(そういえばアドルフって、ドイツ人だよね?
  でも、日本語は読めるみたい…)

生前の彼は、ラテン語すら満足に読めず、
ドイツ語以外の言語はまったく解さなかったはず。
ところが今は、日本語を読み取ることができるらしい。



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:39:38.83 ID:CCRwLSWN0

さわ子「とりあえず私が伴奏つきで歌います。
    一回目だから、感覚をつかむ程度に聞いてね。」

軽快なピアノの調べがはじまる。
そして歌い始めるさわ子。

さわ子「はるかに はてなく ♪」

アドルフ『!』



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:44:06.53 ID:CCRwLSWN0

さわ子「ドナウの水は ♪」

アドルフ『!!!』

ヨーハン・シュトラウスの『美しく青きドナウ』である。

ハードメタルビッチの彼女も、もちろん音楽教師。
一応、というか、かなりマジで上手い。
対して、うっとりするような表情のアドルフ。
さわ子の歌にすっかり聞き入っている。

アドルフ『…』

唯(…)

こうして、唯の一日が進んでいく。



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 11:55:55.02 ID:CCRwLSWN0

けれど音楽の授業以外ではむしろ、
アドルフは終始むっつりとした表情を浮かべていた。
アジア人への嫌悪に加え、桜高は女子高である。
生来の恥ずかしがり屋であるアドルフにとっては酷な環境だ。

そして、現代日本人の挙動を観察し、アドルフは強く思う。

アドルフ(…)

アドルフ(野生への回帰…野蛮なる文明…)



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:01:44.89 ID:CCRwLSWN0

アドルフ(日本人はアーリヤ人に劣らず、
     高い規律と徳性、品格をもっていたはず…)

アドルフ(…)

アドルフ(なんという退廃!!)

アドルフ(これは、もしや…)

アドルフ(わが祖国も…)



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:12:12.06 ID:CCRwLSWN0

そして、放課後の音楽室。

唯「みんなおはよー!」

音楽室に入る、唯とアドルフ。

澪「唯っ!大遅刻だぞ!」

梓「ほんとにもう!!」

唯「ごめんね~」

アドルフ(姦しい…)

律「やっと来…」

律「…」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:18:30.06 ID:CCRwLSWN0

律「!?」

律が目を剥く。

律「お、おまえが持ってるその大量の本は…」

唯「えへへ…図書室行ってたんだ。」

アドルフの頼みで、唯は図書室から借りられるだけの本を借りてきたのだ。
現代史や現代政治、現代の経済事情etcについての。

律「ど、どうしちゃったんだよ…」

梓「せん…ぱい…」

律と梓がひどく心配そうな表情で唯を見る。



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:24:16.91 ID:CCRwLSWN0

律「おまえが自分から…活字を読もうとするなんて…
  やっぱり…」

紬「ゆいちゃん!なんで相談してくれなかったの!!
  私たちお友達でしょう!?」

澪「いや、唯もこう見えてナイーブなところがあるから…」

唯「え…え!?」

アドルフ『?』

唯が精神的にどうにかなってしまったのでは!?
ということで、暗黙のうちに全員が一致している。



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:33:43.28 ID:CCRwLSWN0

唯「えっと…」

律「なあ唯!こころあけっ広げにして、お前の思うところを語ってくれよ!
  我慢するなよっ!!」

梓「もっと抱きついて来ていいですからっ!
  スキンシップをはかりましょうよっ!」

唯「あ、あのね…」

唯「この本、私が読むわけじゃないというか…」

律「!!」

梓「…もしかして憂のかわりに、とか?」



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:38:41.63 ID:CCRwLSWN0

唯「そ、そうだよ!憂に頼まれてね!」

結局、梓に調子を合わせる唯。

律「…」

律「なあーんだ…。たく…」

律が白けた様な顔をする。

澪「唯、心配させるなよ…」

アドルフ(もしや、ゆいは、あたまが酷くよ…)

アドルフはそう思い至ろうとするが、結局やめた。
えてして多くの女性とはそういうもの、と自分に言い聞かせて。



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:46:07.61 ID:CCRwLSWN0

律「あー白けた白けた。」

梓「もう、ほんとに…」

紬「唯ちゃんにもお茶入れるね♪」

唯「うん、お願い!」

そう紬に答えると、唯は自分の"指定椅子"に座る。



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:51:20.89 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『この子たちは、音楽室に遊びに来ているのか…?』

アドルフの、あきれたような声。

唯「あは、あははは…」

アドルフの素直な感想に、唯は反論できない。

アドルフは音楽室に来る途中、唯から、
彼女の素性や、この桜高について簡単に説明を受けていた。

アドルフ『けいおんがくぶ??』

アドルフ『いったい、どのような音楽を…』



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 12:58:21.88 ID:CCRwLSWN0

紬「はい、どうぞ♪」

紬はコースターに乗ったティーカップを唯の前に置く。

唯「ムギちゃん、ありがと♪」

紬「あ、そうだわ!唯ちゃん!」

唯「?」

紬「きのう唯ちゃんに貸してあげたあのピック!
  あの元の持ち主について、お父さんから色々聞いてきたの!」

唯「!!」

アドルフ『!』



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:04:57.27 ID:CCRwLSWN0

律「へー、そりゃまた。」

律がさも興味なさそうに、そう言う。

紬「あの持ち主のラウバルさんて方は、故人だったんだけどね、
  そこそこ有名なドイツのギタリストで…」

澪「持ち主は亡くなられてたのか…」

アドルフ『…』



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:14:22.19 ID:CCRwLSWN0

紬「それでね、彼の家族、というか親戚がかなりの有名人だったの!」

唯「え、どういう…こと??」

紬「彼はね、ラウバルさんはね…」

紬は一息ついて、さらに語りはじめる。

紬「あのアドルフ・ヒトラーのね…」

紬「ヒトラーの…お姉さんの子孫に当たるらしいの!」

唯「!」

アドルフ『!!』



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:17:17.25 ID:CCRwLSWN0

律「まぢかよ!?すげーなそりゃぁ…」

紬「お父さんがドイツの音楽会社の方からね、数枚あるうちの一つを…」

唯「アドルフって…有名人なの??」

きょとん、とした顔で、唯が質問する。

梓「え゛…」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:22:13.51 ID:CCRwLSWN0

澪「ま、さか、アドルフ・ヒトラーを知らないとか…ないよな?」

唯「?」

律「うちの馬鹿聡ですら知ってるぞ…ってか…」

律「…」

律「はいる!!ひっとらーー!!」



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:32:15.70 ID:CCRwLSWN0

律は突然そう叫ぶと、右手を前方斜め前に差しかざす。

アドルフ『…』

アドルフは気にも留めない。
彼は、自分とNSDAPを揶揄して、いわゆるナチス式敬礼を真似る"戯れ"が
旧連合国で流行っていたことを知っている。
かの国々で、自分が嘲笑の対象であったことも、勿論知っている。

律「…ってぐらいは聞いたことあるだろ??」

唯「あ、そういえば…」

唯の中で昔、聞いたことがあるような、
そんな、おぼろげな記憶が浮かび上がってくる。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:39:07.36 ID:CCRwLSWN0

澪「第二次世界大戦を引き起こしたドイツの独裁者で、
  ユダヤ人を何百万人も虐殺した人間だぞ。」

アドルフ『…』

唯「え…」

唯の頭の中に、混乱が生まれはじめる。



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:45:04.07 ID:CCRwLSWN0

梓「アンネの日記読んで、私何度も泣いちゃいましたよ…」

梓は哀しい目になり、そう言う。

唯「え…どういう…」

唯「どういうこと??」

そう言うと唯は隣に立つアドルフへ視線を向ける。
彼の顔を仰ぎ見るように。



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 13:53:28.92 ID:CCRwLSWN0

アドルフの視線と、唯の視線が交差する。
澄んだ青い瞳。澱みがまったく含まれぬ、混じり気の無い。

唯の魂が揺れる。静かに、波立つように。

アドルフ『ゆい。私はかつて―』

アドルフは語り始める。

アドルフ『ドイツ国の大統領兼首相だった。』

アドルフ『いや、それ以前に…』

アドルフ『一人の政治家だった。』



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:00:45.34 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『そして、死よりも忌むべき不名誉と絶望の中から、
     ドイツを再び蘇らせた。』

アドルフ『私の生涯は闘いだった。』

アドルフ『すべては、神の御旨のもと、われ等が祖国のため―
     私は闘った。』

唯「戦争を起こして…」

唯は問う。



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:09:47.12 ID:CCRwLSWN0

唯「たくさんの人を殺したの?」

目の前の男から視線をそらさずに。
まっすぐに、見つめて。

律「そうだぞ、ってなんであさっての方向に言ってんだよ…」

唯の問いは、友人たちに向けたものではない。

アドルフ『確かに私は戦争を始めた。しかし、私は戦争が好きなわけではない
     戦争は必要悪であることは確かだが、人間はやはり平和のうちに普段を生きるべきだ。
     しかし…』

アドルフ『しかしだ!』



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:17:57.89 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『我々を彼らは、悪魔だ、戦争狂だと言う!』

アドルフ『そんな者たちこそ、私から言わせれば憂鬱症で草臥(くたび)れただけの、
     相手にすることすら躊躇われる馬鹿者たちだ!』

アドルフ『そのような者達は、生の本質から目を背け…日々を生きているに過ぎない。』

アドルフ『彼らは歴史と世界の歩みを、まったく理解しようともしないし、
     また、できない。』

この男は何のために、唯に、いったい何を語っているのだろうか?
抽象的な論旨だが…
これは、弁明なのだろうか?それとも、自分の矜持を誇っているだけなのだろうか?



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:30:21.89 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『ゆい。確かに好き好んで戦争をはじめる人間もいる。』

アドルフ『けれど、そのような者たちの末路などは、そら寒く悲惨なだけだ。』

アドルフ『私は、祖国の人々のために闘いを選んだ。
     そうせざろう得なかったのだ。しかし、それから逃れようとすれば…
     同じく、悲惨な結末が待っているだけだろう。』

唯「…」

この男の言葉は、何かを帯びている。
声音に宿っているのか、その精神のうちから湧き上がってくるのか。
その澄んだ青い瞳に潜んでいるのか?

その身振り手振りは大仰にもなり、祈りを捧げるような、
小さくまとまった"かたち"にもなる。



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:40:14.94 ID:CCRwLSWN0

男の言っていることを、正直、唯は理解できていない。
けれど、一つだけ、解り出した、というか、ふと思い浮かんだことがある。

唯(アドルフにも、きっと…)

唯(きっと、じじょー(事情)があるんだ…)

唯「わかった。うん。」

唯「わかったよ。」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:48:58.36 ID:CCRwLSWN0

梓「本当ですか??あやしいなぁ…」

アドルフ『そうか…』

澪「まあ、唯のことだから…」

アドルフ『ゆいが理解してくれたのなら、私もうれしいよ。』

優しく微笑むアドルフ。

唯「うん!」

唯(そうだ、そうだよ。)

唯(こんなに純粋で優しいアドルフが…)



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 14:54:31.56 ID:CCRwLSWN0

そのときである。突然に、部室の扉が開く。

さわ子「おはろー!」

さわ子が来たようだ。

アドルフ『!』

さわ子「ムギちゃん、お茶ー。砂糖はいつもの倍ね。」

そう言うと、律の隣に腰掛けるさわ子。



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:02:44.80 ID:CCRwLSWN0

背もたれに大きく体重を預け、大股を開いて両足を無造作に放り出す。

さわ子「あー職員会議まじダルかった…」

首元からブラウスの中にに手を入れ、ぽりぽり、と脇を掻くさわ子。

アドルフ『…』

アドルフは目を疑っていた。



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:12:58.37 ID:CCRwLSWN0

これが今朝、『美しくあおきドナウ』を優雅に歌い上げた、
あの女性だろうか?
奥ゆかしい"清純"な女性だった、はず。

さわ子「でさぁ、その間中ずっとね、」

さわ子「体育の○○先生が、チラチラいやらしい視線むけてくんの。」

澪「うわぁ…」

律「マジで!?付き合っちゃえよ!」

さわ子「冗談!あんな筋肉ダルマこっちから願い下げ、
    というか正直キモいだけ。ほんとまじウザいわ。」

アドルフ『これは、酷い…』

唯「あははは…」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:19:53.19 ID:CCRwLSWN0

さわ子「ん?そのピック…」

唯「あ…」

テーブルの上においてあったピックを拾い上げるさわ子。

さわ子「鼈甲製じゃないの?」

さわ子「高校生の分際でこんな物百億年早いわよ。」



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:28:13.83 ID:CCRwLSWN0

澪「アドルフ・ヒトラーの親戚のギタリストの形見、
  みたいなものらしいんですけど…」

さわ子「ホントに!?」

突然、さわ子の目がきらきら輝きはじめる。

律「さわちゃんどったの?」

さわ子「大学生のころね、ナチスの服装真似てライブやってた時があったのよ!」

澪「親衛隊の黒い制服、とかでですか…?」

さわ子「そうそう!あたしはヴァッフェンSSの将校服だったわぁ…」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:36:18.95 ID:CCRwLSWN0

ヴァッフェンSSとは簡単に言えば、
ナチス党は親衛隊の、純軍事部門である。

梓「うわぁ…」

露骨に嫌悪感を示す梓。

アドルフ『…』

アドルフも梓に同じく。

さわ子「総統の『わが闘争』を入場券代わりにしたりとか…
    色々やったわねぇ…」

さわ子は昔の"杵柄"に思いを馳せているようだ。



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:44:22.12 ID:CCRwLSWN0

さわ子「で、どっちの子孫?ウィリアムパトリック??アンゲラ・ラウバル??」

紬「ラウバルさんて方の物らしいんですけど…あ、紅茶どうぞ♪」

紬が紅茶を運んでくる。

さわ子「サンキュー♪」

さわ子「へー、じゃあ総統のお姉さんの孫かひ孫か…」

律「ヒトラーって兄弟がたくさんいたの??はじめて知った。」

さわ子「総統自身は上から三番目だっけ。
    小さいころに死んじゃった兄弟もいたらしいけど…」

さわ子「上の二人、兄のアロイスと姉のアンゲラと総統は、
    腹違い、お母さんが違うの。」



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:55:30.71 ID:CCRwLSWN0

さわ子「ウィリアムパトリックは、アロイスの息子よ。」

さわ子「で、あとはお母さんが同じな妹、パウラ・ヒトラー。
    成人できたのは総統をあわせてこの4人よ。」

さわ子「アンゲラには息子一人と娘が一人いて、
    息子のレオには子孫がいるわ。」

さわ子「アロイスの息子がウィリアム・パトリックとハンツ。
    名前見てわかるように、
    ウィリアム・パトリックの方のお母さんがイギリス人で、
    アメリカに移住したんだけど…」




189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:57:59.24 ID:aGGx9DD80

さわこ詳しすぎだろwww



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 15:59:26.12 ID:VOsl3Eax0

さわちゃん歴史教師だったっけ?



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 16:01:27.21 ID:cbFHGqOfO

メタルにどっぷりはまってたらしいからな
多少詳しくても不思議ではない





193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 16:01:39.12 ID:CCRwLSWN0

さわ子「ウィリアム・パトリックにも三人、男の子供がいて
    現在もその三人は生きてると思ったけど…」

律「よく知ってるな…」

さわ子「結構調べたもの!」

アドルフ『ああ…!』

アドルフは憐憫の表情を浮かべている。

アドルフ『なんと、なんと可哀相な娘だ…このような娘が、美しい歌をうたい、
     そして、教育者であるなど…』



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 16:16:03.70 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『日本人に深い同情を覚えるよ…』

唯「あは、あはは…」

唯はもう笑うしかない。

さわ子「…」

さわ子「ねぇ、ゆ、い、ちゃん??」

猫なで声を上げるさわ子。

唯「な、なにっ!?」ゾクッ



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 16:21:37.61 ID:CCRwLSWN0

さわ子「そのピック、私に、ちょーだい?」

唯におねだりする、さわ子。

アドルフ『ブルッ…』

アドルフは怯えを見せる。

さわ子「ねぇ…」

唯の隣に来ると、艶かしく彼女を抱擁する。



209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 18:16:09.27 ID:CCRwLSWN0

紬「あらあらあらあら…/////」

紬が"わきわき"し始める。

澪「先生、そのピック、唯のじゃないですよ?」

さわ子「あら?じゃあもしかしてムギちゃんの?」

澪「半分正解、というか、琴吹家系列の店から
  レンタルしてもらったものなんです。」

さわ子「あらぁ…」



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 18:22:00.47 ID:CCRwLSWN0

さわ子は紬に擦り寄る。

さわ子「む、ぎ、ちゃぁぁん…」

紬「あ、せん、せぇ、あ…だめぇ…」

紬「みんなが、みて…あ…/////」

さわ子のしていることはあまりにも卑猥なため、
言葉にすることすら躊躇われる。

アドルフ『なんたる淫売…!!』



211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 18:31:41.49 ID:CCRwLSWN0

唯「さわちゃん、ごめんね…」

唯「そのピックでね、私がギー太と遊んであげたいんだ。」

さわ子「えー…」

唯「こればっかは、譲れないもん!」

唯のまなざし。

アドルフ『!!』

アドルフ(この…意思を湛えた眼差し。真っ直ぐな意思の…)

アドルフ(ヴァルハルの乙女たちも、斯くあるのだろうか?)



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 18:40:11.00 ID:CCRwLSWN0

澪「ちょっと待て。」

唯「え?」

さわ子「なに?」

澪「偉そうにそう言うお前は、」

澪「今ものんきにお茶してるだろう…」

唯「あ…」



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 18:47:10.54 ID:CCRwLSWN0

澪「練習。」

梓「そうですよっ!」

唯「う、うん…」

アドルフ『…』

そして、各々の楽器を取り練習を始める。



218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:02:28.42 ID:CCRwLSWN0

唯「1秒あれば それで十分 ♪」

澪「♪~」

律「セイセイ!!」

アドルフ『これは…』

唯「ずるいくらい男前 ボ~っと眺めていたら ♪」

梓「♪~♪~」

アドルフ『なんと…』



221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:08:01.28 ID:CCRwLSWN0

唯「Let's try! 無口すぎるキミ ♪」

紬「♪」

アドルフ『…』

唯「誰にも止められない ♪」

アドルフ『酷い…』


アドルフ『なんと、愚かしい…』



222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:16:34.52 ID:CCRwLSWN0

アドルフ『野蛮人の、原始音楽のようだ…』

そして、演奏が終わる。

唯「よし!」

梓「なかなか良かったです♪」

律「あー疲れた疲れた…」

アドルフ『…』

唯(あ、アドルフ…)

唯(ぼーってしてるね…聞きほれちゃったってやつ!?)

見当違いどころではない。



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:24:28.89 ID:CCRwLSWN0

唯達の演奏する音楽より推論して、アドルフはいくつかの帰結を得ていた。

アドルフ(おそらく、この少女たちの趣向が、
     この時代の日本において極めて特殊、ということはあるまい。)

アドルフ(わが国をはじめとする文明国も、おそらくは同様に…)

アドルフ(大衆音楽は、俗っぽく、単純愚鈍で、とても聞いていられたものではない。
     しかし、煤けた香りの中にすら、『歌』があったはずだ…)

アドルフ(だのに、これは…それどころの話ではなく…)

アドルフ(アンゲラの子孫もこのような?)

アドルフ(可哀相なアンゲラ!!)

アドルフ(…)

アドルフ(ああ…恐れていたことが…)



228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:32:39.75 ID:CCRwLSWN0

アドルフ(大衆の台頭が一層…)

アドルフ(マルクシズムめが死に体だと喜んでみれば…)

アドルフ(シュペングラー氏が生きていたならば、なんと書くだろうか…?)

アドルフ(おそらくその"弊害"は多岐に渡り、とてつもないほど人々の魂を汚していることだろう。)

アドルフ(…)

アドルフ(しかし、この娘は…)

唯を見やるアドルフ。



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:40:55.12 ID:CCRwLSWN0

アドルフは生前、多くの女性著名人たちと知的好誼を結んだ。
そしてアドルフは、唯に対し、それらの女性と同等の評価を覚え、
姪っ子にでも抱くかのような愛着を感じつつある。
唯は年若く、そして、アジア人であるのに。

唯から、決然とした、輝ける、直感へと通ずる才能を覚えるのだ。
夢遊病者の確信、と自ら評するごとく、アドルフは直感を高く扱う。

アドルフはまさに、ショーペンハウアーの行き過ぎた"弟子"であった。

そして、今、アドルフは、己が霊体として存在していることにより、
神の存在とその命令をはっきりと確信している。
彼自身の中で。



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/05(金) 19:48:36.59 ID:CCRwLSWN0

そして、人間の復活、キリスト教的な、である、
それも十分にありえる、と考える。
つまり自分が肉体を得て再び…

いやむしろ、再び…肉体を得る必要などあるのだろうか?
肉体が終始、精神に付きまとうなど、不便なだけでは?

アドルフ『そうだ…』

唯「??」

アドルフは、まず、唯を"教育"することに決める。
彼は生前、多くの人々を"教育"し、正道へ導いてやった、との強い矜持を持っている。

アドルフ『そうしよう。』

かつて死を選んだ男は、三度(みたび)、蘇るのか?




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[ 2011/09/23 00:00 ] 歴史 | アドルフ・ヒットラー | CM(0)

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