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紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#9月11日 後編 【クロス】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#index




350 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:40:44.36 ID:/tE7ZYkDo


律「まだまだ話は尽きないけど、とりあえずどうだ?」

轍「うん・・・」

玉恵「・・・みんなが纏まっている理由が分かったよ」

唯「でへへ」

律「やっぱり記事のネタにはならないよな・・・」

轍「あ、いや・・・面白い話だった。
  俺がこの土地で出会った人がこんな視野を持っているって事で記事になるよ。ありがとう」

律「でも、スッキリしてない顔してるじゃんか」

轍「あー、それは・・・その・・・」

律「?」

梓「ずいぶん前のような、昨日の事のような、とても不思議な感じがしました」

澪「そうだな・・・」

紬「・・・」ニコニコ

憂「律さんにそんな事が・・・」

唯「ういも一緒にみてきたはずだよ」

憂「え・・・あ、そっか・・・」

唯「一緒に観光もしたからね~」

純「くぅ・・・私だけその人と喋ってない・・・」

信代「・・・なんか、律が違ってみえる」

さわ子「変わったのだから当然よ」

風子「・・・」

轍「あの子が中野さんの大切な人・・・なんでしょ?」

律「うん」

轍「話に出てこなかったから、不完全燃焼・・・かな」

律「私は大分端折ったからな・・・、むぎが関わっていないわけじゃないんだけど・・・
  そうだな、澪が見てきた景色の方が分かりやすいかも」

轍「そっか・・・」

唯「はいっ!」ズバッ

律「じゃー次は唯!」

唯「なにから話そうか」ウキウキ

和「ライブはどうかしら」

唯「でも・・・」チラッ

さわ子「放課後ティータイムで話をすればいいじゃない」

唯「そだね」

風子「?」

信代「?」



351 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:42:22.07 ID:/tE7ZYkDo


律「私ら名古屋でライブしたんだぜー」

唯「おぉーっとりっちゃんやい!私の出番を奪わないでおくんなまし!」

梓「・・・」

律「わーかったよ、分かったから」

轍「ライブ・・・?」

梓「・・・」

さわ子「この子たちは学校で、けいおん部に所属して活動しています」

轍「・・・なるほど」

玉恵「澪ちゃん達それぞれ景色が違うの?」

澪「それぞれの出会いがありましたから
  一緒に旅行をしてきましたけど、旅をしたのはそれぞれ違うから景色も異なります」

姫子「そうか・・・和が言っていた事って」

いちご「・・・そういう事なんだ」

和「澪たちそれぞれが目的地へ辿り着く事ね」

純「さすが澪先輩です。かっこいい」キラキラ

唯「・・・」ポツーン

紬「・・・」ヒョイ

パキパキパキ

憂「名古屋でのライブはとても良かったよお姉ちゃん」

唯「でへへ、楽しかったよ」

風子「唯ちゃんも・・・特別な出会いがあったの?」

唯「・・・うん、あったよ~。あの子はね、二つの顔を持っていたんだ」

春子「二つの顔・・・?」

唯「そうだよ、おとなしくて真面目で素直で、とっても可愛い一つの顔
  活発的で元気ではっちゃけてて、とっても可愛い一つの顔」

憂「・・・」

唯「活発的な顔を出しちゃうと周りの人たちに迷惑をかけちゃうんだ
  だけど、仕方がなくって、そうしなくちゃいけなくて・・・
  おとなしい顔になると、とても反省して
  だけどまたはっちゃけた顔を出さなきゃいけなくて
  また反省しちゃって・・・ずっと繰り返して一人で抱えていたんだよ」

和「・・・」

唯「誰も『嫌なら辞めればいい』とは言えないの
  だって・・・とっても健気に頑張っているんだもん」

梓「・・・」

紬「・・・」コクリ

姫子「あ、なんとなく分かっちゃった・・・」



352 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:43:24.47 ID:/tE7ZYkDo


春子「あぁ・・・私もそれが誰なのか分かった」

轍「・・・参加していないんでしょ?」

梓「分からないならしずかにして欲しいです」

轍「・・・」グサッ

玉恵「・・・そっか、夏以来劇的に変化した子がいたよね」

唯「でへへバレちゃった~」

信代「うん・・・。そっか、唯がそうさせたのか」

唯「違うよ~。今のあの子があるのはむぎちゃんのおかげだもん」

紬「・・・」フルフル

唯「ううん。むぎちゃん、私は一緒にいただけだよ。
  あの子の背中をドンと押したのはむぎちゃんだよ」

ギュ

梓「・・・?」

紬「・・・」スラスラ

唯「・・・」

梓「ゆい・・・先輩が・・・ひっぱった」

紬「・・・」スラスラ

梓「一緒にいた事がたいせつ・・・。だそうです」

唯「わ・・・わたしっ・・・は」グスッ

澪「・・・」

紬「・・・」スラスラ

梓「・・・ゆうき・・・を・・・与えたのは・・・ゆい・・・先輩」

唯「うっ・・・っ・・・あり・・・がとぅ」ボロボロ

憂「・・・っ」

いちご「・・・」

玉恵「・・・」

さわ子「私たち置いてけぼりよ」

律「いや、さわちゃんも一緒にいただろ」

さわ子「誰かが言わないと私達以外わからないじゃない」

律「まぁ・・・そうだけどさ」

唯「ご・・・ごめんねっ・・・っ・・・」グスッ



353 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:44:02.10 ID:/tE7ZYkDo


梓「・・・ハンカチ使ってください」

唯「あり・・・がと・・・」ビィイイイイ

姫子「鼻かんだ・・・」

澪「お約束だよな」

梓「そうです」

紬「・・・」ニコニコ

轍(なるほど・・・)

唯「自分の夢があってね、その夢を叶える為に頑張っていたんだよ
  だけど、社会の厳しさが、現実の厳しさが、あの子の夢を潰そうとするの」

和「まだ高校一年15歳の子が・・・ね」

風子「あ、そうか・・・あの子がそうだったんだ」

律「やっと気づいたか風子~」

風子「だ、だって・・・前のあの子の姿見たことないから。私あまりテレビみない」

轍(テレビに出てくる子なのか・・・。アイドル・・・?)

唯「その夢はとっても素敵なんだよ。『みんなが笑顔』という言葉が入っているんだもん」

姫子「うん、素敵な夢だね」

唯「道が険しくても、見えない力で潰されそうでも、あの子は頑張ったんだよ。頑張っているんだよ」

轍「勇気を貰ったから・・・貰っているから、じゃないかな・・・」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・」

唯「そうだと嬉しいよ~」

純「そうですよ、今でもこれからも応援していくじゃないですか!」

唯「そうだよ!」

和「ふふっ、あの子も大変ね、止まる事は許されないみたいじゃない」

唯「疲れたら休んでいいよ~」

憂「そうだね、ゆっくり休んで・・・いいよね」

唯「そうだす!」

律「うわ、また使い出した」

いちご「?」

澪「お気に入りらしい」

姫子「ふふっ、変なの」

玉恵「人は独りでは生きていけない。生きちゃいけないんだね」

唯「うん・・・だって、寂しいもん」

澪「そうだな・・・」



354 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:44:53.00 ID:/tE7ZYkDo


風子「・・・ふぅ」

信代「どうしたのさ?」

風子「話が少し大きくて・・・お腹いっぱい・・・」

唯「マシュマロあるよ~」

さわ子「焚き火で少し焼くとおいしいのよね~」

律「マジかっ!」

唯「やってみよ~」

ジュー

憂「近づけすぎだよお姉ちゃん」

唯「だいじょうぶだよ~。・・・ふぅちゃん、聞くの疲れちゃった?」

風子「ううん・・・。大丈夫、もっと聞きたい」

律「そんじゃ次は澪」

澪「ライブをやったんだ。名古屋で」

玉恵「聞いたよそれ」

唯「焦げちゃった」

澪「楽しかった」

春子「それも知ってる」

憂「焦げた部分ははがせるんじゃないかな」

唯「おぉ、ほんとうだ」

澪「そう!名古屋の遊園地でジェットコースターに乗ったんだ!」

「「 えぇっ!? 」」

轍玉恵「「 ん? 」」

澪「すっごく楽しかった!」キラキラ

律「あ、やべ・・・」

梓「少しずつテンションが上がってきましたね」

紬「・・・」コクリ

澪「長島スパーランドは・・・私にとって楽園だ・・・桃源郷だ」キラキラ

姫子「ちょっ・・・澪!?」

和「大丈夫よ、正常だから」

信代「いやいや、こんな澪は正常じゃないよ」

澪「スペースショット・・・ホワイトサイクロン・・・ジャンボバイキング・・・」キラキラ

風子「全部迫力のあるアトラクションだ・・・」

春子「おいおい・・・」

いちご「・・・どうしたの」



355 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:45:58.59 ID:/tE7ZYkDo


姫子「和・・・例えじゃなかったの・・・?」

和「例えにしておけば、イメージ崩れないでしょ?」

轍「なるほど」

玉恵「キャラが激変したからみんな驚いているのね」

純「また行きましょうね、澪先輩!」

澪「よしっ!」ガタッ

律「今からでは間に合わねえよ。ってかどこへ行こうとしてるんだよ」

さわ子「・・・こうなると少しやっかいなのよね~」

憂「・・・」モグモグ

風子「み、澪さんがこれくらいハイになる程楽しいんだ・・・」ゴクリ

澪「近いうちに一緒に行こうな、風子!」

風子「うん!」

紬「・・・!」

唯「いいね!」

春子「あはは、紬も便乗したな」

梓「・・・」

純「・・・」

憂「・・・」

律「・・・」

和「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「・・・」

轍「?」

澪「・・・あ・・・・・・」

紬「?」

信代「どうした?」

玉恵「今度は澪ちゃんの話を聞かせて欲しいな~」

澪「はい・・・」

春子「あれ、テンション急降下?」

律「素に戻ってしまったんだ、言ってやるな」

風子「?」

唯「一番最初に乗った絶叫アトラクションがフリーフォールなんだよね」

澪「うん」



356 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:47:50.01 ID:/tE7ZYkDo


いちご「最初は怖くなかったの?」

律「文字通り絶叫してたぜ~」

澪「いうなっ!」

轍「・・・」

唯「あれ、どうして乗ろうと思ったの?」

澪「そ、それは・・・」モジモジ

春子「それは?」

澪「じ、自分を変えたかったから・・・
  り・・・みんなに引っ張ってもらってばっかりで、弱いままだったから」

姫子「・・・」

澪「きっかけが欲しかった。ただ、それだけの理由で乗ったんだ」

さわ子「・・・」

梓「知らなかったです」

紬「・・・」コクリ

律「言ってないからな」

澪「言うものでもないしな」

和「そうね・・・」

憂「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

唯「うい・・・?」

憂「うん・・・?」

唯「どうしたの?」

憂「ううん・・・なんでもないよ・・・」

唯「・・・」

轍(なんだろ・・・5人を中心としてるけど・・・どこか崩れそうな感覚・・・)

澪「私の旅は・・・列車に乗車する前から始まっていたんだ」

玉恵「・・・どうしてそういえるの?」

澪「乗車する前に出会った人たちがいたから。その人たちと一緒に景色をみてきた」

律「そうだったな。他人にすぐ気を許していたから、むぎと私はびっくりしたんだぜ」

紬「・・・」ニコニコ

澪「その人たちと出会って、私の旅の方向性が決まっていたんだ。その時は全然気づかなかったけど」

春子「方向性・・・」

澪「強くなる事・・・。みんなについて来いって言えるくらいの自信を持つ事」

さわ子「・・・そうだったのね」



357 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:50:18.11 ID:/tE7ZYkDo


澪「その人たちはコンビで、出会って10日くらいでお互いを信頼していて、唯一無二の存在になったんだ」

轍「・・・へぇ」

澪「お互いを引っ張り合って、お互いを高めあって、お互いを補い合って・・・強く突き進んでいくんだ」

律「とても頼りなさそうな雰囲気で、ずっとおちゃらけているんだけど、心の中では支えあっていた」

澪「うん・・・。私もりつと、むぎと、ゆいと、あずさと、そういう関係になりたいと思った」

姫子(澪がこんな事言うなんて・・・)

澪「だから私はその二人に付いて行って、一緒に観光地を周ったりして、学んでいったんだ
  とても楽しかった。二人といるのが・・・、お互いを引っ張り合っていく二人をみているのが」

春子「・・・」

澪「でも、そんな二人がなんの前触れも無く、別れる事になった
  二人でいればどこまでも突き進んでいけるのに、お互いを支えあえるのに
  足りないものを補っていけるのに、強く・・・いられるのに・・・だ」

梓「・・・っ」

澪「一緒に自分の夢を追いかけ続ける選択肢もあったと思う。
  けど相棒の将来を大切に想って決断したんだ。別れる事を」

風子「・・・」

澪「二人は全く同じ景色をみて、同じ経験を積んでいたんだ。だからこの先もずっと繋がっていける」

いちご「別れたんでしょ?」

澪「うん・・・。別れても、二人は互いを想っている。それほど強固な絆なんだ」

信代「・・・」

澪「私は焦っていたんだ。旅をしてきて、りつもゆいもあずさもどんどん自分を高めていった
  先を歩くみんなに置いていかれるような気がして・・・な」

律「・・・」

澪「だけど、あの二人をみて、それぞれの道を歩んでいった姿をみて・・・私は震えて立ち止まってしまった」

純「・・・」

澪「私は・・・嫌なんだ、大切な人と別れるのが。お互いを高めていける存在を失うのが
  私には耐えられない事だと・・・知った」

梓「・・・!」

澪「みんなに追いついて、別れの時がくる事が。離れてしまう時が、怖くなった」

轍「・・・」

和「・・・」

澪「だけど、迎えに・・・っ・・・来てく・・・っ・・・れた・・・人がいた・・・っ」

玉恵「・・・」

澪「・・・」スゥ

唯「・・・」

澪「・・・」ハァ

律「・・・」



358 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:51:15.19 ID:/tE7ZYkDo


澪「むぎ・・・なんだ」

紬「・・・!」

澪「むぎは・・・私に・・・手を・・・差し伸べてくれた・・・私の手を掴んでくれた・・・私を引っ張ってくれた
  みんなと一緒にいると、教えてくれたんだ」

梓「・・・」

澪「人と人は必ず別れる時がくる。どんなに望んでいなくてもだ
  だけど、むぎが教えてくれた。それは意味のあることなんだって」

玉恵「・・・」

澪「とても・・・大切な事なんだって」

紬「・・・」

澪「今、変われた自分がいるのは・・・あの二人と・・・むぎの・・・おかげなんだ」

紬「・・・」
  
澪「・・・」フゥ

唯「・・・」ジーン

純「・・・」ジーン

姫子「・・・」ジーン

轍(・・・うん)

風子「・・・っ」グスッ

澪「・・・え!?」

憂「感動しちゃいました」

和「えぇ・・・」

信代「胸にきたよ」

いちご「・・・いい経験だったんだね」

春子「・・・なるほど、納得だ」

梓「・・・」

澪「・・・ぁ・・・ぅ・・・」オロオロ

律「と、まぁ・・・大して変わっているわけでもなく」

澪「うるさいっ」バシッ

律「あいたぁ!」

紬「・・・」

さわ子「・・・」モグモグ

玉恵「いい具合に焼けてるよ」

梓「・・・そうですね」

澪「よし、これおいしそうだ・・・。・・・はい、むぎ」

紬「・・・」

澪「・・・」



359 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:52:06.79 ID:/tE7ZYkDo


純「なんか会話してるっ!」

玉恵「じゃあ私達もこころで会話してみよう」

轍「は・・・?」

玉恵「・・・」

轍「・・・」

唯「・・・」ゴクリ

玉恵「・・・」

轍「なにも考えてないだろ?」

玉恵「うん」

律「くだらねえ・・・」

姫子「ふふっ」

いちご「クスクス」

信代「いい話の後だけに・・・」

春子「脱力感が・・・」

梓「・・・」

さわ子「順番的には梓ちゃんじゃないの?」

風子「聞きたいな」

梓「・・・」

澪「梓・・・?」

紬「・・・?」

梓「わ、私・・・みなさんの飲み物もってきます」

憂「私も手伝うよ」

テッテッテ

唯「おぉ、もうなくなってたよ」

純「手伝ってやるかなー」

テッテッテ

律「梓のヤツ・・・」

玉恵「なにかあったの?ずいぶんと毛嫌いされてるけど」

轍「・・・プライバシーに触れてしまってな。・・・真鶴ちゃんに注意されていたのに」

さわ子「しょうがないわねぇ」



360 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:54:29.25 ID:/tE7ZYkDo


梓「『勇気を貰ったから・・・貰っているから』・・・むぎ先輩が言うハズだった言葉だよ」

憂「お姉ちゃんの話を聞いたとき?」

梓「うん」

純「それで、どうしてイラついてんのさ」

梓「知らないよっ」

憂「知らないままだと、焚き火の場所へは戻れないよ?」

純「そうだよ、一人だけ変な空気纏っているわけにいかないじゃん」

梓「・・・」

憂「相馬さんのどこが嫌なの?」

純「ストレートな疑問だな」

梓「・・・外から入ってきた人なのに、知ったモノの言い方するから」

憂「相馬さんがどういう人か知らないからじゃないの?」

梓「憂は知ってるの?」

憂「・・・知らない・・・ね」

純「・・・私もよく知らない。・・・けど」

梓「けど?」

純「玉恵さんの事も知らないじゃん」

梓「!」

憂「うん・・・。あの旅で梓ちゃんが出会ってきた人も最初はそうだったよね」

梓「・・・っ」

純「なんだ・・・、梓の一人相撲か~」

梓「違うよ・・・ただ、一つ一つ的を射た言葉が嫌なんだよ」



361 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:56:15.67 ID:/tE7ZYkDo


憂「・・・」

梓「私たちは一緒に悩んで、行動して、辿り着いたんだよ
  それをあの人は一足飛びで辿り着いちゃう・・・。私たちが苦労しているのに」

純「苦労ねぇ・・・」

梓「別に、答えを出して欲しいわけじゃなくて・・・。楽をしたいわけでもないんだけど」

憂「玉恵さんと同い年くらいだよね」

純「そうだな・・・。年が近いと気軽に話せるって気いた事がある」

梓「・・・」

憂「私たちより7つ上・・・。7年の経験差があるから、それはしょうがないんじゃないかな」

梓「・・・うん」

純「解決した?」

梓「・・・」

憂「もう大丈夫だよね、戻ろうよ」

純「紬先輩と一緒にみてきた旅の話・・・するの?」

梓「・・・分からない」



・・・・・・



轍「封印するの?」

律「しないっ!」

轍「どうして?結構固い決意に見えたけど」

律「もっと高みへ連れていってくれそうなんだ
  なくした歌を取り戻す為に・・・なんつって」

轍「そうか・・・」

律「なんだよ、変な事言ったのに納得すんなよー」

轍「なんとなく、意味は分かったから。さっきの話を聞いててさ」

律「あっそ・・・」

轍「そろそろ俺は失礼しようかな」

律「ひき止めはしないぜ」

轍「キミ達面白いよね」

律「お褒めに預かりまして嬉しく思いますわ」オホホ

澪「・・・」

律「そこ!変な目で私をみない!!」



362 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 19:57:22.41 ID:/tE7ZYkDo


轍「玉恵も、あまり邪魔するなよ」

玉恵「え、邪魔ってなに?」

轍「学校繋がりで来ているんだから、部外者が入ると変な空気になるだろ」

玉恵「そうなの?」

さわ子「どうなの?」

風子「え・・・と春子ちゃん、どうなのかな?」

春子「えーと・・・唯どうなんだよ?」

唯「ん・・・?澪ちゃんどうしたの?」

澪「・・・変な空気になってないかって話だよ・・・どうなんだろ?」

姫子「変な空気・・・なにがあったの?」

いちご「・・・なにもないけど・・・なにかやるの信代?」

信代「・・・まだイベントがあったのか・・・あ、アレかな?」

和「・・・実行するの?」

純「アレってなんですか?」

憂「さっき言ってたフォークダンスだよね、梓ちゃん」

梓「それはないよ」

紬「・・・」ガーン

玉恵「ないんだってさ!」

轍「話の流れみてただろ」

律「なにやってんだか」

純「みなさんどうぞ~」

風子「ありがと~」

玉恵「気が利く後輩ちゃんですね~」

轍「まったく・・・」

憂「あ、相馬さん・・・。相馬さんの旅の話を聞かせてくれませんか?」

梓「・・・」

轍「え・・・?」

玉恵「いいじゃん、話なよ」

轍「玉恵もそういう仕事してるんだろ、俺よりそっちがいいんじゃないか?」

唯「それじゃ北海道の話も聞きたいな~」

轍「・・・」

玉恵「私が北海道で、轍さんが沖縄の話ね」

轍「はいはい」

律「お、興味あるな~。北海道は4年前なんだよな」



364 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 20:53:03.07 ID:/tE7ZYkDo


澪「沖縄は・・・?」

轍「先月だよ」

さわ子「新鮮なネタじゃない。みんな、おやつ用意して!」

唯「なにを言ってるんだい、さわちゃん」

轍「真剣に聞いてくれるんだね・・・それはこっちも気が抜けないな」

玉恵「そうだね」

律「あ、なんかスマン」

唯「うちの妹を甘く見てもらっては困るよ!」

憂「ど、どうぞ・・・」

さわ子「あら、言うまでもなかったのね」

和「・・・気を取り直して・・・、どうぞ」

轍「・・・」



365 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 20:54:22.77 ID:/tE7ZYkDo


玉恵「4年前、私は釧路港に辿り着いた。一台のバイクと共に」

姫子「・・・」

玉恵「その時の私は、無知で、世間知らずで、無謀そのものだった」

紬「・・・」

梓(雰囲気が・・・)

澪(さっきまでとは全然違う)

律(なんだ・・・?)

玉恵「どうして無謀かといったら、買ったばかりのバイクで北海道を走ろうとしていたから」

風子「・・・?」

春子「よく分からないな。どうしてそれが無謀なの?」

玉恵「バイクのメンテナンスなんてした事なかったからだよ」

轍「・・・うん」

姫子「・・・そうですね。北海道の距離を走るのなら、バイクを整備する知識は必要ですよね」

玉恵「その通り。案の定、タイヤ空気が抜けて立ち往生しちゃった訳だ」

信代(・・・さっきまでおちゃらけていたのに・・・なんか怖いな)

純(どうしたんだろ・・・)

玉恵「そこを通りがかったのが轍さん。その時は顔見知りだったから声をかけてくれた」

唯「どゆこと?」

轍「船の上で出会っていたんだ」

唯「なるほどぉ」

さわ子「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

玉恵「あっという間に直してくれてとても助かった。それでも私は自分の愚かさには気づかなかった」

憂「愚かさ・・・」

玉恵「うん・・・。自分の意志で北海道の大地に降りて、自分の力を試していたハズなのに
   初っ端から無力さを思い知らされたのに、助けられた事自体にきづかなかったんだよ」

梓「・・・」

紬「・・・」

玉恵「『なんとかなった』ってね」

さわ子「『運が良かった』よね」

玉恵「そうなんだ。自分の力で乗り越えたような、自由になれた気分でいたんだよ」

唯(・・・怖い)

玉恵「轍さんと別れて、とりあえず走った。目的地なんてなかった。
   後ろから来るなにか、から逃げるようにひたすら前に進んだ」

風子「・・・」ブルッ



366 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 20:55:10.71 ID:/tE7ZYkDo


姫子「・・・」ヒョイ

コロコロ

姫子(・・・コントロールが・・・・・・)

紬「・・・」スッ

姫子(あ・・・拾ってくれた・・・)

紬「・・・」ヒョイ

パキパキパキパキ

律(なんだよ、この空気・・・)

玉恵「それからは轍さんと何回か観光名所で会って、話をするようになった。
   話を聞けば『最高の一枚』を撮りたい・・・とね」

唯「うまさんのお父さんの?」

轍「うん・・・親父が撮った『最高の一枚』を越える為に、俺は北海道を旅していたんだ」

純「それは・・・越えることが出来たんですか?」

轍「それはまた話が変わるから。今は玉恵の話ね」

梓「・・・」

純「は、はい」

玉恵「・・・被写体を探しているけど中々みつからないと言って焦っていた」

轍「そんな風に見えていたのか・・・?」

玉恵「うん。『最高の一枚』は別に人を写さなくてもいいはずでしょ?」

轍「・・・」

姫子「あの雑誌のように・・・ですね」

いちご「・・・うん。他にもいい写真がたくさんあった」

玉恵「・・・それで、私を被写体に撮りたいと言い出した」

轍「言い出したってなんだよ、俺が必死に催促してるみたいじゃないか」

律「うわ・・・」

信代「うわぁ・・・」

梓「・・・フッ」

轍「見ろ、ドン引きだ!」

玉恵「あっはっは!」

唯「あはは」

風子「ふふっ」

純「梓・・・鼻で笑った・・・」



367 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 20:56:13.93 ID:/tE7ZYkDo


轍「・・・ったく」

さわ子「・・・引き受けたんですか?」

玉恵「ううん。すっぽかした」

轍「旭川で約束したんですよ。キャンプの段取りを教える代わりに、被写体になるって」

和「・・・どうして・・・?」

玉恵「・・・事故っちゃいまして」エヘヘ

紬「!」

梓「え!?」

轍「嘘つけ・・・。俺、警察に調べてもらったんだぞ。
  近くの病院にも連絡したけどそれらしい人は運び込まれてない、診察されていないってな」

玉恵「・・・」

轍「・・・1週間、調べたんだからな」

玉恵「・・・てへっ」

轍「腹立つ・・・」

律「嘘かよ・・・」

轍「4年前の話だから・・・もういいけど、なんともなくて良かったよホント」

玉恵「痛み入る」

憂「侍ですね」

姫子「・・・玉恵さんは、その旅で得たものってありますか?」

轍「いい質問だ」

唯「どうなの、どうなの!?」フンフン

澪「落ち着け」

玉恵「得たものは無かった。という事実を得たかな」

風子「何もなかったって事ですか・・・?」

玉恵「うん・・・。家に戻って、虚無感・・・っていうのかな。とてつもない、やりきれなさを感じた
   私は・・・北海道へ・・・何をしに行ったんだろう?」

律「・・・」

澪「・・・」

唯「・・・っ」

紬「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

梓「っ!」ゾクッ



368 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 20:56:53.92 ID:/tE7ZYkDo


さわ子「・・・それからどうしたんですか?」

玉恵「バイクに乗って・・・走った。ひたすら・・・走った・・・」

信代「それで・・・」

クイッ

信代「姫子?」

姫子「待って・・・そこから先は・・・」

いちご「・・・き、聞きたくない」

春子「・・・」

轍「お前は・・・!」

玉恵「・・・」

轍「ちょっと来い。話がある」

玉恵「いいじゃんここで」

轍「・・・なにがしたいんだよ」

玉恵「黙っていることが悪いことだと、教えたいだけだよ」

梓澪律「「「 ! 」」」

和純姫子「「「 ・・・ 」」」

さわ子「・・・」

憂「・・・」

轍「・・・」

唯「どうしたの、みんな?」

紬「・・・」

玉恵「轍さん、気づいていたの?」

轍「どっちだよ」

玉恵「私の方だけど・・・」

轍「今もそんなに冷えていないのに、一人だけジャケット着てるからな・・・
  話の流れもおかしいから、もしやとは思っていたんだよ」

和(そういう意味だったのね・・・)

玉恵「・・・さすが轍さん・・・4年前より頼もしいよ」

轍「今さらおちゃらけるなよ。沖縄の話がひかえているんだから、さっさと話してしまえ」

玉恵「・・・うん。ごめんね、空気を換えてくれたのに」

梓「・・・」

姫子「・・・」

玉恵「ひたすら走って、本当に事故った」

梓「!」

姫子「!」

紬「・・・!」



369 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:00:46.79 ID:/tE7ZYkDo


玉恵「これ・・・みて・・・」ズルッ

律「・・・っ」

澪「ッ!」

信代「うわ・・・・・・あっ・・・ごめんなさい・・・」

玉恵「ううん・・・正直な感想だもんね、気にしてないよ
   目が覚めたら病院のベッドの上。4日寝てたみたい。その後1年ちょっとのリハビリ」

律「ま、マジかよ・・・」

風子「・・・っ」

玉恵「この腕の傷が証拠だよ。でもね、そのおかげで今の私がいるんだよ」
   
紬「・・・」

玉恵「とっても強くなれた自分がね。それが北海道の旅で得られたモノになった」

梓「・・・」

春子「・・・よく・・・バイクに乗り続けていられますね」

玉恵「好きになったからね。旅が、バイクで走るのが」

姫子「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」

風子「・・・」

玉恵「おしまい」

シーン

玉恵「・・・」



370 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:02:20.31 ID:/tE7ZYkDo


轍「冷えきったぞ」

玉恵「沖縄の暖かさで上昇させてよ」

轍「勝手なことを・・・」

さわ子「あの料理の名は・・・なんでした?」

轍「あぁ、スクガラスですよ」

さわ子「スクガラス・・・はご自分で?」

轍「いえ、お土産に持たされたものです。もちろん自家製」

唯「最初は塩辛くて大変だったけど、噛んでいると味が出ておいしかったよ」

梓「のどに骨がささって大変でしたよ」

轍「頭から食べて、って言ったのに・・・。骨が硬いからよく噛まないと」

梓「・・・聞いてませんよ」

轍「・・・」シーン

憂(相性悪いのかな・・・)

澪「どうして沖縄へ?」

轍「『ニライカナイ』から手紙がきたから」

「「 ? 」」

轍「シャンバラ、マグ・メル、シャンゼリゼ、さっきも出てきた桃源郷などが・・・」

「「 ??? 」」

轍「あー・・・、まぁ、理想郷だよ」

唯「うむ」

和「分かってないでしょ」

唯「なんとなく分かったよ」

律(この表情は・・・分かってねえな)

風子「ユートピアですよね。とても理想的な場所だけど、どこにもない場所」

轍「そう・・・。詳しいね」

風子「本に出てきたのを思い出しました」

轍「大抵は死後の世界として認識されているんだ。手紙もそこから来たんだ」

信代「オカルト・・・?」

澪「・・・」ゴクリ

紬「・・・」ゴクリ

轍「・・・相棒からの手紙だったんだ」

玉恵「・・・!」

澪「・・・」ホッ

梓(澪先輩はこういう話苦手のはず・・・)

純「・・・?」



371 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:04:08.65 ID:/tE7ZYkDo


律「・・・」

さわ子(死後の世界のニライカナイ・・・そこにいる相棒さんからの手紙・・・ってことかしら)

姫子(・・・詮索しないほうがいいかな)

風子「律さん・・・、相棒さんって・・・?」ヒソヒソ

律「あぁ・・・、親友だった人・・・だってさ・・・」

風子「・・・だった・・・って・・・」

律「そういう事だ」

風子「・・・!」

轍「導かれているような気がしてさ、沖縄へ、ニライカナイへ」

風子「ど、どうしてそう思ったんですか?」

轍「旅が好きだからこの仕事をしていられるわけだけど、
  旅から旅へ身を投じて俺の辿り・・・いや、俺の話はいいか」

梓「・・・」

轍「ニライカナイは海の向こうの遥か遠くに、その場所は存在すると云われている
  そこから神様がきて、五穀豊穣や祝福、生命などをもたらし幸福を与えてくれる・・・とね」

紬「・・・」

唯「いいですな」

轍「様々な恩恵を受けているけど、その逆もある」

さわ子「・・・」

轍「病気や災厄、人に不幸をもたらすあらゆるものも海を越えてくると」

風子「それなのに理想郷と呼んでいるんですか?」

轍「うん・・・。そうだな、それじゃ俺が聞いた話を一つ」



372 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:05:04.33 ID:/tE7ZYkDo


玉恵「短めにね」

轍「分かってるよ!・・・砂浜を歩いていた男が櫛を見つけるんだ
  それはとても綺麗で持ち主が大切にしているだろうと一目で分かるくらいの物だった
  それを持ち主に返そうと砂浜をあるいてみたけど、持ち主らしき人は見つからなかった」

憂「・・・」フムフム

轍「次の日の朝、砂浜で何かを探している女性の姿を男はみつける」

唯「出会いだね」キラン

轍「・・・う、うん。・・・案の定その櫛は女性のものだった
  そのお礼にと、女性は男を海の底へ連れて行くんだ。竜宮城へね」

信代(竜宮城と言ったら・・・)

律(トンちゃんか・・・)

轍「城の者たちは男を歓迎した。男は連日宴会で時間が経つのを忘れるくらい楽しんだ」

和「・・・」

轍「男はふと故郷の事を想い出す。そして帰る事に決めるんだ
  だけど、女性は引き止める。男はそれでも家族や友達に会いたいがために振り切るんだ
  女性は言う。この包みを持っていってくれ、と
  これはこの場所とあなたの世界を行き来することが出来る物だから
  だけど、決して包みを開けてはいけない、と念を押す」

春子(似ている話だな・・・)

轍「男は故郷へ辿り着くと、雰囲気が違うことに気づく。風景が変化していたんだ
  家があった場所へ行くと見覚えのない家が建っている。知らない人が住んでいて、
  勝手に上がりこんだ男を白い目で見る
  家族がいない。友達もいない。知り合いもいない。独りぼっちだと気付く」

姫子「・・・」

轍「竜宮城で過ごしている間、外では数百年の時が過ぎていたんだ
  男は思い出す。女性がくれた物を・・・」

紬「・・・」ゴクリ

轍「包みを開くと無数の髪の毛が入っていたんだ」

澪「ヒィッ!」

いちご「・・・」ブルブル

轍「・・・その髪の毛は男を包み込み、やがて男は老人となり、衰弱して死んでしまう。というお話」

「「 ・・・ 」」シーン

轍「・・・」

梓「風子先輩の質問の答えがそれですか?」

轍「うん。ニライカナイは竜宮城を指しているのかもしれないでしょ?」

梓「・・・」



373 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:06:07.96 ID:/tE7ZYkDo


さわ子「海の向こうにあると言っていましたよね?」

轍「海の向こうの空の上、海の底・・・と、色々説があります」

和「時が忘れる程の場所であるのに、
  女性が男にもたらした物は・・・理想郷とはかけ離れていませんか?」

轍「うん。その包みは男にとって幸福でもあり、災厄でもあった。・・・ってね」

風子「なるほど・・・だから、ニライカナイ」

律「御伽噺じゃん」

轍「似たような話は全国各地にあるんだよ。沖縄にだって羽衣伝説はあるからね」

風子「・・・ふむふむ」

春子「ふ、風子・・・?」

純「浦島太郎ですよね」

紬「・・・」コクリ

いちご「・・・うん」

梓「・・・災いですか」

律「?」

轍「そう。感謝の心と畏怖の念を抱いて・・・」

玉恵「話が硬いよ。年齢層を考えてくださいな」

轍「うっ」グサッ

姫子(・・・あまり面白い話ではなかったかな)

風子「一つのモノで対称的な感情を持つ事になるんですね・・・面白いです」

姫子「え・・・」

轍「そ、そう言ってくれると助かる」

純「・・・話を戻しますけど、北海道で『最高の一枚』は撮れたんですか?」

轍「それは俺の過去に踏み込む事になるんだけど・・・。それでも聞く?」

純「そ、それは・・・」

梓「勝手に人のプライバシーに踏み込むあなたがそれを言うんですか」

轍「・・・ッ」

唯「あずにゃん・・・」

憂「・・・」

轍(この子・・・・・・面白い・・・)

紬「・・・?」

梓「・・・」

純「はい!」

玉恵「元気良し!」

律「なんだよその評価」



374 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:07:28.11 ID:/tE7ZYkDo


姫子(ご両親の話・・・)

轍「キミは写真見た?」

純「写真?」

姫子「見ていないです。私、唯、和、律、いちご、風子・・・は観ています」

轍(誰がどの子なのか分からない・・・)

春子「あの雑誌・・・?私見ていないね」

澪「見ました」

紬「・・・」コクリ

さわ子「8人が見たという写真・・・。内容は?」

律「女性が笑顔で写った写真だ。当時は・・・結婚していた?」

憂「当時は?」

轍「親父とお袋が周囲の反対を押し切ってアラスカを目指し、
  オーロラの下で永遠を誓った瞬間の写真」

さわ子「あら」キラキラ

玉恵「まぁ」キラキラ

憂「素敵ですね」キラキラ

いちご「うん」キラキラ

律「・・・」キラキラ

信代「律も!?」

純「おぉ・・・」

轍「全てを委ねた最高の笑顔のお袋。その視線の先には若き日の親父
  撮る側と被写体の心が完全に一つになって完成した、一枚の写真
  それはお袋と親父の『最高の場所』、『最高の瞬間』だったはずだ」

唯「『最高の場所』・・・」


澪「それが『最高の一枚』・・・」

姫子「その写真を越える為に北海道を・・・」

轍「うん」

和「撮れたんですか・・・?」

轍「うん・・・。撮れたよ」

玉恵「・・・!」

さわ子「・・・」



375 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:08:27.83 ID:/tE7ZYkDo


律「両親の話を恥ずかしげもなく・・・」

和「・・・」

轍「そんな両親を俺は誇りに思っているのさ!」

玉恵「カッコつけた!」

姫子「ふふっ」

和「あははっ」

律「あはは!」

唯「あっはは、おっかしー!」

澪「・・・」

梓「・・・」

紬「?」

憂「・・・?」

春子「そ、そんなに面白いかな?」

風子「面白いとは思ったけど・・・、ちょっと違和感があるよね・・・」

さわ子「どういう事?」ヒソヒソ

玉恵「轍さんのご両親は亡くなっているの・・・」ヒソヒソ

さわ子「・・・りっちゃんたちは知ってるのね」

玉恵「恐らく」

いちご「そうだったんだ・・・」

風子「知っているから、笑えるんだ・・・」



376 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:09:52.99 ID:/tE7ZYkDo


梓「ニライカナイは場所だけを指すんですかね」

轍「?」

唯「どゆこと?」

梓「災いしか持ってこない人がいますから」ジロ

轍「・・・え、俺?」

梓「・・・さぁ」

純(梓・・・なにがしたいんだよ・・・)

律「なにを言ってるんだよ!」

紬「・・・?」

轍「グフッ」

憂「?」

轍「あっはっはっは!」

梓「・・・ッ」ムカッ

さわ子「・・・うーん、状況が読めないわねぇ。玉恵知ってる?」

玉恵「分からない・・・。轍さん、どうして爆笑してんだろ」

轍「・・・っはっはは!」ピッピッピ

梓「なんですか!」

轍「待って・・・ッ・・・ふふっ・・・あははははっ!!」ピッ

trrrrrrr

梓「・・・」ムカムカ

律「笑いながらケータイいじって・・・さっぱり分からん」

澪「・・・私たちどうすれば・・・」

唯「うーん・・・」

プツッ

『もしもし~』

轍「あ、あれ?」

『轍さん元気ですか?私です!』

轍「いや知ってるけど・・・どうして?」

『暦さんは今、お風呂に入っているんですよ。代わりに出てくれって』

轍「そっか・・・、でも丁度いいや。ちょっと待ってて」

『はい?』

轍「・・・っ・・・はい。スクガラスのお礼を言ってあげて」スッ

梓「はい?」



377 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:12:08.99 ID:/tE7ZYkDo


轍「アレを作ったのこの子のおばあちゃんなんだよ。伝えてあげるとすごく喜ぶ」

梓「どうして私なんですか」

轍「まぁ・・・その・・・ぐふッ・・・ふふっ」

梓「・・・」イラッ

唯「しょうがないですな。もしもし~」

信代「唯がとるのかよ」

『もしもし~?』

唯「私は平沢唯!けいおん部でギターを弾いてるよ!」

『そうですか。私は上原海琴といいます。民謡で三線を弾いてます』

唯「さんしん?」

律「野球の話してんのか?」

さわ子「違うわよ。三味線と似た楽器よ」

紬「・・・」コクコク

梓「・・・」

唯「それでね、今うまさんとキャンプしてて、ニライハナイの話を聞いてるんだよ」

海琴『そうですか、楽しそうですね~』

春子「打ち解けてんのかな・・・」

轍「カナイね・・・ニライカナイ・・・」

唯「すっごくおいしかったよ!」

海琴『嬉しいです。おばあちゃんとっても喜んでくれますよ~』

唯「最初はとっても塩辛くて変な味ーって思ったんだけどね~」

海琴『それじゃー次はヒージャー汁なんてどうですか?』

唯「ひーじゃーじる?おいしい?」

海琴『とーっても!』

唯「食べたいよ!」

轍「お勧めはしないよ・・・」

『なんてモノを勧めてんのよ!』

海琴『おいしいよ?』

『海琴だけじゃないの!』

唯「? 誰と話してるの?」

海琴『真鶴ちゃんですよ』

唯「か、変わっておくんなまし!」

海琴『?・・・真鶴ちゃん』

真鶴『え・・・?・・・もしもし・・・』



378 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:14:17.19 ID:/tE7ZYkDo


唯「ほったいもいじるなー」

真鶴『・・・nine thirty』

唯「え・・・?」

真鶴『・・・?』

憂「九時半だよ」

唯「おぉ、93って言うからビックリしたよ」

真鶴『言ってない・・・けど・・・。ちょっと海琴・・・この人なに?』

海琴『お話したいんだって』

唯「真鶴ちゃんってハーフなんでしょ?」

梓「・・・」

真鶴『YES.沖縄とアメリカのダブルよ』



・・・・・・



律「目的はなんだよ?」

轍「大分離れたけど・・・中野さんと海琴ちゃんを話させようかと思っていたんだ」

玉恵「・・・なぜ?」

轍「オバァと同じ理由」

澪「・・・その海琴さんと同じ事を梓が・・・?」

轍「うん。それと、海琴ちゃんは音楽の大切さを人一倍知っているからね」

律「・・・音楽の大切さ・・・・・・」

轍「面白かったから、ね・・・。なにか伝わるものがあるかな、って」

姫子「伝わるもの・・・?」

轍「それは後から中野さん自身に聞いてみて。
  俺はそろそろ引き上げるから。お別れだ」

純「お別れ?」

玉恵「東京へ帰るの?」

轍「うん。記事をまとめないといけないからな。明日の朝で帰るよ」

律「戻るじゃなくて、帰る・・・なのか」

轍「・・・うん。さて、テントへ戻って今日のまとめをしないと」

澪「・・・相馬さん、北海道と沖縄の印象ってどうでしたか?」

和「いい質問ね」

風子「うんうん」

姫子「・・・対照的に位置する場所」

轍「北海道は『風と緑』、沖縄は『水と光』かな」



379 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:17:05.09 ID:/tE7ZYkDo


憂「それじゃそのお魚は沖縄でしか獲れないんですね?」

海琴『そうです。スクというお魚の稚魚なので生まれて3日経つと漬物にならないんです」

憂「そうですか・・・。それじゃあひーじゃーじるというのはなんですか?」

海琴『山羊を煮込んだ汁物です』

憂「う・・・」

海琴『う・・・?』

憂「ういって言います。平沢憂です」

海琴『私は上原海琴です』

真鶴梓『「 なんで二回も自己紹介してるの・・・ 」』

憂「色々と話を聞かせてくれてありがとうございました」

海琴『いえいえ~』

憂「はい、梓ちゃん」

梓「・・・」

海琴『・・・?』

梓「中野梓です」

海琴『上原海琴です。中野さんもスクガラス召し上がったんですか?』

梓「はい・・・。塩辛くて私の口には合いませんでした」

海琴『そうですか・・・。しょうがないですよ。内地の方には合わない料理ですから』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・』

梓「・・・」

海琴『・・・中野さんも』

梓「・・・?」

海琴『音楽をされているんですか?』

梓「はい・・・。先輩方と部活で演奏・・・して・・・いま・・・す」

海琴『・・・?』

梓「・・・あ・・・すいません・・・電話返しますね」

海琴『・・・梓さん』

梓「は、はい」

海琴『音楽って・・・いいですよね』

梓「はい」



380 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:17:49.57 ID:/tE7ZYkDo


真鶴『アズサ?ちょっと代わって海琴!』

海琴『真鶴ちゃんに代わりますね。それでは、ぐぶり~さびら』

梓「?」

真鶴『ちょっと!どうしてにぃにぃに伝えなかったの!?』

梓「なに・・・を?」

真鶴『電話返したらかけ直させてって言ったでしょ!?』

梓「あの時は・・・その・・・色々あって・・・」

真鶴『・・・』

梓「ごめん・・・ね・・・」

真鶴『アズサ・・・』

梓「なに?」

真鶴『最初に話をした時より、いい風が吹いてるよ』

梓「どういう事?」

真鶴『にぃにぃに聞いてみて、それじゃあ私もこれで、GOOD BYE!』

プツッ

ツーツー

梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・むぎ先輩?」

紬「・・・」ニコニコ

律「北海道は風と緑」キリッ

玉恵「沖縄は水と光」キリリッ

轍「・・・」

風子「宇宙は無限と有限」

和「それは言ってないわ」

春子「風子・・・?」

信代「・・・」

澪「・・・」

いちご「・・・」

さわ子「うふふ、面白いわね~」

梓「どうぞ」

轍「あ、あぁ・・・って切ったのか・・・」

唯「たっくさん話できたよ~」

憂「はい」

轍「それはよかった」



381 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:19:03.33 ID:/tE7ZYkDo


梓「・・・真鶴が言っていた『いい風が吹いている』って・・・なんですか?」

轍「あの子は先見の明を持っているから、そういう事なんだと思う。・・・電話で分かるのかな」

梓「・・・」

純「・・・」

轍「それじゃ俺はこれで失礼するよ
  貴重な話をたくさん聞けてよかったよ。おいしいごはんをごちそうさま」

唯「ふふん」

律「・・・」シーン

唯「りっちゃん・・・無視は嫌だよ・・・」シクシク

轍「テントにいるから、なにかあったら起こしていいからさ。それじゃね」

スタスタ

玉恵「おやすみー」

轍「お前もあまり邪魔すんなよー?」

玉恵「大丈夫だよ~」

唯「おやすみ~」

澪「おやすみなさい・・・」

律「風邪ひくなよ~」

憂「おやすみなさい」

梓「・・・」フゥ

紬「・・・?」

純「・・・」

さわ子「最後まで妙な空気を纏っていたわねぇ」

風子「・・・そうですね」

姫子「どんな空気なのか分かったの風子?」

風子「なんというか、玉恵さん以外は近づけない、近づかせないというか」

春子「歳の差があるからでしょ?」

信代「玉恵さんと電話相手以外は敬語だったな・・・」

いちご「・・・それだけなのかな」

和「・・・」

律「なんで喋らないんだよ?眠いのか?お子様か?」

純「まだ眠る時間じゃないですよ」ヒョイ

パキパキパキ

律「じゃ、なんなんだよ?言ってみろって~」

純「梓がいまいち分からなくて・・・。なんなんでしょうね」

律「あぁ・・・確かに」

澪「・・・電話でどんな話をしたんだろ」



382 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:22:20.65 ID:/tE7ZYkDo


玉恵「はぁ~、あまぁ~ぃ」モグモグ

唯「あー!私の分がなくなってる!」

澪「さっきたくさん食べただろ・・・」

紬「・・・」モグモグ

律「とろけるマシュマロ・・・うめぇ・・・!」

春子「・・・おいしいな」モグモグ

さわ子「玉恵・・・ひとつ聞いていいかしら?」

玉恵「・・・ん?」モグモグ

さわ子「・・・旭川に行かなかったことを、後悔してる?」

玉恵「してないよ」

姫子「即答だね」

玉恵「まぁね。どんな自分になっているんだろうって興味はあるけど
   ありもしない自分を想像するのは旅をする上で足かせにしかならないよ」

さわ子「どうしてよ、次の行動へのヒントになるかもしれないでしょ」

玉恵「旅は現実を一つ一つ確実に与えてくれるんだよ。楽しいことも辛いことも
   それを遮るのはやっぱり損だよ。つまらなくするだけだよ。前だけみないと」

梓「・・・」

姫子「・・・」

さわ子「振り返ることはないの?」

玉恵「バイクの運転中は危ないでしょ」

さわ子「そうね~、前方不注意で事故ってしまうわね」

律「納得しないでくれますかね。よく分からないんですけど」

澪「玉恵さんは・・・バイクに旅そのものを重ねているんだと思う」

純「なるほど・・・。旅と人生を重ねて、旅とバイクを重ねて・・・ですね」

信代(今日はみんな語るなぁ・・・焚き火のせいかな・・・)



383 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:23:03.88 ID:/tE7ZYkDo


唯「はいっ、私からも質問です!」

玉恵「うむ、許可しよう」

唯「玉恵ちゃんの旅の終着点はどこですか!?」

梓「・・・」

紬「・・・」コクコク

玉恵「うーん・・・終着点・・・」

姫子「・・・」

玉恵「まだ見つけてないし、どこにあるのか見当もつかないや」アハハ

いちご「終着点って?」

和「文字通り旅の終わりとなる場所ね」

いちご「・・・」

律「唯にしてはいい質問だったんだけどな~」

唯「そうでしょ」エッヘン

梓「胸を張るところじゃないですよ」

玉恵「轍さんは見つけたみたいだけど」

澪「どうしてですか?」

玉恵「4年前とは違ったからね」



384 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:24:37.39 ID:/tE7ZYkDo


また、かき乱していった

宿題と言わんばかりにモヤモヤを残していった

なんだろう、すごく嫌だ・・・あの人


澪「梓?」

梓「・・・え?」

澪「聞いていなかった?」

梓「なんですか?」

純「ぼーっとしているから澪先輩の声が聞こえないんだよ~」

律「電話で話してなにか伝わったのか・・・って事だよ」

梓「海琴さんと・・・」



・・・・・・



紬「・・・」ニコニコ

唯「むぎちゃん?」

紬「・・・?」

唯「いい事あったの?」

紬「・・・」コクリ

和「なにがあったのよ」

紬「・・・」

ギュ

和「・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「た・・・び・・・が・・・」

紬「・・・」スラスラ

和「は・・・じ・・・ま・・・っ・・・た・・・。むぎの?」

紬「・・・」フルフル

唯「ん~?」

姫子「誰の旅が・・・?」

紬「・・・」スッ

唯「内緒・・・?」

紬「・・・」ニコニコ

和「・・・見当はつくけどね」

姫子「・・・誰なの?」



385 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:25:44.28 ID:/tE7ZYkDo


・・・・・・



梓「海琴さんと話をしたのは・・・音楽の魅力だけです」

律「なんて言ってた?」

梓「音楽はいいですよね・・・って」

澪「・・・うん」

―――うん

音楽はいい

一つになれる

一つの曲を先輩方と紡ぐことが出来る

それはとても素敵で

それはとてもかけがえのないものになった

音楽をやってて、よかった


玉恵さんが言った

『黙っていることは悪いこと』だって

唯先輩だけ知らない

知ったら

背中を押しちゃうから

私たちは準備をしたかった

むぎ先輩の背中を心から推す事ができるような

そんな強さを持てるようになるまでの時間が欲しかった

『いい風吹いてるよ』

今その言葉がありがたく感じる


律先輩―――いいですか?


律「・・・」コクリ


澪先輩―――?


澪「・・・」コクリ



386 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:27:19.38 ID:/tE7ZYkDo


・・・・・・



唯「教えてよ~」

紬「・・・」スー

和「・・・?」

姫子「私たち・・・?」

信代「え・・・?私も入ってんの?」

風子「おぉー」

春子「な、なんで・・・?」

いちご「・・・私たちの旅が始まったって・・・どういう事?」

紬「・・・」フンス!

唯「よく分かんないよ、むぎちゃん」



・・・・・・



憂「お姉ちゃん・・・」

玉恵「唯ちゃんだけ知らないんだね・・・」

さわ子「しょうがないんだけどねぇ」

憂「・・・」

玉恵「そんな顔しないで」ナデナデ

憂「ぁ・・・」

玉恵「憂ちゃんのお姉ちゃんは芯がないようで、実はしっかりもっているんだよね」

憂「・・・」

さわ子「それ、褒めてるの?」

玉恵「そ、そうだよ」

憂「・・・はい」

純「おーい!」

玉恵「純ちゃんが呼んでるね」

さわ子「行きましょうか」

憂「はい」



387 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:28:34.72 ID:/tE7ZYkDo


・・・・・・



姫子「信代、風子、春子、いちご」

信代「ん?」

風子「なぁに?」

春子「なんだよ?」

いちご「・・・?」

姫子「私らはなりゆきをみている事しか出来ないから・・・ね」

信代「・・・」

風子「・・・」コクリ

春子「分かった」

いちご「うん・・・」



・・・・・・



さわ子「どうしたのよ?」

唯「あずにゃんが大切な話をするんだって」

玉恵「・・・」

さわ子「・・・そう」

唯「なにかな!?」ウキウキ

憂(お姉ちゃんは強いから・・・。さっきの旅の話を聞いて確認したよ。だから・・・大丈夫)

純(どうしてだろう・・・緊張する。私は部外者のはずなのに)

和(見守ることしかできないのね)

律(私も、もう振り返らない。大切な想い出と一緒に進むからだ)

澪(むぎは言ってくれた)



388 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:30:18.70 ID:/tE7ZYkDo


梓「むぎせんぱい」

紬「・・・?」

梓「あ・・・えーと、その・・・」

紬「・・・」ニコ


ずっといたい


梓「・・・」

紬「・・・」ニコニコ


ずっとこの笑顔をみていたい


梓「・・・っ」

紬「・・・?」


ずっと一緒にいたい


梓「ドイツへ行ってください」

紬「!」

唯「え・・・」

梓「唯先輩以外は知っていますよ」

紬「・・・」

唯「ど、どういう事!?」

梓「ドイツへ行けば・・・むぎせんぱいの声は治るかもしれないそうです」

紬「・・・」

唯「そ、そうなの!?むぎちゃん!?」


ゆっくりうなずく


紬「・・・」コクリ

唯「そ、そうなんだ・・・よか・・・っ・・・たぁ・・・」



389 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:31:54.77 ID:/tE7ZYkDo


唯先輩の声が潤む

澪先輩の顔が見えない

律先輩はまっすぐむぎせんぱいを見ている

私は言葉を―気持ちを伝える


梓「卒業まであと数ヶ月ですが・・・。今すぐ行ってほしいんです」

紬「・・・」

唯「今すぐ・・・?」

梓「時間が経てば経つほど、治る確率が低くなるのだそうです」

唯「ぇ・・・」

紬「・・・」


まっすぐにわたしをみる

いつもほわほわしているむぎせんぱいとはちがう表情

初めて見た

それはそうだ

自分の声よりこの時間を選んだのだから

その、むぎせんぱいの決意を私は拒否しているのだから


梓「今の時間は今しかありませんけど
  私たちが一緒に学校に通う時間は、今・・・しか・・・ありません・・・けどっ」


泣くな

最後まで伝えなきゃ

私が伝えたい言葉なんだから

私が伝えなきゃ


紬「・・・」

梓「それでも・・・、あなたに素敵な言葉を紡いでほしいから」

紬「!」



390 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:34:02.17 ID:/tE7ZYkDo


ワタシハナニヲイッテイルンダロウ


梓「あなたの暖かい笑い声を聞きたいから」

紬「・・・」


コレハタダノワガママ


梓「あなたの透き通る歌声を聞きたいから」

紬「・・・」


ワタシヒトリノカッテナオシツケ


梓「むぎせんぱいと・・・言葉を交わしたいから」

紬「・・・」


オモイヤリノナイコトバダ


梓「・・・あなたに・・・私の名前を呼んで欲しいからっ」ホロリ

紬「・・・」


ナイチャッタ


梓「・・・」グスッ

紬「・・・」

梓「だから・・・っ・・・だから・・・行って・・・ください」

紬「・・・」


この瞬間を

私は一生忘れない

忘れることができない


紬「・・・」コクリ

―――伝わった



391 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:35:19.54 ID:/tE7ZYkDo



紬「・・・」


どうして笑顔になるんですか

私のワガママなんですよ

言葉を出せないむぎせんぱいに対してひどい事を次から次へと

私は言ったんです


チガウ


イマエガオニナルアナタガイヤダ!


梓「どうして・・・っ・・・どうして笑顔になるんですか!?」

紬「・・・」

唯「あずにゃん・・・」

梓「残り数ヶ月の時間を捨てろと私は言ったんですよ!?」

澪「・・・」

梓「確実に治るわけでもない賭けに、私はそうしろと!失うものが大きいのに
  両方とも捨てる事になるかもしれないのに!そうしろと私は言ったんです!」

律「・・・」

梓「な・・・ッ・・・なんであなたは!そこで笑顔になれるんですか・・・ッ!」

紬「・・・」

梓「時間は戻らないんですよ!?」

紬「・・・」


バカダ

ワタシハドウシヨウモナイバカダ



392 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:36:44.06 ID:/tE7ZYkDo


梓「・・・なんで・・・っ」

澪「一人で背負わなくていいよ、あずさ」

律「まったくだ」

唯「ドイツへ行ってほしいっ・・・よ」グスッ

梓「!」

紬「・・・」

ギュウ



この温かさは

反則です



梓「ごめんなさいっ」グスッ

紬「・・・」フルフル

梓「私っ・・・むぎせんぱいがここに残ると・・・言ってくれるのを少し・・・っ
  期待していたんです・・・っ」グスッ

紬「・・・」

ギュウ

梓「伝わったこと・・・がどうしようもなく・・・嬉しくて、どうしようもなく・・・悲しくて」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・だから・・・っ」

スッ


離れる

私の目をまっすぐ見て

何かを伝える


紬「・・・」

梓「お礼を言うのは・・・私ですよっ」

紬「・・・」ニコニコ



393 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:37:33.27 ID:/tE7ZYkDo


唯「会話したよっ!」

律「マジかよ」

澪「・・・ふふっ」

梓「っ・・・」グスッ

紬「・・・」ニコニコ

唯「あずにゃんと同じ気持ちだよ。むぎちゃん!」

紬「・・・」コクリ

律「寂しくなるけどな。いや、寂しいなんてもんじゃねえ!
  ポッカリだ。心に穴が開くんだぞ!」

紬「・・・」コクリ

澪「言ってくれたよね。
  『時間と距離が私たちを隔てようとしても、わたしはいつもみんなを想ってる』」

紬「・・・」コクリ

澪「私たちも・・・むぎを想っているから・・・な」

紬「・・・」ニコ

梓「ですから・・・」

梓唯律澪「「「「 行って 」」」」



394 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:38:42.93 ID:/tE7ZYkDo


さわ子「ちょっと待った!」

梓「え・・・?」

唯「ちょっとさわちゃん」プンスカ

律「さわちゃん・・・ひどいぜ」

澪「・・・」

さわ子「まだその台詞は早いわ」

紬「・・・?」

梓「でも、斉藤さんは・・・」

さわ子「26、27の学園祭はどうするのよ」

律「どうするって・・・。どうすりゃいいんだよ」

さわ子「一緒に参加しなさいよ」

澪「で、でも・・・」

憂「梓ちゃん、斉藤さんはいつでも行けると?」

梓「・・・うん」

玉恵「言っていたね」

さわ子「むぎちゃんは向こうの学校に行く事になるわねぇ」

和「そうなの?」

紬「・・・?」

姫子「首を傾げているって事は・・・まだ無計画?」

紬「・・・」コクリ

信代「今決めた事だから当然っちゃ当然か」

さわ子「通うとしても手続きが必要になるから、とりあえず月末までは時間がかかるわ」

風子「・・・と、いう事は!」

さわ子「学園祭までいなさい」

紬「・・・」コクリ

春子「・・・これは企画を練り直さないとなぁ」

いちご「・・・うん!」

梓「お、おぉー!」フルフル

唯「少しの時間があるんだ!」

澪「よ、よし!」

律「大切に進むぞー!」



395 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 21:40:07.34 ID:/tE7ZYkDo



さわ子「・・・ふぅ」

玉恵「ちょっと苦しくなかった?今の話の進め方」

さわ子「ちょっとなんてもんじゃないわよ。すぐにでも病院へ行けばいいだけの話なんだから」

玉恵「ですよね~」

さわ子「強引にこじつけたけど・・・。これを許さない神様がいたら、私が許さないわ」

玉恵「・・・悪魔に魂を売ったかのようだ」

さわ子「あら、そう名乗っていたのよ私は」

玉恵「あぁ、唯ちゃんから聞いたよ。HEALTH DEVILだっけ?」

さわ子「器用に間違えてるんじゃないわよ。DEATHよ、DEATH DEVIL」

玉恵「健康な悪魔だ」

さわ子「自分で説明してると空しいわよね~」

玉恵「まったくです」

さわ子「面白いわねあなた」スッ

玉恵「お互い様だよ」スッ

カン

和「それ、お酒じゃないですよね?」

さわ子「あなた達がいるのに、飲まないわよ」

玉恵「そうそう。ただのむぎ茶だよ~」

和「雰囲気が・・・」

さわ子「信用ないのね~」

玉恵「じゃ、今度三人で飲もうよ」

和「今度って二年後になりますけど」

さわ子「二年後にくる予定あるの?」

玉恵「未定だった予定が確定になるのだよ、約束する?」

和「それは面白いですね」

さわ子「教え子と飲むなんて・・・時間の流れが怖くなるじゃない・・・」



396 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:29:19.90 ID:/tE7ZYkDo


―――――・・・

ちゃーらら~らら~らら~♪

梓「え・・・と、こうですか?」

紬「・・・」コクリ

梓「・・・で、つぎは・・・こうですね」

紬「・・・」コクリ

梓「ありがとうございました」ペコリ

紬「・・・」ペコリ

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「次は・・・風子先輩ですか」

風子「よろしく~♪」


・・・・・・



律「オクラホマミキサー・・・どこから持ってきたんだよ・・・」

さわ子「学校からよ?」

和「あったんですね・・・」

信代「風子・・・キャラが違うよな・・・」

さわ子「変わったというべきか、元が表面化しただけなのか。
    どちらにせよ、あのふぅちゃんは悪くないわ」

春子「そうですね・・・。しかし、紬と風子は分かるけど・・・」

律「だよなぁ・・・。梓と憂ちゃんはノるだろうとは思っていたけど」

いちご「・・・うん」

信代「いやぁ・・・目の前の光景が信じられないよわたしは」

和「そうね・・・」

玉恵「・・・どうしよう」


・・・・・・


ちゃっちゃっちゃん♪

澪「よろしく」

姫子「よろしく♪」

澪「ふんふんふん~♪」

姫子「~♪」

澪「楽しそうだよね」

姫子「楽しいよ」



397 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:30:25.13 ID:/tE7ZYkDo


澪「うん・・・。それは嬉しい」

姫子「みんなが楽しんでいると嬉しい?」

澪「うん」

姫子「あ、間違えた」

澪「ご、ごめん」

姫子「あはは、中学校の体育祭以来だよ」

澪「私は初めて・・・かな」

姫子「へぇ~」

澪「今日は私たちの他にいないみたいだから、踊れるんだけどな」

姫子「台風様々だね~♪」

澪「うん」

ちゃっちゃっちゃん♪

姫子「ありがとうございました」ペコリ

澪「ありがとうございました」ペコリ

姫子「おっと、純ちゃんか」

純「よろしくお願します」

姫子「よろしく♪」

純「うわっ、風子先輩より楽しそう!」

姫子「楽しいよ♪」

ちゃーらら~らら~らら~♪

純「傍から見たら恥ずかしい光景ですよ、これ」

姫子「大丈夫、大丈夫。テントはそんなにないんだし」

純「そう・・・ですけどぉ」

姫子「今は今しかない。ってさっき教えてくれたよ」

純「・・・」

姫子「だから楽しもうよ」

純「後で枕に顔を埋めて足をジタバタしませんかね?」

姫子「後の事は後で考えよう♪」

純(テンション高いな~)

ちゃっちゃっちゃん♪

姫子「ありがとうございました」ペコリ

純「ありがとうございました」ペコリ

姫子「次は、むぎだね」

紬「・・・」ペコリ

姫子「よろしく♪」ペコリ



398 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:31:14.66 ID:/tE7ZYkDo


ちゃーらら~らら~らら~♪

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

紬「・・・」

姫子「・・・」

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

紬「・・・」ペコリ

姫子(すっごい楽しい)ペコリ

風子「姫ちゃんだ」

姫子「風子にまで浸透しちゃったか」

風子「よろしく♪」

姫子「よろしく♪」

ちゃーらら~らら~らら~♪

風子「キャンプに来てよかった」

姫子「うん」

風子「玉恵さんに出会えた」

姫子「・・・」

風子「相馬さんに出会えた」

姫子「・・・」

風子「こんな自分に出会えた」

姫子「うん」

風子「旅ってこういう事なんだろうね」

姫子「うん」

風子「あの二人って凄いよね」

姫子「梓ちゃんとむぎ?」

風子「あ、むぎって呼んでる」

姫子「今のうちに呼んでおこうと思ってさ」

風子「わ、私も呼ぶ!」

姫子「その列にいたら踊れないじゃん」

風子「それじゃ、私と列入れ替わろう~♪」

姫子「そうしよう~♪」



399 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:31:50.56 ID:/tE7ZYkDo


ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「なるほど。よろしくです」ペコリ

姫子「よろしく♪」

ちゃーらら~らら~らら~♪

梓「楽しそうですね」

姫子「楽しいよ~♪」

梓「よかったです」

姫子「澪と同じ事言ってる」

梓「そうですか?」

姫子「うん。みんなが楽しいと嬉しいってね」

梓「そうですか・・・」

姫子「梓ちゃんとむぎはすごいね」

梓「なにがですか?」

姫子「互いを高めあってる・・・って感じかな」

梓「・・・違います。むぎせんぱいが引っ張ってくれるから、そこにいるだけです」

姫子「・・・」

梓「私は少しも凄くはないんです」

姫子(ちゃんとついていってるじゃん。充分すごいよ)

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

梓「ありがとうございました」ペコリ

姫子「今日はありがと」

梓「?」

姫子「憂ちゃん、よろしく♪」

憂「よろしくおねがいします」ペコリ

ちゃーらら~らら~らら~♪

姫子「上手だね、振り付け」

憂「ふふ、実は練習していたんです」

姫子「えっ!?うそっ!?」

憂「うそです」キッパリ

姫子「驚かせないでよ」

憂「ごめんなさい」クスクス

姫子「いいけどね♪」

憂「楽しそうですね」

姫子「みんなに言われるけど、そんな風に見える?」

憂「体中が弾んでます」



400 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:32:45.84 ID:/tE7ZYkDo


姫子「心から楽しんでいるんだろうね。・・・そっか、なんか新鮮」

憂「いいですよね、こういう感じ♪」

姫子「うん♪」

ちゃらっちゃちゃっちゃ♪

憂「ありがとうございました」ペコリ

姫子「ありがとうございました」ペコリ

唯「あ、姫ちゃんだ」

姫子「よろしく、唯♪」


・・・・・・


玉恵「どうしよう・・・一人余るよ」



401 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:33:49.98 ID:/tE7ZYkDo


律「じゃ、、先に行ってるからな」

さわ子「待ちなさいよ、誰か残りなさいよ」

信代「それは嫌です!」

春子「うん、嫌だ!」

いちご「・・・」スィー

玉恵「しょうがないな・・・。ジャンケンといきますか」

律「しゃあねえな」

玉恵「よーし、じゃーんけん」

律「ほいっ!」

グー

グー

玉恵「引き分け」

律「勝負は簡単にはいかねえか」

玉恵「あれ、どうして一対一になってるの?」

律「あれ・・・?おいてかれた!」

玉恵「・・・」スタコラサッ

律「待てい!」

ガシッ

玉恵「独りぼっちは嫌だもん!」

律「私だって嫌だよ!」

玉恵「まってよ・・・。ここに二人いるってことは」

律「あっちは誰かあぶれるな」

玉恵「あ、澪ちゃんがあぶれた」

律「あははっ、うろたえてる!」

玉恵「幼なじみなんでしょ~、そんな言い方はひどいよリッチャン」

タッタッタ

玉恵「・・・置いていかれた・・・ひどいよ・・・リッチャン・・・」ズドーン



402 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:34:34.23 ID:/tE7ZYkDo


―――――深夜

律「う・・・ん・・・」モゾモゾ

紬「」スヤスヤ

澪「」スヤスヤ

梓「」スヤスヤ

風子「」スヤスヤ

憂「」スヤスヤ

律「・・・」ボケー

シャー

律「・・・」モゾモゾ

シャー

スタスタ

和「・・・りつ?」



403 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:35:27.03 ID:/tE7ZYkDo


―――・・・



律「ふぁ・・・」

和「・・・」

律「どわぁ!」

和「お手洗い?」

律「う、うん・・・」ドキドキ

和「夢遊病かと思ったわよ」

律「心配かけてすいません」ドキドキ

和「いいわ。戻りましょう」

律「そだな・・・ふぁ・・・」

和「・・・ふぁ」

プィープゥー

律「・・・なにか聞こえた?」

和「聞こえたわね・・・。なにかしら」

・・・

律「あれ?」

和「・・・よくある話よ」

律「話を終わらそうとするなよ、逆に怖いから」

和「見て律・・・」

律「ん?・・・空・・・おぉ!」

和「澄んでいてキレイ・・・」

律「あぁ・・・」

和「二人で見るなんてもったいないわね」

律「起こすか」ウシシ

プーピィーププー

和「・・・」

律「あっちだ・・・」



404 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:36:26.00 ID:/tE7ZYkDo



轍「・・・」ピィープー

ガサガサッ

轍「ッ!?」ビクッ

律「・・・ソーマ?」

和「・・・どうしたんですか?」

轍「び、びっくりした・・・」

律「驚かせて悪かった。音がしたからつられて来たんだけど」

和「ハーモニカ・・・ですね?」

轍「うん・・・久しぶりに吹いてみたくなってね。どうしたのこんな時間に」

律「・・・空がきれいだったからさ」キリ

和「・・・」

轍「確かに・・・。これは滅多に見れない星の数だ」

律「そうなのか?」

轍「今日は安定していて、星のゆらぎもないみたいだ」

和「・・・」

轍「沖縄ではあまり吹かなかったんだけど、北海道の話を聞いていたら懐かしくなって」

律「ふーん」

和「どうしてハーモニカを?」

律「かっこつけたいからだろ?」

轍「違うよ・・・。今は星と月明りがあるからいいけど、曇っていたら夜は闇なんだよ」

律「・・・」

轍「自然に囲まれた闇の中を一人でいる。それって結構不安になるんだ。焚き火があってもね」

和「そうですね・・・」

轍「そういう時はよく吹いていた。自分を励ます為に」

律「・・・一人でキャンプって・・・結構シビアなんだな」

轍「それがいいんだけどね。さて、テントに戻りますか」

和「そうね」

律「あのさぁ」

轍「ん?」

律「ニライカナイ・・・だっけ?どうしてその話をしたんだ?」

轍「話の流れってのもあるんだけど、自分が探していた場所だったからかな」

和「・・・」



405 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:37:37.32 ID:/tE7ZYkDo


律「よく分かんねえ」

轍「そうだよね。キミ達の歳ではあまり惹かれる話でもないよね」

和「いい事ばかりじゃない場所ですよね」

轍「うん。毎日こんな星空だと、つまらないでしょ」

律「そうか?キレイなものを見て心が潤うならそれが一番だろ」

轍「うん。そうだ。・・・だけど、俺には闇の中でコレを吹く時間も欲しいんだよ」

和「・・・寂しいから吹くのに・・・ですか?」

轍「うん。渇いていた方がモノを鋭く捉えられるからね」

律「そういうもんなのか・・・」

和「・・・」

轍「さ、戻ろう・・・」

律「眠いや・・・ふぁ~」

轍「ふぁ・・・」

和「律のあくびはうつるわよね」

轍「俺が去ってからどうなったの?」

律「フォークダンス踊った」

轍「ブフッ」

和「正しいリアクションよね」

律「いやいや、和も踊ってただろ」

和「そうだったかしら?」

律「過去を改竄すんなよ」

轍「そっ、それで・・・?」

和「踊り終わった後に、梓とむぎの旅の話を聞いたわ」

律「一緒にいたのに視点がまるっきり違うから面白かったぜ」

轍「へぇ・・・」

律「残念だったな」ウシシ

轍「そうだね」

律「そうでもないって声だな」

轍「はは」

和「聞かないでもいいってことですか?」

轍「あの二人の・・・いやキミ達の絆を垣間見れただけで満足したんだよ・・・俺は」

律「・・・」

轍「それ以上踏み込んでいいとも思わなかったからね」

和「そうですか・・・」



406 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/03(土) 22:38:06.50 ID:/tE7ZYkDo


轍「・・・玉恵もフォークダンスを?」

律「あぁ、姫子と楽しそうに踊ってた」

轍「玉恵のヤツ・・・」ヤレヤレ

和「玉恵さんと出会えてよかったですよ」

律「うん、楽しかったぜー」

轍「そっか・・・。キミ達と一緒にいて楽しそうだったのは分かるけどね」

律「あのさ、さっきから気になってるんだけど」

轍「?」

律「キミ達ってなんだよ?」

轍「俺キミの名前知らないよ?」

律「自己紹介してなかったっけ?」

轍「聞いてないね」

和「あら・・・」

律「ま、今さらだな」ウシシ

轍「今さらだよね」

和「それでいいのね」

律「今日は長い一日だったなー」



410 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/04(日) 18:38:54.28 ID:u8FaWllJo


まずは、こちらの画像をご覧いただこう・・・
http://www.gazo.cc/up/55061.jpg

55061.jpg


おわかりいただけただろうか

一見、なんの変哲も無い38人の少女たちが写ってるのだが


お気づきになったであろうか


実はこの少女たち

全員登場するのである・・・
※深くは関わりません

長いと感じさせてしまうのは私の未熟さでございます
メリハリもなくgdgdと進んでいきます




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