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唯「Your song」#前編 【非日常系】


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唯「Your song」#前編
唯「Your song」#後編




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:12:18.18 ID:7IPqmYrOP

&・U





4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:15:51.86 ID:7IPqmYrOP

唯「こんにちは」

さわ子「いらっしゃい唯ちゃん。久しぶりねー元気にやってる?」

唯「うん。さわちゃんも変わらないね」

さわ子「まだまだいけるわよ。あ、そうそうCD買ってるわよ」

唯「あはは、ありがとうございます」

生徒「失礼しまーす。さわちゃん先生~プリント持って来ました」

さわ子「はい。確かに受け取ったわ」

生徒「……」ポー

唯「ん?」ニコ

女生徒「あっすいません!し、失礼しました!」

さわ子「……あらあら。ところで唯ちゃん、綺麗になったわねえ」

唯「いやぁーそれほどでも。そういえばいまだにさわちゃんって呼ばれてるんだ」

さわ子「あなた達の所為でね。もう気にしてないけど」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:22:33.49 ID:7IPqmYrOP

さわ子「それで行くんでしょ?部室」

唯「もちろん!でも今から行って大丈夫なの?まだお昼過ぎだけど」

さわ子「ええ。もう活動してる部もなくなっちゃったしね」

唯「そっか……」

さわ子「それに今の時期3年生はほとんど学校に来ないから」

唯「そういえばそうだった」

さわ子「じゃあ行きましょ」

そう言ってさわちゃんが音楽準備室のカギを持って立ち上がる。
何年ぶりだろう、軽音部の部室へ行くのは。
私はギー太を担ぎ直してさわちゃんの後に続いた。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:28:35.16 ID:7IPqmYrOP

さわ子「しっかしギリギリだったわね」

唯「忙しくて中々こっちに戻ってこれなくて」

さわ子「でしょうねえ。今は一人暮らしなの?」

唯「うん。それにしてもさわちゃんが私のCD買ってるとは思わなかったよー」

さわ子「教え子のCDなら当然買うわよ。梓ちゃんのバンドのCDだって買ってたわよ」

唯「そう…………でも私のってメタルじゃないよ?」

さわ子「メタル以外だって聞くわよ……パンクとか」

さわ子「それに最近の唯ちゃんの曲って少し変わってきてるしね」

さわ子「初期の『ごはんはおかず』だっけ?あれは衝撃だったわ」

唯「今年で4年目だからね~」

それだけやっていると少なからず曲の好みや歌詞にも変化が表れる。
それこそ最初は『ごはんはおかず』のような詞も書いてたけど
今はしっとりした曲だって作ってるしね。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:38:36.21 ID:7IPqmYrOP

唯「うわーこのカメ懐かしいな」

さわ子「ふふ、私は見飽きちゃったわ。それでももう見れなくなると思うと寂しいけどね」

桜高は今の3年生が卒業したら廃校になる。
さわちゃんが言うには少子化と校舎の老朽化が原因らしく校舎の再利用もしないらしい。
学校には卒業間近の3年生しか在籍していないため平日でもほとんど生徒がいない。

唯「今日は悔いの残らないようにしなきゃ」

さわ子「そうね。あ、部室で練習するの?」

唯「ううん、実は部室で曲を作ろうと思って」

さわ子「へぇ~ニューシングル?」

唯「ううん、今度出すアルバムに入れる予定なの」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 06:49:06.60 ID:7IPqmYrOP

さわ子「でも1日でなんとかなるの?」

唯「曲は大体出来てるんだけどせっかくだからここで作ろうと思って」

私がここに来た目的の一つがこれ。
思い出の部室で詞を書きたかったからだ。

さわ子「期待してるわ。あ、アルバム発売したらもちろん買うわよ」

唯「じゃあさわちゃんの給料日に発売しなきゃ」

さわ子「……こう見えても計画的に貯蓄してるのよ?」

それに作りたい曲がある。
今じゃなきゃ駄目で、この場所で作りたい曲。
それを今度のアルバムにどうしても入れたい。
私の最後のアルバムだから。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:00:07.72 ID:7IPqmYrOP

さわ子「さて、着いたわよ」

さわちゃんが鍵を回して扉を開ける。
私が在籍していた時には鍵なんて掛かってなかったような。

唯「もう音楽準備室って使われてないの?」

さわ子「そうねえ、最近出入りしているのは私くらいかしら」

唯「そっか、さわちゃん音楽の先生だもんね」

さわ子「違う違う、こっちよ」

そう言ってさわちゃんは棚からティーカップとコーヒーカップを取り出す。

さわ子「コーヒーと紅茶どっちがいい?」

ティータイムは密かに受け継がれていたらしい。

さわ子「インスタントとティーパックだけどね」

唯「じゃあ紅茶でお願いします」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:11:07.44 ID:7IPqmYrOP

さわ子「それじゃポットに水入れてくるわね」

唯「あ、私がやるよ」

さわ子「今日の唯ちゃんはゲストなんだからいいのよ。ちょっと待っててね」

唯「はーい」

部室を見回すと昔よりも片付いている気がした。
ドラムセットとキーボードがないからかな。
それでも昔と変わらないソファーやホワイトボード、みんなで使っていた机は今もそこにある。
私の指定席だった机を撫でて郷愁に浸っていると端のほうに落書きを見つけた。
落書きと言うよりも彫刻刀か何かで字が彫られていて所々に消しゴムのクズが詰まっている。
そこには縦書きでみお、りつ、ムギ、あずにゃん、ゆいと書かれていた。
そういえばこんなことをしたような気もする。

唯「あ……」

あずにゃんとゆいの間には相合傘まで彫られている。
今一思い出せないけど私の席にある落書きなんだから私が書いたのだろう。
身に覚えが無くても少し恥ずかしい。

だけど、なんだかいい詞が書けそうな気がしてきた。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:21:09.11 ID:7IPqmYrOP

さわ子「おまたせー」

さわちゃんはさっそくティータイムの準備に取り掛かる。
ポットのコンセントを入れて棚から大量のお菓子を取り出して机の上に置いた。

唯「こんなにお菓子溜め込んでていいの?」

さわ子「バレなきゃいいのよ」

さわちゃんは相変わらずだった。
いくらばれないからといっても(年齢的に)如何なものだろうか。
とか思ったけど当時とあまり変わらないさわちゃんを見てるとなんだか嬉しい。
それにお菓子はいくらあっても困らないしね。

唯「相変わらずだねさわちゃん」

さわ子「ここが私の憩いの場なんだから。これがないとやってられないわ」

唯「じゃあ私も~。いただきます」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:31:22.43 ID:7IPqmYrOP

唯「おいしい~」

さわ子「こういうのもおいしいけどやっぱりムギちゃんが持ってくるお菓子のほうがよかったわ」

唯「お菓子持ってきてくれる子はいないの?」

さわ子「そんなありがたい生徒は後にも先にもムギちゃんだけね。あ、お湯沸いた」

ティーカップとコーヒーカップにお湯が注がれる。

さわ子「はいどうぞ」

唯「ありがとうございます」

少し冷ましてから一口頂く。

唯「はぁ~」

唯「ここでお茶飲んでるとなんだか懐かしいな」

さわ子「そうねえ……」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 07:48:03.06 ID:7IPqmYrOP

さわ子「まあでもみんな元気そうで何よりだわ」

唯「みんなと会ったの?」

さわ子「梓ちゃん以外はみんなここに来たわね」

唯「そっかぁ……」

さわちゃんとまったりお茶していると部室のスピーカーから校内放送が流れた。

  『山中先生、山中先生、至急職員室に来て下さい』

さわ子「げ」

唯「あはは」

さわ子「仕方ない……ちょっと行ってくるわ。ポットとかはそのままにしておいていいから」

さわ子「それじゃ曲作り頑張ってね」

唯「はーい」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:02:46.61 ID:7IPqmYrOP

唯「さてと」

あまり時間が無いのを忘れてついついまったりしてしまった。
ギターケースからギー太を取り出してチューニングする。
それから机にノートとペンを出して作詞の準備完了。
歌詞を書いてその都度弾き語りをして語感を確かめて……という作業になる。
題名はもう決めてある。
歌詞の大まかな内容も。

唯「……よし」

出だしは部室とこの机を見たときに思いついた。
あとは、ここで出会ってから始まったことを書き記せばいい。
この歌は私の音楽を聴いてくれる人のためにつくる歌じゃない。
最後の最後でちょっと申し訳ないけど。
誰のためでもなくて、
これは私がたった一人の女の子を思ってつくる歌。

軽く深呼吸してからピックを持って弦を押さえる。



――君を思い出すこの場所で 僕はただ目を閉じて歌う 君の歌



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:06:14.36 ID:7IPqmYrOP




  「Your song」





23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:11:57.57 ID:7IPqmYrOP

――――――――――――

――――――――

――――



梓「1年2組の中野梓といいます」

梓「よろしくお願いします。唯先輩」

小さくて可愛い子だなぁ、というのが第一印象。
(二日目の途中まで)大人しくて真面目で音楽に対して直向な女の子。
中学の時は帰宅部で後輩と縁の無かった私は
初めて出来た後輩を思いっきり可愛がった。

唯「あずにゃーん!むちゅううう~」

梓「ぎゃー!」

このストレートすぎる愛情表現が功を奏したのかも。
って前に本人に言ったら怒りながら否定されちゃったけど。

あずにゃんが入部してから軽音部はより一層楽しくなった。
最初は主に私とりっちゃんとさわちゃんの所為であずにゃんを怒らせちゃったりしたけど、
次第に軽音部の空気に慣れていって(?)私達はすぐに仲良くなった。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:22:57.53 ID:7IPqmYrOP

唯「あずにゃんぎゅ~」

梓「離れてください!練習しますよ!」

澪「まったく、見てるほうが暑苦しいよ」

律「あついと言えばそろそろ合宿だな!」

紬「そういえば準備がまだだったわね」

唯「そうだった!りっちゃん!」

律「おう!そういうわけで今日は後で買い物に行こう!」

唯「おおー!」

紬「おおー!」

梓「先輩方がやる気まんまんだ!」

澪「はは……」

こうして今日の部活は練習もそこそこに買い物へ出かけることになった。



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:33:00.60 ID:7IPqmYrOP

梓「結局楽器屋にすら行かなかった……」

唯「まあまあ、かわいい水着買えたからよかったじゃん」

梓「よくないですよ!合宿というより旅行の準備だったじゃないですか!」

唯「大丈夫だよ~ムギちゃんの別荘は機材もちゃんとあるんだから」

梓「そうかもしれませんけど……」

唯「私もちゃんと練習するしね!」

梓「……」

唯「……ほんとだよ?」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:44:01.89 ID:7IPqmYrOP

唯「それにほら、息抜きも必要って澪ちゃんが」

梓「唯先輩が言ってもなあ……」

唯「うっ……ひどいよあずにゃん。私だってやるときはやるんだよ?」

梓「う……そ、そうですよねっ。早く合宿で思いっきり練習したいです!」

唯「うん、私も頑張るよ!」

梓「はい」

唯「あ~楽しみだなぁ(海が)」

梓「私も練習が楽しみです」

今年の合宿は去年よりも面白くなりそう。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 08:55:54.68 ID:7IPqmYrOP

澪「練習が先!」

唯「遊ぶ!」

律「遊ぶ!」

梓「練習がいいですっ」

紬「遊びたいでーす」

梓「……」

待ちに待った合宿当日。
最初は不満そうだったあずにゃんだけど一度遊び始めたらとても楽しそうにしてて可愛かった。

律「さてはスポーツとか苦手な人?」

梓「そんなことありません!やってやるです!」

負けず嫌いのあずにゃん可愛い。
それから日に焼けたこげにゃんも可愛いなあ。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:07:21.23 ID:7IPqmYrOP

それからBBQや肝試しをやってみんなでお風呂にも入った。
合宿だからもちろんみんなで練習もしたんだけど、
みんなが寝静まった後に夜の日課をこなすため一人で練習室に向かう。

唯「やっぱり寝る前にやっておかないと落ち着かないや」

今度の学園祭で演奏する曲の練習に取り掛かる。
曲は『ふでぺん ~ボールペン~』。

唯「う~んできない……」

こういう時は流石に楽譜くらい読めるようにしないとって思うんだけどね。
あまり進展しないまま練習を続けていると後ろで扉の開く音がした。

梓「あの、唯先輩」

振り返るとあずにゃんが扉の端から顔だけ出してこちらを伺っていた。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:17:29.99 ID:7IPqmYrOP

唯「ごめんね、私の練習につき合わせて」

梓「全然気にしないで下さい。私も唯先輩ともっと一緒に練習したいと思ってたんです」

唯「ありがと~」

嬉しそうに答えるあずにゃんを見てると
本心から言ってくれてることがわかってこっちまで嬉しくなる。

梓「でもどうしてこんな時間に?」

唯「私寝る前はいっつもギターの練習してるんだ」

唯「だからちょっと落ち着かなくて……」

梓「それじゃあ寝る前は毎日練習を?」

唯「うん」

梓「……」

唯「どしたの?」

梓「ちょっと見直しました」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:31:28.91 ID:7IPqmYrOP

唯「も~あずにゃんてば~照れるなあ」

梓「そこまで褒めたつもりはないんですけど……」

梓「でも」

唯「ん?」

梓「たまに凄く上手いときがある理由がわかりました」

唯「え~、たまに?」

梓「ライブの時は特に」

唯「それって褒めてるの?」

梓「ええ。それに唯先輩の演奏はなんだか不思議な感じがします」

唯「不思議?」

梓「言葉にしにくいんですけど……素敵な演奏だと思います」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:41:28.90 ID:7IPqmYrOP

唯「そっか~ありがとうあずにゃん」

梓「いえ、それより練習を始めましょう」

唯「そだね」

梓「わからないところがあるんですよね?」

唯「うん、ここの出だしなんだけど」

梓「えっと……」

楽譜を確認してギターを構えると私に見本を見せてくれる。
やっぱりあずにゃんの演奏は丁寧でとっても綺麗。

唯「あずにゃんうまいね~!」

梓「え、そんなことないですよっ」

そんなことあるんだけどあずにゃんはいつも謙遜する。
真面目な性格なのもあるけどきっとあずにゃんが見ているところはもっと高い所なんだろう。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 09:51:31.38 ID:7IPqmYrOP

唯「じゃあ次私ね」

さっそくあずにゃんが弾いてくれたようにやってみるけどうまくいかない。

唯「あぅ、ここが難しいんだよねぇ」

梓「最初はスローテンポで弾いてみればいいんですよ」

唯「こう?」

あずにゃんに言われたとおりやってみる。
これなら……

唯「できた~!」

梓「ふふ」

唯「あずにゃんに出会えてよかったよ!」

梓「えっ」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:02:32.63 ID:7IPqmYrOP

唯「あずにゃ~ん!」

梓「あっ」

嬉しくてあずにゃんに抱きつく。

唯「うあは、い~ひひ~、ありがとーあずにゃん」

梓「んん……ふふっ」

急に抱きつかれて戸惑った顔をしてたけど次第に頬を染めて笑ってくれた。
その後も遅くまで練習してたから次の日は二人して寝不足になっちゃったんだよね。

この合宿が終わってからあずにゃんは前よりも私を慕ってくれるようになった。

梓「あっ!ギター壊れちゃうじゃないですか!どいてください!」

唯「あうっ」

多分だけど。



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:14:28.10 ID:7IPqmYrOP

夏以来あずにゃんとギターの練習をする機会も増えてギターの腕もどんどん上達。
いよいよ学園祭だーっていう時に私は風邪を引いた。
中々治らなくて、でも学園祭の日がどんどん近づいてきてて……
焦っていた私は比較的調子がいい日に部室へ行くことにした。

唯「やっほー」

律「うわ、激しくデジャヴ!」

梓「唯先輩!」

憂「お姉ちゃん!」

唯「あ、ういもいたの~?」

澪「もう大丈夫なのか?」

唯「ういっくしっ!」

べちゃあ。

唯「うん、もう大丈夫!」

律「嘘つけ」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:25:28.75 ID:7IPqmYrOP

練習するために部室に行ったのに着いたらすぐにダウンしてしまった。
起きた時は調子よかったんだけど……

澪「熱全然下がってないじゃないか!」

唯「学園祭までもう少しだから練習しようと思ったんだけど……本番は私抜きの方がいいかも」

唯「あずにゃん、ギターは任せたよ」

梓「……嫌です」

あれ。

梓「唯先輩と……みんなで本番できないのなら辞退した方がましです!」

唯「あずにゃん……」

ごめんねあずにゃん。
せっかく練習に付き合ってもらったのに。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:36:33.90 ID:7IPqmYrOP

そのあと澪ちゃんの考えを聞いて、私は本番まで諦めずに風邪を治すことにした。
そして学園祭当日。

唯「ん……ふぁあ~……よく寝た」

身体を起こしてみてもフラフラしない。
ギリギリで治ったみたい。
よかったぁ~。
着替えるためにベッドから出て、ついでに時計を見る。
時刻は11時。
……ちょっと危なかったかも。

リビングへ行くと私の朝食と、その隣にメモが置いてある。

『無理しないでね お姉ちゃん』

ありがと~ういー。

唯「いただきます」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:47:36.28 ID:7IPqmYrOP

校門を潜るとそこら中に出店が立ち並んでいてとても賑っている。
おいしそうな食べ物がいっぱい……
部室に行く前にちょっとだけ……いやいや。
そんなことを考えていると、

さわ子「唯ちゃん!風邪治ったの?」

さわちゃんがやってきた。

唯「もうバッチリだよ!」

さわ子「よかったわね。それならちょっといらっしゃい」

唯「?はーい」

こうしてみんなより一足先に浴衣(防寒バージョン)を着てから部室へ。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 10:58:39.26 ID:7IPqmYrOP

さわ子「そしてこれがその衣装です!」

唯「失礼しまーす……」

律「唯!」

澪「来てたんなら真っ先にここに来い!」

唯「ごめんなさい……ん?あずにゃん?」

梓「最低です……こんなにみんな心配してたのに……最低です!」

唯「あっ……」

目に涙を浮かべたあずにゃんがそっぽを向いちゃった。
あああ……。

澪「ちゃんと埋め合わせしろよ。梓が一番心配してたんだから」

唯「え、そうなの?あずにゃん……!」

梓「まったく駄目すぎです!大体……」

唯「ぎゅっ」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:09:41.82 ID:7IPqmYrOP

小さく震えているあずにゃんを後ろから抱きしめた。

唯「あずにゃんごめんね?心配かけて……。私精一杯やるよ。最高のライブにするから」

梓「もう……特別ですよ?」

唯「あずにゃん……!むちゅchu~!」

梓「えっ!?」

唯「んうっ……?」

梓「んむっ!?」

あれ……



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:20:54.74 ID:7IPqmYrOP

やわらかい……じゃなくて。
急にあずにゃんが振り向いたので冗談のつもりが冗談にならなかった。
あずにゃんは目を見開いて固まっている。

唯「あっ、ごめんあずにゃん。ほんとにちゅーしちゃった……」

そう言うとあずにゃんの顔が見る見る赤くなっていく。
せっかく仲直りしたのにこれはまずいかも……

パチンッ☆ミ

唯「おぽっ」

梓「な、なにするんですか!」

左頬がピリピリする。
流石にしょうがないよね。
恐竜男子の人だって失敗する時はあるみたいだし。

梓「はっ、つい……」

律「何やってんだよお前ら……」

唯「う、ほんとにごめんね?」

梓「い、いえ……」



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:31:54.66 ID:7IPqmYrOP

澪「まったく、そろそろ講堂に行くぞ」

唯「はーい。あずにゃん、行こ?」

梓「……」

唯「あずにゃん、やっぱり怒ってる?」

梓「……えっ?あ、怒ってないですよ」

唯「そう?じゃあ講堂に行こっ」

梓「あ、はい」



紬「ぁぁ……」

律「何やってんだよムギー。早く行くぞ」

紬「あっ、今行きまーす!」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:43:01.53 ID:7IPqmYrOP

そのあと私のせいでまたみんなに迷惑掛けちゃったけど、ライブはなんとかなった……かな。
学園祭も終了して、今はみんなで打ち上げのキャンプファイヤーを少し離れて見ている。

律「いやーひどい演奏だったな」

澪「はは……」

唯「だって風邪ひいてて練習できなかったんだも~ん」

紬「まあまあ」

律「梓も言いたいことがあるんじゃないか?」

りっちゃんがニヤニヤしながらあずにゃんに問いかける。
私に追い討ちをかける気満々ですね。

梓「……えっ、なんですか?」

律「だから~今日の唯の演奏だよ」

梓「あ、ああ、そうですね……だめだめでした」

唯「うう……」

梓「……」

あれ、もう終わり?
あと数十分は説教されるかと思ったのに。



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 11:54:38.00 ID:7IPqmYrOP

学園祭で一仕事終えた軽音部は早速いつものティータイムにシフトしていった。

律「やっぱこれだな~」

紬「ほぁ~」

澪「やっぱりこうなるのか……」

梓「……」

澪「そろそろ練習しないか?」

律「学園祭も終わったばっかりだしまだいいんじゃないか」

澪「もう1週間経ったぞ……唯を見てみろ。ちゃんと自主練してるぞ」

律「おおっ!」

紬「最近唯ちゃん頑張って練習してるわね」

唯「うん、学園祭ではみんなに迷惑かけちゃったしね」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:14:28.26 ID:7IPqmYrOP

律「まさか唯が自主練してるところを見ることになるとは……」

唯「む、これでも家ではちゃんと練習してるんだよ?りっちゃんもやろうよ~」

律「あと1杯だけー」

紬「さっきりっちゃんがおかわりしたので最後だったの」

澪「そういうわけだから練習するぞ。梓だって練習したいよな?」

梓「……あ、はい、もちろんです。唯先輩が頑張ってるんですからやりましょうよ」

律「それもそうだな。よーしやるぞー!」

唯「やったあ!ありがとうあずにゃ~ん!」

さっそく抱きついてみる。
1日1回はやっておかないとね。



63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:25:01.95 ID:7IPqmYrOP

唯「あずにゃんぎゅ~」

梓「……」

あれ?
反応がないとなんだかちょっと寂しい。
身体を離してあずにゃんの顔を覗く。
私が目を合わせる前にあずにゃんはそっぽを向いてしまった。

梓「は、早く練習しましょう!」

律「そうだそうだー」

梓「律先輩が言わないでください!」

澪「まったくだ」

紬「ふふ」

澪「よーし、じゃあ始めるぞ」

唯「わー待って待って!」

急いでギー太にシールドを差し込む。
あずにゃんは私に背を向けてアンプの調整をしている。
それをなんとなく眺めていると耳と首筋が赤味掛かっていることに気付いた。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:44:33.12 ID:7IPqmYrOP

唯「寒ぅ~」

梓「寒いですね」

今日の部活はとても充実していた。
ティータイム推進派のりっちゃんもいざ練習が始まると楽しそうに演奏していた。
なんだかんだでみんな音楽が大好きなんだよね。
そんなりっちゃん達とも別れて今はあずにゃんと二人の帰り道。

唯「……」

梓「……」

最近あずにゃんの反応がどうも気になる。
二人でいる時に話を振ってくれる回数が減ったような。
でも、

唯「今日のごはんはなんだろうなぁ~」

梓「もうご飯のこと考えてるんですか。たまには憂を手伝ってあげればいいじゃないですか」

唯「それが中々手伝わせてくれないんだよね。なんでだろう」

梓「それは……なんとなくわかりますけど」

話しかければ普通に返してくれる。
私の気のせいかな。



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 12:57:22.50 ID:7IPqmYrOP

話しかけたら普通に接してくれるし部活ではギターも教えてくれるので
気にしないで過ごすことにした。
それから暫くたった日の帰り道。

律「そろそろバレンタインだな」

唯「そういえばそうだね」

律「なあ澪ーチョコ作ってよー」

澪「自分で作ったらどうだ?」

律「なんだよケチ~。あ、ムギ!チョコくれ!」

澪「毎日お菓子貰ってるだろ……」

律「それもそうだな……唯!」

唯「うん?」

律「――はいいや」

唯「りっちゃんひどい!」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:08:33.02 ID:7IPqmYrOP

律「だって唯料理とか出来ないだろ」

唯「そんなことないよ」

律「ほんとかー?それなら作ってよ」

唯「りっちゃんに?……やめとくよ」

律「ひでえ」

紬「りっちゃんは誰かにあげたりしないの?」

律「私?ないない」

唯「そうなんだぁ。あずにゃんは?」

梓「私もあげる相手は……特に」

唯「そっかーそうなんだ……」

唯「……あ」

梓「なんですか?」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:19:37.86 ID:7IPqmYrOP

唯「ううん、なんでもない」

梓「?そうですか」

日頃の感謝を込めてあずにゃんにチョコを作るのはどうだろう。
いつもギター教えてもらってるし。
あずにゃんにチョコあげたら喜んでくれるかな?

唯「よし!」

律「?」

決めた。あずにゃんにチョコを送ろう。それも手作りで。
どうせあずにゃんも私のことを料理の出来ない人だと思っているに違いない。
ここはおいしいチョコを作ってぎゃふんと言わせてやろう。
待てよ、作るのはチョコ以外でもいいよね。
マカロンは簡単に作れるって憂が言ってたな。
いや、ここは思い切ってケーキとか!
あ、マドレーヌもおいしいよねえ……

梓「先輩!」

唯「……あえ?」

梓「どうしたんですか?」

唯「あ、なんでもないよ。あれ、みんなは?」

梓「さっき別れたじゃないですか」



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:30:47.19 ID:7IPqmYrOP

唯「憂~ただいま~!」

憂「おかえりお姉ちゃん」

唯「ねえ憂、お菓子作り教えて!」

ここは憂先生にお願いするのが一番。
さっそく訳を話して本題に入る。
憂は少しびっくりしつつ何故か真剣に話を聞いていた。
それから二人で協議した結果いちごのロールケーキを作ることになった。
あずにゃんはケーキ好きだし私もロールケーキ食べたいし完璧だね。
バレンタイン用だけどチョコケーキは最近食べたからやめちゃった。

この日からバレンタイン前日まで憂先生との特訓は続いた。
私達は毎日ケーキを作って食べた。
それでも完成品のケーキの出来がすごくよかったから
私一人で半分以上食べてしまった。
残ったのは憂とあずにゃんの分だけ。
やっぱり自分で作ったケーキは一味違うね。
明日はこれをあずにゃんに食べさせてぎゃふんと言わせよう。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:42:07.72 ID:7IPqmYrOP

バレンタインデー当日。
みんながお茶を飲んでまったりする中、私だけそわそわしていた。
りっちゃんにいつも以上に落ち着きがないなんて言われて、
それを澪ちゃんとムギちゃんに同意されてしまう。
そんなこと言われてもドキドキするんだからしょうがないよ。
あずにゃん早くこないかなぁ。
ケーキあげたら驚くかな?
これを機に尊敬してくれるかも。

梓「こんにちは~」

律「おー」

澪「お疲れ」

紬「今お茶入れるわね」

唯「あ!あずにゃん来た!!」

梓「ど、どうしたんですか唯先輩」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 13:54:49.52 ID:7IPqmYrOP

律「なんだよ梓がいなくて寂しかったのか?」

唯「はずれです!」

梓「律先輩は……それで、どうしたんですか?」

唯「実はケーキを作ってきました!」

梓「ええっ!」

律「唯が!!」

澪「ケーキを!?」

紬「すごーいっ!」

唯「ふっふっふ。もっとほめて」

梓「先輩お菓子作れたんですね……」

唯「まあね~!というわけで早速食べてみてよ!」

律「ちょっとちょっと!私にもくれよ~」

唯「あ、ごめん。あずにゃんの分しかないんだ~」

律「え」

梓「……え」



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:06:18.64 ID:7IPqmYrOP

律「なんだよ唯のケチ~」

律「梓ばっかりずるい……それにしてもお前達仲いいよなー」

梓「っ!」

澪「そうだな」

紬「そうね」

唯「えへへ。じゃああずにゃん、はいあーん」

梓「いやですっ!!」

唯「えっ……」

梓「あ、いや、自分で食べられます!そ、それより皆さんで分けましょうよ!」

紬「でも一切れしかないよ?」

梓「大丈夫です!あ、私お皿とフォーク出しますねっ!」

澪「……梓?」

律「なんかごめん……」

紬「……」



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:18:44.18 ID:7IPqmYrOP

律「おおっ!すっごくうまいぞ唯!」

澪「あ……ほんとだ」

紬「唯ちゃんすごい!」

唯「えへ~それほどでも。あずにゃん、おいしい?」

梓「……あ、おいしいです」

唯「そっか。よかった~」

律「でもどうせ憂ちゃんに手伝ってもらったんだろ?」

唯「失礼な!作り方は教えてもらったけどこれは私一人で作ったんだから」

律「へぇ~意外だ」

澪「確かに」

梓「……」

結局一人四口くらいしか食べてないけどみんなおいしいって言って食べてくれた。
だけど――



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:28:20.01 ID:7IPqmYrOP

澪「遅かったな」

唯「今日掃除当番だったんだ~」

唯「ムギちゃん今日のお菓子は何?」

紬「今日はチョコフォンデュよ」

唯「いただきます!はむっ……んまーい!」

唯「おいしいよあずにゃん!」

梓「……そうですね」

律「しかし学校でやるとは」

紬「みんなでやりたかったの」

澪「おいしい……そういえば唯、新歓ライブの曲だけど」

唯「あう、実はまだうまく出来なくて……」

唯「あずにゃんたすけ――」

梓「ちょっとトイレ行ってきます」

唯「あら、じゃあ後でよろしくね」

梓「……」



88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:39:45.65 ID:7IPqmYrOP

唯「ねえあずにゃん、コンビニ寄ってっていい?」

梓「あ……今日はすぐ帰らないといけないのでっ」

唯「そっかあ、じゃあ」

梓「すいません私先に行きますね!」

唯「――寄らなくていいや……って」

行っちゃった。
前までは話しかけたら普通に返してくれたのに。
あずにゃんの方からギターを教えてくれてたのに。
最近おかしいなと思っていたけどたった今露骨に避けられてしまった。
思い返してみるとバレンタインあたりから避けられてるような。
私何か悪いことしちゃったのかな。
うーん……思いつかない。
こういう時は……うん、直接聞いてみよう。



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 14:52:05.20 ID:7IPqmYrOP

思い立ったらなるべく早めに実行。
そんなわけで次の日の部活の帰り道に聞くことにした。

律「じゃなー」

澪「じゃあ」

唯「うん、ばいばーい」

梓「失礼します」

よし、これであずにゃんと二人きりになった。
なんだかドキドキしてきたな。

梓「……」

唯「ね、ねえあずにゃん」

梓「……なんですか」

唯「えっと、もしかして私あずにゃんのこと怒らせちゃったかな?」

梓「っ……いえ、そんなことないです」

唯「そう?でも――」

梓「……」

唯「最近あずにゃんが冷たいかな~、なんて」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:03:18.59 ID:7IPqmYrOP

梓「……そんなことないです」

唯「……そう」

こっち向いて喋ってくれないんだ。
もしかして嫌いになっちゃったとか?
そんなの嫌だよ。
でも……聞いておかないと。
もしそうなら私も距離を置かないと。

唯「私のこと、嫌いになっちゃった……かな」

梓「そんなことないですっ」

あ、こっち向いてくれた。
あずにゃんがそう言ってくれるなら――
私はその言葉を信じることにした。



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:14:12.60 ID:7IPqmYrOP

嫌いじゃないなら……話しかけたりしてもいいよね。
それからはあずにゃんに猛アタックすることにした。
また前のあずにゃんみたいになってくれるかもしれないし。
ほんとは嫌いって言われたら……その時はその時だ。

唯「あずにゃ~ん!」

梓「……」

唯「ぎゅ~ってしていい?」

梓「……」

唯「返事がないってことはいいってことだよね!」

梓「いやです」

拒絶されてるけどめげない。
押して押して押しまくる。
自分でもなんでこんなに必死なんだろうって思うけど。
私まで引いちゃったら本当に会話がなくなっちゃう。

でも私の努力も実らずに4月に入る。
私も3年生になっちゃった。
もうすぐ新歓ライブなのに……



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:25:27.68 ID:7IPqmYrOP

憂「ご飯できたよ~」

唯「……いただきます」

憂「いただきます」

唯「……もうだめだぁ~!」

憂「うわぁ!急にどうしたのお姉ちゃん」

つい弱音を吐いてしまった。
今まで誰にも相談してなかったけど、こうなったら憂に話してみようか。
澪ちゃん達にはとっくにばれてていろいろ突っ込まれた。
それでもなんとか誤魔化してたけど……解決しなきゃ意味がない。

唯「ねえ憂、最近あずにゃんの調子どう?」

憂「どうって?お姉ちゃん今日も部活で会ってたんだよね?」

唯「あ、うん、クラスではどうしてるのかな~って」

憂「……」

唯「憂?」

憂「梓ちゃん最近ずっと元気ないよ」



106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:37:02.43 ID:7IPqmYrOP

唯「えっ」

憂「1年の終わりからずっとかな。2年になってもまだ……」

唯「そうだったんだ」

憂「部活ではどうなの?」

唯「えっと、ある意味元気ないかも」

憂「そうなんだ」

唯「……憂と話してる時はどう?」

憂「う~ん、話すと割と普通なんだけどね」

唯「そっか、普通、なんだ」

憂「うん」

唯「憂、実はね――」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:47:53.94 ID:7IPqmYrOP

憂「梓ちゃんに避けられてるっ!?」

唯「うわっ、ご飯粒吹いてるよ!」

憂「あっごめん!……それで?」

唯「うん、確かバレンタインの辺りから。その前から少し変だったんだけど」

憂「そうだったんだ……。それでお姉ちゃんはどうしてるの?」

唯「積極的にアタックしてます」

憂「ええっ!」

唯「でも進展しないんだよねえ。
  あずにゃんは私のこと嫌いではないって言ってたんだけど……」

憂「……うん。多分だけどそれでいいと思うよ」

唯「そう?余計に避けられたりしないかな」

憂「大丈夫だと思うよ」

唯「そっか」



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 15:59:09.86 ID:7IPqmYrOP

唯「それならとことんアタックしてみるよ!」

憂「うん!きっと何とかなるから頑張ってね!」

唯「ありがと憂!」

憂「ところでお姉ちゃん……」

唯「何?」

憂「お姉ちゃんって梓ちゃんのこと……好きなの?」

唯「え?もちろんだよ」

憂「そうじゃなくて……やっぱり何でもない。
  あ!そういえば今日アイス買ってきたんだよ!」

唯「やった!デザートに食べよう!憂も一緒に食べよ?」

憂「うんっ」

憂に話したらなんだかすっきりした。
自分が思ってた以上にへこんでいたのかもしれない。
よし、明日は軽音部のみんなにも相談してみようかな。



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:10:09.29 ID:7IPqmYrOP

律「やっとかよ」

唯「え?」

澪「だってずっと相談してくれないし隠そうとするし」

唯「えへへごめん」

紬「私達も心配してたのよ?」

唯「そっか、ありがと」

律「よし!こうなったら私がビシッと言ってやろう」

澪「やめろ」

律「へいへい。それにしても最近の唯は必死だったもんな」

唯「えっそうかな?」

澪「そうだな。まるで好きな人を振り向かせようとしてたみたいだったぞ」

唯「そっか……」

律「正直本当にそうなのかと思ってた」

紬「あの――」



115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:23:01.24 ID:7IPqmYrOP

唯「ん?」

紬「梓ちゃんのこと、私に任せてもらえないかな」

紬「明日は新歓ライブでしょ?このままで臨むのはちょっと……ね」

律「確かにそうだよなあ」

紬「それに……ちょっと気になることもあるし」

澪「気になること?」

紬「うん、だから今日部活が終わってから梓ちゃんと話をしてみるわね」

唯「ありがとうムギちゃん」

律「よし!それじゃあ部活に行こうぜ。梓が待ってるぞ」

唯「うん!」



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:33:51.64 ID:7IPqmYrOP

新歓ライブの練習を終えて帰るとき、
ムギちゃんがあずにゃんに話があると言って二人は学校に残った。
はぁ……早く仲直りしたいよ。

唯「……」

憂「お姉ちゃん?おかず残したの?」

唯「ああ、ごめんまだ食べるよ」

憂「……大丈夫?」

唯「大丈夫だよ~今日も演奏完璧だったしね」

憂「そっちも大事だけど――」

唯「……え?あ、ごめん聞いてなかった」

憂「……」



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:44:42.94 ID:7IPqmYrOP

新歓ライブ当日。
いつもより早く憂に起こされた。

唯「うい~まだ早いよ~」

憂「今日は大事な日でしょ?」

唯「うん……」

憂「それでね、私今日は先に出るからお姉ちゃんに戸締りお願いしたいんだけど」

唯「何か用事?」

憂「うん、ちょっと梓ちゃんと会うから……」

唯「あ、そうなんだ」

憂「そういうわけだからごめんね」

唯「ほ~い」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 16:56:22.47 ID:7IPqmYrOP

いつも通りの時間に家を出て学校へ。
それから新歓ライブの準備のためにみんなで部室に行こうとした時。

律「あれ、教室の外にいるのって梓じゃないか?」

澪「あ、ほんとだ」

紬「唯ちゃんに用があるんじゃないかな」

唯「私?」

律「行ってこいよ」

澪「準備は私達でやっておくからさ」

唯「ありがと!ちょっと行ってくるね!」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:07:11.60 ID:7IPqmYrOP

唯「おはよーあずにゃん!」

梓「お、おはようございます」

唯「えっと、私に用事……でいいのかな」

梓「は、はい」

唯「準備はみんながやっておいてくれるって」

梓「そうですか……」

ここじゃなんだし――ってことで人通りの少ない廊下の端に場所を移す。

唯「それで用事って?」

梓「はい、あの……」

唯「うん」

梓「すいませんでしたっ!!」

いきなり頭を思いっきり下げるあずにゃん。

唯「おゎ!」



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:18:52.41 ID:7IPqmYrOP

梓「その……今まで唯先輩に辛く当たってしまって……」

梓「唯先輩が嫌いとかそういうことじゃなくて……えっと……」

唯「……よかった」

梓「え?」

唯「あずにゃんに嫌われてたらどうしようかと思ったよ」

梓「そんなっ、嫌いになったりしません!」

唯「じゃあどうして?」

梓「それは……えっと」

唯「うん」

暫しの沈黙。
あずにゃんが言い淀む。

梓「……えっと」

唯「……」

梓「……っ」

唯「まあいっか」



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:29:27.92 ID:7IPqmYrOP

梓「えっ?」

あずにゃんの辛そうで不安な顔を見ていられなくて沈黙を遮った。
それに――

唯「あずにゃんが前のあずにゃんに戻ってくれるならそれでいいよ」

梓「でも……」

唯「それに今は新歓ライブの前だし。ね?」

梓「……はい」

唯「よかったぁ~これで思いっきり新歓ライブを楽しめるよ!」

梓「……すみませんでした」

唯「えへへ~もういいよ~」

梓「……ムギ先輩と憂に感謝しなくちゃ」

唯「ん?」

梓「いえ、なんでもないです」

唯「そう?じゃあ行こっかあずにゃん。新歓ライブ頑張ろうね!」

梓「……はいっ!」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:41:35.11 ID:7IPqmYrOP

唯「やっほーい」

梓「すみません遅れました」

律「お、やっときたか」

梓「あのっ!ご迷惑をおかけしてすみませんでした!」

澪「私達は別に迷惑かけられた覚えはないよ」

紬「そうね」

律「唯とは仲直りできたのか?」

梓「あ、はい!」

澪「よかったな」

唯「えへへ~」

紬「あ、もうこんな時間!」

律「よし!じゃあ行くか!」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 17:52:40.53 ID:7IPqmYrOP

あずにゃんとの仲が元に戻って万全の態勢で臨んだ新歓ライブは
今までのライブの中で一番の出来だったと思う。
だけど新入部員は入らなかった。
最初はそのことを気にしていたあずにゃんだけど、今はこの5人だけでもいいらしい。
それと新歓ライブ以降は以前の仲が良かった頃よりも更に仲良しになった。
みんなにも言われたから間違いない。
あずにゃんだってハグしても嫌がらなくなったしね。
最近は放課後が楽しみでしょうがないよ。
そういえばあの態度の理由を結局聞いてないけど……まあいっか。

唯「あずにゃんおまたせ~!」

梓「あっ唯先輩!」

唯「ぎゅ~」

梓「えへへ」

唯「えへへ~」

律「……私もいるんだけど」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:04:48.02 ID:7IPqmYrOP

紬「今日はモンブランで~す」

唯「おお~おいしそうだね」

梓「いただきます」

唯「待ってあずにゃん。はい、あーん」

梓「いきなりですね……えっと」

梓「あ、あーん」

唯「おいしい?」

梓「おいしいです」

唯「へへ~」

梓「……あの」

唯「うん?」

梓「唯先輩も……食べますか?」



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:36:34.74 ID:7IPqmYrOP

唯「えっ、あーんしてくれるの?」

梓「は、はい」

唯「ありがと~」

梓「……そ、それじゃ唯先輩にも、あーん」

唯「あーんっ」

梓「どうですか?」

唯「おいしいよ!」

より一層仲良くなったと思えるのはあずにゃんの変化が大きい。
私の押しに答えてくれたり甘えてくれたりするようになったのもあるけど、
一番の変化はあずにゃんから押してくるようになったこと。
今までの一方的な流れとは違うそれは、とっても新鮮でわくわくする。

律「練習するか」

澪「そうだな」



137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:47:57.50 ID:7IPqmYrOP

こんなこと言ったらみんなに怒られそうだけど、
帰り道であずにゃんと二人きりになる時間が待ち遠しく感じる。
当然みんなといる時間は楽しい。
でもみんなと別れた後であずにゃんと二人でいる時は、それに加えて胸が高揚する。

唯「へへ~」

梓「どうしたんですか?」

唯「なんでもないよ」

梓「なんだか最近いつも笑ってませんか?」

唯「そうかな?」

梓「はい」

唯「そっかぁ……」

梓「と、ところで唯先輩」

唯「うん」

梓「週末に予定がなかったら……遊びに行きませんか?」



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 18:59:34.66 ID:7IPqmYrOP

おおっ!
あずにゃんからお誘いしてくれるなんて嬉しいな。
なんだか嬉しすぎて胸が苦しいよ。

梓「……もしかして用事とかあります?」

唯「ううん、すっごく暇だよ!行く行く!」

梓「あはは、先輩受験生なのにすっごく暇って」

唯「ぶー、誘ったのはあずにゃんでしょ」

梓「ふふ、そうでした」

それからいろいろ話し合った結果、電車で数駅先の繁華街へ行くことにした。
私は休日もこの高揚を味わいたかったから、進んで軽音部のみんなも誘おうとは言わなかった。
あずにゃんも他の人を誘う話をしなかったので二人で出掛けることが決まった。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:10:38.08 ID:7IPqmYrOP

唯「お゛……おはよぅ……あずにゃん……はふぅ」

梓「お、おはようございます」

いつものパターンで遅れそうになった私は待ち合わせ場所の駅までダッシュした。
日差しの強い日に走ってきたおかげでうっすらと汗が滲む。
大遅刻は免れたけど髪の毛ぼさぼさ……。
まあ、あずにゃんを余計に待たせるよりはいいか。
約束の時間より早く来ていたらしいあずにゃんに謝ると、快く許してくれた。

梓「唯先輩が遅れてくるのはわかってましたし」

唯「う……ごめんだよ~あずにゃん」

梓「本当だけど冗談ですよ。……おかげで緊張もほぐれましたし」

唯「ふえ?」

梓「何でもないですよ。さて、行きましょうか」

笑顔なところを見ると本当に怒ってないみたい。
よかったけど今度からは絶対早く来よう。



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:22:05.94 ID:7IPqmYrOP

梓「えっとまずは……」

唯「やっぱり私達と言ったらあそこかな」

梓「私達と言ったら?……あっ」

梓「楽器……」
唯「ゲーセン!」

……あれ。なんだか納得がいかない顔してる。
楽しいよね?ゲーセン。

梓「唯先輩とゲーセンに行ったことって数回しかないですよ」

唯「そうだっけ?じゃあ楽器屋行こうか?」

梓「ゲーセンでいいです」

なんだかんだ言ってOKしてくれるんだよね。
あずにゃんはやさしいなあ。
でもあずにゃんも楽しんでくれなきゃ意味ないよ。
こういう時はいつものノリで……

唯「行こっあずにゃん!」

梓「!」

私はあずにゃんの手を取って駆け出す。
恥ずかしそうにしてるけどちゃんと手を握り返してくれた。



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:33:58.85 ID:7IPqmYrOP

唯「あずにゃんうま~い!」

梓「そんなことないですよ」

ギター型コントローラーを置いて私の方へ戻ってくる。

唯「りっちゃんと一緒に特訓してたんだけどあずにゃんの方がうまいや」

梓「本物の楽器を練習しましょうよ……」

唯「それとコレは別だよ~」

梓「えー……」

唯「あずにゃん!次はあれがいいな!」

梓「あれって?」

唯「プリ撮ろうよっ!」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:45:02.78 ID:7IPqmYrOP

梓「なんか久しぶりです」

唯「私も~」

梓「これ全身が撮れるんですね」

唯「ほう……!あずにゃんは真ん中に立って」

梓「?はい」

そして私はあずにゃんを後ろから抱きしめる。

梓「に゛ゃっ!?」

カシャ

梓「いきなりなにするんですか!」

唯「あははっいい感じに撮れてるよ~あずにゃん」

梓「全然よくないです!それに私変な顔になってるし」

私に抱きつかれてびっくりしてるあずにゃんかわいい。
これは絶対プリントアウトしよう。

唯「次はエアギターのポーズ!ギュイ~ン!!」

梓「うああ声が大きいですよ!」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 19:58:22.62 ID:7IPqmYrOP

梓「……この写真は嫌です」

唯「え~……」

梓「早く決定を押してください」

唯「ワカッタヨウ……」

ピッピッ

梓「あー!!なんでその写真も入れちゃうんですか!」

唯「ごめんごめん。どうしても欲しかったんだもん」

梓「もう……」

唯「この写真携帯の待ち受けにしよっと」

梓「やめてください」

唯「あずにゃんも待ち受けにしようよ~」

梓「嫌ですよ」

唯「え~お揃いにしようよ~」

梓「お揃い……」



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:13:41.08 ID:7IPqmYrOP

その後ご飯を食べてから楽器、服、雑貨等を見て回った。
あずにゃんと二人でいる時間はとても楽しくて、でもそれだけじゃ言い表せない気持ちもあった。

辺りが暗くなってきてようやくいい時間になっていることに気付く。
そろそろ帰らないと。
あずにゃんも時間を忘れて楽しんでいたみたいで、名残惜しそうな感じだった。

唯「あー楽しかったっ」

梓「私もです」

唯「今日は暑かったね~」

梓「もうすぐ夏ですからね」

唯「そうだよねえ。あっ、今年も夏休みに合宿やりたいな」

地元の駅からの帰り道。
もう少し一緒にいたかった私はあずにゃんを家まで送ることにした。
あずにゃんとぽつぽつ話しながら今日を振り返る。
あっという間に過ぎた時間だけど帰り道の間だけじゃ語りきれないくらい楽しかった。
それにはしゃぎ過ぎて疲れちゃったかも。
帰りの電車でうとうとしちゃったし。

もうすぐあずにゃんの家に着くというところで、
不意に会話がなくなってることに気付く。
今は日も暮れてそよ風が気持ちよく吹いてるけど昼間は暑かったからなあ。
あずにゃんも疲れちゃったのかな。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:24:49.89 ID:7IPqmYrOP

梓「……」

唯「……」

梓「……あの」

唯「なあに?」

梓「今日は付き合ってくれてありがとうございました」

唯「いいよ~私も楽しかったしね!」

梓「それで、あの、ちょっとお話が」

あずにゃんが立ち止まる。
数歩遅れて私も立ち止まり、あずにゃんの方を向いた。
あずにゃんは「あの」とか「えっと」を繰り返していて歯切れが悪い。
それにさっきから目が泳いでるし、歯切れが悪いながらも言葉に緊張感がある。
あれ?なんだろう……なんだかドキドキしてきた。

唯「どしたの?」

梓「えっと、唯先輩に言いたいことがありまして……」

唯「……うん」

梓「えっと、その、唯先輩……」

梓「…………す」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:35:53.16 ID:7IPqmYrOP

梓「――すごく楽しかったです!!」

唯「…………あ、うん、私も。でもそれさっきも言――」

梓「きょ、今日はありがとうございました!失礼します!!」

唯「――ったよね……ってあれ」

行ってしまわれた。
あずにゃんの話を聞いていただけなのにどうしてこんなにドキドキしたんだろう。

唯「……ふう~」

胸が苦しくて深呼吸を繰り返す。
あずにゃんてばびっくりさせるんだから。
おかげで(?)おなかが空いてきちゃったよ。
早く帰って憂のご飯を食べよう。



その日の夜は今日あった事をずっと憂に話してて、
布団に入ってからも今日のことを思い返していた。

唯「そうだ」

今日の記念が見たくて枕元にある携帯を開く。
そこには満面の笑みで抱きついている私とびっくりしているあずにゃん。
あずにゃんも待ち受けにしてくれてたら嬉しいな。



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:47:20.44 ID:7IPqmYrOP

唯「あ、あずにゃんだ~」

梓「ゆ、唯先輩!お、おはようございます」

憂「おはよう梓ちゃん」

梓「う、憂もおはよう」

唯「……どしたのあずにゃん?」

梓「いえ!なんでもないですっ」

唯「そう?」

なんだか顔が赤いけど……まいっか。

唯「昨日は楽しかったね~!」

梓「はいっ」

憂「お姉ちゃんてば昨日帰ってきてからずっとその話ばっかりするんだよ~」

唯「えへへ~」

梓「ふふ」



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 20:58:35.87 ID:7IPqmYrOP

あずにゃんとお出掛けしてから暫く経って今は夏休み中盤。
今日から高校生活最後の夏合宿の始まり。

唯「うおー!山だーっ!!来たぞ山~っ!!」

なんと今回は山へ行って夏フェスを見ることになりました!
あずにゃんがすごく喜んでたから私も楽しみだよ。

律「よっし、じゃあ早速行くか!」

唯「おお~!」

紬「おお~!」

さわ子「まずはこっちよ!」

澪「えっでも――」

さわ子「早くしないと始まっちゃうわよ!」



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:09:46.61 ID:7IPqmYrOP

唯「おお……」

プロのライブを生で見るのって初めてだったから
観客の盛り上がりとかライブの臨場感にびっくりしちゃった。
それにステージがいくつもあるなんてすごいや。
あずにゃんが行きたがってた訳が分かったよ。

梓「……」

ふふ、嬉しそうな顔して可愛いなあ。

唯「あずにゃん!」

梓「はい?」

唯「楽しいね!」

梓「はいっ!」

私達は暗くなるまでいろんなバンドを見て回った。
あずにゃんやみんなと一緒に初めての経験が出来てとっても幸せ。

澪「あれ、さわ子先生がいない……律、さわ子先生は?」

律「さあ?」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:21:28.57 ID:7IPqmYrOP

唯「いいな~」

梓「?」

唯「私達も夏フェスに出てみたい!」

梓「それは私も出てみたいですけど……」

唯「放課後ティータイムは夏フェスを目指して頑張ります!」

梓「武道館じゃなかったんですか」

唯「もちろん武道館もね!」

梓「唯先輩って真顔でそういうこと言いますよね」

唯「え~ダメかな?」

梓「……いいと思います」

唯「そうだよねっ!」

唯「じゃあみんなでガンバろー!」

梓「はいっ」



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:32:47.92 ID:7IPqmYrOP

梓「今のバンドもすごく上手かったです!」

唯「ねえあずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「あずにゃんもやっぱりプロになりたいって思う?」

梓「それは……まあ、なれたらいいなって思いますけど」

唯「そうだよね~!あんなにギターが上手いんだもん!」

梓「そんな、私なんてまだまだ――」

唯「いいからいいから!放課後ティータイムはあずにゃんの夢を応援します!」

梓「う、あ、ありがとうございます……?」

唯「あはは。……あ」

梓「どうしました?」

唯「お腹空いた……夕ご飯にしよ?」



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:44:39.47 ID:7IPqmYrOP

律「おいしいな!」

唯「牛タンおいしぃ~!」

梓「よかったですね……」

唯「あっ!あずにゃんアレ見て!」

梓「なんですか?」

唯「あそこの空綺麗だよ!」

梓「わぁ……!本当に綺麗なグラデーションですね」

紬「わぁぁ……」

夕焼けの端っこから段々青く濃く。
そんな夜に成りかけている空を眺める。
気付けばみんな静かにそうしていた。

澪「……なんかいいな、こういうの」

律「来て良かったな、夏フェス」

梓「……」



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 21:56:07.57 ID:7IPqmYrOP

律「おお~このテントで寝るのか!」

紬「……良い」

澪「山に来たって感じするな」

唯「そうだねぇ~」

梓「みなさん寝る雰囲気じゃないですね……」

律「まだまだ夜はこれからですよ!」

律「ってか徹夜するか!徹夜!」

紬「……良い」

澪「私は徹夜しないからな」

唯「……私ちょっとトイレ~」

律「いっといれー」



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:07:12.98 ID:7IPqmYrOP

唯「……ふう」

今日は朝からみんなと一緒ですっごく楽しかった。
初めて体験した夏フェス。
生のライブに牛タン、綺麗な夕日も見ることが出来た。
今は真っ暗になっちゃったけど代わりに星が良く見える。
あ、いて座発見。
こんなに綺麗な星空はこういう所に来ないと見れないよね。

唯「……うわっと!」

上ばかり見てたら躓いてしまった。
危ない危ない、前を向かないと。
これじゃ懐中電灯持ってる意味がないよ。

あ、みんなが見えてきた。

……

その前に……

今度は少し離れたステージの方を向く。
そこではいまだにライブが行われていて、暗闇の中でオレンジの光が輝いている。
それに小さくなりつつもしっかりと音楽が聞こえてくる。

ちょっとだけ寄り道しようかな。



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:18:52.66 ID:7IPqmYrOP

遠くにあるステージが見えるほうへ歩を運ぶ。
ステージはちょっと小さいけどここの丘から丁度見える。
それに芝生が生い茂っていて腰を下ろすにはもってこいだよ。
その場に座り懐中電灯を消して耳を澄ませると、
今の気分に丁度いい感じの音量で心地よく音楽が流れてくる。
昼よりも涼しくなったおかげで、
炎天下ではしゃいで火照っていた身体がいい感じに冷まされる。

なんでなんだろう。
こうやってみんなで遊んでる時、稀に一人になってみたくなるんだよね。
こう、一歩引いてみる感じ。
その不思議な感じが味わいたくなるんだよね。
それと、そんな感じで一人になってる人のところに行きたくなったりもする。
逆に一人になってる所に誰かが来てくれても嬉しい。
それで二人でこの気持ちを共有するんだ。
親近感、優越感、快感……うーんしっくりこない。
とにかくなんだか胸の奥がむずむずして、こう……上手く言えないや。

あ、曲が終わった。

はぁ……風が気持ちいい。
もう少しここにいようかな。



梓「……唯先輩?」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:30:28.61 ID:7IPqmYrOP

唯「あずにゃん?」

懐中電灯をつけなくてもわかる。
その声とシルエットは間違いなくあずにゃん。

梓「はい。こんな所で何してるんですか?」

そう尋ねながら私の隣まで来るあずにゃん。
この距離ならあずにゃんの顔もはっきりと見える。
ステージのライトに照らされて目に淡い光が灯っていた。

唯「遠くから聞こえる曲聞いてたの!夜中もずっとやってるんだねえ」

梓「ここからだとステージが小さく見えますね」

唯「うん、でも曲はちゃんと聞こえるよ」

梓「むこうのテントにいても聞こえますよ」

唯「なんとなく、ね。あずにゃんも座りなよ~」

梓「そうですね、じゃあ――」

二人で遠くの音に耳を傾ける。
私は胸の奥がむずむずしてるんだけど、あずにゃんにもこの気持ち分かるかな……
この気持ちって自分が気に入っている人じゃないと味わえないんだよね。



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:42:52.34 ID:7IPqmYrOP

梓「……先輩」

唯「ん?」

梓「今日は凄く充実した一日でしたね」

唯「そうだね~」

梓「合宿だっていうことを忘れちゃってました」

唯「あはは、私もだよ」

梓「……」

唯「……」

梓「あの、唯先輩に聞いてもらいたいことがあるんですけど」

唯「……うん、何?」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 22:54:13.78 ID:7IPqmYrOP

梓「えっと……すみませんでした」

唯「……へ?何が?」

梓「前に……先輩に対して失礼な態度を取ってしまった事です」

唯「あ、あー……あのことかぁ。それなら私全然怒ってないよ?」

梓「でも、どうしてそんな態度を取ってたのかを言わずじまいだったので」

梓「聞いて……もらえますか?」

唯「うん……わかった」

言われてみればそうだった。
結局理由は聞いてなかったんだよね。
あずにゃんは俯きながらぽつぽつと話し始める。

梓「理由は……恥ずかしかったのもあるけど、みんなの目が怖くて……」

唯「……どゆこと?」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:01:57.62 ID:7IPqmYrOP

梓「えっと……去年くらいから気になってたんですけど」

何が?

梓「今年のバレンタインの時に、こんなこと考えてたせいでまわりを過剰に気にしてしまって……」

こんなことって?

梓「自分でもおかしいって思ってたんです」

梓「それに、まわりにばれる事が怖くて……うまく先輩と喋ることが出来なくなって……」

梓「ごめんなさい。私が勝手にこんなこと思うのが悪いのに先輩にまで嫌な思いをさせて……」

梓「でもそうしていれば、そのうち先輩の事も忘れられるかもって思ったんです」

まただ……
ドキドキしてきちゃった。
私緊張してるのかな。

梓「でもやっぱり忘れられなくて……こんなんじゃダメだと思ってた時に」

こんなこと、前にもあったような。

梓「ムギ先輩と憂が私に言ってくれたんです」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:28:20.97 ID:7IPqmYrOP

唯「……何を?」

上手く言葉が出せない。
あずにゃんの顔から目が離せない。

梓「ムギ先輩は、本人同士が良ければいいんじゃないかって言ってくれたんです」

梓「それに少なくとも軽音部のみんなは応援してくれるよって……」

梓「憂も応援してくれて」

梓「二人のおかげで頑張ってみようって思えたんです」

梓「私は唯先輩に酷い事したから、許してくれなくてもしょうがないって思ってました」

梓「でも、許してくれた」

梓「それで、せっかく貰ったチャンスなんだから絶対に言おうってその時に思って」

梓「それでもやっぱり普通じゃないから……中々言えなかったんです」

あずにゃんが私の方に振り向く。
不安そうな表情だけど、光の灯った瞳はしっかりとこちらを見据えている。

梓「唯先輩、えっと……はは……っ……」



梓「……好きです、付き合ってください」



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:39:11.69 ID:7IPqmYrOP

息が出来なくなる。
顔が熱くなる。
胸が苦しい。

……好き。

あずにゃんが私のことを好きって言ってくれた。
でも頭が真っ白になって、なんて言ったらいいのかわからない。

梓「……あの、すいません。急にこんなこと言って」

唯「あ、ええっと……」

梓「別にダメだったらダメでいいんです。あのまま皆さんに迷惑かけてるよりずっとましですから」

さっきまで涼しかったのに汗が出てきた。
音楽も耳に入らない。
どうしよう。
とにかく、返事をしなければいけない。

唯「わ、私――」



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/22(月) 23:50:44.06 ID:7IPqmYrOP

私の気持ちはどうなんだろう。
もちろんあずにゃんが嫌いなわけじゃない。
だけどこの場合の好きは軽々しく言えるものでもない。

でも……出会ったときからあずにゃんが気に入ってて、
ちょっと口うるさいところもあるけどいつも私に付き合ってくれる。
こんな私にギターを丁寧に教えてくれて、私のことを好いてくれてる。
そんなあずにゃんのことがいつも気になってた。

あずにゃんの態度が冷たくなったとき、本当に辛かった。
仲がいい頃に戻りたくて、すっごく必死になって……
仲直りできた時は嬉しかったな。

嬉しかった……
それじゃあ、今の気持ちは……?

驚きと、不安と、恐怖がちょびっと。
それから……嬉しさがある。

嬉しい……
あずにゃんから告白をされて嬉しいと思っている。

どうしてあずにゃんが気になるのか。
どうしてあんなに必死に仲直りしようと思ったのか。
どうして今嬉しいのか。

……そっか。

私はあずにゃんのことが好きだったんだ。



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:01:20.12 ID:4IHO4xqmP

唯「――私もあずにゃんのことが好きだよ」

梓「……」

唯「……」

梓「……うそ」

唯「ほんとだよ」

梓「えっと、じゃ、じゃあ付き合ってくれますか?」

唯「……うん」

梓「……あ」

梓「ありがとう……ございます」

あずにゃんの頬に光が伝う。
暗闇に映えるそれはとても綺麗に見えた。



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:11:17.41 ID:4IHO4xqmP

梓「……憂の言ったとおりでした」

唯「何が?」

梓「応援の他にもうひとつ言ってくれて」

梓「先輩も私のことが……す……すきだからって」

梓「それで少し勇気が出たんです」

……私よりも私のことを良く知ってる。
ありがとう、憂。

梓「それにしても先輩が焦らすから心臓が止まるかと思いました」

唯「焦らす?」

梓「そうですよ。返事するまでに凄く時間掛けてたじゃないですか」

唯「え、そうかな?」

梓「自覚なかったんですか?10分以上待ったような……」



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:21:23.51 ID:4IHO4xqmP

唯「えへへ、ごめんごめん。でもこれで私達付き合うことになるんだね!」

梓「うあ……は、はい」

唯「そっかそっか~。うふふひ~嬉しいなっ」

梓「……」

唯「どしたの?」

梓「なんだか今まで悩んでたのがバカらしくなってきました」

それからもう暫くステージを眺めながら二人で話をした。
今日は本当に良い日だ。
自分の気持ちにも気付けたし。

梓「先輩って遠足とか旅行の時にふらっと一人でどこかに行っちゃう人ですか?」

唯「え~そんなことないよ」

律「あらお二人さん、こんな所で内緒のお話?」



203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/23(火) 00:32:26.02 ID:4IHO4xqmP

私達が遅いから探しに来たのかな。
りっちゃんに声を掛けられる。

梓「べ、別にたわいもない話してただけですっ!!」

ビクッと反応するあずにゃん。
きっと顔が真っ赤になってるよ。

恥ずかしくてその場は誤魔化したあずにゃんだけど、
みんなにも迷惑を掛けたしお世話にもなったということで
私達が付き合い始めたことを報告した。
何故かあんまり驚かれなかったけどおめでとうって言ってくれた。
その後は明け方まで大はしゃぎしてて次の日は眠くて大変だった。

家へ帰ってから早速憂にも報告をする。
そしたらみんなと同じようにおめでとうって、よかったねって言ってくれたよ。
その日は疲れと睡眠不足の所為でベッドに入るとすぐに眠りについた。

憂、みんな、ありがとう。

私とあずにゃんは付き合い始めた。




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唯「Your song」#前編
[ 2011/10/01 00:38 ] 非日常系 | | CM(0)

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