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紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#9月5日 【クロス】


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紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#index




121 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:01:18.87 ID:hNaTs+3Io


9月5日

唯「おっはよ~」

梓「もうお昼前ですよ?」

唯「感覚的にはおはようなんだよ」

梓「さっき起きたみたいじゃないですか」

憂「さっき起きたんだよ」

梓「・・・」

唯「昨日楽しかったね~」

憂「雨の中みんなで走ってね」

唯「水溜りに飛び込むなんていつ以来だろ」

憂「小学校低学年くらい・・・?」

唯「それくらいかな~」

梓「・・・」

唯「むふふ」

梓「・・・?」

憂「ふふっ」

梓「・・・なに?」

唯憂「「 内緒 」」



122 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:02:00.80 ID:hNaTs+3Io


―――――昼

律「っくしょん!」

澪「えぇー・・・」

律「いや、風邪じゃないぞ。鼻がムズムズしただけだ」

澪「また風邪ひかれたら困るぞ・・・」

律「大丈夫ですって」

澪「・・・」

律「しかし・・・、昨日は意外に楽しかったな」

澪「あぁ・・・」

律「私らを変な目で見ていた人もいたんだぜー」

澪「雨の中傘を持っていてささないんだから、当然だろ」

律「ですね」

澪「・・・だけど」

律「・・・」

澪「・・・梓は、ボンヤリしているだけだったな」

律「雨にうたれながら、感情を出さずに」

澪「・・・多分、探していたんだろうな」

律「むぎを・・・か・・・」

澪「うん」

律「この場にいるはずなのに・・・って感じか」

澪「・・・みんなではしゃいでいたのにな」

律「え、はしゃいだの?」

澪「み、みんながだ」

律「・・・」

澪「・・・」

律「さて、どこへ行きましょう」

澪「決めておけよ」

律「決めないから散歩なんだよっ」



123 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:03:07.08 ID:hNaTs+3Io


唯「おぉ!新曲出てるよ!」

純「マジだ!」

憂「やっぱり一日早く出されていたね」

梓「・・・」

唯「買ってくるよ!」フンス!

テッテッテ

純「買いたいけど目的の代物が・・・くぅ・・・」

憂「歌手としても頑張っているよね~」

梓「・・・」

純「で、なんで梓は表情が硬くなるのさ」

憂「・・・」

梓「・・・なんでもないよ」

純「夏を思い出したんでしょ」

憂「純ちゃん・・・」

梓「そうだよ・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

梓「あの時は純粋に楽しめた・・・」

純「『は』って・・・」

憂「・・・」

梓「・・・CD探してくる・・・・・・」トボトボ

純「最高の夏じゃなくなったのかな」

憂「そんな事ないよ」

純「思い出して辛い顔になってるじゃん」

憂「それでも、私たちが過ごしたあの時間は大切な時間なんだよ」

純「梓はあの時間と今の時間を見比べてしまっているよ」

憂「・・・うん」

純「『あの時はよかった』なんておかしいでしょ」

憂「・・・」

純「梓の中であの時間が眩し過ぎて、今の時間が見えなくなっているんだよ」

憂「そんな事は絶対に無いよ」

純「・・・」

憂「・・・」

純「言い切ったな!」

憂「もちろん」ニコニコ



124 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:04:31.31 ID:hNaTs+3Io


律「今日は快晴だなー」

澪「昨日の雨はなんだったんだろうな」

律「スコールだ」

澪「まさか・・・夏の南国じゃないんだから」

律「夏・・・か」

澪「あ・・・」

律「ん?」

澪「律が絶賛したバイクじゃないか?」

律「おぉ・・・、持ち主の魂が宿っているバイクですね」

澪「・・・もうちょっと言い方変えてくれ」ブルブル

律「このバイクの持ち主の魂が今!」

澪「や、やめろ!」

律「解き放たれる!」

澪「やめろって言ってるだろっ!」

「・・・」

律「そして幾年の月日が流れ・・・」

澪「・・・」ゴクリ

律「平和になりました」

澪「・・・なんだ・・・いい話じゃないか。というか打ち切りじゃないんだから頑張れ」

「・・・人のバイクでなにしてんの?」

律「おぉ、アンタ誰?」

「このバイクの持ち主だよ」

澪「す、すいません」

律「なんで澪が謝るんだよ」

澪「持ち主の魂がどうのこうの言っていたからだよっ」

「持ち主の・・・魂・・・」

律「変な事言っちゃってすいませんでした」

「それはいいけど、どうしてそう思ったの?」

律「へ?」

澪「?」

「・・・」

律「大切にしていそうだから・・・?」

「そっか・・・。うん、ありがと」

澪「???」



125 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:05:45.02 ID:hNaTs+3Io


律「適当に言っただけかもしれないのにお礼いうのかよ」

「相棒が褒められるのは嬉しいだろ?」

澪「・・・なるほど」ウンウン

律「相棒と呼ぶくらい大事にしてんのか」

「まぁね。亡くなった親友のバイクだから当然・・・」

澪「え・・・」

律「・・・」

「あ、ごめん。聞かなかったことにしてくれないかな」

澪「・・・律が言っていた事も外れていないんだな」

律「怖くないのかよ」

澪「大丈夫みたいだ」

「?」

律「なんでもねえよ」

「そうだ、君たち地元の子だよね?」

澪「・・・はい」

律「そうだぜー」

「俺、ルポライターしててさ、ネタに困っているんだけど、この街の面白い場所とかある?」

澪「面白い場所ですか・・・」

律「観光名所とか?」

「いや、観光ガイドに乗っていない場所がいいかな」

澪「・・・」

律「うーん・・・」

「このバイクで色々走ってはいるんだけど、中々みつからなくてね」

澪「見慣れた街だから特別な場所は思いつきません」

律「そうだな~」

「そっか・・・」

澪「ルポライターって聞きましたけど、どんな内容の記事を書くんですか?」

律「いい質問だ」

「普通の質問じゃないのかな・・・」

澪「・・・」

「『旅』を題材にしているんだ」

律「!」

澪「・・・旅」



126 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:06:13.47 ID:hNaTs+3Io


ピッピッピ

梓「・・・」

純「だから、前見て歩かないと危ないって」

唯「大丈夫だよ」

憂「?」

梓「・・・メール来ない」

純「片想いかよ」

唯「ボディガードだよ」

梓「・・・もう一回送ろうかな」

ピッピッピ

唯「あずにゃん!段差だよ!」

梓「大丈夫ですよ」



127 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:07:55.88 ID:hNaTs+3Io


「『ふうらい』って雑誌に載せてもらっているんだ」

律「面白いの?」

澪「本人に聞くなっ!」

「はは、どうだろうね。でも、バイクで旅をする仲間からはいい評価を得ているかな」

律「バイク乗りじゃないと楽しめないのかよ」

澪「批評するなっ」

「俺の記事はバイクが中心って訳でもないんだけどね」

律「ふーん」

澪「この街ではそのネタになるような場所はなかったと・・・?」

「・・・そういうこと」

律「むむむ・・・」

澪「あ・・・」

唯「前みて!あずにゃん!」

憂「ぶつかるよっ!」

梓「え・・・?」

ドンッ

梓「にゃっ」

「ん・・・?」

グラグラ

純「倒れるっ!」

「危ないっ」

グイッ

梓「ぅわっ!」

ガッシャーン

律澪「「 あっ! 」」

純「倒れちゃった」

唯「あ、お兄さんは・・・」

梓「そ・・・うま・・・さん・・・」

轍「そう、ま・・・だよ・・・うまじゃないよ」

律「お、おいバイク!」

澪「傷がっ!」

轍「・・・」



128 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:08:28.61 ID:hNaTs+3Io


梓「ご、ごめんなさい」

轍「・・・いや、気にしないでいいよ。よいしょ」

ガタッ

轍「・・・」

カチッ

ドルルルルルン

轍「・・・ね、大丈夫でしょ?」

律「でも・・・そのバイク・・・」

澪「・・・親友の」

轍「俺は走行中に何度もこけているから、これくらいでは怒られないよ」

梓「?」

律「・・・」

澪「・・・」

轍「壊れるものはいつか壊れるんだから」

唯「・・・」

純「だから前を見ろって言ったじゃん!」

梓「う、うん・・・」

轍「で、話は戻るんだけど、どうして『旅』にくいついたの?」

梓「!」

律「それはだな」

澪「私たちも旅をしたんです」

轍「・・・へぇ」

唯「むぎちゃんのおかげだよ~」

澪「この夏に、みんなでたくさんの景色をみてきたんです」

轍「・・・なるほど」

梓「・・・」

律「ここにはいないけど、その子を中心にしてな」

憂「私も少しだけ参加しました」

純「私なんて一日だよ」

唯「さわちゃんっていう担任の先生もだよ!」

轍(・・・楽しそうに話すな・・・よほどか・・・)



129 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:10:18.14 ID:hNaTs+3Io


律「むぎの幸運から始まった旅だけど」

澪「むぎが居なかったら、私たちはそれらの景色はみられなかったんです」

轍「そうか・・・」

梓「・・・」

轍(・・・あれ、この子だけ・・・どうして・・・表情が曇るんだ・・・?)

純「楽しかったのはマジ!」

唯「たくさんの人とも出会えたもんね!」

轍「・・・キミ達みたいな若い女の子たちが旅を?」

梓「・・・」ムッ

憂「列車の旅でしたから」

唯「そうそう、サバイバルじゃなかったよ」

轍「なるほど、『衣、食、宿』揃っていたんだ」

梓「・・・」ムカッ

律「・・・」

轍「旅・・・ねぇ・・・」

梓「なんですか・・・?」

澪「・・・」

轍「いや、別に・・・」

梓「歯切れが悪いですね・・・」

轍「・・・」

唯「ん?」

梓「いいたい事があるなら、言ったほうがいいんじゃないですか?」

轍「・・・ずいぶんと楽な旅なんだなって」

梓「なっ!」

純「ちょっ!」

クイッ

純「・・・え?」

澪「・・・」

梓「私たちの旅が楽ってなんですかッ!」

轍「着るもの、食べるもの、休みをとれる場所を確保できた旅なんていいよねって言っただけだよ」

梓「バカにしてます!」

轍「・・・」

律「・・・」



131 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:12:39.28 ID:hNaTs+3Io


梓「私たちの旅を・・・、否定されたみたいです!」

轍「どうしてそう思ったの?」

梓「なにを言っているんですか」

轍「俺がしている旅は、寝床を確保して、テントを張って、着る服を洗って、
  食材をかき集め、料理をして、それで半日が終わるんだ」

梓「・・・」

轍「雨風にさらされて、それでもジッと耐えて時が過ぎるのを待つ」

梓「だから、なんですか」

轍「その対極にあるキミ達の旅をバカにしたように聞こえたのかもしれない」

梓「・・・」

轍「だけど、否定なんて絶対にしない。人が旅をする方法なんて千差万別なんだから」

梓「・・・っ」

轍「否定された気分になる隙が空いていたんじゃないの?」

梓「・・・っ!」

轍「・・・」

梓「大切な時間だったから・・・、その時間を嘲笑されたようで嫌だっただけです」

轍「・・・」

梓「・・・あなたの目は濁っています」

轍「・・・!」

唯「あずにゃん!?」

澪「あ、梓!」

律「何言っているんだよっ!」

梓「これで失礼します」

タッタッタ

憂「梓ちゃん!」

純「ったくー!」

タッタッタ

轍「・・・」

澪「す、すいません」

律「ご、ごめんな」

唯「普段はあんな事・・・」



132 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:13:54.96 ID:hNaTs+3Io


轍「・・・ぐふっ」

澪律唯「「「 ? 」」」

轍「あっはっはっは!」

澪「え・・・」

轍「あんな若い子に同じ台詞言われた・・・っ!」

律「な、なにがだよ?」

轍「め、目が濁っているって・・・あっはっは!」

唯「笑う所なの?」

轍「そうだよ、ただし、俺限定の笑いどころだ・・・くふっ」

澪「・・・」

轍「上原のオバァと同じ台詞・・・っ」

律「おばぁ・・・?」

轍「沖縄でのおばあちゃんの敬称だよ・・・ふぅ」

唯「おきなわ・・・」

轍「面白い、な」

澪「どうしてあんな言い方したんですか?」

律「なにか探っているような感じだったな」

轍「・・・みんな楽しそうに話しているのに、あの子だけ違う表情していたからね」

唯「・・・そっか」

律「にぃにぃってのも沖縄の呼び方なのか?」

轍「そうだよ。兄という意味だね」

澪「なるほど、そう呼んでいたわけか」

轍「・・・?」

唯「なんの話?」

律「12歳のハーフがアンタの事そう呼んでいたんだって」

轍「え・・・?」

澪「珍しいから話していたんだよな」

轍「真鶴ちゃんを知っている・・・?」

律「あー、確かそう呼んでたかな」

轍「まさかっ」

ピッピッピ

唯「どしたの?」

轍「着信あったんだ・・・」

澪「?」



133 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:15:59.06 ID:hNaTs+3Io


ピッ

trrrrr

唯「うまさんに聞きたい事があるんだよ」

轍「相馬だっての・・・ちょっとまって」

律「電話かける仕草してただろ」

澪「うまさんって失礼だろっ」

唯「鳥の次は馬だったからだよ」

律「あー、はいはい」

轍「・・・」

『もしもし・・・轍くん?』

轍「あれ・・・、俺の番号だって分かったの?」

『・・・着信音で』

轍「あぁ、そういう事か」

『・・・まだ日本にいるの?』

轍「うん・・・。修平さんから聞いたの?」

『うん・・・』

轍「用事でもあった?」

『・・・』

轍「・・・」

『・・・声を』

『貸して暦』

暦『あっ』

『もしもし、にぃにぃ?』

轍「真鶴ちゃん?」

真鶴『電話・・・今返してもらったの?』

轍「いや・・・、その日のうちに・・・」

真鶴『なんで電話しなかったの、心配していたんだよ?』

轍「携帯電話取り違えただけだよ」

真鶴『私がじゃないの!』

轍「・・・」

真鶴『にぃにぃは誰にでも声をかけるからぁ・・・』

轍「そんなわけないだろ」



134 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:17:19.23 ID:hNaTs+3Io


真鶴『really?』

轍「どうして疑う」

真鶴『私にも声かけたさー』

轍「放っておけないだろ・・・」

真鶴『えへへ、声聞きたかっただけだから。暦に変わるね』

轍「・・・あぁ」

真鶴『はい暦』

暦『うん・・・』

『ガタッ』

真鶴『あ、ごめん』

暦『ううん・・・』

轍(・・・落としたのか)

真鶴『はい、どうぞ』

暦『ありがと』

轍「・・・」

暦『・・・轍くん?』

轍「はいはい」

律「なんだ・・・まだ話してるぞ」

唯「大事な話なんだよ」

澪「・・・」

暦『・・・』

轍「・・・?」

律「季節はずれかと思ったけど、まだアイスの季節だな!」

唯「今日も暑いからね!最適だよ!」

澪「・・・夕方からは気温下がりそうだけどな」

暦『・・・誰?』

轍「・・・え?」

暦『・・・』

轍「あぁ、近所の子達だよ」

律「なんかガキンチョみたいに紹介されたな」ガリガリ

唯「おいしいよね、アイスキャンディー」ガリガリ

澪「近からず遠からずかな」ガリガリ

暦『・・・』

轍「見える・・・見えるぞ・・・暦の軽蔑のまなざしが」



135 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:19:15.31 ID:hNaTs+3Io


暦『楽しそうだね』

轍「・・・仕事が行き詰っているから、楽しくも無いけどね」

暦『ふーん・・・』

轍「引き上げようかと思っていたところだよ」

暦『そうなんだ』

轍「沖縄はどう?」

暦『それなりに』

轍「・・・海琴ちゃんは?」

暦『来週ここに来るって』

轍「そっか・・・」

暦『仕事の邪魔してごめんね・・・切るね』

轍「うん」

暦『・・・頑張ってね』

轍「・・・うん、ありがと」

プツッ

轍「・・・」

唯「りっちゃん隊員!うまさんが眩しいです!」

律「私もそう思っていた所だ!」

澪「・・・」

轍「・・・なにしてんの?」

唯「らぶらぶですなぁ」ニヤニヤ

律「まったくですなぁ」ニヤニヤ

澪「・・・」

轍「キミ達、他人との境界線をとっぱらうの早いよね」

澪「すいません」

唯「どうして謝るのっ!?」

律「達、というより唯がな」

轍「・・・それで、聞きたいことって?」

唯「おぉ、そうだった」ウッカリ

轍「・・・」

唯「あずにゃんに『最高の場所』を教えたのはどうしてかな~って」

律澪「「 『最高の場所』? 」」

轍「あず・・・?」

律「アンタにつっかかった子だよ」



136 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:20:58.01 ID:hNaTs+3Io


轍「あぁ・・・携帯電話取り違えた子か」

唯「そう。あずにゃんだよ」

轍「知っている子と同じ表情していたから・・・かな」

唯「・・・」

轍「その・・・あず・・・本名は?」

律「中野梓だ」

轍「中野さんの大切な人になにかあったんだろうね」

唯「・・・うん」

轍「その人が笑顔でいられる理由が俺にも分かるような気がしたから」

唯「・・・」

轍「俺の知っている子にも色々あってね、だけどその子も強く前に進んでいるんだ」

唯「その場所を知っているの?」

轍「うん・・・。見つけたと、そう言ってくれた」

唯「・・・そっか」

律「・・・」

澪「・・・」

轍「聞きたいことはそれだけ?」

澪「ど、どうやって見つけるんですか?」

轍「・・・キミ達は旅をしたんだよね?」

澪「は、はい」

轍「なら・・・知っているでしょ」

澪「・・・」

律「優しくねえな、アンタ」

轍「・・・俺の目が濁っている理由だよ」

律「なるほどな」

唯「なるほど、なるほど」

澪(迷ってでも自分で見つけろ・・・って事かな)

律「じゃあ私からも質問」

轍「?」

律「さっき、バイクより梓を助けたのはなぜなんだ?親友の・・・その、形見・・・なんだろ?」

轍「・・・最善を選んだだけだよ。バイクを助けようとして、
  両方傷つけたらそれこそアイツに顔向けできないよ」

唯「・・・アイツって誰?」

澪「相馬さんの親友さんだよ」

轍「そう。それに相棒はそんなにヤワじゃないからね」ポンポン



137 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:22:14.03 ID:hNaTs+3Io


律「・・・」

唯「沖縄に縁があるのかもしれないね」

澪「そうだな」

轍「?」

律「引き上げるって言っていたけど、ここから離れるのかよ?」

轍「うん・・・そう思っている所」

澪「そうですか・・・」

轍「どうして?」

律「私達の住んでいる場所に魅力が無いみたいに思われるのもな~」

唯「ひどいよっ」

轍「無いわけではないんだけど・・・おっと、そろそろ移動しないと」

澪「忙しいんですか?」

轍「自由気ままって訳でもないからね」

唯「でも楽しそうだよね」

轍「好きな仕事だから。それじゃ」

律「じゃーな」

澪「それでは」

唯「ばいばい~」

ドルルン

ドルルルルル・・・

律「さて、帰るか」

澪「そうだな」

唯「あれ、りっちゃんと澪ちゃんどうしてここにいるの?」

律「今さら!?」

澪「散歩していただけだよ」

唯「そっか~」

律「でも、正解だったな」

澪「うん」

唯「・・・そっか」



138 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:24:04.66 ID:hNaTs+3Io


純「『目が濁っている』なんて、言っちゃいけないでしょ」

梓「・・・」

憂「・・・」

純「どうしてあんな言い方したかなー」

梓「・・・知らない」

憂「・・・」

純「まったく」ピョン

テッテッテ

純「今度こそ新記録っ」シュッ

チョンチョンチョン

ポチャン

梓「・・・」

憂「隙をつかれたよね」

梓「っ!」

憂「えー・・・と、相馬さんでいいよね?」

梓「・・・」

憂「6つくらい年上・・・かな」

梓「・・・」

憂「バイクが趣味というより、バイクに乗る事が趣味って感じだね」

梓「・・・」

憂「きっとたくさんの景色をみてきたんだろうね」

梓「・・・いいよ。そんな話」

憂「ごめんね・・・。でもちょっと気になって」

梓「へ~、あんなのがいいんだ憂は・・・」

憂「うーん・・・というより、的確に梓ちゃんに踏み込んできたから」

梓「・・・そうだよ。出会って間もないのに、勝手に人の心に触れてきて」

憂「・・・」

梓「もっと悩め、と言わんばかりにかき乱された」

憂「・・・」



139 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:25:03.31 ID:hNaTs+3Io


純「・・・」

梓「身に覚えがある事を言われたから尚更、ざわついた」

憂「身に覚え・・・?」

純「律先輩とちょっとね」

憂「そっか・・・」

梓「絶対に答えを言わない・・・あの人は・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「・・・それが、すごく嫌だ」

憂「答えをくれたら、梓ちゃんは納得するの?」

梓「・・・しない」

純「・・・言ってる事変だよ」

梓「っ!」ピョン

タッタッタ

梓「ッ!」ブンッ

ポチャン

梓「・・・」

純「あんなにイラついてる梓、初めて見た・・・」

憂「・・・うん」



140 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:26:56.74 ID:hNaTs+3Io


―――――夕方

バタン

唯「たっだいま~」

憂「おかえり~」

唯「お腹すいた」

憂「もうちょっとまってね」

唯「はいよ~」

テッテッテ

唯「勉強しよ」

和「・・・え?」

唯「・・・ん?」

和「勉強する・・・って?」

唯「言ったよ」

和「そう・・・邪魔しちゃ悪いからお暇するわね」スッ

ガシッ

唯「まって!」

和「学生の本分を全うしようとしている幼なじみの邪魔はできないわ・・・」

唯「ちゃんとした勉強じゃないんだよ!」

和「なによそれ」

唯「知ってるくせに~」

和「はいはい、分かったから離して」

唯「練習道具取ってくるからまってて」

タッタッタ

和「私がいる事には触れないのね」



141 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:28:28.30 ID:hNaTs+3Io


プップー

和「『え、あ』・・・かしら」

唯「・・・」フルフル

和「・・・難しいわね」

憂「今のは、『い、あ』だね」

唯「正解だよ」

和「黒鍵ですらこれなのよね・・・」

唯「和ちゃん、一緒に頑張ろう」

和「弱音を吐いたわけじゃないわよ」

憂「休憩しよっか、和ちゃん、食べていくよね?」

和「遠慮しとく、夕食すませてからまた来るわ」スッ

ガシッ

唯「そんな~!」

和「また来るって言ったわよ。離して」

唯「そんなぁ~」

ズルズル

和「・・・唯、しっかり食べてる?」

唯「え・・・うん」

和「軽いわよ」

唯「太らないんだよ」

和「・・・」

唯「?」

憂「食べていく?」

和「・・・そうね」



142 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:29:59.42 ID:hNaTs+3Io


憂「お姉ちゃん相馬さんと話してたの?」

唯「そだよ~。その後にりっちゃんと澪ちゃんと座談会したよ」

和「誰?」

唯「あずにゃんとぶつかった人だよ」

和「?」

憂「ケータイの人だよ」

和「あぁ」

唯「えぇー、分かんなかった?」

和「火曜日・・・の話でしょ?ピンとこなかったわね」

唯「明日は日曜日・・・」

憂「一週間経つんだね」

和「なんだかじっくり歩んだ一週間だったわね」

唯「そうだね・・・」

憂「・・・」

和「ごちそうさま、美味しかったわ」

唯「ごちそうさま~」

憂「お粗末さまです」

和「・・・」

唯「歯を磨いてくるよ」

テッテッテ

憂「鍵盤ハーモニカを吹くからね」

和「よく持っていたわね」

憂「押入れにあったの」

和「・・・そう」

憂「・・・」

和「・・・いつもちゃんと食べてるの?」

憂「夕食はあまり食べてなくて・・・」

和「色々考えちゃうのかしらね」

憂「・・・うん。でも、今日は和ちゃんがいてくれてよかった」

和「・・・」



143 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:30:49.52 ID:hNaTs+3Io


憂「・・・」

和「むぎが戻ってきたら・・・またいつものように戻れるわ」

憂「・・・うん」

和「なにかあったの?」

憂「梓ちゃんが・・・ね」

和「・・・そう」

憂「・・・」

和「ひょっとしたら・・・」

憂「?」

和「・・・なんでもないわ」

唯「さぁ、練習するよ~!」

憂「食器片付けてくるね」

和「洗うの手伝うわ」

唯「その横で弾いてるよ!」



144 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/01(木) 23:31:49.01 ID:hNaTs+3Io


ジャカジャカ

Love my days, we're in the laze.

純「梓に教えてみようかな、この曲」


・・・・・・


『否定された気分になる隙が空いていたんじゃないの?』

梓「・・・知った風な・・・・・・」


・・・・・・


澪「ひょっとしたら、梓の・・・いや、私達の旅は終わっていないのかな」

律「・・・だな」

澪「・・・」

律「?」

澪「どうして私の部屋にいるのかなって・・・」

律「ヒマをツブシにキマシタネ」




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[ 2011/10/06 22:02 ] クロス | 風雨来記 | CM(0)

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