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澪「見えない聞こえない見えない聞こえない……」 【非日常系】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:30:30.97 ID:n68oE9CP0

澪「律……どこ?」

律「ここだよ、澪」ぎゅっ

澪「律ぅ」

澪は視力と聴力を失っていた。





5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:36:56.80 ID:n68oE9CP0

律は毎朝、澪の手を引いて学校へと向かう。
もう澪は白杖を使うことにも慣れていたが
律は「なんか危なっかしい」という理由でそうしている。

澪「最近、ようやく暖かくなってきたな」

律「……」

目も耳も不自由な澪のため、
律は澪の手のひらに指で文字を書くことで
意志疎通をおこなう。

『うん、そうだな』

澪「もう、春なんだな」

『ああ』



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:42:21.77 ID:n68oE9CP0

澪「今日の気温は昨日よりも2度くらい高くなるよ」

『分かるのか』

澪「なんとなく」

『なんとなく?』

澪「うん、目と耳は利かなくなっちゃったけど、
  最近まわりのことが敏感に感じられるようになったんだ。
  ある感覚器官が不自由になると
  その他の感覚が冴えるってのは本当みたいだな」

『澪のそれは感覚器官っていうより
 第六感って感じ』

澪「はは、そうかも……」

声と指との会話をしているうちに
二人は学校に到着した。



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:46:22.81 ID:n68oE9CP0

教室。

「わいわいがやがや」

ガラッ
律「……」

澪「……」

紬「あら、おはようりっちゃん」

律「ああムギ、おはよ」

澪「……」

紬「澪ちゃんと一緒にくるようになってから、
  遅刻しなくなったわねりっちゃん」

律「はは、そりゃまあな」



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:49:06.36 ID:n68oE9CP0

紬「……」チラッ

澪「……」

紬「はぁ……」ぷいっ

律「……」

律は澪の手をとり、指で字を書く。

『澪、ムギがおはようって言ってるぞ』

澪「えっ、ああごめん……
  おはよう、ムギ」

紬「……」

律「ムギ……」

ガラッ
唯「おはよー」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 14:54:33.71 ID:n68oE9CP0

紬「おはよう唯ちゃん」

唯「ムギちゃんおっはよー!」

律「あ、唯……おはよう」

唯「りっちゃんもおはよー!
  そして澪ちゃんにはおはようの代わりにローリングソバット!!」ドカッ

澪「ぐぇあ!!」

律「み、澪っ……!」

唯「あははははは、あはははは、澪ちゃん無様~」

紬「ぷっ、うふふふ」

同級生「くすくすくす」
同級生「あははは……」
同級生「今の見た~?」
同級生「ぐぇあ、だって~w」

澪「うう……痛い、痛いよう」

律「澪……」



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:01:19.89 ID:n68oE9CP0

唯はうずくまる澪のそばにしゃがみ、
澪の手をとった。

『澪ちゃん、毎朝蹴られて大変だね!
 目も耳も不自由な澪ちゃんを狙うなんて絶対許せないよ!
 犯人には私から注意しとくから!』

澪「……あ、ありがとう、唯」

『立てる?
 私に捕まって』

澪「あ、うん……」よろり

唯「あははは、生まれたての馬みたい。
  おーい、ムギちゃんも蹴ったり殴ったりしていいよ」

紬「遠慮しとくわ、そんなことしたら
  聾と盲がうつっちゃう」

唯「それもそうだね! あはははは」

澪「……」

律「……」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:06:13.94 ID:n68oE9CP0

キーンコーンカーンコーン

さわ子「はいみんな席について~」

唯「はーい」

さわ子「えーと、今日の連絡事項は特になし……
     あ、5時間目のLHRで修学旅行の班決めするから、
     スムーズに進めるために
     5時間目までにある程度は決めといてね」

律(修学旅行、か……)

さわ子「じゃあ今朝のHRはこれで終わり。
     今日も一日頑張ってね」

同級生「はーい」

澪「律、さわ子先生の話、なんだって?」

『5時間目に修学旅行の班決めするって』

澪「そっか、もうすぐ修学旅行なんだな」

『うん』



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:12:09.55 ID:n68oE9CP0

澪「行き先は京都だっけ。
  楽しんでこいよ」

『え? なんでそんな他人事みたいに』

澪「私は行かないからさ」

『何言ってんだよ、澪も一緒に行くんだよ』

澪「いいよ、私が行っても迷惑かけるだけだし……」

『そんなことない、私がちゃんとサポートするから!
 それに唯やムギもいるじゃないか、な』

澪「でも……
  目も見えない耳も聞こえないんじゃ
  京都観光なんて……」

『みんなで旅行にいくってことが大事なんだよ、
 な、一緒に行こうぜ』

澪「でも……」

『一生に一度の修学旅行なんからさ、な!』ぎゅっ

澪「わ……わかった」



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:16:10.28 ID:n68oE9CP0

紬「唯ちゃん唯ちゃん、
  修学旅行の班、一緒にしない?」

唯「うん、いいよ~。
  私もムギちゃんと組むつもりだったし」

紬「ありがとう、唯ちゃん。
  確か4人で1班だったわよね。あと2人、どうする?」

唯「どうするも何も……
  どーせ澪ちゃんとりっちゃんが入るでしょ」

紬「えっ、澪ちゃんも修学旅行に……?」

唯「うん、行くと思うよ。
  澪ちゃんは遠慮するかも知れないけど、
  りっちゃんが強引に説得して参加させるでしょ」

紬「あー、そっか」

唯「いい迷惑だよ」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:21:11.31 ID:n68oE9CP0

紬「あ、じゃあさ……
  りっちゃんと澪ちゃんが私たちと班を組もうって言い出す前に、
  私たちは他の人と班組んじゃおうよ」

唯「ダメだよ、そんなの。
  そんなことしたら、私たちがクラスの他の人たちから恨まれるよ。
  『よくもあんな障害者を押し付けたな!』ってね」

紬「それもそうね……」

唯「私とムギちゃん、りっちゃん、澪ちゃんが
  ひとまとまりになることで、
  澪ちゃんっていう障害者を抱えながらも
  このクラスは上手く回ってるんだから。
  もうそれは仕方ないことだよ、残念だけど」

紬「……どうしてこんなことになっちゃったのかしらね」

唯「りっちゃんのせいでしょ……
  あ、授業始まっちゃう」

キーンコーンカーンコーン



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:26:47.53 ID:n68oE9CP0

授業中。

先生「んーそうここはーそのーあー
    そういうことでーあるからしてぇー
    なにがこうでーというのはーそのー」

律は澪の隣の席だ。
授業中には机をくっつけて、
教師の話をかいつまんで
澪の手にそれを指で書いてやる。

もともと澪は物覚えがいいので
こんな方法でも授業の内容を理解することができた。
また律も、以前よりも注意深く真剣に
授業を聴くようになったので、
すこしばかり成績が上がっていた。

『~だって、分かった?』

澪「うん、ありがとう……」

唯「ぐーぐー」

紬「……」



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:34:10.02 ID:n68oE9CP0

昼休み。

澪「……」

律「唯、ムギ、お昼食べようぜ」

紬「はあ……」

唯「……良いよ」

律「お、おう、ありがとう……
  ほら澪」

澪「あ、うん」

澪の昼食はもっぱら菓子パンだった。
最初はお弁当を持ってきていたのだが、
ある日そのお弁当に砂が入れられていたのをきっかけに
お弁当を持ってこなくなった。
ちなみにその犯人は唯である。

唯「もぐもぐ」

紬「ぱくぱく」

律「な、なんだー二人とも、暗いな~。
  もっと楽しく食べようぜ、あはは……」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:39:46.13 ID:n68oE9CP0

唯「障害者がいるのに楽しくなんてできないよ。
  ねームギちゃん」

紬「そうね~、障害者がいちゃあね」

唯「あーあ、なんで障害者が普通の学校にいるのかな~。
  なんで障害者用の学校に行かないのかな~」

紬「そうね~、障害者用の学校に行くべきよね」

唯「なんでかな~、何でだと思う? りっちゃん」

律「っ……おいおい、澪は友達だろ……
  そんなこと言うもんじゃないぜ、まったく……
  昔はみんな仲良くしてたじゃないか、はは」

唯「……」

紬「……」

律「ど、どうしたんだよ」

唯「はあ、もういいよ……」

澪「……」



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:44:22.09 ID:n68oE9CP0

紬「そういえば、澪ちゃんも修学旅行に行くの?」

律「ああ、そうだよ。なあ、澪」ぽん

澪「ん? 何?」

律「……」かきかき

『澪も修学旅行に行くんだよな』

澪「え、ああー……
  うん、最初はやめようかと思ったけど……
  行くことにしたんだ」

紬「そのままやめれば良かったのに」

唯「それは無理だよムギちゃん、だって……」

紬「ああ。そうね……」

律「……」

澪「あの……迷惑かけるかも知れないけど、
  よろしく……な」

唯「はあ……」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:51:28.08 ID:n68oE9CP0

5時間目、LHR。

さわ子「はーいじゃあ4人組つくってー」

わいわいがやがや

同級生「一緒に組も~」
同級生「あ、私も入れて~」
同級生「風子ちゃん、組もうよ」
同級生「あーこっちの班もういっぱいだ」

唯「はあ……」

紬「みんな楽しそうね」

唯「そりゃそうだよ」

律「おいおい、こっちも盛り上がろうぜー、はは」

澪「……」

同級生「よーしこれで4人だねー」
同級生「先生ー班できましたー」
同級生「修学旅行楽しみだね~」
同級生「この班だったら絶対楽しいよ~」
和「あれっ、どこかの班、一人足りないとこない?
  あの、私どこの班にも入ってないんだけど……あの……」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 15:55:50.96 ID:n68oE9CP0

さわ子「これで班は作れたわね~。
     友達いなくてハブられちゃった可哀想な子はいない?
     いるわけないか~」

和「あの……私、余ったんですが……」

さわ子「えっ? 真鍋さん、ハブられちゃったの?
     友達いなくて? 可哀想な子なの?」

和「そ、そこまで言わなくても……」ぐすっ

さわ子「ああ、泣かないで泣かないで……
     おかしいわね、4人組でぴったりになるはずなんだけど」

和「いや、うちのクラス33人ですから」

さわ子「うん、そこから秋山さんを抜けば32人で
     ぴったり4で割れるじゃない」

和「……澪も修学旅行に行くらしいんですが」

さわ子「えっ?」



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:02:16.58 ID:n68oE9CP0

同級生「ざわざわ」

さわ子「ど、どういうことなの? 田井中さん」

律「えっ、どういうことって言われても……
  澪もこのクラスの一員なんだから、
  修学旅行に行くのは当然だと思います!」

さわ子「はあ……あのねえ田井中さん、
     秋山さんは目も耳も不自由なのよ?
     そんな人を連れていってどうなるの」

律「先生、それは障害者に対する差別ですよ」

さわ子「差別なんかじゃないわ。
     秋山さんを連れて行って、
     もしトラブルや事故が起こったらどうなるの?
     それを防ぐには四六時中秋山さんを見ていなきゃならないのよ。
     私たち教員にはそんな余裕はないわ」

律「私がちゃんと澪に付きっきりになるんで大丈夫です!
  先生、澪を修学旅行に行かせてください!」

さわ子「でもねえ」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:07:01.75 ID:n68oE9CP0

律「お願いします!」

さわ子「……秋山さんは行きたがってるの?」

律「はい、私が聞いたら行きたいって言ってました!」

澪「?」

唯「……」

さわ子「そう……じゃあ、分かったわ。
     田井中さんがちゃんと面倒をみるのね?」

律「はいっ」

さわ子「それなら仕方ないわね……
     秋山さんも連れて行って構わないわ。
     ただし、なにか起こっても私たち教員じゃ責任を負い切れないわよ」

律「はい! ありがとーさわちゃん!」

唯「はあ……」

紬「……」

和「で、私はどの班に入れば……」



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:14:26.12 ID:n68oE9CP0

放課後、音楽室。

唯「はーあ、結局修学旅行まで澪ちゃんと一緒かー。
  まったく勘弁して欲しいよもう」

紬「ほんとよね」

梓「大変ですね、先輩」

澪「……」

律「あ、はは、そんな邪険にするなよ。
  友達同士なんだからさ、な?」

唯「もういいよ、聞き飽きたよそれ。
  ムギちゃん、お茶~」

紬「ええ、今淹れるわね」

唯「あーあ、やだなー修学旅行。
  障害者のおもりなんてやだなー」

律「やめろ、唯」

唯「いいじゃん、どうせ聞こえてないんだし」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:22:19.40 ID:n68oE9CP0

律「そういう問題じゃない。
  なんでそんなに澪が嫌いになったんだ、友達だろ」

唯「うん、そりゃ澪ちゃんは友達だよ。
  ずーっと軽音部で一緒にやってきた仲間だもん、
  ねー、ムギちゃん」

紬「ええ、そうね」

律「でも、目と耳が不自由になったくらいで」

唯「はー、そういうことじゃないんだよ、りっちゃん。
  りっちゃんは何も分かってないよ」

律「どういうことだよ」

唯「べっつにー。
  今まで分からなかったんなら一生分からないかもね。
  ムギちゃんお茶まだ~?」

紬「はーい、今入ったわよ~」

唯「わーい」

梓「いただきます」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:26:31.13 ID:n68oE9CP0

紬「はい、澪ちゃんも」

澪「……」

澪、お茶だぞ……と澪の手のひらに書いてやる律。

澪「あ、ありがとう、ムギ……」

紬「いえいえ」

唯「ごくごく、うまい!」

梓「今日の紅茶は美味しいですね」

紬「あら、分かる? 葉を変えてみたの」

澪「ごくごく……ぶはぁっ!」

唯「あはははは、澪ちゃん、なに吹き出してんの?」

紬「あらあらあら、もう~」

梓「ぷっ……」

澪「げほげほ、がはっ……」



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:29:40.82 ID:n68oE9CP0

律「ちょっ、み、澪……」

唯「あははは、きったな~い、あははは」

梓「澪先輩、吐き出すなんて下品ですよ~」

紬「もう、澪ちゃんったら耳と目だけじゃなくて
  口まで不自由になっちゃったのかしら?」

唯「あははは」

律「お、おいムギ……
  澪の紅茶に何したんだ!」

紬「あら、私は何もしてないわ」

唯「りっちゃん酷いな~、ムギちゃんを疑うの?
  と・も・だ・ち・なのに?」

律「っ……」

澪「げほ、げほ……」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:35:22.28 ID:n68oE9CP0

紬は澪の手のひらに、指を走らせる。

『澪ちゃん、大丈夫?
 ごめんね、隠し味をちょっと入れすぎちゃって……
 本当にごめんなさい』

澪「あ、うん……大丈夫だよ、気にしないで……
  げほ、げほ」

唯「あはは、隠し味って」

梓「そんな激烈な隠し味なんてないですよ」

唯「あははははは」

律「……」

唯と紬が澪をいじめている、ということを
律は澪に教えていなかった。
澪が障害者になったことで減ってしまった澪の友達を
これ以上減らすのは可哀想だったし、
なにより親友にそんなことをされていると知ったら
澪は計り知れないほどのショックを受けると思ったからだ。



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:41:24.18 ID:n68oE9CP0

唯「ははは、はは……はーあ、飽きたな」

梓「久しぶりに演奏しましょうよ」

唯「えー、でもなー……ベースがなー」ちらっ

紬「ベースの新しい人、入ってくれないかしらねー」

梓「入って欲しいですねー」

律「……」

唯「あーあ……
  ベースがいないんじゃバンドになんないなー」

紬「そうよねー」

梓「ベースがいなくなったせいで、
  もう何ヶ月もまともに演奏してません」

唯「去年の学園祭にも出られなかったしね~」

紬「あー、その時にはもう澪ちゃんは障害者だったんだっけ」

唯「そうだよー」

律「……」



77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:49:50.59 ID:n68oE9CP0

唯「その時からずーっと障害者のお守りさせられて」

紬「3年に上がってみんな同じクラスになったのは参ったわね」

唯「りっちゃんが先生に頼み込んだんだよね」

律「ああ……
  みんな一緒がいいと思って」

紬「いいわけないじゃない」

唯「先生も先生だよ、
  りっちゃんのワガママを聞きすぎだよ」

梓「律先輩、先生に対して何か変な手でも使ってるんじゃ?」

律「そ、そんなわけない。ただ誠実に頼んだだけだ」

唯「ふーん……」

梓「どうだか」

澪「……?」

その日の部活は早々に解散となった。
唯は帰り際に澪にかかと落としをぶちかました。



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 16:57:09.05 ID:n68oE9CP0

修学旅行当日。

唯「あー、もう修学旅行か」

紬「展開が早いわね」

律「ようみんな、おはよう」

澪「……」

唯「ミドルキック!」

律「させるか!」ガッ

唯「くっ……」

紬「けっきょく澪ちゃんも修学旅行に来ちゃうのね」

律「ああ」

唯「はーあ、障害者と一緒なんてやだなー、やだやだ」

さわ子「はーい、みんな集まってるわねー。
     じゃあ班ごとに集まってくださーい。
     真鍋さんは先生と一緒の班ね」

和「はい……」



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:02:54.22 ID:n68oE9CP0

さわ子「じゃあこれから新幹線に乗って京都に行きまーす。
     途中で富士山が見えるらしいわよ~」

紬「見えないひともいまーす」

唯「あははははは、あははははは!」

律「おい……」

さわ子「新幹線の中では他の乗客の迷惑にならないように。
     ちゃんと先生方の注意をよく聞いてね」

紬「聞こえない人もいまーす」

唯「あははははは、あははははは!」

律「おい!」

唯「なに? うるっさいな。
  ほっといてよ」

さわ子「そこ、静かにしなさーい」

澪「……」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:09:10.76 ID:n68oE9CP0

新幹線内。

紬「私、新幹線に乗るの初めてなの」

唯「へー、そうなんだ。
  金持ちなんだからガンガン乗り回してるもんだと思ってた」

紬「長距離の移動にはいつも自家用ジェットを使ってるの」

唯「豪勢だね」

紬「だから今日新幹線に乗るの楽しみにしてたのよ」

唯「そっかー、夢が叶ってよかったね。
  でも障害者がいるせいで台無しだね」

紬「ええ、ホントに」

律「……」

唯「もー、ほんっと迷惑だよね。
  邪魔以外の何者でもないよね……
  あ、そうだ」

紬「何?」



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:15:57.98 ID:n68oE9CP0

唯はカバンからノートを取り出し、
白紙のページを開いてそこにペンを走らせた。

紬「何書いてるの?」

唯「誓約書」

紬「誓約書?」

唯「そう!
  りっちゃんと澪ちゃんが、
  修学旅行中に私たちに迷惑をかけないように誓います、
  っていう誓約書!」

紬「まあ、いいアイデアね」

唯「……っと、書けた書けた。
  じゃありっちゃん、これ読んで、
  ここにサインして!」

律「えー……
  修学旅行中、私は唯とムギちゃんに障害者のおもりをさせないことを誓います……
  修学旅行中、私は障害者のせいで唯とムギちゃんの行動を制限させないことを誓います……
  なんだこれ」

唯「だから誓約書だよ」



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:24:02.47 ID:n68oE9CP0

律「ふ、ふざけるなよ!
  友達同士でこんなこと……いい加減にしろ!」

唯「まあまあ、最期まで読んでよ」

律「ん……?
  田井中律がこの誓約書に同意した場合、
  唯とムギちゃんは修学旅行中に澪ちゃんをいじめない、……」

唯「どうかな?
  りっちゃんにとってもお得な取引だよ」

律「ほ、ほんとに澪をいじめないんだな……?」

唯「うん、もちろん」

紬「まーもともと澪ちゃんには何の恨みもないしね」

律「ん? 何?」

紬「なんでもないわ」

澪「……」

律は誓約書にサインした。
それから唯と紬は、
澪を殴ることも障害者ネタでからかうこともしなくなった。



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:36:00.96 ID:n68oE9CP0

京都。

さわ子「はーい、みんな揃ってるわね。
     じゃあまず金閣寺に行きますよー」

「はーい」

唯「金閣寺って金ぴかなんだよね」

紬「そうやで~、外側に金箔が貼ってあるんやって~」

唯「へー」

さわ子「京都の歴史的建築物をしっかり目に焼き付けて
     我が国の文化への理解を深め人生の糧とするように、いいわね」

唯「はーい」

紬「はーい」

律(目に焼き付けられない人もいまーす、
  とか言うかと思ったけど……
  誓約書の効果はずっと続くんだな、よかった)

澪「……」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:44:04.24 ID:n68oE9CP0

金閣寺。

唯「わっ、ほんとに金ぴかなんだね、あははは」

紬「ええ、そうね」

律「……」

『澪、金閣寺だぞ。金ピカで綺麗だぞー』

澪「そうか、すごいな」

『唯なんて子供みたいにはしゃいでるよ』

澪「はは、容易に想像できるな」

唯「あはははは、金ぴかだ、あははははは」

紬「そうね」

唯「あははははは、あははは……飽きた。
  次はどこ行くんだっけ」

紬「北野天満宮よ」



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:49:30.56 ID:n68oE9CP0

北野天満宮。

唯「あははは、北野天満宮だ、あはははははは」

紬「北野天満宮は勉学の神様を祀っているのよ。
  そこらへんにある牛の像を触るとご利益があるって」

唯「ふーん、そうなんだ」ぺたぺた

律「……」

『澪、牛の像に触るとご利益があるって』

澪「ご利益……?」

『ほら、これが牛の像だよ』

澪「へえ……」ぺたぺた


さわ子「ほら、早く来なさい真鍋さん」

先生「いやあ、友達と組まずに我々と一緒に班を作るとは」

先生「さすが生徒会長ですね」

和「……」



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:55:21.80 ID:n68oE9CP0

唯「おみくじやろ、おみくじ」

紬「いいわね」

律「……」

『澪、おみくじだってさ』

澪「おみくじか、いいね」

唯「おみくじくださーい!」

巫女さん「はい、どうぞー」

唯「よし、大吉出すよ大吉」

紬「私だって」

律「よーし、大吉出した奴が一番偉いのな!」

澪「……」



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 17:58:44.93 ID:n68oE9CP0

………

巫女さん「はい、どうぞ」

唯「おお、末吉だったよ」

紬「私は小吉だったわ。
  小吉と末吉ってどっちがいいのかしら」

唯「大中小末の順番じゃないの」

律「私は中吉か~。
  澪は……って読めないか」

澪「律、なんて書いてあるか教えて」

律「うん、えーっとどれどれ……
  だ、大凶……?」

唯「えっ、大凶って」

紬「初めて見たわ……」

澪「律、早く教えてよ」

律「……」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:01:58.90 ID:n68oE9CP0

唯「♪~」

律「あっ」

唯は律よりも先に澪の手をとった。

『澪ちゃんは大凶だって!』

澪「だ、大凶?」

『でも大丈夫だよ、
 これ以上は悪くならないってことだから』

澪「そ、そうだよな、あはは……」

紬「これからのことを占ってるのに
  現時点だけがそうだって決めつけるのはおかしいわよね」

律「……」

『澪、あっちにおみくじくくりにいこうぜ』

澪「そ、そうだな」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:04:38.69 ID:n68oE9CP0

きゅっ

律「これでよし、と」

澪「ありがとう律」

律「気にすんなよ」

唯「あれ? 悪い結果の時にくくるんだっけ?」

紬「さあ……どっちだったかしら」

律「あ、ごめん私ちょっとトイレ行ってくるわ。
  澪のこと頼むな」たたっ

唯「えっ? ちょっと……」

澪「……」

紬「……」

唯「はあ……
  『障害者のおもりをさせないことを誓います』
  って誓約書に書いてたの、忘れたのかな」

紬「私たちがちょっと澪ちゃんをいじめなかったくらいで
  勘違いしちゃったのよ」



109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 18:07:04.75 ID:n68oE9CP0

唯「はー、まったく……
  ねえムギちゃん、りっちゃんが帰ってこないうちに
  2人でどっかいこうよ」

紬「え、でも」

唯「いいじゃん、このままじゃまた
  障害者のおもりさせられちゃうよ?
  修学旅行にきてまでそんなことしたくないよ」

紬「それもそうだけど……
  でもここで澪ちゃんを放ったらかしにしたら、
  私たちまで先生に怒られるんじゃ」

唯「そんなの説明次第でどうにもできるよ。
  ほら、行こ」

紬「うーん……そうね。
  せっかくの修学旅行だし、
  障害者から開放されて楽しまなきゃ損よね」

唯「そうだよ~、じゃあ行こ!」

澪「……」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:12:47.90 ID:n68oE9CP0

唯「あっ、豊崎さーん」

豊崎「あら、平沢さんに琴吹さん……
    どうしたの? 秋山さんは?」

紬「澪ちゃんはりっちゃんに任せたの」

唯「うん、いつまでも障害者の面倒なんて見てらんないしね!」

日笠「それもそうよね~」

佐藤「平沢さん達も大変だよね、
    秋山さんと仲良かったってだけで、
    修学旅行まで障害者と一緒なんてさ」

唯「まー全部りっちゃんのせいなんだけどねー」

紬「そうそう」

寿「じゃあ今日だけでも障害者のことは忘れて、
  パーっと行きますか」

唯「おー、いいねいいねー」

紬「私、パーッと行くの夢だったの~」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:18:12.38 ID:n68oE9CP0

………

豊崎「でさーこいつがさー」

唯「あははは」

日笠「もーやめてよー」

ヴーッヴーッ

唯「ん、メール……りっちゃんからだ」

佐藤「無視しときなよ」

唯「そうだね~」

紬「澪ちゃんを放置して、りっちゃん怒ってるかな?」

唯「そりゃー怒ってるんじゃない?
  でもりっちゃんが誓約を破ったのが悪いんだし、
  私たちに非はないよ」

紬「それもそうね~」



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:26:05.29 ID:n68oE9CP0

唯「それに、りっちゃんだって
  澪ちゃんと2人で観光できたほうが楽しいんじゃない?」

豊崎「あの二人ラブラブだもんね~」

日笠「ほんとほんと。
    障害者学校に秋山さんを転校させるべきだ、って言った先生を
    『澪と離れたくない!』って言って説き伏せたんだよね」

唯「そう。そしてそこから私たちの受難の日々が……」

紬「思い出すだけで胸糞悪いわ」

佐藤「まあまあ、ここにはもう障害者いないんだから。
    障害者のことなんて話題にするのよそう」

日笠「そうだな」

唯「いやー障害者がいないと気楽でいいわ~」

紬「うふふ、そうね」

唯たちはそのまま豊崎の班に加わって
初日の観光を終え、旅館に向かった。



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:31:23.56 ID:n68oE9CP0

旅館。

さわ子「はーいみんな揃ってますねー」

先生「はいそこ、おしゃべりしない!」

先生「えーじゃあ旅館での諸注意と今後のスケジュールを」

和「私から説明させていただきます」

唯「和ちゃん、すっかり先生の班に溶け込んでる」

紬「適応力高いわね」

唯「そういえばりっちゃんと澪ちゃんは?」

紬「知らない」

唯「まあいいか、ほっとけば」

和「……で、以上が今後のスケジュールです。
  旅行のしおりにも書いてあるんでちゃんと見とくように。
  じゃあそれぞれ自分の班の部屋に行ってください」

唯「はーい」



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:37:00.89 ID:n68oE9CP0

部屋。

唯「へー、けっこういい部屋だねー」

紬「私こんなとこに泊まるの初めてよ」

唯「初めてづくしだねムギちゃん」

紬「それにしても疲れたわねー」

唯「夕飯まではまだ時間あるし、
  ゆっくりしてようよ」

紬「そうね」

唯「はー……どっこいせ」

紬「ふふ、おっさんみたい」

唯「……」

紬「どしたの?」

唯「うーん、なんか忘れてるような」

がちゃ
律「うぃっす」

唯「あ、これか」



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:47:44.92 ID:n68oE9CP0

律「ははっ、旅館の中で一人で迷っちゃってたよ」

唯「一人? 澪ちゃんと一緒だったんじゃないの?」

律「え? 澪はお前らと一緒にいたんじゃないのか?」

唯「私は知らないよ」

紬「私も……」

律「えっ、でも北野天満宮で私が小便して帰ってきたら
  お前らみんないなかったし……
  てっきり3人でどっか行ったんだと……思ったんだけど」

唯「そんなわけないじゃん、
  私たちが障害者を連れて行くわけないでしょ」

紬「そうよ」

律「……じゃあ、澪はどこ行ったんだ?
  ていうか……お前らは私がトイレ言ってる間に
  どこへ行ってたんだ?」

唯「……」

律「なあ、おい、唯、ムギ!
  澪はどこに行ったんだ、おい! 言えよ!」

紬「しらないわよ」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 19:52:45.02 ID:n68oE9CP0

さわ子「ちょっと、うるさいわよ。
     何を騒いでるの?」

律「あ、さわちゃん!
  澪が、澪がいなくなっちゃったんだよ!」

さわ子「はあ!? どういうことよ」

律「どういうことも何も、
  とにかく澪が行方不明になっちゃったんだよ!
  どうやら北野天満宮の時からいなくなったみたいで」

さわ子「はあ……あのねえ、
     田井中さんがちゃんと面倒をみる、そういう約束で
     秋山さんを修学旅行に連れてきていいっていうことになったんでしょ?
     そのこと覚えてる?」

律「は、はい……」

さわ子「それなのに行方不明ってどういうことよ!」

律「すっ、すみません……!」

さわ子「あなたたちも!」

唯「えっ、私たちも悪いんですか」

紬「澪ちゃんのお世話係はりっちゃんだけのはずです!」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:00:21.21 ID:n68oE9CP0

さわ子「同じ班なんだから同罪よ」

唯「そんな~」

さわ子「で? 秋山さんはなんで行方不明に?」

紬「そ、それは……えーっと」

律「私がちょっとトイレに行って、
  その間、唯とムギに澪を見てくれるよう頼んだんです」

唯「うん、それで澪ちゃんがもう一回おみくじ引きたいって言い出したの、
  さっき大凶だったからリベンジしたいって言い出して。
  ね、ムギちゃん」

紬「え、あ、うん、そうなんです」

さわ子「ふうん、それで?」

唯「澪ちゃんは、早く行こう早く行こうって私たちを急かすんです。
  でもその時、知らない人に話しかけられて」

さわ子「知らない人?」

唯「はい、なんか地図見せられて、
  場所がわかんないから教えてくれって言われて。
  ムギちゃんと二人であれこれ説明してて」

さわ子「で、気づいたら秋山さんがいなくなってたと」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:05:44.35 ID:n68oE9CP0

唯「そうなんです」

さわ子「なるほどねー」

紬(唯ちゃんすごい……)

さわ子「はあ、じゃあ他の先生にも相談してみるわ。
     まったくもう、面倒ごと起こさないでよね……ったく」

唯「はーい、反省してまーす」

紬「まーす」

律「……」

さわ子「はーもう、これだから障害者は……」
ガチャバタン

唯「……」

紬「……」

律「おい、さっきの嘘だろ」



135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:15:09.18 ID:n68oE9CP0

唯「なんでそんなこと言うの?
  証拠はある?」

律「んなもんねえよ……
  でもな、澪がいなくなったんなら
  その場で先生や私に報告するはずだろ!
  それに、私が『どこにいるの』っていうメールをなんども送ったのに、
  全部無視してたのもすげー怪しいよ!」

紬「……」

律「そうだ、お前らはわざと澪を置いてどっか行ったんだ!
  澪が行方不明になった原因はお前らだ!」

唯「ああ、じゃあもうそういうことでいいよ、まったく」

紬「唯ちゃん……」

唯「はーあ、りっちゃんは本当に鬱陶しいね、
  たかが障害者のためにそんな熱くなんないでよ」

律「たかが障害者だと?
  澪は私たちの大事な友達だろ!」



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:21:35.30 ID:n68oE9CP0

唯「そいうのが鬱陶しいって言ってんの。
  『友達』を押し付けないでよ」

律「押し付けてなんかねえよ!
  澪はずっと友達だったろ!?
  目と耳が聞こえなくなったくらいで絶交すんのかよ!
  いくら体に障害を負ったって、澪は澪だろう!?」

唯「まあ言いたいことは分かるよ。
  確かに私たちも澪ちゃんとは友達でいたかった。
  澪ちゃんが障害者になったとき、
  私に出来る範囲で支えてあげようとも思った」

律「じゃあなんで……」

唯「りっちゃんのせいだよ」

律「なっ……なんで私のせいなんだ」

唯「私はてっきり、澪ちゃんは障害者学校に行くもんだと思ってた。
  それが澪ちゃんのためだって思ってた。
  で、休日なんかには澪ちゃんのおうちに遊びに行こう、って
  ムギちゃんやあずにゃんと話してた」

紬「そんなこともあったわね」



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:30:46.76 ID:n68oE9CP0

律「でもりっちゃんは澪ちゃんを桜高に留めようとしたんだ。
  障害者学校に行こうとする澪ちゃんを説得し、
  教師たちに働きかけ、
  『自分がしっかりと澪ちゃんの面倒を見る』……という
  条件を出して、澪ちゃんを桜高に残した」

律「……」

紬「そうね」

唯「それから私とムギちゃんは、
  りっちゃんとともに澪ちゃんのお世話係になった。
  澪ちゃんの面倒をみるのはりっちゃんだけだったはずなのに、
  周りの人はごく自然に私たちにまでその役目を押し付けたんだ。
  澪ちゃんと友達であるという、そんな理由だけで」

律「……」

紬「そうね」

唯「私たちはすぐに限界が来たよ。
  メクラでツンボの澪ちゃんのために、
  私たちが目と耳の代わりにならなきゃいけない。
  澪ちゃん自身が自分のメクラとツンボに慣れるまで、
  私たちがどんなに大変だったか」

律「……」

紬「そうね」



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:38:05.25 ID:n68oE9CP0

唯「澪ちゃんが白杖にも慣れて
  一人で出歩けるようになった頃、
  私はやっと開放されるんだって思ったよ。
  でもそれは叶わなかった。
  『友達なんだから、私たちがいつまでも支え続けるべきだ』
  って言ったのは誰だったか覚えてる?」

律「……私だ」

紬「そうね」

唯「ムギちゃん黙ってて」

紬「はい」

唯「りっちゃんは私たちを友達っていう肩書きで縛り続けてきたんだよ。
  それが澪ちゃんのためになるって思ってたんだろうけど、
  どうして私たちが澪ちゃんのためにそこまで苦労しなきゃいけないの?」

律「……」

唯「りっちゃんがやってるのはただの善意の押し付けだよ。
  澪ちゃんは私の『友達』だけど、
  限度があるんだよ限度が」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:43:53.17 ID:n68oE9CP0

律「……それで、澪のことを嫌いになったのか」

唯「澪ちゃんのことは嫌いじゃない。
  私が嫌いなのはりっちゃんだよ」

律「……!」

唯「澪ちゃんを無理やり桜高に留めたりっちゃんが、
  私たちに澪ちゃんの世話を強要したりっちゃんが、
  そんな自分自身の行いを澪ちゃんのための善行だと信じきって
  その実がただのエゴだということに気付いていないりっちゃんが、
  私は大嫌い!」

律「……」

唯「澪ちゃんをいじめてたのはストレス解消と
  りっちゃんのやってることが偽善だって気づかせるためだよ。
  まあ無駄だったみたいだけど」

律「……」

唯「ねえ、りっちゃん。
  なんで澪ちゃんを障害者学校に行かせなかったの?
  それだけで全部丸く収まったんじゃないの? ねえ」



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:50:35.03 ID:n68oE9CP0

律「それは……
  澪は友達で……一緒に居たかった……」

唯「りっちゃんのいう友情ってそんなことなの?
  一緒に居たいっていう理由だけで
  障害者を健常者のためだけに作られた学校に通わせるの?
  常人の何倍も苦労して、授業も聞けないのが分かってるのに?」

律「だからっ……
  それを私たちでサポートして……!」

唯「それがエゴだって言ってるの!!」

律「ビクッ」

唯「そんなに澪ちゃんに尽くしたいんなら
  自分ひとりでやりなよ!
  無関係な私たちまで巻き込まないで!」

律「む、無関係って……
  澪もお前らと一緒に居られて喜んでるのに……」

唯「それはどうかな。
  澪ちゃん優しいし気が弱いし、
  ただりっちゃんが喜ぶこと言ってるだけなんじゃない?」

律「……」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 20:57:38.06 ID:n68oE9CP0

唯「あっ、もう夕飯の時間だ。
  ムギちゃん、食堂行こ~」

紬「え、ええ」

唯「メニューは何かな、楽しみだな~♪」

紬「ふふ」
ガチャバタン


律「……」

律「……」

律「エゴ? 偽善だって?
  私のやってたことが……?」

律「そんなことない、私はずっと澪のために……」

律「みんなのために……」

律「でももう唯とムギはダメだ……
  先生に頼んで澪を探してもらおう」



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:06:19.04 ID:n68oE9CP0

食堂。

「わいわいがやがや」

律「先生、先生……あ、いた!
  せんせー、い……」



先生「ハァ……
    秋山さんが行方不明ですって?」

さわ子「そうなんですよ……」

先生「ったく、障害者なんか連れてくるから
    こんな面倒が起こってしまうんですよ」

先生「そうですよ、まったくもう」

さわ子「申し訳ございません……」

先生「で、どうするんです? 探しに行くんですか?」

先生「私は行きませんよ、修学旅行に来て障害者探しなんて」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:14:49.77 ID:n68oE9CP0

先生「そうです、行くなら山中先生だけでお願いしますよ。
    山中先生の生徒なんですからね」

和「警察に探してもらうっていうのはどうです?」

先生「警察ねえ……
    あまり大事にしたくはないんだけど」

先生「このさい仕方ないんじゃ?
    秋山さんが事故にでもあってたら、
    マスコミからフルボッコですよ」

和「障害者の生徒を放置して事故死、問われる教師の監督責任……」

先生「ひいいいいいい」

さわ子「とりあえず警察に……」

律「先生!」

さわ子「た、田井中さん」

先生「なんです、この子は」

和「秋山さんのお世話係です」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:20:27.65 ID:n68oE9CP0

先生「まあ、あなたが?
    まったく、あなたがしっかりしてないから
    こんなことになってしまったんですよ!?」

律「そ、そんなことより、
  私が澪を探しに行きます!」

先生「はあ? 何をいきなり」

先生「自分の過ちは自分で尻拭いしようということですか」

律「そうじゃありませんっ……
  とにかく、私が探しに行きますから!!」だだっ

さわ子「あ、ちょっと田井中さん!?」

和「はあ、律ったら……」

先生「まあいいじゃないですか、
    あとはあの子と警察に任せて、
    我々はゆっくりと食事をしましょう」

先生「そうですね」

和「あ、お酌しますよ」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:31:57.79 ID:n68oE9CP0

外。
夜の京都を駆けまわる律。

律(はあはあ、あの教師たちは信用できない……
  なにが警察だ……ふざけるな)

律(警察なんかに澪を任せられるか……
  澪には私がついてないとだめなんだ……)

律(澪、澪、澪……
  今すぐに迎えに行ってやるからな……!)

律は京都中を走りまわった。
鴨川を越え、知恩院に飛び込み、
蹴上発電所に侵入し、京都市動物園を通りぬけ、
平安神宮に突っ込み、東大路通を爆進し、
京都大学の塀を駆け抜け、白川疏水沿いに北上し、
高野川を泳ぎ、洛北高校に入り、
下鴨本通~河原町通を南下して
旅館の前まで戻ってきたところで
澪を発見した。

律「あ、澪……!!」

澪「……」



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:37:05.18 ID:n68oE9CP0

律「澪っ!」

律は澪の肩をつかんだ。

澪「ひっ……な、なんですか、だ、誰ですか」

『私だよ、澪。律だよ』
律は澪の手のひらに指でそう書いた。

澪「な、なんだ、律か……
  どこ行ってたんだよ」

『それはこっちのセリフだ!
 なんで私たちとはぐれちゃったんだよ!?』

澪「え、分かんないよ……
  なんか人ごみに流されちゃって、気づいたら……」

『まったくもう……
 でも見つかったんなら良かったよ』

澪「そういえば、ここどこなんだ?」

『旅館の近くだよ』

澪「あーそうなんだ、私、自力で旅館まで来られたんだな~」



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:42:10.28 ID:n68oE9CP0

『自力で来る気だったのか?』

澪「うん、点字の案内板を読んで……
  それを頼りに」

『馬鹿、そんなことしたら危ないだろ……
 車に轢かれでもしたら』

澪「大丈夫だよ。前に言っただろ、
  『まわりのことが敏感に感じられるようになった』って。
  車が来てるとか人がいるとか、
  なんとなく気配で分かるんだ」

『気配って……そんな不確かなものに頼るなよ』

澪「不確かじゃないよ。
  現に、こうやって無事に旅館の前まで来られたんだ。
  誰にも頼らずにな」

『でも』

澪「だから……
  もう律は私に付いててくれなくてもいい」

『えっ』



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:50:21.28 ID:n68oE9CP0

澪「……」

『どういう意味だよ……』

澪「私、修学旅行終わったら桜高辞めるよ……
  それで、障害者学校に行く」

『何を言ってるんだよ!』

澪「これ以上いても、みんなに迷惑がかかるだけだ。
  今日だって行方不明になって、
  先生たちに迷惑かけちゃったし……
  今までだって、私がクラスにいるだけでみんなが嫌な気分になる。
  それで唯も毎朝、私のこと蹴ってくるしな」

『気づいてたのか!?』

澪「言っただろ、周りの気配で分かるんだよ。
  律はいっつも『タライが落ちてきた』とか
  『ボールが飛んできた』とか言ってごまかしてたけど、
  あれはまぎれもなく唯のキックだよ。
  そしてその唯のキックを見てみんな笑ってるんだ」

『澪、それは違うんだ。
 唯だって悪気があってやったわけじゃないんだ』

澪「もういいんだよ」

『澪……』



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 21:59:40.24 ID:n68oE9CP0

澪「……こんなこと言うと、
  律は気を悪くするかも知れないけど……
  私、障害者学校に行きたいと思ってた。
  でも律はそんな私を引き止めた……
  『障害があっても関係ない、このまま桜高に残ろう』って」

律「……」

澪「私はそれをきっぱりと断るべきだったんだ。
  でも私は結局律の熱意に負けて、
  桜高にとどまることにした」

律「……」

澪「律は献身的に私の世話をしてくれたよな。
  『友達だから、友達だから』って言ってさ。
  そして、私もそれを、受け入れた。
  友達だから」

律「……」

澪「友達だから……魔法みたいな言葉だな。
  自分のやってることを相手に否定させない。
  否定したら友達ってことまで否定しちゃうことになるもんな」

律「やめろ……」




190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:04:19.75 ID:9g/9rvM1P

サリドマイド児の親のドキュメンタリーだったのだが。生まれついて重い障害を負って生まれた息子の為に、
親は「サリドマイド児の親の会」を立ち上げて、休日は全て会の活動。「障害者に理解のある社会=息子の為」
との強い信念のもと、息子を連れて積極的にマスコミにも出たり、講演活動も行った。さらに、息子を普通学級に
進学させた。息子は重い障害を負いながらも大学に進学。一時は、マスコミにもてはやされた。

が、大学卒業後、障害を負った息子は何処にも就職できなかった。ここで、息子は生まれて初めて本音をぶっちゃける。
「子供の頃から、人前でさらし者にされて辛かった」「休みの日くらい、家族だけで過ごしたかった。家族だけで遊園地や
旅行に行きたかったのに」「普通学級になんて行きたくなかった。手の無い俺が、普通学級でどれだけ不自由で辛く、
孤独だったか。どれだけ、危険で屈辱的(同級生による排泄介護等)な思いをしたか!」と、延々と恨み言を言い出した。

で、親が「何で言ってくれなかったんだ!」と反論したら「言ったが、全て“お前のためだ”で済まされた。一度だけ、
同じ障害を持つ子供たちがいる養護学校に行きたいと言ったら“負けるな”と説教された」
「俺みたいな障害を持った子供が、親に見捨てられたら生きていけない。だから、言いなりになっていた」
「お前たちは“俺の為”と言っていたが、結局は自分たちが社会から注目されてチヤホヤされたかったダケだろう。
養護学校に進学した同じ障害を持った連中は、職業訓練を受けて就職して自立しているのに、親の見栄で、
普通学級に進学させられた俺は、就職できなかった」
「俺の障害を受け入れてくれない、見栄っぱりな親のせいで、俺の人生はメチャクチャにさせられた!」

結局、息子さんは親に対する恨みつらみの遺書を残して自殺。最後に親御さんは「もっと息子の気持ちを考えてやれば良かった」
「健常児と同じようにする事が、息子の為だと思っていたが、間違いだった」と嘆いていたな。


なんかこのコピペ思い出したにゃん





191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:06:46.30 ID:n68oE9CP0

澪「だから私は律の好意を否定できなかった。
  すべて受け入れてしまった。
  桜高に居させてくれたこと。
  唯やムギと一緒に居させてくれたこと。
  みんなと同じ授業を受けさせてくれたこと。
  私を修学旅行に連れてきてくれたこと。
  私を普通に扱ってくれたこと。
  でもそれを受け入れたのは間違いだったんだ」

律「やめろっ……」

澪「私はもう普通じゃないんだから。
  障害者なんだから。
  普通の人と同じような生活なんて、
  いくら律が頑張ってくれても、私にはもう出来ないんだよ。
  律だってそれを分かってたんじゃないのか?
  分かってたのに分かってないふりをしてたんじゃないのか?」

律「やめろっ……!」

澪「そう、分かってないふり、気づかないふり……
  私がもう普通じゃないんだって、障害者なんだっていう事実を
  律は受け入れようとしなかったんだ。
  だから……そんな自分の都合で、
  私に普通の生活をさせようとした。
  『友達だから』っていう言葉で、私を抵抗させないように……
  いや、私だけじゃない、唯も、ムギも……」

律「やめろおおおおおおおっ!!」



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:15:54.41 ID:n68oE9CP0

澪には律の声は聞こえなかったが、
律が何かを叫んだというのを感じとった。

澪「律……?」

『私はお前と一緒に居たかったんだ!
 だから障害者学校になんか行かせなかった!
 お前と同じ学校で普通の学校生活を送りたかった、
 ただそれだけだ!』

澪「でもそれだと周りに迷惑がかかるんだよ、
  私が障害者学校に行けば、
  それで全て解決することなんだ!
  障害者学校に行っても会えなくなるわけじゃないだろ」

『会えなくなる!
 澪と同じ学校に行けないのは会えないのと同じだ!』

澪「律、バカなことをいうな!
  なんでそんなワガママばかり言うんだ!」

『ワガママじゃない! 澪のためでもある!
 澪だって唯やムギたちと一緒に居たいだろ!?
 同じクラスで勉強して部活だってやりたいだろ!?』



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:26:48.67 ID:n68oE9CP0

澪「授業なんてろくに受けられないじゃないか、
  数学の問題も解けないし、
  国語の教科書は読めないし、
  化学も物理も世界史も、
  律が私の手に書くだけで理解できるわけないだろ?
  体育だってずっと見学っていうか
  なにも見えないからもはや『見学』でもないしな!
  それに部活も、みんなの演奏も聞こえないし
  目が見えないから楽器だって弾けない!
  私が目と耳を潰してからまともに練習したことがあったか?
  学園祭も出てないし新勧ライブもやってないだろ?
  唯や梓だってちゃんと練習やライブしたいと思ってるんだろ?
  だから私の代わりにベーシストを探せって言ったのに、
  お前は『澪の代わりなんていない! HTTのベーシストは澪だけだ!
  澪のためにも軽音部はこのままでいく!』
  なんて寒いセリフを吐いて、5人だけの軽音部を守ろうとしたな!
  そんなものを守っても意味ないんだよ、
  演奏できないんじゃそれはもう軽音部じゃないの!
  唯やムギや梓もそれで困ってたんじゃないのか?
  お茶だけ飲んで帰る部活はもう軽音部じゃない!
  私がこうなってしまった時点で放課後ティータイムは終わってるんだ!
  大体その『澪のため』ってのが迷惑なんだよ!!!」

律「……」

澪は今まで思っていたことを全部一方的にぶちまけた。



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:29:59.83 ID:n68oE9CP0

澪「律の好意を無下にしないようにしてきたけど、
  律のゴキゲンを損ねないようにしてきたけど……
  私にも限界がある。
  悪いけど、もうこれ以上は無理だ……」

律「……」

澪「……」

律「……」

澪「なんとか言えよ……」

律「……」

澪「何も言うことがないんなら……
  私は旅館に戻って、みんなに謝る。
  そして障害者学校に転校することを伝える」

律「……」

澪「……じゃあな、律」

律「……」ガシッ

澪「な、なんだ……?」



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:36:15.72 ID:n68oE9CP0

『分かったよ、澪。
 お前は障害者学校に行け』

澪「律……分かってくれたか」

『でも私はずっとお前と一緒だから』

澪「ああ、学校が違っても、ずっと友達だよ」

『ずっと一緒だ。ずっと一緒。ずっと』

澪「律?」

『一緒だ、学校も』

澪「え……?」

『今まで澪に迷惑をかけてきて悪かったな。
 これは私の罪滅しだと思ってくれ』

澪「えっ、律!?」

『一緒の学校に行こうな』

澪の手のひらにそう書き残すと、
律は車道に飛び出した。




236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:47:02.25 ID:9g/9rvM1P

運転手に迷惑がかかるって事すら想像ができない当たりがなあ…
過失致死傷になったら本人が告訴するかしないかに関わらず刑事告訴されるのににゃん…
澪の件といい、この自称行為の件といい
この律が澪のために何かをしてあげたいという気持ちは汲み取れなくもないけど
色々とその為の方法が間違ってたり、空回りしたり
兎に角もう行動が短絡的で衝動的としか言えないにゃん
しかも人格崩壊させずに澪が障害者になったらマジでこうなりそうだなって辺りがやけにリアルで複雑な心境にさせるのにゃん…





229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:42:41.66 ID:n68oE9CP0

――

――――

――――――

音楽室。

ガチャ
梓「こんにちはー」

唯「おー、あずにゃん久しぶり~」

紬「今お茶淹れるわね」

梓「ムギ先輩のお茶も4日ぶりですね」

唯「京都土産もあるよ! ほらほら」

梓「しば漬け、千枚漬け、すぐき……
  なんで漬物ばっかりなんですか!!」

唯「まあまあ、美味しいよ」ぽりぽり

梓「ホントですか……?」ぽりぽり



237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:47:14.69 ID:n68oE9CP0

紬「生八つ橋もあるわよ」

梓「最初からそれを出してくださいよ……
  あ、そういえば律先輩が交通事故で入院したって本当ですか」

唯「あー、ほんとほんと。
  命に別状はないらしいけど、
  両腕を切らなきゃいけないんだって」

梓「えー、そりゃ災難ですね」

紬「それと、実は事故じゃないらしいの。
  りっちゃんが自分から車の前に飛び出したって」

梓「え、自殺ですか」

唯「さあ、知らない。
  澪ちゃんと一緒にいたらしいけど、
  メクラツンボが周りのこと分かるわけないしね」

梓「ところで澪先輩は?」

唯「障害者学校に転校するらしいよ。
  りっちゃんも同じとこに行くんだって」

梓「……へえー」



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 22:54:00.29 ID:n68oE9CP0

唯「ふふん、あずにゃんが今考えていたことを当ててみせよう」

梓「ど、どうぞ」

唯「『律先輩は澪先輩と同じ学校にいくために
   わざと轢かれたんじゃないか』……でしょ?」

梓「すごいですね、大体当たりです。
  なんで分かったんですか?」

唯「そりゃー分かるよ、
  クラスのみんなだってそういう噂してるもんね。
  ムギちゃんも私も真っ先にそう思ったし」

梓「で、真相はどうなんですか」

唯「そんなの分かるわけないじゃん」

梓「ですよねー」

唯「でもそれが真実だとしたらさ、
  りっちゃんもう腕がないから、
  澪ちゃんと一緒にいても意思疎通できないんだよね~、
  あははははは、あははははは」

紬「足で手のひらに字を書いたりとか」

唯「それ澪ちゃんが嫌がるでしょ~」



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:00:23.34 ID:n68oE9CP0

紬「それもそうね」

唯「あははは、澪ちゃんと一緒にいるのに、
  もう会話もできないんだから笑えるね、あははは、
  ヘソで茶が沸くわ、あはははは」

梓「ヘソで茶が沸くなんて言う女子高生は初めてみました」

唯「いやーでもいい気味だよ。
  私たちに障害者の世話を押し付けてた本人が
  今度は世話される側になるんだよ?
  大爆笑じゃん、あはははは」

梓「……」ぽりぽり

唯「いっそのこと目も耳も潰れてくれたら良かったのに!
  ていうかもう死んでくれればよかったね!
  澪ちゃんも一緒に!
  障害者なんてウザいだけだし!」

梓「……」

唯「ねえ、あずにゃんもそう思わない?
  障害者なんて死んだほうがいいよね」

梓「はあ……ていうか、
  唯先輩は律先輩が嫌いなだけだと思ってたんですが、
  障害者そのものも嫌いなんですか?」



268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:04:32.75 ID:n68oE9CP0

唯「うん、障害者嫌い!
  障害者なんて社会のゴミじゃん!
  生きる価値なし!
  私がデスノート拾ったら障害者の名前書きまくるね」

紬「あら、でも唯ちゃん、
  澪ちゃんをいじめてたのはりっちゃんに
  自分のエゴを気づかせるため……
  って言ってなかった?」

唯「そんなの建前に決まってんじゃん。
  澪ちゃんがいたときは
  堂々と障害者をボコれて楽しかったよ~、あはははは。
  いやー、もっと蹴り飛ばしたかったな~」

梓「……」

唯「とにかく障害者なんてゴミだよゴミ。
  みんな死んで欲しいね、社会のために」

梓「はあ」

唯「まあいいや、この話これで終わり!
  障害者の話なんてしてても不愉快だしね。
  ほらあずにゃん、もっとお漬物食べて」

梓「はい」ぽりぽり



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:08:18.22 ID:n68oE9CP0

紬「そうだ、これからの軽音部はどうするの?」

唯「ちょうど3人だし、スリーピースバンドでいこう」

梓「ギター2人キーボード1人のスリーピースバンドなんて
  聞いたことないですよ」ぽりぽりぽり

唯「それはほら、今までになかった感じで」

梓「今までになかった理由を考えましょう」ぽりぽりぽりぽり

唯「うーん、じゃあやっぱり新しい人を入れた方がいいかな」

梓「ま、それが現実的でしょうね」ぽりぽりぽりぽりぽり

唯「よーし、じゃあ明日から、
  また新入部員の勧誘活動を始めようか」

紬「そうね、私チラシ作ってくるわ」

唯「うん、お願い」

梓「新入部員か~」ぽりぽりぽりぽりぽりぽり



294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:15:03.36 ID:n68oE9CP0

唯「じゃあ今日はもう帰ろうか」

紬「そうね」

梓「ごちそうさまでした」

唯「帰りにカラオケ行こうよ」

紬「いいわね、行こう行こう」

梓「ムギ先輩、もう演歌メドレーはやめてくださいね」

紬「梓ちゃんだって80年代アイドルメドレーはダメよ」

唯「まーまー、好きなの歌えばいいじゃん。
  ほら早く行くよ」

紬「あ、私お手洗い行ってくるから。
  先に行っといて」たたっ

唯「はーい」

梓「じゃ行きましょうか、先輩」

唯「そだね」ぽとっ

梓「あれ、唯先輩、なんか落としましたよ……」

唯「!!」さっ



315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:21:04.23 ID:n68oE9CP0

梓「……」

唯「見た……?」

梓「手帳ですか」

唯「うん、手帳……最近使ってるんだ、メモ用に。
  憂に言われてさ、『お姉ちゃん忘れっぽいから』って」

梓「あ、そ、そう……ですか」

唯「じゃあ行こう、あずにゃん」

梓「…………」


唯はごまかしていたが、
梓にははっきりと見えていた。
落ちた手帳の表紙に、
「障害者手帳」と記されていたのを。

今までの唯の言動が突然に思い出され、
梓はそこから一歩も動けずにその場に立ち尽くした。



         お      わ      り




317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:01.32 ID:/ZsbieeI0

唯は何の障害?



318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:25.89 ID:vAoUS8Xd0

障害コンプか……



319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:31.97 ID:f4P2Hj500

gj
どんな障害持ってたの?



321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:32.39 ID:mpXpgS7+0

えええええええええええ





322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:22:34.91 ID:n68oE9CP0

これでおしまい

池沼ネタは飽きられたみたいなので身障ネタで
先の展開を読まれまくってしまったのが反省点である




330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:24:19.45 ID:4WL7ssye0



けっこうのめりこんだ



331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:24:29.52 ID:dwYp4flN0

唯は何の障害なんだ?
知能障害?



332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:24:38.11 ID:8emOAVKZ0

あの攻撃的性格は何かの精神障害じゃないの?



334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:25:07.31 ID:6doYw8KK0

乙。

ところでアルツハイマーが進むと怒りっぽくなったりいろいろ人格面で障害がでる場合があるらしい。



337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/23(日) 23:26:06.96 ID:9g/9rvM1P

唯の池沼の程度がどの程度なのかも気になるにゃん

正直律の澪にたいする偽善とか独り善がりを指摘して、
問題点や周りの人間がどう思ってるのかを事細かに訴えることができるあたり
只者の池沼じゃないと思わせるにゃん






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澪「見えない聞こえない見えない聞こえない……」
[ 2011/10/01 15:40 ] 非日常系 | | CM(5)

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タイトル:
NO:4476 [ 2011/11/23 18:33 ] [ 編集 ]

この頃のにゃんかずはトンがってるなぁ

タイトル:
NO:4486 [ 2011/11/24 14:35 ] [ 編集 ]

障害者はすっげぇ差別されるよな。
確かに障害者に関わるとなんかされそうで動揺してしまうけど、ここまでする必要もねーんじゃねえの??と思った。
障害者も生まれつき障害を持ってたってだけで好きで障害者になったわけじゃねーもんな。
そう考えると人間(俺も)ってのはひでえ生き物だなとつくづく思った。
障害者も同じ人間なのにな...

こういう系のSSってほんといろんなこと考えさせられるわ。

タイトル:
NO:4487 [ 2011/11/24 14:45 ] [ 編集 ]

よく学校で人権の授業で「差別はだめ」とかみんな言うけどさ、結局みんな口だけなんだよな。
俺も差別は人一倍嫌ってんだけど結局は障害者に対してはすっごい動揺しちまって...
なんだろなーあれ.... 同じ扱いしたいのにいざとなると「恐い」っていう感情がこみ上げてきてさー...
あればかりはどうしようもないのかなと思ったり...。


タイトル:
NO:4582 [ 2011/12/01 22:37 ] [ 編集 ]

この唯はなんか変に攻撃的だと思ってみていたらやっぱり精神障害患ってたか…あとやっぱり建前だけの言葉は嫌ですね。やっぱり口先だけでは『差別はダメ!』とか言えるけど、やっぱりそういうのは見ていて見苦しいですね…。とかいろいろ考えさせられましたね…ここまで真剣に考えさせられるSSも久々でしたね。とにかく深かったです!乙でした!

タイトル:
NO:5900 [ 2012/03/15 14:41 ] [ 編集 ]

マジキチでもないのに誰かを障害者にする話は総じてks

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