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唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#前編 【非日常系】


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唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#前編
唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#中編
唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#後編




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:12:50.78 ID:JdqSvVHz0

「憂ちゃんが死んだ」

私が律からそう聞かされたのは、まだ梅雨も明け切らぬ7月の頭ごろだった

初めは、いつもの性質の悪い冗談だと思った

しかし、律はそんな悪趣味な冗談は絶対に言わない、

そう気付いて、しばし呆然としたのを覚えている

「・・・どうして」

律に問い掛けたその声は、確かに掠れていたと思う

それでも律は、私の求める答えを返してくれた。微かに嗚咽の混じった声で

「・・・・・自殺だって」

紫陽花の葉から大きなかたつむりが落ちるのを、私はその瞬間、窓越しに見た





10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:20:15.35 ID:JdqSvVHz0

「・・・・・・唯は」

私は律に尋ねた。携帯電話が濡れて持ち辛い

「わからない・・・私もさわちゃんに聞いただけだし・・・電話しても繋がらないんだ」

「・・・そうか、ありがとう」

律は、お通夜の日時と場所、

それから他の部員にはもう連絡が行っていることなどを手短に話すと、電話を切った

私は携帯電話を机に投げ出すと、ズボンで手を拭い、ベッドの上に仰向けに倒れ込んだ

「憂ちゃん・・・」

呟いたその時、私の目からようやく涙が流れ落ち始めた



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:31:16.26 ID:JdqSvVHz0

「ありがとう・・・ごめんね、私は大丈夫だから」

お通夜の席で、唯はそう言って微笑んだ。まぶたが赤く腫れている

唯の隣には、初めて出会う、唯のご両親がいた

お父さんは毅然とした態度、でも、歯を食いしばっているのがよくわかる

お母さんは前後の見境もなく泣きじゃくっている

最悪の、初対面

私は挨拶を済ませると、逃げるように式場を出た

そして、道路脇の側溝の上で、吐いた

「澪…」

律の手が、私の背中をさすっている

ふり返る勇気はなかった



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 18:41:04.62 ID:JdqSvVHz0

「澪ちゃん・・・大丈夫?」

むぎがハンカチで口元を拭ってくれる。シルクの肌触りが妙に気持ち悪かった

「澪先輩、これ、どうぞ・・・」

純ちゃんがお茶のペットボトルを差し出した。

ひんやりと冷たい。わざわざ買ってきてくれたようだ

「ありがとう・・・ごめんな、みんな・・・」

涙が止まらない。顔が上げられない

律も、むぎも、純ちゃんも泣いている

みんな、声を出さずに、泣き続けた



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:12:37.01 ID:JdqSvVHz0

結局私たちは式場に戻ることが出来なかった

家に帰ろうとした私たちを引き止めたのは純ちゃんだった

「先輩方に、少しお話したいことがあるんです・・・付き合っていただけますか?」

今までに見たことのない、真剣な眼差し。

ああ、この子はこんなに美人だったんだ、そんなことをふと思う

いつもの喫茶店。ただし、唯と梓の姿はない

「そういえば梓は・・・?」

アイスティーを見つめながら私は誰にともなく尋ねた

「・・・まだ、無理みたいです。出掛けに寄ったんだけど・・・」

純ちゃんが答えた

梓・・・唯・・・憂ちゃん・・・

どうして、こんなことになってしまったのだろう

そうだ、どうして憂ちゃんは自殺なんか・・・

そう思ったとき、純ちゃんが言った

「落ち着いて、聞いてください」

力強い声だった



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 19:27:09.33 ID:JdqSvVHz0

「皆さん・・・憂が何で自殺したか、聞きましたか」

小さいけれど、はっきりとした口調だ

私は答えた

「私は・・・聞いてないな」

「私も知らないわ」

むぎも答える

私はちらりと律に目をやる

「一応、今日、さわちゃんに聞いた。遺書が残ってて勉強や将来のことに悩んだ結果・・・って」

勉強?将来?あの憂ちゃんがそんなことを悩んでいたなんて・・・

私は大きな驚きと、そしてもっと大きな違和感を感じずにはいられなかった

純ちゃんは律の話を聞くと

「そっか・・・・・・憂らしいや・・・」

と軽く笑った。私にはその言葉の意味がわからなかった



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 20:33:34.92 ID:JdqSvVHz0

「憂ちゃんらしいって・・・?」

私は率直に問い掛けた

「あの子が・・・そんな理由で自殺するわけ・・・ないじゃないですか」

純ちゃんが答える。哀しい目で、笑っている

「いかにもな、それでいて周りに迷惑をかけないような理由を考えたんでしょうね、憂」

「考えた・・・?」

ますますわからない。

「考えた、というのはつまり・・・」

「はい。嘘の理由です。自殺した本当の理由は・・・他にあります」

アイスティーの氷がカランと音を立てた



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/10(火) 20:45:42.39 ID:JdqSvVHz0

「本当の・・・理由・・・?」

律が尋ねる、声が震えている

「はい。さっきも言いましたが、
 多分残されていた遺書は周りに迷惑をかけないためのフェイクです」

「純ちゃん・・・詳しく説明して」

むぎが言う

「はい。ただし、これはあくまで私が推測したことです。
 真実だとは断定できませんし、穴も多いと思います。それでも、構いませんか」

純ちゃんは私たちの顔を見ながらそう言った

「ああ、頼む・・・教えてくれ」

律がそう言った。私もむぎも、小さくうなずいた

「・・・わかりました。このことは他言無用でお願いします、憂のためにも」

純ちゃんは氷の溶けきったコーラを一息に飲み干した



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 01:00:28.32 ID:YkHgAazU0

「この間の金曜日のことです」

純ちゃんは、ふぅ、短く強く息を吐いた後、訥々と語りはじめた

「あの日、軽音部は部活がなかったんですよね?」

確かにその日は練習を無しにしたのだ。

私も、律もむぎも、学校に居残ってやることがあったから

「その日はジャズ研も部活がなくて、
 だから私たちと、暇してた唯先輩の4人で買い物に行ったんです」

初耳だった。何か事件が起きたのはその日、その時ということか…

「それで、商店街をぶらぶらして、お茶したり服を見たりしてたんです。でも…」

「でも?」

「憂が、急にいなくなったんです」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 01:09:20.02 ID:YkHgAazU0

「いなくなった?」

「はい。気がついた時には私と梓と唯先輩だけでした」

純ちゃんはうつむき加減で語る。心なしか声に力がなくなっているように思えた

「電話してみたけど全然出なくて、10分くらいその場で待ってたけど来なくて。
 ・・・普段の憂ならこんなことはまずありえないのに、と思いました」

「それで・・・?」

律が身を乗り出す。私は左手でそれを制する

「3人で手分けして、探すことにしました。30分したらまたここに戻ってくる、ってことにして」

純ちゃんはそこで、またふぅ、と息をついた。お冷を飲み干す



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 01:24:57.39 ID:YkHgAazU0

「25分くらい探したけど見つかりませんでした。
 そこでたまたま同じところを探しに来た唯先輩と合流して…その時でした」

私は嫌な予感が全身を突き刺すのを感じた。きっと今から私は絶望する、そんな確信があった

「唯先輩に電話がかかってきました。…梓からでした」

「憂ちゃんが見つかったのか!」

律が叫ぶ。声が大きい。むぎが人差し指を口に添えて制した

「…はい。でも電話の向こうの梓はひどく混乱していたみたいで、
 唯先輩が何度も『落ち着いて!』って叫んでました」

いつの間にか純ちゃんの目にはうっすらと涙が浮かんでいる

「私は唯先輩に電話を代わってもらって、梓を落ち着かせて、梓が今いる場所を聞きました。
 商店街の裏の、ほとんど行ったことがないような路地でした」

「路地…裏…」

「私たちは走って、走って…梓が言った場所に着きました。そこには」

純ちゃんはつばを飲み込んで、こう言った

「呆然と立ち尽くす梓と、体中擦り傷だらけで、ほとんど裸と同じ格好の憂が・・・いました」



48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 02:06:10.26 ID:YkHgAazU0

「それ…って…」

律が声を絞り出すように漏らした

「……強姦」

むぎのその言葉で、とうとう純ちゃんに限界が来た。ぼろぼろと零れていく涙…

「うっ、ういっ、ういが、ういがあっ!よ、呼んでも、へん、へん、じ、しっ、しなくってっ!」

嗚咽を漏らしながらも純ちゃんは語ってくれようとする。見ていられないよ、こんなの

「純ちゃん、大丈夫だから、少し落ち着いて、な?少し休もう、ほら、息を整えて…」

私には、純ちゃんの涙をハンカチで拭うことしか出来なかった

お店の人がいぶかしげにこっちを見ている。むぎが、席を立ってお店の人に話をしに行った

私たちの席にはそれからしばらくの間、純ちゃんのむせび泣く声だけが響いていた



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 02:26:38.38 ID:YkHgAazU0

しばらくして純ちゃんはお手洗いに立った

その間に、アイスティーが4つ運ばれてきた。さっきむぎが注文しておいたようだ

こんな時でも冷静に心配りができるむぎに、私は感心すると共に、いくらかの怒りもまた覚えたのだった

純ちゃんが戻ってきた。髪の毛が若干濡れている。顔を洗ったのだろう。涙はもう止まったようだ

「すみません、お待たせして…」

開口一番、純ちゃんはそう言って頭を下げた

「気にしないでいいよ。今一番つらいのは純ちゃんだ。話せるようになったら話してくれればいいから」

律が優しくいたわった。どうやら律も落ち着いたようだ

私は…どうだろう

「あの、掻い摘んで話してもいいですか?その、詳しく話すと…また泣いちゃいそうだから…」

私たちは小さくうなずいた



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 02:55:20.50 ID:YkHgAazU0

「それで、梓も唯先輩も立ち尽くしちゃってたから、とりあえず憂に声をかけたんです。
 でも中々反応しなくて、ほっぺたを軽く叩いたり、軽く揺さぶったりして、
 それでなんとか気がついたみたいで…。

 そうしたら…唯先輩がいるのに気付いたんですね、
 憂…凄く取り乱して、凄く泣いて…それを見た唯先輩も泣き出して…」

純ちゃんの目に再び涙が浮かびだした

私は正直言って、もうこれ以上聞きたくなかった。すぐにでもお店を飛び出してしまいたかった

こんな、こんな残酷な話…あっていいわけがない…

「それで私、詳しいことはわからないけど、早くここから離れたほうがいいと思いました。
 憂、ほとんど裸で、制服は上も下もボロボロだし、ショーツも見あたらなかったから、
 梓に怒鳴りつけて、とりあえず必要な服を買ってこさせました
 梓が戻ってきても二人とも泣きっぱなしで…なんとか落ち着かせて、服を着させました。
 それで…タクシーを拾って、二人の家に行きました」

純ちゃんはそこまで語り終えると、アイスティーをぐい、と飲み下した



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 03:13:48.85 ID:YkHgAazU0

「それから?」

むぎが尋ねた

「それから…傷の手当てをして、梓にはコンビニで食べるもの買ってこさせて…帰りました」

「え?…それだけ…なのか?」

私は思わず声を上げてそう聞いた。色々とやるべきことがまだあるはずじゃないか…

「警察は?被害届けとか…そういう」

律も私と同じ気持ちだったようだ

「私だって、凄く心配でしたよ…でも、憂も唯先輩も、もう大丈夫だから、の一点張りで・・・
 それに憂が、警察には絶対に連絡しないで欲しいって言ったんです」

純ちゃんは少し語調を強めて反駁した

「連絡しないで、か…」

確かに、レイプ被害者はレイプに遭ったことを訴え出ないことも多いと聞く。
恥になるからだ。それゆえにレイプ被害が減りにくいのだという

私は純ちゃんに詫びた

「ごめん、純ちゃん。そうだよな…憂ちゃんが嫌だと言う以上は…」

「いえ、いいんです。すみません。それで、憂の家を出て…梓と喫茶店に入りました。
 少なくとも一番情報を持ってるのは梓だから」

梓か…梓は大丈夫だろうか



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 12:50:49.39 ID:YkHgAazU0

「でも結局、梓も詳しく説明できるほどの情報は持っていないみたいでした。
 何となく路地裏にまわったら…その…
 男が…4人…憂を…それで、梓大声をあげたって…

 それで、男は逃げて、どうしたらいいかわからなくなって唯先輩に電話したんだ、って」

「4人も・・・畜生!」

律が、固めた拳をテーブルに叩き付けた。倒れそうになった律のグラスをむぎが支えた

「それで結局、明日また一緒に憂のところに行こうって約束して、別れました。
 でも、次の日も、その次の日も、憂には会わせてもらえなくて」

「唯が…会わせなかったのか?」

私は尋ねた。純ちゃんが答える

「…はい。『大丈夫だから、しばらく放っておいて』って。…私も梓もその言葉に従いました
 でも、やっぱりおかしかったんです、いくらメールしても返信こないし、
 電話しても出なくて…そしたらぁ…!」

テーブルの上に落ちていくたくさんの雫

「憂…死んじゃった…!」

純ちゃんは、声をあげて、泣いた



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 13:02:55.82 ID:YkHgAazU0

むぎは、グラスを握り締めたままうつむいている

律は、背もたれにもたれて、両腕をだらりと下に伸ばし、天井を見つめている

私は…どうしたらいいのだろう

「ぜんっ…ばい…!…わ、わた…し…どうじてたら…いっ、よかっ、たん、ですか…!?
 だっ、だれっ、かに…うぁっ!そう、だん…しと…けば、うぐっ、よかった…
 む、むむむりに、でも、うい…会って、お、おけ…ばぁっ!よかったんです、か!?うあぁっ!!」

純ちゃんは泣きながらも語り続ける。問いかけ続ける。誰も、答えない。

答えられるものか

どうしたら良かったかなんてわかるものか

今さら何を言ったって、無駄なのだ

私は席を立って、お手洗いに入った。そして、また、吐いた

泡だったアイスティーだけが排水溝を流れていった



81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 13:55:51.34 ID:YkHgAazU0

その日は結局、それ以上の進展はなかった

純ちゃんが泣き止むのを待って、それから、わずかに話し合った

後日、唯と梓が落ち着いたら、あらためて話をしようということ

憂ちゃんがレイプされたこと、

そしてそれを苦に自殺したのであろうということは、口外しないよう約束しあった

憂ちゃんがそれを望んだ以上は、そうするべきだろう

帰り道…私も律も黙ったまま歩き続けた。

口を開いたところで、どうせ益体もない言葉しか出なかったろうが

ただ、別れる時に律が「澪、大丈夫だからな」と言った。

言葉の真意はわからないけれど、少し安心できたのは確かだ

帰宅した私はお風呂に入り、大音量の流れるヘッドホンをしたまま床についた

何も考えたくなかったから

その夜、私はきっと嫌な夢を見た



86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 14:24:37.18 ID:YkHgAazU0

梓は、それから二日ほどして、学校に来るようになった

でも、傍目にはっきりとわかるほど憔悴していた。今の梓に憂ちゃんのことを聞くのは酷だろう

とりあえず私たちは、純ちゃんにあらかたのことを聞いた、と話し、

落着いたらでいいから梓にも話を聴きたい、と伝えた

梓は目を伏せて

「すみません」

と一言謝ったきりだった

私はそれでも、梓は何とか大丈夫だろうという、根拠のない確信があった

問題は…唯だ

唯はあの日から一週間以上たっても学校に来ず、連絡も一切とれなかった



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 15:33:19.12 ID:YkHgAazU0

「それがね…憂ちゃんのことがあってから…様子がおかしくなってるみたいね…」

さわ子先生はそう言うと人差し指で眼鏡を上げた

「…先生は、最近唯には会ってるんですか?」

「お家のほうには何度も行ってるわ。でも、唯ちゃんに会えたのは2回だけ。
 本人は気丈そうにしてたけど…強がってるだけね」

「会えない日も多かったのか?」

「会えない日のほうが断然多いわよ。
 ご両親に伺っても、『出掛けているみたいです』って答えしか返ってこなかったわ」

さわ子先生はそう言って深くため息をつき、それから私たちにも尋ねた

「ねえ、あなたたちは唯ちゃんに会ってないの?それに何か…憂ちゃんのことで聞いていることとかは…?」

律が私のほうをちらりと見た。わかってるよ、律

「いえ…私たちも全然会ってないし…何も、わかりません」

私はそう答えた

「そう……私もね、しばらくの間は様子を見ていたほうがいいかな、
 とは思うんだけど…唯ちゃんもご両親もかなり憔悴しているわ…
 だからね、あなたたち、唯ちゃんに何かあったら、ぜひ力になってあげて欲しいの。
 正直言って、私では力不足だから…」

さわ子先生は、膝の上で拳を握り締めていた

「わかりました」

私たちはそう答えた。言わずもがな、だ



90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 15:58:24.60 ID:YkHgAazU0

しかしその後も、結局唯とは会えない日が続いた

学校にはまったく来ない。先生も、私たちも、和も、

今唯がどこで何をしているのかわからなかった

家に何度行っても、ご両親からは『出掛けている』の一点張りだった

唯のご両親は初めてお通夜で会ったときよりもずっとやつれて見えた

電話も繋がらない。メールの返信も来ない

そうこうしているうちに、時間はどんどん過ぎていく…



夏休みが目前に迫ったある日のこと

「澪、ちょっといい?」

私の席の後ろ、中島信代が声をかけてきた

「唯のことなんだけどさ…」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 16:08:57.23 ID:YkHgAazU0

私は信代に言った

「あぁ、ごめん、私も唯とは全然連絡がとれなくて…」

「いや、そうじゃなくてさ…私、見たんだ、唯」

心臓の動きが早くなるのを感じた

「見た!?ど、どこで!?あ、あの、あのさっ!」

我知らず取り乱す。冷静に私を抑える信代

「落着きなって…やっぱり、ここじゃない方がいいかな…
 放課後、軽音部の部室で、ってことでいいかな
 そっちも、律とかムギとかと一緒のほうがいいだろ?」

「あ…うん、それは…そうだな…わかった。じゃあ、放課後に音楽室に来て」

「了解。……あのさ」

信代は少し表情を曇らせて言った

「期待しないほうがいいから」



97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 16:46:40.65 ID:YkHgAazU0

放課後。私と律、むぎ。それから、梓と純ちゃんが揃っている

梓と純ちゃんに声をかけるべきか否かは悩んだものの、

3人で相談しあった結果、呼ぶべきだということになった

梓は、だいぶ落ち着きを取り戻したように見える。以前の梓と見た目はそう変わらない

純ちゃんは…こんなに眼差しの強い子だったろうか…

私はみんなに向かって、言った

「これからみんなが聞くことは、おそらく悪いニュースだ。そのことは…覚悟しておいてもらいたい」

律とむぎ、純ちゃんが小さくうなずく。梓は…手元のティーカップに視線を落とした

心臓のばくばくいう音が止まらない。不快な緊張感が全身にまとわりつく

ほぅ、とため息をついたその時

扉がゆっくりと開き、信代が現れた

「遅くなってごめん。…これで全員でいいのね?」

律が生唾を飲み込む音が…聞こえた気がした



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 17:44:18.86 ID:YkHgAazU0

信代が席に着く。普段なら唯がいるところだ。むぎが紅茶を淹れて信代の前に置く

信代はむぎにありがとう、と言うと、話し始めた

「私の実家は酒屋なんだけど、私、時々家の手伝いをしてるんだ」

その話は聞いたことがある。卒業後は家業を継ぐのだ、とも言っていた

「まあ普段は店先で荷物運んだり、店番したりってのが多いんだけど、
 たまに配達の手伝いなんかもするんだ

 それで、昨日の夜…9時半ぐらいだったかな。
 お得意さんのスナックのほうから急な注文があったんだ
 ちょっとしたトラブルがあってお酒が足りなくなったから、
 急いで持ってきてくれないか、って

 まあ店はもう閉めてたけど、お得意さんだし、
 だいぶ困ってるみたいだからってことでオーケーしたみたい」

そこで信代は紅茶で口を湿らせた。「美味しい…」と小さく呟いて、また話し出す

「荷物を下ろしたりするために、私も同行することになった。お酒を車に積んで、出発した
 そのスナックは…まあその、いわゆる歓楽街の中にあって。
 いや、そのお店自体は普通の健全なお店なんだけど
 ああ、まあ、それはいいか。それで…お店ところでお酒を下ろしてる時に・・・見たんだ」

「唯先輩をですか!?」

「うん…あれは……間違いなく唯だった」



101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 17:58:47.25 ID:YkHgAazU0

「唯は、唯は何て言ってた!?」

律が信代に詰め寄る。信代はその迫力に気圧されたようだ

「ご、ごめん…話、してないんだ…声、かけてないから…」

律が立ち上がって益々詰め寄る。イスがガタン、と倒れた

「はあ!?何だよそれ!?わかんねえ!クラスメイトだろ!?心配じゃねえのかよ!!」

「りっちゃん!落着いて!最後まで話を聞いて!」

むぎが律を抑える。おびえる梓。純ちゃんは俯いて何か考えているように見えた

むぎのおかげか、律は平静を取り戻したようだ。

信代に「ごめん」と詫びると、イスを起こして腰掛けた

信代も少しおびえているようだった。

律に「うん、大丈夫…」と声をかけると、小さく深呼吸をした

「私もね、声、かけようと思ったよ。でも…私には…無理だった…」

「無理って…何でだよ?」

信代は言うのを躊躇っているようだった。しばしの沈黙の後、意を決したように言い放った

「唯……知らないおじさんとラブホテル街に入っていったから…」



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 18:14:13.86 ID:YkHgAazU0

「ラブ…ホテル…」

「…それって…まさか」

「うん…多分、援助交際だと思う」

律がイスから立ち上がる。机に置いた両手が震えている

むぎは口元に両手を当てて固まっている

梓はぽろぽろ涙をこぼしている

純ちゃんは…やっぱり何か考えてるようだった

私は体中の力が抜けてしまって、しばらく声も出せなかった

長い長い沈黙のを破ったのは純ちゃんだった

「あの…そのおじさんってどんな感じの人でした?
 それにどんな風にしてその…ラブホテル街に入っていきましたか?」

信代はあごに手を当てて、少しの間記憶を反芻した後、説明をし出した

「普通のサラリーマンだったと思う。年は…50歳以上には見えた。髪の毛が薄くて、太ってた」

「……唯先輩のお父さんでは、確実にないわけですね」

「それから、唯は男の人の腕に、こう、抱きつく感じ?で…ちょっとふらふらしながら歩いてたよ
 後は…わからない。私が持ってる情報は、これで全部だと思う。ごめんね」

いい終えて信代は、冷めた紅茶を飲み干した



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 18:37:18.57 ID:YkHgAazU0

「いえ、ありがとうございます。助かりました」

純ちゃんがお礼を言った。間髪入れずに今度はむぎが懇願した

「信代ちゃん、唯ちゃんを見かけた場所、教えてもらえないかしら」

「それは構わないけど・・・まさか」

「身勝手かもしれないけど、それ以上は聞かないで。お願い」

私はこんなに力強い瞳をしたむぎを初めて見た

信代は手帳を1ページ破くと住所を書き付け、むぎに渡した

むぎはそれを受け取りながら

「ありがとう。…それから、もう一つお願いがあるの。
 信代ちゃんが見たこと…他の誰にも言わないで貰いたいの」

と、さらに懇願した。純ちゃんも

「私からもお願いします。先生にも、まだ言わないで欲しいんです…
 責任は、すべて私たちが取りますから」

むぎと純ちゃんが頭を下げた。私も「頼む!」と言って頭を下げる

信代は目を瞬かせながら、私たちを見ていた。そうして

「……わかった。誰にも言わないよ、約束する。ただし…絶対に無茶はしないこと。わかった?」

と言って、微笑んだ



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 18:51:06.33 ID:YkHgAazU0

信代が帰ってから、しばらくの間は沈黙が続いていた

むぎが淹れなおしてくれた紅茶を飲みながら、私は唯のことを考えていた

憂ちゃんが自殺したことは、きっと私たちには想像できないほどショックだったんだろう

でも、それと援助交際(まだ、そう確定したわけではないが)とはどう繋がるのだろうか

自暴自棄になってしまったのか

寂しさを埋めるために、男性を求めたのか

それとも何か、別の目的があるのだろうか

わからない。所詮は机上の空論だ。唯の本当の気持ちなど、想像したってわかるはずがない

……そうだ。わかるはずがないんだ、私たちは唯ではないのだから

唯の気持ちがわかるのは、唯以外にはいないのだ

ならば…!

「行こう、唯に会いに」

私は、そう言って顔を上げた



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 20:02:43.50 ID:YkHgAazU0

私たちはその日の夜から、信代が唯を見たという辺りを中心に捜索を始めることにした

話し合い、細かな取り決めなどを決める

もともと治安はいい(はず)の街ではあるが、憂ちゃんのこともある。行動は慎重を要する

まず唯の家を訪ねて、様子をうかがう。唯が不在のようであれば、捜索にうつることにする

常にひとかたまりになって動き、お互いの姿を見失わぬよう気を配る

純ちゃんや梓を捜索のメンバーに入れるのは躊躇われたが、純ちゃんは参加を強く希望した

梓はたっぷりと考えたのち、

「やります!やらせてください!」ときっぱり言い放った。もう、泣いてはいなかった

防犯のために防犯ブザーとスタンガンを、催涙スプレーを各自ふところに忍ばせる。

全てむぎに用意してもらったものだ

信代が唯を見たのは夜10時前だというから、とりあえず捜索時間は8時半~10時とした

すべてが決まった。私たちは8時に集合することにして、解散した

薄暗くなりつつある道を歩きながら私は、

ここのところ消えることなく体中を覆っている嫌な予感が、はっきり強くなるのを感じた



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 20:13:59.61 ID:YkHgAazU0

8時少し前、適当な言い訳をして家を出た。途中で律と合流し、唯の家の近くへ向かう

歩きながら律が言った

「唯が見つかったら…どうする…?」

「どう…したらいいんだろうな」

「慰めるか、叱りつけるか、笑いかけるか…」

「そんなことしても…」

「ああ、意味はないよな…」

私たちは何をするために唯を探すのだろう

わからない。わからないけど…それでも、今のままでいいはずは、ない

集合場所には、もう3人が揃っていた。

むぎに防犯グッズを手渡され、使い方を簡単に説明してもらう

「やっぱり、唯先輩は家にいないみたいです。
 お家の人…お父さんでしたけど、何だか目がうつろでした」

梓。つらそうな表情だ

「そうか。…わかった。それじゃあ行こうか、唯を探しに…!」

律が、力強く言った



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 20:40:59.07 ID:YkHgAazU0

しかし、捜索初日、二日目、三日目と、手応えはまるでなかった

捜索を始めて4日目、一学期の終業式が終わった

結局、憂ちゃんが自殺してから、唯は一度も学校に来ないままだった

この間、さわ子先生も、何度も唯の家に行ったらしかったが、進展はしなかったと聞いた

先生も、ずいぶんやせてしまったような気がする

私は先生に対して罪悪感を感じながらも、何も教えなかった

さわ子先生、ごめんなさい



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 20:42:43.71 ID:YkHgAazU0

その日の放課後、私たちは部室に集まった

もう随分長いこと楽器を合わせていないからし、気分転換にもなるから、と律が提案したのだ

それぞれに楽器を構える。律のスティックがリズムを刻む

私のベースの旋律

律のドラムの力強い音

むぎのキーボードの流れるようなメロディ

梓のギターの繊細なピッキング

そして、唯のギターの音…は…

駄目だ、こんなの、こんなの私たちじゃない!こんなのバンドなんかじゃない…!

弦が押さえられない。指が上手く動かない

私は…泣きながら、座り込んでしまった

軽音部の部室には、四人のすすり泣く声だけがこだましていた



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 21:20:05.18 ID:YkHgAazU0

いよいよ夏休みに入った。

受験生の夏は地獄というが、これほどのつらさを味わうとは予想も出来なかった

陽のあるうちは参考書に向かい、月の出てよりは唯を探す

そんな夏休みが一週間ほど過ぎた頃…

ついにその日が、小さな希望と大きな絶望に彩られたその日がやってきた


時刻は9時を少しまわったところ

むせるような高温多湿に肌をじっとりべたつかせながら、私たちは夜の街を歩いていた

夏休みに入ったこともあってか、こんな時間帯でも、明らかに高校生か中学生の姿が散見される

「何だか不良少女ばっかって感じですね」

梓の軽口に、

「私たちだって傍目には変わらないぞ」

と私は答えた

その時…私の耳に、聞きなれたあの、甘ったるいような声が飛び込んできた

「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 22:12:15.34 ID:YkHgAazU0

全員が足を止めた。声のした方向に目を遣る

そこには確かに、制服姿の唯がいた

ただし、桜高のそれとはまるで違う、どこの学校のものかわからない制服を着た唯が

「ゆ…い…」

唯は、道を行く男性に手当たり次第に声をかけていた

「ねぇ、おじさん!女子高生と…お・ま・ん・こ!したくないですかぁ~?」
「お兄さ~ん、2時間3万円でどお~?サービスするよ~?」
「何でもしていいよ~?生でも、中出しでももちろんおっけ~!お金は…その分もらうけど…」

何だ、これは

一体何なんだ、これ

友達が、目の前で、男に色目を使って身体を売っている

唯が、優しくて、純粋で、妹思いのあの唯が…

「唯!!!!」

私は思わず、大声で叫んでしまった

唯の体がびくりと痙攣し、ゆっくりとこっちを振り向いた

「澪…ちゃん……み…んな……」



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 22:28:33.33 ID:YkHgAazU0

次の瞬間。唯は一目散に駆け出した。逃げる!?

「唯!待てっ、唯!」

私たちも慌てて追いかける。しかし、結構な距離がある。人も多い。見失えばもうアウトだろう

「唯!唯っ!」

ところが

「うあっ!?」

後ろざまに、唯が転んだ。客引きをしていると思しき黒人にぶつかったのだ

あぁ、やっぱり…唯だ

もう到底逃げ切れないと悟ったのだろう。

唯は立ち上がり、黒人に「あいむそーりー」などと詫びている

「唯…とうとう見つけたぞ…唯!」

律が叫ぶ。目に涙が浮かんでいる

「唯先輩……」

梓はもう泣いていた

「えへへ…みんな……久しぶりだね」

そう言って唯は頭をかいた



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:14:13.38 ID:YkHgAazU0

律が震える声で問い掛けた

「お前…何っ、何を…おぉっ・・・!」

ほとんど質問のていを成していない。
無理もないことだ。私だって、何を聞いていいのかわからない

「あのさ…ちょっと場所変えようよ。ここだと色々めんどくさいから
 ちょっと行くと喫茶店があるから、そこでいいよね」

こちらの気持ちを知ってか知らずか。唯は平然としているように見える

いや……何だろう、この感じは。私の知っている唯とは何かが違う…?


唯の先導で私たちは喫茶店に向かう。

みんな無言だ。葬列のごとくぞろぞろと歩く

5分ほど歩いたところで、喫茶店に着いた。初めて入るお店だ

扉を開けて中に入る。落着いた雰囲気のお店だ

すると、入るなり唯が

「アイスティー6つ!」

と大きな声で店員に注文した。まだ席にも着いていないのに

私はこの時「ああ、この唯はやっぱり、私の知っている唯ではないんだなあ…」とぼんやり思った



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/11(水) 23:40:13.96 ID:YkHgAazU0

全員が席に着くや否や、唯がしゃべり出した

「ごめんね、私も色々忙しくてさ。
 まあ、何となくみんなが聞きたいことはわかるから、答えるよ」

瞬間、律が唯の胸倉を掴んで怒鳴った

「てめえ、何だその言い草は!私たちがどれだけ心配したと思ってやがる!
 私たちだけじゃねえ!さわちゃんも、和も、アンタの両親も、クラスのみんなも!
 それを言うに事欠いて忙しいだ!?大概にしやがれ馬鹿野郎!!」

「りっちゃん、落着いて!唯ちゃんほら、苦しがってる!」

律の言葉が終わるのを待っていたかのように、むぎが律をなだめた

「は、離して…りっちゃん…」

唯がいかにも苦しそうに声を出す

「ちっ…」

舌打ちをして、律は唯を離した。どさりと尻餅をつく唯

「うぅ…相変わらず乱暴ものだねぇ、りっちゃんは…」

そう言って唯はえへへと笑った。誰もその笑いの誘いには乗らなかった



161 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/11(水) 23:54:53.33 ID:YkHgAazU0

「じゃあ、単刀直入に聞かせてもらいたい。お前は今まで、何をしていたんだ?」

私は唯の目を見据えて訊いた。唯も私の目を、負けじと見つめ返してくる。そして、答えた

「お金をね…稼いでいたんだよ」

お金…といことはつまり…

「それは、その…援助交際…か?」

「うん。そうだよ」

いともあっさり答えたものである

わかっていた。さっきの、あの光景を見て、99パーセントそうなんだろうとは思ったけれど…

否定して、欲しかったな

「何で…何でなんですかあっ!?唯先輩っ!!」

梓が涙を振り撒きながら叫んだ

「あずにゃん……私はね、駄目な人間なんだよ」

唯がぽつりと呟いた



168 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 01:08:02.87 ID:X/jRk9l+0

丁度その時、アイスティーが運ばれてきた

唯はグラスを両手で包み込むように持ちながら、ゆっくりと話し始めた

「私はね、憂がいなければ何も出来ないんだ」

「そんなこと…」

「そんなことない、だなんて思ってないでしょ、あずにゃん?」

梓は俯いてしまった

唯は続ける

「あぁ、ごめんねあずにゃん。でも図星でしょ。ここにいるみんなが、そう思ってるはずだよ
 私は今まで生きてきて、何から何まで憂に頼りっぱなしだった。
 憂がもしいなかったら、私はきっとここにはいないよ

 私は、憂に本当にいろんなことをしてもらった。憂も嫌な顔一つしないで、何でもしてくれたよ
 助けてくれた。守ってくれた。愛してくれた。
 そのことに気付いたのは、高校に入って、軽音部に入って、
 自分で色んなことをやるようになってからなんだ。遅いよね」

唯はそこでアイスティーを一口すすった



170 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 01:38:05.82 ID:X/jRk9l+0

「だから私は、今度は憂のために色々してあげようと思った。
 お姉さんらしいことをしてあげようと思ったよ
 でも、私バカで、めんどくさがりで、自分に甘いから…
 結局また憂に頼っちゃうんだよね」

梓は何か言いたそうにし口を開いたが、何も言えずに口を閉じた

唯はまた、アイスティーをすすり込む

「明日こそは、明日こそはなんて思ってるうちに
 どんどん時間が過ぎて、2年生になって、3年生になって
 そして………あの日が来て」

私はその時、唯の目から涙がぽろぽろと止めどなく流れていることに気付いた

「憂はあの日、すごく泣いて、傷だらけで、私も憂に負けないくらい泣いて、
 でもそんな時でも憂は『大丈夫だから、お姉ちゃん、私は大丈夫だから泣かないで』って…!
 つらいのは私じゃないのに!憂なのに!憂は、自分が本当につらい時まで私の心配をして…!
 それなのに私は憂になにもしてあげられなくて!何したらいいかわかんなくて!
 結局、最後まで、お姉ちゃんらしいこと、してあげられなくて!
 私、自分が、自分が情けなくて!」

唯はそこまで言うと、机に突っ伏して大声で泣いた。まるで赤ちゃんのように泣いた

私はきつく歯を食いしばっていた。口の中に血の味が広がった



208 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 16:21:33.91 ID:X/jRk9l+0

「……復讐のため、ですか」

純ちゃんがぽそりと呟く

「唯先輩が援助交際をしていたのは…犯人に復讐するためですよね?」

復讐のために援助交際…?どういうことだ

純ちゃんの言葉を受けて、唯は嗚咽を漏らしながらもゆっくり顔を上げた

「うん……そうだよ、純ちゃん。……よくわかったね…」

「…ええ。私も…同じようなことを考えましたから」

律がたまらず声を上げた

「どういうことだよ!?わかんねえよ!!
 何で、憂ちゃんの復讐がエンコーに繋がるんだよ!?説明しろよ!!」

純ちゃんが唯を代弁するように語る

「援助交際はあくまでも手段なんですよ…
 手っ取り早くお金を稼ぐには一番いい方法だから…そうですよね、唯先輩?」

唯が小さくうなずく

つまり、唯は復讐のために、短期間で大金を稼ぐつもりだったということか…しかし何故?



210 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 16:29:37.45 ID:X/jRk9l+0

「私はバカだからさ、憂のために…死んじゃった憂のために何ができるか…全然わからなくて」

唯が語り出す。時々嗚咽を漏らしながら

「憂はつらくて、悲しくて、悔しかったんだと思う。
 でも、憂がそうなったことの責任は、憂にはないんだ
 憂は被害者なんだ。そして、憂をそんな気持ちにさせて…
 自殺まで…させた、加害者は…今でもどこかで生きてる

 今でもヘラヘラ笑って、美味しいもの食べて、
 楽しく遊んで…どこかで女の子犯して…!」

きつく握られた唯の拳が震える

「許せない!!」

唯が叫んだ

「だから、だから私は決めたんだ!憂の無念は、私が晴らしてみせる!憂の仇は私が討つ!」

「私が、憂を犯した奴らを、殺す」



212 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 16:55:16.58 ID:X/jRk9l+0

「そんな……」

梓がうめくように呟いた

「そんなのダメです!おかしいですよ!憂は、憂は復讐なんか望んでいないはずです」

「うるさい!」

唯が梓を一喝した。冷たくて、厳しい声だった

「そんなことわかってるよ。
 憂が私に人を殺したり、援助交際して欲しいなんて思うはずないからね
 でも…もうそんなことはどうでもいいんだ。
 だって……憂はもう死んでるんだもん。もう、どこにもいないんだもん
 だから、これは私の問題なんだ。結局は私のため。私の自己満足のためのことなんだよ
 私の手で、私の力でやるんだ。それが憂への、私の恩返しなんだよ」

唯の考えていることは…私が、いや、私たちが想像していたよりも、ずっと現実的だった

唯の中では、もう憂ちゃんは完全に死んでいる

そしてきっと、魂だとか成仏だとかいう、

遺された者の心を救済するための概念を、唯は捨て去ってしまっている

そう考えた上で、復讐を果たすことが、きっと憂ちゃんへの恩返しになる、と信じているのだろう

…くそったれ



216 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 17:19:06.67 ID:X/jRk9l+0

梓が立ち上がって叫んだ

「わかんない!そんなの、そんなのわかんないです!唯先輩の考えてることわからない!!」

「梓…落着いて。座りなよ」

純ちゃんが優しくなだめる。席に着いた梓はぐすぐすと泣いている

唯は、とても悲しそうな目をしていた

「ごめんね、あずにゃん…
 でも、私は私の考えてることが正しいと思ってる。変えるつもりもないから…」

律はとても凶悪な表情で黙りこくっている

むぎはうつむいたままだ

私はもう、唯を説得することを半ば諦めていた。とりあえず、話を進めよう、と思った

「お金を稼いでるのは…その、探偵…か何かを雇うためか?」



218 名前: ◆GOu93VWYTfuf :2010/08/12(木) 17:23:25.25 ID:X/jRk9l+0

「うん。初めのうちはね、自分で犯人を探してたんだけど…
 どうしたらいいかわからなくて、何も手がかりが見つからなくて
 ある時、看板を見つけたんだ。『何でもご相談下さい』って書いてあった。
 それで、そこに行ってみた

 スーツを着た人が何人かいて、話をしたの。そうしたら、
 『情報が少なすぎるからかなり難しいだろう。
  時間もかかるし、費用もかさむだろう』って言われた」

「費用って…いくらくらいだ?」

「調査費用が1日2万円。成功報酬は80万円だって」

それは…高すぎる。というより胡散臭すぎる

律が呟いた

「詐欺じゃないのか、それ」

純ちゃんが尋ねる

「それで…頼んだんですか?」

唯は小さくうなずいた

律が長いため息をついた



219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 17:43:15.21 ID:X/jRk9l+0

「で、調査費用を稼ぐために援助交際をしている、というわけか…」

「うん…そうなんだ。連絡しなかったのも、バレると絶対止められちゃうと思ったから
 家にあんまり帰らなかったのは、お客さんの家に泊まったりしてたから
 それでも、たまには帰ってたんだよ。親は気付いてなかったみたいだけど」

「何で…」

むぎが震えている。叫んだ

「何で相談してくれなかったの、唯ちゃん!?
 私たち、友達でしょ!?仲間でしょう!?何で一言言ってくれなかったの!?
 そうしたら…私たちだって力になれたのに…
 こんなことしなくても、探せたかもしれないのに…」

律も叫ぶ

「そうだよ唯!!困ったときは頼りにしろって、言ってたじゃんか!!」

唯は二人の顔を交互に見つめて、微笑んだ

「ありがとう…でもね、それじゃ意味がないんだよ
 自分だけで決めて、自分だけで歩いて、
 自分の稼いだお金だけで人を雇って…そうしなきゃ何の意味もないんだ
 友達に頼っちゃったら、結局今までの私と何もかわらないんだよ…」

その言葉を聞いて、むぎも律も何も言えなくなってしまった



224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 18:30:38.17 ID:X/jRk9l+0

「だから…本当にみんなには悪いと思ってるんだ。
 でも、私のことは…しばらく放っておいて欲しいんだ
 私、本気なんだ。誰が何と言おうと、たとえ何年かかろうと、諦めたくないんだ、絶対に」

「で、でも!!わた…」

梓を制して、私は言った

「唯の気持ちはわかった。今私たちが何を言っても、多分無駄だってこともな
 だから、私たちはしばらく様子を見る。先生にも、警察にも、何も言わない。約束する」

唯は心底ホッとした顔をした

「ただし、唯にも約束してもらうことがいくつかある。それが条件だ」
 一つ目、まずご両親と、さわ子先生に、自分が無事だということを知らせること。電話でいい
 二つ目、定期的に私たちにも無事を知らせること
 三つ目、今の探偵事務所…は解約して、もっといいところを見つけること。
     ネットカフェで調べればいくらか見つかるはずだ
 四つ目、もし犯人の目星がついたら、まず私たちに知らせること。すぐに動こうとするな
 それから…最後に」

「最後に…?」

「絶対に、軽音部に戻ってくること。約束してくれ。唯の場所は空けておくからさ」

「澪ちゃん……うん!」

唯は、私のよく知っている笑顔で、笑った



225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 19:07:50.04 ID:X/jRk9l+0

私たちはお店を出た

唯はそのまま、夜の街へと戻っていった。知らない制服のスカートをはためかせて

「勝手なことしてんじゃねえよ…」

律。まあ、そうだろうな

私はみんなの方に向き直り、言った

「これからのことを話したい。もう少し、時間をもらうぞ」

純ちゃんとむぎがうなずく。律はポケットに手を突っ込んで舌打ちをした。梓はまた泣いている

私たちは少し歩いて、カラオケに入った。ここなら周りに迷惑もかけないし、話が聞かれることもない

そういったことに私はようやく気がついた。間の抜けたことおびただしい

ドリンクバーのコーヒーを一口飲み、私は口を開いた

「みんなの意見を聞きたい」



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 20:12:38.16 ID:X/jRk9l+0

「意見…ですか…?」

梓が問い掛ける

「そうだ。これから私たちはどうするべきか、みんなの思うところを聞かせて欲しい
 何だって構わない。今の自分の気持ちでも、唯への思いでも、
 とにかく何でもいい、少し考えてまとめてくれ」

室内には、隣から聞こえる流行のJ-POPの旋律だけが溢れていた

「私は、さ」

律が口を開いた

「正直、凄い悔しいんだ。
 唯はずっと前から、それに今も、心と身体をすり減らして苦しんでる
 それなのに、私は何もしてやれなくて、今だって何もできない。
 仲間なのに…!それが、悔しくてたまらない」

むぎが続けて言う

「私も、りっちゃんと同じよ。何も出来ない自分がもどかしい。
 唯ちゃんのために、何かしてあげたい
 でも、何をしてあげればいいのか…まるでわからなくて…
 私たちは、仲間として何をしてあげればいいのかしら。
 後押しなのか、制止なのか、それとも放っておくべきなのか…」



235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 20:37:02.53 ID:X/jRk9l+0

梓が恐る恐る口を開く

「私は…怖いです。
 憂のことは本当に悲しいし、唯先輩が憂を思う気持ちも、痛いほどよくわかります…

 でも、やっぱりおかしいです…。
 唯先輩も…それに、澪先輩も、律先輩も、むぎ先輩も、純も!
 みんなおかしいです!怖いんです!だって…」

「だって?」

「人を殺すっていうことに、みんな平然としすぎてる…!
 そんなの…絶対におかしい…」

そう言って梓は涙をこぼした

確かに…唯が、人を殺す、と言ったことに対して…私たちの反応はドライすぎるのかもしれない

ここのところの異常な日々のおかげで、感覚が麻痺しているのか

それとも

梓の背中をさすりながら、純ちゃんが口を開く

「私は、皆さんとは決定的に違う立場にいるんだと思います」



238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 21:18:09.40 ID:X/jRk9l+0

「気を悪くしないでいただけますか。
 …私にとっての唯先輩は親友のお姉さん、という立場でしかありません
 友人でも、同級生でも、部の後輩でも、バンドのメンバーでもない
 だから、私は皆さんとは違うモチベーションで動いていたんだと思います」

確かに、純ちゃんはこれまでに、私たちとは違う立場での言動をちらほらみせていたように思う

「きっと私の気持ちは、みなさんよりも、唯先輩のほうにずっと近いと思います
 私がみなさんと行動を共にしていたのは、唯先輩の所在が心配ってこともありましたが…
 それ以上に、唯先輩が憂のために何をしているのか、ということが気になっていたからなんです」

梓がびくりとして顔を上げた

「純…まさか…?」

「…うん。私もね、気持ちは唯先輩と同じ。仇を討ちたかった。私は憂が大好きだったから
 絶対に、許せないと思ってた。でもね、それはきっと唯先輩も同じ…
 いや、唯先輩のほうが思いは大きいはずだから

 だから、まずは唯先輩を探さなきゃと思った。
 そして、叶うなら、唯先輩と一緒に復讐したいと思ってた
 でも…唯先輩の気持ちは、私なんか入り込んじゃいけないようなところにあり続けたんだね…
 なんか自分が情けなくて」

純ちゃんはた短くめ息をついた



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 21:31:13.64 ID:X/jRk9l+0

私はコーヒーを一口すする。不快な苦味が口の中に広がる

「私は…さ、唯の願いを…叶えてやりたいと思ってる。
 梓の言うとおり、異常なことかもしれないけど…仇を討たせてやりたい
 それが、…私たちの、仲間としての、責任なんだと思う」

「責任…」

「ああ、責任だ。私たちのうちの誰一人として、今日まで唯の力になれなかった。
 そのことに対する、責任だ」

梓が反論する

「でもでも!力になれなかったのは唯先輩が勝手に姿をくらまして、
 私たちの力を欲してもいなくて、だから…」

「求められてからやっと力を貸すのが仲間か?…私は違うと思う
 それに今になって思えば…唯のために、仲間のために、
 もっと遮二無二頑張ることだって出来たはずなんだ」

私はコーヒーをまた一口すすった

「私たちは、もうすでに…仲間失格なんだと思う」

「……かもしれないな」

律が呟いた



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 22:14:25.03 ID:X/jRk9l+0

「私は…それでもやっぱり唯の仲間でいたい。
 だから、私は唯の気持ちを大切にしてあげたい、そう思う」

純ちゃんが聞く

「つまり、澪先輩は現状維持に努めたいってことですか…?」

「いいや」

私は答える

「私たちは私たちで動く」

「え…?」

「唯は唯で、自分の思うようにさせる。
 それとは別個に、私たちも出来る範囲で捜索をする
 今日会って話した限りじゃ…唯の方は、あまり期待できないと思う
 だから、私たちでも時間を見つけて調べて、何か手がかりがあったら、
 唯の頼んでいる探偵なりに匿名で知らせるんだ」

むぎが口元に手を当てて考える

「確かにそうすれば…効率はずっと上がるわね…」



248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/12(木) 23:06:31.51 ID:X/jRk9l+0

律が反論する

「でもそれだと…唯の気持ちを裏切ることになるんじゃないのか?」

梓が同調する

「そうですよ!唯先輩は私たちの力に頼りたくないから…」

「バレなきゃいいんだ」

私はきっぱりと言い放った

「私たちが何もせずに唯が目的を達しても、
 私たちが動いてることを知らないままに唯が目的を達しても
 唯が満足できることに変わりはないと思う」

「それは、そうですが…」

「私たちは唯の力になれる。純ちゃんの目的の手助けにもなる
 その分、私たちは大変になるけどな」

みんな、押し黙ってしまった

「ああ、いや、あくまで私のいち意見だから…別に聞き流してくれて…」

「私は、いいと思います」

私の言葉をさえぎるように、純ちゃんが言った



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/13(金) 01:36:48.43 ID:3x3g8P0G0

「まあ、そもそも私の目的がアレだからかもですけど…」

純ちゃんはそう言って頭をかいた

律が続いて言う

「ま、なーんにもしないでボサっとしてるよりは兆倍マシかなー

「そうね。それに、唯ちゃんの覚悟と決意を…私は無駄にしたくないもの
 出来る限りのことは協力するわ!」

むぎも…。梓は、どうだろう…

「わ、私は…私も、力になれるのなら、なりたいです…
 でも…でもやっぱり、人殺しの手伝いなんて…」

「殺すかどうかはさ、犯人を見つけてからあらためて考えても、遅くはないんじゃないか?」

律があっけらかんとして言った。でも、確かにその通りだ

「梓、律の言う通りだよ。犯人を見つけることと、その、仇を討つことはイコールじゃない
 唯にも、犯人が見つかってもすぐ動くなとは言ってあるしな」

梓はうつむいてじっと考えていた



262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/13(金) 01:45:09.83 ID:3x3g8P0G0

梓は顔を上げた。意を決したようだった

「わかりました。私も、できる限りのことはしてみます!私にも手伝わせてください!」

そう言って、微笑んだ。私は久しぶりに梓の笑顔を見た気がした

「そういうことだ、澪。あたしらは満場一致だ。澪の作戦に乗るよ!」

「みんな…」

私は顔を上げて、みんなの顔を見回す。力強い視線がまぶしかった

「…わかった。私たちは私たちで、責任を果たす!いいな、みんな!!」

「応!!」

待っていてくれ、唯…!



264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/13(金) 02:29:53.73 ID:3x3g8P0G0

私たちはその後、今後どうするかを話し合った

唯のことも自分たちのことも、基本的には他言無用にすること

唯に、私たちも動いていることを気取られぬよう、細心の注意を払うこと

一人だけで深入りをしないこと

連絡は密に行い、有用な情報を共有すること

周囲の人に怪しまれぬようにすること、など…

それから、明日は、梓が憂ちゃんを見つけた場所に行こうということになった

何かヒントになるものが残っているかもしれないからだ

「もう何もないんじゃないか?唯が頼んだ探偵が見つけてるかもよ」

と律は言うが、可能性が少しでも残っているなら、行くべきだろう

カラオケを出た頃には、もう深夜零時をまわっていた

月が妙に明るかった




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唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#前編
[ 2011/10/01 22:07 ] 非日常系 | | CM(0)

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