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唯「Pocky Games」#前編 【非日常系】


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唯「Pocky Games」#前編
唯「Pocky Games」#後編




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:13:02.99 ID:DXDMZQiz0

【PM5:02】

「よし、ウ……」

「あ、澪~。今日ご飯あげた?」

「え?今週は唯が当ば……」

「ウノチェーーック!!んで私はこれであがりーっと。ほら早くカード引けよ澪」

「んなっ…!ず、ずるいぞ律!」

「あっ、私ウノあがり~」

「私もこれであがりです」

「ほほーう?て事は罰ゲームは澪とムギか~!」

「澪ちゃん、よろしくね」

「や、やり直し!もっかいやり直そうよぉ~…」





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:19:58.69 ID:DXDMZQiz0

【PM6:50 平沢唯】

唯「あ、できた」

弾けるようになる時って、なんでかわからないけど、
突然、それでいて一瞬なんだよね。
やるじゃん私。

唯「おぉー!なんかいい感じだぁ!」

すごいすごい!私の指、動きまくり!
ちょーっと頑張りすぎたせいか、指が痛むけど、気にしない気にしない。
さっそくあずにゃんに報告しないと!

唯「ケータイケータイっと」

ケータイの電話帳の一番上には澪ちゃんの名前。
あずにゃんは一番下。
澪ちゃんの名前を見た私の頭によぎるのは、今日の部活中の出来事。

あ~……そういえば今日、澪ちゃんとムギちゃん、楽しそうだったなぁ。

唯「ふふふ~……」

……あれ? 私、今日お菓子食べ損ねてるじゃん。
そっか。だから私は今、こんなにお腹が空いてるんだ。
ご飯まではもう少しかかりそうだし……あ、買い置きのお菓子の中にポッキーなかったっけ。
……ていうか!

唯「私もあれやりたいなぁ」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:26:33.46 ID:DXDMZQiz0

【PM6:52  平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。
今日も晩御飯の支度をしています。

冷蔵庫を開けると、思いの外ガラガラでした。

食材あんまりないなぁ。昨日頑張って作りすぎたかも。
とりあえず鯛のポワレと……昨日の残りものと……
エノキとお豆腐があるからお味噌汁はこれで……。

憂「うん!いけるかな」

今夜のお姉ちゃんのお夕飯が決まりました。
今日は梓ちゃんが家に来るって約束だから、3人分です。

私はカチカチに凍った鯛の切り身をキッチンの端に置き、
まな板の上に豆腐を乗せて、腕をまくり、包丁を手にとりました。

明日買い出しに行かないと。
えっと、明日は……○丁目のスーパーのお肉が安くなるから、そこにしよう。

唯「ういー!」

私が豆腐に包丁を入れようとした瞬間、お姉ちゃんがドアを勢いよく開けて入ってきました。



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:29:06.64 ID:DXDMZQiz0

憂「どうしたの?」

唯「ご飯まだー?」

憂「今から作るから、あと30分くらいしたら出来るよ。それまでちょっと待っててね」

私がそう言うと、お姉ちゃんは台所の棚を物色し始めました。

憂「なに探してるの?」

唯「んー……ポッキーってなかったっけ?」

ポッキー……?あったようななかったような。

憂「もう~、お姉ちゃん、もうすぐご飯だからお菓子は我慢して?」

お姉ちゃんは首を横に振りながら答えました。

唯「そうじゃなくて、ゲームだよゲーム」

憂「ゲーム?」

お姉ちゃんは時々変な事を言います。
もう17年も私はお姉ちゃんの妹をやってるから、ちょっとやそっとじゃ驚きません。
でもこの時ばかりは、私は素っ頓狂な声をあげてしまいました。

唯「ポッキーゲームしようよ憂」

憂「ご飯食べてか…………へぇっ?!」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:32:44.08 ID:DXDMZQiz0

【PM6:52  真鍋 和】

和「あっ……お肉は明日○丁目のスーパーで買ったほうがお得ね……」

近所の大型スーパーで夕飯の食材を選んでいた私は、
豚肉のパックをカートから置き場に戻した。

和(そうだ、せっかくだしお菓子も買っていこうかしら)

今日はいつもより宿題の量が多い。
お夜食に何かないと、さすがの私も集中力を切らしてしまうかもしれない。

和「えーと……イチゴイチゴ……っと」

昔から我が家のお菓子は、大抵唯の胃に入ってしまう。
そのせいか、無意識の内に私は唯の好みに合わせたお菓子選びをしていた。

和「あら?これ最後の一個かしら」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:35:37.21 ID:DXDMZQiz0

陳列されたお菓子群の中でも、これは特に人気なのだろう。
横に置かれたスタンダードなチョコ味は大量に残っているのに、
イチゴ味のそれはもう一個しかない。

人気に煽られて物を買うのはちょっと嫌だ。
でも、私から見てもこのお菓子はおいしそうだ。

ていうか私もこれは好きだ。

そう言えば、久しくこれを口にしていない。

うん。買おう。買うしかない。

和「イチゴ味のポッキーか……。久しぶりに見た気がする」

私はそのポッキーを手にとり、カートの中へポンと入れた。

唯に食べられる前に、これは私が食べないと。

レジに並びながら、珍しくお菓子に執着する自分に気づき、それを恥じた。

……やっぱり唯が遊びに来た時のために、これはとっておこう。
ああ、でもそれだと勉強中に口が寂しくなる。
どうしたものかな……。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:38:03.27 ID:DXDMZQiz0

【PM6:53  平沢唯】

なんでこんなに憂は驚いてるんだろう?

唯「だからポッキー探してるんだけどさぁ、ないかな~?」

憂「あ……お、お姉ちゃん、ポッ……ポッキーゲーム?」

唯「うん」

憂「わ……私と?」

唯「うん!」

あれはきっとスリル満点の、ドッキドキなゲームだよ。

唯「私だけ今日ポッキーゲームできなかったんだよ~。だからやろうよ憂」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:42:02.87 ID:DXDMZQiz0

【PM6:53 秋山澪】

部屋で宿題をしようとノートを開いた私の頭に、
またしてもあの光景が湯気の様にモヤモヤと浮かんできた。

律のしたり顔が私を苛立たせる。

もしババ抜きだったら、律が私のカードを引く癖を見抜いてしまうから勝負にならない。
だからウノにしてもらったけど……結局律の思う壺だったな……。

で、ドベ二人、私とムギの罰ゲームはポッキーゲーム。
そして私とムギがポッキーの両端をくわえて、食べ始めた瞬間、
律は「どーん!」とかなんとか言って私の背中を押した。

そして私は勢い余ってムギとキ、キ……

澪「うわーっ!恥ずかしい恥ずかしい!」

私は頭の上あたりにふわふわ浮かんだ記憶をかき消そうと、両手をぶんぶんさせた。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:45:48.36 ID:DXDMZQiz0

別にムギが嫌なんじゃなくて、というかムギの事は普通に好きだし、
ああそれはもちろん友達としてで、とにかくそうじゃなくて、
私はみんなの前でキ、キス……をした事が恥ずかしくて死にそうだった。
というか死にたい。

澪「うぅ……最悪だ……。もうお嫁にいけない……」

あの時、追い討ちをかけるように律は私とムギを冷やかした。
なにがヒューヒューだ。
古いんだよバカ律アホ律デコ律!

唯は目をキラキラさせながら私とムギを見て、
「ねえねえどうだった!?どんな感じなの!?」
としつこく聞いてきた。知るか!
あぁ、いや知ってるけど!そりゃ柔らかかったけどさ!

梓は私の視界の端で顔を赤くしながらもじもじしていた。
何も言わないというのも、それはそれで羞恥心を煽る。

ムギは照れくさそうに、ただ、うふふと笑っていた。
ぐっ……頬を赤らめるな!余計恥ずかしくなるだろ!



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:48:19.63 ID:DXDMZQiz0

で、私は感情飽和の容量オーバーでエンジン爆発、
顔面火山で涙目になりながら、口に残ったポッキーを伏し目でモグモグするだけだった。

穴があったら入りたい。
自分で掘ってでも入りたい。
そしてモグラみたいにずっとその中で生きてやる。

澪「っあーーーっ!ダメだ!宿題なんてできない!」

私は立ち上がり、ジャージに着替え、
財布とケータイ、それからiPodをひっつかんで部屋を出た。

澪母「あら?澪ちゃんどこ行くの?」

私が玄関でスニーカーを履いていると、ママが尋ねてきた。

澪「ちょっとランニングしてくる」

邪念を吹き飛ばすにはそれが一番だ。
ついでにダイエットにもなるし。

澪母「もう外暗いから気をつけてね」

ムギの唇の感触と、律のニヤケ面と、唯のキラキラ目と、梓の赤面と、
私の恥と脂肪を消し去るべく、私は街灯の灯る住宅街を走り始めた。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:51:08.94 ID:DXDMZQiz0

【PM6:54 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

高校生ってなんだかすごい。
私も高校生だけど。

唯「ね、面白いと思うんだ~」

無垢。無邪気な笑顔。
お姉ちゃん可愛い。

ポッキーゲーム……?
ポッキーゲーム!?
お姉ちゃんと私が!?
どうしよう、嬉しい、恥ずかしい、嬉しい嬉しい、あぁ、もうなにがなんだか。

憂「う……うん。いいよ。やろう……私頑張る!」

OKしちゃった。
ポッキーゲーム。
お姉ちゃんとポッキーゲーム!
ご飯なんて作ってる場合じゃない。ていうか無理。
今包丁なんて使ったら、手が震えて指がスパッていっちゃいそう。

唯「さっすが憂!……で、ポッキーってあるの?」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:53:07.52 ID:DXDMZQiz0

憂「えっと……たしかあそこの棚に……あっ!」

そうだ、思い出した。私はお姉ちゃんが修学旅行に行ってる間、
棚に買い置きしておいたポッキーを食べちゃっていたんだった……。
お姉ちゃんのバッグに入りきらなかったぶんでした。

……私の馬鹿!
なんであの時、全部食べちゃうかなぁ!
せっかくお姉ちゃんとポッ、ポッキーゲームできるのに!

憂「ご、ごめんお姉ちゃん……。私が食べちゃった……」

唯「ええ~?そっかぁ……。じゃあポッキーゲームできないね~」

そんな!まだ諦めないでお姉ちゃん!

憂「私、今から買ってくるよ!」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:56:02.26 ID:DXDMZQiz0

【PM6:55  平沢唯】

唯「えっ?今から?」

憂「うん!すぐ買ってくるからちょっと待っててね!あ、お姉ちゃんも一緒に行く?行こう!」

いつになく真に迫った憂の顔。

唯「あぅ……しゅ、しゅくだい!宿題があるからお留守番してる!」

あ……とっさに断っちゃった……。

憂「わかった!じゃあ行ってくるね!」

言い出しっぺの私が言うのもどうかと思うけど……張り切ってるなぁ。
憂ですらこんな感じになっちゃうって事は、やっぱりポッキーゲームって楽しいんだ!

あ、そうだ。せっかくなら澪ちゃん達と同じのにしてもらおう。

唯「うい~、イチゴ味でお願い」

憂「イチゴ味だね。わかった!」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 08:59:33.51 ID:DXDMZQiz0

【PM6:57  中野梓】

今日もロクに練習できなかった。
なんで私はこう……押しに弱いのかな……。

もうすぐ試験だから部活できなくなるし、今の内にちゃんと練習しておきたいんだけどな。
唯先輩なんてテスト終わる頃には全部忘れてそうだし。

梓「はぁ……。」

あ……もうすぐ憂との約束の時間だ。
私が宿題教えて!って頼んだのに、遅れたら悪いよね。
お夕飯もごちそうしてくれるって言ってたし。
そろそろ準備しないと。

ぶるっ。

梓「う……ん……。」

……と、その前にちょっとお手洗い……。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:02:53.55 ID:DXDMZQiz0

【PM7:00  田井中律】

我ながら素晴らしい作戦だった。

ムギとチューしちゃった時の澪の顔を思い出しただけでも……

律「ぶふっ……!」

ダメだ。笑える。
マジで笑える。

写真に撮っておけばよかったぜ。

……とはいえ、私もうら若い乙女。
目の前でキスシーンを見せられたとあってはさすがに多少の動揺もするわけで。

律「あー、もったいなかったなー。写真撮れれば澪をからかうには最高のネタになったのに」

よし、とりあえず澪にメールして追い討ちをかけてやろう。

律「えーっと……『ムギとの結婚式の仲人は私に任せろ♪』っと。メールそーぅしん!ポチッと」

ふっふっふ。



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:06:31.76 ID:DXDMZQiz0

【PM7:04 秋山澪】

澪「はっ、はっ、はっ……。ん?なんだ?メール?」

夜の街を駆ける私のポケットの中で、ケータイが振動した。

澪「律から?なんだ?……ムギとの結……」

……。

澪「うわあああああああ!うるさいうるさいうるさーいっ!!」

憎い!
ポッキーゲームが憎い!

澪「ふざけんなバカ律!」

私は声に出した事をそのまま律に送信してやった。

よし、走ろう。
吹き飛べ邪念。消え去れ懊悩。



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:09:37.59 ID:DXDMZQiz0

【PM7:09 琴吹紬】

教科書を開いても、なかなか宿題がはかどりません。

紬「はぁ……ドキドキして落ち着かない……」

あ、私がドキドキしてるのは、澪ちゃんとキスしちゃったからじゃないですよ?
もちろんあれもドキドキだったけど、それ以上にみんながポッキーゲームで
あわや……?!な所を見れたのが、私の心臓をとくとくと鳴らしているんです。

紬「楽しかったなぁ……うふふ……」

明日もあれやりたい……。
唯ちゃんは今回、ウノでずっと勝ってたからポッキーゲームするところを見れなかったし。

……でも澪ちゃんはちょっと可哀想だったかも……。

紬「うーん……」

私は携帯を開き、澪ちゃんに電話する事にしました。



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:11:58.62 ID:DXDMZQiz0

【PM7:10 秋山澪】

澪「はぁ、はぁ、はぁ……またケータイが……。」

どうせまた律だ。

無視無視!

ていうか何で私こんな事してるんだ?
夜中にジャージ着て走るなんて全然可愛くない……。

短距離走は得意だけど、長距離は苦手だし。

澪「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

そうだ。

ポッキーゲームのせいだ。

ポッキーゲームさえなければ!
ポッキーさえなければ!
私は今頃!宿題をして!それからゆっくり詩を書けたんだ!

澪「……ポッキーなんて……ポッキーなんて……!」

ポッキーなんてこの世界から消してやる!



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:15:30.18 ID:DXDMZQiz0

【PM7:14 真鍋和】

唯には悪いけど、やっぱりこのイチゴポッキーは私が食べよう。
最近、甘いもの食べてなかったし、糖分は頭脳労働に良いって聞いた事があるし。

とりあえず早く帰ってご飯作らないと。

私は足早に弟達が待つ家に向かった。

ちょうど、最後の曲がり角に差し掛かったあたりで、
私のよく知っている子が、エプロン姿でこちらに向かって走ってくるのが見えた。

和「……あら?あれは……」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:18:31.71 ID:DXDMZQiz0

【PM7:15 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。
私は今、脇目も振らず、スーパーへと駆けています。
元々足は速いほうだけど、今日はいつになく視界を流れる景色が早く見えます。

ポッキー、早くポッキー買ってこないと!

憂「えへへ……」

……いつ以来かなぁ……。
確か幼稚園くらいの頃のクリスマスに
お姉ちゃんが私のほっぺにチューしてくれたのが最後だったはず。

憂「はぁ、はぁ……!」

念のため言っておきますが、私が息を切らしてるのは単に走ってるからです。

憂「お姉ちゃんとチューできる……お姉ちゃんと……!」

間違えました。チューじゃなくてあくまでもポッキーゲームでした。

憂「ポッキーゲーム……ポッキーゲーム……!」

どうしよう、我慢しようとしても顔がほころんじゃう。

和「憂?どうしたの?そんなに急いで」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:22:53.41 ID:DXDMZQiz0

【PM7:15 真鍋和】

私に呼び止められた憂は、立ち止まって……いや、その場で足踏みしながら返事をした。

憂「あ、和ちゃ……和さん!」

呼び方が素になるなんて、そんなに慌ててるのかしら?

和「別にさん付けじゃなくてもいいわよ。どうしたの?急いでるみたいだけど」

急いでる人を呼び止める私もどうかと思うけど。

憂「イチゴのポッキー買いに行くところなんです!それじゃあまた!」

和「えっ?ポッ……?あ、ちょっと憂?」

……行っちゃった。引き止めちゃって悪い事したかな。

和「あんなに急いでまで欲しいのなら、このポッキーあげればよかったな」

私は右手に持った買い物袋を見ながら呟いた。

……あれ?ていうかイチゴのポッキー、これが最後の一個だったような……。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:27:01.15 ID:DXDMZQiz0

【PM7:18 琴吹紬】

紬「あれ?また出ないわ……」

私は何度も澪ちゃんに電話しましたが、澪ちゃんは中々出ません。

紬「うーん……どうしたんだろう」

宿題中?
お食事中?
お昼寝中?
あ、今はもう夜だからお昼寝ではないか。

紬「あとでまたかけ直そう」

私は携帯電話を置くと、机に向かいました。

でもやっぱり顔が綻んで、宿題は手につきませんでした。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:30:13.48 ID:DXDMZQiz0

【PM7:20 平沢唯】

グウウ。

唯「あ、また鳴った」

おなかすいた。
おなかすいたよー!

唯「うい~……早く~……」

すでに私の頭からはポッキーゲームの事はきれいサッパリ消えていた。

あ、そうだ。
さっきまで憂はご飯の支度してたから、もう出来てるのがあるかも!

そう思い、台所に行った私を絶望が襲う。

唯「……まだ何も作ってないかぁ……。」

とりあえず憂が帰ってくるまで待つしかないかなぁ。



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:36:37.64 ID:DXDMZQiz0

【PM7:22 中野梓】

梓「筆箱に……教科書に……うん、準備できた」

さっきトイレに行ったのはいいものの、
お母さんが先に入っていたせいで、私は用を足す事が出来なかった。
そのため、私は先に憂の家に行く準備を済ませる事にした。

そろそろ出発しようかな。

梓「と、その前にトイレトイレ……」

私は部屋を出て、トイレのドアノブを回そうとしたけど、
鍵がかかってるらしくドアは開いてくれなかった。

梓「あれ?お母さんまだ入ってるの?」

ドア越しにお母さんの声が聞こえた。

梓母「うん。もう少しかかるかも」

梓「もー。早くしてよ」

お母さん、いつも長いんだよなぁ。
トイレに雑誌持ち込むのやめてほしい……。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:42:42.22 ID:DXDMZQiz0

【PM7:24 田井中律】

いやーやっぱ澪はいいリアクションしてくれるぜ。

今頃枕でも投げて怒ってんのかな?ぷくく。

律「さて、そんじゃちょっとフォローしてやりますかね。
  ……ごめんごめん(笑)……っと。はい、送信」

私はケータイをベッドに放り投げると、床に寝転び、天井を見上げた。

あー……ポッキーゲーム面白かったなぁ……。

明日もやるべきだよなー。
でも私、今財布の中スッカスカだしなぁ。

律「そうだ!明日ムギにポッキー持ってきてもらおう!」

私はベッドに上がり、胡座をかくと、早速ムギに電話をかけた。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:47:21.21 ID:DXDMZQiz0

【PM7;25 琴吹紬】

あら?電話……。
澪ちゃんかな?

私は振動する携帯電話を開きました。

紬「りっちゃん?」

なんだろう。

紬「もしもしりっちゃん?」

律「おームギー!今何してたー?」

……ごめんなさい。自分の部屋で回想にふけってニヤニヤしてました。

紬「えっと……宿題!」



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:50:22.49 ID:DXDMZQiz0

律「ふーん?じゃあ邪魔しちゃったかな」

紬「そんな事ないよ!どうしたの?」

律「いやー、今日さー、ポッキーゲームしたじゃん?」

ドキッ。

律「あれ明日もやらね?」

な、なんですって……!

紬「う、うん!やりたい!やりましょう!」

律「へへ、さっすがムギ!そうこなくちゃ。
  つーわけだからさ、明日のお菓子は今日私が持ってきたのと同じポッキーでよろしく!」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:52:37.85 ID:DXDMZQiz0

紬「あっ……」

どうしよう。
ケーキならいくらでも余ってるけど、ポッキーなんて貰わないし、家にない……。

でも……!

紬「明日はポッキーね。わかりましたっす!」

律「はは、気合い入ってんなぁ。んじゃそーゆー事でよろしくー。」

そう言ってりっちゃんは電話を切りました。

さて、善は急げです。

紬「早速買いに行かないと!」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:56:13.11 ID:DXDMZQiz0

【PM7:28 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。
スーパーに着きました。約30分。新記録です。

いつもはバスを使ってるんですけど、今日は慌ててたので走ってきちゃいました。

憂「お菓子コーナー……お菓子コーナー……」

さっそくお菓子コーナーへ向かいます。

憂「えーっと、ポッキーポッキー……。イチゴの……。」

あれ?

憂「売り切れ……?」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 09:58:50.55 ID:DXDMZQiz0

うぅ、困ったなぁ……。

お姉ちゃんのリクエストはイチゴのポッキー。
普通のポッキーならいっぱいあるのに、今日に限って売り切れ……?

憂「あのっ!すいません店員さん!」

店員「はい?」

憂「イチゴのポッキーって在庫ないんですか?」

店員「あー……棚になかったら置いてないですね」

そ、そんなぁ……。

憂「そうですか……。ありがとうございます……」

うーん……仕方ないから普通のポッキー買っていこうかなぁ。
でも、お姉ちゃんはイチゴがいいって言ってたし……
普通のだとテンション下がってポッキーゲームどころじゃなくなっちゃうかも……。

……よし、他のお店も探してみよう!

憂「待っててねお姉ちゃん!」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:02:46.15 ID:DXDMZQiz0

【PM7:34 平沢唯】

だれだー!ポッキーゲームしたいなんて言ったのは!

唯「お腹すいたっ!」

もう限界!何か食べないと死んじゃう!

唯「よし、作ろう。もう自分でご飯作っちゃおう」

私は冷蔵庫を開けた。

唯「……と言っても何作ればいいかわかんないよー……」

うい~……遅いよ~……。
ちょっと憂に電話してみよう。

唯「ピポパ……っと。」

ブブブブブブ。

唯「……」

居間のテーブルの上から、ケータイのバイブ音。

唯「もー!なんでケータイ忘れていっちゃうの~?!」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:05:38.29 ID:DXDMZQiz0

【PM7:39 秋山澪】

澪「はぁ……はぁ……。よし……」

まずはこのコンビニだ。
ここにあるポッキーは私が買い占めてやる。
そうすれば、ポッキーゲームなんてふざけた遊びをする奴は減るはずだ。

店員「いらっしゃいませー」

私は脇目も振らず、お菓子の棚へ直行した。

澪「……けっこう種類あるんだな……」

ポッキー、メンズポッキー、極細ポッキー、アーモンド、クランチ……。
さすがにこれ全部を買い占めるのは……。

澪「仕方ない、つぶつぶイチゴだけにしておこう」

私はイチゴポッキーの箱を両手に抱え、レジへと持って行った。



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:09:02.29 ID:DXDMZQiz0

店員「ありがとうございましたー」

コンビニを出ると、夜風が心地良かった。

今の私、なかなかロック。
iPodのイヤホンからはベルベットアンダーグラウンドのサンデーモーニングが流れている。

もっともっと店を回って、ポッキーを日本の市場から消さないと。
それにはもっとテンションを上げる必要がある。
私はポケットのiPodを取り出すと、クイーンオブザストーンエイジの曲を選んだ。

「feel good of the summer」
ニコチン ヴァリウム ヴィコダイン マリファナ エクスタシー アルコール……。

あれ?これ私のときめきシュガーに似てない?

私は気を良くして、次の店に向かって走り出した。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:37:02.11 ID:DXDMZQiz0

【PM7:42 琴吹紬】

息を弾ませながら、私はコンビニへと駆けています。

そう言えば、一人でコンビニに行くのは初めてかも。

さて、りっちゃんにポッキー頼まれたのはいいけど、どれくらい用意すればいいんだろう。

紬「いっぱいあるに越した事はないよね」

部室に常にストックしておけば、いつでもポッキーゲームできる。

よし、それでいきましょう。

紬「うーん、100個くらいあれば足りるかな……?」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:40:16.21 ID:DXDMZQiz0

【PM7:43 中野梓】

梓「ちょっとお母さんまだー?」

梓母「ん、もうちょっと」

もう!いい加減にしてよ!
憂の家に行かなきゃいけないのに。

あ、そっか。
憂の家でトイレ借りればいいんだ。

梓「はぁ……もういいよ。私ちょっと出掛けてくるから」

梓母「あんまり遅くならないようにね」

どの口が言う……。

梓「はーい」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:43:21.35 ID:DXDMZQiz0

【PM7:58】

澪「よし、ここも私が買い占めたぞ」

そのコンビニを出る頃には、私の両手はポッキーの入った袋で塞がっていた。

澪「ふぅ。とりあえずこの辺のポッキーは買い占めたな」

私はランニングしつつ、近所のスーパー、コンビニ、
その他お菓子が売ってそうな店に片っ端から入り、
イチゴのポッキーを独り占めしてやった。

ぐぅ。

ずっと走っていたせいか、小腹が空いてきた。
私は手に携えた袋に目をやった。

澪「……これだけあるんだし、一箱くらい空けて食べちゃおうかな」

今日はいっぱい走ったし、ちょっとくらい間食しても大丈夫大丈夫……。

ポリポリ。

澪「あ、おいしい……」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:45:02.53 ID:DXDMZQiz0

【PM8:00 平沢憂】

憂「ま、また売り切れ……?」

こんばんは。平沢憂です。

コンビニ、スーパーを何件か回ってみたんですけど……
どういうわけか、どこもイチゴのポッキーは売り切れでした。

憂「なんで今日に限って……」

はぁ……。
どうしよう。
早く買って帰らないと、お姉ちゃんの気が変わっちゃうかも……。

憂「次のお店、行かなきゃ!」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:49:28.12 ID:DXDMZQiz0

【PM8:07 平沢唯】

もう無理だー!
お腹減って死んじゃう!

唯「よし作ろう。もうなんでもいいから自分で作っちゃおう」

私は憂がまな板の上に放置していった包丁を手にとった。

……合宿の時は問題なく使えたし、私だって料理くらいできるはずだよね。

唯「よーし、やるぞー!」

早速お豆腐に包丁を入れる。

えーと、包丁を使う時は猫の手猫の手っと……。

唯「あう……ギー太弾きすぎて手がうまく動かな……」

ざっくり。

唯「痛いっ!!」



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:52:56.22 ID:DXDMZQiz0

私の指から流れる血が、まな板の上のお豆腐を赤く染め上げる。

唯「あ、あわわわ……絆創膏!絆創膏どこだっけ!?」

傷口からどくどくと流れる血が、その深さを物語る。

まいったね。
こりゃ餓死する前に出血多量で死んじゃうよ。
えっ……死……や、やだ!
そんなのやだ!

唯「う、ういー!指怪我したー!助けて~!!」

返事はない。
そりゃそうだよね!
憂は今出かけてるんだし。

唯「あ、あわわわわわ……血が止まらないよぅ!」

もしかして絶体絶命のピンチってやつ!?

唯「だ、誰か!誰かたしゅけて~!ういー!和ちゃーん!」

はっ!和ちゃん!そうだ、和ちゃんに助けを求めよう!

私は廊下に点々と血の跡を作りながら、急いで家を出た。



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 10:56:52.81 ID:DXDMZQiz0

【PM8:09 中野梓】

憂の家への道中、見上げた夜空に星は瞬く。
点々と光るそれは、イチゴのポッキーのツブツブを思わせる。

唯先輩とポッキーゲームやらされなくて本当に良かった。
唯先輩の事だから、私とポッキーゲームする事になったら
ここぞとばかりにチューしてきたんだろうな。
抱きつくくらいならともかく、それは勘弁してほしい。

梓「あっ!?そっか、憂の家だから唯先輩もいるんだった!」

今日、憂の家に行くのは、宿題を教えてもらうため。
唯先輩、邪魔してこないといいけど……。

梓「……絶対邪魔してくるんだろうなぁ」

それを見越した上で、時間に余裕を持って行かないとダメだ。

私は小走りになった。

早く憂の家に行かなきゃ。
お腹空いてきたし、それに……トイレも早く借りたいし……。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:00:54.36 ID:DXDMZQiz0

【PM8:14 琴吹紬】

紬「おかしいわ……。ここも売り切れ……」

三件目のお店も、イチゴのポッキーは売り切れでした。

そんなに人気あるのかしら?
それともポッキーゲームが流行ってるのかな?

紬「どうしよう……。斎藤に頼めば用意できるけど、
  あんまりそういう事はしたくないな……」

でも背に腹は変えられない。
私はりっちゃんに頼まれたんだもん。
期待を裏切るわけにはいかない!
澪ちゃんには申し訳ないけど、私もポッキーゲーム大好きだし!

紬「あ、そうだ……。澪ちゃんにさっき電話したの忘れてた……」

落ち込んでる(?)みたいだし、私が責任持ってフォローしてあげないと。

私は携帯をバッグから取り出し、澪ちゃんに電話をかけました。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:03:38.36 ID:DXDMZQiz0

【PM8:15 秋山澪】

ポッキー……おいしいのはいいんだけど……
これ食べてるとムギとチューした時の事思い出しちゃう。

澪「……柔らかかったな」

弾力があって、ちょっとしっとりしてて、自分の唇が溶けるような……
あの時は私の視界は全部ムギで……ああいう感じなんだな、キスって。

澪「うぅぅ……」

あ、ダメだ。
また頭爆発しそう。

そもそもそれを忘れるためにランニングしてたのに、思い出してどうする。

不意に、携帯電話が鳴った。

両手に持った袋を地面に置き、私はポケットから携帯電話を取り出した。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:06:50.03 ID:DXDMZQiz0

澪「ひっ!?」

画面にはムギの文字。

澪「ひいいいいい!!」

無理だ!
恥ずかしい!
今はムギと話せない!

いやでも電話かかってきてるし。
なんだ?
一体私に何の用があって?

いや別に用がなくてもムギとは電話する事あるけど、今は無理だ無理!

澪「あ……う、うぅーーーーーっ!」

私はとっさに携帯電話の電源を切ってしまった。



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:09:20.02 ID:DXDMZQiz0

【PM8:16 琴吹紬】

ツーツーツー。

星空の下、国道沿いの歩道で私は立ち尽くしました。

紬「えっ……ウソ……。今澪ちゃん電話切っちゃったの……?」

もしかして澪ちゃん、すっごく怒ってる……?

紬「どうしよう……どうしよう……!」

事故とはいえ、私がチューしちゃったから……?

りっちゃんごめんなさい!
ポッキーなんて探してる場合じゃないわ!
澪ちゃんに謝らないと!

紬「でも電話に出てくれないし、一体どうしたら……」

あ、私泣きそう……。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:13:02.92 ID:DXDMZQiz0

【PM8:16 真鍋和】

夕飯を食べ終え、私は部屋に戻ると、早速教科書とノートを開いた。

和「さて、と。まずは英語からやろうかな」

私はスラスラと問題を解いていく。

こんなに宿題が出て、唯と律は大丈夫かしら。
……まぁ写させてって言ってくるんだろうけど。

ピーンポーン。

部屋の外にインターホンのベルの音が響いた。

和「誰かしら?」

まあこんな時間にウチに来るのなんて、
宗教の勧誘か怠惰な幼なじみのどちらかだろうけど。

ピーンポーンピーンポーン。

訪問者はしつこくベルを鳴らし、私を急かした。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:15:01.78 ID:DXDMZQiz0

和「はぁ……」

こんな時間にいきなり来て、呼び鈴を連打するのなんて唯以外にいない。

生憎ね、私もまだ宿題終わらせてないし、写させてあげる事はできないのよ。
最初から写させるつもりはないけれど。

ピーンポーン。

和「はいはい。今行くわ」

私は椅子から立ち上がり、部屋を出て、玄関のドアを開けた。

唯「の……和ちゃあああああん!」

そこには、顔も服も血まみれで泣きじゃくる唯が立っていた。

和「ど……どうしたの?!」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:18:12.93 ID:DXDMZQiz0

【PM8:16 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

憂「ここも売り切れ……。どうして……?」

私は肩を落として、お店を出ました。
他にお菓子売ってるような場所なんてあったかなぁ……。

けっこう遠くまで来ちゃったけど……ここまでしても買えないなんて、
私はお姉ちゃんとチュー……じゃなくてポッキーゲームできない運命なのかな……。

憂「はぁ……」

溜め息は夜空にすうっと吸い込まれていきました。

「ひいいいいい!!」

突然聞こえてきた奇声も、夜空は平等に響かせてくれます。

憂「あれ?澪さん……?」



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:22:27.31 ID:DXDMZQiz0

【PM8:17 秋山澪】

よし、走るぞ。
走ってあの記憶を消そう。
私はスプリンターMIOだ。
今はアーティストじゃなくてアスリートだ。

ipodの曲を爆風スランプのランナーにセットして、
ポッキーを口にくわえながら私はクラウチングスタートの姿勢をとり、足にぐっと力を入れた。

ポン。

そのとき、誰かが私の肩を叩いた。

澪「うわあああっ!?」

憂「あっ、すいません……。驚かせちゃいました……?」

へっ?な、なんだ。
憂ちゃんか……。

私はイヤホンを耳から外して挨拶をした。

澪「あ、あははは……。こんばんは憂ちゃん」



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:25:48.50 ID:DXDMZQiz0

憂「こんばんは。……あの、何してるんですか?」

今の私。
夜に街中で学校のジャージを着て、iPodを装着。
両手に買い物袋を持ちながら、ポッキーを口にくわえてクラウチングスタートの構え。

うん、どう見ても変人だ。
よくよく考えたらアーティストにもアスリートにも見えない。

澪「あ、ああ、えっと……だ、ダイエット中なんだ!ランニングだよ!」

憂「そ、そうですか」

うぅ……。



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:29:16.45 ID:DXDMZQiz0

憂「えっと……何買ったんですか?」

澪「えっ?」

憂「その……買い物袋、パンパンですけど」

澪「ああ、これはポッ……」

待てよ。

もし唯が家で今日の部活の事を……
ポッキーゲームの事を話してたら、まずいんじゃないか?
私が大量にポッキーを買い込んでるってバレたら、
まるで私が率先してゲームを楽しんでるエッチな子って
憂ちゃんに思われちゃうんじゃないか!?

澪「あ、ああ。これは……な、何でもないよ」

私はさっと買い物袋を後ろに回して隠した。

澪「う、憂ちゃんこそどうしたの?こんな所で……」

憂「えっ?私ですか……?私はイチゴのポッ……」

イチゴのポッ……?
ポッ、何!?
今イチゴのポッキーって言おうとした!?

やっぱり唯は憂ちゃんに話したのか!?



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:32:14.49 ID:DXDMZQiz0

【PM8:19 平沢憂】

憂「私はイチゴのポッ……」

こんばんは。平沢憂です。

私はポッキーと言いかけて、言葉を引っ込めました。

ポッキーの事、澪さんに話して大丈夫なのかな?
妹とポッキーゲームなんて、お友達に知られたらお姉ちゃん恥ずかしくならないかな?
……ていうか私が恥ずかしいよぅ。

もしかしたらお姉ちゃんの事だから、
部活で「私、憂とポッキーゲームしたい!」って話してるかもしれないし。

憂「あ、わ、私は……えぇっと……お夕飯の買い物で……」

澪「そ、そうなんだ。あは、あははは……」

憂「はい。え、えへへ……」

あれ?何か気まずい空気……?もしかしてバレてる?
ていうか、澪さんが口にくわえてるのってもしかして……。



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:34:58.94 ID:DXDMZQiz0

【PM8:20 秋山澪】

憂「あの……その、澪さんがくわえてるのって……」

うわっ!やばい!!
私今イチゴのポッキーくわえてるんだった!

澪「ポリポリポリポリゴクン」

私は急いでポッキーを噛み砕き、飲み込んだ。

さっきから憂ちゃんと私の間には、変な空気が流れている。
まさか唯は本当に話してしまったのか!?

澪「な、なんでもないよ!」

憂「もしかしてイチゴのポッキーですか?」

ひいいい!やっぱりバレてる!?

澪「え、えーっと……ポッキーというかなんていうか……その……」



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:38:20.76 ID:DXDMZQiz0

【PM8:21 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

私は見ました。
澪さんがくわえていたのは、間違いなくイチゴのポッキーでした。

憂「あのっ!それどこに売ってたんですか!?」

澪「へっ?あ、ああ、あそこのコンビニだけど……」

やった!やっと見つけたよお姉ちゃん!

憂「ありがとうございます!じゃあ私はこれで!失礼します!」

澪「ちょ、ちょっと待って!」

憂「はい?」

澪「えっと、唯から……何か聞いた?」

憂「えっ?」

澪「いや、その……ポッキーがどうとか……」

お……お姉ちゃん……。
やっぱり軽音部のみなさんに話しちゃってるんだね……。恥ずかしいよぅ……。

憂「は、はい……。まぁ……」



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:43:21.24 ID:DXDMZQiz0

【PM8:22 秋山澪】

終わった。

もう憂ちゃんの私の印象は、ふしだらな女の子になっちゃってるんだろうな……。
ははは……。

澪「き、聞いちゃったのか……」

憂「……はい」

ほら、その証拠に憂ちゃんは顔を赤らめている。

澪「……」

憂「……」

空気が重くのしかかる。
外したイヤホンからシャカシャカ流れる爆風スランプの声が、何とも不似合いだ。



85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:46:28.11 ID:DXDMZQiz0

憂「あの、私そろそろ……。お姉ちゃんにお使い頼まれてるので……」

澪「あ、うん……」

そう言えばさっき憂ちゃんも
イチゴのポッキーがどうとか……唯のお使いってそれの事かな?

ってまさか、唯の奴、明日もポッキーゲームやらせるつもりじゃないだろうな!?
冗談じゃないぞ!
あ、でも……。

憂「じゃあ、失礼します」

澪「うん。じゃあ……」

憂ちゃんは駆け足でコンビニへ向かっていった。

ごめんね憂ちゃん。
あそこのコンビニのイチゴポッキーも、私が買い占めたんだ。

とりあえず、これで明日はポッキーゲームなんてしなくて済みそうだ。



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:52:20.29 ID:DXDMZQiz0

【PM8:26 中野梓】

梓「着いた……」

憂の家は玄関まで煌々と灯りがついていた。

私は呼び鈴を鳴らした。

出てくるのは憂か、唯先輩か。
出来れば憂であってほしいなぁ。

梓「……」

梓「……」

あれ?誰も出てこない。

私はもう一度呼び鈴を鳴らした。

……やっぱり出てこない。
灯りはついてるから、中にいるはずなんだけど……て
いうか今日行くって約束してたし。

もう一度私は呼び鈴を押した。

梓「う、憂……早く……!おしっこ漏れちゃう……」



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:56:26.73 ID:DXDMZQiz0

【PM8:30 田井中律】

部屋で漫画を読んでいて、ふと思い出した。

律「あーやっべ。今日宿題大量にあるんだっけ」

まあいつも通り澪に教えてもらえばいいか……。

あー!しまった!
さっき私がからかったから、あいつきっとヘソ曲げて教えてくれないぞ……。
さっきのフォローメールにも返信こないし。

律「はぁ……。自分でやるか……」

ブブブブブ。

私が教科書を開くと、ケータイが鳴った。

澪かっ!?グッドタイミング!

律「もしもーし!」

紬「……りっちゃん」

律「なんだムギかよ……」

紬「えっ……」



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 11:59:00.51 ID:DXDMZQiz0

【PM8:32 琴吹紬】

「なんだ」って……私嫌われてるのかしら……。
澪ちゃんとチューしちゃったから……?

律「おーいムギ~?」

紬「りっちゃん、私の事怒ってる……?」

律「へ?ああ、ごめんごめん。
  ちょうど澪に宿題教えてもらおっかなーと思ってたところだったからさ」

紬「ほっ……良かった……」

律「どした?ポッキー用意できなさそうとか?」

紬「あ、うん……。ポッキーはちょっと無理かも……」

律「そっかぁ。まぁ無理なら仕方ないよ。気にすんなー」

紬「うん、ありがとう。それと、澪ちゃんの事なんだけど……」

律「んー?」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:00:44.45 ID:DXDMZQiz0

紬「私、澪ちゃんの事怒らせちゃったかも……」

律「へ?ムギが?澪を?なんで?」

紬「わかんないけど……もしかしたら今日の事で……。電話しても出てくれないの……」

律「あー、そういや私も澪からメール返って来ないなぁ」

紬「え?りっちゃんも?」

律「まあ明日になったら澪も機嫌直してるって」

紬「そんな!ダメだよ。ちゃんと謝ろう?」



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:02:25.59 ID:DXDMZQiz0

律「ええ~?」

紬「宿題、澪ちゃんに教えてもらいたいんでしょ?」

律「んーまぁね」

紬「一緒に謝りに行こう?」

りっちゃんは少し唸ってから答えました。

律「……そだな。わかったよ。
  じゃ、一緒に澪んち行くか。とりあえず私んちに今から来れる?」

紬「うん。実はもうりっちゃんちの前にいるの!」

律「メリーさんかお前は」




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唯「Pocky Games」#前編
[ 2011/10/01 15:34 ] 非日常系 | | CM(0)

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