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けいおん!の真鍋和ちゃんは卒業旅行どこ行くのかなかわいい#1 【日常系】


けいおん!の真鍋和ちゃんは卒業旅行どこ行くのかなかわいい より
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317378420/l50

けいおん!の真鍋和ちゃんは過去スレ可愛い




141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 04:59:40.36 ID:vgmj1Zw70

人がいない時間帯にひっそりとSSを



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:00:52.10 ID:vgmj1Zw70

引っ越しを目前に控え、もう荷造りもある程度終わり殺風景になった部屋で、
私はどこか物足りなさ、喪失感のようなものを感じながら無為に時間を潰していた。

コーヒーなんて飲まなければよかった、
などと無意味に覚めた頭で後悔したところで、もはや時すでに遅しと言う他ないだろう。

無聊を慰めるために手元にある本の頁をめくりはするが、
その内容は明確な意味を持って私の中に入り込むことはなく、
ただ文字をひとつひとつ目で追いかけているだけに過ぎなかった。

部屋の中はどこまでも静かで、
私が頁を繰る音と、時計の針がかちかちと進む音がやけにうるさく聞こえてしまう。

だけど、そんな静寂はいつまでも続くことはなく、不意に携帯から響く着信音に破られた。

発信者はわざわざ確認するまでもない。
この着信音を設定しているのはただひとりだけなのだから。

それは、私の幼馴染、平沢唯。

「はい、もしもし」

「あ、もしもし、和ちゃん?」

「どうしたのよ、こんな時間に」

「あのね、一緒にお礼参りをしようと思って」

「……え?」





143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:03:14.77 ID:vgmj1Zw70

一瞬、先生方への意趣返しの意に受け取ってしまったが、無論唯がそんなことをするはずもない。

よくよく聞いてみると、
つまり、私たちがこの街を離れる前に、もう一度色々な場所を廻りたいということらしい。
今まで育ててもらった、お世話になった街に「お礼」をして回る、ということだ。

まったく、一体どこでそんな言葉を覚えたのやら。
もっとも、本来の意味を考えると、私の受け取り方が歪んでいるだけなのかもしれないけれど。

「そうね、そういうことなら」

「じゃあ明日ね!」

「ずいぶんと気が早いのね」

思わず苦笑してしまったけれど、
私たちがこの街を離れるときは刻一刻と近づいているのだから、唯の方が恐らく正しいのだろう。

「それで、集合は?」

「うーん……じゃあ、9時に私の家で!」

― ― ― ― ― ―

もう春とはいえまだ少し肌寒い時間、手袋の上から白い息を吐きかけながら人気のない道を歩く。

少々待たされることも想定していたが、
平沢家の呼び鈴を鳴らすと唯はすぐに家を飛び出してきた。少し遅れて、憂も玄関に顔を出す。

「おはよう、二人とも」

私の挨拶に、おはよう、と返す声は綺麗に揃っているあたり、流石はこの姉妹だ。



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:09:42.52 ID:vgmj1Zw70

「ちゃんと起きられたのね」

「ふっふっふ、私だってもう大学生なのです」

どうだ、と言わんばかりの得意げな顔に、思わず笑みがこぼれてしまう。
なるほど、確かに立派になったものだ。
これで、後ろ髪が跳ねてなければ満点だったのだけど。

「それじゃあ、二人とも、行ってらっしゃい」

― ― ― ― ―

とりあえず出発はしたものの、まだ私は具体的な目的地を聞かされてはいない。

どうやら、いつもの通学路のほうへと唯の足は向かっているようだった。

「それで、どこに行くの?」

「うーん、とりあえず、このまま高校に行ってみようか」

三年間、ずっと通い続けた道を二人で歩く。
もしかしたら、これが最後になるかもしれない。

そんな柄にもない感傷を抱く私自身に、少し驚いていた。
自然と足の進みは遅くなり、唯の背中を見ながら歩く形になってしまう。
昔は私が手を引いていたはずなのに、今では幼馴染の背中に追いすがっている。

待って、置いていかないで。

そんな言葉さえ、口を衝いて出そうになる。



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:13:00.84 ID:vgmj1Zw70

「閉まってるね」

「そりゃあ、今日は休日だもの」

辿り着いた高校の門は閉ざされていた。
冴え冴えとした朝日に照らされる校門は、
見慣れたもののはずなのに、どこかいつもより無機質に感じられた。

そうはいっても、恐らく部活のある生徒などは中にいるだろうし、
私だって何度か生徒会の用事で長期休暇中の校内に入ったことはある。
つまるところ、入ろうと思えば何のこともなく入れるということだ。

それでも、何故か尻込みしてしまう。
立ちすくんだまま黙り込んでいる私の顔を、不思議そうな表情で唯が覗き込む。

「あなたたち、何してるのよ」

「あ、さわちゃん」

進むも引くもままならない私を救ったのは、背後から聞こえた恩師の声だった。
振り返ってみると、これまた怪訝な顔をして私たちを見つめている。

「校門の前に突っ立って……教室に忘れ物でもしたの?」

「あのね、私たち、お礼参りに来たんだよ!」

「……はあ?」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:15:41.66 ID:vgmj1Zw70

― ― ― ― ―

「もう、ややこしいわよ」

「ごめんごめん」

卒業生となると、先生と話をするにも
職員室の奥にある応接コーナーに通されて、更にコーヒーまで出してもらえるようだ。

職員室のコーヒーメーカーで淹れたそれは、
音楽準備室でムギが淹れてくれた紅茶とはまた違った味わいがある。

それにしても、私服で学校に来るのは、どうしてもまだ違和感がある。
足元が履きなれた上履きではなく来客用のスリッパなのも、違和感を増幅させる一因なのかもしれない。

「じゃあ、特に用事があるわけでもないのね」

「そうだよ!」

「無意味に堂々としてるわね……」

少し呆れたような声もどこか懐かしい。
唯と先生の他愛もない会話を聞きながら、
時には相槌を打ちつつ、手のひらに伝わるカップの温もりをしばらく楽しむ。

少しずつコーヒーを飲み干していくと、お腹の中まで温かくなったような気がする。

名残惜しいような気がするけれど、コーヒーカップの底が見えた今が潮時なのだろう。
このタイミングを逃したら、いくらでも居座ってしまいそうだ。



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:18:15.08 ID:vgmj1Zw70

「あら、もう行っちゃうの?」

「先生にも会えましたし、お仕事の邪魔したら悪いですし」

「そう……まあ、いつでも来なさいな。コーヒーくらいなら出すわよ」

そう言って、先生は柔らかく笑った。

なんだかんだいって、この人は私の恩師なのだ。

「はい、ありがとうございました」

― ― ― ― ― ―

「それで、次はどこに行こうかしら」

「じゃあ、ちっちゃいころよく遊んでた田んぼの方に行ってみようよ」

「懐かしいわね。小さい頃は蓮華を摘んで遊んでたっけ」

「私はザリガニ釣りをしてたよね」

「そうね、それで、私の家のお風呂をいっぱいにしたわね」

「あ、あの件に関しましては大変申し訳なく……」

「全く……トラウマになるかと思ったわよ」

そういえば、今ではこちらの方にはあまり足を運ぶこともなくなった。
蓮華やザリガニと戯れる歳でもなし、
これといって用事もあるわけでもなし、当然と言えば当然なのだけど。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:21:28.58 ID:vgmj1Zw70

あの頃一面に広がっていた田んぼも随分と少なくなり、
その代わりに真新しい一軒家やアパートが立ち並んでいる。

「ずいぶん、おうちが増えたんだね」

驚きとも感慨ともつかない声で唯が言う。
幼いころ遊んだ田んぼが減っていくのは寂しいけれど、
庭先や道ではしゃぐ子供たちを眺めていると、自然に笑顔になってしまう。

思い出話に花を咲かせていた私たちの横をすり抜けるように、子供たちは走っていく。

と、目の前で転んだ女の子が一人。
私と唯の、あ、という声が重なる。

膝でもすりむいたのだろうか、中々立ち上がる気配がない。
歩み寄り、手を差し伸べようとしたけれど、すぐにその必要はなかったことに気付かされた。

彼女より前を走っていた女の子が振り返り、元気づけるように笑いながら手を差し伸べる。
今度は手を繋いで、子供たちは走りだした。

どこかで見たような光景に、唯と私、どちらから言い出すこともなく、顔を見合わせて笑い合う。

私たちが離れる街で、新しい生活を始める人たちがいる。
あの子たちも、私たちのように蓮華を摘んだりザリガニを釣ったりするのだろうか。

遠ざかる子供たちの背中を見つめながら、ふとそんなことを思った。



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:23:49.65 ID:vgmj1Zw70

― ― ― ― ― ―

とっぷりと日が沈み、街灯が灯る道を二人並んで歩く。
あらかた思いつくところは回って、もう後は平沢家に戻るだけだ。

「今日は、ありがとね、和ちゃん」

会話も途切れがちになっていたところに、ぽつり、と唯がつぶやく。
視線は二人とも自然に足元へと向かっていた。

「どうしたのよ、いきなり」

「やっぱりね、和ちゃんは幼馴染なんだなあって」

「何よ、それ」

答える声が震えていないだろうか。
何故だか、理由もなく心配になる。

「だって、どこ言ったって和ちゃんと一緒だった思い出があるもん」

そう言ってくすくすと笑っていたかと思うと、唯は突然立ち止まって私に視線を向けた。
一人で先に行くわけも行かず、私も唯に合わせて立ち止まる。
そうしていると、唯は意を決したように姿勢を正し、それから思いっきり頭を下げた。

「本当に、今までお世話になりました!」

あまりに唐突で返事に詰まっていると、唯はその姿勢のまま更に言葉を続けた。

「そんでもって、これからもよろしくお願いします!」



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:26:53.49 ID:vgmj1Zw70

随分と突飛ね、なんて笑って誤魔化しそうになるけれど、唯の声はそれを許さないくらい真剣だった。

だから、私もそれと同じくらい心を込めてそれに答える。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

一呼吸おいて、二人同時に顔を上げた。
私と唯の視線がぶつかって、なんだかおかしくて二人で吹き出してしまう。

「ねえ和ちゃん、今日は一緒に晩御飯食べない?」

ひとしきり二人で笑った後、
唯はさっきまでとは打って変わってふざけたように上目遣いでおもむろに切り出してきた。
まったく、最初から、私が断るはずがないことなんてわかっているくせに。

「そうね、じゃあありがたくご一緒させてもらうわ」

どうやら、私も一番にお世話になったのはこの幼馴染らしい。
そして、これからも一番にお世話になることだろう。

時が経って、色々なものが変わっていってしまうけれど、きっとそれだけは変わらない。
二人の思い出を辿ってきた今なら、臆病な私にも、そう信じることができる。



おしまい!



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:28:02.58 ID:vgmj1Zw70

以上です。朝から長々と失礼しました。




154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 05:31:47.93 ID:DULM3+Vg0

ありがとう。なんか和んだわ。



163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/01(土) 07:49:29.41 ID:ugHdi5tq0

>>153
乙乙。とても乙。






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けいおん!の真鍋和ちゃんは卒業旅行どこ行くのかなかわいい#1
[ 2011/10/04 19:29 ] 日常系 | 唯和 | CM(1)

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タイトル:
NO:4518 [ 2011/11/26 18:21 ] [ 編集 ]

ああ、良いねぇ…
この二人の距離感が好きだ。
原作の和ちゃん、どうなるんだろか

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