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唯紬「秋、夏、春、そして冬」#後編 【非日常系】


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唯紬「秋、夏、春、そして冬」#前編
唯紬「秋、夏、春、そして冬」#中編
唯紬「秋、夏、春、そして冬」#後編




139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 00:33:56.70 ID:bCBq5z4C0

・         ・
     ・

私と仕事どっちが大事なの?

そんな陳腐なドラマのセリフが思い出される。

虫の知らせではないけど、今日は何となく朝からついていなかった。
電車を一本乗り遅れるとか、教科書を間違って持ってくるとか、
唯ちゃんが梓ちゃんにいつもより6秒も長く抱きつくとか。
最後以外はさほど支障はきたさなかったけど、
まさか家に帰ってきてまでこんな事になるとは思わなかった。


紬「………はい、……いえ、そういう理由ならしかたないですよ……
  はい……では折り返しまたご連絡いたします、はいお疲れ様です」


携帯をきると共にため息がもれる。
私は投げるように携帯を置いて、座っていたソファーに倒れ込みクッションに顔をつけた。
本当はさっさと連絡しなければいけないんだけど、心の準備くらいさせてほしい

きっと怒るだろうな……

また深いため息がでる。

私は彼女にバイトを始めたいと相談した時の事を思い出す
あれは確か土曜日の夜、彼女のベッドに寝ている時だった……

――――――
――

唯「バイト?」



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 00:38:27.71 ID:bCBq5z4C0

紬「ええ、やってみようと思うんだけど」

時刻は深夜3時。横に寝ている裸の彼女にあらかじめ用意していた質問を思い切ってぶつけてみた。

紬「ダメかな?」

私は甘えるようにもたれかかる。
汗をかいたせいなのか、彼女の素肌が少し冷たくなっていたので
温めようとそのまま自分の肌を押し付けた。


唯「……私が決める事じゃないでしょ」

私の体を受け止めやすいように、下になっている彼女も少し動く。

紬「そうだけど、唯ちゃんと会える時間減っちゃうから」

私が相談した意図を理解したように、眠たそうだった彼女の目に少し動揺がはしるのが見える。

彼女は私の体を押してのけ自分の体をおこし、ベッドの端にある上着を着る。
どうやら真剣に話を聞いてくれるらしい

唯「何でバイトしたいの?」

当然の質問をぶつけられる

紬「社会勉強かな。自分の成長にも繋がるし、いろいろ学べることも多いと思うから。」

唯「……何もこの時期にしなくてもいいんじゃない?」

紬「来年は三年生になって受験もあるし、やるとしたらこの時期しかないのよ



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:00:15.99 ID:IntDJc8K0

唯「……大学からじゃダメなの?」

紬「高校生のうちに一度はやってみたいの」

彼女の質問はどれももっともだけど、やっぱり興味のあることには挑戦したかった。
そうやって部活にも入り、いい仲間と大切な人にも出会えたのだから。

彼女は考えるように目線を上に向けて押し黙ってしまう

紬「唯ちゃんは反対?」

唯「……私が反対したらやめてくれるの?」

あまり聞いてほしくない質問がとぶ

紬「分からない。ただ納得してもらえるように説得はすると思う」

唯ちゃんとはずっと一緒にいたいけど、将来の為にもバイトをして
いろいろ学ぶというのは私にとっては大切な事だから、諦めるつもりはなかった。

唯「……やりなよ」

紬「えっ?」

唯「バイト、やりたいならやってもいいよ」

相変わらず上を見ながら、そこに答えがあるように彼女は言ってくれた

紬「……本当にいいの?」

唯「いいってば。やりたいんでしょ?」



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:05:23.17 ID:IntDJc8K0

紬「はい」

唯「じゃあそれでいいじゃん」

彼女は起こしていた体をまた布団の中に入れてさっき私がしたように体をあずけてくる、
まるでもうこの話はこれで終わりと私に言うように、そんな言葉のない優しさが心にしみる

紬「ありがとう、唯ちゃん」

そのまま今度は下になった私が彼女を抱き締めるよう体を動かす


唯「どこでやる予定なの?」

紬「通学路の途中にあるハンバーガーのファーストフード店、この前みたら募集してたから」


前は、ご一緒にポテトもいかがですかと言われるのが夢だったけど、今度は言う立場になってみたい

唯「そっか……働いたら行ってみていい?」


紬「うん、毎回来てもいいわよ」

唯「毎回は無理だよ……それに失敗して泣いちゃうムギちゃん見たくないし」

紬「どういう意味?」

これでも少しは上手くやれると思っているのに



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:09:51.16 ID:IntDJc8K0

唯「……頑張ってね」

小さい声でボソッと言ってくれる彼女の優しさが心を暖かくする

紬「うん、頑張る……ねえお礼していい?」

私は体を少し離し、先ほど着た彼女の上着のボタンを手をかけてる

唯「それ誰にたいしてのお礼なの?」

彼女は唇を尖らせ、少し怒った顔をしながら睨んできた

紬「もちろん……あなたにじゃない」

そのまま唇を首にもっていく

唯「んぁ……もうムギちゃんがしたいだけじゃん。眠かせてよ」

そんな反抗的な彼女が足をモジモジさせてるのに、私が気付かないわけがない


――――――――
――

どうやら余計なところまで思い出してしまっていた。
結局私はバイトに受かり、はれて店員として働けている。

最初は唯ちゃんの予想が当たってしまい失敗ばかりで他の方には迷惑かけていたけど、
最近になってやっと研修中の札をとることができた。



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:15:29.43 ID:IntDJc8K0

ただこれも最初の危惧通り、
彼女との時間はあまりとれず、ここ1ヶ月は2人っきりで会える時間は極端に減っていた。
だからそれに対して文句のひとつも言わない彼女に申し訳ないと思い、
だからこそ今週の日曜日には久しぶりの休みをとって、どこか行こうと彼女に提案してみた。

だってその日はせっかくの記念日だったから。

唯ちゃんも楽しみにしていたみたいで、
和さんには唯ちゃんが嬉しそうに今度の事を相談してきたと教えてもらっていたばかりなのに……

そんな子に私は今から言わなければいけない

日曜日――あなたの誕生日の日、バイトに入って欲しいとお願いされたけどどうすればいいか?などと…


覚悟を決める、結局先延ばしにしていてもしょうがない。

乱暴に置いた携帯電話を持ち直し、彼女に電話をしようと震える手でボタンを押す


発信音が一度、二度となる。
私はそれを何かのカウントダウンのように感じていた
できるなら私の覚悟が揺らがないうちに早くでて欲しいのに、
その後も発信音のみでなかなかつながらない。
そして今度はこのままでないでくれと願っていた。

いい加減一度仕切り直そうと思った瞬間、発信音がいきなり途切れる



唯「………ふぁい」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:20:30.39 ID:IntDJc8K0

途切れた後もたっぷり間をとってから、さっきまで寝ていましたという彼女の声が聞こえてくる

紬「唯ちゃん、紬です」

唯「んぁ?」

気が抜けた返事が続き、緊張が少しとかれ自然と顔に笑みが浮んだ

紬「聞こえますか?紬です」

唯「ん…ム、ムギちゃん!?」

声と共に後ろで何かが盛大に落ちる音が聞こえてきた

唯「うわぁあ」

紬「だ、大丈夫!?」

唯「あっ……うん大丈夫。ちょっと待ってて」

カタッと音がして静かになり、また後ろの方で微かに音がカシャカシャなっている。



唯「………もう大丈夫」

紬「ごめんなさい。寝ちゃってた?」

唯「ううん、ちょっと休憩してただけ」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:24:37.18 ID:IntDJc8K0

そのわりには声が寝起き丸出しだったけど?
といつもなら意地悪にそう言ってるのだが、やらなければいけないことを思い出して自重する。
だって横道に逸れるときっと私は言えなくなってしまうから

唯「あっそういえば、日曜日どこ行きたいか決めたよ」

狙ったかのように最悪のタイミング……
もちろん彼女に悪気はない、誕生日までは後3日に迫ってきていたからこの話になるのも至極当然だった

唯「いろいろ考えたんだけどね……」

紬「唯ちゃんその前にちょっといい!?」

私は話を遮る。ここで話しておかないと

唯「ん?」

ひとつ呼吸をし、携帯を強く握りしめて心の中で彼女に謝る


紬「唯ちゃんの誕生日の日なんだけど……
  実は……今ね、バイト先の皆さんがインフルエンザにかかってしまって、
  その日スタッフが足りない状態なの」

話の内容から不穏な空気を察したのか唯ちゃんが息をのむのが分かった

紬「それでさっき電話があって……休み希望とってるところ申し訳ないけど、
  日曜日バイトでてもらえないかって言われたの」

喉の奥まで乾いてて、なかなか上手いように言葉がでない。



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:30:45.38 ID:IntDJc8K0

紬「それでね、私どうしていいか分からなくて……
  今までバイト先の人に迷惑ばかりかけてきたから、
  こんな時くらい皆さんの役に立ちたいと思うけど……
  日曜日は唯ちゃんの誕生日だし私も唯ちゃんと遊びたい。
  けどそれだと多分お店まわらなくなっちゃうだろうから……
  だけどやっぱり唯ちゃんと……」

何だか同じところをぐるぐる回ってしまっている、
罪悪感の為か言葉がしどろもどろになって話が前に進まない。


唯「……もういいよ」

顔が見えないせいなのか、まるで別人に入れ替わってるかのようにさえ聞こえた暗く濁った声がする


紬「えっ……」

唯「分かったから、もういい。日曜日遊べなくなったって事でしょ?」

紬「……ち、違うのよ。どうするか相談したくて、だからまだ決定ではなくてね」


唯「じゃあいいよ、遊ばないで。」

紬「あっ………けど……」

唯「バイト行きなよ、大変なんでしょ?」

紬「そうだけど……本当にいいの?」


唯「……誕生日なんてまた来年あるんだし、いいよ別に」



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:35:22.61 ID:IntDJc8K0

投げやりな声が私に突き刺さる、
もちろんこれは私が受けなければいけない痛みなのは分かっていた。


紬「ごめんなさい、12~20時までだからもしよかったらそれ以降に……」

唯「いいよいいよ、次の日も学校あるし」

紬「そ、そう……」

唯「じゃあそろそろ晩御飯食べなきゃいけないからきるね、バイバイ」

紬「あっ…ごめんね、じゃあさようなら」

電話は私が別れの挨拶をしてる時にはすでにきられていた。
携帯を握る手が湿っぽくなっていて、自分でも気づかないほど強く握っていたことに気づく。

怒るなと言う方が無理よね…

この相談をしているだけで、彼女に対して失礼なのは分かっていた。
私はバイトと彼女を天秤にかけて、どちらが重いのか決められないとそのまま報告したのなのだから……

気持ちが重くなる

私は結局彼女になんて言ってほしかったんだろう?

携帯をどこかに投げてしまいたかった、そんな事をしても何も変わらないけど……

それでも私は彼女を怒らせ悲しませて得た日曜日が無駄にならないよう、お店に電話をかけることにした。



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:38:36.24 ID:IntDJc8K0

――――――――
――

いつもなら微妙な距離間を空け、
唯ちゃんと一緒に歩く彼女の家までの道を、私は普段とはまったく違う心境で歩いていた。

気持ちが歩幅にもあらわれいるのか、
そろそろ彼女が家をでる時間が近づくというのに、なかなかペースがあがらない

心が変わると風景もがらりと変わってしまう……

彼女と一緒なら、話のネタになりそうな民家から聞こえてくる朝の慌ただしい音や、
道端に寝ている猫も、ただただ煩わしいものでしかなかった。

私が立ち止まらない限り確実に彼女の家は近づいていて、それはもう目の前に迫ってきていた。


昨日バイト先に電話した後、明日の朝直接彼女に謝ろうと思い立った私は、
早朝から彼女の家までやってきたのだ。


 「お姉ちゃん大丈夫?」

聞き覚えのある声が耳に入ってきた

唯「何が~」

憂「何か昨日から元気ないみたいだから」

唯「そんな事ないよ~もう憂は心配症だな~」

彼女達の会話に私の足は止まってしまう。
だって唯ちゃんが元気ないとしたら、それは私のせいだから……



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 01:43:06.14 ID:IntDJc8K0

だけどこんなところにいてもしょうがない、私は意を決して足を前に出す

憂「そりゃ心配するよ、だってお姉ちゃ……紬さん?」

玄関で立ち話をしていた彼女達の目がこちらをむく。
髪を結っている差はあるといえ、それはまるで双子のように、
そして今は同じ驚いた表情を浮かべながらこちらに視線をおくってきた。

紬「お、おはようございます。ちょっと唯ちゃんにお話しがあってうかがったの」

私が言葉を発しても、相変わらず彼女達は私を見ているだけだったが、
意外にも先に立ち直ったのは唯ちゃんの方だった。


唯「……憂~、私ムギちゃんとお話しして行くから、先に行ってもらっていいかな?」

憂「えっ…?うん、いいけど……」

唯「えへへ、ありがとう~」

明らかに落胆と困惑の色を浮かべる憂ちゃんは、それでも素直に従ってくれた

紬「ごめんなさいね、憂ちゃん」

本当に申し訳なく思い口にだした謝罪の言葉も、嫌みに聞こえてないか心配になる。

憂ちゃんが私の横をお辞儀をして通り過ぎる瞬間、彼女の目に私を非難する色が浮かんでいた。

それは姉との朝の時間を奪った事になのか?
それとも姉の元気のなさを私と結びつけたのか?

多分両方だろ。



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:00:01.59 ID:IntDJc8K0

唯「歩きながらでもいい?」

紬「えっ?」

憂ちゃんに気を取られていた私は、いつの間にか近づいていた唯ちゃんに驚く

唯「話するんでしょ?」

紬「あっ!……ええ、ありがとう」

そのまま彼女は歩き始めだが、先ほど私が来た道は通らずに角を曲がる

紬「あの…こっちじゃないの?」

唯「憂そっちの道行ってるし、人もけっこういるから」

そう言う事か……

唯「何、話したい事って」

紬「うん、昨日の事直接謝りたくて」

唯「………いいよ別に」

紬「でもせっかく楽しみにしていたのに、私のせいで遊べなくなっちゃって本当にごめんなさい」

唯「いいよ仕方ないじゃん。バイトなら」

いやに聞き分けがいいと逆に不安になってしまう、
だってこちらは罵倒されるのを覚悟して来ていたから。



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:06:46.81 ID:IntDJc8K0

だからこそ人通りが少ないところを選んでいるとまで思っていた

紬「きっと来週は代わりに休みをいただけると思うから、遊べると思うの」

唯「うん……」

紬「そしたら、どこか行きましょう。唯ちゃんの好きなとこどこでもいいわよ」

唯「うん……」

そういう事じゃないのは分かっていた。
こんな事をしても、唯ちゃんの誕生日に彼女よりバイトを優先したことは変わりはしない。
だけど私に言えるのはここまでで、許したと言った相手にこれ以上何度謝っても煙たいだけだと思い、
もう謝ることすらできなくなってしまった。

結局その後元気のない彼女と当たり障りのない会話をしながら、私達は学校にたどり着いた。


――――――
――

律「いやー今日も疲れた疲れた」

澪「律、最近怠けすぎだぞ」

律「だって学祭も終わったしなー」

梓「学祭が終わったって次は新歓あるんですし、ちゃんと部活しましょうよ」

律「分かったって来週はちゃんとやるから、な?」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:15:34.48 ID:IntDJc8K0

その日の夕方、いつも通りののんびりした部活を終え、私達は五人一緒に帰っていた。

私は伺うように目線だけで、前を歩く唯ちゃんに見る。
結局学校に行ってからも、部活中もたいして話はできていない

律「あっ!そういえば明日は1時に唯ん家でいんだっけ?」

唯「うん、いいよ~」

明日……唯ちゃんの誕生日前日に、軽音部で彼女の誕生会がおこなわれることになっていた。
前日になったのは唯ちゃんが誕生日当日は予定があるからと断っていたのだ。

みんなには、和さんのお家で誕生会をやってもらえる事になったと言っていたが、
もちろん用事と言うのは私とのもので、今となってはそれもなくなってしまったのだけど、
私達の付き合いを知らないみんなには、
私との用事だという事も、もちろんそれが無くなった事も話していない。


律「じゃあ澪は12時に私の家な」

澪「なんでそうなる」

律「ええーイヤなのかよー」

澪「別にそうじゃないけど……」

唯ちゃんと共に前を歩く2人による、いつもの微笑ましく見える光景も今日は何も感じなかった

梓「どうかしましたか?」

紬「えっ?」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:20:19.76 ID:IntDJc8K0

隣を歩いてる梓ちゃんがいきなり聞いてくる

梓「いや、なんだかボンヤリしてたみたいですから」

紬「そう?何でもないわよ」


律「はは~ん、さては唯の誕生パーティーに来れないのが寂しいんだな」

前からりっちゃんの冗談混じりの声が突き刺さる、多分唯ちゃんにも

澪「バイトあるんだっけ?」

紬「えっ!……ええ、そうなの」

日曜日は2人っきりで会うからという理由で、今日、明日はバイトを入れてしまっていた。
だから軽音部では唯一明日の誕生会に私は参加しない。

律「ムギーズル休みしゃえよー」

澪「こらっ律!そんな事したら他の人に迷惑かかるだろ」

律「わ、分かってるよ、冗談だって。けどムギが来れないのは残念だよなー唯も寂しいだろ?」

マフラーをしていて良かった。
口元が隠れていたおかげで少し漏れた声がみんなには届かなかったようだ。
もちろんりっちゃんに悪気はないのは分かってる。だけどこの質問は……

長い間が空いた。
しかしそれは私が意識を集中させていたからそう感じただけで、
実際はみんなが不自然に思うほどは空いていないみたい



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:25:50.80 ID:IntDJc8K0

唯「しょうがないよ~バイトだもん」

昨日の夜と今日の朝、この返事は三回目。それはやはり変わらなかった……
それを悲しいと感じた私は本当に身勝手だと思う。

そんな私を無視して会話は続く

律「だよな~よーし、じゃあ私がムギの分も騒いで、唯を楽しませてやるよ」

唯「おおー頼みました、りっちゃん隊員」

律「任されよー」

梓「律先輩はいつも二人分騒がしいですけどね……」

律「あ・ず・さ。聞こえてるぞー」

梓「ひぃぃい」

澪「やめろ」

りっちゃんの頭が叩かれる音がして、唯ちゃんの笑い声が届く
彼女の笑い声ですら懐かしく感じてしまう私に、彼女と付き合う資格があるのだろうか

その後バイトに行くためにみんなと別れた時も、
彼女はみんなの陰に隠れて私に顔を見せてはくれなかった。


バイト中はいつも以上の忙しさで何も考えずにすんだけど、その分家に帰ってから落ち込んでしまう。
ただやっぱり私みたいなのでも、バイトに入らなければ
お店が回らなかったのも事実で、次の日の土曜日も目の回るような忙しさだった。



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:30:34.05 ID:IntDJc8K0

ただふとした瞬間、今頃幸せそうな笑顔を浮かべて
みんなが開いてくれた誕生会を唯ちゃんが楽しんでるのかと思うと、
胸がチクリと痛んでしまい、またそんな事を思ってしまう自分が本当に情けなかった。


集中力を欠いた時もあったけど、とりあえず無事に作業を終え、
家に着くと携帯に新着メールが一件届いていた事に気づく。

ひらくとりっちゃんから写真が添付されたメールがきていた

写真は誕生会で撮ったもので、唯ちゃんとケーキを真ん中にみんなが写っている
添えられた文には

ムギが来ないから唯が寂しそうだったぞ、私の時には絶対来てくれよな

と書かれていた。

本当にりっちゃんらしい優しいやり方で、
来れなかった私を気遣ってくれてるのがわかり、ありがたいと思う。

私は携帯を操作してりっちゃんにお礼のメールを送り、そしてもう一通のメールも書く。

時間は0時ちょっと前。
こういう時はせめて電話の方がいいのだろうけど、
もしでてくれなかったら確実に明日の仕事に影響してしまうと思い、メールを送る。


短い文に願いを込めた。
『お誕生日おめでとう、これからも大好きです』

返信を信じ待っていたが、そのまま寝て翌朝起きても唯ちゃんからメールはきていなかった。



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:35:47.17 ID:IntDJc8K0

―――――――
――

 「今日はごめんね」

日曜日。夜のピーク時を終え、台風のように来ては帰って行ったお客様を笑顔で見送り、
一段落したところでひとみさんが作業をしながらそう言ってきた。

普段のこの時間なら、二人は入っているレジに人数が足りないため今は私しか入っておらず、
ひとみさんはすぐ後ろでストックの確認をしながら何か紙に書き込んでいた。

紬「いえ、こういう事情なら仕方ないです。私も今まで皆さんに迷惑かけてばかりいましたから」

いつお客様が来るか分からない為、私は後ろを見ずに答える。


星野ひとみ
私の教育係だった人で、この店で私が一番迷惑をかけた人だと思う
初日なんてコーラを彼女にかけるという、失態までおかしてしまった。
だからなのか彼女とは一番仲が良くなり、話す機会も多い。
私にとっては頼れるお姉さんのような人だった。

ひとみ「そう言ってもらえると嬉しいんだけど……
    紬さんが休みを希望するって事はよっぽどの予定があったんでしょ?」

紬「……いいえ、ちょっとした事だったので」

嘘でもちょっとした事とは言いたくなかったが、彼女にそんな事を伝えてもどうにもならない

紬「ひとみさんも連勤ですよね?ご苦労様です」



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:42:53.19 ID:IntDJc8K0

その時、カップルがお店に入ってくる。
笑顔で注文を聞いて、ドリンクやハンバーガーを持ち帰りの袋に詰めて渡し、また笑顔でお礼を言う。

お喋りをした後でもこうしてすぐに対応を切り替えられるのは、自分でも手慣れてきた証拠だと思う。

私がお客様への対応をしてる間も、彼女は後ろでいろいろとやっていた。
一昨日から店長までもが倒れてしまったので、ベテランの彼女は店長の代わりに今日は雑務におわれている

紬「あの……」

カップルがお店を出たのを見計らい、また小声で話しかける

ひとみ「何かわからないところでもあった?」

紬「いえ、この後少しお手伝いしていってもいいですか?」

ひとみ「けど紬さん、もうそろそろあがる時間よね?」

紬「はい、けど今日は予定ないので少しくらいなら大丈夫です」

予定はなくもなかった……だけど彼女の忙しそうな様子を見て、
これまで迷惑をかけてきた自分だけが帰るのは申し訳ない、
少しでも恩返しができれば嬉しかった。

ひとみ「本当に大丈夫?」

紬「はい、やらせてください」

ひとみ「うーん、ならお願いしようかな。正直私だけだとかなり時間かかっちゃって……」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:48:40.28 ID:IntDJc8K0

結局閉店時間ギリギリの22時まで彼女の仕事を手伝い、何とか作業を終えることができた。
まだ残ってる方の閉店後の作業も手伝いたかったのだけど、
高校生の私はこれ以上お仕事ができなかったので、ひとみさんと帰らせていただく事にした。

外は11月の終わりということもありかなり寒くなっている、
その中を一緒にお店をでたひとみさんと駅まで歩いた。
私はまだ帰るつもりはなかったけど、どのみち目的地までは駅の前の通りをいかなければならない

できるだけこれからの事を考えないように
ひとみさんと言葉を交わしながら歩くと、すぐに駅についてしまった。

ひとみ「今日は本当にありがとう、助かっちゃった。今度お礼させてね」

改札に入ろうとしている彼女が立ち止まり、
そう言ってくれて何だか今日の頑張りが認められた気がした。

紬「そんな、たいしたことしてませんから」

ひとみ「けど休日を返上して、私の仕事まで手伝ってもらっちゃったし……」

紬「それだけ私もひとみさんに迷惑かけてきましたから」

ひとみ「そんな事ないわよ、紬さんは良くやってくれてるわ。じゃあ何か考えておくわね」

そう言うと改札の中に吸い込まれて行った
腕にしている時計を見ると22時30分をさしている。急がなくちゃいけない


歩いていた進行方向に再度体を向け、駆け出そうとした瞬間、
目の前にフードをかぶった人が立っているのに気がついて、驚く。

そしてそのフードから覗いていた顔を見て、さらに心臓が止まりそうになった



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:53:51.77 ID:IntDJc8K0

紬「ゆ、唯ちゃん?」

そこには今から会いに行こうと思っていた恋人が、目の前に私を睨んで立っている。


紬「な、何でここに?」

唯「さっきの人誰?」

私の疑問にも答えもせず、彼女はその声だけで怒ってるのがわかる言葉を放つ。
とりあえず答えなければ先には進めないと思い、彼女の疑問から解決していく事にした。

紬「……星野ひとみさん。バイト先の先輩で唯ちゃんもお店に来たとき会ったことあるでしょ?」


唯「……知らない」

彼女はワザとくさく眉の間に皺を寄せる

紬「きっと私服だからイメージ違うだけよ。今バイトの帰り道で一緒にここまで来たの、本当よ」

唯「……バイトの帰り道なのは知ってる」

紬「えっ!どういう意味?」

唯「お店の前で待ってたらムギちゃんがあの人と出てくるのが見えて、後ろからつけてたし……」

彼女の視線が後ろめたさの為なのか、初めて私からはずされる。
けど今彼女は何て言った……お店の前で待っていたという事は、私を待っていてくれていたの?



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 02:56:52.70 ID:IntDJc8K0

紬「ちょっと待って……唯ちゃんいつから待ってたの?」

私は彼女に20時まで仕事があると伝えていた。じゃあもしかして……
彼女は視線を外したまま答えようとしない

じれったくなった私は彼女に近づきの手に触る
その手は寒空の中冷やされた私の手がビックリするほど冷たくなっていた。

唯「ん!」

彼女は私のてを急いで振りほどこうとする
寒空の中待っていたのがバレたら、私が傷つくと思ってるのかもしれない。

だから私は絶対に彼女の手を離さなかった

かなり遅い時間だった為、駅前とはいえ行き交う人はそれほど多くなかったけど、
立ち止まり女の子が女の子の手を振りほどこうとしてるのはかなり奇妙な光景だろう。


彼女は私が離さないと分かると、ついに抵抗をやめてくれた

紬「何でお店の中に入ってきてくれなかったの?」

できるだけ優しく聞いてみたけど彼女からの返事がない。

とりあえず暖かいところにいかないと

紬「唯ちゃんどこか入りましょ」

唯「いい」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:00:41.05 ID:IntDJc8K0

紬「ダメよ!ずっと待ってたんでしょ、このままじゃ風邪ひいちゃうわ」

また何も答えてくれない
こうなったら無理矢理にでもと私が考えた時、私が重ねていた手をつかみ彼女は突然歩き始めた

紬「ゆ、唯ちゃん、どこに行くの?」

唯「ちょっとだけ付き合って」

手を繋いだまま道を突き進む、
駅に向かおうとする通行人に当たろうがお構いなしだった。
私の方が力が強いから抗おうと思えばできたけど、それをすることはなかった。

彼女がこんな寒い中、2時間近くも待っていた理由を私も知りたかったから。


路地を抜け角を曲がり駅の近くにある公園にたどり着くと、
そのまま奥にあるベンチまで引っ張られ座らされる。

吐く息が白い。こんな中にずっと待っていたなんて…
私はマフラーを外し、彼女のしていたその上から肩にかけてあげる

唯「ムギちゃん寒いでしょ?」

紬「大丈夫、私体温高いから」

唯「……知ってる」

それもそうか、いつも私達はお互いの体温をいたるところで感じているのだから

横にいる彼女がかけられた私のマフラーのギュッと握っていて、
彼女の可愛らしさだけで私の体温は少しあがる



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:08:26.09 ID:IntDJc8K0

唯「さっきまで和ちゃんの家行ってたんだ」

唐突に彼女は話始めた

紬「和さん?」

半年位前ならば暗い気持ちになっているところだけど、
今はそうならない。和さんは私にとっても友達になったから

唯「憂にもみんなにも和ちゃんの家に行くって言ってたし、他に行けるとこなくて……」

憂ちゃんにも日曜日は和さんのお家に行くと伝えていた
和さん自らいろいろ事情もあるだろし、
そうしといた方が変に怪しまれないからと私達に言ってくれたのだった。

紬「ごめんね」

唯「……うん」

今回の事で初めて、謝る私に彼女はいいよとは言わなかった

唯「それでいろいろお話ししたら、和ちゃんに怒られた」

紬「何て?」

唯「……例え心が通じ合ってても、
  ちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないこともある。とかそんな感じ」

紬「そっか……和さんがそんな事を」

唯「だから……話したくて」

紬「うん」



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:14:00.35 ID:IntDJc8K0

唯「私今スッゴく怒ってる、今までで一番。」

紬「うん」

私はただ返事をするこしかできない

唯「ムギちゃんは何で私が怒ってるか分かる?」

紬「……誕生日なのにバイトに行ったから?」

唯「違うよ!!!」

彼女の声が大きくなる。
けど、違う?じゃあ一体何に・・・

唯「ムギちゃん覚えてる?
  前にムギちゃんのお家にお泊まりに行った時にケンカしてさ、私ムギちゃんに言ったよね?
  ムギちゃんのしたいこと全部受け入れるって、苦しくても一緒なら耐えられるって」

紬「うん、覚えてる」

そうだ、彼女は私が自分一人で抱えていた悩みも一緒に背負ってくれると言ってくれた

唯「だからムギちゃんがバイトしたいならしてもいいって思えた。
  
  本当は会える時間が減るのは寂しかったし、悲しかったよ
  ムギちゃんがバイトに行って会えない日は一人で泣いちゃったりもしたけど、
  授業中寝そうになったり、部活中もちょっと疲れた顔見せてても、私との時間を頑張って作ってくれて、
  会った時は疲れた顔を見せないムギちゃんを知ってたから、
  私だって頑張らなきゃって思った。
  寂しいなんて言っちゃダメだって……ムギちゃんがしたいことをさせてあげようって」



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:21:22.27 ID:IntDJc8K0

我慢していた涙が溢れ、零れるように彼女の瞳から頬をつたっていく


唯「だから日曜日は久しぶりにたくさん会えると思っていたから、
  この前電話もらった時もスッゴいイヤだった。
  けどムギちゃんが悪くないのは分かってたよ、ムギちゃんだってきっと残念に思ってくれてるって。

  だからバイトを始めた時みたいに、
  ムギちゃんの口から言ってくれたら私だってちゃんと我慢した……」

紬「ゆ、唯ちゃん、私ちゃんとあなたに……」


伝えたわよ。と言葉を続けようとしたのにでてこない。
あの時の言葉を思い出しそして気づいてしまった……


唯「誕生日にバイトが入ったから、その日は遊べなくなったって言ってもらいたかった。
  ちゃんと自分の言葉で自分の口で言って責任とって欲しかったのに、ムギちゃんは私に聞いてきたよね?

  どうしたらいいかって……

  言えないよ、行かないでなんて……言えるわけないじゃん!
  だって……頑張ってるムギちゃんを困らせちゃうもん」


そうだ、私はただ状況を説明していただけで自分ではっきりと行くとは伝えてない。
自分でも行くつもりだったくせに彼女に聞いたんだ

答えが一つしかない質問を…

自分が悪者になりたくなかったから、彼女にその選択を任せた振りをした。



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:28:11.68 ID:IntDJc8K0

唯「だから答えた……いいよって、だってそうとしか言えないもん。
  なのにムギちゃんまた聞いてきた、
  
  本当にって…まだこれは決定じゃないって……

  ズルいよ、あんなの最初から相談じゃないよ。

  ねぇムギちゃんは私に何て言って欲しかったの?
  私が行かないでって言ったらどうするつもりだったの?」


電話を切った後自分でも思ったこと、本当は分かっていたけど知らないふりをした。
誰の為でもない、ただ自分の為に


唯「もし私が行かないでって言ったらそれを言い訳にしようとしてたんじゃないの?
  唯ちゃんがそう言うなら仕方ないって

  けど最初から私がそう言わないの知ってたんじゃない?

  だったら……最初から行くって言って、ちゃんと悪者になってよ。
  私だってそれをムギちゃんがどんな気持ちで言ってるかくらい分かるんだよ。

  優しい振りして、大事な選択をこっちに押しつけるな!
  
  あんな事するムギちゃん……嫌いだよ、大っ嫌いだよ!」

そういうと彼女は盛大に泣き出してしまった。



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:34:05.69 ID:IntDJc8K0

和さんの言葉が思い出される

『思いが通じ合ってても、言葉にしなければ伝わらないこともある』

私は思いが通じ合ってるからきっと唯ちゃんは分かってくれる、
私の言いたいことを理解して自分から引いてくれると知っていた。

急にバイトが入ってしまったのは私のせいではない、
ただバイトをし始めたのは私のワガママで、少なくてもその責任をとらなきゃいけなかったのに、
彼女の優しさに、私達の関係にあまえて、自分が取るべき責任を彼女に押し付けたのだ

ずっと見当違いなことで謝っていた私を見て、彼女はまた傷ついていたんだろう


彼女の怒っていた原因に今更気づくなんて


―――――嫌い。

彼女とはこれまで小さいケンカも大きいケンカもしてきたけど、
お互いにこの言葉だけは言ったことはない

私が彼女に言わせてしまったのだ、こんな悲しい言葉を

紬「ごめんなさい」


どうやったら許してもらえるのか分からない。
ただ謝罪の言葉しかでず、彼女に赦しをこうことしかできない自分が歯がゆい

頭を下げた上から聞こえる彼女の泣き声は止まることなく、悲痛な声が響き続ける



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:40:46.83 ID:IntDJc8K0

泣かないで……彼女の涙が辛い。

許してもらえなくてもいい、ただこれ以上彼女に泣いていて欲しくなかった。

私は自然と彼女を抱き締める。
何の解決法になるのか分からないけど今は自分の信じてる事をしよう、そしてその責任を取るしかない。

たがそんな私を、彼女は中で引き剥がそうと暴れ、動かした手が私の手やお腹を叩き、かなり痛い。

多分本当にイヤで、こんなことをしている私は決定的に嫌われるかもしれないのだ

だけどそんな事よりこのまま彼女が泣き続けて壊れてしまう方が怖かった。

だから私はただそれを受け止めて、彼女に言うしない

ごめんなさいと大好きを

少しずつ少しずつ力が弱まっていく。
許してくれたのではなく、たんに疲れただけだろうけど。
それを見計らって私もゆっくりと彼女から体を離した。

彼女はまだ泣いていて、まるでそれは
今まで私の前で泣けなかった分を取り返しているかのようさえ見える

紬「ごめんなさい、唯ちゃんを傷つけて本当にごめんなさい」

彼女は呼吸するのが精一杯のようで、喉もゼーゼーいってしまってる。

また呼吸が落ち着いたら暴れるかもしれない……

そしたらまた抱き締めよう、何度でも
彼女の怒りと悲しみが全部私にぶつかってなくなるまで



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:47:35.85 ID:IntDJc8K0

唯「ゆ、るじてって、いって……」

身構えていた私に、突然かすれた声が届く

紬「え?」

唯「ごめんじゃなぐで、ゆるじでって言ってよー」

紬「あっ……唯ちゃん、許して。お願いします」

言われたままに、頭を下げる
上の方ではまだ嗚咽は止まっていない

唯「ム、ギぢゃ、んが、そうじて欲しいなら……そうずる……」

途切れ途切れになりながら、必死に言葉をつなぎ、彼女は確かにそう言った

紬「い、いいの?」

恐る恐る頭をあげながら再度確認すると彼女はまたブワッと泣き出してしまった

唯「きが、ないでよー」

私はまた彼女に選択を迫ってしまって、同じ失敗をした事に気づく

紬「ご、ごめんなさい。許して。
  許して欲しい。これからも唯ちゃんと一緒にいたいから許して下さい。
  お願い、唯ちゃんに許してもらわないと私が嫌なの」



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:55:19.42 ID:IntDJc8K0

早口でまくしたて自分の思いを伝える。彼女に聞くのではなく、自分がしてほしいことをお願いする。
今の彼女にとってはごめんなさいでは効果はない。
彼女が欲しいのは私の謝罪ではなく、
仲直りしたいという意志なのだろうから、許して欲しいと言わないといけない。


そして彼女の泣き声は時間をかけ小さくなっていった

唯「ギュッてして……」

紬「えっ、抱き締めればいいの?」

唯「ギュッ!!!」

紬「は、はい」

彼女に抱きつくと、先ほどは気づかなかったが
あんなに泣いて暴れたというのに体は冷たいままだった。
体の芯から冷え切ってしまっているのかと思うと、
本当に申し訳ない気持ちになる。

唯「……もっと」

紬「はい」

いつもより力を入れて抱き締める。
私の体温を彼女にできるだけ分けてあげたいから

唯「……もっと」

紬「はい」

唯「もっと」



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 03:58:33.95 ID:IntDJc8K0

紬「えっと……これ以上は痛くなっちゃうわよ」

唯「もっと!!」

紬「は、はい!!」

私は更に強い力でギュッと抱き締めていく

唯「ぅ………ッイダイ!!」

紬「だ、大丈夫?」

唯「うぅ……ムギちゃんのバカ力ー!!」

なぜか私は怒れ、彼女はまた泣いてしまった。
きっと彼女は今まで我慢していた分タガが外れてしまっていて、
自分でもよく分かってないのだろう。
いつもの鎧は涙でグチャグチャになってるだろうから。

その後も抱き締めたら怒られ、抱きしめなかったら怒られてを繰り返し、
ゆっくりと彼女は落ち着きを取り戻していった。


――――――
――

唯「……ありがとう、もう大丈夫」

今までとのギャップの為か、泣きすぎてちょっとかすれてしまった声のせいだろうか、
かなり大人っぽく聞こえる声で彼女はそう言った。

私は彼女から体を離す



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:00:42.87 ID:IntDJc8K0

唯「マフラー汚しちゃった……」

見ると私の白いマフラーにも水跡がわかるくらいついている

紬「いいのよ……そんなもの。寒くない?」

唯「うん……そっちは痛くない?」

紬「えっ?ああ、大丈夫。私唯ちゃんより強いもの」

本当は何カ所か痣になってるだろうけど、名誉の勲章とでもしておけばいい

紬「顔、ふかなきゃ」

唯「ん?うん……あんまり見ないで」

ポケットからハンカチを取り出し、彼女に渡すと何となく既視感を感じる

彼女がハンカチで拭いている間に公園にある時計をみると時刻は23時30分を過ぎたところだった。

そんなに長い時間彼女とやり合っていたのか


―――けどまだ間に合う

私は自分のバックからお目当ての箱を取り出すと、彼女の目の前に差し出した。

紬「唯ちゃん、遅くなったけど誕生日おめでとう」

唯「えっ?」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:05:48.25 ID:IntDJc8K0

紬「バイトが終わったら唯ちゃんの家に行って渡すつもりだったの」

その途中で私は彼女に会ったのだ

唯「あ、ありがとう……開けてもいい?」

紬「もちろん」

最近味わっていたものとは違う緊張感が私を包む、少し不安だけれど嫌な気持ちではない。


唯「これ……スノードーム?」

包装を開け終えた彼女が中身を取り出す。
それは真ん中に木の家とその前に女の子が二人立っているスノードームだった。

紬「うん、ちょっと子供っぽいとも思ったんだけど……」

彼女がドームをひっくり返すと、中に雪が舞い散る

唯「綺麗……スゴい嬉しいよ、ありがとう」

キラキラした雪を街灯の光が通り、眺めてる彼女の顔にうつしだされる。
それによって潤んだ瞳が光っていて幻想的ですらあった。

紬「土台にあるネジを回してみて」

ずっと彼女を見ていたかったけど、もう一つ大事な事を伝えなくてはいけない

唯「うん?」



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:10:53.91 ID:IntDJc8K0

唯ちゃんが不思議そうにネジを動かし、動かなくなるまで回してから手を離すと、
小さく単音がなり、それがゆったりと曲になっていく。

ドームの土台部分にオルゴールが内蔵してあって、ネジを回すと鳴りだす仕組みになっていた。

唯「綺麗な音………ん?この曲って」

作曲は私がしたものだったからちょっとアレンジするくらい訳じゃない。
オリジナル曲の為、オルゴールを作るのに多少予算はオーバーしちゃったけど、
彼女の表情を見る限りそれも無駄ではなかったよう


唯「……ムギちゃんこれって!?」

彼女の口に人差し指をあてる、ちょっとクサい演出だけど彼女とこの曲を聴いていたい


夜空に流れる、普段とは違う音色の『ふわふわ時間』に私達はただ聴き惚れてしまっていた。


唯「……ありがとう」

始まった時同様、ゆったりと曲が終わると彼女の目から涙が零れる。

悲しい時の涙と嬉しい時の涙は、味が違うと前に聞いたけど
きっと輝きも違うのだろう、だってそれは本当に綺麗な涙だったから。


唯「ありがとう、ムギちゃん」

彼女から久しぶりに抱きつかれる。
これだけでこのスノードームに対するお返しとしては十分過ぎたので、私からもまた少しお返ししよう



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:14:32.42 ID:IntDJc8K0

紬「こちらこそありがとう唯ちゃん。大好き」

唯「うん……私も」

時間がまるで止まったように私達の周りには一切音がなくなる、
ただ私の中にはさっきのオルゴールの音と彼女の鼓動の音だけが響いていた。

彼女越に見えた公園の時計は11時45分を指していて、
もうすぐいろいろあった彼女の誕生日が終わろうとしているのを示していた。


紬「唯ちゃん」

唯「ん?」

紬「唯ちゃんはまだ私と一緒なら何でもしてくれる?」

唯「……うん」

彼女がそう言ってくれて良かった、これで心置きなく頼みごとができる

紬「じゃあ1つお願いきいて欲しい」

唯「何?」

紬「明日一緒に学校をサボりましょ」

唯「明日?」

紬「そう、それで唯ちゃんの1日遅れの誕生会を2人でするの。
  唯ちゃんの為に美味しい料理作ったり、唯ちゃんの行きたいところ行きましょう。」



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:20:07.85 ID:IntDJc8K0

時間を作る方法はやり方を考えなければけっこうある

唯「……いいの?」

紬「何言ってるの?これは私のワガママなんだから。
  だから唯ちゃんがどうしたいかだけ答えて」

唯「……うん、いいよ」

紬「ありがとう。ふふっ私ね、恋人と学校サボるの夢だったの」

唯「……変な夢」

公園に彼女の小さい笑い声が響く。
それをキッカケに私達はやっと抱きついていた体を離した。


紬「じゃあ次は唯ちゃんの番」

唯「何が?」

紬「何でも願い事叶えてあげる」

唯「いいよ私は。ムギちゃんにいろいろ言っちゃったし……プレゼントまでもらっちゃったし」

紬「ダメ。私が唯ちゃんのお願いを叶えたいの。
  私のお願いは聞いてもらったし、
  まだ唯ちゃんの誕生日は終わってないんだから、いくつでもどんな願いも叶えてあげる」


唯「どんな……じゃあバイト辞めてって言っても?」



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:25:22.65 ID:IntDJc8K0

紬「はい」

間髪入れずに答える。今回は駆け引きなしに彼女がそう望ならそれでもいいと思えた


唯「……お願いしないよそんな事。私働いてるムギちゃんけっこう………」


唯ちゃんの言葉は続かなかった、
そこまで言ったら何が言いたいのか伝わってしまうのに、
それでも言わない彼女が本当に可愛らしい

紬「ふふっありがとう、唯ちゃん」

彼女は言ってもいないのに、お礼を言われたのが不満なのか視線をそらす

唯「じゃあ明日は寝坊してもいい?」

紬「それが願い事?」

唯「うん」

紬「いいけど……もしかして誘ってる?」

唯「ち、違うよ!!変なこと言わないで!!」

真っ赤な顔が怒ってくる

紬「だって言葉にしないと伝わらないって和さんも言っていたじゃない?」

負けじと反論すると彼女はプルプル震えて、私を睨みつけてきた。



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:32:42.16 ID:IntDJc8K0

こんなやり取りがまたできることが本当に嬉しくて、私はたまらなく幸せな気持ちになる。

私はそのまま立ち上がりくるりと体を回転させて、まだ座っている彼女のおでこにそっとキスをする。
彼女は私の急な行動に驚いて、普段から大きい目を一段と見開く


唯「な、何?」

紬「了承しましたのキス」

唯「……何それ」

紬「ヨーロッパでは恋人同士の場合はこうするのよ」

唯「知らないよそんなの……」

それはそうだろ。彼女にキスしたかった私の、照れ隠しによるただの嘘なんだから

紬「そろそろ帰りましょうか、唯ちゃんもいい加減寒くなっちゃったでしょ?」

唯「……ムギちゃんはお家に帰れるの?」

紬「もう電車はなくなっちゃったかな、家に電話すれば迎えがくると思うけど……」

唯ちゃんの顔を横目で伺うと、目があった彼女は
自分がどんな顔していたのか気付いて、すぐに下を向いてしまった。

紬「どのみち明日は学校行かないんだし、このままお泊まりに行ってもいい?
  わたしも唯ちゃんと寝坊したいもの」

私はまだベンチに座ってる彼女に、了承を得るように手を差し出しだす



190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:40:02.24 ID:IntDJc8K0

唯「……別にいいよ」


そう言うと彼女は、私に顔を見せないまま自分の手を私の手に重ねてきた。
顔を見せないようにしても、耳を隠さなきゃ気持ちがバレちゃう事は当分知らせないでおこう。

私は彼女を立たせようと繋いだ手を自分の方へと引きよせる

彼女の体はフワッと起き上がり、その勢いのまま彼女の顔が近づいて、私の顔を覆ったかと思うと、
おでこに柔らかいものがあたる感触がした。

―――キスされた?


唯「……ムギちゃんの分してなかったから」

驚いた私の顔が見れた事が嬉しかったのか、
はにかんだ笑顔を向けてそう言った彼女はそのまま公園の出口へと歩き始めた。

私はその後ろ姿を見ながら、本当に彼女を好きなって良かったと心から思う。


唯「あっ………」

歩きながらバックに、私からのプレゼントを入れようとしていた唯ちゃんが突然声をあげ動きを止める

紬「どうしたの?」

唯「……ねえもう一つお願いしてもいい?」

何だろ?



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:44:13.24 ID:IntDJc8K0

紬「ええもちろん、何個でもかまわないわよ」

唯「じゃあ……」

紬「何?」


唯ちゃんがバックの中から自分の携帯電話を差し出してくる。
それは早く電話にでてくれと唸るように震えていた


紬「これって…」

唯「憂に最後に連絡したの21時頃だったと思う」


紬「………え?」

唯「今日話しちゃおっか、もう隠せないし」

紬「私が話すの?」

唯「きっと憂、鬼のように怒ってるよ」



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:47:01.12 ID:IntDJc8K0

彼女の顔はこの状況を楽しんでいるかのようだった。

携帯に表示されていた時刻は11時59分、あと1分で彼女の誕生日は終わる事を示していた。

もしこのまま時間が過ぎて誕生日が終わったら、
私は彼女のお願いを聞かなくてすむのかな何て、少し意地悪な考えが浮かんでくる。

だけどそうはしない

唯ちゃんの望みが私の望みでもあるから。

私は彼女の誕生日が終わる瞬間、彼女のおでこに軽くキスをした。



おわり




202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 06:50:59.61 ID:UJHI/Q+B0


秋、夏、春の作品はないのかね?




211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 11:30:55.92 ID:ARVUIUbd0

終わったのか・・・   

アフターストーリーは?
これからでしょ?ねぇ?

>>1ェ・・・乙





217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 13:26:48.30 ID:3BecrERs0

ふぅやっと起きたぜ
まずここにスレたてしてすまん。地の文あるのは初めてだったんだけど、やっぱり読みにくいわw
案外読んでくれた人がいてくれてたみたいで嬉しいです、支援してくれた人もありがと


>>202
一応話し手が変わるごとにスレタイ通り季節が変動してます。時系列的には最後の冬が一番新しく、春が古い感じで。
まあ別にたいした意味はないんだけどw

>>211
アフターじゃないけど外伝みたいな感じで、他の軽音部+和視点も四季分書いたんだけど
今日は投下してる時間ないし、澪と和分が若干未完なんでまた機会があればということで。

ってな感じでお付き合いいただいでありがとさん




194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:49:07.21 ID:qW5ufVRD0

起きててよかたよ


>>1



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 04:52:39.23 ID:JkSOmRqt0

>>1乙。



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 05:17:45.98 ID:SHTBtwicO

>>1おもしろかった乙



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 05:53:34.77 ID:2nuXNmxO0

>>1
マジ乙です!すっげよかった




201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 06:31:20.53 ID:JgF2gGyQ0

乙です。
これは名作。



203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 07:00:50.31 ID:BaavBncIO

この作品が見れて良かった
超乙



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 07:22:58.09 ID:cKHab9NX0


こういうのは初めてだが……いける



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 07:24:27.30 ID:k359czhq0

>>1乙!
メッチャよかったよ!



206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 08:58:08.24 ID:Q1IN5StuO

久しぶりにSS全部読み切ったかも
お疲れ様
憂ちゃん可哀相です



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 09:43:52.45 ID:jZWw+zLH0

おつおつ



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 11:09:28.92 ID:bvJH/hRvO

>>1
すごくおもしろかった
落ちもよかった
唯が和に相談するシーンの和のキャラがすげえ好きだった

また書いてくれ



212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 11:57:16.59 ID:SLo8qpq+O

本当にいいものを見せてもらった




213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 11:59:59.93 ID:xty4xOYz0

>>1
これは素晴らしいな
おもしろかった



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 12:41:14.27 ID:NwM3eX+SO





224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 15:32:22.75 ID:9V3brSeNO





225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/30(火) 16:15:16.41 ID:e1U6/rAa0







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唯紬「秋、夏、春、そして冬」#後編
[ 2011/10/01 01:31 ] 非日常系 | | CM(0)

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