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唯「犯人は……わたしだ!」#後編 【ミステリィ】


唯「犯人は……わたしだ!」 より
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1269310851/
唯「犯人は……わたしだ!!」 より
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1269410471/

唯「犯人は……わたしだ!」#前編
唯「犯人は……わたしだ!」#後編





106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 16:59:12.67 ID:LJB9wWgB0


なんで和は殺されたんだろう。
なんで澪は殺されたのだろう。

懐中電灯の明かりだけを頼りに暗い廊下を進む。足音はしない。
廊下には絨毯がしいてあるからだ。もうすぐたどり着く――あの物置部屋の扉が見えた。

憂「着きましたね」

律「……」

憂「律さん?」

律「ごめんごめん。大丈夫だよ」

取っ手に指をかける――

律「ん?」

直感で人の気配を感じた。もちろん中からだ。とっさに憂ちゃんの手を引く。

憂「!」

たぶん憂ちゃんも気づいたのだろう。反射的に走る。とっさに廊下の出っ張りに隠れる。
手に持っていた懐中電灯の明かりを消す。視界が真っ黒に染まる。

直後に扉が動いた気配がした。そして聞こえてくる小さな足音。自分が息を呑むのがわかった。

ヤバイ。ヤバイヤバイ。マジで怖い。



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:01:03.24 ID:LJB9wWgB0

誰だ――もしかしかし例の犯人か?だとしたら――
もしここで見つかったら私と憂ちゃんもあの二人と同じように殺されるのか。

手が震える。止めようとする。止まらない。

律「あっ……」

懐中電灯が落ちた。遅れて音がする。

“誰か”の気配が止まった。

心臓がシックスティーンビートを刻んでいる。気持ちの悪い汗が吹き出てきやがる。
脳みそがドラムスティックでかき回されているみたいに思考がメチャクチャになる。

殺されるバラされる首だけにされる――



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:09:14.08 ID:LJB9wWgB0

憂「どうやら行ったみたいですね。律さん大丈夫ですか?」

憂ちゃんの心配そうな声がして俯けていた顔をあげる。

律「……さっきのヤツは?」

憂「律さんが懐中電灯を落としたら、急に走って消えてしまいました」

安心したのか無意識にため息が出た。

憂「追いますか?」

律「……」

憂「冗談です。そんな顔しないで下さい」

どんな顔だ。
場違いな冗談だった。もっとも冗談はそれだけだったらしい。
懐中電灯で自分の顔を下から照らす憂ちゃんの表情は至極真剣だった。
ていうか怖いよ。

憂「今から私は物置部屋へ入ろうと思います」

律「私もついていくよ」

憂ちゃんだけを行かせるなんてできるか。
とか思いつつ実際のところ、私は一人になることに対してビビってるだけなのかもしれない。

憂「ありがとうございます、律さん」

まあ、どちらにしよう憂ちゃんの笑顔が見られたんだ。良しとしよう。
懐中電灯によって浮かび上がったその顔は、やっぱり怖かったけど。



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:14:13.91 ID:LJB9wWgB0

部屋へ入ってすぐ、電気をつけた。
ほとんど消えかかっている照明が部屋をかろうじて照らす。

覚悟していた光景はそこにはなかった。

律「……?」

澪の首がなかった。部屋の中央を陣取るテーブルだけがあった。
テーブルクロスの中央には赤黒い大きなシミが付いていた。

憂「また、ですね」
律「また?……あ、そうか」

私の記憶は相変わらず混濁しているらしい。憂ちゃんに言われて今更のように思い出す。

律「和もそういや、部屋からいつのまにか消えたんだよな」

首。首だけの死体。中央のテーブル。テーブルクロス。気づいたら持ち去られた。服や下着も。
持ち去ったのは――正体不明の誰か?

この二人に関するそれぞれの共通点。



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:20:48.58 ID:LJB9wWgB0

律「……ダメだな。全然わかんないや。ん?憂ちゃん?」

憂ちゃんはテーブルクロスの端をつかむと、おもむろに引っ張った。

憂「えい」
律「あっ……」

むき出しになったテーブルを見て、思わず声を上げてしまった。
テーブルのど真ん中にキレイな円形の穴がある。
おそらく人の頭一個分くらいなら簡単に通るだろう。

一瞬、今までの事件は盛大なイタズラだったのでは、という考えが頭をかすめる。

もっともそんな現実逃避にも似た考えはすぐに打ち消した。
それは和の死体を見たときも澪の死体を見たときも考えた。
しかし、そんなものテーブルの足元を見れば答えはすぐわかる。
答えはノーだ。間違いなくテーブルの下にあったのは暗い闇だけだった。

憂「この穴は何なんでしょうね?」

律「わかんない。これもなんかすごく高いテーブルなんじゃない?」

憂「そんなふうには見えませんけど」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:25:03.91 ID:LJB9wWgB0

憂ちゃんの言うとおりこのテーブルは妙に安っぽい。
物置にあるぶんには全然違和を感じないけど、
この別荘にあるインテリアとしてはなんて言うかなんと言うのか……
うん、不釣合いだ。

律「まあ、だから物置きに……」

あるんだろ――と言おうとしてそうじゃないことに気がついた。
初めてこの部屋に訪れたときを思い出す。

律「そうだ。初めはこんなテーブルなんてなかったんだ」

憂「なかった?」

律「うん。だってその位置には澪がいてうずくまってたし。間違いない」

憂「私たちが澪さんを発見したときにテーブルはありましたよね?」

律「おう、それも間違いない」

憂「とりあえず、ざっとこの部屋を調べてみませんか?」

そう言って憂ちゃんは懐中電灯をつけた。
刹那、目に鋭い刺激が走った。何だろうこれは――



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:29:30.21 ID:LJB9wWgB0

憂「これは……」

律「なんでこんなものがこんなとこにあるんだろ?」

いや、物置にあるぶんにはそれほど変じゃないのか?

律「でも、こんなのあったかな?」

思い出せない。ここには計三回来てはいるが、
一回目も二回目も部屋の周囲に気を配る余裕なんてなかった。

憂「律さん。私、わかったかもしれません」

律「……何が?」

憂ちゃんの顔は暗くてはっきりとは見えない。
だれど、私の耳を打った声はどこまでも自信に満ちていた。

憂「――この事件の犯人、です」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:43:02.55 ID:LJB9wWgB0

♪広間の隣の部屋

再び訪れたこの部屋で憂ちゃんが真っ先にしたのは、テーブルのチェックだった。
と言っても赤いものがこびりついたテーブルクロスをはがしただけなんだけど。

テーブルには、あの物置部屋のそれと同じ穴はなかった。

律「てっきりこれにも同じ穴があると思ったんだけどな」

憂「やっぱり……」

落胆する私の声とは対照的に憂ちゃんのそれは、どこか確信にも似た響きがあった。

律「やっぱりって?」

憂「“こうじゃなければ”逆におかしいってことです」

律「ええと、よくわかんないんだけど……」

憂「あとで、説明します」

憂ちゃんは今度はおもむろにしゃがみ込んだ。私もそれにならう。

律「どうしたの?」

憂「これを見てください」



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:45:23.66 ID:LJB9wWgB0

憂ちゃんが指差した先の絨毯を見る。テーブルの足と足の間に直線でも引いたみたいな跡がある。

憂「あと、ここも」

絨毯に陥没しているテーブルの足……の付近に円形の跡。
これが何を示唆しているのかは私でもわかった。

律「このテーブルは動かされた可能性があるってことか」

憂「はい、たぶん十中八九間違いなくテーブルは移動しています。
  それにテーブルクロスもおそらくすりかえられていると思います」

不意に憂ちゃんは立ち上がると、伸びをした。


憂「さて、とりあえずはここまでにして一旦寝ましょう」

律「え?いいの?まだ私にはこの事件のこととか全然わかんないだけど」

憂「明日説明します。律さんには思いっきり頑張ってもらうんで今は休んでください」

律「まあ、協力するのはやぶさかではないけど」



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:47:57.66 ID:LJB9wWgB0

憂「明日は、下準備もあるので、七時には起きてくださいね」

憂ちゃんがきびすを返す。私はその背中にどうしても気になっていることを聞いた。

律「待った。これだけは教えて。誰が犯人なの?」

憂「犯人、ですか?」

律「うん」

まるで明日の天気でも口にするように憂ちゃんは言った。


憂「この別荘で起こった事件の犯人は――お姉ちゃん」

その答えはなんとなくうっすらと、わかっていた。


が、次の彼女の言葉は思ってもみなかったものだった。



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 17:58:27.34 ID:LJB9wWgB0

憂ちゃんは続けてこう言った。

憂「――紬さん、澪さん、和さんです」



♪次の日・別荘

――午前九時。

数えるのも億劫になるほどの階段を上がってようやく平沢唯は目的の階にたどりついた。
右手にある四つ目の部屋……“あの二人”のいる部屋の前の扉をノックする。

返事はない。構わず扉を開け、中へ入る。


――部屋は暗かった。



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:02:30.35 ID:LJB9wWgB0

「唯にしては早かったな」

暗闇から声がした。徐々に目が暗さに慣れてくる。声の主は――秋山澪、だった。

「それで、直接言わなければいけないことって何?」

唯にとってもっとも聞きなれた声――真鍋和の落ち着き払ったそれが室内に木霊した。

唯「“私”が直接言わなければいけないこと、それはね――」

不意に唯は前髪のピン止めを外した。

「あっ……」

最初に気づいたのは和だった。遅れて澪も驚きに目を瞠る。

唯――否、憂は言った。


憂「和さん、澪さん、これで終わりです」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:06:28.34 ID:LJB9wWgB0

♪別荘・広間の隣の部屋・再び田井中律視点


唯「う~んまさか起きたら事件が解決していたなんてビックリだよねぇ」

紬「うん、正直私もこのまま解かれないまま終わると思ってた」

澪「憂ちゃんのほうが私たちよりも一枚上手だったみたいだな」

和「せっかく用意していたドッキリのカードもいらなくなったわね」

律「さすが憂ちゃん!」

憂「いえ、そんなに褒められると照れます」

梓「いやいやいやいやいやいや」

澪「六回」

梓「私だけ流れについてけてないです!いったいどうなってるんですか!?
  唯先輩とムギ先輩が犯人?で、しかもなんで澪先輩や和先輩が生きているんですか!?」

律「そりゃあ、もとから死んでないからに決まってんじゃん」

梓「じゃあ私たちが見たあの悲惨な死体は何だったんですか!?」

唯「あずにゃ~ん、落ち着いて落ち着いて~」

梓「抱きつかないでください、ていうか、どういうことか教えてくださいよ」



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:13:39.16 ID:LJB9wWgB0

唯「だ~か~ら~、
  わたしとムギちゃんと澪ちゃんと和ちゃんによるサプライズだったんだよ。
  誰も死んでないし、もちろん誰も殺してないよ。
  しいて言うならわたしがこの計画を考えたから犯人はわたしなんだけどね」

梓「ええと、もう少しわかりやすくしてくれませんか?」

唯「わたしとムギちゃんが犯人役で、澪ちゃんと和ちゃんが死体役ってことだよ」

梓「……はぁ」

唯の言葉に梓はため息をつく。要領を得ないとはまさにこのことだった。
これでは犯人役はできても、探偵役は務まらないだろう。

憂「じゃあ律さん。梓ちゃんにわかるように説明してあげて下さい」

律「私?べつにいいけど……
  憂ちゃんがこの事件を解決したんだから憂ちゃんが説明すればいいじゃん」

憂「いえ、律さんがカッコよく事件を解決する勇姿をみたいんで」

律「なんか憂ちゃんに言われると、断れないな。
  そうだな、じゃあこの名探偵田井中律様が華麗に事件を解説してみせよぉ」

澪「解いたのは憂ちゃんだろ?」

律「まあそれは置いといて……
  さて、事件を解決するなんて言ったってそもそもこれは事件っていうか
  ぶっちゃけただのサプライズだったわけで。あるいはマジックでもいいな」



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:16:00.33 ID:LJB9wWgB0

梓「マジック?」

律「そう。マジック。トランプの数字を見ずにあてたり、空中に浮いたりする、アレな」

和「マジックとは、なるほど。言いえて妙ね」

律「実はというと、な。この部屋のテーブルには仕掛けがあったんだよ」

言いつつ、真っ白なテーブルクロスをテーブルから剥がしてやる。
むき出しになったテーブルの中央に人の頭が一つ通る程度の穴があった。

早朝起きして、物置部屋にあったのを憂ちゃんと運んできたのだ。
ちなみにこの部屋にあった本来のテーブルは、隣の広間に移してある。

梓「この穴はなんですか……
  まさか、この穴に頭だけ通して死体のフリをしていたとか、言うつもりじゃないですよね?」

律「半分正解。でも、半分外れだ。それじゃテーブルの下を見たらすぐわかる。
  まあ、このテーブルクロスがもっと丈の長いものだったら
  テーブルの足元くらい隠せるかもしれないけど」

梓「それで?半分正解ってことは頭は通してたんですよね。その穴に」

律「うん。でもこれだけじゃ今言ったとおり、すぐバレる。
  あの時あの部屋は明かりをつけていなかったけど、
  それでも廊下からさした光ですぐにわかっただろうな」

梓「ってことはどういうことなんですか?」

律「さっき言ったとおり、これは言うならマジックなんだよ
  ――そうだな、実際あの時の状況をそのまま再現してみよっか。
  梓、ちょっと目をつむってて」

梓「わかりました」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:19:11.30 ID:LJB9wWgB0

数分後。

律「よし、目ぇ開けていいぞ」
梓「……うそ」

梓の目には私の首がテーブルに乗っているようにしか見えないだろう。
ちょうど、和や澪が死体として私を含めたみんなに発見されたときのように。

梓「ど、どうなっているんですか!?」

律「こういうことだよ……っと」

テーブルから顔を引っこ抜いて、テーブルの足と足の間にピッタリはまった“鏡”をどかしてやる。

律「な?ビックリだろ? ていうかこれは実際にナントカっていうマジックらしいんだけどな」

憂ちゃんからそのマジックの名前は聞いたけど、すでに忘れた。

律「やり方はこうだ。まず、頭を予めテーブルに開けておいた穴に突っ込む。
  そして、サイズピッタリの鏡をテーブルの足と足の間にはめてやる。
  いちおーこの鏡はそれなりの分厚さもあって、重い。
  一人で運ぶにはちょっと骨が折れるくらいだ。
  念のためにテープで鏡とテーブルをくっつけて固定すれば、まず外れたりもしないだろ。
  これでいっちょ、首だけ死体の完成」

澪「実際にはテーブルクロスにも穴を開けておいたり、血糊をつけたりしたんだけどね」

律「だ、そうだ」



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:27:41.09 ID:LJB9wWgB0

梓「じゃあ、澪先輩のときも同じやり方で?」

唯「うん、澪ちゃんのときもそうだよ。たまたまわたしの本棚にあったマンガで見つけてね」

ずいぶん簡単に説明したが、テーブルに穴開けたり、鏡を調達したり、
それを運んだりなど、それなりの労力は必要だったはず。

梓「しかし、なんでこんな風に首だけがテーブルに乗っているように見えるんですか?」

律「私にも難しいことはわからない。鏡による遠近法?目の錯覚?
  とにかく何でかはわからないけど、そういう風に見えるんだそうだ」

これも憂ちゃんに講釈を受けたが、イマイチ咀嚼できなかった。

梓「で、でもちょっと待ってください。
  その死体のふりの方法はそれでいいとしてもやっぱり納得できません」

律「なにが?」

梓「だって、その、私たちの荷物を盗んだりとか、窓ガラスが割られていたりだとか、
  謎の人物についてだとか……そもそもなんで、この事件を憂や律先輩は解けたんですか?」

律「まあ、落ち着けって。順を追って説明していくからさ。
  ところで、梓。人が首切られたら、フツーどうなる?」

梓「どうなるって……死にますね。血がいっぱい出ちゃって」

律「そうなんだよ。そうなんだ。首は太い血管が流れているからな。
  まあ、すごい量が出るだろうな。見たことないけど。
  でもさ、血が出たらどうなる?いや、聞くまでもない。
  臭いがするんだよ。血の、な」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:30:41.91 ID:LJB9wWgB0

梓「そういえば……和先輩のときも澪先輩のときも血の臭いなんてしなかったです」

律「そう。これが憂ちゃんがこの事件に対して最初に抱いた疑問だったんだよ。
  まあ、最初の和に関して言えば、窓が開いていたから、
  無理やり血の臭いはしなかったって方向に持ってこれなくもないけど」

和「最初はね。窓を開けておく予定なんてなかったのよ。
  血の臭いのことをすっかり忘れていたから」

律「つまり、窓が開けてあったのは和のとっさの機転ってわけだ」

和「まあね。でも、結果的にこのアドリブが首を絞めるハメになったけど」

梓「どういうことですか?」

律「それはとりあえず後で説明するよ。
  さてさて、和のときは窓が開いていたからまだ臭いはしなかった。
  うん、これはギリギリセーフだとする。けど、次の澪のときはどうだ?
  物置部屋に死体として存在した澪。状況は和と全く同じ。
  しかし、あの部屋も血の臭いはしなかった。
  じゃあ、窓は存在したか? するわけがない。なにせあそこはただの物置だ。
  窓なんて一つもなかった。じゃあ、どうなるのか。
  死体が転がっているのに、血の臭いのしない密室空間――完璧に矛盾している」

梓「なるほど。確かに完全に矛盾してますね」

律「それだけじゃない。澪の死体を発見する前。
  私と、唯、ムギ、梓、憂ちゃんはあの物置部屋の前にいただろ。
  そのときに何が起きたか覚えてる、梓?」

梓「……窓ガラスが割られて私たちのケータイが盗まれました」



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:38:48.64 ID:LJB9wWgB0

律「正解。さて、その第二の事件が起こる直前まで、
  私らはあの部屋の前にいたんだ。澪もあの部屋の中にいた」

律「と、すると残りこの別荘にいて窓を割れる可能性があるのは誰だった?」

梓「え……誰って……和先輩?」

律「そういうこと。
  もちろん、これはこうして和が死んでないって分かっている
  今だからこそ導き出せる答えであって、
  あの時点ではまだ明確には判断できないんだろうけどな。
  それでも憂ちゃんは可能性としてそれを考えたわけだ」

憂「律さんの言うとおりあの時点ではまだおぼろげだったんですけどね」

おそらく憂ちゃんの予想がほとんど確信に変わったのは澪の死体を発見したときだろう。

律「さて、物音がしたって言う唯に連れられて私ら五人は、この部屋に来た。
  あの時はどういう状況だったのか。
  和が消えて、荷物が荒らされていて、そして窓が割れていた。
  結果として私らは、そこから自分たち以外の誰かがいるんじゃないかって考えた。
  そして、ソイツは和を殺したのでは、とも。
  でも、それはおかしいよな。何がおかしいって?
  そもそも私たち以外に本当にこの孤島にいるのか?」

梓「いないんですよね?」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/23(火) 18:44:26.60 ID:LJB9wWgB0

律「うん。それに、本当にそんな謎の侵入者がいるとしたら、逆におかしいんだよ。
  さっきの和の話を思い出してみて。
  和は最初の事件で、窓を開けたんだ。血の臭いのことを誤魔化すために。
  つまり窓は開けっ放しの状態だった。和を発見した後もみんなすぐ部屋を出ていった。

  だからこの時点では窓は閉められていない。
  そしてその後もみんな和の死体にビビってあの部屋に入らなかった。

  としたら、いったいどうやってあの窓を閉めるんだ?冷静に考えれていればすぐに気づけた。

  私たち以外の誰かが存在したとしたら、
  その誰かはわざわざ窓を割って、カギを外すなんてことしないってことに。
  そんなことする以前にとっくに窓は開いているんだからさ」

それに死体を見て混乱した挙句、警察に通報しなかった連中が、
戸締りなんかに気をつかうのは変な話だった。

律「それに、もう一つこの窓には奇妙な点がある」

梓「奇妙?」

律「犯人が外部の人間だと思わせるために割られた窓だ
  ――でもこれは結果として、唯たちの首を更に絞めた。
  この窓にはすんごく奇妙な点がある。何が変かわかるか、梓?」


梓は猫のように目を細めて、真ん中に風穴のある窓をじっくりと眺める。



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:05:43.80 ID:FBLinu+Q0

梓「わかりました。もし仮に私たち以外の誰かがいたとして、外から入ってきたとしたら、
  窓の穴は真ん中ではなく、一番左側になければおかしいってことですよね。
  だって窓のガラスを割ったのはカギを開けるためなんだから、
  真ん中よりもカギに近い左側の部分を割るのが普通のはずです」

律「そうなんだよ。普通なら外から入ろうとするならそうするんだよ。
  じゃあ、逆に窓の真ん中に穴が開くというのは、どういう場合か。こうすりゃいい」

私は右側の引き違い窓を少し開けて身を乗り出す。そして体をひねって窓をコンコン、と叩く。

律「こうすれば、確かに窓ガラスは中に飛び散ることになる。
  あたかも外側から割ったみたいに。
  けれどその代わり、窓と窓が重なって結局真ん中あたりにしか穴は開けれないけどな。
  和、どうして外から窓を割らなかったんだ?」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:08:17.57 ID:FBLinu+Q0

和「雨が降ってたでしょ?今でも降ってるけど。濡れたくなかったの」

律「ふうん。その結果、憂ちゃんに感づかれてしまった、と」

唯「和ちゃんとは思えないようなミスだよね」

律「まあ、お前のミスはもっと致命的だったけどな」

唯「ほえ?わたしなんかミスした?」

律「物置の部屋からこの部屋に来るまでの間に」

唯「どういうこと?教えて教えて~」

どうやらわかっていないらしい。

律「じゃあ、聞くけど澪の死体を発見する前、
  なんで私らはあの物置部屋からこの部屋に来たんだ?」

唯「それは……わたしが窓ガラスが割れる音を聞いて
  不安になって確かめに行こうって言ったからだよ」

律「それなんだよ。明らかにおかしいんだよ」

唯「そ、そうかな?」



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:11:44.94 ID:FBLinu+Q0

律「この部屋からあの物置部屋から五十メートル以上は離れてるんだぜ」

五十メートルという距離が人の家の中に存在すること自体がある主の矛盾な気がする。
いや、さすがは琴吹家の別荘ってことにしておこう。

律「その上、この部屋の扉は相当分厚いんだよ。
  分厚い。ちょっとやそっとじゃ音が漏れないくらいにな。
  それこそ窓ガラスが割れるくらいの音じゃあな」

唯「おお!なるほど」

律「つまり、音が聞こえたっていうだけでもありえないのに、
  まるで唯は音を頼りに窓ガラスが割れたのがこの部屋であると、
  ここに私たちを連れて来た。
  明らかにおかしいだろ?」

梓「ちょっと待ってください。音が聞こえたって言ったのは唯先輩だけじゃないです。
  憂も音が聞こえたって言ったよね?」

憂「うん、音が聞こえたのは本当だよ。でもそれは窓ガラスが割れた音じゃなかったんだ」

律「そうなんだよ。あの場で憂ちゃんは
  一言も窓ガラスが割れた音がした、なんて言ってないんだよ。
  言ったのはムギと唯の二人。憂ちゃんが聞いた音は――」


どこからか不意にブ ブっと音が鳴った。
この時代の人間なら誰だって一度は聞いたことはあるだろう。


音の発信源は唯からだった。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:17:08.25 ID:FBLinu+Q0

律「この音だよ。ケータイのバイブ」

ポケットから取り出した自分のケータイを唯の目の前で見せてやる。
表示されている画面は唯の顔を白く照らした。
クリアボタンを押す。唯のケータイのバイブ音が止んだ。

唯「やっぱり憂にはバレバレだったんだ」

憂「うん。お姉ちゃんはちょっとケータイが鳴ってから消すのが遅すぎたよ」

律「それでも私と梓は気づけなかったけどな!」

澪「いばってどうする」

ケータイのバイブは合図だったのだろう。準備完了。そして、今からこっちに来い。
和はもうあの部屋から出た。それらを唯に教えるためのものだった。

律「今ので、少なくとも唯が犯人だっていうのはこれで濃厚だな」

梓「どういうことですか?」

律「私たちの荷物が荒らされた際に盗まれたのは何か?
  ――ケータイだろ。唯も言ったはずだぜ。
  私も含めてみんなのケータイが盗まれたってな。
  犯人に盗まれたはずのケータイを持っている、疑うには十分な材料だ。
  ちなみに私のコレはさっき澪から返してもらったものだからな」

梓「でも、どのタイミングで盗まれたんですか?
  やっぱり、私たちが物置で扉と格闘していたときですか?」

律「さあ?わかんない」

梓「わかんないって何ですか。ずいぶんテキトーですね」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:21:34.24 ID:FBLinu+Q0

律「まあね。やっぱ完璧にはわからないよ。でも、ある程度、特定はできるぜ。
  確実性っていう点から考えると私らが扉と格闘していた時よりもっと前だろうな。

  ケータイをカバンに置いたのは一日目の風呂に入る直前。まずこのタイミング。
  あるいは、みんなが演奏会をする前に仮眠をとった際に。
  最後に和の死体を見つけた次の日の早朝、つまり私らが寝ていた時。
  まあ、ケータイを一番確実に盗める時間帯は、風呂に入る直前じゃないかな。
  確実にみんながケータイをカバンに入れたからな。

  そういえば着替えを取りにこの部屋に入った時、唯が言ったんだよな。
  『打ち上げなんだからケータイなんていらないよ』って。

  それに、ちょっとみんなより後に部屋から出るなり、
  早めに風呂から出て部屋に戻るなりすれば、ケータイを盗むのもそれほど難しくない。
  しかも風呂に入るのも出るのもみんな一斉に入ったわけじゃないしな」

食事の直後で片付けをしていて後から風呂に入ったヤツもいたし(覚えてないけど)。
のぼせたと言って、早めにあがったヤツもいたし
(こっちも私ははしゃぎまくっていたのでよく覚えてないや)。

律「まあ、今私が言ったとおり風呂の前後にケータイを盗んだとしたら、
  荷物を荒らしたタイミングはそれよりもずっと後になるけどな」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:25:10.65 ID:FBLinu+Q0

梓「そういえば、私たちが和先輩を発見したときはまだ荷物は荒らされていませんでしたもんね」

唯「りっちゃん名探偵みたいだねっ。カッコいいよ!」

律「ハハハっ、まあな」

実際に事件を解いたのはお前の妹だけどな。

梓「でも、何でケータイなんか盗む必要があったんですか?」

律「理由は大きくふたつある。
  ひとつは私ら以外にもこの別荘にいると、より思わせるため。
  荷物を大胆に荒らしたのもそう思わせるためだろ?」

和「そのとおりよ」

梓「じゃあ、もうひとつは?」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:30:23.36 ID:FBLinu+Q0

律「もし仮に私らが外部に犯人がいると思い込んだままだったとするぞ。唯たちの思惑どおりに。
  それで私がこんなことを提案するんだ。
  『こうなったら澪や和を殺した犯人をとっ捕まえてやろう!』って。

  そしたらどうする?確かにこの屋敷のサイズはでかい、いや、でかすぎるくらいなんだけど。
  それでも犯人を探そうと思えば探せないこともない。この別荘の形は長方形型とシンプルだからな。
  下の階から手分けして探していけば犯人――つまり、澪と和を見つけることも不可能じゃない。

  犯人が別荘の外に逃げ出す可能性は、この場合は考慮する必要はない。
  だってそうだろ。こんな豪雨の中、外に出るなんて無謀も無謀だ。
  危険すぎるし、無事だったとしても風邪を引くかもしれないしな。
  いや、百歩譲って勝手に出るのはいい。
  でもそんなことしたら、この大雨でまず、びしょ濡れになる。

  別荘に戻っても、それこそ犬のマーキングみたいな感じに痕跡が残って、
  かえって自分たちの潜伏場所をさらすハメになる。

  ――と、まあこんな感じの不測の事態に対応するためにケータイ電話を盗んでおくわけだ。
  本当に必要なのは連絡する側とされる側だから、唯とムギの分。
  あるいはどちらか一個。そして、澪と和の分。
  しかし、それでは怪しまれる可能性が出てくる。
  『なぜ、犯人は私たち全員のケータイを盗まなかったのか』って。

  そこで全員分のケータイを盗んだわけだ。
  まあでも、ケータイを盗んでくれたおかげで事件の解決はより早くなったわけだけど」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:36:32.09 ID:FBLinu+Q0

唯「そういえば、どうやって憂は澪ちゃんと和ちゃんを見つけたの?わたしそこらへんまだ聞いてないよ」

律「もう答えは言ったようなもんだけど……
  まあ、いいや。今説明したとおりだよ。
  つまり、唯かムギの両方、あるいはどちらかがケータイを持っている。
  だったらケータイさえあればこっちから澪たちに連絡することは可能だってわけだ」

唯「ああ、なるほどお。ってじゃあ………」

律「そう。唯はもっと警戒しておくべきだった。
  最初はさ、ムギだけがケータイを持っているんじゃないかな、と思ったんだ。
  だって唯がケータイ持ってたらどこでドジ踏むかもわかんないからな」

唯「りっちゃん本当のことだとしてもひどいよ~」

律「ワリイワリィ。でもそうだろ?
  実際、私と憂ちゃんで唯のパジャマのポッケをさがしたら
  あっさりケータイが出てきちゃうからさ」

唯「ううぅ~」

律「そんで、後は憂ちゃんが唯のふりして電話をかけた。
  『ちょっと困ったことが起きて相談したい。できれば直接会って話し合いたい』って。
  まあ、そんなカンジの内容をな。姉妹の容姿は瓜二つ。
  声質まで似ている上に電話越とキタもんだ。
  さすがに澪にも和にもその電話の主が憂ちゃんだとは気づけなかった」



もちろんコレを考えたのも憂ちゃんだった。私の考えたローラー作戦よりよっぽどスマートな案だった。



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:42:27.39 ID:FBLinu+Q0

梓「あれ?そういえば、ケータイ以外にもなにか盗まれてませんでしたっけ?」

律「ああ、和と澪の着替えのこと?」

梓「そう、それですっ」

律「この時期ってまだまだ暑いじゃん?
  とくに台風が多い季節だし。蒸し暑い日はまだまだ続いている。
  そんな日に風呂に入らないなんてうら若き乙女に耐えれると思うか?
  まして服を変えるな?そんなことできるわけがないだろ?」

梓「ええと、じゃあもしかして着替えが盗まれたのは……」

律「そう。単純に同じ服をずっと着ているのが嫌だったんだ」

梓が澪と和を交互に見る。そうなんだ。二人を見れば一瞬でわかる。
服装が一日目と変わっていることに。


律「ついでにコレにはきちんとした物的証拠もある。
  昨日の夜中、みんなが寝ている間に憂ちゃんと一緒に風呂に入ったんだよ。
  ね、憂ちゃん」

憂「はい。それでついでにお風呂から出る前に
  私と律さんで掃除しておいたんです。“排水溝”も含めて全部ね」

梓「排水溝?」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:47:46.89 ID:FBLinu+Q0

律「和と澪の二人はどうしても風呂に入りたかった。
  でも、みんなに見つかったらもともこうもない。
  だから必然的に私らが確実に寝ているときを見計らって
  風呂に入るしかなかったんだ。昨日も、二人は風呂に入った。
  断言する。間違いなく入った」


私はポケットにツッコンでおいたチャック付きの透明のビニールを取り出す。梓に見せてやる。

梓「これは、髪の毛?」

律「そう。最後に入ったのが私と憂ちゃんだったら、
  当然こんなものが排水溝から発見されるわけがないんだよ」

ビニールの中には長い髪と短い髪。特に長い黒髪は特徴的で一目でもすぐわかる。

澪「だって私、髪長いし……洗わないと気持ち悪いし」


澪はきまり悪そうに後頭部をかいた。私にはわかる。
風呂にどうしても入りたいと言い出したのはコイツだ。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:50:43.65 ID:FBLinu+Q0

律「これもまだみんなには言ってなかったことだけど、
  私と憂ちゃんは昨日、風呂に入る以外にもうひとつしたことがあったんだ。
  いや、別にたいしたことじゃない。
  現場検証、まあそんなかんじのことをしようと、あの物置部屋に入った。
  入ろうとした。でもな、部屋に入る前に気づいた。部屋の中に誰かいる、ってな」

梓「誰か?誰かって誰ですか?」

律「窓ガラスを割ったナゾの人物――最初のナゾに人物。これは和、お前だな」

完璧にはわからない。さっきはそう言った。
しかし、荷物を荒らすタイミングと窓ガラスを割るタイミング。
そして唯へ合図を送る適役は誰か。
それらを考えれば、和が窓ガラスを割った犯人だと誰でもわかる。


何より、決め手は唯のケータイだった。
唯からケータイを奪取した際に、唯のケータイを確認したら和からの着信履歴があった。

和「ええ、そうよ」

和はあっさり首肯した。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:55:35.54 ID:FBLinu+Q0

律「話を戻すぞ。私と憂ちゃんは咄嗟に廊下の角に隠れた。
  誰かわからなかったし、少なくとも私は例の犯人かも、と思ってたしな
  ――そして、誰かが物置部屋から出てきた。暗くかったからその誰かの顔は見えなかった。
  まあ、ソイツは何事もなく立ち去ろうとしたんだけど、ここで私がヘマした。

  情けない話、澪じゃないけどビビっちゃってさ。懐中電灯を落としちゃったんだ。
  いやあ、マジであの時は殺されると思ったね。
  りっちゃん隊員最大のピンチみたいな。
  でも、ソイツは不思議なことにさっさととんずらこいちまった。

  安心したけど、正直奇妙だな、って思った。んで、憂ちゃんと一緒に結局物置部屋に入った。
  そしたら、また同じことが起きた」


梓「同じこと?もしかして……」

律「そう。今度は澪の首がなくなっていた。
  残ったのは赤いシミの付いたテーブルクロスだけ……ぱっと見た限りはな。
  ところがどっこい。テーブルクロスを引っぺがすと、面白いものが出てきた。
  真ん中に穴の開いたテーブルだ。これ――」


私は脇にあるテーブルを指差す。



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 15:58:38.72 ID:FBLinu+Q0

律「と、まさに一緒。それだけじゃないぜ。
  部屋を探すともっと面白いものが見つかった。
  鏡だ。両方とも今回の事件の要になったものだ。

  ちなみにそれもこの部屋にあるヤツとまったく一緒だ。
  ていうか、この部屋のテーブルも鏡もそのときに見つけたのを
  そのままこの部屋まで持ってきたんだから当然なんだけどね。

  さて、ここからが問題。
  なんで犯人はこんな一番大事な証拠品を残したまんまにしちゃったのか。

  いや、その前にこっちにも触れておこうか。
  この部屋で起きた事件のテーブルについても後に調べたんだけど、
  こっちのテーブルには穴なんか開いてなかったし、もちろん鏡もなかった。

  だけど、鏡を利用したテーブルのマジックが使われたのは私たち自身が見ている。
  つまり、こっちは証拠品になるものはきちんと回収しているってことだ。
  じゃあ、なんで物置部屋のほうは証拠品を回収しなかったのか。
  当然の話だけど回収しなかったんじゃない。
  回収できなかったんだ。私たちが部屋に来てしまったせいで」


梓「どういうことですか?」

律「あの夜、物置部屋から出てきたどっかの誰か。コイツの正体が澪だったら全部話がつく」

梓「澪先輩だったら……」

律「まず、なんで澪の死体が消えたのか――澪があの犯人だったら……」

梓「死体の役をすでにやめてるんだから、当然の話ですね」


律「うん。証拠品を持ち出せなかった理由ももう想像できるだろ。
  鏡にしろテーブルにしろ一人で運ぶにはちょっち重い。
  だから、澪は和を呼びに行こうと部屋から出た。

  でも、ここでトラブルが発生したんだ。物音がした。
  明らかに人がいる、って。澪は気づいたんだ。
  本来なら死体のフリをすれば誤魔化せたかもしれないが、
  みんなも知ってのとおり、怖がりの澪は、きっとパニックになっちゃったんだろうな。
  一目散に逃げた。証拠品を残したまんまで」


そもそも冷静に考えれば、澪があの真っ暗な部屋で一人でいたり、
死体のフリしていただけでも驚嘆に値することなんだけどな。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:03:59.09 ID:FBLinu+Q0

律「かろうじて首を通すための、
  穴の開いたテーブルクロスだけは代えておいたみたいだけどな」

紬「……じゃあ、最後に私がこの事件に噛んでるって根拠を聞かせてもらっていいかしら?」


律「ようは、この事件がはじめから唯たちによる自作自演だったとしたら、
  当然この事件の場所を提供したムギだって怪しいって思うのが筋だろ。
  特に窓ガラスを割ったりするのはイタズラでもちょっとやりすぎだしな」

紬「それだけ?それだけじゃないでしょ?」

律「うんまあ、後、唯が窓ガラスが割れた音を聞いたって言ったとき、
  ムギも私も聞こえたって言ったからな。
  それでもやっぱりムギは行動が一番少なかったから、
  正直確信みたいなものは最後まで、もてなかった。だよね、憂ちゃん?」

憂「はい、そうです」

律「ああ……でもな、私たちの行動でどうしてもおかしいと思えることがあった」

紬「私たち……それは私や唯ちゃんだけでなく、りっちゃんたちもってこと?」


律「うん。やっぱりさ、おかしいと思わないか。
  人が死んだんだ。たとえ、パニックになっても普通は警察呼ぶぐらいはさすがにするだろ?
  犯人である唯たちならともかく。私も梓も憂ちゃんも全然そうしようとしなかった」

紬「うんうん。それで」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:06:55.42 ID:FBLinu+Q0

律「まるで酒飲んで酔っ払ったみたいだった、
  って後から振り返って思ったんだ。梓や憂ちゃんはどうだった?」

憂「私もあの時は何だか体調が優れませんでした」

梓「そう言われてみると、そんな気がしないでもないです」

律「……だ、そうだ」

紬「どうやら完璧に見破られているみたいね」

律「いや、今のムギの言葉を聞いて私ははじめて確信したよ。
  私らの飲み物に睡眠薬を混ぜてたんだろ」



睡眠薬――飲んだことがないからよくは知らないし、そもそもどのような手段を用いればそれが
入手できのかも定かではないが、憂ちゃんによれば、睡眠薬は眠気を促すだけが効果ではないらしい。
様々な種類があって物によって色々な効果があるんだとか。
だから睡眠薬遊びなんてものも一部の界隈では流行っているらしい。
私には一生縁がないことを祈ろう。

まあ、どの種類の睡眠薬かはさすがの憂ちゃんもわからなかったらしいが、
飲むと睡眠と同時に酩酊してしまうものもあるらしい。
言われてみれば、私のあの時の症状はまさに酔っ払いのそれだったのでは、と思えなくもない。
強烈な眠気と酷い頭痛。おぼつかない足取り。
特に澪があの物置部屋で駄々をこねた時はもう、思考が半分以上停止しかけていたし。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:10:16.08 ID:FBLinu+Q0

梓「……あれ?」

律「どした?」

梓「でも、どうやって睡眠薬を仕込んだんですか?
  私たち、普通に夕飯の時は紙パックで各々好きなものを飲んでましたよね?」

律「バーベキューだったしな。じゃあ単純にもうひとつのほうだ」

梓「もうひとつのほう?」

律「夕飯の後、風呂に入っただろ。
  その後に私らきちんと食べたんじゃん。夕食後のデザートをさ」

梓「たしかに美味しく頂きましたけど」

律「さて、問題。わたしら軽音部がお菓子食べるときに一緒に飲むものと言えば?」

梓「紅茶です」

律「正解。では、誰がその紅茶を淹れてくれるでしょう?」

梓「ムギ先輩です」

律「じゃあ、最後の問題。あの晩私らが飲んだ紅茶を淹れてくれたのは?」

梓「……ムギ先輩」

律「そういうこと。日ごろの習慣っていうのは恐ろしいもんで
  無意識にムギが紅茶を淹れるのを当たり前だって思っていたんだ。
  だから、今回だって進んでムギが紅茶を淹れたって
  誰も口を挟まなかったし何も思わなかった。当たり前、だからな」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:14:27.50 ID:FBLinu+Q0

白状すれば私はあの日、みんなでお菓子を食べたとき
誰が紅茶を淹れたかなんて覚えていなかった。
そもそも考えようとすらしていなかった。
ムギが紅茶を淹れる――私にとってそれはあまりにも当たり前だった。

しかし、普段から軽音部にそれほど関わりのない
憂ちゃんだからこそ、その点に気づいたのだろう。

律「適当にスキを見て睡眠薬を入れれば後は勝手にみんなが飲んでくれる、そうだろ?」

紬「はい、そのとおり……りっちゃんに惚れちゃいそう」

律「なんか言ったか?」


紬「いえ、なーんにも。ワタシニハユイチャンガイタンダッタ……」

唯「え?ムギちゃん今私の名前呼んだ?」

紬「いえいえいえいえいえいえ」

澪「六回……」


梓「あれ?でも何でそんなことをしたんですか?
  睡眠薬を私たちに飲ませることに何かメリットがあるんですか?」

律「ああ、ひとつは私たちを泥酔状態にして混乱させる。
  そしてもうひとつは夜中に証拠品をきちんと回収するためだよ」

梓「なるほど。私たちを眠らせておけば誰にも見られることもなく
  安全かつ確実にものを運べますもんね」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:16:59.40 ID:FBLinu+Q0

もっとも二日目は事はうまく運ばなかった。
私は後半からずっと気絶した状態だったため睡眠薬を飲ませることなどできなかった。
そしてあの時点でほとんど真相を看破していた憂ちゃんも
十二分に経過していたため、そちらも同様に睡眠薬を飲ませることができなかった。

律「だいたい事件の流れはこんなもんだけど……」

唯「ストップストップ。最後に一番の謎が残ってるよ」

律「へ?なんかあったけ?」

唯「あの物置部屋の扉が開かなかった理由だよ。
  なんで、カギがなかったのになんであの扉が開かなかったの?」

唯の声には得意げなニュアンスが墨汁のように滲んでいた。
……そういえば、これについては憂ちゃんも何も言わなかったな。

唯「りっちゃんにコタエがわかるかな~?」

…………嬉しそうだな、オイ。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:27:24.85 ID:FBLinu+Q0

図らずとも憂ちゃんの顔を見てしまった。こまったような表情の憂ちゃん。

あれ?もしかして憂ちゃんも答えがわかっていないのか?

いや、憂ちゃんにわからない答えが私にわかるわけないぞ。

唯「は~やく、りっちゃん答えてよっ」

律「ええと、だな」


得意顔の唯とそんな唯を楽しそうに眺めている憂ちゃんを交互に眺める。

私でも、今ならたとえ二人が同じ髪型をしていても、区別をつけることができr



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:38:42.68 ID:FBLinu+Q0

律「――――!!」


答えがわかった。

律「澪、微妙に髪、短くなったな」
澪「…………さすがに律は気づいたか」

澪「さすがに律は気づくか」

律「あったりまえだろ。何年一緒にいると思ってんだよ」

唯「ふたりの世界禁止~。りっちゃん、それでコタエは!?」

唯が私と澪の間に割って入った。ていうか、ふたりの世界ってなんだよ?

律「わりわり。答え? そんなの名探偵律様にかかりゃ簡単なもんよ」


今度は私が得意顔になる番だった。



律「答えは単純明快。鍵がないんだったら、鍵を作ればいい。
  鍵穴に南京錠の代わりのものを通せばいい」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:50:42.00 ID:FBLinu+Q0

梓「代わりのものってなんですか?そんな南京錠の代わりになるものなんて……」

律「南京錠ってさ、すごい原始的じゃん。
  ようは鍵穴に金属を通すだけでいいんだからさ。
  つまり、鍵穴に通るものだったら南京錠じゃなくてもいいんだよ。



  たとえば“髪の毛”とかさ」


梓「じゃあ、澪先輩が髪を切ったっていうのは……」

律「そういうこと。南京錠の代わりに切った髪の毛を鍵穴に通しておく。
  髪っていうのは意外と丈夫なんだ。
  こま結びにでもしておけばまず、外れることはない。
  後はみんなが物置部屋から出てったらハサミかなんかで切ってやる。
  で、後はみんなが再び戻ってくるまでに死体になればオッケー」

澪「……さすがは憂ちゃんだな」

律「いや、これは私の推理だよ」

澪「……本当に?」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:53:15.69 ID:FBLinu+Q0

澪が露骨に驚いた顔をした。私には目の前の幼馴染が何を考えているのか手にとるようにわかった。

憂「本当ですよ。私にはその謎が解けなかったから」

律「へへん、どうよ?」

澪「……驚いたな」

この推理にははっきりとした根拠があった。澪の死体を見たとき、私は気絶した。
その瞬間、地面にひざまずいたのは覚えている。
そのときに切られたはずの澪の髪が私のひざについた。
おそらく気絶から目覚めたとき、私のひざについていたものがそれだ。
あの髪の毛が澪のものにしては短すぎたのも、すでに切られた後の髪だったからだろう。


律「この密室トリックの目的は私たち全員をあの場にとどめて、
  和があの場から撤退するための時間稼ぎをさせることだ。
  後は和からのケータイの合図を唯が受け取って、みんなを誘導させる。
  唯はなにげない言葉でみんなを文字通り誘導していったんだ」

唯「……なんか全部見透かされてるみたいだね……りっちゃんこわ~い」

律「何度も言うけど私じゃなくて憂ちゃんだぞ」

憂「お姉ちゃんのことならなんでもわかるよ」

紬「ふふふ、この姉妹いいわぁ~」


心なしかだんだん萎びれていく唯とその妹の憂ちゃんのやりとりを、
ムギはとろけるような眼差しで眺めている。
ホットケーキを蜂蜜漬けにして、その上からメープルシロップを塗りたくっても
あんな甘い視線にはならないだろう。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:55:50.06 ID:FBLinu+Q0

律「話しを戻すぞ。
  たとえば和の死体を発見したとき。
  唯はさりげなく電気がつかないって言った。本当はつくのに。
  少し確かめればわかる嘘をあえてついた。

  たぶん、死体のデキに自信がなかったからじゃないか?
  少しでも暗くしておいて死体を見づらくしたかったんだろ。

  他にも、二日目の朝。澪の按配を確認する際、みんなで澪のところへ行こうと言ったり、な。
  和の部屋の状況を確認しに行くときも、唯が先導してたし。まあこれで証明終了。A・E・D」

澪「自動対外式除細動器!?」

紬「正しくはQEDね」

梓「ところで結局なんでこんなことしたんですか?」

唯「ああそれはね――」


梓の疑問はもっともなものだった。梓の疑問に唯が答えようとして、私はそれを遮った。

律「みんなを驚かしたかったんだろ?」

唯「りっちゃん、わたしのセリフとらないでよ~」

律「唯。最近学校で噂になってる珍事件のこと知ってるか?」

唯「へ?」



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 16:59:14.97 ID:FBLinu+Q0

律「いや~この最近噂になっているこの事件ってさ、決して悪質なものではないんだよな。
  器物破損とか誰かが怪我したとかそういうのは起きたことないだろ?
  どちらかというとイタズラって言ったほうがいいかな」

唯「う、うん」

唯は私の言葉の意味を咀嚼するように目をしばたたかせた。が、不意に石のように固まった。

律「今回の唯が考えたこれも立派なイタズラだよな?」

唯「え?あ~まあ~その、ね?」

律「そして今回の事件の唯以外の犯人役――ムギ、澪、和。この三人には共通点がある」

梓「共通点?」

律「学校の珍事件の被害者、ってことだ。そうだろ?」

澪の口から大量のラブレターが下駄箱に突っ込んであった話は、
その事件が起こった日にすでに聞いていた。
ムギから唯に告白されたという話も以前に。
そして和からも夏休みに、唯の家に泊まった際に
メガネのフレームが上下逆になっていたとかいう話をそれとなく聞いていた。


他にも私たちのクラスが最もそのイタズラが起こっている回数が一番多いとか。
まあ、これに気づいたのもやっぱり憂ちゃんだったのだが。

つくづく優秀だった。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:02:23.67 ID:FBLinu+Q0

律「なあ、和」

和「何かしら?」

律「仮にこの学校の事件の犯人が捕まったら、生徒会は何かしたりするの?」

唯「え?え?え?あのぉ……」

涙目で戸惑う唯をよそに、空気の読める和は思案するかのようにあごに指を当てた。
レンズの奥の双眸はどこか爛々と光っていて、
唯にとってはろくでもないことを考えているのが私にも窺えた。


和「生徒会新聞で犯人を大々的に報告して、朝会で晒し者にして、
  もうやめてくださいって言うまでハートマン軍曹的スパルタ教育で
  その曲がった根性を叩きなおしてあげるつもり。
  今のところの予定はね」


唯「…………」
律「だってさ。唯」

唯「アワワワワワワワワワワワワワワ」

今や紙のように白くなった顔は生気が抜けて悲惨なことになっていた。
もっとも同情するヤツなんてもちろんいない。自業自得ってヤツだ。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:04:27.09 ID:FBLinu+Q0


律「まあそういうわけだから帰ったら楽しみにしてろよ、犯人さん」

唯「え?」

突然唯は正気に戻った。


律「どうした?」

唯「もしかしてこれがオチとかじゃないよね!?」

律「いや、これ以上話を広げるのは無理だろ」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:09:03.27 ID:FBLinu+Q0

紬「うん、私も疲れちゃったし、
  それに色々な絡みも見れて満足できたし今回の旅行は、最高だったわ」

澪「私は犯人役で疲れた……」

和「私なんて一日目からぶっとおしだったから余計に疲れたわ」

梓「私も。なんだかただ単に唯先輩に振り回されただけの休日のように思えてきましたし」

唯「そんな~ういぃ~」

憂「お姉ちゃん。悪いことはしちゃダメってことだよ」

唯「うえええええええええええん」

まあ、何はともあれこれで今回のちょっとしたお話もおしま――


唯「もういいや。次回はりっちゃんが犯人役の話をやr」


律「おわれ!!」

♪おしまい♪




37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:12:54.21 ID:xccbdhncO

見てた!乙



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:17:30.87 ID:chyJ/HJl0

おつ! 推理は簡単だったけどな!
ただ、澪の髪の毛だけは想定外だった



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 17:20:45.13 ID:11GQJ9SlO

髪の毛だけは予想できんかった




40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/24(水) 18:03:53.45 ID:sgpTHCHb0

乙前スレから読んでたけど面白かった
しかしROM専ばっかりだな






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