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唯「Pocky Games」#後編 【非日常系】


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唯「Pocky Games」#前編
唯「Pocky Games」#後編




95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:04:46.06 ID:DXDMZQiz0

【PM8:40 平沢唯】

唯「いやあ、お騒がせしました~」

和「全く……びっくりさせないでちょうだい」

和ちゃんは、私の手に絆創膏を貼りながら、溜め息をついた。

一時はどうなる事かと思ったけど、傷はそこまで深くなくて、
とりあえず今日は応急処置をして、明日病院に行く事になったよ!わーい!

和「ほら、顔洗ってきなさい。それじゃまるで殺人犯みたいよ」

唯「クックック……今宵も私の血が騒ぐよ!」

和「バカ言ってないで早くして。私宿題したいんだから。着替えもここに置いとくわ」

唯「おー、ありがとう和ちゃん!」

グゥゥゥゥ。

唯「お?」



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:08:01.47 ID:DXDMZQiz0

【PM8:42 真鍋和】

唯「お?」

唯のお腹が鳴った。

和「……お腹空いてるの?」

唯「でへへ。実はまだ何も食べてないんだ~」

和「うーん……悪いけど、うちはもうお夕飯済ませちゃったし……」

唯「じゃあ和ちゃん、ウチに来てご飯作ってくれない?」

あの……宿題したいって言ったはずなんだけど。



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:09:56.74 ID:DXDMZQiz0

和「憂は?憂に作ってもらえばいいじゃない」

唯「それが、憂は私が頼んだポッキーを買いに行ったきり戻ってこないんだよ。
  ケータイも置いていっちゃったし」

ポッキー……?
そういえば私もポッキー買ってきたんだっけ。
……やれやれ、結局あのポッキーは唯が食べる運命にあったのね。

和「ポッキーなら買ってあるから、それで我慢しなさい」

唯「イチゴの?」

和「そう、イチゴの」

唯「でもそれだけじゃ足りないよ……」



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:12:47.20 ID:DXDMZQiz0

和「憂が帰ってくるまで我慢しなさい」

唯「そんなぁ!このままじゃ私、飢え死にしちゃうよ!」

そう言って唯は私にしがみついた。

和「ちょ、ちょっと!私の服に血がついちゃうでしょ!?」

唯「おねげえしますだ~!おらもう3日も飯食ってないだよ~!死にそうだ~!」

まぁ、血まみれで死にそうって言われれば、確かに説得力はある。
3日食べてないっていうのは絶対嘘だけど。

和「はぁ……。仕方ないわね。じゃあすぐ行くからさっさと顔洗って服着替えて」

唯「ありがてえ……!じゃっ、すぐに準備してきます!」



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:17:23.02 ID:DXDMZQiz0

【PM8:43  田井中律】

私はカチューシャをつけ、部屋を出ると玄関のドアを開けた。

紬「りっちゃん……」

いつもニコニコしているムギが、珍しく泣きそうな顔をしながら立っていた。

ムギは喧嘩なんかしないだろうから、こういう時の対処を知らないんだろうなぁ。

律「おまたせ」

ムギは腹を空かせた時の唯みたいな顔で私を見ている。

律「ムギ~そんな顔すんなよ。さ、澪んち行こうぜ」

紬「うん……」



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:20:18.24 ID:DXDMZQiz0

【PM8:45  秋山澪】

憂ちゃんと別れた後、私はさらにお店を巡ってイチゴのポッキーを買い続けた。

お財布がスッカラカンになった時、ようやく私は冷静になった。

澪「……何やってんだ私」

大量の買い物袋は両手で抱えるのが精一杯で、この状態でのランニングはもう無理だった。

ていうか、どうすんだ。
この大量のイチゴポッキー……。

澪「もう帰ろう……」

私はトボトボと歩き始めた。
両手で抱えた買い物袋が視界を狭くする。

ポケットの中でケータイが震えた。
でも荷物で手が塞がっているため、出る事ができない。

ipodから流れるのは、坂本九の曲。
夜空を見上げると、いつの間にか星は曇に覆われて見えなくなっていた。

澪「今の私の気持ちとおんなじだな……」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:24:38.97 ID:DXDMZQiz0

【PM8:50 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

憂「ここもダメ……かぁ……」

澪さんに教えてもらったコンビニにも、
その後に回ったお店にも、イチゴのポッキーは置いてませんでした。

憂「うぅ……。なんで売ってないの……」

泣きそうです。
でも泣きません。
泣いてる暇があったら、私はポッキーを探さないと……でも……

憂「もう……このへんのお店は全部回ったし……隣町に行くしか……」

ニャーオ。

私の目の前を、黒猫が横切りました。

猫……。

あっ!?梓ちゃんと約束してたの忘れてた!!



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 12:28:41.83 ID:DXDMZQiz0

どうしよう。
もう梓ちゃん、ウチについてるよね……。
お姉ちゃんがいるはずだから大丈夫かな。

憂「でもご飯作ってないし……」

そうだ、お姉ちゃんもきっとお腹空かせてるはず。

……謝ろう。
帰ってお姉ちゃんに謝ろう。
お姉ちゃん、ごめんね。
私、ポッキー買えなかったよ……。

憂「……っ。泣いちゃダメ……っ」

けっこう遠くまで来ちゃったから、家に帰るのには時間がかかりそうです。
その事がさらに私の気持ちを沈めました。



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 13:01:51.62 ID:DXDMZQiz0

【PM8:54 琴吹紬】

律「えっ?でかけた?」

澪ちゃんのお家についた私とりっちゃんが呼び鈴を鳴らすと、
澪ちゃんのお母さんが出てきて、澪ちゃんは外出中だと教えてくれました。

律「まいったなー。どうする?」

紬「澪ちゃん、どこ行っちゃったんだろう。まだ電話にも出ないし」

嫌な予感がしました。

紬「……何か事件に巻き込まれてないといいけど」

律「ええ?ま、まさかそんな事は……」

りっちゃんの表情が曇りました。

紬「……捜しましょう!澪ちゃんを!」

律「う、うん」

重い曇の浮かんだ夜空が、私とりっちゃんの不安を煽りました。



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:15:57.91 ID:DXDMZQiz0

【PM9:00 真鍋和】

唯「おまたせー!さあいざんゆかん!我が城へ!」

顔を洗って私の服を着た唯が、洗面所から戻ってきた。
サイズ違いで丈の余った格好で歩く唯は、ちょっと可愛かった。

和「さっさと行きましょう」

唯「あ、イチゴのポッキー持った?」

全く、そういう事は忘れないのね。

和「持ってるわよ」

唯「えへへ~。じゃあいきませういきませう!」



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:23:02.44 ID:DXDMZQiz0

【PM9:03 中野梓】

ピンポーン。ピンポンピンポンピンポーン。

私は呼び鈴を連打する。
パニック映画でエレベーターのボタンを連打する主人公のように。

梓「なんっ……で……出ないのぉ……っ」

私は脚をもじもじさせながら、涙ぐんだ。

うぅ……我慢しすぎてお腹痛くなってきた。

ピーンポーン。

梓「お願いだから出てよぉっ……!!」

ていうかもしかして留守なの……?
憂がなにも言わずに約束を破るとは思えないけど……。

私は留守である事を確認するために、ドアノブをひねった。

ガチャリ。

梓「えっ?開いてる……?」



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:29:44.45 ID:DXDMZQiz0

梓「お、お邪魔しまーす……」

誰も答えない。
水を打ったように、この家は静まりかえっている。
あの姉妹がいるなら、もっと騒がしいはずだ。

梓「憂ー……唯せんぱーい……いないんですかー……?」

誰も答えない。

梓「うっ……も、漏れちゃう……」

勝手に入って大丈夫だろうか。

人様の家に無断で上がり込んで、トイレを拝借するなんて、人としてまずいよね……。

梓「あっ……?!」

しかし私の理性とは裏腹に、それはもう入り口まで迫っており、今にも氾濫しようとしている。

梓「も、もうダメ!お邪魔します!おトイレ借りますっ!」

私は猫だ。そう考えるんだ。
猫なら人の家に上がり込んで用を足しても、「あらあら困った子ねえ」とかその程度で済むはずだ。



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:36:20.70 ID:DXDMZQiz0

【PM9:05 秋山澪】

さっきから、私のポケットの中で、携帯電話は振動を続けている。

出たくても出られないんだよ……。
この両手いっぱいに抱えた大量のポッキーのせいで……。

澪「私一人じゃこんなに食べきれないな……」

誰かにあげようかな。

といっても、私、友達多くないし。

唯と律とムギはダメだ。絶対ポッキーゲームに使う。
梓と和なら……大丈夫かな。

ここからだと、梓の家が近いな……。

澪「よし、梓の家に行くか」

かくして私は梓の家へと進路をとった。



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:42:18.03 ID:DXDMZQiz0

【PM9:06 田井中律】

紬「ダメ、やっぱり出ないわ……」

律「うーん、私ならともかく、ムギの電話を澪が無視するとは考えられないな」

まさか澪……本当に何かの事件に巻き込まれたのか?
痴漢とかストーカーとか暴漢とか……もしかして誘拐!?

紬「りっちゃん、どうしよう……」

律「困ったな……。とりあえず唯と梓も呼んで一緒に探してみる?」

紬「うん!じゃあ私、唯ちゃんに連絡するね!」

律「おっけー!じゃあ私は梓に電話するよ」



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:50:48.24 ID:DXDMZQiz0

【PM9:07 中野梓】

平沢家の玄関にあがると、私はぎょっとした。

血痕だ。
廊下に点々と血痕がある。

梓「い、一体何が……!?……うっ、漏れる!」

とりあえず殺人現場は後回しにして、トイレに行かないと!!

……。

……。

快楽は鳴る。
私の耳の外から、耳の奥の奥から。
川のせせらぎもような音が外部から響き、
キーンという鉄を打ったような音が私の中から聞こえてくる。

梓「はぁ~……危なかった……」

……っと、安心してる場合じゃなかった。
早くトイレから出て、家の外でお行儀よく待ってないと、不審な子に思われちゃう。
私は猫なんかじゃない。
ギターを弾く立派な女子高生、人間なんだから!



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:57:36.88 ID:DXDMZQiz0

梓「それにしても、あの血痕、一体なんなんだろう……?」

私はビデを浴びながら考えた。

もしかして、憂や唯先輩の気配がしないのは、本当に殺人がったとか……。

梓「ま、まさかね……」

でももし本当にそうだとしたら?
もしかしたら犯人はこの家の中にまだ潜んでいるかもしれない。
私がこのトイレのドアを開けたら、口封じに襲ってくるかもしれない。

私は身震いした。

私が襲われるとかそんな事より……
憂と唯先輩の身に何かあったとしたらと思うと、私の身体はちぎれそうだった。

梓「憂……唯先輩……」

私はトイレの中で震えながら、二人の無事を祈った。

唯「ただいまー!」

あ、生きてました。



138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:03:08.33 ID:DXDMZQiz0

【PM9:08  平沢唯】

唯「ただいまー!」

和「ちょっと唯!カギ開けっ放しだったの!?」

唯「おお!忘れてた!」

和「不用心よ。不審者が入ってたらどうするの?」

唯「ええ?大丈夫だよ~」

和「全く……。次からはちゃんと閉めなさいよ」

唯「はーい。……あっ!」

和「何よ今度は」

唯「和ちゃんちにケータイ忘れた!着替えた時に……」

まあでもあとで取りに行けばいいかぁ。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:07:12.94 ID:DXDMZQiz0

【PM9:09 琴吹紬】

何度電話をかけても、唯ちゃんは電話に出ませんでした。

紬「りっちゃん、唯ちゃん出ないよ……」

律「まぁ唯は最初からあんまりアテにしてないし……」

紬「ねえりっちゃん、私、唯ちゃんにも嫌われてるのかな?」

律「いや、それはないだろ。あいつムギの事大好きだろ」

そうかな?どうかな?
そうだといいな。

紬「う、うん……」

律「んじゃ、私は梓にかけるぞ」



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:15:52.72 ID:DXDMZQiz0

【PM9:10 中野梓】

私はトイレの中で、息を殺した。

トイレのドア越しに聞こえてきた唯先輩と和先輩の話から察するに、
どうやらあの血痕は唯先輩が指を切ったのが原因で出来たものらしい。

良かった。殺人事件なんてなかったんだ。
唯先輩も憂も無事なんだ。

しかし、殺人事件こそなかったものの、
今この家では別の事件が……不審者侵入事件が起きている。

しかもその犯人は私だ。

梓「どうしよう……。留守中に家に上がり込んでトイレ使ってたなんて、
  唯先輩はともかく、和先輩に知られたら……」

この場はこのまま息を潜めて、隙を見てトイレから抜け出すしかない!
そして何食わぬ顔で呼び鈴を鳴らし、客としてもう一度この家に上がるんだ!
よし、それでいこう。

ブブブブブブ!

梓「にゃっ!?」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:20:44.03 ID:DXDMZQiz0

【PM9:10 真鍋和】

唯の家で、早速唯の夕飯を作ろうとしていた私の耳に、妙な物音が聞こえてきた。

和「唯、今の聞こえた……?」

唯「うん……。なんだろう?」

和「まさか泥棒が入ってたんじゃ……」

唯「ええっ!?そ、そんな……怖いよ……」

和「私ちょっと見てくるわ……」

唯「き、気をつけて和ちゃん……」

私はキッチンをおそるおそる出た。
私はこの家の間取りをよく知っている。
物音がしたのは、恐らくトイレのほうだ。



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:28:13.04 ID:DXDMZQiz0

【PM9:11 田井中律】

律「あれー?梓も出ないなぁ」

紬「みんなどうしちゃったんだろう……」

律「全く、澪の一大事かもしれないってのに、何やってんだあいつらは」

仕方ない。
私とムギの二人で澪を捜すしかないな。

律「いや、待てよ。和なら頼りになるんじゃないか?」

紬「あっ!そうかも!じゃあ私、和ちゃんに電話す……あれ?携帯の電池切れちゃった」

律「ええ?じゃあ私が電話……って私ももう電池きれそうだ!」

紬「じゃ、直接和ちゃんのお家に行きましょう?」

律「まぁこっからなら歩いていけるし……行ってみるか」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:35:14.14 ID:DXDMZQiz0

【PM9:12 中野梓】

もーーーーーっ!
何でこんな時に律先輩は電話なんてしてくるんだろう!

案の定、唯先輩と和先輩は私が上げた悲鳴に気づいてしまった。
そして今、和先輩はこっちに近づいて来ている。

どうしようどうしようどうしよう!!

ギシギシと、和先輩の足音が廊下に響く。

一歩、また一歩近づいてくる。

ゴクリ。
私は唾を飲み込む。
口の中はとっくに乾いているのに、喉は鳴った。

和「だ、誰かいるの……?」

ついに和先輩は、トイレの前で尋ねてきた。
しかしドアノブをひねらない限り、
トイレのカギが閉まってるかどうかはわからないはず。
すなわち、中に誰かいるという事の確証は得られない!

こ、こうなったら……イチかバチか……!!

梓「にゃ、にゃーお……」



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:44:36.90 ID:DXDMZQiz0

【PM9:14 秋山澪】

澪「案外すぐ着いたな」

梓の家、到着。
ケータイで梓を呼び出したいところだけど、
相変わらず私の両手はポッキーの入った袋で塞がっていたため、ケータイを取り出せない。

澪「梓いるかな?……って、ああっ!?」

しまった。
両手が使えないから、インターホンも鳴らせない。

澪「うーん……どうしよう」

ポストにポッキー入れておこうかな。

そうだ、そうしよう。
朝起きてポストを開けたら、
ポッキーがいっぱいだったなんてサンタさんみたいでステキじゃないか?

澪「ふふふ、梓、喜ぶかな……」

私は梓の家のポストにポッキーを押し込むと、くるりと振り返り、次の目的地へと舵をとった。

澪「よし、次は和の家だ」



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:50:38.79 ID:DXDMZQiz0

【PM9:15 平沢唯】

まいった。
私が家のカギを閉め忘れたせいで、今この家には泥棒さんがいるかもしれないなんて。

うう……憂に怒られるよ……。
いやいやそういう次元じゃないって。
和ちゃんに何かあったらどうしよう……!

私は目を閉じて、お隣の神社の神サマ?に拝んだ。

唯「お願い和ちゃん……どうかご無事で……!」

和「唯」

唯「ふおっ!?」

和「何やってるの?」

唯「の、和ちゃんの無事を拝んでたんだよ……。どうだった……?」

和ちゃんは笑って答えた。その笑顔が、私を安心させた。

和「大丈夫。近所の猫だったわ」



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:00:09.76 ID:DXDMZQiz0

【PM9:20 中野梓】

梓「助かった……」

私は安堵の息を漏らした。

唯先輩に日頃猫の真似を強要されるのは嫌だったけど、それが役に立つ日が来るなんて思わなかった。

さて、とりあえずの危機は免れたものの、私が窮鼠である事にかわりはない。
追いつめられた鼠は猫をも噛むというが、ここで私がヤケを起こしたら犬のお巡りさんに捕まってしまう。

……まぁ捕まるっていうのは言い過ぎだけど、とりあえず和先輩に奇異の目で見られる事だけは確かだ。

しばらくここでじっとしているしかないのかなぁ……。

梓「ん?」

不意に、いい匂いがしてきた。トイレでいい匂いっていうのも変な話だけど。

そっか。和先輩がお夕飯を作っているんだ。

梓「……お腹空いたなぁ……」



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:12:08.87 ID:DXDMZQiz0

【PM9:26 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

曇り空の下、私はまだ、家から離れた場所を歩いていました。

憂「うぅ……。すっかり遅くなっちゃったよぅ……」

梓ちゃんはとっくにウチに来てるはずで、お姉ちゃんもお腹を空かせて泣いてるかもしれない。
二人ともきっとカンカンだよね……。

連絡の一つでも入れる事が出来ればよかったんですが、
私は家にケータイを置きっぱなしで来てしまったので、それも適いません。

急がなきゃ。
早く帰らなきゃ。

そうわかっていても、結局イチゴのポッキーを買えず、
手ぶらのままな私の足は、ことさら歩みを遅めてしまうのでした。



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:20:12.46 ID:DXDMZQiz0

【PM9:32 真鍋和】

和「はい、出来たわよ」

私は冷蔵庫に入っていた残り物と、まな板の上に置いてあったお豆腐を使って
簡単なメニューで唯のお夕飯を拵えてあげた。

鯛の切り身も置いてあったけど、
それを使ってたら時間がかかってしまうので、冷凍庫に戻しておいた。
早く帰って宿題しないと。

唯「ありがとう、和ちゃん!いただきまーす」

和「じゃあ、私帰るわね」

唯「ええっ?せっかく来たのに?」

和「しゅ・く・だ・い!するって言ったでしょ?
  唯もそれ食べたら宿題やらないと終わらないよ。今日、いっぱい出たでしょ?」

唯「ぶーぶー!……あ、そうだ和ちゃん。ポッキー持ってきたんだよね?」

唯は時々変な事を言う。
私はもう15年以上唯の幼なじみをしているから、ちょっとやそっとじゃ怒らない。
でも、この時ばかりは私もカッとなってしまった。

唯「和ちゃん、ご飯食べ終わったらポッキーゲームしようよー」

和「いい加減にしなさい!するわけないでしょ!」



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:26:46.23 ID:DXDMZQiz0

【PM9:34 平沢唯】

和「いい加減にしなさい!するわけないでしょ!」

あう……。
怒られた……。

唯「ごめんなさい……」

和「全く!もう帰るからね!宿題もちゃんとやるんだよ」

さすがにこの状況で「写させて~」なんて言ったらまた怒られるよね……。

和「じゃ、憂によろしくね」

唯「……あっ、待って和ちゃん、お願いがあるんですけど……」

和ちゃんは怒りを通り越して呆れた顔をした。

よかった、いつもの和ちゃんだ。



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:34:01.43 ID:DXDMZQiz0

和「何?宿題なら自分でやらないと意味ないわよ。ていうか私もまだ終わってないんだから」

唯「……だよね」

和「それより、憂遅いわね。大丈夫かしら?」

そう言えば、ポッキー買いに行ったにしては遅いかも。
ケータイは家に置きっぱなしだから連絡もとれないし……。

唯「あっ……ケータイ……」

和「ケータイ?」

唯「ほら、私、和ちゃんの家にケータイ忘れてきちゃったから……」

和「そう言えばそうだったわね。もしかしたら公衆電話か何かで憂から連絡きてるんじゃない?」

唯「ど、どうしよう……」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:40:33.34 ID:DXDMZQiz0

和「はぁ……。わかったわ。私が帰るついでに取りに行ってあげる。
  また戻ってくるからついでにはならないけど」

唯「ご迷惑おかけします……。あっ、でも私も一緒に行ったほうがいいかな?」

和「憂と入れ違いになったらまた面倒でしょ?すぐとってきてあげるから唯はここで待ってて」

本当に……何から何まで……。

唯「ありがとう和ちゃぁぁぁん……」

和「はいはい。じゃ、もう行くね」

そう言って和ちゃんはさっさと出て行った。

私は和ちゃんが作ってくれたお夕飯を完食し、食器を流し台の上に置き、一息ついた。

満腹になった私に、またしてもあの欲望が渦を巻いて私の身体の中をぐるぐるにした。

唯「ポッキーゲームしたいなぁ……」



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:47:54.32 ID:DXDMZQiz0

【PM9:38 秋山澪】

澪「着いた……。さすがに疲れたな……」

私はようやく和の家に着いた。
iPodのバッテリーが切れてからというもの、夜道はこれでもかというほど、私を怖がらせた。
ランニングをした上に、大荷物を持って歩き通しだったせいで、足もパンパンだ。

澪「でも、いい運動になったな」

体重計に乗るのが楽しみだ。

澪「さ、和の家のポストにもポッキーを入れてあげよう」

私は梓の家でしたのと同じように、和の家のポストにポッキーを詰め始めた。
しかし、中野家のとは違い、真鍋家のポストは入り口が狭いため、思うように押し込む事ができない。

澪「んしょっと……えいえい!」

私は半ば強引に、ポストの中へポッキーを一箱ずつぐいぐいと詰め込んでいった。



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:53:39.10 ID:DXDMZQiz0

【PM9:40 琴吹紬】

お願い!澪ちゃん、どうか無事でいて!

私の頭の中では、その言葉がずっと彷徨していました。

澪ちゃんに謝りたいのに……澪ちゃんの身に何かあったら、それもできなっちゃう。
そんなの絶対イヤ!

律「ちょっ……ムギ?顔色悪いぞ?」

紬「う、うん……。大丈夫……」

律「そんなに心配すんなって。まだ澪に何かあったって決まったわけじゃないんだしさ」

そう言いながらも、りっちゃんが不安なのは、
さっきから繋いでいた手を通して私にも伝わっていました。

律「あ、ほら。もうすぐ和んちに着くぞ」



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:01:30.28 ID:DXDMZQiz0

和ちゃんに会ったからと言って、何かが解決するわけじゃないのはわかっていました。
でも、今の私とりっちゃんに出来るのは「和ちゃんに会う」という行動だけだったので、
それに縋るしかなかったんだと思います。

紬「たしかこのあたりよね?」

律「うん。ほら、あそこ……あ?」

紬「え?」

突然、りっちゃんが立ち止まりました。
私はりっちゃんと手を繋いでいたため、前につんのめってしまいました。
私は何事かと思い、りっちゃんの視線の先にある和ちゃんの家のほうを見ました。

律「なんか……和んちの前で変な事してる人がいる……」

確かに、いる。
ポストに向かって何か……詰め込んでいる?
それも、一生懸命。

……ていうかあれは……。

律「あれ……澪だよな……」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:09:43.72 ID:DXDMZQiz0

【PM9:41 平沢唯】

唯「うぅ~……ポッキーゲームしたいよぉ」

と言ってみたものの、ここにはポッキーはおろか、それをする相手すらいない。
和ちゃんにはガッツリ怒られちゃったし。
憂がポッキー持って帰ってくるのを待ってるしかないかぁ。

そう言えば、家に一人でいる事ってあんまりないかも。
いつもなら憂がいるし。

唯「でも、なーんか一人って感じがしないんだよね。なんでかな?」

ぶるっ。

唯「ん、おしっこおしっこ!」

私はトイレに駆けていき、ドアノブをひねった。

唯「あれ?開かない?」

私はガチャガチャとドアノブを回そうとしたが、
どうやらカギがかかっているらしく、開く気配は全くなかった。



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:15:53.09 ID:DXDMZQiz0

【PM9:43 中野梓】

心臓の音が、外に聞こえていたらどうしよう。
いや、いまさらそれが聞こえたところで、事態は大して変わらないのかも。

唯「あれー?何でカギしまってるんだろう?」

唯先輩は、突然居間から出てきて、突然トイレのドアを開けようとしてきた。
唯先輩、不意打ちはやめて下さい。

唯「誰かいるのー?」

ガチャガチャと、何度も何度も唯先輩はドアノブを回そうとしている。

まずい。
これはどう誤魔化せばいいんだろう。

ていうか、いつか唯先輩がトイレを使うのなんてわかりきってた事だ。

何で私はここにこもってるなんてバカな作戦を立ててしまったんだろう……。



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:22:29.03 ID:DXDMZQiz0

唯「んー!開かない!やっぱり誰かいるのかなぁ」

そりゃカギかかってるんだから、いるに決まってるでしょう。
何を言ってるんですか唯先輩。

唯「お、おしっこ漏れちゃうよ……」

そう言えば数時間前、私も自分の家のトイレの前で、同じような事言っていた気がする。
親子揃ってトイレが長いなんて、なんか嫌だな……。

唯「ういー?」

へっ?

唯「憂、帰ってたの?入ってるの?」

どうやら唯先輩は、憂が入ってると思ったみたいだ。
これを利用しない手はない。
律先輩に倣って、声真似でこの場を切り抜けよう。

やってやるです!

梓「お、おねえちゃーん。もうちょっとかかりそうだよ~……」

唯「あれ?あずにゃん?」

あ、バレた。




176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:23:02.31 ID:Be5444270

ワロタ



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:23:48.62 ID:7yb/UueP0

ワロタwwwwww



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:23:59.58 ID:4WL7ssye0

あずにゃん馬鹿すぎww



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:25:11.13 ID:+A4NQED50

バカス



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:26:43.55 ID:F44VWGSI0

そいつぁ無理だwwwwwwwww





181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:31:21.45 ID:DXDMZQiz0

【PM9:45 田井中律】

とりあえず、澪は無事だったようだ。

いや、無事と言っていいのか?
今あいつは、和の家のポストに、大量の何かを必死で詰め込んでいる。

紬「み、澪ちゃん……一体何やってるのかしら……?」

律「わかんね……」

私もムギも、ずっと澪を捜していた。
私たちはようやくその澪を見つける事ができた。
しかし、私とムギは澪に駆け寄って再会を喜び、
抱き合うなんて事は出来ず、ただただその場に呆然と立ち尽くしていた。

マジで何やってんだあいつ。

紬「あ、もう終わったみたい……」

澪は一仕事終えたサラリーマンのように、清々しい顔をして、その場を去ろうとした。

律「よし、突撃するぞムギ」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:40:40.17 ID:DXDMZQiz0

【PM9:46 平沢唯】

唯「わぁ!やっぱりあずにゃんだ!」

あずにゃんは今にも泣きだしそうな顔をして、トイレから出てきた。

梓「あ、あの……これはその……」

唯「あずにゃんゴメン!私おしっこ漏れそうだからトイレに入るね!」

梓「あっ、あの……」

私は急いで便座に座り、用を足した。

唯「いつからいたのー?」

私はあずにゃんに尋ねた。

梓「……唯先輩達が帰ってくる前からです」

唯「へー!全然気づかなかったよー」

梓「すいませんでした……。トイレに行くのが我慢できなくて、つい……。」

唯「そっかぁ」

梓「……ていうか」

梓「ドア閉めてから話しかけてくださいよ!丸見えなんですけど!?」



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:48:32.81 ID:DXDMZQiz0

唯「あ、ごめんごめん。でももう全部出たよー」

梓「もう……」

私は水を流すと、あずにゃんを居間に招き入れた。

唯「そう言えば、あずにゃんは憂と約束してたんだっけ?」

梓「はい……。でも、憂いないですよね?」

唯「うん。私がポッキー買ってきてって頼んだんだけど……遅いよねー」

梓「そう言えば唯先輩、今日ポッキー食べれてませんでしたね。……あれ?でも……」

あずにゃんはそこでキッチンの方に目を向けた。

梓「あそこにポッキーあるじゃないですか。イチゴの」

唯「えっ?」

本当だ。和ちゃんが置いていったのかな?
あ、私のケータイ渡しに来てくれるから、荷物はウチに置いてったのか。

ん?待てよ?イチゴのポッキーがあって……
今目の前にはあずにゃんがいるって……この状況は……。



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:53:27.94 ID:DXDMZQiz0

【PM9:46 秋山澪】

和、喜んでくれるかな?

最初はポッキーが憎くて仕方なかったけど、今はこうして友達のために活用できてる。
やっぱりお菓子ってこういうものだよな。

澪「よし、そろそろ帰……」

律「みおー!」

え……。

紬「澪ちゃん、こんばんは」

げっ!ムギ!?やばい恥ずかしい!

律「なーにやってんだ?こんなところで」

うっ……何って……。

私……何やってたんだっけ。何でこんな事してたんだっけ……。



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:57:12.35 ID:DXDMZQiz0

紬「澪ちゃんごめんなさい……。私……」

澪「えっ?」

律「なんで電話に出なかったんだよ?心配してたんだぞ?」

澪「う……ご、ゴメン」

紬「でも良かった。澪ちゃんが無事で」

律「ところで、和んちのポストに入れてたのって……ん?これもしかして」

やばっ!!

紬「あら?イチゴのポッキー?」



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:01:47.07 ID:DXDMZQiz0

うわぁぁぁぁ!見るな見るな見るな!!

律「なんだよ、澪もポッキーゲームノリノリだったのか」

澪「ち、違う!」

紬「ちょうど私とりっちゃんも、明日もポッキーゲームしようって言ってたところなの!」

澪「違うって!ポッキーゲームなんて絶対したくない!これは幸せを運ぶためにだな……!」

律「ほほー。ムギとチューしたのがそんなに幸せだったのか」

紬「澪ちゃんたら……」

澪「ち、違うんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:08:06.66 ID:DXDMZQiz0

【PM9:50 真鍋和】

気が滅入る。
これから唯のケータイを渡して、それから家に帰って、
宿題して……はぁ……明日は寝不足で一日大変になりそうね。

「ち、違うんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

何かしら、こんな夜中に大声出して……。
近所迷惑ね。

あれ?私の家の前に誰かいる。

澪と……律とムギ?

和「な、何やってるの?3人とも」

律「お、和」

ていうか……何コレ!?ポストの中に大量のポッキー!?
唯じゃあるまいし、何でこんな……。

律「ああ、それは澪がやったんだよ」



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:18:03.48 ID:DXDMZQiz0

和「え?澪が?」

澪「あ、いや……その……」

顔を真っ赤にして、澪は目を泳がしている。
何かワケありみたいだけど……あまり詮索しないほうがいいかしら?

和「……よくわかんないけど、これ片づけていいかしら」

澪「う、うん……」

律「なあ和、こんな時間にどこ行ってたんだ?生徒会長が夜遊び?」

人の家のポストにポッキー詰め込んで置いてよく言うわね……。

和「唯の家に行ってたのよ。指ケガしたりお腹空かせたりで、大変だったわ」

紬「私達も色々あったの。でもこうやって集まったのも、何かの縁よねきっと!」

和「そうかしら……」

律「つーかこのポッキーどうする?こんなに大量に誰が食べるんだよ」

あ……そう言えば、唯がイチゴのポッキー欲しがってたっけ……。
唯ならこれくらいあっても……。



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:26:50.71 ID:DXDMZQiz0

【PM9:56 中野梓】

ついさっきまでトイレに籠もっていた私にとって、
鬼ヶ島にも等しかった平沢家の居間で、私と唯先輩はくつろいでいた。
実に人間らしく。

梓「へえ!見直しましたよ唯先輩!」

唯「えへへ~もっと誉めて!」

昨日までまるで弾けてなかったフレーズを、
唯先輩は手にケガを負っているにも関わらず、華麗に演奏してみせた。

唯「本当はすぐにあずにゃんに報告したかったんだけどね、色々あって忘れちゃってたよ」

私も色々あったな……。
一時は人間捨てるところまで行ったけど……
唯先輩が今こうしてちゃんとギターを弾いてくれてるから、まぁ……いいかな。

唯「……でね、ご褒美ってわけでもないんだけどぉ~……あずにゃんにお願いがあるんだ~」

あ、嫌な予感がする。
すっごく嫌な予感がする。



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:32:39.58 ID:DXDMZQiz0

【PM9:57 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

ようやくお家に着きました。

私は今、自分の家の玄関のドアを開けるのを、躊躇っています。

憂「お姉ちゃん……私がポッキー持ってくるの楽しみにしてるんだろうなぁ……」

梓ちゃんも、約束忘れちゃってごめんね……。

憂「なんだか……情けなくて泣きそう……」

……ダメダメ!
泣いちゃダメ!
我慢しないと……!

憂「よし、入ろう……」

意を決して私がドアノブに手をかけた時、後ろから声がしました。

律「おーい、憂ちゃーん」



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:39:40.59 ID:DXDMZQiz0

【PM9:58 平沢唯】

梓「い、一回だけですからね!」

唯「うんうん!」

梓「絶対に変な事しないでくださいよ!?」

唯「わかってるよ~」

よしっ!ついに念願のポッキーゲームができるよ!
それもあずにゃんと!
頑張ってギー太弾いてあげて良かった!

私は和ちゃんが置いていったイチゴのポッキーを開封し、
袋から一本だけ取り出すと、端っこを口にくわえた。

唯「準備おっけー!」

あずにゃんは顔を赤らめて

梓「うぅ……失礼します……」

と行って反対側の端っこをくわえた。
かわいいなぁあずにゃん!

ふっふっふ……一度始めちゃったらこっちのもんじゃーい!



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:47:05.98 ID:DXDMZQiz0

【PM9:59 平沢憂】

こんばんは!平沢憂です!

律さんに澪さん、紬さんに和ちゃ……和さんが、イチゴのポッキーを持ってきてくれました!
それも大量に!

私がいくら探しても見つけられなかったのに……どこでこんなに買ってきたんだろう?

憂「本当にありがとうございます!」

律「お礼なら澪に言いなよ。ぜーんぶ澪が買ってきたんだし」

澪「おい律!?」な、何言ってるんだ!違う!憂ちゃん、違うからね!」

なるほど、あの時澪さんが抱えてた買い物袋の中はこれだったのかな?

まぁいいや!
これだけあれば、何回でもお姉ちゃんとチュー……じゃなくてポッキーゲームが出来るし!

私はみなさんを家の中に招き入れました。
玄関には梓ちゃんの靴がありました。
やっぱりもう来てたんだ。謝らないと。

私は居間のドアを開けました。



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:57:48.26 ID:DXDMZQiz0

【PM10:00 秋山澪 田井中律 琴吹紬 真鍋和】

唯「あずにゃ~んムチュウウウウ~」

梓「んーッ!んーッ!」

唯「ぐえっ!ポッキーが喉に突っかかった!」

なんだろうこれは。
ぶかぶかの服を着てギターを抱えた少女が、
トイレの芳香剤の匂いのする少女を押し倒し、唇を奪い、
私達が渡すはずのイチゴのポッキーを喉に詰まらせている。

今日、私達は色んな苦難を乗り越えた末、この場にいる。

ポッキーを買いにあちこち走り回り、
友達を捜してほうぼう歩き、ケガの手当をして夕飯を作った。

その結果、私達はここにたどり着いた。
何も得るモノもないこの場所に。


私達は、家に帰った後の自分を想像して、絶望した。
私達には、ただ大量の宿題が残されただけだった。



209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:00:01.79 ID:DXDMZQiz0

【PM10:00 平沢憂】

こんばんは。平沢憂です。

唯「あずにゃ~んムチュウウウウ~」

梓「んーッ!んーッ!」








ごめんなさい。
やっぱり泣くのを我慢できそうにないです。



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:08:57.01 ID:DXDMZQiz0

【翌日 PM5:02】

「いやー、結局みんなで宿題分担してなんとかなったな」

「私宿題のことなんてすっかり忘れてたよ~」

「全く、和も呆れ果ててたぞ……」

「唯先輩、今日はとことん練習しますからね!」

「あう……まだ怒ってらっしゃる……」

「あ、そうだ澪。もうご飯あげたー?」

「だから今週は唯が当番だろ?」

「そうだったそうだった!でももうご飯なくなっちゃったよ」

「あら、じゃあ私持ってくるね」

「あ、大丈夫だよ~昨日もらったイチゴのポッキーがあるじゃん!」

「はーいトンちゃーん!ご飯だよ~」

おい、やめろ。






214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:10:16.99 ID:Be5444270





215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:11:20.13 ID:jGayCVWA0



面白かった!



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:14:20.02 ID:4WL7ssye0



憂がちょいとかわいそうだけど



218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:14:31.02 ID:ZuewGiqN0

>>1乙、面白かったwww



219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:14:54.22 ID:llVLnDYEO





220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:15:48.17 ID:/fUdGG0H0

面白かった



222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:23:41.55 ID:u8sJlUb/0

憂と唯がちゅっちゅするべきだった
でも乙



223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:24:25.10 ID:01OeXr1/0

おつ!!



224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:27:02.53 ID:ky9bLe7o0

乙です



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:28:39.11 ID:+lG4MJda0

けいおんらしい話




226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:31:57.52 ID:Ci+Dpksw0

乙、これは面白かった
憂が救われねぇ…



227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:32:43.61 ID:ZCKPlqgn0

最後はとんちゃん視点か乙



229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:55:11.84 ID:ggamps2X0

澪のiPodが魅力的すぎるwww



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:00:55.24 ID:kSfOK3mz0

おもしろかったぞ



233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:38:10.02 ID:tJEom2260

>>1乙乙



234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:51:52.36 ID:HitV3Gts0

乙ナリィ



235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:12:25.81 ID:7weWJtDLP





236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:28:50.44 ID:+A4NQED50

おつ。



238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:07:27.04 ID:DO2/QpoJ0

おつ






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タイトル:
NO:4472 [ 2011/11/23 17:48 ] [ 編集 ]

このスピード感がいい

堤幸彦の映画みたいだ

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