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唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#後編 【非日常系】


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唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#前編
唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#中編
唯「そこのお兄さんっ!唯とお・ま・ん・こ♪していきませんかっ?」#後編




625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 16:56:36.05 ID:egDVSgjt0

その後私たちはネットで探偵事務所の名前を調べ、電話番号を控えておいた

ただし、そこへの連絡はもう少し先にするべきだ、ということになった

情報に不確定の部分が多すぎる。もう少し煮詰める必要がある

そのためには、2年生コンビの頑張りを期待しないと…

3日後の夕方。梓から連絡が入った

「色々わかったことがあるんです。すぐにみなさんを集めてください!」

どこか自信の溢れる声だった

数時間後の私の部屋。純ちゃんが口火を切った

「ジャズ研の同級生が『喜多上中』の出身だったんで…ほら、これ」

純ちゃんがカバンから出したのは卒業アルバムだった



636 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 19:58:16.08 ID:egDVSgjt0

「おおー!!」

3年生チームがどよめく

むぎが両手をあわせて笑う

「すごい!お手柄よ、純ちゃん!」

「お褒めいただくのはまだ早いですよ」

純ちゃんは不敵に笑った

「その子の家に梓と遊びに行って、いろいろ聞いたんです。
 というか、まあその子がおしゃべりで…ね?」

純ちゃんが梓に笑いかける。あずさは苦笑して

「聞いてもないことぺらぺらしゃべるんだよね…」

「まったくね…まあ、それはいいか。
 で、その子に聞いた話で、この間の3人はほぼ特定できました」



637 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 20:02:24.91 ID:egDVSgjt0

純ちゃんは卒業アルバムを開くと、クラスの集合写真のページを開いた

「『岡本和也』…これがおそらく『かず』です。
 で、その隣の『川口純平』が『ぐっさん』
 それからこっちのクラスの…これ、『杉田恭平』が『タキ』です。
 『すぎ たき ょうへい』で、『タキ』なんでしょうね」

私は尋ねた

「確かに名前とニックネームの関係は自然だな。でもそれだけじゃ材料として弱い」

純ちゃんが語る

「もちろん、そこも聞いてます。この3人はとても仲がよくて、いつもつるんで遊んでいたそうです
 しかも一緒の高校…そう、『梅ヶ峰』を受験しています。そして何より…この『杉田恭平』…」

純ちゃんは一呼吸置いて

「夏でも長袖しか着ていなかったそうです」

と言った



638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 20:04:38.73 ID:egDVSgjt0

「この『杉田』、聞いた話では子供の頃に、腕に大やけどを負ってるらしいんです。
 それを人に見られるのが嫌でいつも長袖を着ていたようですよ」

律はかなり興奮している

「うっしゃあー!!間違いない、こいつらがそいつらだ!!」

しかし、それを制するようにむぎが言う

「でも、犯人は4人組でしょう?残る一人は…?」

「…あー……」

むぎの言葉を聞いて、律は急に萎えたようだ。しかし

純ちゃんはまだ語るべきことがあるようだ



639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 20:06:06.94 ID:egDVSgjt0

「その子に聞いたんです。この3人と特に仲のよかった人はいないのか、って。そしたら
 ええと…こいつです、『三谷晃治』。あの3人とこの『三谷』の4人はすごく仲がよかったそうです
 一部女子の間ではホモなんじゃないかって噂されるくらい…あぁ、失礼しました」

「この『三谷』って人は『梅ヶ峰高校』の人ではないの?」

むぎの問に純ちゃんが答える

「はい、この三谷は進学せずに就職したそうです。どこに就職したかまではわからないけど…」

「ニクシィには加入してないのかな?」

「『タキ』たちが友達登録している人を全員調べてみたけど、
 この三谷に該当するような人はいませんでした

 もしニクシィに加入していれば、絶対に『三谷』も友達登録されてるはずですから。
 多分『三谷』はニクシィに加入していません」

私はそれを聞いて少なからず落胆した

「そうか…容疑者の中学時代の親友ってだけじゃあ
 証拠として弱すぎるな…今も交流があるかすらわからないし…」

と、そこで梓が口を開いた



640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 20:07:58.40 ID:egDVSgjt0

「まだ話は終わっていないですよ、澪先輩!
 私、見つけたんです、この『三谷』のブログ!」

「ほ、本当か、梓!?」

「はい!昨日、手当たり次第に検索ワード入れて検索しまくってたんです。
 そしたら見つかりました パソコン、お借りしますね」

梓は点けっ放しにしてあったパソコンの前に座り、あるページを開いた

『コウちゃんの、こうすればいいんだ日記!!』

というホームページだった。力が抜ける…

梓が画面をスクロールさせる

「ほら、見てください。この画像。そこのアルバムの『三谷』と同じ顔です」

そこには、タンクトップを着てジーパンをはき、

ネックレスをした茶髪のやさ男が木刀を構えている写真があった。

間違いない、『三谷』だ



641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 20:12:55.60 ID:egDVSgjt0

梓がマウスをクリックしページを開いていく

「それにここ、この写真…先週アップされたものです。
 『三谷』は海に行ってるんですけど…
 この、『三谷』と一緒に写ってる男、『岡本』と『川口』です。
 こっちの写真には…ほら、『杉田』ですよ、これ」

卒業アルバムのページと見比べる。
髪は茶髪になっているし、多少雰囲気も変わっているが、間違いない
『三谷』は今も『岡本』『川口』『杉田』と仲が良いのだ

梓はさらにページを開く

「それからもう一つ。…事件があった日の日記です。短いんですけど、こう書いてあります

 『MTCの新エキスパンション「シャドウの夜明け」を大量ゲット。発売日に買えると気分イーぜ!』 」

律が尋ねる

「えむてぃーしー?えきすぱんしょん?何だそりゃ」

「MTCって言うのは『三谷』がハマってるカードゲームで、
 新エキスパンションというのは新しいシリーズのことです
 ほかの日記でも、『三谷』はこのカードゲームについて色々書いてますね」

私には梓の真意がまだ読めないでいる

「それが…どう繋がるんだ?」



650 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:13:29.61 ID:egDVSgjt0

「このブログで『三谷』はこう不満を漏らしています

 『何でこれだけメジャーかつエクセレントかつエンジョイなものがここにしかないかねー
  もっとコンビニとかにも置け!本屋とかにも置け!置け!オーケー!』

 ……正直ムカつきますねこいつ。まあいいや、
 どうやらこのMTCってカードは、この辺にはあんまり置いてる店がないみたいです
 で、『三谷』がMTCを買える唯一のお店がここ…『ゲームショップ ペルセウス』」

「『ペルセウス』!?あの商店街にあるゲームショップじゃん!!」

「はい。つまり『三谷』はあの日、あの商店街にいた可能性が極めて高いんです…!」

繋がった。確かに繋がった…!

・『かず』『ぐっさん』『タキ』『三谷』は事件当日にあの商店街に、一緒に行っている可能性が高い
・憂ちゃんを襲ったのは『梅ヶ峰高校』の生徒で『かず』『ぐっさん』『タキ』は『梅ヶ峰高校』の生徒
・憂ちゃんを襲ったうちの一人は7月なのに長袖のシャッを着ていて、『タキ』は一年中長袖を着ている
・『ぐっさん』は商店街で『良いこと』があったらしいが、
 その『良いこと』が何かを、その日の日記にもその後の日記でもまったく明かしていない

私は叫んだ

「お手柄だ、純ちゃん!梓!もしかすると、もしかするぞこれは!」



656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:23:59.65 ID:egDVSgjt0

律も再び興奮して言う

「とうとう犯人が見つかった!!やったぞ!!」

梓がそれを抑える

「待ってください律先輩。そう考えるのは早計過ぎますよ」

「そうですよ、特に、『三谷』に関しては情報がまだ少ないです。犯人と決め付けるのはまだ…」

律はぺたんと座り込んだ

「まあ…それは、そう…か。…そうだな。あー!でもさー、喜びたいじゃんよー!!」

「そうだな、少しぐらいは喜んでもいいよな」

むぎがニコニコしながら言った

「そうだわ!唯ちゃんが頼んでる探偵さんにこのことを伝えたほうがいいんじゃないかしら?」

そうだ、これだけの情報があれば、その『虎田探偵所』も動いてくれるかもしれない。善は急げだ

ああ。でも…



658 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:42:02.02 ID:egDVSgjt0

「な、なあ、何て言って電話すればいいと思う?
 女子高生の人探しに匿名で情報提供者が現れるなんて変じゃないか?」

「確かにそうですね…」

「しかも、絶対に私たちが情報を提供したって唯にばれちゃダメなんだ。
 その辺の事情をどう説明したらいいかなあ!?」

律が苦笑いして言った

「会議はもう少し長引きそうですかな~?」

その時

律の携帯電話が鳴った

「ん~?ありゃ、さわちゃんだ。心配して電話でもしてきたかな?」

律が通話ボタンを押して携帯電話を耳に当てる

「はい、もしもし……先生?………!!」

律…?…顔色が……

「……唯が、トラックにはねられたって」

律の携帯電話がぼとりと落ちた



663 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:48:18.71 ID:egDVSgjt0

「さわ子先生!!」

病院の廊下。両脇にソファが置いてあり、唯のご両親、とさわ子先生が座っていた

私たちの声に、ハンカチを握り締めたさわ子先生が立ち上がる。目が真っ赤だ

「みんな…!唯ちゃん、唯ちゃんが…!ああっ!!」

さわ子先生はその場に泣き崩れてしまった

律が先生の肩を揺さぶって問い掛ける

「さわちゃん!唯の、唯の容態は!?助かるよな!?
 大丈夫だよな!?さわちゃん!答えろよぉ!」

駄目だ、さわ子先生はただ泣きじゃくっている……唯のご両親!!

私は唯の両親のところへ駆け寄り問い掛けた

「あの!唯のお父さん!唯は、あの、唯さんは大丈夫なんですか!?大丈夫ですよね!?」

「これはねぇ…天罰なんだ…」



665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:48:56.74 ID:egDVSgjt0

何を…言っている?…天罰?

梓が駆け寄り、私と同じように尋ねた

「唯先輩のことを教えてください!怪我の具合はどうなんですか!?
 重いんですか軽いんですか!?教えてください!!」

「これはねぇ、私たちへの罰なんだよ。子供をないがしろにした罰なんだよ。
 神様が、お前たちは子供なんかいらないんだろう、って唯も憂も連れて行ってしまったんだ。
 もう無理だ。もう無理だ。もう無理だ…」

唯のお父さんはうつむいてブツブツ呟くだけだ。

唯のお母さんは…ソファに腰掛けたままぴくりとも動かない

事態がうまく掴めない。心臓が痛いほどに脈を打つ。汗が全身から吹き出す。

めまいを感じて私はソファに倒れこむように腰をかけた

梓は泣きながらおろおろしている。純ちゃんは落着きなくあたりをキョロキョロ見回している

むぎはさわ子先生の傍に寄り添って介抱している。律は…

「澪…」

律が私の横にどさりと座った

「大丈夫だよな…だって、約束したもんな…約束したよ…」

そうだ。約束したんだ。絶対に軽音部に戻ってくると、約束したんだよ、唯…

「ああ。唯は甘えん坊でいい加減なところも多いけど…
 約束を破ったことは一度だってない…!きっと、大丈夫だ…!だから律、泣くな」

私はハンカチで、律の顔をそっと拭った



668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 22:55:43.44 ID:egDVSgjt0

それからしばらくの間、私たちは手術が終わるのを待ち続けた

途中、何とか落ち着きを取り戻したさわ子先生に、ここまでの経緯を話してもらった

今日の夜9時過ぎ、例の歓楽街の交差点で、唯が道路に飛び出し、直進してきたトラックにはね飛ばされた

数分後、救急車が到着し、この病院に搬送された。唯は全身を強く打っており意識不明の重体

身分や住所の証明となるものがなかったため、

病院側は携帯電話の電話帳から自宅及びさわ子先生の電話番号を調べ、連絡した、ということらしかった

道路に飛び出した…?一体なぜ…?

私は『手術中』のランプをぼんやりと見つめていた

唯…私たち、すごい手がかりを掴んだんだぞ…。だから、ちゃんと戻って来いよ…



670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:01:32.42 ID:egDVSgjt0

どれほどの時間、そうしていただろうか

不意に手術室のランプが消えた

唯のご両親以外の全員が立ち上がる

手術室の扉が開き、お医者さんと思しき人と、看護士さんがあらわれた

私たちは一斉に駆け寄り、尋ねた

「唯は、唯は助かりましたか!?」

お医者さんはこう言った

「出来る限りの手は尽くしましたが…残念です。申し訳ありません」





私はその夜、親友を失った



682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:12:57.17 ID:egDVSgjt0

それからのことは、よく覚えていない

みんな、泣いていたような気がする

タクシーに乗って、帰ったような気もする

お葬式に、行ったような気がする

和、信代、姫子…クラスのみんなが泣いていたような気がする

和や信代に何か聞かれたような気がする。私は何か答えたのだろうか

頭の中に靄がかかったような気がして

自分の意志で動いているような気がしなくて

何かを考えることを脳が拒んでいるような気がして

ただ起きて、ただ眠ってを繰り返す日々

私は、夢をみた



693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:46:55.46 ID:egDVSgjt0

私は部室にいた

窓の外は暗い。きっと、夜なのだろう

電気がついていないのに、部屋の中はほんのりと明るく輝いていた

「澪ちゃん」

あ…唯だ

「ごめんね、遅くなって」

「まったく、お前はいつもそうなんだから」

「えへへへ~」

「…なあ、唯。私は、お前に謝らなくちゃいけないことがあるんだ」

「うん…知ってるよ」

「そうか…知ってたのか」

「うん。澪ちゃんは、嘘をつくのが下手だからね~」

「そうかな…。唯、ごめんな」

「…ううん、いいよ。それに、私も謝ることがあるんだ」

「謝ること?」



695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:48:20.10 ID:egDVSgjt0

「私もね、約束を破っちゃったんだ」

「…軽音部に、戻ってくること…か」

「それもあるけど…もういっこ」

「何だろう」

「あの日ね、私は、いつもどおりにお客さんを探してたんだよ」

「うん…」

「そうしたら、若い男の人が、背中を向けて立っていたんだ」

「うん」

「私、その人に声をかけたよ。『お兄さん、私と遊ばない?』って」

「それで?」

「その人が振り向いて、私の顔を見たの。すぐに、すごく驚いた顔になったよ」

「…何でだろうな」

「その人は、すぐにもとの顔に戻った。そして今度はニヤニヤ笑い始めたんだ」

「ニヤニヤ?」



699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:50:31.74 ID:egDVSgjt0

「その人はこう言ったよ。『お前さあ、前に俺とヤったことねえ?商店街の裏で』」

「…まさか」

「うん。その人が、憂を傷つけた人。私と憂はよく似てるから、戸惑ったんだね、きっと」

「唯…」

「私ね、頭に血が上った。
 こいつだ、こいつが憂をってそう思ったら、大人しくなんかしていられなかった
 その人に掴みかかった。殺そうとしたんだ、首を絞めて
 でも、私には力が足りなくて、振りほどかれて、倒されちゃった。
 でもその時に、そいつのネックレスを引きちぎってやったよ。
 ざまあみろだよね、たまたまだけどさ
 
 そいつ、悲鳴を上げながら逃げ出した。
 私は起き上がって、必死になって追いかけたよ。そいつの背中しか見てなかった
 それでね、そいつが交差点を突っ切って逃げたから、私も交差点に入ったの。そしたら…」

「わかったよ、唯。もういい。言わなくていい」

「澪ちゃんと約束したのにね、犯人を見つけても、まずは相談するって。約束…破っちゃった」

「いいよ、気にするな」



701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:52:37.43 ID:egDVSgjt0

「ごめんね、澪ちゃん。ありがとう」

「うん」

「…あのね、澪ちゃん。お願いしたいことがあるんだ」

「…何だ?」

「ギー太を、もらってくれるかな?」

「…わかった」

「ありがとう。かわいがってあげてね」

「うん」

「もう、行かなきゃ」

「…そうか」



703 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 23:53:39.61 ID:egDVSgjt0

「うん。さよならだね」

「唯…ひとつ、聞いていいか?」

「うん。何?」

「まだ…恨んでいるのか?」

「…うん」

「…そっか」

「それじゃあね、澪ちゃん」

「ああ」

「みんなにもよろしくね!」

「ああ!」

「さよなら、澪ちゃん!」

「さよなら、唯!」



そこで私は、目を覚ました

頭の中の靄は、すっかり晴れていた



717 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 00:07:32.73 ID:p4PdWPYF0

枕元の携帯電話を見る

時刻は午前10時過ぎ。日にちは…何と

あの日から私は、一週間以上もぼんやりとし続けていたようだ

私はお風呂場へ行くと、汗でびしょ濡れになった服を脱ぎ、脱衣籠に叩き付けた

冷水のシャワーを体中に浴びる

水のつぶてが火照った身体を容赦なく責め苛む

死にかけた感覚が息を吹き返していく

身体の中をどくどくと血が流れる音が聞こえる

覚醒しろ、私

仕事はまだ、終わっていない



815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:40:09.52 ID:p4PdWPYF0

シャワーから上がった私は、冷蔵庫の中にあったお茶のペットボトルをラッパ飲みしてのどを潤した

両手で両頬をパンパンっと叩き、気合を入れる

「さて、と…」

私は部屋に戻り、携帯電話で電話をかけまくった

律、むぎ、梓、純ちゃん…同じ秘密と傷を持つ仲間達だ

律もむぎも、塞ぎ込んでいる様子が電話口からひしひしと伝わってきた

梓は電話に出なかった

純ちゃんは、他の3人よりは、比較的元気を取り戻しているようだった

私は律とむぎに、それから純ちゃんに、私の家に来るようきつく言い含めた

純ちゃんにはさらに、途中で梓の家に行き、無理矢理に引きずってでも連れてくるよう言った

強引だ。独善的だ。一人よがりもいいところだ。だが、それがどうしたというのだ

私の胸には最早、迷いはなかった



816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:41:00.17 ID:p4PdWPYF0

全員が揃ったのは、それから2時間半ほどたってからだった。時刻にして2時少し前

律もむぎも、純ちゃんも、その表情は一様に暗い

梓にいたっては表情が見えないほどに、背筋を丸めてうつむいている

無理もないことだと思う。私も昨日の夜までは、みんなと同じような状態だったのだから

でも、昨日と今日は、やはり違うのだ

深呼吸をひとつ

「私は唯に、後のことを託された」

全員が顔を上げて、私を見た。梓もだ

私は、昨日見た夢の一部始終をみんなに話して聞かせた

「……そこで、目が覚めたんだ。…どうしたお前たち。私がおかしくなった、とでも思うのか?
 確かにたかが夢の話だ。一から十まで私の妄想の産物かもしれないよ
 でも、それでも私はやっぱり、唯の魂が私のところに来たんだと思うんだ…
 唯の無念を、憂ちゃんの悲しみを、私は晴らしてやりたいと思う
 それに何より…私は憂ちゃんと唯を死に追いやったやつを絶対に許せない
 あいつらがのうのうと生き続けるなんて、絶対に許せない。まあ、これは完全に個人的な恨みだけどな
 だから、私はこれからも、復讐のための活動を…いや、ハッキリ言う。犯人を殺すための活動を続けようと思う
 まともな生活には戻れないかもしれない。それも覚悟の上だ
 それで、みんなには、私に協力してくれるかどうか、正直な意見を聞かせて欲しい」



818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:43:05.01 ID:p4PdWPYF0

みんな黙り込んでいる。それはそうだ、無理もないことだろう

夢のお告げで、しかも殺人を決意するなんて…まるで三文ミステリ小説だものな…

「私は協力しますよ、澪先輩」

沈黙を破ったのは純ちゃんだった

「みなさんお忘れかもしれませんが、私のそもそもの目的は憂の仇討ちです
 覚悟なら、この中の誰よりも先にしているはずです
 もし私以外の全員が復讐を諦めていたとしても、私は決して諦めていなかったと思いますよ
 力をお貸しします。だから、私にも力を貸してください、澪先輩」

純ちゃん…

と、今度はむぎが口を開いた

「二つ、条件があります。」

「条件…?」

「私を作戦参謀に任命すること。そして、私の提案には素直に従うこと
 これを守ってくれるのなら、私も力を貸すわ
 …私にだって、どうしても許せないことはあるんだから…」

「むぎ…わかった。その条件を飲むよ」

「うん!」



819 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:43:56.53 ID:p4PdWPYF0

それから、梓が顔を上げた

「この一週間、ずっと考えていました
 私…唯先輩の気持ちがわかりませんでした
 いくら大切な、大好きな妹のためとはいえ、
 殺人を犯そうと思うなんて、絶対におかしいと思っていました

 でも、今ならあのときの唯先輩の気持ち…よく、わかるんです
 本当に、本当に大好きな人を奪われたときの気持ちは…たぶん、理屈じゃないんでしょうね
 …うん、澪先輩、私もやります!このまま泣き寝入りなんて死んでもごめんです!
 私も、私のこの手で唯先輩と、憂の仇を討ちます!」

梓…!

あと、答えを出していないのは律だけだ

律は腕を組み、目をつぶってじっと考えているようだった

私は律に声をかけた

「律…私たちに合わせなくていいんだ。律が思う、率直な意見を聞かせて欲しい
 律が反対したって、誰も律を責めたりしない。裏切ったなんて思わない
 むしろ反対するほうが正しいんだからな。だから、私たちのことは気にしないで…」

「私はさ、すっげームカついてるんだよな!」

私の言葉を遮り、律が言った



820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:44:39.66 ID:p4PdWPYF0

「律…」

「何で澪の夢にしか唯は出なかったんだよ!
 私だって唯と話したかったしお別れも言いたかったんだぞ!
 部長をさしおいて副部長のところにだけ出るなんて、ま~ったくあのドジっ子は~!
 …私のところにも来てくれてれば、澪の代わりに私が発起人になってカッコつけられたのにさ」

「じゃ、じゃあ律…お前も…」

「あったり前じゃんか!考えてたのは梓ばっかじゃないんだぜ?
 私だって、この一週間いろんなことを考えたんだ。考えて考えて…
 もう全部忘れて今までどおりに生きた方がみんな幸せかもな~何てことも思ったけどな…
 やっぱり駄目だ。このままじゃ収まりがつかない!私も、この手で恨みを晴らすぜ、澪!」

「みんな……ありがとう、本当に」

私はタオルで、顔をごしごしとこすった



822 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:45:10.06 ID:p4PdWPYF0

「さて、と」

お茶を新しく淹れて一息つくと、律が話し始めた

「でも、結局犯人が誰なのか、ってことははっきりしてないんだよな~」

痛いところを突かれてしまった。だが、いずれ突かれるところではあったろう

夢で見た唯の言葉を信じるにしても、犯人の顔や名前、特徴などは唯の言葉にはなかった

「また地道な捜査に戻るほかないか…」

私のそんな言葉にみんなが落胆の色を見せた、かに思えた。しかし

「犯人はあの4人組で間違いないと思います」

そう言ったのは純ちゃんだった

「何でそう言い切れるんだ?」

という私の問に、純ちゃんは

「私はみなさんよりもほんの少しだけ復帰が早かったんですよ」

と言って、パソコンの前に座った



824 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:45:52.41 ID:p4PdWPYF0

「みなさん、この一週間で『三谷』のブログにアクセスしましたか?」

誰も答えない。それはまあそうだろう、そんな状態ではなかったはずだ

「私も昨日の夜にやっとチェックしたんですけど…これ、あの日の日記です。読みますね

『マジで最悪!!街で変な女にからまれて首しめられたっつーの!!
 しかも後ろからおっかけられて足ひねるし!お気ニのネックレス引きちぎられるしよォー!!
 もーホントカンベンしろっつの!基地外さんはみんな死んでくださーい(笑)』

…これ、唯先輩ですよ、間違いなく。やっぱり唯先輩、『三谷』が犯人だと見抜いたんですよ」

「本当だ…間違いないな。少なくとも『三谷』は犯人グループの一人だ」

梓が純ちゃんに問う

「でも純、これだけじゃあの『4人組』がとは言い切れないんじゃないの?」

純ちゃんがそれに答える

「まだ続きがあるんだ。こういうブログってね、
 閲覧者が自由にコメントをつけられるようになってるんだよ
 で、このコメント欄を使って、擬似的な会話をすることもできるんだ
 芸能人とか有名なブログなんかだと不特定多数のユーザーがたくさん書き込むから、
 かなり雑然としてわかりづらいけど、

 ほぼ固定ユーザーしか訪問しない個人ブログなんかは、
 必然的にコメント欄も仲間同士でのダベりに使われちゃったりするんだよね」



825 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:47:05.27 ID:p4PdWPYF0

「まさか…!」

「そう、そのまさかです。あの3人と『三谷』が、この日の日記のコメント欄でおしゃべりしてるんです
 読み上げますね

『1:お前何やらかしたんだよwwww         カズヤ
 2:元カノだな。よりを戻すといい          キョウヘイ
 3:イヤイヤ、ちょっと前にトラブった女だよ     管理人
   つかお前らも顔知ってるし            
 4:セブンのバイトのあれか             キョウヘイ
 5:ちげーよジュンPの始めての女だよ         管理人
 6;あー、そりゃ首も締められるわwwwwwww   カズヤ』

 この管理人というのは『三谷』です。『ジュンP』は『川口純平』のことでしょう。
 『カズヤ』と『キョウヘイ』はそのまま『岡本和也』と『杉田恭平』ですね

 5のコメントから察するに、ニクシィの『ぐっさん』の日記にあった『良いこと』とは…
 童貞の喪失、それもレイプによる…ものですね。
 そして3のコメントから察するに、4人全員がそのレイプ被害者の顔を知っている…」

「間違いない…こいつらが諸悪の根源だ…!!畜生!!」

律が床を叩く。梓は伏目がちになって呟いた

「こんなやつらに唯先輩と憂は汚されたんですね…」

むぎがぽつりと呟いた

「唯ちゃんが無茶をしたおかげで、犯人が特定できたのね…」

むぎの言うとおりだった。唯が暴走したおかげで、この日記が書かれたのだから…

唯、お前の頑張りは…無駄じゃなかったぞ…!



830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 21:51:07.65 ID:p4PdWPYF0

標的は定まった。あとは…実行に移すのみだ

いつ、どこでやるか。それを決めなければならない
むぎが口を開いた

「私は、犯人だけに罰が下されるべきだと思うの。みんなの生活は守りたい。
 できれば、これからも今まで通りに暮らしていけるようにしたいと思っているの
 だから…そのために、私の計画に乗ってもらうわ。
 いいよね澪ちゃん、そういう条件だったものね?」

私は小さくうなずいた。自分から買って出た作戦参謀だ、確かな策があるのだろう

「まず、出来れば夏休み中に実行に移したほうが都合はいいんだけれど…」

夏休み中…そういえば、夏休みは残り10日ちょっとしかない。
自分の中の時間の流れ方がおかしくなっている気がした

律が不安そうに言う

「夏休み中ったって…もうあんまり残ってないぞ?」

「うん…そうなのよね…この、お祭の日に4人まとめて始末できれば都合がいいんだけど…」

「お祭の日って…あと5日しかありませんよ?しかも4人まとめてですか?」

「一人一人別々の日に殺すよりも、同じ日に全員のほうが安全なの。
 お祭の日ならなお都合がいいわ でも…今のみんなじゃ到底無理だわ…」

むぎはあごに手を当ててしばらく考えこんだ後、

「みんなの時間を、丸ごと私にちょうだい」

と強い口調で言った



838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:20:14.77 ID:p4PdWPYF0

その夜、私たちはむぎの家に集まった

聞きしに勝る豪邸である

律が口をあんぐりと開けて、まるで呆けたように威容を見つめていた

「いらっしゃい。さあ、入って」

むぎの案内で、門をくぐり、庭へと入る

そのまま真っ直ぐ家の玄関に…は向かわなかった

右に折れ、家の周りに沿うように歩いていく

「なあむぎ、どこへ行くんだ?」

むぎは答えなかった

しばらく歩くと、2階建ての、旅館風の大きな建物が目に入った

「あそこよ。うちの離れなんだけど」

「うちよりずっと大きい…」

梓が呟いた



839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:21:54.72 ID:p4PdWPYF0

むぎは扉に手をかけ、がらがらと開く

そうして私たちのほうを振り返り、言った

「ここに入った以上、4日間は何があろうと、外に出ることは許さないわ
 そして、今後…まともな人生を歩めなくなるかもしれない
 その覚悟が出来た人だけ、入って頂戴」

扉の奥は漆黒の闇だ。まるで地獄の怪物が口を開けて、憐れな獲物を待っているかのよう…

身体がぶるりと震える

でも、もう後戻りする気はないのだ

私は深呼吸をすると、玄関に足を踏み入れた

律も、梓も、純ちゃんも…それに続いた

「そう…いいのね」

むぎが扉をぴしゃりと閉めた

私たちは真の暗闇に包まれた

「ようこそ、『裏 琴吹』へ…」

むぎの声が、ひどく歪んで聞こえた気がした



841 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:25:54.15 ID:p4PdWPYF0

5日後の朝

離れの地下の修錬場に、私たちは車座に座っていた

「みんな、お疲れ様。本当に…よく頑張ってくれたわ」

むぎが感慨深げに呟く

律は笑って、あざの残る手で頭をかいた

「いや~、まったく初めはどうなることかと思ったぜ~」

「本当です。殺す前に殺されるかと思いましたよ」

「ほんとほんと」

梓と純ちゃんも楽しげに答えた。よく見れば身体のあちこちに傷やあざがある

私も、そうなのだろうな

むぎが一つ咳払いをして口を開く

「とはいえ、この4日間の修行は…所詮は付け焼刃に過ぎないわ、
 酷なことを言うようだけれど力を過信するのは危険なの。そのことをよく肝に銘じておいて」

みんなの顔に陰りが浮かぶ

むぎはそれを見ると、にこりと笑った

「でも…大丈夫、私たちなら…きっとできるわ」



843 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:27:18.86 ID:p4PdWPYF0

それから私たちは、最終的な打ち合わせを行い、段取りを確認し、朝食をとった

食後のお茶を飲みながら、むぎが言った

「今から集合の7時までは自由時間とするわ。それぞれ、好きなことをして大丈夫よ
 それに顔を見せておきたい人もいるでしょう?…これで最後になるかもしれないから」

私は顔を見せておきたい人、会っておきたい人を思い浮かべた

両親よりも先に、唯の顔が浮かんだ


私は家に戻り、両親に、この4日間の、嘘の思い出を話した

軽音部の合宿に行っていた、ということにしてあったのだ

両親は変わらぬ笑顔で私の話を聞いていた

私は思わず泣きそうになるのを、必死でこらえていた

お父さん、お母さん、あなたたちの娘は…今夜、人を殺します



846 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:30:27.35 ID:p4PdWPYF0

私は両親とお昼を食べた後、唯の家に行ってみることにした

唯のご両親は…あれからどうなったのだろう

ほどなくして、唯の家に着く

呼び鈴を鳴らすが、反応がない。ドアノブに手をかけて回すと、ドアが開いた

「すみませーん!どなたか、いらっしゃいませんか?
 あの、秋山と言います!唯さんの同級生の、秋山澪と言います!」

反応はない。諦めて、帰ろうかとしたその時、人の動く気配がした

「……唯のお友達ですか…。さあ、どうぞ、上がってください」

現れたのは唯のお父さんだった。

さらにげっそりとやつれて、あの唯や憂ちゃんのお父さんとはとても思えない姿だった

茶の間に案内されると、そこには唯のお母さんが机にもたれるように座っていた

ゆっくりと顔を上げて、会釈をしてくれる。私はこの人の声を、まだ聞いていないと思う

「さあ、お線香をあげてください。唯も憂もきっと喜びますよ…」

お父さんに誘われて、私は祭壇の前の座布団に腰を降ろす

黒い縁取りの中に、笑顔の唯と憂ちゃんがいた



849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:32:14.27 ID:p4PdWPYF0

私はお線香に火をつけ、鈴を叩き、手を合わせた

「もうすぐ…もうすぐだからな。待っていてくれ、唯。憂ちゃん」

私は心の中でそう唱えた

私はそれから、お父さんに許可をもらい、唯の部屋を見せてもらった

雑然としている。唯が家を出てから、誰も手をつけなかったのだろう、あちこちに埃が積もっている

私は目当てのものを見つけて、その前に座った

「久しぶりだな、ギー太」

ギタースタンドに立て掛けられた、唯の相棒

「お前もずっと…寂しかっただろう?
 唯はな、もうこの世にはいないんだ。つらいだろうけど、本当のことだ
 だから私は、唯の無念を晴らす。みんなで唯の恨みを晴らしてやるんだ
 だからギー太、お前も見守っていておくれ、な」

私はそうギー太に語りかけた



851 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:38:29.90 ID:p4PdWPYF0

と、その時

ギタースタンドにしっかり置かれているはずのギー太が、

ゆっくりと私のほうに向かって倒れてきた

私はギー太を両腕で受け止めた

「……そうか、そういうことか…ごめんな、ギー太
 そうだよな、お前だって…悔しいんだよな。
 わかった、お前だけ仲間外れになんかしないよ」

私はゆっくりと、ギー太のペグを弛め始めた


時刻は6時半。私は両親にお祭に行くからと断って、家を出た

ぼんやりと薄暗い道を、私はゆっくりと歩く

今日までの想い出が、ぐるぐると走馬灯のように、糸車のように私の頭の中を回る

唯と初めて会った日のこと、一緒に楽器屋に行ったこと、合宿、文化祭の初ライブ、
クリスマスパーティー、お正月の初詣、新歓ライブ、梓が軽音部に入った日…

唯の笑顔が 憂ちゃんの笑顔が

私の中でぐるぐると回る



852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:39:59.70 ID:p4PdWPYF0

道の途中で、律と合流した

互いに一言も交わさず歩き続ける

次第に暗くなっていく夜道

しかし、私たちの足取りは強く、乱れることもない

私たちは、ただお互いの足音だけを聞いていた

待ち合わせの場所には、もうみんなが待っていた

梓も純ちゃんもよく見るような私服

むぎは、襟元だけ真っ赤な、黒い浴衣を着ていた

「準備はいいわね…?」

むぎの問い掛けに、私たちは強くうなずいた

「応」



853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:42:11.56 ID:p4PdWPYF0

時刻は7時半をまわったところ

標的の4人は、出店の射的に興じている。周りを考えぬ、狂気じみた声だ

「倒れねー!!おいおっさんコレ倒れねーぞ!!サギだろ!サギだろこれおい!!」

「ひゃはははは、つーかお前そもそも当たってなくね?」

「ざけんなよ当たってるってマジでー!!」

「というか当たってたとして欲しいか、これ」

「いやいや、恐竜は男のロマンだからね。まあいらないけど」

律が吐き捨てるように言う

「盛り上がってやがんな、馬鹿どもが」

私は梓に声をかける

「準備はいいか、梓?」

「…はいです!」



856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:44:49.52 ID:p4PdWPYF0

そう言って梓は、左手にかき氷を持って駆け出した

「先輩!早く早くー!!きゃあっ!?」

梓が『三谷』にぶつかる。かき氷がこぼれて、その腕にかかる

「うぉ冷たっ!!おい何すんだてめえ!!」

「ごっ、ごめんなさい!ごめんなさい!あ、あの、よそ見してて、その…」

そこに、私たちは駆け寄る

「おーい、どうした梓…まったく、何をやっているんだお前?」

「あちゃー、このドジっ子め~」

むぎが『三谷』に駆け寄り、ハンカチで腕を拭きながら謝る

「ごめんなさい、大丈夫ですか?お召し物に汚れはありませんか?」

むぎの丁寧な対応に戸惑ったのか、『三谷』は声を上ずらせながら

「お、おぉ…ま、まあ大丈夫だけどよ…気をつけろよマジで」

と言った



861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:49:16.66 ID:p4PdWPYF0

『三谷』の腕を拭き終えたむぎが、

「あの、ご迷惑をお掛けしたお詫びに、何かご馳走させていただけませんか?
 お連れさんたちもご一緒に…いかがですか?」

と下から見上げるように『三谷』を見つめて誘う。この目つきに勝てる男はそうはいまい

『三谷』はオロオロしながら仲間に問い掛けた

「お、おいどうする?なんか言ってっけど」

「いいじゃん!何かおごってもらおうぜ!はいはーい!ゴチになりまーす!」

『岡本』がいかにもお調子者という風に返事をした

よし。第一段階クリア



862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:51:02.89 ID:p4PdWPYF0

私たちはそれから、近くの出店でクレープを買い、4人組と一緒に食べた

観察すると…『岡本』と『川口』がなにやらささやき合い、クスクス笑っている

その目線は確かに、私たちを舐め回すように見ていた

クレープを食べながら、律が提案する

「あのさー、私たちこれから色々見て回ろうと思うんだけど~よかったら一緒に見て回らない?」

むぎが同調する

「それはいい考えだわ~。大勢で見たほうがきっと楽しいもの~!」

「だろ~?ねえ、どう?お兄さん・が・た?」

男たちは二つ返事だった。第二段階クリア



864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:52:44.53 ID:p4PdWPYF0

私たちはそれから、男4人組と一緒に出店を見て回った

その間、それぞれの男の好みをそれとなく観察する

『岡本』はむぎに積極的に話し掛けている

『川口』は純ちゃんと話しながらもちらちらと梓を見ている

『杉田』は口数が少ないが、律に興味を示しているようだ

そして『三谷』は…

「へー、みおちゃんてゆーの!?かわいい名前ー!!
 どんな字書くの?え?わかんね!いいや!!わっかんね!!」

…ともかく、これで標的は定まった

私たちはしばらく歩き、出店の終わるところにまで至った

今までの明るさとは打って変わり、その先はあえかな街灯の光しかなく、暗く寂しい



866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 22:54:46.55 ID:p4PdWPYF0

「もうお店ないねー、もどろうか」

『川口』がそう言った。そうはさせない

私は『三谷』の腕に抱きつくようにすると、無言で闇のほうへと歩いていく

「あれ?ちょっとみおちゃん?」

『三谷』は初めこそ慌てたが、すぐに顔をほころばせて

「あー、なるほどね、うん、いいんじゃね」

と納得し、私と共に歩き出した

それを皮切りに、律と『杉田』、むぎと『岡本』も、別方向へと歩き出す

「あれ?ちょっとお前ら?」

うろたえる『川口』の両腕にそれぞれ梓と純ちゃんが絡みつき、

「もー、あんまり大きな声出さないでくださいよ~」

「それとも…私たち二人じゃ…イヤ?」

と猫なで声で誘った。陥落

私たちはそうして、暗闇の中に溶け込んでいった

みんな…上手くやれよ…!



876 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:05:49.51 ID:p4PdWPYF0

私は少し歩いて、『岡本』さんを人気の少ない小学校の裏手あたりに誘い込みました

「にゃははは!つむぎちゃーん、何でこんなトコ来ちゃってるわけ~?」

「何でって…本当はわかっているんじゃありませんか?」

「え~?やっぱりそうなの~?うーん、おじさんショックだなあ
 こんなにかわいい子が、はじめて会った男と会ったその日にこんなことするなんてさ~」

私は少し甘えるような口調に変えて、こう言いました

「もう…そんなこと言わないで…いじわる」

『岡本』さんはますますニヤニヤと笑います

私はそこで、『岡本』さんの目を見つめて、こう言いました

「もう…じゃあ、ちょっと待って。お願いがあるんです。少し、目をつぶっていてもらえますか?」

「そんなお願い?いいよ!聞いちゃう!いくらでも聞いちゃう!」

『岡本』さんはそう言うと、その場で目をつぶって棒立ちになりました



877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:08:20.82 ID:p4PdWPYF0

私は、右手の関節をボキボキと鳴らすと、『岡本』さんの喉もとを右手で掴みました

「むぐう!?」

力を込めて、一気に締め上げます

ぐっ、ぐぐっ、ぐいっ、…ぶぐっ

『岡本』さんの全身の力が抜け、両手両脚をだらりと投げ出しました

目の玉が飛び出るかというほどに、目が見開かれています。

きっと、何が起きているかわからないうちに死んだのでしょう

私は強く息を吐くと、

「私、一度でいいから外道を縊り殺したかったの」

と呟きました



882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:10:29.69 ID:p4PdWPYF0

私は道の上を『杉田』と歩いていた

『杉田』は口数が少ない。しかし、折に触れて、偶然を装うかのように私の身体に触れてくる

ムッツリスケベが…

「なあ、律ちゃん。どこに行く気だ?」

「ちょっとこの先にな…いいムードのところがあるんだよ」

私はそう言って、目を細めて『杉田』見つめた

『杉田』は目をそらした。頬が赤らんでいたかどうかはわからない

そのまま少し歩くと、ひときわ明るい場所が見えた。公衆トイレである

「あのさ、ちょっとトイレ。あんたはどうする?」

「ああ、俺は…いいよ」

トイレに駆け寄り、中に入る。『杉田』はトイレの壁のすぐそばで、立って待っている

私は『杉田』に気付かれぬように、トイレの窓から外に出る

そしてトイレのふちにジャンプして手をかけ、トイレの上に登った

足音を立てないようにゆっくり進む。トイレの上から、『杉田』の頭が見えた



886 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:12:12.41 ID:p4PdWPYF0

私はドラムスティックを両手に持ち、心の中で数えた

「ワン…ツー…スリー…!」

私は飛び上がり、『杉田』に肩車するような形で飛びついた

「うわぁっ!?」

『杉田』が驚きの声を上げる。騒がれてはまずい

私は即座に両脚を交差させて、『杉田』の首を絞める

声が出せなくなった『杉田』は、長袖の腕で私の両脚を強く掴んだ

私は手の平でスティックを半回転させ、『杉田』の両目めがけて突き入れた

ぶしゅっ!

まだだ

ずぶぶっ!

まだまだ…

ぐじゅっ!

深々と突き刺さったスティックは『杉田』の脳にまで達した

『杉田』はそのまま、前のめりに倒れた



893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:15:50.13 ID:p4PdWPYF0

私は『川口』の右腕に、純は左手に絡みつくようにして、暗い林道を歩きました

「ね、ねえ…どこに行くつもり?二人とも…?」

『川口』はすっかりのぼせ上がって、ニヤニヤしっぱなしでした

「この近くに、公園があるんです…ベンチが大きくて、人もほとんど来ないような公園が」

純、ずいぶん過激だ…。それに過剰に反応する『川口』…。うわっ、気持ち悪いもの見ちゃった…

そうこうするうちに、予定の場所まで来ました

人目は…ない。よし、ここでいい

「『川口』さん、童貞捨てたのいつですか?」

急に純がそんなことを聞いた。何それ!?予定に無いよ!?



894 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:16:31.57 ID:p4PdWPYF0

「え!?な、何でまたそんなこと…」

「いいじゃないですか~、どうせ今から特別な関係になるんだし
 聞いておきたいんですよ、ね?いいでしょ?」

純…大丈夫なの…?

「そ、そう…まあ、いいけど…
 え~とね、7月の最初の頃だったよ。ずいぶん最近だけどね」

「へえ、相手は?」

「あ、あの~ナ、ナンパした…女の子」

「名前は?」

「名前は聞かなかった…い、いや、わ…忘れた」

「その子…『川口』さんとセックスして、何て言ってました?」

「…何でそんなことばっかり聞くんだ?」

まずい!『川口』が不信感を…

ぐじゅっ

その瞬間、純のつま先が『川口』の股間にめり込んでいました



898 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:18:09.55 ID:p4PdWPYF0

『川口』が崩れ落ちる、その瞬間に、純ちゃんはタオルを『川口』の口に押し込みました

「悲鳴は困るんだ」

純が冷たく言い放ちました

『川口』は、股間を押さえて悶えています

「効くでしょう?鉄板入りの安全靴は。さっきの音からして…キンタマ潰れちゃったね
 でもいいよね。もう使わないんだから」

純は淡々と言葉を紡ぎます。怖い…純、怖いよ…純…!

「あんたが童貞捨てるために犯した女の子…どうなったと思う?死んだよ
 お前らが、お前らクズのせいで、私の親友は死んだ。手首切って死んだ
 その子のお姉さんも死んだ。…あんたらが殺したんだ
 だからさ…あたしたちは、あんたらに復讐することにしたわけ
 …多分今ごろ、あんたの仲間も殺されてるよ。
 
 さあて、あんたが先か向こうが先かどっちでしょう?」

「純…!い、いい加減にしなよ!急がないと人が来るよ」

「わかってるって、梓。さあ、やろう。二人でこいつに、止めを刺そう」

と、その時。『川口』が口にタオルを突っ込んだまま、こう言いました

「お…おえんあさい…おえふぁひが…わるふぁっは…ううひへ…」

ごめんなさい、俺たちが悪かった、許して…



908 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:24:21.78 ID:p4PdWPYF0

私はそれを聞いて、何故だかわからないけど、座り込んでしまいました

「純…ごめん…私…できないや」

「梓……」

「わかってる…でも、でもダメなの…やっぱり、私にはできないよ…ごめん…」

「…わかった。梓、あんたはそこにいて。私一人で…やれるから」

私はそのまま、うつむいて泣き続けていました

やがて、『川口』のくぐもった、とても小さな悲鳴が聞こえても

私は、声を出さずに泣き続けていました



911 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:25:02.91 ID:p4PdWPYF0

「なあ、みおちゃん、どこ行くワケ?何かもうスゲー暗いんすけど」

『三谷』が素っ頓狂な声を上げる

私が小声で

「もう夜だから、少し静かに喋ろう?私、ちょっと恥ずかしいよ…」

と言うと、『三谷』は

「おう!了解!みおちゃんの頼みならマジよろこんで聞くぜ!」

と大声で答えた。本当に馬鹿なんだ、こいつ…

私たちは少し歩き、河原のあたりにやってきた

川の水はすでにほとんどなく、大きな石がごろごろしている

「ちょっとここで休もうか」

私たちは芝生の上に腰を降ろした。『三谷』は私の横にぴったりくっついて座る

汗の感覚が気持ち悪くて仕方がない



914 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:26:25.91 ID:p4PdWPYF0

「みおちゃんさあ、何で俺のこと選んでくれたワケ?」

『三谷』がニヤニヤしながら問い掛ける

「あなたが…私を選んでくれたから」

私はそう答えた。まあ間違ってはいない

『三谷』はそれを聞いて、身悶えしながら

「ヤベエ!みおちゃんヤベエ!マジでヤベエ!」

と連呼していた

さて、そろそろか…

私は周囲に人がいないことを確認すると、『三谷』ほうに顔を向けた



915 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:27:00.80 ID:p4PdWPYF0

「ねえ…あのさ…いいよね…?」

その言葉を聞いて、『三谷』はいきなり私に覆い被さってきた

私は必死に止める

「待って!待ってってば!」

「えー?何でよ?みおちゃんが誘ったんだべ?」

「明るいと・・・恥ずかしい。それに、ここじゃ人に見られちゃうかも」

そう言って私は、橋の下に移動することを提案した。『三谷』はそれを了承した

橋の下に移動して、私は腰を降ろした

それから…Tシャツを脱いだ。上半身はブラジャー一枚だ

「きて」

『三谷』はもう何も言わず、私の胸に飛び込んできた



921 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:34:00.25 ID:p4PdWPYF0

『三谷』が夢中で私の胸を弄んでいる間に、私は準備を整えた

バッグから軍手を取り出し、両腕にはめる。そして…

私は『三谷』の名前を呼んだ

「『三谷』くん…」

『三谷』が顔を上げた瞬間

『三谷』の首には、ギー太の弦が巻きついていた



935 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:38:13.60 ID:p4PdWPYF0

ぐいぐいと、ギー太が『三谷』の首に食い込む

『三谷』は必死に、弦を引きむしろうとするが、無駄だった。指の先から血が吹き出ている

ギー太の弦をより合わせたものだ。ベースの弦並みに太い

私はさらに力を入れて締め上げる

『三谷』の口からはあぶくが溢れ、目玉は飛び出んばかりだ

「お前が何で死ぬのか…教えてやろうか?お前は私の親友とその妹を殺した。その報いだ
 でも安心しろ、あの世で二人に謝れとは言わない。
 だって、お前は二人がいるところには行けないからな…!」

『三谷』身体がぴくんと痙攣した。そして、それ切り動かなくなった

私は肩で息をしながら、身体の上の『三谷』をはねのけた。

そして急ぎブラジャーを直し、シャツを着ると

私はそのまま、後も見ずに走り出した



945 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:49:43.84 ID:p4PdWPYF0

それからのことを、あと少しだけ話そうと思う

私は前もって示し合わせていたとおり、むぎの家に集合した

私が行った時にはむぎと律がすでにいて、笑いかけてくれた。

私もぜえぜえと息をしながら、笑いかけた

数分後、涙を流す梓を、純ちゃんが助けながら戻ってきた

一瞬不安に思ったが、純ちゃんは笑った。無事、役目を果たしてくれたようだ

全員の無事と成功が確認された

むぎがそこで、

「それじゃあ、みんな、すぐに帰って。今夜はゆっくり休むといいわ
 後のことは心配しないで大丈夫だから、くれぐれも、迂闊なことはしないようにね」

と言った

私たちは不安な気持ちを持ちながらも、むぎの言葉に従った



952 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/17(火) 23:55:03.48 ID:p4PdWPYF0

私は家に帰ると、すぐにシャワーを浴びて身体を洗った

それからすぐに、布団にもぐった

でも、眠ることはできなかった

これからどうなるのかという不安

『三谷』を殺したときの感触

唯と憂ちゃんの復讐ができたという喜び

色々な思いが廻って、色々な考えが頭を廻って…

私は布団から出ると、キッチンでお父さんのお酒を少し飲み、

ヘッドホンで音楽をかけながら目を閉じた

何も考えぬように、何も考えぬように…

そうしているうちに、私は眠りに落ちていった



963 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:04:00.44 ID:AhTICj1w0

翌朝、私は両腕の筋肉痛で目を覚ました

昨日のことが夢でないことが、起きてすぐにわかってしまった

茶の間に行き、両親と朝の挨拶を交わす

部屋に戻って携帯電話を見ると、むぎからのメールが届いていた

『昨日はおつかれさまでした。すべてうまくいったから、安心して。
 とりあえず、お昼に私の家に来てください。』

という内容だった。すべてうまくいった…?

私は家を出て、律の家に向かった

律は思っていたよりも元気で、

「おっす!おつかれー!」

と挨拶をしてくれた

二人で一緒に、むぎの家に向かうことにした

「なあ、すべてうまくいった、ってどういうことなんだろう…?」

「さあな。でも、むぎの言うことだ。心配はいらないんじゃないか?」



971 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:12:57.95 ID:RVnrbdNN0

むぎの家の離れには、梓と純ちゃんがいた。

梓は私たちが来ると、急に立ち上がり、頭を下げた

詳しい事情を純ちゃんから聞く

私は、その話を聞いて、不思議と安心した気持ちになった。律もそのようで、

「この弱虫!お前には罰を与える!」

と言って梓にデコピンをして、笑った

それからむぎがやってきたので、席に着く

「昨日、高校生の乗る2台のバイクが電柱に衝突し、炎上する事故が起きました
 運転していた二人の少年と二人の同乗者は死亡が確認されました
 スピードの出しすぎによるものと思われます
 おそらく、祭の後の高揚感と、夏休みが終わるということへの苛立ちから、無茶をしたのでしょう」

開口一番、むぎはそう言った

「むぎ…それって…」

「残念よね~、若い命をこんなことで散らせてしまうだなんて~
 …そういうことにしておいて。ね?」



975 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:20:31.83 ID:RVnrbdNN0

「結局…最後はすべてむぎに頼ちゃったか…」

律は申し訳なさそうに言った

「結局、私たちだけじゃ何もできませんでしたね…」

純ちゃんも呟く

むぎは、何も言わなかった

梓が私の顔を見て、聞いた

「澪先輩…私たちがしたことって、正しかったんでしょうか…?」

私は

「これっぽっちも正しくなんてないさ。
 もし私たちが死んでも、きっと唯や憂ちゃんには会えない
 あの4人がいるところに私たちもきっと落ちるよ。でも…」

「でも…?」

「私は少しも…後悔はしていない」

そう答えて、私はゆっくり目を閉じた



おわり




976 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:21:13.90 ID:myN3GDLr0

乙でした



980 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:21:43.35 ID:HALTYXMZ0

まさか仕事にんSSとなるとは…それより何故憂ちゃん殺した

おつ!!



981 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:22:17.96 ID:zH518uNe0


1000前に終わって良かった



982 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:22:18.07 ID:Ctvh/TF10

乙!ちょうど良く終わったな!



983 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:22:22.51 ID:fp5oOACcO

おっつ



987 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:22:59.40 ID:6Ci88PM60

おつ!



988 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:16.40 ID:qJ1cpRGWO

ありがとう
乙様



989 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:22.62 ID:rBo61zE70

乙でした



990 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:25.52 ID:BfAf/l8gO

乙!
スレ終わる前に完結してよかった…!



991 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:28.77 ID:SVFmUdnoO


唯や憂も援交やら自殺やら、死後の世界的にはよろしく無さそうだがなwww

とにかく乙



992 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:38.24 ID:IvIktWaYO

>>975


だが、平沢姉妹を殺した罪は重い



993 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:23:43.72 ID:l2arg96iO

>>1
澪たちはよくやったわ。
なんたって唯の信念を貫いたからな。



999 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:24:01.29 ID:iMLhA7Ex0

いちおつ!!!



1000 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/18(水) 00:24:03.63 ID:DW0wLedM0

乙です





1001 :1001:Over 1000 Thread





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