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唯「平行世界の私達!?」#前編 【カオス】


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唯「平行世界の私達!?」#前編
唯「平行世界の私達!?」#中編
唯「平行世界の私達!?」#後編




1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:24:08.78 ID:2oz0J5CV0

いつも通りの朝。

憂「お姉ちゃーん!そろそろ起きないと、遅刻するよー!」

唯「ん、ふぁ…う~ん」

普段と何も違わない、平凡で平和な一日が今日もまた始まる。
授業をうけて、放課後は軽音部のみんなとお茶して、ギー太もいっぱい弾いて
――いつもと変わらない、だけど楽しい一日が始まる。

唯「いい天気だなぁ~」

憂「お姉ちゃーん?」

唯「今行くよー!」

あんな光景を目にするまでは、そう思っていた。





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:25:17.30 ID:2oz0J5CV0

憂「明日からはもう少し早く起きようね、お姉ちゃん」

唯「申し訳ございません」

憂「うふふ――あ、梓ちゃん」

憂が前方を見て声を上げ、唯もその視線を追う。
名前を呼ばれてちょうど振り返った梓と目が合い、唯はにっこりと笑った。

梓「おはよう憂。おはようございます、唯先輩」

唯「おはよーあずにゃん♪」ダキッ

梓「わっ!朝からやめてくださいよ先輩!」

憂「梓ちゃんも一緒に行こっか」

梓「うん」



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:26:03.24 ID:2oz0J5CV0

他愛もない会話をしつつ、三人は校門をくぐる。

と、生徒たちが次々玄関へと向かう中、

一人立ち止まってきょろきょろしている律の姿が目に入った。

梓「何してるんでしょうね、律先輩」

唯「さぁ…?聞いてみるのが一番だよっ」

唯「おーい!りっちゃーん!」

律「ん…?あっ唯!やっと見つけたぞ!」

唯「あれ?もしかして私に用だったの?」

律「用も何も、お前が急に走り出すから…って、あれ――もう大丈夫になったのか?」

唯「…え?」

律「いや、なんか様子がいつもと全然違ってたからさ」



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:27:23.36 ID:2oz0J5CV0

律の言葉の意味がわからず固まる唯。憂と梓も駆け寄ってくる。

憂「おはようございます、律さん」

律「おはよ、憂ちゃん。ってあれ…その格好――」

梓「律先輩、おはようございます」

口を開きかけていた律に、梓が挨拶する。

その彼女の顔を見た律の顔に、困惑の表情が浮かんだ。

律「ん?あ、あぁ、おはよう。えーっと…」

そして、耳を疑う言葉を口にした。

律「憂ちゃんのお友達?」



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:29:20.12 ID:2oz0J5CV0

梓「え――な、何言ってるんですか?私ですよ、梓です」

律「梓ちゃんっていうのか。えっと、どこかで会ったかな?
  ってか、先輩って?私まだ高一だけど」

唯「り、りっちゃん、さっきから何言ってるの?なんか変だよ、今日のりっちゃん」

律「そ、そうか?んー、やっぱ私変なのかな」

梓「認めちゃうあたり余計に変ですよ」

律「うはっ、案外きついな梓ちゃん」

梓「…やっぱりおかしいです。まるで私のこと…知らないみたいに…」

律「ご、ごめんな。私、おかしいみたいだからさ」

憂「一体どうしたんですか?」

律「うーん、なんていうか…昨日までは普通だったんだけどさ。
  朝目が覚めたら、学校近くの公園に倒れてた」

一同「えぇ!?」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:31:11.40 ID:2oz0J5CV0

梓「あの…それ、本当ですか?」

律「あぁ。自分でもびっくりしたよ。恰好もパジャマじゃなくて制服だし」

唯「え、えー…」

周りの生徒の数が少なくなってきた。

唯はちらりと時計を見た。まだ予鈴までには少し時間がある。

律「混乱してとりあえずベンチに座って落ち着こうとしてたら――」

律「お前がニコニコしながらやって来た」

唯「…わ、私…?」

憂「あの、お姉ちゃんなら朝は私とずっと一緒でしたよ?」

律「マジで?いやでもあれは絶対に唯だったぜ?…ちょっと変わってたけど」

唯「変わってた?」

次から次へと出てくる意味不明な律の言葉に唯が眉をひそめた、その時だった。

律「ひゃー、危ない危ない。遅刻するところだったぜ!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:32:12.76 ID:2oz0J5CV0

梓「律、先輩…?」

律「よう梓!…なんだよそのお化けでも見たような目」

梓だけじゃない。唯と憂も同じような顔をしていた。無理もない。

律が二人いる。異常な光景だ。

律「今の声、まさか――」

律「…ん?」

律達「ええええええええええええええええぇ!!?」

律「な、なん、な…えええええええええええぇ!?」

律?「どういうことなんだ…!?――やっぱり、私がおかしい…?」

憂「」

唯「りっちゃんが…二人!?」

あいた口がふさがらない一同。

だが、そこに追い打ちをかけるかのごとく、彼女はやってきた。


「あ!えへ!りちゃあああああああああああ!」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:33:39.64 ID:2oz0J5CV0

梓「!?」

憂「」

唯「…嘘…」

「あはっwwりちゃ!あははwwwwいたぁ!!」

唯「――わ、たし…?」

奇声に近い笑い声をあげながら律に駆け寄る彼女は、唯そのものだった。
しかし、雰囲気は全くことなるもので、どこか異常さが垣間見える。

律?「こいつだ…公園にいた私を見つけたの」

唯「…ふぇ?」

律「あ、あわわわわ…私だけじゃなくて、ゆ、唯まで…」

唯?「がっこ!りちゃ!がっこ!」

律?「あぁ、学校だよ。そうか、お前早くここに来たくて走り出したんだな」



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:35:27.25 ID:2oz0J5CV0

皆が呆然とする中、どうも様子がおかしい方の律は、はしゃぐ唯にやさしく尋ねた。

律?「なぁ唯。お前、今日朝なんで公園に来たんだ?」

唯?「りっちゃ、いた」

律?「あぁそうだな。でも、お前の家から遠いだろ?」

唯?「ああぁ!いえ!りっちゃ!ゆい、ぽいされた!?」

先ほどのはしゃぎ様が嘘だったかのように、唯はボロボロ泣き始めた。

律?「ぽい…?」

唯?「おきたらういいないの。川なの」

首をかしげる律。だが、唯には何となく理解できた。

唯「――りっちゃんと同じように、
  朝起きたら家じゃなかったんじゃないかな?川岸にいたんじゃない?」

唯?「ああああぁ!えへ!そっくり!!」

唯「そうだね~(確かに変わってるなこの私」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:36:32.38 ID:2oz0J5CV0

予鈴のチャイムが鳴り響く。ポカンとしていた梓たちは、ハッと正気に戻った。

梓「え、えと、とりあえず…どうしますか?」

律?「私とこの唯は授業が終わるまでどこかに隠れてるよ。
   同じヤツが二人もいちゃ、みんなパニックだろ」

律「あ、あぁ、そうだな。何がどうなってんのかさっぱりだけど、
  とりあえず放課後もう一度話し合おう。音楽準備室、来てくれるか?」

律?「わかった。唯、私が一緒にいるから、しばらく大人しくしてような?」

唯?「りっちゃ!いっしょ!あはっ!」

唯「それじゃ、また後で。――憂!しっかり!もう予鈴なっちゃったよ!」

憂「はっ!あ、え、うん!そうだね!お姉ちゃんが二人で幸せだね!」

唯「憂、しっかり!!」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:38:05.94 ID:2oz0J5CV0

授業中

唯(私がもう一人…。まだ寝ぼけてるのかな、私)

律「」

唯(りっちゃんもずっとあんな調子だしなぁ…)

ため息をつきながら、窓の外へと目をやる唯。と、

唯「――ん…?」

校庭に佇む、見慣れない女性の姿が目に入り、唯は目を疑った。

薄汚れた作業服を身にまとい、深くかぶった帽子がその顔を隠している。

長い黒髪と豊満な胸が、その人が女性だという唯一の手がかりだった。

唯(何してるんだろ、あの人。不審者かな…)

先生「こら、平沢。授業中だぞ。よそ見するな」

唯「は、はい!」



15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:39:34.72 ID:2oz0J5CV0

校舎裏

律?「暇だなぁ、唯」

唯?「あいす!おいし!」

律?「そっか、そりゃよかった。金があって助かったよ」

唯?「りっちゃ、どーぞ」

律?「いいのか?――ん、おいしい」

唯?「おいしwwwおいしwwww」

律?(しっかし…一体何がどうなってるんだ?
   私がもう一人。私のことを先輩と呼ぶ梓ちゃんの存在。
   知らないうちに外にいた。もうめちゃくちゃだ)

律?(どうやら唯も知らないうちに、変な場所にいたみたいだし)

律?(――ここは本当に、私の知ってる町なのか…?)

「こんなところで何やってるんですか、唯先輩に律先輩」



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:42:09.10 ID:2oz0J5CV0

律?「!?」

唯?「あああぁ!あずにゃ!」

梓「授業サボってアイス食べてるんですか?…そんな人たちだとは思いませんでした」

律?「あ、梓ちゃん!?何でここに…そっちこそ授業はどうしたんだよ!」

梓「梓、ちゃん?何ですか気持ち悪い。――私は気づいたらここにいたんです。
  意味わかんなくて迷ってたら、先輩方がこんなところでサボってるのが見えたから――」

律?「気づいたらここに…?まさか…。梓ちゃん、私たち朝校庭で出会ったよな?」

梓「だからなんでちゃん付けなんですか?それに、今日律先輩に出会ったのは今が初めてですよ」

律?「…やっぱり」

梓?「今日の律先輩はどうも変ですね。
   とにかく、私は授業に出てきますので。先輩方も早く戻った方がいいですよ」

律?「駄目だ、梓ちゃん。――ここにいるんだ」

梓?「な、何言って――」

律?「いいから」



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:43:39.66 ID:2oz0J5CV0

放課後

紬「二人とも何かあったの?元気ないみたいだけど…」

律「あぁ、うん。何ていうか、ドッペルさんに出会っちゃったっていうか…」

紬「…え?」

律「いや、何でもない。実際に見てもらった方がわかるだろ」

唯「説明しても信じてもらえないだろうしね」

紬「え、えーと…」

律「あぁ、澪掃除当番だから遅れるってさ」

唯「澪ちゃんびっくりするだろうね~」

律「気絶するんじゃないか?現に私だって気が遠くなったし」

紬「…?」



18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:45:08.54 ID:2oz0J5CV0

律「とにかく、早く準備室に入ろう。いろいろと厄介なことになると面倒だし」

そう言いつつ、律は鞄から準備室の鍵を取り出すと、小走りで階段を駆け上がっていく。

唯「あ、待ってよりっちゃん」

紬「厄介…?面倒…?」

ちんぷんかんぷんな様子の紬の背を押しつつ、唯も後を追って駆ける。と、

律「うわああああああああああああぁ!!」

上から律の悲鳴が聞こえてきて、二人は仰天した。

慌てて駆け上がると、準備室の前で腰を抜かしている律の姿が目に入った。

唯「どうしたの、りっちゃん!」

紬「何があったの!?」

律「ム、ムムム…」

律の視線を追って、二人は声を失った。

律「ムギが…もう一人…!」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:46:41.84 ID:2oz0J5CV0

紬?「ご、ごめんなさい!ビックリさせちゃった?」

愕然とする唯。抜け殻のようになっている紬。

それもそうだろう。

そこにいたのは、関取のように体格のよい、今にも制服が張り裂けそうな状態の紬だった。

律「ふ、二人とも、とにかく中に入ろう。
  運良く今の悲鳴は誰も聞いてなかったみたいだ。騒ぎを起こしちゃややこしいからさ、な?」

唯「う、うん」

紬「」

紬?「本当にごめんなさい。驚かすつもりはなかったの…って、わ、私…!?」

律「私と唯に続いてムギまでか…。ホント、何がどうなってるんだ?」

唯「ムギちゃん、いつからここにいたの?」

紬?「それが、よく覚えてないの。気が付いたらそこのソファで横になってて…」



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:47:58.36 ID:2oz0J5CV0

唯「二人と一緒だね…」

律「ってか、その、随分体格いいな、このムギは」

紬?「そうかしら?」

唯「正直かなりすごいね…」

紬?「確かに立ってるのつらいわ。よいしょ」ギシッ

グシャバキドーン!!

唯「ソファアアアアアアアアアアアア!!」

紬?「さっきまで横になってたからかしら…。ごめんなさい」

紬「」

律「ムギの反応が新鮮に感じてきたよ…」

唯「一気に非現実的なことを目にしたから、早速感覚が麻痺してきたね私たち」



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:48:56.48 ID:2oz0J5CV0

律?「なんか今すごい落としたぞ?」ガチャ

唯?「えへwwwどーん!!!あは!!」

ずっと待機していた二人が、ようやく部室へとやってきた。

律「おぉ、来たか」

唯「入って入って」

紬?「え、えぇえ!!?唯ちゃんに、りっちゃんまで二人…!!」

紬「」フラッ

律?「おっと」ガシッ

律「これが普通の反応なんだろうな」

唯「この出来事に慣れちゃってる自分が怖いよ」



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:50:34.96 ID:2oz0J5CV0

梓?「お邪魔しまーす」

唯「あぁ、あずにゃん聞いてよ。
  もう一人のムギちゃんまで現れたよ。気が付いたらここにいたんだってさ」

梓?「こっちの律先輩から話は聞きました。どうやら私ももう一人いるそうですね。
   …というか、この場合は私が“もう一人の梓”なんでしょうね」

唯「へ?」

律「ま、まさか…」

律?「そのまさかだよ。知らないうちに校舎裏に倒れてたんだってさ。この梓ちゃん」

唯「あずにゃんまで…」

紬?「え?え?話が読めないんだけど…」

梓?「私たちもあなたと一緒で、気が付いたら家じゃない場所で寝てたんですよ」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:51:26.25 ID:2oz0J5CV0

唯?「むぎちゃ!おきて!むぎちゃ!えへっww」

紬「う、う~ん…。今のは夢…?」

唯?「おごwwwむぎちゃ、おきたwww」

律?「お、よかった。気が付いたか」

紬?「大丈夫?」

紬「…さぁ、練習を飲みましょう。
  お掃除ちゃん澪してるっていうから、キーボードでも食べて待ってましょうね」

唯「ムギちゃあああああああああん!!」

律「ムギがここまで混乱してるのは初めて見るな…」

梓?「そのうち感覚が麻痺して、何でも受け入れるようになりますよ」

律「私らはもうそうなっちまったよ」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:52:24.38 ID:2oz0J5CV0

梓「唯先輩、律先輩、二人は来ましたk――」ガチャ

梓「なんか増えとる!!!」

梓?「どうもです」

紬?「お邪魔してま~す」

梓(えっなにあの関取)

唯「なんだか厄介な感じになってきたね…」

律「もう一人の私が出てきた時点で十分厄介だよ」

紬?「とりあえず、お茶でも飲んで落ち着かない?私が用意するわ」

紬「いえ、大丈夫よ…。ちょっと落ち着いてきたから。
  私が用意するから、みんなとりあえず座って」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:53:19.21 ID:2oz0J5CV0

律?「椅子足りるか?」

律「ソファを移動させよう。壊れてないヤツな」

紬?「私は椅子に座るわ。またソファ壊しちゃいけないし…」

唯「え、ちょ、ちょっと待ってムギちゃ――」

紬?「んっ、あら?肘掛けがつっかえて…ふんっふんっ」

梓「む、無理しないで…」

紬?「よいしょっ」バキベキボキ

紬の腹の肉に耐えきれなくなった肘掛けがへし折れる。

唯「いすうううううううううううううう!!!」

唯?「いwwwすwwwwww」

紬?「うん。これでよし」

紬「」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:54:03.45 ID:2oz0J5CV0

律「さて、ムギも落ち着いたところで、もう一回状況を整理してみるか」

唯「四人とも、気が付いたら全然訳がわからない所で寝ていたと」

梓「ワープ?する前の生活の記憶があるということは、
  四人とも何らかの超現象で突然生まれたとか、
  私たちから分裂したとかいう訳ではないですよね」

紬?「凄く現実味がない話ね、それ」

梓「すでに十分現実味がない状況なんで、突拍子もないことを考えるしかないんですよ」

梓?「やっぱり分裂って、突拍子もない話だよね…」

梓「え?」

梓?「や、何でもない」

律?「となると考えられるのは…平行世界ってヤツか?」

唯「へーこーせかい?」

梓「パラレルワールドってやつですよ。
  今私たちが生きているこの世界に並行して、
  別次元にも同じような世界がたくさん存在しているっていうお話、
  聞いたことないですか?」

唯「へぇ~…知らなかった」

律?「あくまで作り話…だと思ってたけど、どうもそれが一番正しい気がする」



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:54:54.91 ID:2oz0J5CV0

唯?「あー!あー!りっちゃ!!」

律?「そうだな、難しい話だから暇だよな。ちょっと我慢しててくれよ?」

もう一人の律に甘えるようにすがりつくもう一人の唯。律は優しくなだめる。

唯「じゃあ、みんなはここじゃない別世界の私たちっていうこと…?」

紬?「たぶんそうじゃないかな?昨日まで私がいた部室と雰囲気がちょっと違う気がするわ」

律?「それに、私は梓ちゃんをしらない。
   というか、まだ私は高一なんだ。後輩なんて、中学のときのヤツしかいないよ」

梓「マ、マジですか…」

梓?「でもその梓ちゃんっていうのやめてもらえませんか?なんだか気持ち悪いです」

律「私らは今高三だから…こりゃいよいよ平行世界説が濃くなってきたな」

紬「異世界…なんだか素敵…」

梓「ようやくこの異常な状況に慣れてきましたね。っていうか、楽しんできてますね」



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:56:29.78 ID:2oz0J5CV0

紬がうっとりとした表情をしていると、部室の入り口の扉が開いた。

澪「ごめん、みんな!遅くなった――…」

その音に振り返った一同と目が合う澪。その顔は、笑顔のまま停止した。

律「やべ…」

澪「――うん。ホコリでも目に入ったのかな?人数が多く見える」ゴシゴシ

唯?「あーっ!!みおちゃ!!」

澪「唯、なんだかご機嫌だな」

唯「み、澪ちゃん…とりあえず中に…」

澪「おいおい唯。何も機嫌がいいからって、増えなくてもいいだr――」

澪「」

急に真顔になった澪は、その場に卒倒した。

律?「澪おおおおおおおぉ!!」



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:57:40.00 ID:2oz0J5CV0

律「――と、いう訳なんだ」

澪「」

梓「聞こえてないんじゃないですか?」

律「無理矢理にでも理解させないと、誰かがこの状況を見るたび発狂してたら話が進まないよ」

澪「あ…うふふ…今ならファンタスティックな歌詞が書けそうだぞ…」

律「おーい、帰ってこーい」

唯「りっちゃん、ここはガツンと一発気付けのビンタだよ」

律「なっ…それはさすがに可哀想じゃないか?」

唯「このまま澪ちゃんがずっと妖精さんとお花畑で駆け続けていても構わないっていうの?」

律「いや、でもさ…」

紬?「ここは私の出番ね」ブンブン

澪「わー!!わー!!もうしっかり理解できて自分でもビックリ!!
  信じられないぐらい今落ち着いてる私!!」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 18:59:12.66 ID:2oz0J5CV0

唯「さて、澪ちゃんもようやく理解できたところで…これからどうする?」

律「みんなが平行世界の住民だったとしても、
  ここに来た原因がわかんない以上、帰る方法もわからないだろうしなぁ」

頭を抱える一同。長い沈黙を、梓が破った。

梓「とにかく今は異世界の私たちとこの世界の私たちを区別する方法が欲しいですね。
  ムギ先輩と唯先輩ははっきりわかりますけど、私と律先輩は区別しにくいですよ」

澪「そ、そうだな。そっちの二人は何か自分しか持ってない特徴みたいなのないのか?」

梓?「私はあるっちゃあるんですけど…あまり披露したくないです。
   収集がつきにくいし、きっと皆さんも気味悪いと思いますので…」

唯「えぇ~、気になるなあ…」

梓?「すみません。もう少しだけ、考えさせてください。
   今は私のことは梓2号と呼んでいただいて構いませんから」

そう言いつつ、梓2号はタイをほどきポケットにしまった。区別をつけるためだ。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:00:31.30 ID:2oz0J5CV0

紬?「そっか。区別がつかないなら、作っちゃえばいいのよね」

律?「あ、じゃあ私たちもタイ取っとくか」

律「ま、良い機会だし、平行世界の私たちがどんなことしてるのか聞いてみたいな。
  もしかしたら、そこから解決策が生まれるかもしれない」

唯「じゃあ次は私――」

唯はもう一人の自分へと目をやる。

が、クッキーをぼろぼろこぼしながらあうあう言っているその姿を見て、口を閉ざした。

唯「…は、聞いても無駄っぽいね」

律「じゃあ、私にお願いしようかな。なんか思い出深い話とか、特徴的なこととかないのか?」

律?「私?あー…私もあんまり披露するようなもんじゃないと思うんだけどな」

ガシガシと頭を掻きながら、もう一人の律はちらりと澪を見る。

澪「…?」

律?「…まぁいっか。こっちの澪は知らないだろうし。トラウマほじくり返すことにはならないだろ」



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:01:57.05 ID:2oz0J5CV0

小さく息をつくと、彼女はブレザーを脱ぎ捨て、ブラウスの裾をたくし上げた。

引き締まった腹がそこから覗く。

そこには、いやでも目につく傷跡が刻まれていた。

澪「ひ、ひいぃ!!」

律「な、なんだそれ…盲腸の痕か?」

律?「知らないってことは、やっぱここは違う運命をたどってる平行世界なんだな。
   ――これ、ナイフで刺された痕なんだ」

唯「うぇ!?」

律?「こっちの世界の澪が、ストーカーに襲われてさ。
   助けに行ったらもうボッコボコにされて。挙げ句の果てには刺されちゃったってワケ」

律「」

律?「いやーあん時はやばかったなぁ。生死の境を彷徨ったってヤツ?相当危ない状態だったらしい」

律?「でも、みんなが助けに来てくれて、ずっと傍にいてくれたから、今の私があるんだろうな」

律?「大変な事件だったけど、やっぱ軽音部は最高だって再認識できた出来事だったよ」

律(予想以上に壮絶な人生を送ってらっしゃるこの人)



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:04:01.79 ID:2oz0J5CV0

澪「み、見えない聞こえない見えない聞こえない・・・」

紬「そっちの世界の澪ちゃんは無事だったの?」

最高律「おう、怪我一つ負ってないぜ。
    でも、アイツが男五人に囲まれてる時はさすがに私も足がすくんじゃったよ。
    澪も相当心には傷を負っちゃったんじゃないかな…」

梓「ご、五人も相手に、よく突っ込んで行けましたね…」

最高律「そりゃ怖かったけど、あの時は澪を助けなきゃって必死だったからな。
    何の作戦もなかったから私はやられ放題だったけど、
    澪は助けられたからまぁ良かったよ。この傷跡も名誉の負傷ってヤツだな」

律「何ていうか、すげぇな…。こっちは腐るほど平和だぞ」

唯「うっぐすっ…えぇ話やのぉ」

最高律「なんか恥ずかしいなこれ」

紬「それじゃあ、次は私のお話を――」

紬?「えぇ!?私、りっちゃんみたいな凄い経験、あまりないんだけど…」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:05:08.98 ID:2oz0J5CV0

唯「何でも良いんだよ?私たちの世界は本当に平々凡々で変わったことなんて全然ないからさ」

紬?「う~ん…いろんな記憶はあるんだけど…あんまり言って良いことじゃない気がする」

澪「なんかみんなそんな感じだな」

梓「大丈夫ですよ。どんな変わったことでも、気にしませんから」

紬?「そうねぇ。印象深かった思い出と言えば、軽音部のみんなが丸々と太っちゃった事件かしら」

梓「…はい?」

紬?「一年生の時のことなんだけど、唯ちゃん以外みんな太っちゃったのよね。
   特に澪ちゃんは今の私より酷かったわ。こふーこふー言ってたもの」

澪「」

紬?「あまりに肥大化していた澪ちゃんの体に、
   当時ダイエットに成功していた私は見事に押しつぶされ、生死の境を彷徨ったこともあったわ」

唯(えっなに、何で異世界の私たちそんな波瀾万丈なの?)

律(何だろう、同じ命の危機でも全く違うこの感じ)



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:06:37.23 ID:2oz0J5CV0

最高律「それ、十分凄い出来事だと思うんだけど…」

紬?「なぜかわからないけど、あっという間に回復したわ。そして、あっという間にまた太ったわ」

唯?「あはwwむぎちゃ、でぶwwwwでぶむぎちゃwww」

紬?「」

デブ紬「た、ただのデブじゃないもん!とっておきの、凄い特技があるんだから!」グスッ

梓2号「凄い特技?何ですか、それ」

デブ紬「下のお口の破壊力は抜群なのよ!!」フンス

紬「」

デブ紬「こっちの世界の唯ちゃんの指を根こそぎいっちゃったこともあるわ!」

一同「」

梓2号(唯先輩、何ヤってたんですか!?)



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:07:43.05 ID:2oz0J5CV0

唯「下のお口?って何のこと…?」

律「下あごのことか?ってことは、唯の指を食いちぎったってのか…!?」

澪「き、聞こえない聞こえない聞こえない…」

梓2号(あぁ…純粋というか、無知というか…)

最高律(下のお口って…ア、アソコのことだよな…。
    何で恥ずかしげもなく大声であんなこと言えるんだ…?)カアァ

デブ紬「それだけじゃないのよ!」

紬(ごめんなさい、もうやめて)

デブ紬「私の下のお口はダイヤモンドを生み出すこともできるんだから!」

一同「」

梓2号(駄目だコイツ…早く、何とかしないと…)



40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:09:29.34 ID:2oz0J5CV0

デブ紬「何なら今ここでやってあげても――」

梓「み、皆さんの凄い秘密もわかったところで、そろそろ別なことしませんか!!?」

紬「そうね!ありがとう、もういいわ!」

立ち上がってスカートに手をやっていたデブ紬を、紬は笑顔で強引に押さえつけた。

律「でも、一体どうすりゃいいんだろうな」

梓2号「結局そこに戻るんですよね。みんなここに来るまでに何があったかわからないんですから」

腕を組んでうなる一同。と、唯があれ?と声を出して澪を見た。

唯「そういや、平行世界の澪ちゃんは現れてないよね」

澪「…ホントだな。まあ、そのほうがいいよ。
  いたらややこしいし――なんかいろいろ凄い人が多いし、平行世界って…」

デブ紬「何で私の方を見て言うの?」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:10:38.60 ID:2oz0J5CV0

梓2号「いやでも、そういう人に限って後から凄いのが出てきたりするんですよ」

澪「なっ!へ、変なフラグを立てないでくれ!そんなことないって、絶対」

律「へっへっへ…わかんねぇぞぉ?今にもその扉がガチャッと開いて――」

ガチャッ

澪?「おいお前ら!何で私をおいて勝手にお茶してるんだよ!
   そんなに私を除け者にしたいのか!!
   だいたいお前たちは(中略)謝罪と賠償を要求するニダ!!」ファビョーン

澪「」

律「マジか」

梓「これまた凄いのが来ましたね」

澪?「な…何だよ?何で私がいるんだよ!何でみんなそんないっぱいいるんだよ!
   …わかったぞ。またみんなして私をはめようとしてるんだな!
   ムギの財力でクローンを作って、私を馬鹿にしようってつもりだろ!」

梓2号「いやいや…そんなことして何になるんですか」

紬「さすがにうちの会社でクローンを作ったりはできないわ。
  みんなあなたと同じで平行世界からやってきたのよ」

澪?「何わけのわかんないこといってるんだよ!?私が宇宙人だとでも言いたいのか!?」



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:11:42.55 ID:2oz0J5CV0

澪?「わかった…お前たちがそんな態度をとるなら、私にも考えがある。もうここで死んでやる!」

最高律「なんでそうなるんだよ!?」

澪?「止めても無駄だぞ!もう決めたからな!屋上から飛び降りてやるからな!」

唯「なんていうか、凄いの一言に尽きるね…」

梓「…現れてそうそう死ぬなんて言い出す人ってなかなかいませんよ」

澪?「止めても無駄だからな!絶対に死んでやる!
   お前たちが私を必要としていないのがよくわかったよ!
   さよなら!お世話してやったな!」ダッ

凄い勢いで現れたもう一人の澪は、凄い勢いで去っていった。

最高律「あっ!おい!!」

デブ紬「ど、どうしたらいいのかな…」

澪「」

律「とりあえず、こっちの澪を起こしてやらなきゃ」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:13:07.26 ID:2oz0J5CV0

唯「澪ちゃん、澪ちゃん!」

デブ紬「よーし、ちょっと待ってて」ブンブン

澪「ハッ!目が覚めた!覚醒した!!だから殴らないで!!」

律「よし、気が付いたみたいだな」

最高律「それじゃ急いでもう一人の澪の方に――」

澪が気付いたのを確認して、皆屋上へ向かおうとした。

が、扉の向こうから大きな足音が響いてきて、再び荒々しく扉が開かれた。

澪?「何で誰も追いかけてきてくれないんだよ!?」

梓2号(戻ってくるの早っ!!)

澪?「私は死ぬって言ってるんだぞ!もう絶対に死ぬって言ってるんだぞ!何で誰も心配しないんだ!!」

律「いや…じゃあ、何で戻ってきたんだよ?」

顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていたもう一人の澪は、ぴたりと口を閉ざした。



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:14:06.42 ID:2oz0J5CV0

澪?「それは、あの、えっと…――り、律は、そんなに私に死んで欲しいの…?」グスッ

紬(すごく、面倒くさいです…)

律「そういうわけじゃなくて――」

澪?「そうだよな…。もう一人私がいるんだものな。もう私は必要ないよな。
   グスッわかった、もう消えるよ。今までありがとうな、律」

澪「あ、あの…」

肩を落として、ゆっくりと開いたままの扉へと足を進めるもう一人の澪。

最高律「お、おい、ちょっと待ってて――」

澪?「ねぇ律、覚えてる?…小学校の頃、友達がいなくて一人読書してた私に、
   初めて声をかけてくれたのが律だったんだよね」ピタッ

唯(まだ出て行かないんだ…)



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:15:06.56 ID:2oz0J5CV0

澪?「本当にありがとう、律。お前がいたからここまで生きてこれたんだ。大好きだぞ」

律「澪…」

扉に手をかけ、ゆっくりと閉めていく。が、完全に閉まる直前、ぴたりとそれは止まった。

一同「」

澪? 扉?ω・`)チラッ

一同(め、めんどくさい…)

皆が固まる中、もう一人の唯だけが、ケラケラ笑いながらもう一人の澪に走り寄った。

唯?「みおちゃ!いかないで!みおちゃ、すき!」

澪?「ゆ、唯・・・?」

唯?「みおちゃ、いっしょwww」ギュッ

律(お、こりゃもしかして良い感じか…?)

澪?「うわっやめろよ!…なんだお前、とうとう池沼になったのか?」

律「」




46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:16:03.02 ID:erBY/GOw0

過去のSSキャラが混ざってるのか



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:16:15.49 ID:qPTUomAM0

各SSから出張か





48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:16:19.87 ID:2oz0J5CV0

澪?「触るなよ気持ち悪い!」ゲシッ

池沼唯「う、うえええええええええええええぇえ!!」

蹴飛ばされて床に倒れ込み、大声で泣き始める唯。それを見て、とうとう最高律がキレた。

最高律「いい加減にしろ!!」

澪?「ひっ」ビクッ

最高律「今お前、最低なことしたんだぞ…。わかってるのか!?」

澪?「な、何なんだよ…。何で私が怒鳴られなくちゃならないんだ!」

唯「さすがに私も今のは許せない…」

澪「…同じ自分だとは思えないよ…」

池沼唯「ああああああああああああぁ!!うわあああああああああああああ!!」

律「痛かったよな?もう大丈夫だぞ?だから落ち着こう、な?」

澪?「何で唯の味方するんだ!!池沼なんだぞ!!何でそんなヤツの方が私より大事にされるんだ!!」

澪「もうやめろ!!」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:17:06.11 ID:2oz0J5CV0

澪?「あひぃっ」ビクッ

澪「出て行って。今すぐに」

澪?「なんなんだよ…なんなんだよおおおおおおおぉおおおおお!!」ダッ

奇声をを上げながら走り去る澪。さすがに誰も彼女をフォローしようとはしなかった。と、

ガチャッ

澪?「お菓子もらうの忘れてた」ヒョイパク

澪?「うんうまい。貰って帰るわ」

ガチャッ

一同「」



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:18:00.69 ID:2oz0J5CV0

梓2号「これは酷い。あまりにも酷い」

澪「正直ものすごいショックなんだけど…」

唯「でも、これで全員一人ずつ平行世界の自分が現れたね」

紬「どうにかして解決策を見つけないと、
  こんな調子でどんどん平行世界の私たちが増えてくるのかしら」

梓「洒落になりませんね…」

律「とりあえず、和とかさわちゃんにも相談してみるべきじゃないか?」

唯「憂にも改めて説明しとかなきゃいけないね」

デブ紬「また一から説明していかなきゃいけないわね」

澪「状況が状況だから…。さすがの和もビックリすると思うよ」

そんな話をしていると、再び扉が開いた。

和「お邪魔するわよ」



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:18:48.20 ID:2oz0J5CV0

澪「噂をすれば…」

和「な、何これ…!?どういう状況!?唯が二人!?」

唯「…ん?私だけじゃなくて、他にも――」

和「他のみんなが二人三人いようとどうでもいいのよ!
  あぁ…唯が二人にも増えてしまったら、私はどちらを愛していけばいいの…?」

唯「なん…だと…」

律「おい、まさか――」

和「まぁいいわ。どちらも愛すればいいのよね。
  そういうことだから唯、今日は何色のパンツを履いているの?教えなさい」

唯「違う!絶対この人和ちゃんじゃない!!」

和?「何言ってるのよ。あなたの運命の人、真鍋和その人よ?」

池沼唯「あー!のどかちゃー!!」トテトテ

和?「見切った!」ファサ

無邪気に駆け寄ってきた池沼唯のスカートを、和はためらうことなくめくった。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:19:43.58 ID:2oz0J5CV0

和?「白…」

最高律「な、何やってんだよ和!」

ガチャッ

和「呼んだかしら?っていうか、何騒いで――」

和「」

唯「の、和ちゃんまで!!」

和?「これは…。どうやら唯と愛を語り合うのは少し後回しにするべきのようね…」

唯「語り合ったりしないよ!!」

梓「こっちの和先輩からは想像できないぐらいの変態っぷりですね」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:21:00.32 ID:2oz0J5CV0

律「失礼しまーす」

職員室へと足を踏み入れていく軽音部の五人と和。

律の声に顔をあげたさわ子は、彼女を見て眉をひそめた。

さわ子「あら?りっちゃんにムギちゃん…」

律「何でそんな変な顔するのさ?来ちゃ駄目だった?」

さわ子「そうじゃないけど…さっき帰ったんじゃなかったの?」

一同「へ?」

全員の声が重なった。律と紬ならもう一人も含めて、今までずっと部室にいたのだ。

唯「りっちゃん達ならずっと私たちと一緒だったよ?」

さわ子「あらそう?さっき二人とも一緒に校庭ウロウロしてたじゃない。てっきりもう帰るのかと思ってたわ」

澪「それって…まさか…」

律「――梓、和。さわちゃんに説明頼む。私たちは校庭に行くから」

和「わ、わかったわ」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:22:08.11 ID:2oz0J5CV0

校庭。

唯「さわちゃん先生が見たのって…もしかして、平行世界のムギちゃんとりっちゃんなのかな?」

澪「まだいたって言うのか?一人に一人ずつじゃないの?」

律「そう決まったワケじゃあないだろ?もしかしたら、ムギが言ったみたいに――」

紬「放っておいたらどんどん増えてくるかもしれないってこと…?」

澪「な、なんで私たちばっかり…」

唯「わかんないよ?もしかしたら周りの人たちも増えてるのかも。
  そしていつのまにかこの世界は平行世界の住民達に溢れ――」

澪「き、聞こえない聞こえない…」

律「はいはい、馬鹿やってないでまじめに探すぞ」

紬「さわ子先生の話だと、見かけたのはついさっきだって言ってたから、
  もしかしたらまだ校庭内にいるかもしれないわね」



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:24:02.12 ID:2oz0J5CV0

手分けして探すことになった五人。

唯は正面玄関付近をウロウロしていると、憂と純に出くわした。

唯「あ、憂!と純ちゃん!」

憂「お姉ちゃんどうしたの?何か探し物?」

唯「えっと、りっちゃんとムギちゃんを捜してるんだけど…二人は見てないかな?」

純「律先輩と紬先輩のことですか?
  その二人なら唯先輩みたいにあっちの方で何か探し物してましたけど…」

唯「他には見てない?」

純「…はい?」

憂「お、お姉ちゃん?まさか、律さんとおねえちゃんだけじゃなくて紬さんまで?」

唯「えっと…軽音部全員増えちゃいました」

憂「」

純(話が理解できない)



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:24:47.41 ID:2oz0J5CV0

一方、律は。

律「ややこしいことになる前に早く見つけないと…」

生焼けGirl1「あれ、律?何でこんな所にいるの?」

律「へ?――わ、私を見たのか!?どこで!?」

生焼けGirl1「え、え?えっとさっきあっちで、講堂の方に歩いて行ってたよね?」

生焼けGirl2「う、うん。だから、何でこんな所にいるのかなって…」

律「講堂だな!ありがとう!!」

生焼けGirls「…?」

律は首をひねる二人を尻目に駆け出しながら携帯を取りだし、メールを手早く打った。

『みんな、講堂に来てくれ!』



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:26:05.70 ID:2oz0J5CV0

講堂。

唯「い、いた!」

唯が指した指の先、ステージをぼんやりと眺めている律と紬がいた。

最高律とデブ紬は部室で待っているはずだ。

ということは、この二人はさらに違う世界からきた二人なのだろう。
唯の声に、二人は振り返り目を見張った。

紬?「なっ…」

律?「お前ら…誰だ…!?」

唯「説明お願い、ムギちゃん」

紬「かくかくしかじか」

紬?「平行世界…。じゃあここは、私たちが知ってる世界じゃないのね」

律?「どーりでなんか話がかみ合わなかったり、知らないうちに変なとこにいたりするわけだ」

澪(便利な表現だなぁ…)



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:27:55.37 ID:2oz0J5CV0

律「二人は同じ世界の住人なのか?」

紬?「えぇ、こっちのりっちゃんは私が知っているりっちゃんよ」

律?「気付いたら同じ所にいたしな」

唯「…」

唯は律の質問に答える二人を見つめていた。

なぜだろうか、この二人…何か雰囲気が今までの皆とは違う感じがする。

見た感じはこの世界の二人とほとんど変わりないのだが、

どこかやつれているし、感情の起伏が乏しい。

視線を感じたのか、もう一人の律は唯と目を合わせると、小さく笑った。

律?「なぁ唯…部活、楽しいか?」

唯「え?えと…うん、もちろんだよ!」

律?「…そっか」

笑顔で答えた唯を見て、もう一人の律は少し悲しげに微笑んだような気がした。と、その時だった。

梓「せんぱーい!どうでしたか-!!」



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:28:46.80 ID:2oz0J5CV0

澪「梓!和!」

和「先生に説明は済ませたわ。信じてなかったけど、部室に連れて行ったら呆然としてた」

梓「とりあえず協力はお願いしました。
  平行世界の私たちだと思われる人達を見つけ次第、すぐ保護してくださるみたいです。
  それにしても…やっぱりまだいたんですね」

困ったようにため息をつく梓。唯は二人に視線を戻す。瞬間、背筋に悪寒が走った。

何故だかははっきりわからなかった。ただ、梓を見た二人の様子から何かいやなものを感じたのだ。

唯(気のせい、だよね…)

紬?「梓、ちゃん…」

律?「…」

紬「で、どうしよう?」

和「さわ子先生の助言では、今日はもう様子を見てみるしかないと思うって。
  このまま平行世界の私たちが次々現れて、その中に原因を知ってる人がいるかもしれないから」

澪「いるのかな…」



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:29:31.95 ID:2oz0J5CV0

律「ほいじゃ、二人もとりあえず部室に来てもらおうか。この後のこともあるし」

紬?「…いえ、ごめんなさい。
   ちょっと二人で話したいことがあるから…いいかしら?明日には戻るから」

律?「…あぁ。うまく人目につかないように行動するからさ。準備室にいればいいだろ?」

澪「で、でも、夜はどうするんだ?
  とりあえずみんな、各家に振り分けて泊まってもらうつもりだったんだけど」

紬?「大丈夫よ、気にしないで。良いところ見つけて適当に済ますから」

梓「大丈夫、なんですか?」

律?「…悪い、そういうことだから。じゃあな」

皆が口を開く前にそそくさと二人は講堂から出て行ってしまった。

梓「…なんだか私、あの二人に避けられてる気がします…」

紬「そう?そんな風には見えなかったけど」

唯「…」

唯は開いたままの扉を、ただ黙って見つめた。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:30:24.77 ID:2oz0J5CV0

六人が講堂から出ると、すでに二人の姿は消えていた。

二人を信じてそっとしておこうという律の提案に皆賛成し、部室に戻ろうとしたときだった。

唯「…あ!」

思わず声を上げた唯を皆が振り返る。

その視線の先には、薄汚い作業服を着た女性がぼんやりと突っ立っていた。

紬「…唯ちゃん、知り合い?」

唯「ううん。でも、今日授業中もあの人校庭にいたんだ。
  なんか不思議な雰囲気がするから気になったんだけど――」

和「不審者かしら…」

こそこそと話す声に気が付いたのか、女性は帽子の下からちらりと唯達の方を見る。

と、わずかに見えるその口元が、驚きに開くのが見えた。

女「――…妖精の、お姉さん…?」

唯「は、はい?」



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:31:42.89 ID:2oz0J5CV0

おぼつかない足取りで、女性は唯達に歩み寄る。

少し離れたところで様子を見ていた律が、不審に思って前に出た。

律「アンタ…何なんですか?」

途端、女性が息をのむのがわかった。

女「…り、つ?」

律「…何で私の名前――をっ!?」

女性は突然駆け出したかと思うと、律の体を抱きしめた。

豊満な胸に顔を押しつけられ、律は声にならない呻き声をあげる。

女「律だ…律だ…若いけど…律だ!」

律「ちょ、ぐるし…――!」

澪「あ!!」

女性の帽子が地面に落ちる。その下から現れた顔は、澪にそっくりだった。

澪「まさか…大人の私…!?」

澪?「――!?…私?…若い頃の私…!?」



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:32:37.50 ID:2oz0J5CV0

律「――…さて、とりあえず落ち着きました?」

澪?「…」コクッ

梓「確認ですけど、あなたは知らないうちにこの校庭にいて…この学校に見覚えはない、と」

澪?「…」コクッ

和「学校に見覚えがないんだとしたら、この世界の澪の未来の姿、っていうワケじゃあないわよね」

唯「また平行世界からのお客さんなんだね」

澪?「…?」

澪「ムギ、説明お願い」

紬「かくかくしかじか」

澪?「…異世界…。――でも、嬉しい。私が知ってる律じゃない。けど、また律に会えた」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:33:30.77 ID:2oz0J5CV0

律「あの、何でそんな私が恋しいんですか?
  そっちの世界じゃ幼なじみ同士一緒に出かけたりとかないんですか?」

澪?「幼なじみ…?私は職場で初めて律と出会った。私の人生を変えてくれた、かけがえのない人」

澪「そうなんだ…全然違う運命だな。ちなみにどんなお仕事を?」

澪?「流れてくる瓶に傷がついてないか確認する仕事」

澪「」

律「そ、そうですか。
  でも、職場が一緒なら会う機会多いんじゃ…。そんな寂しがる必要ないですよね?」

瓶澪「――律、数年前に車に轢かれそうになった子供を庇って…亡くなった」

律「」

梓(…こう言っちゃ不謹慎ですけど…)

唯(りっちゃんそんなのばっかりだね…)

律(将来が不安になってきた…)



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:34:44.40 ID:2oz0J5CV0

瓶澪「…律と幼なじみ…羨ましい。律は本当に良い人だった。この世界の律も、良い人のはず」

澪「あ、えと…は、はい、良いヤツだと思います」

律「おいよせよ恥ずかしいなっ」

瓶澪「きっとどの世界でもそう。
   運命が違っても、性格が違っても、心の奥にある本当の姿は変わらないと思う」

唯「意外にファンタジックなことを言うんだね」

紬「でも、確かにそういう所はこの世界の澪ちゃんも変わらないね」

澪(あのめんどくさい私にも同じところがあるとは思いたくないなぁ…)

瓶澪「…」

唯「なんだか全然違う世界みたいだし一応こっちの関係説明しとこっか」

瓶澪「私も…こっちの世界のこと、説明する」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:35:53.66 ID:2oz0J5CV0

和「私と梓ちゃんは出会ったことがない、と」

梓「こうなると存在してるのかどうかもわかりませんね」

瓶澪「軽音部…ベース…」

律「全く知らないって感じの顔だな…」

唯「自殺を考えていた大人の澪ちゃんを救ったのが私…なんか凄い!」

紬「澪さんから見れば、確かに妖精に見えたのかもね」

瓶澪の話を要約すると、
コミュニケーションが苦手で職場でもいつも一人だった彼女に
明るく話しかけ初めて友人になってくれたのが律で、
律の死後後を追って自殺しようとしていた彼女を引き留めてくれたのが唯らしい。

その後頑張って生きていくことを決心した彼女が、
初めて自分から親しくなれた相手が紬で、梓と和の二人には出会ったことはないそうだ。

律「――えっと、どうしようか。澪さんにもついて来てもらうか?家の割り当て考えなきゃいけないし」

瓶澪「いい。私、もう少しウロウロしてみたい。私が知っているようで、知らない町」

澪「えっ、でも…宿泊場所とかは…」

瓶澪「さすがに大人の私が泊まらせてもらうわけにはいかない。お金もある」

澪「そ、それじゃあ…また明日、これぐらいの時間にここに来てくれませんか?
  私達待ってますから。戻る方法をみんなで話し合いたいし」

瓶澪「…」コクン



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/20(日) 19:38:12.56 ID:2oz0J5CV0

瓶澪と別れ、皆は異世界の自分たちが待つ準備室へと戻ってきた。

デブ紬「おかえりなさい」

梓2号「なんだかまた律先輩とムギ先輩が現れたそうですね」

澪「あぁ。でも、ちょっと二人きりになりたいって言って
  どこかに行っちゃったよ。あと、私ももう一人現れた」

最高律「おいおい…マジでどうなってるんだ?」

唯「さっぱりわけがわかんないよぉ」

和「とりあえず、もう下校時刻も近いから家の割り当てしちゃいましょう」

変態和「家の割り当て?」

律「お前らみんなここに寝泊まりするわけにはいかないだろ?
  だから、私達の家にうまく振り分けて泊まってもらうことにしたんだ。
  親には泊まりに来たっていってなんとかごまかして」

梓「親同士話すようなことになったら厄介ですけど…これぐらいしか方法がなくて」

変態和「そうなんだ。じゃあ私、唯の家にお嫁に行くね」

和「おい」




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唯「平行世界の私達!?」#前編
[ 2011/10/02 17:00 ] カオス | | CM(0)

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